§A5.13シムソン線

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シムソン線とは、三角形の外接円上の点から3辺へ下ろした垂線の足が作る直線である。

定理 1 (シムソンの定理). 非退化三角形△ABC\triangle ABCの外接円上に、頂点とは異なる点PPを取る。PPから直線BC,CA,ABBC,CA,ABへ下ろした垂線の足をそれぞれD,E,FD,E,Fとすると、D,E,FD,E,Fは一直線上にある。

証明の方針。 複素平面で外接円を単位円に移す。単位円上の2点を結ぶ直線への垂足を公式で書き、3つの垂足の差の比が実数になることを示す。実数比は3点の共線性を意味する。

補題 2 (単位円上の弦への垂足). 単位円上の相異なる点u,vu,vと任意の点ppに対し、ppから直線uvuvへ下ろした垂足の複素座標は

q=p+u+v−uvp‾2q=\frac{p+u+v-uv\overline p}{2}

である。

証明. 単位円上ではu‾=1/u,v‾=1/v\overline u=1/u,\overline v=1/vなので、弦uvuvの直線は

z+uvz‾=u+vz+uv\overline z=u+v

と書ける。右辺のqqを代入するとこの方程式を満たす。またp−q=(p−u−v+uvp‾)/2p-q=(p-u-v+uv\overline p)/2と弦の方向v−uv-uの内積を実部で計算すると

Re⁡((p−q)(v−u)‾)=0\operatorname{Re}\bigl((p-q)\overline{(v-u)}\bigr)=0

となる。したがってpqpqは弦に垂直であり、qqは求める垂足である。▨

証明. 外接円を相似変換して単位円とし、頂点と点PPの複素座標をそれぞれa,b,c,pa,b,c,pとする。すべての絶対値は1である。補題から、BC,CA,ABBC,CA,ABへの垂足d,e,fd,e,fは

d=p+b+c−bcp‾2,e=p+c+a−cap‾2,f=p+a+b−abp‾2.d=\frac{p+b+c-bc\overline p}{2},\quad e=\frac{p+c+a-ca\overline p}{2},\quad f=\frac{p+a+b-ab\overline p}{2}.

よって

e−df−d=(a−b)(1−cp‾)(a−c)(1−bp‾)=(a−b)(p−c)(a−c)(p−b).\frac{e-d}{f-d} =\frac{(a-b)(1-c\overline p)}{(a-c)(1-b\overline p)} =\frac{(a-b)(p-c)}{(a-c)(p-b)}.

最後の値が実数であることを共役を取って確認する。∣a∣=∣b∣=∣c∣=∣p∣=1|a|=|b|=|c|=|p|=1より

(a−b)(p−c)(a−c)(p−b)‾=(1/a−1/b)(1/p−1/c)(1/a−1/c)(1/p−1/b)=(a−b)(p−c)(a−c)(p−b).\overline{\frac{(a-b)(p-c)}{(a-c)(p-b)}} =\frac{(1/a-1/b)(1/p-1/c)}{(1/a-1/c)(1/p-1/b)} =\frac{(a-b)(p-c)}{(a-c)(p-b)}.

したがって(e−d)/(f−d)(e-d)/(f-d)は実数であり、d,e,fd,e,fは一直線上にある。相似変換を戻しても共線性は保たれる。▨

頂点やPPが一致すると垂足の公式の分母や直線の一意性が壊れるため、定理では除外した。極限として扱える配置もあるが、ここでは一般配置に限定する。

1 つまずいたら

  • 垂線の足は辺の線分上とは限らず、辺の延長上に落ちる。定理は3本の直線に対して述べる。
  • 単位円上の点ではu‾=1/u\overline u=1/uが使える。一般の座標で同じ式を突然使わない。
  • 3点の共線性を示すには(e−d)/(f−d)(e-d)/(f-d)が実数であることを使っている。

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