§C2.10デザルグの定理

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二つの三角形について、対応する頂点を結ぶ三本の直線がどう交わるかは頂点の位置についての条件であり、対応する辺を含む三本の直線がどう交わるかは辺の位置についての条件です。デザルグの定理は、この二つの条件を結び付けます。本記事は、対応する頂点を結ぶ三直線が一点を共有するならば対応する辺の交点が一直線上に並ぶことを、平面へ無限遠点を加えた拡張平面(§A5.17 定義 1)の中で扱います。

定義 1 (配景の位置). 平面上の二つの非退化三角形△ABC\triangle ABC、△A′B′C′\triangle A'B'C'と、拡張平面の点OOが次を満たすとする。

  1. A≠A′A\ne A'、B≠B′B\ne B'、C≠C′C\ne C'である。
  2. 三直線AA′AA'、BB′BB'、CC′CC'は互いに相異なり、いずれもOOを通る。
  3. OOは六つの頂点AA、BB、CC、A′A'、B′B'、C′C'のいずれとも異なる。

このとき、△ABC\triangle ABCと△A′B′C′\triangle A'B'C'は点OOから配景の位置 (perspective position) にあるという。

OOが無限遠点である場合、条件 (b)は三直線AA′AA'、BB′BB'、CC′CC'が互いに平行であることを意味します(§A5.17 定理 1.2)。以下の主張と証明は、OOが有限点である場合と無限遠点である場合の両方を含みます。

定理 2 (デザルグの定理). 平面上の非退化三角形△ABC\triangle ABCと△A′B′C′\triangle A'B'C'が拡張平面の点OOから配景の位置にあるとする。このとき、拡張平面の三点

P=AB∩A′B′,Q=BC∩B′C′,R=CA∩C′A′P=AB\cap A'B',\qquad Q=BC\cap B'C',\qquad R=CA\cap C'A'

は定まり、一直線上にある。

同一直線上の三点X,T,YX,T,Yについての有向線分比XT‾/TY‾\overline{XT}/\overline{TY}(§A5.9 定義 2.1)の値は、直線の向きを逆にすると分子と分母がともに−1-1倍されるので、向きの取り方によらずに定まります。TTがXX、YYと異なる有限点であるとき、この値は00とも−1-1とも異なります(§A5.9 定理 2.2)。

補題 3. 非退化三角形△XYZ\triangle XYZと、直線XYXYに平行でZZを通らない直線mmがあり、mmが直線ZXZXと点X1X_1で、直線ZYZYと点Y1Y_1で交わるとする。このとき

ZX1‾X1X‾=ZY1‾Y1Y‾\frac{\overline{ZX_1}}{\overline{X_1X}}=\frac{\overline{ZY_1}}{\overline{Y_1Y}}

が成り立つ。逆に、直線ZXZX上の点X1X_1と直線ZYZY上の点Y1Y_1がいずれも三角形の頂点と異なる有限点であって上の等式を満たすなら、直線X1Y1X_1Y_1は直線XYXYに平行である。

証明.§A5.9 定理 6.1に従い、直線mmを、定数でないアフィン関数φ\varphiの零点集合として表す。mmは直線XYXYに平行だから両者は共有点を持たず、XXとYYはいずれもmmの上にない。アフィン関数の定義により、直線XYXY上の点(1−u)X+uY(1-u)X+uYについてφ((1−u)X+uY)=(1−u)φ(X)+uφ(Y)\varphi((1-u)X+uY)=(1-u)\varphi(X)+u\varphi(Y)が成り立つ。φ(X)≠φ(Y)\varphi(X)\ne\varphi(Y)とすれば、u=φ(X)/(φ(X)−φ(Y))u=\varphi(X)/(\varphi(X)-\varphi(Y))に対応する直線XYXY上の点でφ\varphiの値は00になり、その点がmmに属して共有点が存在することになるから、矛盾する。よってφ(X)=φ(Y)\varphi(X)=\varphi(Y)であり、この値は00でない。また、mmはZZを通らないからφ(Z)≠0\varphi(Z)\ne0である。XX、ZZはmmの上になく直線ZXZXはmmとX1X_1で交わるので、§A5.9 定理 6.1を三点ZZ、XX、X1X_1に適用することができ、YYの側にも同様に適用することができる。したがって

ZX1‾X1X‾=−φ(Z)φ(X)=−φ(Z)φ(Y)=ZY1‾Y1Y‾\frac{\overline{ZX_1}}{\overline{X_1X}}=-\frac{\varphi(Z)}{\varphi(X)}=-\frac{\varphi(Z)}{\varphi(Y)}=\frac{\overline{ZY_1}}{\overline{Y_1Y}}

となり、前半の等式が従う。

後半を示す。X1X_1を通り直線XYXYに平行な直線をm′m'とする。△XYZ\triangle XYZは非退化だから直線ZYZYは直線XYXYに平行でなく、したがってm′m'と直線ZYZYは有限な一点Y2Y_2を共有する。またZ∈m′Z\in m'とすればX1X_1はm′m'と直線ZXZXの共有点としてZZに一致し、X1≠ZX_1\ne Zに反するので、m′m'はZZを通らない。よって前半をm′m'に適用してZX1‾/X1X‾=ZY2‾/Y2Y‾\overline{ZX_1}/\overline{X_1X}=\overline{ZY_2}/\overline{Y_2Y}を得る。仮定の等式と合わせるとZY2‾/Y2Y‾=ZY1‾/Y1Y‾\overline{ZY_2}/\overline{Y_2Y}=\overline{ZY_1}/\overline{Y_1Y}であり、§A5.9 定理 2.2により直線ZYZY上でこの比をもつ点はただ一つだからY2=Y1Y_2=Y_1である。ゆえに直線X1Y1X_1Y_1はm′m'に一致し、直線XYXYに平行である。▨

配景の位置にある二つの三角形では、各頂点に00でない実数が付き、対応する辺の交わり方がその実数の比だけで決まります。

補題 4. 平面上の非退化三角形△ABC\triangle ABCと△A′B′C′\triangle A'B'C'が拡張平面の点OOから配景の位置にあるとする。このとき、00でない実数μA\mu_A、μB\mu_B、μC\mu_Cが定まり、(X,Y)(X,Y)を(A,B)(A,B)、(B,C)(B,C)、(C,A)(C,A)のいずれかとするとき次が成り立つ。

  1. 直線XYXYと直線X′Y′X'Y'は相異なる。
  2. 直線XYXYと直線X′Y′X'Y'が平行であることと、μX=μY\mu_X=\mu_Yであることとは同値である。
  3. 直線XYXYと直線X′Y′X'Y'が有限な点WWで交わるならば、WWはXXともYYとも異なる。
  4. 直線XYXYと直線X′Y′X'Y'が有限な点WWで交わるならば、XW‾WY‾=−μYμX\dfrac{\overline{XW}}{\overline{WY}}=-\dfrac{\mu_Y}{\mu_X}である。

配景の中心が有限点である場合、直線A′B′A'B'は三角形OABOABの三辺を含む三本の直線を横切ります。

配景の中心が無限遠点である場合、対応する頂点を結ぶ三直線は互いに平行になります。

証明. 直線ABABと直線A′B′A'B'は相異なる。実際、両者が一致すればA′A'は直線ABABの上にあり、A≠A′A\ne A'だから直線AA′AA'は直線ABABに一致する。同じ理由で直線BB′BB'も直線ABABに一致し、定義 1 条件 (b)に反する。(B,C)(B,C)と(C,A)(C,A)についても文字を巡回させれば同じ議論が通るから、(1)が従う。拡張平面では相異なる二直線がただ一点を共有する(§A5.17 定理 1.1)ので、直線XYXYと直線X′Y′X'Y'は平行であるか、または有限な一点で交わるかのいずれか一方である。

まずOOが有限点である場合を扱う。各頂点XXについてX′X'は直線OXOX上にあり、定義 1 条件 (c)によりX′≠OX'\ne O、定義 1 条件 (a)によりX′≠XX'\ne Xであるから、§A5.9 定理 2.2により

μX=OX′‾X′X‾\mu_X=\frac{\overline{OX'}}{\overline{X'X}}

は00とも−1-1とも異なる実数である。

OOは直線ABABの上にない。実際、O∈ABO\in ABとすれば直線OAOAと直線OBOBはともに直線ABABに一致し、直線AA′AA'と直線BB′BB'が一致して定義 1 条件 (b)に反する。よって△OAB\triangle OABは非退化であり、直線BCBC、CACAについても同様である。

直線ABABと直線A′B′A'B'が平行であるとする。OOは直線A′B′A'B'の上にない。実際、O∈A′B′O\in A'B'とすれば直線A′B′A'B'は直線OA′=AA′OA'=AA'に一致し、B′B'が直線AA′AA'と直線BB′BB'の共有点となるが、この二直線は相異なりOOを共有するからB′=OB'=Oとなって定義 1 条件 (c)に反する。したがって補題 3を△OAB\triangle OABと直線A′B′A'B'に適用することができ、μA=μB\mu_A=\mu_Bを得る。

逆に直線ABABと直線A′B′A'B'が有限な点PPで交わるとする。P≠AP\ne Aである。実際、P=AP=AとすればAAは直線A′B′A'B'の上にあり、A≠A′A\ne A'だから直線A′B′A'B'は直線AA′AA'に一致し、上と同じ理由でB′=OB'=Oとなって仮定に反する。同様にP≠BP\ne Bであり、(3)が従う。そこで§A5.9 定理 6.2を△OAB\triangle OABと、直線OAOA上の点A′A'、直線OBOB上の点B′B'、直線ABAB上の点PPに適用すると

OA′‾A′A‾⋅AP‾PB‾⋅BB′‾B′O‾=−1\frac{\overline{OA'}}{\overline{A'A}}\cdot\frac{\overline{AP}}{\overline{PB}}\cdot\frac{\overline{BB'}}{\overline{B'O}}=-1

となる。BB′‾/B′O‾=B′B‾/OB′‾=1/μB\overline{BB'}/\overline{B'O}=\overline{B'B}/\overline{OB'}=1/\mu_Bであるから、AP‾/PB‾=−μB/μA\overline{AP}/\overline{PB}=-\mu_B/\mu_Aを得る。これは(4)である。また、この値は§A5.9 定理 2.2により−1-1と異なるのでμA≠μB\mu_A\ne\mu_Bであり、先に示したことと合わせて(2)が従う。(B,C)(B,C)と(C,A)(C,A)についても文字を巡回させれば同じ議論が通る。

次にOOが無限遠点である場合を扱う。このとき三直線ℓA=AA′\ell_A=AA'、ℓB=BB′\ell_B=BB'、ℓC=CC′\ell_C=CC'は互いに平行で相異なる。この三直線に共通の向きを一つ定め、各直線上の有向線分をその向きで測って

a=AA′‾,b=BB′‾,c=CC′‾a=\overline{AA'},\qquad b=\overline{BB'},\qquad c=\overline{CC'}

とおく。向きを逆にするとaa、bb、ccはいずれも−1-1倍されるので、以下に現れる比は向きの選び方によらない。定義 1 条件 (a)によりaa、bb、ccはいずれも00でないから、μX=1/XX′‾\mu_X=1/\overline{XX'}と定めることができる。

ℓA\ell_Aは直線ABABと異なる。実際、ℓA=AB\ell_A=ABとすればB∈ℓAB\in\ell_Aとなるが、B∈ℓBB\in\ell_BでありℓA\ell_AとℓB\ell_Bは相異なる平行線だから共有点を持たない。よってℓA\ell_Aと直線ABABはAAだけを共有し、ℓB\ell_Bと直線ABABはBBだけを共有する。とくにA′∉ABA'\notin ABである(A′∈ABA'\in ABとすればA′∈ℓA∩AB={A}A'\in\ell_A\cap AB=\{A\}となりA≠A′A\ne A'に反する)。またAAとBBは相異なる平行線ℓA\ell_A、ℓB\ell_Bの上にあるから、四点AA、BB、B′B'、A′A'が同一直線上に並ぶことはない。

a=ba=bとする。このときAAからA′A'への移動とBBからB′B'への移動は向きも長さも等しく、四点は同一直線上にないから、四角形ABB′A′ABB'A'は平行四辺形である。その対辺として直線A′B′A'B'は直線ABABに平行であり、両者は(1)により相異なる。逆にa≠ba\ne bとし、ℓB\ell_B上にBB′′‾=a\overline{BB''}=aとなる点B′′B''をとる。同じ理由で直線A′B′′A'B''は直線ABABに平行であり、B′′≠B′B''\ne B'である。もし直線A′B′A'B'も直線ABABに平行なら、A′∉ABA'\notin ABであってA′A'を通り直線ABABに平行な直線は一本しかないので直線A′B′A'B'と直線A′B′′A'B''は一致し、ℓB\ell_Bとの共有点としてB′=B′′B'=B''となって矛盾する。ゆえにa=ba=bであることと直線ABABと直線A′B′A'B'が平行であることとは同値であり、μA=μB\mu_A=\mu_Bはa=ba=bと同値であるから(2)が従う。

a≠ba\ne bとして(4)を示す。直線ABABと直線A′B′A'B'の交点をPPとする。P∉ℓAP\notin\ell_Aである。実際、ℓA\ell_Aは上で見たとおり直線ABABとAAだけを共有するのでP∈ℓAP\in\ell_AはP=AP=Aを意味し、そのとき直線A′B′A'B'は直線AA′=ℓAAA'=\ell_Aに一致してB′∈ℓA∩ℓBB'\in\ell_A\cap\ell_Bとなるが、ℓA\ell_AとℓB\ell_Bは相異なる平行線だから共有点を持たない。同様にP∉ℓBP\notin\ell_Bである。とくにP≠AP\ne AかつP≠BP\ne Bであり、(3)が従う。よって△PAA′\triangle PAA'は非退化であり、ℓB\ell_Bは辺AA′AA'を含む直線に平行でPPを通らず、直線PA=ABPA=ABとBBで、直線PA′=A′B′PA'=A'B'とB′B'で交わる。補題 3により

PB‾BA‾=PB′‾B′A′‾.\frac{\overline{PB}}{\overline{BA}}=\frac{\overline{PB'}}{\overline{B'A'}}.

直線ABABにx(A)=0x(A)=0、x(B)=1x(B)=1となる座標をとってx(P)=qx(P)=qと書き、直線A′B′A'B'にx(A′)=0x(A')=0、x(B′)=1x(B')=1となる座標をとってx(P)=px(P)=pと書くと、この等式はq−1=p−1q-1=p-1、すなわちq=pq=pとなる。

一方、△B′A′B′′\triangle B'A'B''は非退化であり、直線ABABは辺A′B′′A'B''を含む直線に平行でB′B'を通らず(B′∈ABB'\in ABとすればB′B'は直線ABABとℓB\ell_Bの唯一の共有点BBに一致してB≠B′B\ne B'に反する)、直線B′A′=A′B′B'A'=A'B'とPPで、直線B′B′′=ℓBB'B''=\ell_BとBBで交わる。補題 3により

B′P‾PA′‾=B′B‾BB′′‾=−ba.\frac{\overline{B'P}}{\overline{PA'}}=\frac{\overline{B'B}}{\overline{BB''}}=\frac{-b}{a}.

左辺は上の座標で(p−1)/(−p)(p-1)/(-p)に等しいからa(1−p)=−bpa(1-p)=-bpとなりp=a/(a−b)p=a/(a-b)を得る。したがって

AP‾PB‾=q1−q=p1−p=−ab=−μBμA\frac{\overline{AP}}{\overline{PB}}=\frac{q}{1-q}=\frac{p}{1-p}=-\frac{a}{b}=-\frac{\mu_B}{\mu_A}

である。(B,C)(B,C)と(C,A)(C,A)についても文字を巡回させれば同じ議論が通る。▨

証明 (デザルグの定理、メネラウスの定理による).(1)により、対応する辺を含む直線の組はそれぞれ相異なる。拡張平面では相異なる二直線がただ一点を共有する(§A5.17 定理 1.1)から、PP、QQ、RRは拡張平面の点として定まる。また(3)により、PP、QQ、RRのうち有限点であるものは、対応する辺の両端の頂点のいずれとも異なる。以下、同じ補題の実数μA\mu_A、μB\mu_B、μC\mu_Cを用いる。

μA\mu_A、μB\mu_B、μC\mu_Cが互いに異なるとする。(2)により対応する辺を含む直線はどの組も平行でないから、PP、QQ、RRはいずれも有限点である。(4)により

BQ‾QC‾⋅CR‾RA‾⋅AP‾PB‾=(−μCμB)(−μAμC)(−μBμA)=−1\frac{\overline{BQ}}{\overline{QC}}\cdot\frac{\overline{CR}}{\overline{RA}}\cdot\frac{\overline{AP}}{\overline{PB}} =\left(-\frac{\mu_C}{\mu_B}\right)\left(-\frac{\mu_A}{\mu_C}\right)\left(-\frac{\mu_B}{\mu_A}\right)=-1

である。QQは直線BCBC上でBB、CCと異なり、RRは直線CACA上でCC、AAと異なり、PPは直線ABAB上でAA、BBと異なるから、§A5.9 定理 6.3によりPP、QQ、RRは一直線上にある。

μA=μB\mu_A=\mu_BでありμC\mu_Cがこれと異なるとする。(2)により直線ABABと直線A′B′A'B'は平行であり、PPは両者に共通する方向の無限遠点である(§A5.17 定理 1.2)。一方、QQとRRは有限点であり、(4)からBQ‾/QC‾=−μC/μB\overline{BQ}/\overline{QC}=-\mu_C/\mu_Bであり、逆数を取って

CQ‾QB‾=−μBμC,CR‾RA‾=−μAμC\frac{\overline{CQ}}{\overline{QB}}=-\frac{\mu_B}{\mu_C},\qquad \frac{\overline{CR}}{\overline{RA}}=-\frac{\mu_A}{\mu_C}

であって、μA=μB\mu_A=\mu_Bよりこの二つは等しい。QQは直線CBCB上、RRは直線CACA上にあっていずれも三角形の頂点と異なるから、補題 3の後半を△BAC\triangle BACに適用すると、直線QRQRは直線BABAに平行である。直線QRQRは直線ABABと異なる。実際、両者が一致すればQQは直線ABABと直線BCBCの共有点BBに等しく、Q≠BQ\ne Bに反する。よって§A5.17 定理 1.2により直線QRQRと直線ABABは同じ無限遠点、すなわちPPを共有する。ゆえにPP、QQ、RRは直線QRQRの上にある。μB=μC\mu_B=\mu_Cの場合とμC=μA\mu_C=\mu_Aの場合も、文字を巡回させれば同じ議論が通る。

μA=μB=μC\mu_A=\mu_B=\mu_Cとする。(2)により対応する辺を含む直線はどの組も平行であり、PP、QQ、RRはいずれも無限遠点である。無限遠点の全体は一本の直線であるから(§A5.17 定義 1)、PP、QQ、RRは無限遠直線の上にある。以上で三つの場合を尽くした。▨

注意 5.定義 1が除いた配置は、いずれもPP、QQ、RRの一部が定まらないか、上の証明が用いる道具を適用することができないものである。A=A′A=A'ならば直線AA′AA'が定まらない。三直線AA′AA'、BB′BB'、CC′CC'のうち二本が一致すれば、その二本の上にある四つの頂点が一直線上に並び、対応する二辺を含む直線が一致して交点が一点に定まらない。OOがいずれかの頂点に一致する場合、たとえばA′=OA'=Oならば直線A′B′A'B'は直線BB′BB'に一致し、PPはBBになって§A5.9 定理 6.2を適用することができない。三角形の非退化は§A5.9 定理 6.3の適用に要る。

1 空間の二平面による定理

二つの三角形が空間の相異なる二平面の上にある場合には、対応する辺の交点が二平面の交線の上にあることから、同じ結論が得られます。以下では、空間における平面と直線の位置関係について、次の三つの事実を証明せずに用います。一つめは、同一直線上にない三点がただ一つの平面を定めることです。二つめは、平面が一本の直線の相異なる二点を含むならば、その直線全体を含むことです。三つめは、相異なる二平面が交わらないか、または一本の直線で交わることです。本記事および前提となる単元の中に、この三つの委ね先はありません。証明は、参考文献に挙げた Coxeter, Projective Geometry へ委ねます。

定理 1.1. 空間の相異なる二平面Π\Pi、Π′\Pi'の上に、それぞれ非退化三角形△ABC\triangle ABC、△A′B′C′\triangle A'B'C'があり、A≠A′A\ne A'、B≠B′B\ne B'、C≠C′C\ne C'であって、三直線AA′AA'、BB′BB'、CC′CC'が互いに相異なり、いずれも一点OOを通り、OOが六つの頂点AA、BB、CC、A′A'、B′B'、C′C'のいずれとも異なるとする。このとき、直線ABABと直線A′B′A'B'は一つの平面の上にあり、平行でなければ一点を共有する。BCBCとB′C′B'C'、CACAとC′A′C'A'についても同じことが成り立つ。三つの組がいずれも共有点を持つとき、その共有点を順にPP、QQ、RRとすると、PP、QQ、RRはΠ\PiとΠ′\Pi'の交線の上にあり、したがって一直線上にある。

証明. 三点OO、AA、BBは同一直線上にない。実際、同一直線上にあるとすれば、OOはAAともBBとも異なるから、直線OAOAと直線OBOBはともにその直線に一致する。A′A'はOOを通る直線AA′AA'の上にありO≠AO\ne Aだから直線AA′AA'は直線OAOAに等しく、同じ理由で直線BB′BB'は直線OBOBに等しいので、直線AA′AA'と直線BB′BB'が一致して、三直線が互いに相異なるという仮定に反する。

そこでOO、AA、BBが定める平面をΣ\Sigmaとする。Σ\SigmaはOOとAAを含むから直線OA=AA′OA=AA'を含み、A′∈ΣA'\in\Sigmaである。同じ理由でB′∈ΣB'\in\Sigmaである。Σ\SigmaはAAとBBを含むから直線ABABを含み、A′A'とB′B'を含むから直線A′B′A'B'を含む。したがって直線ABABと直線A′B′A'B'はともに平面Σ\Sigmaの上にあり、平行でなければ一点を共有する。BCBCとB′C′B'C'、CACAとC′A′C'A'についても文字を巡回させれば同じ議論が通る。

三つの組がいずれも共有点を持つとし、その共有点をPP、QQ、RRとする。AAとBBはΠ\Piの上にあるから直線ABABはΠ\Piに含まれ、P∈ΠP\in\Piである。A′A'とB′B'はΠ′\Pi'の上にあるから直線A′B′A'B'はΠ′\Pi'に含まれ、P∈Π′P\in\Pi'である。文字を巡回させて同じ議論を適用すると、QQとRRもΠ\PiとΠ′\Pi'の両方に属する。Π\PiとΠ′\Pi'は相異なり、いま共有点を持つから、共通部分は一本の直線である。PP、QQ、RRはこの直線の上にある。▨

注意 1.2.定理 1.1は、二つの三角形が空間の相異なる二平面の上にある場合の主張である。二つの三角形が同一の平面の上にある定理 2をこの主張から導くには、与えられた平面上の配置が空間の配置の一点からの射影による像となるように、空間の配置を作らなければならない。本記事はその構成を与えていない。定理 2は、上のメネラウスの定理による証明によって示している。

2 逆と双対

定理 2.1 (デザルグの定理の逆). 平面上の非退化三角形△ABC\triangle ABCと△A′B′C′\triangle A'B'C'について、A≠A′A\ne A'、B≠B′B\ne B'、C≠C′C\ne C'であり、直線の組ABABとA′B′A'B'、BCBCとB′C′B'C'、CACAとC′A′C'A'がそれぞれ相異なるとする。交点P=AB∩A′B′P=AB\cap A'B'、Q=BC∩B′C′Q=BC\cap B'C'、R=CA∩C′A′R=CA\cap C'A'がいずれも有限点であって一本の有限直線ℓ\ellの上にあり、ℓ\ellが六つの頂点のいずれも通らないとする。このとき、三直線AA′AA'、BB′BB'、CC′CC'は拡張平面の一点を共有する。

証明. 三点AA、A′A'、RRは同一直線上にない。実際、R∈ℓR\in\ellかつA∉ℓA\notin\ellよりR≠AR\ne Aであるから、三点が同一直線上にあれば直線ARARは直線CACAに一致し、A′A'を通る。またRRとA′A'はともに直線C′A′C'A'の上にあり、A′∉ℓA'\notin\ellよりR≠A′R\ne A'だから、直線C′A′C'A'は直線A′RA'Rすなわち直線CACAに一致する。これは仮定に反する。文字を入れ替えて同じ議論を適用すると、三点BB、B′B'、QQも同一直線上にない。

対応する頂点は相異なる。A≠BA\ne BとA′≠B′A'\ne B'は三角形の非退化から従う。R=QR=Qとすれば、この点は直線CACAと直線BCBCの共有点であり、△ABC\triangle ABCが非退化だからCCに等しく、C∉ℓC\notin\ellに反する。よってR≠QR\ne Qである。

三直線ABAB、A′B′A'B'、RQRQは互いに相異なり、いずれもPPを通る。直線ABABと直線A′B′A'B'はPPで交わり、直線RQRQはℓ\ellであってPPを通る。AB≠A′B′AB\ne A'B'は仮定であり、AB=ℓAB=\ellとすればA∈ℓA\in\ellとなって仮定に反し、A′B′=ℓA'B'=\ellも同様である。

PPは六つの頂点AA、A′A'、RR、BB、B′B'、QQのいずれとも異なる。AA、A′A'、BB、B′B'はℓ\ellの上になくPPはℓ\ellの上にある。P=RP=Rとすれば、この点は直線ABABと直線CACAの共有点であり、△ABC\triangle ABCが非退化だからAAに等しく、A∉ℓA\notin\ellに反する。P≠QP\ne Qも同様である。

したがって定義 1の条件がすべて満たされ、定理 2を△AA′R\triangle AA'Rと△BB′Q\triangle BB'Qに適用することができる。直線A′RA'RはR≠A′R\ne A'とR,A′∈C′A′R,A'\in C'A'から直線C′A′C'A'に一致し、直線B′QB'Qは同じ理由で直線B′C′B'C'に一致するから、この二直線の共有点はC′C'である。同様に直線RARAは直線CACA、直線QBQBは直線BCBCであり、共有点はCCである。また直線AA′AA'と直線BB′BB'は相異なる。実際、一致すればAA、A′A'、BB、B′B'が一直線上に並び、直線ABABと直線A′B′A'B'が一致して仮定に反する。そこで両者の共有点をXXとすると、定理 2によりXX、C′C'、CCは一直線上にある。C≠C′C\ne C'だから、この直線は直線CC′CC'である。ゆえにXXは三直線AA′AA'、BB′BB'、CC′CC'の共有点である。▨

注意 2.2.定理 2は、対応する頂点を結ぶ三直線が一点を共有するという仮定から、対応する辺の交点が一直線上にあるという結論を導く。この二つの言明について、点と直線を入れ替え、あわせて「二点を通る直線」と「二直線の交点」を入れ替えると、仮定は結論の形になり、結論は仮定の形になる。その意味で、定理 2の双対にあたる主張は定理 2.1である。本記事は双対原理そのものを扱わず、定理 2.1を定理 2の適用によって直接証明した。

参考文献

  1. H. S. M. Coxeter and S. L. Greitzer, Geometry Revisited, New Mathematical Library 19, Mathematical Association of America, 1967.
  2. H. S. M. Coxeter, Projective Geometry, 2nd ed., Springer, New York, 1987.

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