§E1.23共終数と König の定理

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「基数算術」§E1.22 定理 3.2と§E1.22 系 3.3は、無限基数の和と積がどちらも大きいほうの基数に一致することを示す。和と積は無限基数を真に大きくしない。無限基数を真に大きくする演算は冪であり、§E1.22 系 4.1がκ<2κ\kappa<2^{\kappa}を与える。

この不等式は2ℵ02^{\aleph_0}を下から制限するだけである。2ℵ02^{\aleph_0}がℵ1\aleph_1であるか、ℵ17\aleph_{17}であるか、ℵω\aleph_{\omega}であるかを、この不等式は区別しない。基数の大きさを、その基数へ下から到達するために必要な段数によって測ると、別種の制限が現れる。極限順序数λ\lambdaへ下から近づく列の長さのうち最小のものを、λ\lambdaの共終数という。

共終数は無限基数を、自分自身より短い列では到達することができない正則基数と、到達することができる特異基数とに分ける。König の定理は、基数の族の和と積を比較することによって、冪の共終数を下から制限する。

1 共終数

定義 1.1.λ\lambdaを極限順序数とする。部分集合C⊆λC\subseteq\lambdaがλ\lambdaにおいて共終 (cofinal) であるとは、任意のξ<λ\xi<\lambdaに対してξ≤η\xi\leq\etaを満たすη∈C\eta\in Cが存在することをいう。順序数β\betaを定義域とする写像f ⁣:β→λf\colon\beta\to\lambdaの像がλ\lambdaにおいて共終であるとき、ffをλ\lambdaへの共終写像 (cofinal map) という。

補題 1.2.λ\lambdaを極限順序数とする。

  1. λ\lambdaへの共終写像の定義域となる順序数のうちには、最小のものがある。
  2. その最小の順序数はλ\lambda以下である。

証明.λ\lambda上の恒等写像はλ\lambdaへの共終写像であるから、λ\lambdaへの共終写像の定義域となる順序数のうちにはλ\lambda自身がある。したがって、λ+1\lambda+1の元であってλ\lambdaへの共終写像の定義域となるもの全体は空でない順序数の集合であり、最小元δ\deltaをもつ。δ\deltaはλ+1\lambda+1の元であるからδ≤λ\delta\leq\lambdaである。

λ\lambdaへの共終写像の定義域となる順序数β\betaがβ<δ\beta<\deltaを満たすとすると、β<δ≤λ\beta<\delta\leq\lambdaであるからβ\betaはλ+1\lambda+1の元であり、δ\deltaの最小性に反する。したがってδ\deltaはλ\lambdaへの共終写像の定義域となるすべての順序数のうちで最小であり、(1)と(2)がともに成り立つ。▨

定義 1.3.λ\lambdaを極限順序数とする。補題 1.2 (1)が与える最小の順序数、すなわちλ\lambdaへの共終写像の定義域となる順序数のうち最小のものをλ\lambdaの共終数 (cofinality) といい、cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)と書く。

注意 1.4.00と後続順序数については共終数を定めない。後続順序数α+1\alpha+1は最大元α\alphaをもち、一元集合{α}\{\alpha\}がα+1\alpha+1において共終であるから、同じ定め方はつねに11を与えてα+1\alpha+1の大きさを測らない。

命題 1.5.λ\lambdaを極限順序数とする。

  1. cf⁡(λ)≤λ\operatorname{cf}(\lambda)\leq\lambdaである。
  2. ω≤cf⁡(λ)\omega\leq\operatorname{cf}(\lambda)である。
  3. 部分集合C⊆λC\subseteq\lambdaについて、CCがλ\lambdaにおいて共終であることとsup⁡C=λ\sup C=\lambdaであることは同値である。

証明.(1)cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)は補題 1.2 (1)が与える最小の順序数であるから、補題 1.2 (2)によりcf⁡(λ)≤λ\operatorname{cf}(\lambda)\leq\lambdaである。

(2)空でない有限な順序数の集合は最大元をもつ。実際、一元集合についてはその元が最大元であり、n+1n+1個の元をもつ集合DDから一つの元γ\gammaを除いた集合の最大元をγ′\gamma'とすると、γ\gammaとγ′\gamma'の大きいほうがDDの最大元である。

cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)が自然数nnに等しいと仮定し、共終写像f ⁣:n→λf\colon n\to\lambdaの像をCCとおく。CCはnn個以下の元をもつ有限集合である。C=∅C=\emptysetならば、λ\lambdaは極限順序数であるから0<λ0<\lambdaであり、0≤η0\leq\etaを満たすη∈C\eta\in Cは存在しないのでffは共終でない。C≠∅C\neq\emptysetならばCCの最大元μ\muを取る。μ∈C⊆λ\mu\in C\subseteq\lambdaからμ<λ\mu<\lambdaであり、λ\lambdaは極限順序数であるからμ+1<λ\mu+1<\lambdaである。ffが共終であることからμ+1≤η\mu+1\leq\etaを満たすη∈C\eta\in Cがあるが、η≤μ\eta\leq\muに反する。いずれの場合も矛盾するので、cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)は自然数ではなく、ω≤cf⁡(λ)\omega\leq\operatorname{cf}(\lambda)である。

(3)CCは順序数の集合であるから、「順序数」§E1.16 補題 4.4によりsup⁡C\sup CはCCの最小上界である。C⊆λC\subseteq\lambdaからλ\lambdaはCCの上界であり、sup⁡C≤λ\sup C\leq\lambdaである。

CCが共終であるとし、sup⁡C<λ\sup C<\lambdaと仮定する。λ\lambdaは極限順序数であるからsup⁡C+1<λ\sup C+1<\lambdaであり、共終性からsup⁡C+1≤η\sup C+1\leq\etaを満たすη∈C\eta\in Cがある。これはη≤sup⁡C\eta\leq\sup Cに反する。よってsup⁡C=λ\sup C=\lambdaである。

逆にsup⁡C=λ\sup C=\lambdaとし、ξ<λ\xi<\lambdaとする。ξ\xiがCCの上界であるとすると、sup⁡C\sup Cの最小性からλ=sup⁡C≤ξ<λ\lambda=\sup C\leq\xi<\lambdaとなって矛盾する。したがってξ\xiはCCの上界ではなく、ξ<η\xi<\etaを満たすη∈C\eta\in Cがある。とくにξ≤η\xi\leq\etaであるからCCは共終である。▨

命題 1.6.λ\lambdaを極限順序数とすると、cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)は基数である。

証明.δ=cf⁡(λ)\delta=\operatorname{cf}(\lambda)とおき、β<δ\beta<\deltaを満たす順序数β\betaがδ\deltaと等濃であると仮定する。全単射h ⁣:β→δh\colon\beta\to\deltaと共終写像f ⁣:δ→λf\colon\delta\to\lambdaを取ると、hhが全射であることからf∘hf\circ hの像はffの像に等しく、λ\lambdaにおいて共終である。よってf∘hf\circ hはλ\lambdaへの共終写像であり、その定義域はβ\betaであるから、定義 1.3の最小性によりδ≤β\delta\leq\betaとなる。これはβ<δ\beta<\deltaに反する。したがってδ\deltaはそれより小さいどの順序数とも等濃でなく、「基数とアレフ」§E1.21 定義 1.1により基数である。▨

補題 1.7.β\betaを極限順序数とし、(λξ)ξ<β(\lambda_\xi)_{\xi<\beta}を順序数の族であって、ξ<η<β\xi<\eta<\betaを満たすすべてのξ,η\xi,\etaについてλξ<λη\lambda_\xi<\lambda_\etaが成り立つものとする。λ=sup⁡ξ<βλξ\lambda=\sup_{\xi<\beta}\lambda_\xiとおくと、λ\lambdaは極限順序数でありcf⁡(λ)=cf⁡(β)\operatorname{cf}(\lambda)=\operatorname{cf}(\beta)である。

証明.§E1.16 補題 4.4によりλ\lambdaは{λξ∣ξ<β}\{\lambda_\xi\mid\xi<\beta\}の最小上界である。β\betaは極限順序数であるから、各ξ<β\xi<\betaについてξ+1<β\xi+1<\betaであり、族の単調性によりλξ<λξ+1≤λ\lambda_\xi<\lambda_{\xi+1}\leq\lambdaである。とくに各λξ\lambda_\xiはλ\lambdaの元である。

λ\lambdaが極限順序数であることを示す。λ0<λ\lambda_0<\lambdaであるから0<λ0<\lambdaである。λ=γ+1\lambda=\gamma+1を満たす順序数γ\gammaがあると仮定すると、γ<λ\gamma<\lambdaであるからγ\gammaは{λξ∣ξ<β}\{\lambda_\xi\mid\xi<\beta\}の上界ではなく、γ<λξ\gamma<\lambda_\xiを満たすξ<β\xi<\betaがある。このときλ=γ+1≤λξ\lambda=\gamma+1\leq\lambda_\xiとなり、λξ<λ\lambda_\xi<\lambdaに反する。したがってλ\lambdaは00でも後続順序数でもなく、極限順序数である。

cf⁡(λ)≤cf⁡(β)\operatorname{cf}(\lambda)\leq\operatorname{cf}(\beta)を示す。β\betaへの共終写像h ⁣:cf⁡(β)→βh\colon\operatorname{cf}(\beta)\to\betaを取り、i<cf⁡(β)i<\operatorname{cf}(\beta)に対してk(i)=λh(i)k(i)=\lambda_{h(i)}と定めると、kkはcf⁡(β)\operatorname{cf}(\beta)からλ\lambdaへの写像である。ζ<λ\zeta<\lambdaとすると、ζ\zetaは{λξ∣ξ<β}\{\lambda_\xi\mid\xi<\beta\}の上界ではないからζ<λξ\zeta<\lambda_\xiを満たすξ<β\xi<\betaがあり、hhの共終性からξ≤h(i)\xi\leq h(i)を満たすi<cf⁡(β)i<\operatorname{cf}(\beta)がある。族の単調性によりξ≤h(i)\xi\leq h(i)からλξ≤λh(i)\lambda_\xi\leq\lambda_{h(i)}であるからζ≤k(i)\zeta\leq k(i)である。よってkkはλ\lambdaへの共終写像であり、定義 1.3の最小性からcf⁡(λ)≤cf⁡(β)\operatorname{cf}(\lambda)\leq\operatorname{cf}(\beta)である。

cf⁡(β)≤cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\beta)\leq\operatorname{cf}(\lambda)を示す。λ\lambdaへの共終写像f ⁣:cf⁡(λ)→λf\colon\operatorname{cf}(\lambda)\to\lambdaを取る。各i<cf⁡(λ)i<\operatorname{cf}(\lambda)についてf(i)<λf(i)<\lambdaであるから、上と同じ理由でf(i)<λξf(i)<\lambda_\xiを満たすξ<β\xi<\betaがあり、そのうち最小のものをg(i)g(i)とおく。η<β\eta<\betaとすると、λη<λ\lambda_\eta<\lambdaであるから、ffの共終性によりλη≤f(i)\lambda_\eta\leq f(i)を満たすi<cf⁡(λ)i<\operatorname{cf}(\lambda)がある。g(i)<ηg(i)<\etaであると仮定すると、g(i)g(i)の定め方からf(i)<λg(i)f(i)<\lambda_{g(i)}であり、族の単調性によりλg(i)<λη\lambda_{g(i)}<\lambda_\etaであるからf(i)<ληf(i)<\lambda_\etaとなって、λη≤f(i)\lambda_\eta\leq f(i)に反する。よってη≤g(i)\eta\leq g(i)であり、ggはβ\betaへの共終写像である。定義 1.3の最小性からcf⁡(β)≤cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\beta)\leq\operatorname{cf}(\lambda)である。▨

例 1.8.cf⁡(ω)=ω\operatorname{cf}(\omega)=\omegaである。ω\omegaは極限順序数であり、命題 1.5 (1)と命題 1.5 (2)からω≤cf⁡(ω)≤ω\omega\leq\operatorname{cf}(\omega)\leq\omegaとなる。

cf⁡(ω+ω)=ω\operatorname{cf}(\omega+\omega)=\omegaである。「順序数」§E1.16 命題 5.3 (4)により族(ω+n)n<ω(\omega+n)_{n<\omega}は狭義単調であり、§E1.16 命題 6.1によりω+ω\omega+\omegaはその上限であるから、補題 1.7によりcf⁡(ω+ω)=cf⁡(ω)=ω\operatorname{cf}(\omega+\omega)=\operatorname{cf}(\omega)=\omegaである。ω<ω+ω\omega<\omega+\omegaであるから、共終数はλ\lambda自身より真に小さくなる場合がある。

補題 1.9.λ\lambdaを極限順序数とすると、ξ<η<cf⁡(λ)\xi<\eta<\operatorname{cf}(\lambda)を満たすすべてのξ,η\xi,\etaについてg(ξ)<g(η)g(\xi)<g(\eta)が成り立つ共終写像g ⁣:cf⁡(λ)→λg\colon\operatorname{cf}(\lambda)\to\lambdaが存在する。

証明.δ=cf⁡(λ)\delta=\operatorname{cf}(\lambda)とおき、共終写像f ⁣:δ→λf\colon\delta\to\lambdaを一つ取る。定義域がδ\delta未満の順序数である関数uuに対して、uuの値がすべてλ\lambda未満の順序数である場合には

F(u)=max⁡{ f(dom⁡u), sup⁡η∈dom⁡u(u(η)+1) }F(u)=\max\Bigl\{\,f(\operatorname{dom}u),\ \sup_{\eta\in\operatorname{dom}u}\bigl(u(\eta)+1\bigr)\,\Bigr\}

と定め、そうでない場合にはF(u)=0F(u)=0と定める。FFは、定義域がδ\delta未満の順序数である各関数に対して集合をただ一つ定めるので、「超限帰納法と超限再帰」§E1.17 定理 2.1により、定義域がδ\deltaであって、すべてのξ<δ\xi<\deltaについてg(ξ)=F(g∣ξ)g(\xi)=F(g|\xi)を満たす関数ggが存在する。

ξ<δ\xi<\deltaとし、すべてのη<ξ\eta<\xiについてg(η)<λg(\eta)<\lambdaが成り立つと仮定する。このときg∣ξg|\xiの値はすべてλ\lambda未満の順序数であるから、g(ξ)g(\xi)は上の第一の場合の値である。ξ<δ=cf⁡(λ)\xi<\delta=\operatorname{cf}(\lambda)であるから、定義域ξ\xiをもつ写像η↦g(η)\eta\mapsto g(\eta)は共終写像ではなく、その像はλ\lambdaにおいて共終でない。したがって、あるζ<λ\zeta<\lambdaが存在して、すべてのη<ξ\eta<\xiについてζ≤g(η)\zeta\leq g(\eta)が成り立たない。すなわちg(η)<ζg(\eta)<\zeta、言い換えればg(η)+1≤ζg(\eta)+1\leq\zetaである。よって

sup⁡η<ξ(g(η)+1)≤ζ<λ\sup_{\eta<\xi}\bigl(g(\eta)+1\bigr)\leq\zeta<\lambda

であり、f(ξ)<λf(\xi)<\lambdaとあわせてg(ξ)<λg(\xi)<\lambdaを得る。§E1.17 定理 1.1により、すべてのξ<δ\xi<\deltaについてg(ξ)<λg(\xi)<\lambdaである。したがってggはδ\deltaからλ\lambdaへの写像である。

η<ξ<δ\eta<\xi<\deltaとすると、g(ξ)g(\xi)の定め方からg(η)+1≤sup⁡η′<ξ(g(η′)+1)≤g(ξ)g(\eta)+1\leq\sup_{\eta'<\xi}(g(\eta')+1)\leq g(\xi)であり、g(η)<g(ξ)g(\eta)<g(\xi)である。また各ξ<δ\xi<\deltaについてf(ξ)≤g(ξ)f(\xi)\leq g(\xi)であるから、ζ<λ\zeta<\lambdaに対してffの共終性からζ≤f(ξ)\zeta\leq f(\xi)を満たすξ<δ\xi<\deltaを取るとζ≤g(ξ)\zeta\leq g(\xi)である。よってggの像はλ\lambdaにおいて共終である。▨

補題 1.10. 無限基数は極限順序数である。

証明.κ\kappaを無限基数とする。κ\kappaは無限であるからκ≠0\kappa\neq0である。κ=α+1\kappa=\alpha+1を満たす順序数α\alphaがあると仮定すると、α<κ\alpha<\kappaであるから§E1.22 補題 3.1によりα+1<κ\alpha+1<\kappaとなり、κ<κ\kappa<\kappaを得て矛盾する。したがってκ\kappaは00でも後続順序数でもなく、極限順序数である。▨

命題 1.11.λ\lambdaを極限順序数とするとcf⁡(cf⁡(λ))=cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\operatorname{cf}(\lambda))=\operatorname{cf}(\lambda)である。

証明.δ=cf⁡(λ)\delta=\operatorname{cf}(\lambda)とおく。命題 1.6と命題 1.5 (2)によりδ\deltaは無限基数であり、補題 1.10により極限順序数であるから、cf⁡(δ)\operatorname{cf}(\delta)が定まる。β=cf⁡(δ)\beta=\operatorname{cf}(\delta)とおき、δ\deltaへの共終写像h ⁣:β→δh\colon\beta\to\deltaと、補題 1.9が与える狭義単調な共終写像g ⁣:δ→λg\colon\delta\to\lambdaを取る。

ζ<λ\zeta<\lambdaとする。ggの共終性からζ≤g(ξ)\zeta\leq g(\xi)を満たすξ<δ\xi<\deltaがあり、hhの共終性からξ≤h(i)\xi\leq h(i)を満たすi<βi<\betaがある。ggは狭義単調であるからξ≤h(i)\xi\leq h(i)よりg(ξ)≤g(h(i))g(\xi)\leq g(h(i))であり、ζ≤g(h(i))\zeta\leq g(h(i))である。よってg∘hg\circ hはλ\lambdaへの共終写像であり、その定義域はβ\betaであるからδ=cf⁡(λ)≤β\delta=\operatorname{cf}(\lambda)\leq\betaである。一方命題 1.5 (1)をδ\deltaに適用するとβ=cf⁡(δ)≤δ\beta=\operatorname{cf}(\delta)\leq\deltaである。したがってβ=δ\beta=\deltaである。▨

2 正則基数と特異基数

定義 2.1.κ\kappaを無限基数とする。補題 1.10によりκ\kappaは極限順序数であるから、共終数cf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)が定まる。cf⁡(κ)=κ\operatorname{cf}(\kappa)=\kappaであるときκ\kappaを正則基数 (regular cardinal) といい、cf⁡(κ)<κ\operatorname{cf}(\kappa)<\kappaであるときκ\kappaを特異基数 (singular cardinal) という。命題 1.5 (1)によりcf⁡(κ)≤κ\operatorname{cf}(\kappa)\leq\kappaであるから、無限基数はこの二つのうちちょうど一方に属する。

系 2.2.λ\lambdaを極限順序数とすると、cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)は正則基数である。

証明.命題 1.6と命題 1.5 (2)によりcf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)は無限基数であり、命題 1.11によりcf⁡(cf⁡(λ))=cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\operatorname{cf}(\lambda))=\operatorname{cf}(\lambda)であるから、定義 2.1により正則基数である。▨

命題 2.3. 選択公理を仮定する。θ\thetaを無限基数とすると、次の二条件は同値である。

  1. θ\thetaは正則基数である。
  2. ∣A∣<θ\lvert A\rvert<\thetaを満たす任意の部分集合A⊆θA\subseteq\thetaについてsup⁡A<θ\sup A<\thetaである。

証明.補題 1.10によりθ\thetaは極限順序数である。A⊆θA\subseteq\thetaに対してθ\thetaはAAの上界であるから、§E1.16 補題 4.4によりsup⁡A≤θ\sup A\leq\thetaである。

(1)⇒\Rightarrow(2)θ\thetaを正則基数とし、A⊆θA\subseteq\thetaが∣A∣<θ\lvert A\rvert<\thetaを満たすとする。sup⁡A=θ\sup A=\thetaと仮定すると、命題 1.5 (3)によりAAはθ\thetaにおいて共終である。§E1.21 定理 2.2により全単射h ⁣:∣A∣→Ah\colon\lvert A\rvert\to Aを取ると、hhをθ\thetaへの写像とみなしたものの像はAAであるから、hhはθ\thetaへの共終写像である。よって定義 1.3の最小性からcf⁡(θ)≤∣A∣<θ\operatorname{cf}(\theta)\leq\lvert A\rvert<\thetaとなり、θ\thetaが正則であることに反する。したがってsup⁡A<θ\sup A<\thetaである。

(2)⇒\Rightarrow(1)θ\thetaが正則基数でないと仮定するとδ=cf⁡(θ)<θ\delta=\operatorname{cf}(\theta)<\thetaである。共終写像f ⁣:δ→θf\colon\delta\to\thetaの像をAAとおく。§E1.8 補題 5.9を整列集合δ\deltaと写像ffに適用すると、像AAからδ\deltaへの単射が得られるから、§E1.21 命題 2.5により∣A∣≤∣δ∣\lvert A\rvert\leq\lvert\delta\rvertである。∣δ∣≤δ<θ\lvert\delta\rvert\leq\delta<\thetaであるから∣A∣<θ\lvert A\rvert<\thetaである。一方AAはθ\thetaにおいて共終であるから命題 1.5 (3)によりsup⁡A=θ\sup A=\thetaとなり、(2)に反する。▨

定理 2.4. 選択公理を仮定する。θ\thetaを正則な無限基数、δ<θ\delta<\thetaを順序数とする。集合の族(Ai)i<δ(A_i)_{i<\delta}が各i<δi<\deltaについて∣Ai∣<θ\lvert A_i\rvert<\thetaを満たすならば

∣⋃i<δAi∣<θ\Bigl\lvert\bigcup_{i<\delta}A_i\Bigr\rvert<\theta

である。

証明. 集合S={∣Ai∣∣i<δ}S=\{\lvert A_i\rvert\mid i<\delta\}はθ\thetaの部分集合である。§E1.8 補題 5.9を整列集合δ\deltaと写像δ→θ,i↦∣Ai∣\delta\to\theta, i\mapsto\lvert A_i\rvertに適用すると、その像SSからδ\deltaへの単射が得られるから、§E1.21 命題 2.5により∣S∣≤∣δ∣≤δ<θ\lvert S\rvert\leq\lvert\delta\rvert\leq\delta<\thetaである。命題 2.3 (1)⇒\Rightarrow(2)により

μ=sup⁡i<δ∣Ai∣<θ\mu=\sup_{i<\delta}\lvert A_i\rvert<\theta

である。

各i<δi<\deltaについて∣Ai∣≤μ\lvert A_i\rvert\leq\muであり、§E1.21 定理 2.2が与える全単射Ai→∣Ai∣A_i\to\lvert A_i\rvertと包含写像∣Ai∣→μ\lvert A_i\rvert\to\muの合成は単射である。したがってAiA_iからμ\muへの単射の全体は空でなく、選択公理(§E1.20 定理 2.1 (1))により、各ui ⁣:Ai→μu_i\colon A_i\to\muが単射である族(ui)i<δ(u_i)_{i<\delta}が定まる。x∈⋃i<δAix\in\bigcup_{i<\delta}A_iに対してx∈Aix\in A_iを満たす最小のi<δi<\deltaをi(x)i(x)とおき、

v(x)=(i(x),ui(x)(x))v(x)=\bigl(i(x),u_{i(x)}(x)\bigr)

と定める。v(x)=v(y)v(x)=v(y)とするとi(x)=i(y)i(x)=i(y)であり、ui(x)u_{i(x)}が単射であることからx=yx=yである。よってvvは⋃i<δAi\bigcup_{i<\delta}A_iからδ×μ\delta\times\muへの単射であり、§E1.21 命題 2.5と§E1.22 定義 1.1により

∣⋃i<δAi∣≤∣δ×μ∣=∣δ∣⋅∣μ∣\Bigl\lvert\bigcup_{i<\delta}A_i\Bigr\rvert\leq\lvert\delta\times\mu\rvert=\lvert\delta\rvert\cdot\lvert\mu\rvert

である。

∣δ∣≤δ<θ\lvert\delta\rvert\leq\delta<\thetaかつ∣μ∣≤μ<θ\lvert\mu\rvert\leq\mu<\thetaである。∣δ∣\lvert\delta\rvertと∣μ∣\lvert\mu\rvertの一方が00ならば積は00であり、θ\thetaは無限であるから結論を得る。ともに00でなく、ともに有限ならば積も有限であり、同じく結論を得る。ともに00でなく、少なくとも一方が無限ならば、大きいほうをν\nuとおくとν\nuは無限基数であり、§E1.22 系 3.3により∣δ∣⋅∣μ∣=ν\lvert\delta\rvert\cdot\lvert\mu\rvert=\nuである。ν<θ\nu<\thetaであるから結論を得る。▨

補題 2.5. 選択公理を仮定する。λ\lambdaを無限基数とし、IIを∣I∣<cf⁡(λ)\lvert I\rvert<\operatorname{cf}(\lambda)を満たす集合とする。

  1. (Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}を、各i∈Ii\in Iについて∣Ai∣<λ\lvert A_i\rvert<\lambdaを満たす集合の族とすると、∣⋃i∈IAi∣<λ\bigl\lvert\bigcup_{i\in I}A_i\bigr\rvert<\lambdaである。
  2. SSを∣S∣=λ\lvert S\rvert=\lambdaを満たす集合とし、(Si)i∈I(S_i)_{i\in I}をS=⋃i∈ISiS=\bigcup_{i\in I}S_iを満たすSSの部分集合の族とすると、∣Si∣=λ\lvert S_i\rvert=\lambdaを満たすi∈Ii\in Iが存在する。

証明.(1)を示す。λ\lambdaが正則基数である場合、cf⁡(λ)=λ\operatorname{cf}(\lambda)=\lambdaであるから∣I∣<λ\lvert I\rvert<\lambdaであり、§E1.21 定理 2.2 (2)が与える全単射∣I∣→I\lvert I\rvert\to Iによって族を順序数∣I∣\lvert I\rvertで添字づけ直し、定理 2.4を適用すれば結論を得る。以下、λ\lambdaは特異基数であるとする。このときcf⁡(λ)<λ\operatorname{cf}(\lambda)<\lambdaであり、命題 1.5 (2)によりω≤cf⁡(λ)\omega\leq\operatorname{cf}(\lambda)であるからω<λ\omega<\lambdaである。

S={∣Ai∣∣i∈I}S=\{\lvert A_i\rvert\mid i\in I\}とおくと、SSはλ\lambdaの部分集合である。i↦∣Ai∣i\mapsto\lvert A_i\rvertはIIからSSへの全射であるから、§E1.20 系 2.4 (2)により単射S→IS\to Iが存在し、§E1.21 命題 2.5 (1)により∣S∣≤∣I∣<cf⁡(λ)\lvert S\rvert\leq\lvert I\rvert<\operatorname{cf}(\lambda)である。μ=⋃S\mu=\bigcup Sとおくと、§E1.21 命題 1.2 (5)によりμ\muは基数であってSSの最小上界であり、λ\lambdaがSSの上界であるからμ≤λ\mu\leq\lambdaである。μ=λ\mu=\lambdaと仮定すると、命題 1.5 (3)によりSSはλ\lambdaにおいて共終である。§E1.21 定理 2.2 (2)が与える全単射∣S∣→S\lvert S\rvert\to Sをλ\lambdaへの写像とみなしたものは像SSをもつから、定義 1.1により定義域∣S∣\lvert S\rvertをもつλ\lambdaへの共終写像である。よって定義 1.3の最小性によりcf⁡(λ)≤∣S∣\operatorname{cf}(\lambda)\leq\lvert S\rvertとなり、∣S∣<cf⁡(λ)\lvert S\rvert<\operatorname{cf}(\lambda)に反する。ゆえにμ<λ\mu<\lambdaである。

三つの基数∣I∣\lvert I\rvert、μ\mu、ℵ0\aleph_0のうち最大のものをν\nuとする。∣I∣<cf⁡(λ)<λ\lvert I\rvert<\operatorname{cf}(\lambda)<\lambda、μ<λ\mu<\lambda、ℵ0=ω<λ\aleph_0=\omega<\lambdaであるからν<λ\nu<\lambdaであり、ν\nuは無限基数である。∣I∣≤ν\lvert I\rvert\leq\nuであり、各i∈Ii\in Iについて∣Ai∣∈S\lvert A_i\rvert\in Sであるから∣Ai∣≤μ≤ν\lvert A_i\rvert\leq\mu\leq\nuである。ゆえに§E1.22 補題 3.7により∣⋃i∈IAi∣≤ν<λ\bigl\lvert\bigcup_{i\in I}A_i\bigr\rvert\leq\nu<\lambdaである。これで(1)は示された。

(2)を示す。すべてのi∈Ii\in Iについて∣Si∣<λ\lvert S_i\rvert<\lambdaであると仮定すると、(1)により∣S∣<λ\lvert S\rvert<\lambdaとなり、∣S∣=λ\lvert S\rvert=\lambdaに反する。したがって∣Si∣<λ\lvert S_i\rvert<\lambdaでないi∈Ii\in Iが存在する。Si⊆SS_i\subseteq Sであるから§E1.21 命題 2.5 (1)により∣Si∣≤λ\lvert S_i\rvert\leq\lambdaであり、§E1.21 命題 1.2 (1)により∣Si∣=λ\lvert S_i\rvert=\lambdaである。▨

補題 2.6. 選択公理を仮定する。κ\kappaを無限基数とすると、後続基数κ+\kappa^{+}は非可算な正則基数である。

証明.§E1.21 定義 3.4によりκ+=ℏ(κ)\kappa^{+}=\hbar(\kappa)であり、§E1.21 定理 3.1 (2)によりκ+\kappa^{+}は基数、§E1.21 系 3.3によりκ<κ+\kappa<\kappa^{+}である。κ\kappaは無限基数であるから§E1.21 命題 4.2 (4)によりω=ℵ0≤κ<κ+\omega=\aleph_0\leq\kappa<\kappa^{+}であり、ω⊆κ+\omega\subseteq\kappa^{+}であるからκ+\kappa^{+}は無限基数である。ω<κ+\omega<\kappa^{+}であるから§E1.21 命題 1.2 (4)によりκ+\kappa^{+}からω\omegaへの単射は存在せず、κ+\kappa^{+}は非可算である。

A⊆κ+A\subseteq\kappa^{+}を∣A∣<κ+\lvert A\rvert<\kappa^{+}を満たす部分集合とする。∣A∣\lvert A\rvertは基数であり、κ<∣A∣\kappa<\lvert A\rvertであるとすると§E1.21 系 3.3によりκ+≤∣A∣\kappa^{+}\leq\lvert A\rvertとなって矛盾するから、§E1.21 命題 1.2 (1)により∣A∣≤κ\lvert A\rvert\leq\kappaである。各α∈A\alpha\in Aについてα<ℏ(κ)\alpha<\hbar(\kappa)であるから、§E1.21 定理 3.1におけるℏ(κ)\hbar(\kappa)の最小性によりα\alphaからκ\kappaへの単射が存在し、§E1.21 命題 2.5 (1)と§E1.21 定理 2.2 (3)により∣α∣≤∣κ∣=κ\lvert\alpha\rvert\leq\lvert\kappa\rvert=\kappaである。ゆえに§E1.22 補題 3.7をμ=κ\mu=\kappaと族(α)α∈A(\alpha)_{\alpha\in A}に適用すると∣⋃A∣≤κ=∣κ∣\bigl\lvert\bigcup A\bigr\rvert\leq\kappa=\lvert\kappa\rvertであり、§E1.21 命題 2.5 (1)により⋃A\bigcup Aからκ\kappaへの単射が存在する。§E1.16 補題 4.4により⋃A\bigcup Aは順序数であってsup⁡A=⋃A\sup A=\bigcup Aであるから、§E1.21 定理 3.1 (1)によりsup⁡A=⋃A<ℏ(κ)=κ+\sup A=\bigcup A<\hbar(\kappa)=\kappa^{+}である。したがって命題 2.3 (2)⇒\Rightarrow(1)によりκ+\kappa^{+}は正則基数である。▨

命題 2.7.cf⁡(ℵω)=ω\operatorname{cf}(\aleph_\omega)=\omegaであり、ℵω\aleph_\omegaは特異基数である。

証明.§E1.21 定義 4.1によりℵω\aleph_\omegaは族(ℵn)n<ω(\aleph_n)_{n<\omega}の上限であり、「基数とアレフ」§E1.21 命題 4.2 (2)によりm<n<ωm<n<\omegaならばℵm<ℵn\aleph_m<\aleph_nである。ω\omegaは極限順序数であるから、補題 1.7によりℵω\aleph_\omegaは極限順序数であってcf⁡(ℵω)=cf⁡(ω)\operatorname{cf}(\aleph_\omega)=\operatorname{cf}(\omega)であり、例 1.8のcf⁡(ω)=ω\operatorname{cf}(\omega)=\omegaとあわせてcf⁡(ℵω)=ω\operatorname{cf}(\aleph_\omega)=\omegaである。

§E1.21 定義 4.1のℵ0=ω\aleph_0=\omegaと§E1.21 命題 4.2 (2)によりω=ℵ0<ℵω\omega=\aleph_0<\aleph_\omegaであるからcf⁡(ℵω)<ℵω\operatorname{cf}(\aleph_\omega)<\aleph_\omegaである。§E1.21 命題 4.2 (1)によりℵω\aleph_\omegaは無限基数であるから、定義 2.1によりℵω\aleph_\omegaは特異基数である。▨

例 2.8.定理 2.4から正則性の仮定を外すことはできない。θ=ℵω\theta=\aleph_\omegaとし、δ=ω\delta=\omega、An=ℵnA_n=\aleph_n(n<ωn<\omega)と取る。§E1.21 定義 4.1のℵ0=ω\aleph_0=\omegaと§E1.21 命題 4.2 (2)により、各n<ωn<\omegaについてω=ℵ0≤ℵn<ℵω\omega=\aleph_0\leq\aleph_n<\aleph_\omegaであり、各AnA_nは基数であるから∣An∣=ℵn<ℵω\lvert A_n\rvert=\aleph_n<\aleph_\omegaである。すなわちδ<θ\delta<\thetaと∣An∣<θ\lvert A_n\rvert<\thetaがともに成り立つ。しかし§E1.16 補題 4.4により順序数の集合の上限は和集合であり、ℵω\aleph_\omegaは{ℵn∣n<ω}\{\aleph_n\mid n<\omega\}の上限であるから

⋃n<ωAn=⋃n<ωℵn=ℵω\bigcup_{n<\omega}A_n=\bigcup_{n<\omega}\aleph_n=\aleph_\omega

であり、その濃度はℵω=θ\aleph_\omega=\thetaであってθ\theta未満ではない。ℵω\aleph_\omegaが特異基数であることが、この差を生んでいる。

定理 2.9. 可算選択公理を仮定する。

  1. AAを高々可算な集合とし、AAの元がすべて高々可算な順序数であるとすると、sup⁡A\sup Aは高々可算な順序数である。
  2. 可算順序数の族(αn)n<ω(\alpha_n)_{n<\omega}に対して、sup⁡n<ωαn\sup_{n<\omega}\alpha_nは可算順序数である。

証明.(1)§E1.16 補題 4.4によりsup⁡A\sup Aは順序数であり、和集合⋃A\bigcup Aに等しい。A=∅A=\emptysetならばsup⁡A=0\sup A=0であり、有限集合として高々可算である。

A≠∅A\neq\emptysetとする。AAは高々可算であるから、「等濃度と可算性」§E1.18 定理 3.3により全射e ⁣:N≥0→Ae\colon\mathbb N_{\geq0}\to Aが存在する。各e(n)e(n)はAAの元であるから高々可算な集合であり、§E1.20 定理 4.6の可算選択公理のもとで§E1.18 定理 6.3 (2)を族(e(n))n∈N≥0(e(n))_{n\in\mathbb N_{\geq0}}へ適用すると、⋃n∈N≥0e(n)=⋃A\bigcup_{n\in\mathbb N_{\geq0}}e(n)=\bigcup Aは高々可算である。

(2)n↦αnn\mapsto\alpha_nはN≥0\mathbb N_{\geq0}からA={αn∣n<ω}A=\{\alpha_n\mid n<\omega\}への全射であるから、§E1.18 定理 3.3によりAAは高々可算であり、(1)によりsup⁡A\sup Aは高々可算である。さらにα0≤sup⁡A\alpha_0\leq\sup A、すなわちα0⊆sup⁡A\alpha_0\subseteq\sup Aであり、α0\alpha_0は可算であって無限であるからsup⁡A\sup Aも無限である。したがって§E1.18 定理 3.3によりsup⁡A\sup Aは可算である。▨

定理 2.10. 可算選択公理を仮定する。最小の非可算基数ω1\omega_1は正則基数である。すなわちcf⁡(ω1)=ω1\operatorname{cf}(\omega_1)=\omega_1である。

証明.§E1.21 定理 5.1によりω1\omega_1は非可算な基数であり、補題 1.10により極限順序数である。命題 1.5 (1)によりcf⁡(ω1)≤ω1\operatorname{cf}(\omega_1)\leq\omega_1であるから、δ=cf⁡(ω1)<ω1\delta=\operatorname{cf}(\omega_1)<\omega_1と仮定して矛盾を導く。

共終写像f ⁣:δ→ω1f\colon\delta\to\omega_1を取り、その像をCCとおく。δ<ω1\delta<\omega_1であるから§E1.21 定理 5.1によりδ\deltaは高々可算な集合であり、§E1.18 補題 3.5によりCCは高々可算である。CCの元はω1\omega_1未満の順序数であるから、ふたたび§E1.21 定理 5.1により高々可算である。よって定理 2.9 (1)によりsup⁡C\sup Cは高々可算な順序数であり、§E1.21 定理 5.1によりsup⁡C<ω1\sup C<\omega_1である。一方CCはω1\omega_1において共終であるから、命題 1.5 (3)によりsup⁡C=ω1\sup C=\omega_1である。これは矛盾であるからcf⁡(ω1)=ω1\operatorname{cf}(\omega_1)=\omega_1であり、定義 2.1によりω1\omega_1は正則基数である。▨

注意 2.11. 本記事のうち、ここまでに述べた主張は、用いる選択原理によって三つに分かれる。定義 1.1から系 2.2までの共終数と正則性の基本性質、命題 2.7および例 2.8は、選択原理を用いずに証明した。定理 2.9と定理 2.10は、「選択公理と Zorn の補題」§E1.20 定理 4.6の可算選択公理ACω\mathsf{AC}_\omegaだけを用いる。命題 2.3と定理 2.4のように任意の集合の濃度∣A∣\lvert A\rvertを扱う主張は、§E1.21 定理 2.2を通じて選択公理を用いる。

定理 2.10からACω\mathsf{AC}_\omegaを落とすことはできない。Feferman と Lévy は、選択公理を含まない集合論のモデルであって、その中でω1\omega_1が可算個の可算集合の和になるものを構成した。そのモデルではcf⁡(ω1)=ω\operatorname{cf}(\omega_1)=\omegaであり、ω1\omega_1は特異基数である。構成は強制法を用いるので「公理的集合論」へ委ねる。

3 König の定理

補題 3.1. 選択公理を仮定する。IIを集合とし、集合の族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}と(Bi)i∈I(B_i)_{i\in I}が各i∈Ii\in Iについて∣Ai∣=∣Bi∣\lvert A_i\rvert=\lvert B_i\rvertを満たすとすると

∣⋃i∈I(Ai×{i})∣=∣⋃i∈I(Bi×{i})∣,∣∏i∈IAi∣=∣∏i∈IBi∣\Bigl\lvert\bigcup_{i\in I}\bigl(A_i\times\{i\}\bigr)\Bigr\rvert=\Bigl\lvert\bigcup_{i\in I}\bigl(B_i\times\{i\}\bigr)\Bigr\rvert,\qquad \Bigl\lvert\prod_{i\in I}A_i\Bigr\rvert=\Bigl\lvert\prod_{i\in I}B_i\Bigr\rvert

である。

証明. 各i∈Ii\in IについてAiA_iからBiB_iへの全単射の全体は空でないから、選択公理(§E1.20 定理 2.1 (1))により、各bi ⁣:Ai→Bib_i\colon A_i\to B_iが全単射である族(bi)i∈I(b_i)_{i\in I}が定まる。写像

(x,i)⟼(bi(x),i)(x,i)\longmapsto\bigl(b_i(x),i\bigr)

は⋃i∈I(Ai×{i})\bigcup_{i\in I}(A_i\times\{i\})から⋃i∈I(Bi×{i})\bigcup_{i\in I}(B_i\times\{i\})への写像であり、族(bi−1)i∈I(b_i^{-1})_{i\in I}から同じ形で定まる写像がその逆写像であるから、全単射である。また写像

f⟼(i↦bi(f(i)))f\longmapsto\bigl(i\mapsto b_i(f(i))\bigr)

は∏i∈IAi\prod_{i\in I}A_iから∏i∈IBi\prod_{i\in I}B_iへの写像であり、同様に族(bi−1)i∈I(b_i^{-1})_{i\in I}から定まる写像を逆写像にもつので全単射である。▨

定義 3.2. 選択公理を仮定する。IIを集合とし、(κi)i∈I(\kappa_i)_{i\in I}を基数の族とする。各i∈Ii\in Iについて∣Ai∣=κi\lvert A_i\rvert=\kappa_iを満たす集合の族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}を一つ取り、その直和を

∐i∈IAi=⋃i∈I(Ai×{i})\coprod_{i\in I}A_i=\bigcup_{i\in I}\bigl(A_i\times\{i\}\bigr)

と書く。ここで右辺は「集合族」§E1.2 定義 2.1の任意和であり、∏i∈IAi\prod_{i\in I}A_iは同じ記事の§E1.2 定義 5.1の直積である。補題 3.1により、二つの基数

∣∐i∈IAi∣,∣∏i∈IAi∣\Bigl\lvert\coprod_{i\in I}A_i\Bigr\rvert,\qquad \Bigl\lvert\prod_{i\in I}A_i\Bigr\rvert

は族(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}の取り方に依存しない。前者を(κi)i∈I(\kappa_i)_{i\in I}の基数の族の和 (sum of a family of cardinals) といい∑i∈Iκi\sum_{i\in I}\kappa_iと書き、後者を(κi)i∈I(\kappa_i)_{i\in I}の基数の族の積 (product of a family of cardinals) といい∏i∈Iκi\prod_{i\in I}\kappa_iと書く。

基数は順序数であって集合であるから(§E1.21 定義 1.1)、Ai=κiA_i=\kappa_iと取ることで条件を満たす族はつねに存在する。この取り方をした場合、記号∏i∈Iκi\prod_{i\in I}\kappa_iは集合としての直積ではなく、その濃度を表す。

命題 3.3. 選択公理を仮定する。I={0,1}I=\{0,1\}のとき、基数の族(κi)i∈I(\kappa_i)_{i\in I}について∑i∈Iκi\sum_{i\in I}\kappa_iと∏i∈Iκi\prod_{i\in I}\kappa_iは、§E1.22 定義 1.1のκ0+κ1\kappa_0+\kappa_1とκ0κ1\kappa_0\kappa_1に一致する。

証明.∣A0∣=κ0\lvert A_0\rvert=\kappa_0と∣A1∣=κ1\lvert A_1\rvert=\kappa_1を満たす代表A0,A1A_0,A_1を取ると、∐i∈{0,1}Ai=(A0×{0})∪(A1×{1})\coprod_{i\in\{0,1\}}A_i=(A_0\times\{0\})\cup(A_1\times\{1\})であり、これは§E1.22 定義 1.1が和に用いる互いに素な和と同じ集合である。また、∏i∈{0,1}Ai\prod_{i\in\{0,1\}}A_iの元である族ffに対する対応f↦(f(0),f(1))f\mapsto(f(0),f(1))は、∏i∈{0,1}Ai\prod_{i\in\{0,1\}}A_iからA0×A1A_0\times A_1への全単射である。実際、(x,y)∈A0×A1(x,y)\in A_0\times A_1に対して、00で値xxを取り11で値yyを取る{0,1}\{0,1\}上の族を対応させると、これが逆写像になる。したがって§E1.22 定義 1.1の和と積に一致する。▨

補題 3.4. 選択公理を仮定する。IIを集合、κ\kappaを基数とし、すべてのi∈Ii\in Iについてκi=κ\kappa_i=\kappaとすると

∏i∈Iκi=κ∣I∣\prod_{i\in I}\kappa_i=\kappa^{\lvert I\rvert}

である。

証明. 代表としてAi=κA_i=\kappa(i∈Ii\in I)を取る。§E1.22 命題 1.3 (3)により、∏i∈IAi\prod_{i\in I}A_iと写像集合κI\kappa^Iのあいだに全単射が存在し、その濃度は∣κ∣∣I∣\lvert\kappa\rvert^{\lvert I\rvert}である。κ\kappaは基数であるから∣κ∣=κ\lvert\kappa\rvert=\kappaであり、結論を得る。▨

補題 3.5. 選択公理を仮定する。IIを集合とし、(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}を集合の族とすると

∣⋃i∈IAi∣≤∑i∈I∣Ai∣\Bigl\lvert\bigcup_{i\in I}A_i\Bigr\rvert\leq\sum_{i\in I}\lvert A_i\rvert

である。

証明. 各x∈⋃i∈IAix\in\bigcup_{i\in I}A_iに対して、x∈Aix\in A_iを満たすi∈Ii\in Iの全体は空でない。選択公理(§E1.20 定理 2.1 (1))によりこの族の選択関数ccを取ると、x↦(x,c(x))x\mapsto(x,c(x))は⋃i∈IAi\bigcup_{i\in I}A_iから∐i∈IAi\coprod_{i\in I}A_iへの写像であり、第一成分を比べることにより単射である。§E1.21 命題 2.5と定義 3.2により結論を得る。▨

定理 3.6 (König の定理). 選択公理を仮定する。IIを集合とし、(κi)i∈I(\kappa_i)_{i\in I}と(λi)i∈I(\lambda_i)_{i\in I}を基数の族とする。すべてのi∈Ii\in Iについてκi<λi\kappa_i<\lambda_iであるならば

∑i∈Iκi<∏i∈Iλi\sum_{i\in I}\kappa_i<\prod_{i\in I}\lambda_i

である。

証明. 基数は順序数であり(§E1.21 定義 1.1)、§E1.22 命題 1.3 (1)により∣κi∣=κi\lvert\kappa_i\rvert=\kappa_iかつ∣λi∣=λi\lvert\lambda_i\rvert=\lambda_iであるから、定義 3.2の代表として基数自身を取る。§E1.21 命題 2.5によりκi<λi\kappa_i<\lambda_iは順序数の大小でもあり、κi∈λi\kappa_i\in\lambda_iかつκi⊆λi\kappa_i\subseteq\lambda_iである。

各(α,i)∈∐j∈Iκj(\alpha,i)\in\coprod_{j\in I}\kappa_jに対して、II上の族F(α,i)F(\alpha,i)を

F(α,i)(i)=α,F(α,i)(j)=κj(j≠i)F(\alpha,i)(i)=\alpha,\qquad F(\alpha,i)(j)=\kappa_j\quad(j\neq i)

で定める。α∈κi⊆λi\alpha\in\kappa_i\subseteq\lambda_iかつκj∈λj\kappa_j\in\lambda_jであるから、§E1.2 定義 5.1によりF(α,i)∈∏j∈IλjF(\alpha,i)\in\prod_{j\in I}\lambda_jである。したがって、対応

F ⁣:∐i∈Iκi⟶∏i∈Iλi,(α,i)⟼F(α,i)F\colon\coprod_{i\in I}\kappa_i\longrightarrow\prod_{i\in I}\lambda_i,\qquad (\alpha,i)\longmapsto F(\alpha,i)

は写像である。F(α,i)=F(β,j)F(\alpha,i)=F(\beta,j)とする。i≠ji\neq jであるとすると、第ii成分を比べてα=κi\alpha=\kappa_iとなるが、これはα∈κi\alpha\in\kappa_iに反する。よってi=ji=jであり、第ii成分からα=β\alpha=\betaである。したがってFFは単射であり、§E1.21 命題 2.5により∑i∈Iκi≤∏i∈Iλi\sum_{i\in I}\kappa_i\leq\prod_{i\in I}\lambda_iである。

G ⁣:∐i∈Iκi→∏i∈IλiG\colon\coprod_{i\in I}\kappa_i\to\prod_{i\in I}\lambda_iを任意の写像とする。各i∈Ii\in Iについて

Si={ G(α,i)(i)  ∣  α∈κi }⊆λiS_i=\bigl\{\,G(\alpha,i)(i)\;\bigm|\;\alpha\in\kappa_i\,\bigr\}\subseteq\lambda_i

とおく。§E1.8 補題 5.9を整列集合κi\kappa_iと写像κi→λi, α↦G(α,i)(i)\kappa_i\to\lambda_i,\ \alpha\mapsto G(\alpha,i)(i)に適用すると、その像SiS_iからκi\kappa_iへの単射が得られるから、§E1.21 命題 2.5により∣Si∣≤κi<λi\lvert S_i\rvert\leq\kappa_i<\lambda_iである。Si=λiS_i=\lambda_iであるとするとλi=∣λi∣=∣Si∣≤κi\lambda_i=\lvert\lambda_i\rvert=\lvert S_i\rvert\leq\kappa_iとなって矛盾するので、λi∖Si\lambda_i\setminus S_iは空でない順序数の集合であり、最小元cic_iをもつ。c=(ci)i∈Ic=(c_i)_{i\in I}は∏i∈Iλi\prod_{i\in I}\lambda_iの元である。G(α,i)=cG(\alpha,i)=cを満たす(α,i)(\alpha,i)があるとすると、第ii成分からci=G(α,i)(i)∈Sic_i=G(\alpha,i)(i)\in S_iとなり、ci∉Sic_i\notin S_iに反する。したがってGGは全射でない。

とくに∐i∈Iκi\coprod_{i\in I}\kappa_iから∏i∈Iλi\prod_{i\in I}\lambda_iへの全単射は存在しないので、定義 3.2の二つの基数は相異なる。二つは順序数であり、一方が他方以下であって相異なるから、∑i∈Iκi<∏i∈Iλi\sum_{i\in I}\kappa_i<\prod_{i\in I}\lambda_iである。▨

注意 3.7.κ\kappaを基数とし、定理 3.6においてI=κI=\kappa、κi=1\kappa_i=1、λi=2\lambda_i=2と取る。1={0}1=\{0\}であるから∐i<κ1={0}×κ\coprod_{i<\kappa}1=\{0\}\times\kappaはκ\kappaと全単射で対応し、∑i<κ1=κ\sum_{i<\kappa}1=\kappaである。また補題 3.4により∏i<κ2=2∣κ∣=2κ\prod_{i<\kappa}2=2^{\lvert\kappa\rvert}=2^{\kappa}である。したがってκ<2κ\kappa<2^{\kappa}を得る。これは「Cantor の定理」から導かれる§E1.22 系 4.1と同じ評価である。ただし定理 3.6は選択公理のもとで述べたので、この導出は§E1.22 系 4.1の選択公理を用いない証明を置き換えるものではない。

系 3.8. 選択公理を仮定する。κ\kappaを無限基数とするとκ<κcf⁡(κ)\kappa<\kappa^{\operatorname{cf}(\kappa)}である。

証明.補題 1.10によりκ\kappaは極限順序数であるからδ=cf⁡(κ)\delta=\operatorname{cf}(\kappa)が定まる。共終写像f ⁣:δ→κf\colon\delta\to\kappaを取る。

κ=⋃ξ<δf(ξ)\kappa=\bigcup_{\xi<\delta}f(\xi)である。実際、f(ξ)<κf(\xi)<\kappaからf(ξ)⊆κf(\xi)\subseteq\kappaであり、逆にα<κ\alpha<\kappaとすると§E1.22 補題 3.1によりα+1<κ\alpha+1<\kappaであるから、ffの共終性によりα+1≤f(ξ)\alpha+1\leq f(\xi)を満たすξ<δ\xi<\deltaがあり、α∈f(ξ)\alpha\in f(\xi)である。

各ξ<δ\xi<\deltaについて∣f(ξ)∣\lvert f(\xi)\rvertはf(ξ)f(\xi)と等濃な最小の順序数であるから∣f(ξ)∣≤f(ξ)<κ\lvert f(\xi)\rvert\leq f(\xi)<\kappaである。またκ\kappaは基数であるから∣κ∣=κ\lvert\kappa\rvert=\kappaである。よって定理 3.6をκξ=∣f(ξ)∣\kappa_\xi=\lvert f(\xi)\rvert、λξ=κ\lambda_\xi=\kappa(ξ<δ\xi<\delta)へ適用し、補題 3.5と補題 3.4とあわせると

κ=∣⋃ξ<δf(ξ)∣≤∑ξ<δ∣f(ξ)∣<∏ξ<δκ=κ∣δ∣\kappa=\Bigl\lvert\bigcup_{\xi<\delta}f(\xi)\Bigr\rvert\leq\sum_{\xi<\delta}\lvert f(\xi)\rvert<\prod_{\xi<\delta}\kappa=\kappa^{\lvert\delta\rvert}

を得る。命題 1.6によりδ\deltaは基数であるから∣δ∣=δ\lvert\delta\rvert=\deltaであり、κ<κcf⁡(κ)\kappa<\kappa^{\operatorname{cf}(\kappa)}である。▨

4 連続体濃度の共終数

定理 4.1. 選択公理を仮定する。κ\kappaを無限基数とするとκ<cf⁡(2κ)\kappa<\operatorname{cf}(2^{\kappa})である。とくにℵ0<cf⁡(c)\aleph_0<\operatorname{cf}(\mathfrak c)である。

証明.μ=2κ\mu=2^{\kappa}とおく。μ\muは§E1.22 定義 1.1の基数の冪であるから基数であり、§E1.22 系 4.1によりκ<μ\kappa<\muであって、κ\kappaが無限であるからμ\muは無限基数である。補題 1.10によりμ\muは極限順序数であり、δ=cf⁡(μ)\delta=\operatorname{cf}(\mu)が定まる。

δ≤κ\delta\leq\kappaと仮定する。命題 1.5 (2)によりω≤δ\omega\leq\deltaであるから0<δ0<\deltaであり、§E1.22 系 3.3によりδκ=κ\delta\kappa=\kappaである。(x,y)↦(y,x)(x,y)\mapsto(y,x)は全単射κ×δ→δ×κ\kappa\times\delta\to\delta\times\kappaであるから、§E1.22 定義 1.1によりκδ=δκ=κ\kappa\delta=\delta\kappa=\kappaである。よって§E1.22 命題 1.6により

μδ=(2κ)δ=2κδ=2κ=μ\mu^{\delta}=\bigl(2^{\kappa}\bigr)^{\delta}=2^{\kappa\delta}=2^{\kappa}=\mu

である。一方系 3.8によりμ<μδ\mu<\mu^{\delta}であるからμ<μ\mu<\muとなって矛盾する。したがってκ<δ=cf⁡(2κ)\kappa<\delta=\operatorname{cf}(2^{\kappa})である。

κ=ℵ0\kappa=\aleph_0と取ると、§E1.22 定義 5.1のc=2ℵ0\mathfrak c=2^{\aleph_0}によりℵ0<cf⁡(c)\aleph_0<\operatorname{cf}(\mathfrak c)である。▨

系 4.2. 選択公理を仮定する。無限基数ν\nuがcf⁡(ν)=ω\operatorname{cf}(\nu)=\omegaを満たすならばc≠ν\mathfrak c\neq\nuである。とくにc≠ℵω\mathfrak c\neq\aleph_\omegaである。

証明.定理 4.1と§E1.21 定義 4.1のℵ0=ω\aleph_0=\omegaによりω<cf⁡(c)\omega<\operatorname{cf}(\mathfrak c)である。c=ν\mathfrak c=\nuであるとするとcf⁡(c)=cf⁡(ν)=ω\operatorname{cf}(\mathfrak c)=\operatorname{cf}(\nu)=\omegaとなって矛盾する。命題 2.7によりcf⁡(ℵω)=ω\operatorname{cf}(\aleph_\omega)=\omegaであるから、とくにc≠ℵω\mathfrak c\neq\aleph_\omegaである。▨

注意 4.3. 連続体濃度について、選択公理を含む集合論が証明する制約は、§E1.22 系 4.1が与えるℵ0<c\aleph_0<\mathfrak cと定理 4.1が与えるℵ0<cf⁡(c)\aleph_0<\operatorname{cf}(\mathfrak c)に尽きる。すなわち、一般連続体仮説を満たす集合論のモデルMMと、MMの中でℵ0<ν\aleph_0<\nuかつℵ0<cf⁡(ν)\aleph_0<\operatorname{cf}(\nu)を満たす基数ν\nuを取ると、MMの拡大モデルであって、MMと同じ基数をもち、その中でc=ν\mathfrak c=\nuが成り立つものが存在する。地のモデルに課すこの仮定はνℵ0=ν\nu^{\aleph_0}=\nuまで弱めることができるが、まったく落とすことはできない。MMの中でν<2ℵ0\nu<2^{\aleph_0}であれば、基数を保つ拡大の中でc=ν\mathfrak c=\nuとすることはできないからである。したがってc\mathfrak cがアレフ階層のどこに現れるかは、本記事の評価と Cantor の定理より先へは決まらない。この主張の証明と、連続体仮説c=ℵ1\mathfrak c=\aleph_1の独立性の証明は強制法を用いるので、「公理的集合論」へ委ねる。

5 演習

問題 5.1 (アレフ・オメガ・ワンの共終数). 選択公理を仮定する。cf⁡(ℵω1)=ω1\operatorname{cf}(\aleph_{\omega_1})=\omega_1を示せ。

解答.

§E1.21 定義 4.1によりℵω1\aleph_{\omega_1}は族(ℵα)α<ω1(\aleph_\alpha)_{\alpha<\omega_1}の上限であり、§E1.21 命題 4.2 (2)によりα<α′<ω1\alpha<\alpha'<\omega_1ならばℵα<ℵα′\aleph_\alpha<\aleph_{\alpha'}である。§E1.21 定理 5.1によりω1\omega_1は極限順序数であるから、補題 1.7によりℵω1\aleph_{\omega_1}は極限順序数であってcf⁡(ℵω1)=cf⁡(ω1)\operatorname{cf}(\aleph_{\omega_1})=\operatorname{cf}(\omega_1)である。

定理 2.10によりcf⁡(ω1)=ω1\operatorname{cf}(\omega_1)=\omega_1であるからcf⁡(ℵω1)=ω1\operatorname{cf}(\aleph_{\omega_1})=\omega_1である。▨

問題 5.2 (特異基数の冪と連続体濃度). 選択公理を仮定する。ℵω<ℵωℵ0\aleph_\omega<\aleph_\omega^{\aleph_0}を示せ。また、c=ℵω1\mathfrak c=\aleph_{\omega_1}が本記事の評価と矛盾しないことを確かめよ。

解答.

命題 2.7によりcf⁡(ℵω)=ω\operatorname{cf}(\aleph_\omega)=\omegaであり、§E1.21 定義 4.1によりℵ0=ω\aleph_0=\omegaである。したがって系 3.8をκ=ℵω\kappa=\aleph_\omegaに適用すると

ℵω<ℵωcf⁡(ℵω)=ℵωω=ℵωℵ0\aleph_\omega<\aleph_\omega^{\operatorname{cf}(\aleph_\omega)}=\aleph_\omega^{\omega}=\aleph_\omega^{\aleph_0}

である。

c=ℵω1\mathfrak c=\aleph_{\omega_1}とすると、問題 5.1の解答によりcf⁡(c)=ω1\operatorname{cf}(\mathfrak c)=\omega_1である。ω1\omega_1は非可算であるからℵ0<ω1\aleph_0<\omega_1であり、定理 4.1のℵ0<cf⁡(c)\aleph_0<\operatorname{cf}(\mathfrak c)が成り立つ。また§E1.22 系 4.1のℵ0<c\aleph_0<\mathfrak cも成り立つ。よって系 4.2はc=ℵω1\mathfrak c=\aleph_{\omega_1}を排除しない。ℵω\aleph_\omegaとℵω1\aleph_{\omega_1}の差は、共終数が可算であるか否かの差である。▨

問題 5.3 (共終な部分集合の濃度). 選択公理を仮定する。λ\lambdaを極限順序数とすると、cf⁡(λ)\operatorname{cf}(\lambda)はλ\lambdaにおいて共終な部分集合C⊆λC\subseteq\lambdaの濃度∣C∣\lvert C\rvertのうち最小のものに等しいことを示せ。

解答.

δ=cf⁡(λ)\delta=\operatorname{cf}(\lambda)とおく。共終写像f ⁣:δ→λf\colon\delta\to\lambdaの像をC0C_0とすると、C0C_0はλ\lambdaにおいて共終である。§E1.8 補題 5.9を整列集合δ\deltaと写像ffに適用すると、像C0C_0からδ\deltaへの単射が得られるから、§E1.21 命題 2.5により∣C0∣≤∣δ∣\lvert C_0\rvert\leq\lvert\delta\rvertである。命題 1.6によりδ\deltaは基数であるから∣δ∣=δ\lvert\delta\rvert=\deltaであり、∣C0∣≤δ\lvert C_0\rvert\leq\deltaである。

逆に、C⊆λC\subseteq\lambdaがλ\lambdaにおいて共終であるとする。§E1.21 定理 2.2により全単射h ⁣:∣C∣→Ch\colon\lvert C\rvert\to Cを取ると、hhをλ\lambdaへの写像とみなしたものの像はCCであるから、hhはλ\lambdaへの共終写像である。よって定義 1.3の最小性によりδ≤∣C∣\delta\leq\lvert C\rvertである。

したがって、共終な部分集合の濃度はすべてδ\delta以上であり、C0C_0の濃度はδ\delta以下である。二つをあわせると∣C0∣=δ\lvert C_0\rvert=\deltaであり、δ\deltaは共終な部分集合の濃度のうち最小のものである。▨

「公理的集合論」の「反映原理と H_θ」は、定理 2.4をHθH_\thetaの閉性の証明に用いる。同記事は、正則な非可算基数θ\thetaについて、HθH_\thetaの元をθ\theta未満の個数だけ集めた集合がふたたびHθH_\thetaに属することを、この評価から導く。

参考文献

  1. Thomas Jech, Set Theory, 3rd millennium ed., Springer Monographs in Mathematics, Springer, Berlin, 2003.共終数と正則基数、基数の族の和と積、König の定理および連続体濃度の共終数を参考にした。
  2. Karel Hrbacek and Thomas Jech, Introduction to Set Theory, 3rd ed., Marcel Dekker, New York, 1999.無限個の基数の和と積、正則基数と特異基数、および基数の冪を参考にした。

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