§B1.5漸化式の解法(発展形)

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本単元はすでに、漸化式の基本形として、等差型an+1=an+da_{n+1} = a_n + d、等比型an+1=r ana_{n+1} = r\,a_n、およびan+1=p an+qa_{n+1} = p\,a_n + qの三つを扱いました。本記事は、そのままの形ではこの三つのどれにも当てはまらない漸化式を扱います。

方針はいずれの型でも共通しています。もとの数列から新しい数列を作り、その新しい数列が等差型または等比型になるようにします。新しい数列を作るときには、割り算や逆数を取る操作を用いるので、その操作が許されるための条件と、変形が成り立つ添字の範囲を、そのつど確かめます。

1 an+1=p an+q na_{n+1} = p\,a_n + q^{\,n}の型

右辺にnnを指数に持つ項があるため、an+1=p an+qa_{n+1} = p\,a_n + qの型とは異なります。両辺をq n+1q^{\,n+1}で割ると、右辺のq nq^{\,n}がnnによらない定数になります。

定理 1.1 (指数を含む一次漸化式の帰着).q≠0q \ne 0とし、数列{an}\{a_n\}がan+1=p an+q na_{n+1} = p\,a_n + q^{\,n}(n≥1n \ge 1)を満たすとする。bn=anq nb_n = \dfrac{a_n}{q^{\,n}}とおくと、

bn+1=pq bn+1q(n≥1)b_{n+1} = \frac{p}{q}\,b_n + \frac{1}{q} \qquad (n \ge 1)

が成り立つ。

証明.q≠0q \ne 0よりq n+1≠0q^{\,n+1} \ne 0であるから、漸化式の両辺をq n+1q^{\,n+1}で割ることができます。

an+1q n+1=pq⋅anq n+q nq n+1\frac{a_{n+1}}{q^{\,n+1}} = \frac{p}{q}\cdot\frac{a_n}{q^{\,n}} + \frac{q^{\,n}}{q^{\,n+1}}

右辺の第22項は1q\dfrac{1}{q}です。bn=anq nb_n = \dfrac{a_n}{q^{\,n}}と置くと、求める式になります。この変形は、すべてのn≥1n \ge 1について行うことができます。▨

得られた{bn}\{b_n\}の漸化式はan+1=p an+qa_{n+1} = p\,a_n + qと同じ形なので、基本形の方法で解きます。p≠qp \ne qのときはpq≠1\dfrac{p}{q} \ne 1であるから、α=pqα+1q\alpha = \dfrac{p}{q}\alpha + \dfrac1qを満たすα\alphaを用いて{bn−α}\{b_n - \alpha\}を等比数列にします。p=qp = qのときはpq=1\dfrac{p}{q} = 1であり、bn+1=bn+1qb_{n+1} = b_n + \dfrac1qという等差型になるので、このα\alphaを用いる方法は使わずに等差型として解きます。

例 1.2 (a1=1a_1 = 1、an+1=2an+3 na_{n+1} = 2a_n + 3^{\,n}).q=3≠0q = 3 \ne 0である。bn=an3 nb_n = \dfrac{a_n}{3^{\,n}}とおくと、定理 1.1よりbn+1=23bn+13b_{n+1} = \dfrac23 b_n + \dfrac13(n≥1n \ge 1)である。α=23α+13\alpha = \dfrac23\alpha + \dfrac13の解はα=1\alpha = 1であるから

bn+1−1=23 (bn−1)b_{n+1} - 1 = \frac23\,(b_n - 1)

となり、{bn−1}\{b_n - 1\}は公比23\dfrac23の等比数列である。b1=a13=13b_1 = \dfrac{a_1}{3} = \dfrac13よりb1−1=−23b_1 - 1 = -\dfrac23であるから

bn−1=−23(23) n−1=−(23) nb_n - 1 = -\frac23\left(\frac23\right)^{\,n-1} = -\left(\frac23\right)^{\,n}

である。よってan=3 n bn=3 n−2 na_n = 3^{\,n}\,b_n = 3^{\,n} - 2^{\,n}である。n=1n = 1のとき3−2=1=a13 - 2 = 1 = a_1であり、漸化式から求めたa2=2⋅1+3=5a_2 = 2\cdot 1 + 3 = 5は32−22=53^2 - 2^2 = 5と一致する。

2 an+1=anp an+qa_{n+1} = \dfrac{a_n}{p\,a_n + q}の型

分母にana_nがあるため、そのままではan+1a_{n+1}がana_nの一次式になりません。両辺の逆数を取ると、右辺はana_nの逆数についての一次式になります。逆数を取るためには、すべてのnnについてan≠0a_n \ne 0でなければなりません。

定理 2.1 (分数型の帰着). 数列{an}\{a_n\}がa1≠0a_1 \ne 0とan+1=anp an+qa_{n+1} = \dfrac{a_n}{p\,a_n + q}(n≥1n \ge 1)を満たし、すべてのn≥1n \ge 1についてp an+q≠0p\,a_n + q \ne 0であるとする。このとき、すべてのn≥1n \ge 1についてan≠0a_n \ne 0であり、bn=1anb_n = \dfrac{1}{a_n}とおくと

bn+1=q bn+p(n≥1)b_{n+1} = q\,b_n + p \qquad (n \ge 1)

が成り立つ。

証明. はじめに、すべてのn≥1n \ge 1についてan≠0a_n \ne 0であることを示します。a1≠0a_1 \ne 0です。an≠0a_n \ne 0を仮定すると、仮定p an+q≠0p\,a_n + q \ne 0と合わせてan+1=anp an+q≠0a_{n+1} = \dfrac{a_n}{p\,a_n + q} \ne 0が従います。よって、すべてのn≥1n \ge 1についてan≠0a_n \ne 0です。

したがってbn=1anb_n = \dfrac{1}{a_n}を定めることができ、漸化式の両辺の逆数を取ると

bn+1=p an+qan=p+q⋅1an=q bn+pb_{n+1} = \frac{p\,a_n + q}{a_n} = p + q\cdot\frac{1}{a_n} = q\,b_n + p

となります。▨

注意 2.2 (条件を確かめる順序).bn=1anb_n = \dfrac1{a_n}と置く前に、すべてのnnについてan≠0a_n \ne 0であることを確かめる。a1≠0a_1 \ne 0だけでは足りず、漸化式がan≠0a_n \ne 0を次の項へ引き継ぐことを示す必要がある。一般項を求めたあとでan≠0a_n \ne 0を確かめる形にすると、置き換えが許されるかどうかが定まらないまま計算を進めることになる。

例 2.3 (a1=1a_1 = 1、an+1=an2an+3a_{n+1} = \dfrac{a_n}{2a_n + 3}).a1=1>0a_1 = 1 > 0である。an>0a_n > 0ならば2an+3>02a_n + 3 > 0でありan+1>0a_{n+1} > 0であるから、すべてのn≥1n \ge 1についてan>0a_n > 0である。とくにan≠0a_n \ne 0かつ2an+3≠02a_n + 3 \ne 0である。

bn=1anb_n = \dfrac{1}{a_n}とおくと、定理 2.1よりbn+1=3bn+2b_{n+1} = 3b_n + 2である。α=3α+2\alpha = 3\alpha + 2の解はα=−1\alpha = -1であるからbn+1+1=3 (bn+1)b_{n+1} + 1 = 3\,(b_n + 1)となり、b1+1=2b_1 + 1 = 2よりbn+1=2⋅3 n−1b_n + 1 = 2\cdot 3^{\,n-1}である。よって

an=12⋅3 n−1−1a_n = \frac{1}{2\cdot 3^{\,n-1} - 1}

である。n=1n = 1のとき12−1=1=a1\dfrac{1}{2 - 1} = 1 = a_1であり、漸化式から求めたa2=12+3=15a_2 = \dfrac{1}{2 + 3} = \dfrac15は12⋅3−1=15\dfrac{1}{2\cdot 3 - 1} = \dfrac15と一致する。

3 連立漸化式

二つの数列{an}\{a_n\}と{bn}\{b_n\}が、互いの項を用いて同時に定まる場合を扱います。方針は、二つの数列を組み合わせたan+k bna_n + k\,b_nのうち、等比数列になるものを与える定数kkを探すことです。

例 3.1 (二つの数列を同時に定める漸化式).a1=1a_1 = 1、b1=0b_1 = 0とし、n≥1n \ge 1について

an+1=an+2bn,bn+1=2an+bna_{n+1} = a_n + 2b_n, \qquad b_{n+1} = 2a_n + b_n

が成り立つとする。定数kkに対して

an+1+k bn+1=(1+2k) an+(2+k) bna_{n+1} + k\,b_{n+1} = (1 + 2k)\,a_n + (2 + k)\,b_n

である。この右辺がλ (an+k bn)\lambda\,(a_n + k\,b_n)の形になるとすると、ana_nの係数を比べてλ=1+2k\lambda = 1 + 2kが、bnb_nの係数を比べてλk=2+k\lambda k = 2 + kが要る。前者を後者へ代入すると(1+2k) k=2+k(1 + 2k)\,k = 2 + kとなり、整理すると2k2=22k^2 = 2、すなわちk=1k = 1またはk=−1k = -1である。

k=1k = 1のときan+1+bn+1=3 (an+bn)a_{n+1} + b_{n+1} = 3\,(a_n + b_n)であり、a1+b1=1a_1 + b_1 = 1であるからan+bn=3 n−1a_n + b_n = 3^{\,n-1}である。k=−1k = -1のときan+1−bn+1=− (an−bn)a_{n+1} - b_{n+1} = -\,(a_n - b_n)であり、a1−b1=1a_1 - b_1 = 1であるからan−bn=(−1) n−1a_n - b_n = (-1)^{\,n-1}である。二つの式を辺々足し、また辺々引いて

an=3 n−1+(−1) n−12,bn=3 n−1−(−1) n−12a_n = \frac{3^{\,n-1} + (-1)^{\,n-1}}{2}, \qquad b_n = \frac{3^{\,n-1} - (-1)^{\,n-1}}{2}

を得る。n=1n = 1のときa1=1a_1 = 1、b1=0b_1 = 0であり、n=2n = 2のときa2=1a_2 = 1、b2=2b_2 = 2であって、漸化式から求めた値と一致する。

4 隣接三項間漸化式

an+2a_{n+2}がan+1a_{n+1}とana_nの二つから定まる漸化式を扱います。この形では、数列を一つに定めるために、初項a1a_1と第22項a2a_2の二つが必要です。方針は、数列{an+1−α an}\{a_{n+1} - \alpha\,a_n\}が等比数列になるような定数α\alphaを探すことです。

定理 4.1 (隣接三項間漸化式の帰着). 数列{an}\{a_n\}がan+2=p an+1+q ana_{n+2} = p\,a_{n+1} + q\,a_n(n≥1n \ge 1)を満たすとする。二次方程式x2=px+qx^2 = px + qの二つの解をα\alpha、β\beta(重解のときはα=β\alpha = \beta)とすると、

an+2−α an+1=β (an+1−α an)(n≥1)a_{n+2} - \alpha\,a_{n+1} = \beta\,(a_{n+1} - \alpha\,a_n) \qquad (n \ge 1)

が成り立つ。すなわち、数列{an+1−α an}\{a_{n+1} - \alpha\,a_n\}は公比β\betaの等比数列である。

証明. 解と係数の関係よりα+β=p\alpha + \beta = p、αβ=−q\alpha\beta = -qです。これを用いると

an+2−α an+1=(p−α) an+1+q an=β an+1−αβ an=β (an+1−α an)a_{n+2} - \alpha\,a_{n+1} = (p - \alpha)\,a_{n+1} + q\,a_n = \beta\,a_{n+1} - \alpha\beta\,a_n = \beta\,(a_{n+1} - \alpha\,a_n)

となります。▨

x2=px+qx^2 = px + qを、この漸化式の特性方程式といいます。定理 4.1はα\alphaとβ\betaを入れ替えても成り立つので、特性方程式が異なる二つの解を持つときは、等比数列を二つ取り出すことができます。

例 4.2 (特性方程式が異なる二つの解を持つ場合).a1=1a_1 = 1、a2=4a_2 = 4とし、an+2=5an+1−6ana_{n+2} = 5a_{n+1} - 6a_n(n≥1n \ge 1)とする。特性方程式はx2=5x−6x^2 = 5x - 6であり、その解はx=2x = 2とx=3x = 3である。

α=2\alpha = 2、β=3\beta = 3として定理 4.1を用いると、{an+1−2an}\{a_{n+1} - 2a_n\}は初項a2−2a1=2a_2 - 2a_1 = 2、公比33の等比数列であるから

an+1−2an=2⋅3 n−1a_{n+1} - 2a_n = 2\cdot 3^{\,n-1}

である。α=3\alpha = 3、β=2\beta = 2として用いると、{an+1−3an}\{a_{n+1} - 3a_n\}は初項a2−3a1=1a_2 - 3a_1 = 1、公比22の等比数列であるから

an+1−3an=2 n−1a_{n+1} - 3a_n = 2^{\,n-1}

である。二つの式を辺々引くとan=2⋅3 n−1−2 n−1a_n = 2\cdot 3^{\,n-1} - 2^{\,n-1}を得る。n=1n = 1のとき2−1=1=a12 - 1 = 1 = a_1、n=2n = 2のとき6−2=4=a26 - 2 = 4 = a_2である。

特性方程式が重解を持つときは、α\alphaとβ\betaが一致するので、取り出すことのできる等比数列は一つだけになります。この場合は、その一つの式を等差型へ帰着させます。

例 4.3 (特性方程式が重解を持つ場合).a1=1a_1 = 1、a2=4a_2 = 4とし、an+2=4an+1−4ana_{n+2} = 4a_{n+1} - 4a_n(n≥1n \ge 1)とする。特性方程式x2=4x−4x^2 = 4x - 4はx=2x = 2を重解に持つので、定理 4.1から得られる式は

an+1−2an=2 n−1(a2−2a1)=2 na_{n+1} - 2a_n = 2^{\,n-1}(a_2 - 2a_1) = 2^{\,n}

の一つだけである。両辺を2 n+1 (≠0)2^{\,n+1}\ (\ne 0)で割ると

an+12 n+1−an2 n=12\frac{a_{n+1}}{2^{\,n+1}} - \frac{a_n}{2^{\,n}} = \frac12

となる。bn=an2 nb_n = \dfrac{a_n}{2^{\,n}}とおくとbn+1=bn+12b_{n+1} = b_n + \dfrac12であり、{bn}\{b_n\}は公差12\dfrac12の等差数列である。b1=12b_1 = \dfrac12よりbn=n2b_n = \dfrac{n}{2}であるから、an=n⋅2 n−1a_n = n\cdot 2^{\,n-1}を得る。n=1n = 1のとき1=a11 = a_1、n=2n = 2のとき4=a24 = a_2であり、漸化式から求めたa3=4⋅4−4⋅1=12a_3 = 4\cdot 4 - 4\cdot 1 = 12は3⋅22=123\cdot 2^2 = 12と一致する。

注意 4.4 (重解で割るときに確かめること). 重解の場合にα n+1\alpha^{\,n+1}で割る操作は、α≠0\alpha \ne 0のときにのみ行うことができる。特性方程式x2=px+qx^2 = px + qが重解を持つのはp2+4q=0p^2 + 4q = 0のときであり、そのときα=p2\alpha = \dfrac{p}{2}である。したがってα=0\alpha = 0となるのはp=q=0p = q = 0の場合に限り、そのとき漸化式はan+2=0a_{n+2} = 0(n≥1n \ge 1)である。

注意 4.5 (一般項を帰納法で確かめるときは出発点を二つ取る). 隣接三項間漸化式から求めた一般項が正しいことを数学的帰納法で確かめるときは、出発点をn=1n = 1とn=2n = 2の二つ取る。an+2a_{n+2}はan+1a_{n+1}とana_nの二つから定まるので、n=kn = kのときの主張だけを仮定してもn=k+1n = k+1のときの主張を導くことはできず、n=kn = kとn=k+1n = k+1の二つを仮定してn=k+2n = k+2のときを導く形になるからである。この形の帰納段階を働かせるには、連続する二つの場合が最初から成り立っていなければならない。

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