§A4.3一次不定方程式 ax + by = c

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一次不定方程式とは、ax+by=cax + by = c(a,b,ca, b, cは整数の定数)を満たす整数の組(x,y)(x, y)を求める方程式のことです。 「不定」というのは、解が一つに定まらず無数にある(または一つもない)ことを指しています。実数の範囲で解くなら直線上の点はすべて解ですが、ここでは整数の点だけを探します。

1 解を持つ条件——ベズーの等式

まず、そもそも整数解が存在するかどうかを判定できます。

ax+by=cax + by = cが整数解を持つための必要十分条件は、gcd⁡(a,b)\gcd(a, b)がccを割り切ることです。 特にgcd⁡(a,b)=1\gcd(a, b) = 1なら、ccがどんな整数でも解が存在します。必要なことはすぐに分かります——解(x,y)(x, y)が1つでもあれば、左辺ax+byax + byはaaとbbの公約数gcd⁡(a,b)\gcd(a, b)で必ず割り切れるので、それに等しい右辺ccも割り切れていなければなりません。本題は十分性、つまり「割り切れさえすれば本当に解が作れる」ほうです。

これは互除法を「逆向きにたどる」ことで具体的に確かめられます。互除法の各ステップを逆にたどっていくと、gcd⁡(a,b)\gcd(a, b)そのものをaaとbbの整数係数の和として書く式(ベズーの等式ax+by=gcd⁡(a,b)ax + by = \gcd(a, b))が作れるのです。実際に1071x+1029y=211071x + 1029y = 21の特殊解を作ってみます。互除法の計算は前回の記事の通りです。

  1. 1071=1×1029+421071 = 1 \times 1029 + 42
  2. 1029=24×42+211029 = 24 \times 42 + 21
  3. 42=2×21+042 = 2 \times 21 + 0

これを下から一つずつ、余りについて逆に解いていきます。

21=1029−24×4221 = 1029 - 24 \times 42

次に42=1071−102942 = 1071 - 1029を代入します。

21=1029−24×(1071−1029)=25×1029−24×107121 = 1029 - 24 \times (1071 - 1029) = 25 \times 1029 - 24 \times 1071

つまり1071×(−24)+1029×25=211071 \times (-24) + 1029 \times 25 = 21です。c=21c = 21はちょうどgcd⁡(1071,1029)\gcd(1071, 1029)そのものなので、これがそのまま特殊解(x0,y0)=(−24,25)(x_0, y_0) = (-24, 25)になります。ccがgcd⁡\gcdの倍数(たとえばc=63=3×21c = 63 = 3 \times 21)であれば、この特殊解を33倍すればよいだけです。

2 一般解——特殊解に「ずれ」を足す

特殊解が1つ見つかれば、あとは全部の解を機械的に書き下せます。d=gcd⁡(a,b)d = \gcd(a, b)、(x0,y0)(x_0, y_0)を特殊解とすると、一般解は

x=x0+bdt,y=y0−adt(t は任意の整数)x = x_0 + \frac{b}{d}t, \qquad y = y_0 - \frac{a}{d}t \qquad (t \text{ は任意の整数})

と表せます。ttを11ずらすごとにxxがb/db/dだけ増え、yyがa/da/dだけ減ることで、ax+byax + byの値がちょうど打ち消し合って変わらないという仕組みです。符号の付け方(+bt/−at+bt/-atか−bt/+at-bt/+atか)はどちらでも構わず、流儀の違いに過ぎません。

閑話休題:ダイ・ハード3の水差しパズル 映画『ダイ・ハード3』に、爆弾を止めるために「3ガロンの容器と5ガロンの容器だけを使って、正確に4ガロンの水を作れ」という有名な場面があります。ぴったり同じ発想のパズルは古くから数学者にも親しまれてきました。3リットルと5リットルの容器だけで 4リットルを量れるかを考えてみましょう。

これができる理由は、まさにgcd⁡(3,5)=1\gcd(3, 5) = 1が44を割り切るからです。3x+5y=43x + 5y = 4には整数解(x,y)=(3,−1)(x, y) = (3, -1)があります(3×3+5×(−1)=43 \times 3 + 5 \times (-1) = 4)。ここで負の係数は「その容器で何回汲み出すか」に対応していて、実際の操作——5Lを満たして3Lへ移し、3Lを空けてまた移し、を繰り返す一連の手順は、このベズーの等式を鍋と桶で実演しているにすぎません。一方、容器が6Lと9Lだったらどうでしょうか。gcd⁡(6,9)=3\gcd(6, 9) = 3で、これは44を割り切らないので、6x+9y=46x + 9y = 4に整数解はなく、どう組み合わせても4Lを作ることはできません(作れるのは3の倍数の量だけです)。整数論のこの一事実が、映画の脚本を裏で支えていたわけです。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の1次不定方程式の整数解を1組求め、一般解を書け。

解法の型互除法を逆にたどって特殊解を1組見つける

  1. 例題 1

    14x+11y=−20014x + 11y = -200
  2. 例題 2

    9x+7y=−1179x + 7y = -117
  3. 例題 3

    7x+2y=−237x + 2y = -23
  4. 例題 4

    3x+14y=233x + 14y = 23
  5. 例題 5

    4x+13y=−1104x + 13y = -110
  6. 例題 6

    4x+3y=−174x + 3y = -17
  7. 例題 7

    4x+5y=−124x + 5y = -12
  8. 例題 8

    14x+13y=−13714x + 13y = -137
  9. 例題 9

    10x+3y=−910x + 3y = -9
  10. 例題 10

    5x+13y=−555x + 13y = -55

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の1次不定方程式の整数解を1組求め、一般解を書け。

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