確率変数と分布、標本分布・大数の法則・中心極限定理といった確率論の道具を、データから推論するための言葉に翻訳するところから始める。尤度と十分統計量を経て点推定・信頼区間・仮説検定に進み、尤度比検定とベイズ推測の入口を見たあと、線形回帰・モデル選択・ブートストラップという、実際にデータを扱う場面に近い話題で締めくくる。
前提知識
- 初等的な確率の計算(場合の数と確率統計の応用まで): 確率変数・期待値・分散といった基本的な計算に慣れていることが前提になる。
- 極限の厳密な扱い(ε-論法と基礎解析): 大数の法則や中心極限定理のような極限の主張を、何がどう収束するかまで含めて理解するために要る。
- 行列とベクトルの計算(線形代数 I): 線形回帰やデータ行列の扱いは、行列とベクトルの言葉で書かれる。
学ぶ順序とねらい
| 段階 | 主題 | この段階で新たにできること |
|---|---|---|
| 確率モデルと標本 | 確率変数・分布・期待値・分散、標本分布と大数の法則・中心極限定理の統計的な読み方 | 観測データのばらつきを、確率モデルの言葉で表す |
| 推定と検定 | 尤度と十分統計量、点推定・不偏性・一致性、信頼区間と仮説検定、尤度比検定とベイズ推測の入口 | 母集団についての主張を、誤差の確率つきで述べる |
| 回帰と診断 | 線形回帰と推測、残差診断・交差検証・モデル選択、ブートストラップと再標本化 | モデルを当てはめたあと、その適用範囲と限界を評価する |
この先につながること
- 測度と積分: ここで扱う確率変数や収束は直感的な水準にとどめており、その測度論的な基礎づけを測度と確率が与える。
- AI の数学: 推定・汎化・最小二乗という共通の語彙が、機械学習の理論を読むための土台になる。
この単元で扱わないこと
高度な漸近理論や因果推論は扱わない。前者は推定量の分布を精密に評価する専門的な解析を要し、後者は観測データから因果を取り出すための独自の枠組みを要するため、いずれもこの単元より先の専門的な学習に委ねる。