1 この記事で証明すること
この記事では、次を証明します。
- 中点連結定理:三角形の2辺の中点を結ぶ線分は、残りの1辺と平行で長さがちょうど半分になること(定理 2.1)。
- 角の二等分線の定理:三角形で1つの角の二等分線が対辺を分ける比は、その角をはさむ2辺の比に等しいこと(定理 3.1)。
定理 1.1 (平行線と線分の比(主定理)). 非退化三角形△ABCについて、M,Nをそれぞれ辺AB,ACの内部の中点とする。また、Dを∠Aの内角の二等分線と辺BCの内部の交点とする。このとき
DCBD=ACAB.
2 中点連結定理
三角形の2辺の中点を結ぶと、残りの1辺と平行で、長さがちょうど半分の線分ができます。
下の図で頂点Aをドラッグしてください。M,Nを2辺の中点に保つ限り、MNはBCと平行なまま、長さはBCの半分のままです。
図は、M,Nが辺の内部にある非退化な配置だけを表示している。平行・中点・長さの関係を図から予想することはできるが、有限個の表示は定理の証明ではない。
定理 2.1 (中点連結定理).△ABCの辺AB,ACの中点をそれぞれM,Nとすると
MN∥BC,MN=21BC.
証明.M,Nが中点だからABAM=ACAN=21。∠Aは共通なので、§A5.1 定理 3.1の SAS(2辺の比と間の角)により△AMN∼△ABC、相似比は21。
相似な三角形では対応する角が等しいので∠AMN=∠ABC。これは同位角が等しいということだからMN∥BC。また対応する辺の比からMN=21BC。▨
中点連結定理は「相似比21の特別な場合」にすぎません。前項の平行線による辺の比
(§A5.1 定理 2.1) でD,Eを中点にとった、ちょうどその瞬間です。
3 角の二等分線と比
もうひとつ、平行線を自分で作ることで相似に持ち込む例を挙げます。
定理 3.1 (角の二等分線の定理).△ABCは非退化、Dは辺BCの内部点、半直線ADは通常の内角∠BACの二等分線とする。このとき
DCBD=ACAB.
証明.Cを通りADに平行な直線を引き、直線ABのB側延長との交点をEとする(したがってA-B-Eの順)。この平行線を1本作るのが鍵である。
AD∥ECより、相似な三角形△BDAと△BCEからBCBD=BEBA.ここでBC=BD+DC、BE=BA+AEなので、両辺を差の比に直すと
DCBD=1−BA/BEBA/BE=BE−BABA=AEBA.あとはAE=ACを示せばよい。AD∥ECだから、錯角と同位角により∠ACE=∠DAC=∠BAD=∠AEC。△ACEは底角が等しい二等辺三角形なのでAE=AC。代入してDCBD=ACAB。▨