数列の極限では、番号がと飛び飛びに動きました。ここでは変数が連続的に動く場合を扱います。が値に近づくときが近づく先を、関数の極限といいます。
変数が連続的に動くので、近づき方が一通りではありません。より大きい側から近づくのか、小さい側から近づくのかで、の行き先が変わることがあります。この違いを最初に整理します。
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数列の極限では、番号がと飛び飛びに動きました。ここでは変数が連続的に動く場合を扱います。が値に近づくときが近づく先を、関数の極限といいます。
変数が連続的に動くので、近づき方が一通りではありません。より大きい側から近づくのか、小さい側から近づくのかで、の行き先が変わることがあります。この違いを最初に整理します。
定義 1.1 (片側からの極限).がより大きい値をとりながらに限りなく近づくときが値に限りなく近づくならば、をにおけるの右からの極限といい、と書く。がより小さい値をとりながら近づく場合を左からの極限といい、と書く。
定理 1.2 (極限が存在するための条件).が成り立つのは、右からの極限と左からの極限がともに存在して、どちらもに等しいときであり、そのときに限る。
証明.のときにならば、に限って近づけても、に限って近づけてもはに近づきます。したがって二つの片側極限はともにです。
逆に、右から近づけた場合と左から近づけた場合のどちらでもがに近づくとします。と異なるはまたはのどちらか一方を満たすので、近づき方を片側に分けても行き先は常にです。したがってのときです。▨
注意 1.4 (「存在しない」と「値が定まらない」を混同しない).例 1.3で存在しないのは極限であって、の値ではない。の値はのどこでも定まっている。逆に、が定まっていなくてもが存在することがある。はで値をもたないが、の極限はである。極限はにおける値と無関係に定まる。
を限りなく大きくしたときのの行き先を、限りなく小さくしたときの行き先をと書きます。この二つも一致するとはかぎりません。
例 2.1 (正の側と負の側で行き先が違う場合).とする。では分母をと書くことができ、
である。ではであるから分母はとなり、
である。と書いてしまうと、負の側で符号を取り違える。
多項式のように、考えている点で連続であることが分かっている関数では、代入によって極限を求めることができます。一般の関数では、が定まることだけからを結論することはできません。連続性を確認するか、極限を別に計算する必要があります。代入すると、、のような不定形になる場合は、式を変形してから極限を取ります。
注意 3.1 (変形の前に定義域を書き出す). 根号を含む式では根号の中が以上である範囲を、分母を含む式では分母がにならない範囲を、変形の前に書き出す。をと書き換える操作はでしか正しくなく、分子と分母をで割る操作はでしか正しくない。変形が正しい範囲と、極限を考えている範囲が重なっていることを確かめる。
数列の極限で認めた§B1.7 定理 3.1と§B1.7 定理 3.3は、関数の極限についても同じ形で成り立ちます。本記事はこれらも認めて用い、とによる精密な扱いは「ε-δ による関数の極限と連続性」が扱います。
定義 4.1 (点における連続性と、区間での連続性).がを含むある範囲で定義されており、が成り立つとき、はで連続であるという。区間に属するどの点でも連続であるとき、はその区間で連続であるという。区間の端点では、区間の内側からの片側の極限で考える。
この定義は三つを同時に要求しています。が定まること、極限が存在すること、そして両者が等しいことです。どれか一つでも欠ければ、その点で連続ではありません。
例 4.2 (連続でない三つの型).
多項式はどの実数でも連続であり、分数関数と無理関数は、定義域に属するどの点でも連続です。
閉区間で連続な関数のグラフは、途切れずにつながって見えます。この見え方を主張として述べたものが中間値の定理です。そして、この定理は絵から明らかなのではなく、実数の連続性から従います。証明は、数列の極限で認めた§B1.8 定理 2.1を用います。
定理 5.1 (中間値の定理).が閉区間で連続であり、であるとする。をとのあいだにある実数とすると、を満たすが開区間に存在する。
証明.の場合を示します。の場合はとに置き換えるとこの場合に帰着します。
閉区間の列を次のように作ります。まずとします。が定まったとき、その中点をとして
と定めます。この作り方から、どのについても
が保たれます。ではですから成り立ち、をどちらに選んでもこの関係は保たれます。
であり、長さは半分ずつになるのでとなり、に近づきます。したがって§B1.8 定理 2.1により、すべてのに属する実数がただ一つ存在します。
ももとの差が以下ですから、を限りなく大きくすると、どちらもに近づきます。はで連続なので、定義 4.1により、です。ここで、すべてのについてが成り立っているので、§B1.7 定理 3.3により
が得られます。したがってです。かつですからはともとも異なり、開区間に属します。▨
注意 5.2 (仮定を一つでも外すと結論が成り立たないこと). 連続であるという仮定を外すことはできない。で、でと定めた関数はでとを値にとるが、を値にとる点は存在しない。
閉区間であることは、定理 5.1を両端の値によって述べるための仮定です。開区間上のも、区間内の二点で取る値の間にあるすべての値を取ります。したがって、閉区間であることが中間値の性質そのものに必要であるとは限りません。ただし、開区間では両端の値が定まらないので、上の定理をそのまま適用することはできません。
注意 5.4 (存在を示すことと、値を求めることは別である).定理 5.1が与えるのはの存在であって、の値ではない。証明が区間を半分ずつ狭めているので、その手順をそのまま計算に使えばを好きな精度まで求めることができる。存在の証明と、値を求める手続きが同じものになっている例である。
閑話休題:ラマヌジャンの無限に深い根号 1911 年、インドの数学雑誌に、無名の事務員から次の問題が投稿されました。
根号が無限に深く入れ子になった式です。数か月のあいだ解答が届かず、投稿者本人が答えを示しました。値はです。投稿者はラマヌジャンでした。
もとになるのは恒等式です。の部分に同じ恒等式を(をに取り替えて)代入する操作を繰り返すと、上の入れ子が現れます。とすれば値はになります。
ただし、この操作だけでは等号は正当化されません。無限に続く式は、それ自体では意味を持たず、有限で切った列の極限として初めて意味を持ちます。有限で切った式の値がに近づくことを、上下から評価して確かめる必要があります。この見方は、無限級数、無限積、連分数のいずれにも共通します。
条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。
次の極限を求めよ。
解法の型 は因数分解して約分、 は最高次で割る
例題 1
例題 2
例題 3
例題 4
例題 5
解法の型 と の形に持ち込む
例題 1
例題 2
例題 3
例題 4
例題 5
問題を解いてから「解答・解説」を開けます。
次の極限を求めよ。
演習を読み込み中…
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