1 an+1=pan+qnの型
右辺にnを指数に持つ項があるため、an+1=pan+qの型とは異なります。両辺をqn+1で割ると、右辺のqnがnによらない定数になります。
定理 1.1 (指数を含む一次漸化式の帰着).q=0とし、数列{an}がan+1=pan+qn(n≥1)を満たすとする。bn=qnanとおくと、
bn+1=qpbn+q1(n≥1)が成り立つ。
証明.q=0よりqn+1=0であるから、漸化式の両辺をqn+1で割ることができます。
qn+1an+1=qp⋅qnan+qn+1qn右辺の第2項はq1です。bn=qnanと置くと、求める式になります。この変形は、すべてのn≥1について行うことができます。▨
得られた{bn}の漸化式はan+1=pan+qと同じ形なので、基本形の方法で解きます。p=qのときはqp=1であるから、α=qpα+q1を満たすαを用いて{bn−α}を等比数列にします。p=qのときはqp=1であり、bn+1=bn+q1という等差型になるので、このαを用いる方法は使わずに等差型として解きます。
例 1.2 (a1=1、an+1=2an+3n).q=3=0である。bn=3nanとおくと、定理 1.1よりbn+1=32bn+31(n≥1)である。α=32α+31の解はα=1であるから
bn+1−1=32(bn−1)となり、{bn−1}は公比32の等比数列である。b1=3a1=31よりb1−1=−32であるから
bn−1=−32(32)n−1=−(32)nである。よってan=3nbn=3n−2nである。n=1のとき3−2=1=a1であり、漸化式から求めたa2=2⋅1+3=5は32−22=5と一致する。
2 an+1=pan+qanの型
分母にanがあるため、そのままではan+1がanの一次式になりません。両辺の逆数を取ると、右辺はanの逆数についての一次式になります。逆数を取るためには、すべてのnについてan=0でなければなりません。
定理 2.1 (分数型の帰着). 数列{an}がa1=0とan+1=pan+qan(n≥1)を満たし、すべてのn≥1についてpan+q=0であるとする。このとき、すべてのn≥1についてan=0であり、bn=an1とおくと
bn+1=qbn+p(n≥1)が成り立つ。
証明. はじめに、すべてのn≥1についてan=0であることを示します。a1=0です。an=0を仮定すると、仮定pan+q=0と合わせてan+1=pan+qan=0が従います。よって、すべてのn≥1についてan=0です。
したがってbn=an1を定めることができ、漸化式の両辺の逆数を取ると
bn+1=anpan+q=p+q⋅an1=qbn+pとなります。▨
例 2.3 (a1=1、an+1=2an+3an).a1=1>0である。an>0ならば2an+3>0でありan+1>0であるから、すべてのn≥1についてan>0である。とくにan=0かつ2an+3=0である。
bn=an1とおくと、定理 2.1よりbn+1=3bn+2である。α=3α+2の解はα=−1であるからbn+1+1=3(bn+1)となり、b1+1=2よりbn+1=2⋅3n−1である。よって
an=2⋅3n−1−11である。n=1のとき2−11=1=a1であり、漸化式から求めたa2=2+31=51は2⋅3−11=51と一致する。
3 連立漸化式
二つの数列{an}と{bn}が、互いの項を用いて同時に定まる場合を扱います。方針は、二つの数列を組み合わせたan+kbnのうち、等比数列になるものを与える定数kを探すことです。
例 3.1 (二つの数列を同時に定める漸化式).a1=1、b1=0とし、n≥1について
an+1=an+2bn,bn+1=2an+bnが成り立つとする。定数kに対して
an+1+kbn+1=(1+2k)an+(2+k)bnである。この右辺がλ(an+kbn)の形になるとすると、anの係数を比べてλ=1+2kが、bnの係数を比べてλk=2+kが要る。前者を後者へ代入すると(1+2k)k=2+kとなり、整理すると2k2=2、すなわちk=1またはk=−1である。
k=1のときan+1+bn+1=3(an+bn)であり、a1+b1=1であるからan+bn=3n−1である。k=−1のときan+1−bn+1=−(an−bn)であり、a1−b1=1であるからan−bn=(−1)n−1である。二つの式を辺々足し、また辺々引いて
an=23n−1+(−1)n−1,bn=23n−1−(−1)n−1を得る。n=1のときa1=1、b1=0であり、n=2のときa2=1、b2=2であって、漸化式から求めた値と一致する。
4 隣接三項間漸化式
an+2がan+1とanの二つから定まる漸化式を扱います。この形では、数列を一つに定めるために、初項a1と第2項a2の二つが必要です。方針は、数列{an+1−αan}が等比数列になるような定数αを探すことです。
定理 4.1 (隣接三項間漸化式の帰着). 数列{an}がan+2=pan+1+qan(n≥1)を満たすとする。二次方程式x2=px+qの二つの解をα、β(重解のときはα=β)とすると、
an+2−αan+1=β(an+1−αan)(n≥1)が成り立つ。すなわち、数列{an+1−αan}は公比βの等比数列である。
証明. 解と係数の関係よりα+β=p、αβ=−qです。これを用いると
an+2−αan+1=(p−α)an+1+qan=βan+1−αβan=β(an+1−αan)となります。▨
x2=px+qを、この漸化式の特性方程式といいます。定理 4.1はαとβを入れ替えても成り立つので、特性方程式が異なる二つの解を持つときは、等比数列を二つ取り出すことができます。
例 4.2 (特性方程式が異なる二つの解を持つ場合).a1=1、a2=4とし、an+2=5an+1−6an(n≥1)とする。特性方程式はx2=5x−6であり、その解はx=2とx=3である。
α=2、β=3として定理 4.1を用いると、{an+1−2an}は初項a2−2a1=2、公比3の等比数列であるから
an+1−2an=2⋅3n−1である。α=3、β=2として用いると、{an+1−3an}は初項a2−3a1=1、公比2の等比数列であるから
an+1−3an=2n−1である。二つの式を辺々引くとan=2⋅3n−1−2n−1を得る。n=1のとき2−1=1=a1、n=2のとき6−2=4=a2である。
特性方程式が重解を持つときは、αとβが一致するので、取り出すことのできる等比数列は一つだけになります。この場合は、その一つの式を等差型へ帰着させます。
例 4.3 (特性方程式が重解を持つ場合).a1=1、a2=4とし、an+2=4an+1−4an(n≥1)とする。特性方程式x2=4x−4はx=2を重解に持つので、定理 4.1から得られる式は
an+1−2an=2n−1(a2−2a1)=2nの一つだけである。両辺を2n+1 (=0)で割ると
2n+1an+1−2nan=21となる。bn=2nanとおくとbn+1=bn+21であり、{bn}は公差21の等差数列である。b1=21よりbn=2nであるから、an=n⋅2n−1を得る。n=1のとき1=a1、n=2のとき4=a2であり、漸化式から求めたa3=4⋅4−4⋅1=12は3⋅22=12と一致する。