1 漸化式と初期条件
初期条件が無ければ、一つの漸化式から複数の数列が定まります。
定義 1.1 (漸化式と初期条件). 数列の項どうしの関係を表す式を漸化式といいます。正の整数nについてan+1をanから定める漸化式と初項a1が与えられると、a2,a3,…が順に一意に定まります。
例 1.2 (初期条件の役割).an+1=an+2だけでは、1,3,5,…も4,6,8,…も条件を満たします。a1=1を加えると、前者だけが定まります。
漸化式を解くとは、漸化式と初期条件を満たす一般項を求めることです。求めた式は、初期条件と漸化式の両方へ代入して確認します。
2 等差型
一定の差を加える漸化式は、等差数列を定めます。
証明.an+1−an=dなので、数列は初項A、公差dの等差数列です。§B1.1 公式 1.2から一般項を得ます。▨
例 2.2 (等差型).a1=5、an+1=an−3ならば、
an=5−3(n−1)=8−3nです。an+1=8−3(n+1)=5−3nとan−3=(8−3n)−3=5−3nが一致します。
3 等比型
一定の数を掛ける漸化式は、等比数列を定めます。
例 3.2 (等比型).a1=3、an+1=−2anならば
an=3(−2)n−1です。n=1で初項を与え、−2を掛けると第n+1項の式になります。
4 一次型
an+1=pan+qでは、一定値αを引いて等比型へ移します。ただし、p=1の場合は分けて扱います。
定理 4.1 (一次型の漸化式). 正の整数nについて
an+1=pan+q,a1=Aとします。
- p=1ならば、α=1−pqと置くと
an=α+(A−α)pn−1
です。
- p=1ならば
an=A+(n−1)q
です。
証明.p=1のとき、α=pα+qを満たすα=q/(1−p)が存在します。漸化式からこの等式を引くと
an+1−α=p(an−α)です。したがって{an−α}は初項A−α、公比pの等比数列です。
p=1のときはan+1=an+qであり、初項A、公差qの等差数列です。▨
例 4.2 (p=1の一次型).a1=4、an+1=2an+3を考えます。α=2α+3からα=−3です。
an+1+3=2(an+3)なので、an+3=7⋅2n−1、すなわち
an=7⋅2n−1−3です。右辺を漸化式へ代入すると
2an+3=14⋅2n−1−3=7⋅2n−3=an+1となります。
例 4.3 (p=1の一次型).a1=−2、an+1=an+5では、α=q/(1−p)を用いることができません。この数列は等差数列なので
an=−2+5(n−1)=5n−7です。
5 演習
- a1=2、an+1=an+4で定まる数列の一般項を求めます。
- a1=5、an+1=21anで定まる数列の一般項を求めます。
- a1=1、an+1=3an−4を、一定値を引いて等比型へ帰着させます。
- a1=6、an+1=an−2について、p=1の場合として解いた式と等差型として解いた式が一致することを確認します。
各結果について、n=1の初期条件と、正の整数nにおける漸化式の両方を満たすかを代入によって確認します。