§E1.25Cauchy 列による実数の構成

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有理数には、項どうしがいくらでも近づくにもかかわらず、有理数の範囲では極限をもたない数列がある。本記事では、そのような Cauchy 列を極限の代わりに用いる。差が零へ収束する二つの列を同一視し、得られる商集合に四則演算と順序を定めると、完備順序体が得られる。

1 Cauchy 列と零列

定義 1.1.(K,≤)(K,\leq)を順序体(§E1.12 定義 3.1)とする。a∈Ka\in Kに対して

∣a∣={a,0≤a,−a,a<0|a|= \begin{cases} a,&0\leq a,\\ -a,&a<0 \end{cases}

と定め、∣a∣|a|をaaの絶対値 (absolute value) という。以後この記号を、§E1.12 例 3.3の順序体Q\mathbb Qの元に対して用いる。

命題 1.2.(K,≤)(K,\leq)を順序体とし、a,b,c∈Ka,b,c\in Kとする。

  1. 0≤∣a∣0\leq|a|であり、∣a∣=0|a|=0とa=0a=0は同値である。
  2. ∣−a∣=∣a∣|-a|=|a|である。
  3. 0<c0<cのとき、∣a∣<c|a|<cと−c<a<c-c<a<cは同値である。
  4. ∣a+b∣≤∣a∣+∣b∣|a+b|\leq|a|+|b|である。
  5. ∣ab∣=∣a∣ ∣b∣|ab|=|a|\,|b|である。

証明.(1)0≤a0\leq aならば∣a∣=a|a|=aであり、a<0a<0ならば§E1.12 命題 1.2 (3)により0<−a=∣a∣0<-a=|a|である。a=0a=0ならば∣a∣=0|a|=0である。逆に∣a∣=0|a|=0ならばa=0a=0または−a=0-a=0であるから、どちらの場合もa=0a=0である。

(2)0<a0<aのとき§E1.12 命題 1.2 (3)により−a<0-a<0であるから∣−a∣=−(−a)=a=∣a∣|-a|=-(-a)=a=|a|である。a=0a=0のときは両辺とも00である。a<0a<0のときは0<−a0<-aであるから∣−a∣=−a=∣a∣|-a|=-a=|a|である。

(3)定義からa≤∣a∣a\leq|a|かつ−a≤∣a∣-a\leq|a|である。∣a∣<c|a|<cならばa≤∣a∣<ca\leq|a|<cであり、−a≤∣a∣<c-a\leq|a|<cと§E1.12 命題 1.2 (1)から−c<a-c<aである。逆に−c<a<c-c<a<cとすると、0≤a0\leq aのときは∣a∣=a<c|a|=a<cであり、a<0a<0のときは−c<a-c<aと§E1.12 命題 1.2 (1)から∣a∣=−a<c|a|=-a<cである。

(4)a≤∣a∣a\leq|a|とb≤∣b∣b\leq|b|からa+b≤∣a∣+∣b∣a+b\leq|a|+|b|であり、−a≤∣a∣-a\leq|a|と−b≤∣b∣-b\leq|b|から−(a+b)≤∣a∣+∣b∣-(a+b)\leq|a|+|b|である。∣a+b∣|a+b|はa+ba+bと−(a+b)-(a+b)のいずれかであるから、∣a+b∣≤∣a∣+∣b∣|a+b|\leq|a|+|b|である。

(5)0≤a0\leq aかつ0≤b0\leq bのとき、a=0a=0またはb=0b=0ならばab=0ab=0であり、0<a0<aかつ0<b0<bならば乗法と順序の両立(§E1.12 定義 1.1)により0<ab0<abであるから、いずれの場合も∣ab∣=ab=∣a∣ ∣b∣|ab|=ab=|a|\,|b|である。0≤a0\leq aかつb<0b<0のとき、0≤a(−b)=−(ab)0\leq a(-b)=-(ab)からab≤0ab\leq0であり、∣ab∣=−ab=a(−b)=∣a∣ ∣b∣|ab|=-ab=a(-b)=|a|\,|b|である。a<0a<0かつ0≤b0\leq bのときも同様である。a<0a<0かつb<0b<0のとき、0<(−a)(−b)=ab0<(-a)(-b)=abであるから∣ab∣=ab=(−a)(−b)=∣a∣ ∣b∣|ab|=ab=(-a)(-b)=|a|\,|b|である。▨

定義 1.3. 有理数列a=(an)n≥1a=(a_n)_{n\geq1}がCauchy 列 (Cauchy sequence) であるとは、任意の正の有理数ε\varepsilonに対して、ある正の整数NNが存在し、m,n≥Nm,n\geq Nならば∣am−an∣<ε|a_m-a_n|<\varepsilonとなることをいう。

有理数列a=(an)a=(a_n)が零列 (null sequence) であるとは、任意の正の有理数ε\varepsilonに対して、ある正の整数NNが存在し、n≥Nn\geq Nならば∣an∣<ε|a_n|<\varepsilonとなることをいう。

例 1.4. 写像g:Q→Qg:\mathbb Q\to\mathbb Qを、v≠0v\neq0のときg(v)=(v2+2)/(2v)g(v)=(v^2+2)/(2v)、g(0)=1g(0)=1と定める。「帰納法と再帰的な定義」の§D2.1 定理 4.4により、a1=1a_1=1とan+1=g(an)a_{n+1}=g(a_n)を満たす有理数列(an)n≥1(a_n)_{n\geq1}がただ一つ定まる。0<v0<vならば0<g(v)0<g(v)であるから、帰納法により各項は正であり、

an+1=an2+22ana_{n+1}=\frac{a_n^2+2}{2a_n}

である。

各nnについて

an+12−2=(an2+2)2−8an24an2=(an2−2)24an2a_{n+1}^2-2=\frac{(a_n^2+2)^2-8a_n^2}{4a_n^2}=\frac{(a_n^2-2)^2}{4a_n^2}

である。二乗して22になる有理数は存在しない。実際、既約分数m/km/kがm2=2k2m^2=2k^2を満たすとすると、m2m^2が偶数であることからmmが偶数であり、m=2m′m=2m'とおくとk2=2m′2k^2=2m'^2からkkも偶数になって、既約性に反する。したがって各an2a_n^2は22と異なり、上の等式の右辺は非負であるから、n≥2n\geq2ならばan2>2a_n^2>2、ひいてはan>1a_n>1である。またa2=g(1)=3/2a_2=g(1)=3/2である。

en=an2−2e_n=a_n^2-2とおく。n≥2n\geq2についてen>0e_n>0であり、4an2>44a_n^2>4から

en+1=en24an2<en24e_{n+1}=\frac{e_n^2}{4a_n^2}<\frac{e_n^2}{4}

である。e2=4−1e_2=4^{-1}であり、en≤4−(n−1)e_n\leq4^{-(n-1)}ならばen+1<4−2(n−1)−1≤4−ne_{n+1}<4^{-2(n-1)-1}\leq4^{-n}であるから、帰納法によりn≥2n\geq2についてen≤4−(n−1)e_n\leq4^{-(n-1)}である。nnに関する帰納法から2n−1≥n2^{n-1}\geq nが従うので、4n−1≥2n−1≥n4^{n-1}\geq2^{n-1}\geq nであり、en≤1/ne_n\leq1/nである。正の有理数ε=c/d\varepsilon=c/d(c,d∈Z>0c,d\in\mathbb Z_{>0})に対してn≥d+1n\geq d+1ならば1/n<1/d≤ε1/n<1/d\leq\varepsilonであるから、(1/n)n≥1(1/n)_{n\geq1}と(en)n≥1(e_n)_{n\geq1}はいずれも零列である。

m≥n≥2m\geq n\geq2とする。an+1−an=(2−an2)/(2an)<0a_{n+1}-a_n=(2-a_n^2)/(2a_n)<0であるからam≤ana_m\leq a_nであり、an+am>2a_n+a_m>2とem>0e_m>0から

0≤an−am=en−eman+am<en2≤12n0\leq a_n-a_m=\frac{e_n-e_m}{a_n+a_m}<\frac{e_n}{2}\leq\frac1{2n}

である。正の有理数ε=c/d\varepsilon=c/dに対してNNを22とd+1d+1の大きい方とすると、m,n≥Nm,n\geq Nのとき、添字の大小によらず∣am−an∣<1/N≤1/(d+1)<ε|a_m-a_n|<1/N\leq1/(d+1)<\varepsilonである。よって(an)(a_n)は Cauchy 列である。

有理数qqに対して(an−q)(a_n-q)が零列であると仮定する。a1=1a_1=1でありn≥2n\geq2では1<an≤a2=3/21<a_n\leq a_2=3/2であるから、M=2+∣q∣M=2+|q|とおくと、命題 1.2 (4)により∣an+q∣≤∣an∣+∣q∣≤3/2+∣q∣<M|a_n+q|\leq|a_n|+|q|\leq3/2+|q|<Mである。命題 1.2 (5)により

∣an2−q2∣=∣an−q∣ ∣an+q∣≤M∣an−q∣|a_n^2-q^2|=|a_n-q|\,|a_n+q|\leq M|a_n-q|

であり、∣an−q∣|a_n-q|をε/M\varepsilon/Mより小さくすれば右辺はε\varepsilonより小さいので、(an2−q2)(a_n^2-q^2)は零列である。2−q2=(2−an2)+(an2−q2)2-q^2=(2-a_n^2)+(a_n^2-q^2)の右辺は零列の項の和であり、命題 1.2 (4)により零列であるから、定数列(2−q2)(2-q^2)は零列である。2−q2≠02-q^2\neq0とすると、命題 1.2 (1)により∣2−q2∣|2-q^2|は正の有理数であり、ε=∣2−q2∣\varepsilon=|2-q^2|に対して∣2−q2∣<ε|2-q^2|<\varepsilonが要求されて矛盾する。よってq2=2q^2=2であり、これは二乗して22になる有理数が存在しないことに反する。したがって、どの有理数qqについても(an−q)(a_n-q)は零列ではない。

補題 1.5. 任意の有理数の Cauchy 列は有界である。また、二つの有理数の Cauchy 列の項ごとの和、差および積は Cauchy 列である。

証明.a=(an)a=(a_n)を Cauchy 列とする。ε=1\varepsilon=1に対する番号NNを取り、

M=1+max⁡{∣a1∣,…,∣aN∣}M=1+\max\{|a_1|,\ldots,|a_N|\}

とおく。n≥Nn\geq Nならば∣an∣≤∣an−aN∣+∣aN∣<M|a_n|\leq|a_n-a_N|+|a_N|<Mであり、n<Nn<Nの場合も∣an∣<M|a_n|<Mである。したがってaaは有界である。

a=(an)a=(a_n)とb=(bn)b=(b_n)を Cauchy 列とする。和と差が Cauchy 列であることは三角不等式から従う。∣an∣≤M|a_n|\leq Mおよび∣bn∣≤M|b_n|\leq Mとなる正の有理数MMを取ると、

∣ambm−anbn∣≤∣am∣ ∣bm−bn∣+∣bn∣ ∣am−an∣≤M∣bm−bn∣+M∣am−an∣|a_mb_m-a_nb_n| \leq |a_m|\,|b_m-b_n|+|b_n|\,|a_m-a_n| \leq M|b_m-b_n|+M|a_m-a_n|

である。二つの差をそれぞれε/(2M)\varepsilon/(2M)より小さくする番号を取れば、積も Cauchy 列であることが分かる。▨

定義 1.6. 有理数列全体は「集合族」の直積(§E1.2 定義 5.1)

QZ>0=∏n∈Z>0Q\mathbb Q^{\mathbb Z_{>0}}=\prod_{n\in\mathbb Z_{>0}}\mathbb Q

として集合をなす。分出公理スキーマ(§E1.13 定義 2.1)を用い、この集合から Cauchy 条件を満たす列だけを取り出して得られる集合をC\mathcal Cとする。a,b∈Ca,b\in\mathcal Cに対して

a∼b⟺(an−bn)n≥1 が零列であるa\sim b\quad\Longleftrightarrow\quad (a_n-b_n)_{n\geq1}\text{ が零列である}

と定める。この関係をCauchy 同値 (Cauchy equivalence) という。

命題 1.7.定義 1.6の関係∼\simはC\mathcal C上の同値関係である。

証明.a−aa-aは零列なので反射律が成り立つ。a−ba-bが零列ならばb−a=−(a−b)b-a=-(a-b)も零列なので、対称律が成り立つ。a−ba-bとb−cb-cが零列ならば

a−c=(a−b)+(b−c)a-c=(a-b)+(b-c)

も零列である。実際、各差を最終的にε/2\varepsilon/2より小さくすれば三角不等式を適用することができる。したがって推移律も成り立つ。▨

2 商集合と四則演算

定義 2.1.命題 1.7により∼\simは同値関係である。各同値類はC\mathcal Cの部分集合であり、商集合はP(C)\mathcal P(\mathcal C)の部分集合として、冪集合の規則(§E1.13 定義 3.1)と分出公理スキーマ(§E1.13 定義 2.1)から存在する。この商集合を

RC=C/∼\mathbb R_C=\mathcal C/{\sim}

と書き、その元をCauchy 実数 (Cauchy real number) という。a∈Ca\in\mathcal Cの同値類を[a][a]と書く。a,b∈Ca,b\in\mathcal Cに対して

[a]+[b]=[(an+bn)],[a][b]=[(anbn)],−[a]=[(−an)][a]+[b]=[(a_n+b_n)],\qquad [a][b]=[(a_nb_n)],\qquad -[a]=[(-a_n)]

と定め、0=[(0)]0=[(0)]および1=[(1)]1=[(1)]とおく。右辺の列がC\mathcal Cに属することは補題 1.5による((−an)(-a_n)は定数列(0)(0)との差である)。

定理 2.2.定義 2.1の加法、乗法および加法逆元は代表元の選び方に依存しない。これらの演算によってRC\mathbb R_Cは可換環になる。

証明.a∼a′a\sim a'かつb∼b′b\sim b'とする。和について

(an+bn)−(an′+bn′)=(an−an′)+(bn−bn′)(a_n+b_n)-(a'_n+b'_n)=(a_n-a'_n)+(b_n-b'_n)

は零列である。加法逆元についても(−an)−(−an′)=−(an−an′)(-a_n)-(-a'_n)=-(a_n-a'_n)は零列である。

補題 1.5により、a′a'とbbはある正の有理数MMで有界である。積の差を

anbn−an′bn′=(an−an′)bn+an′(bn−bn′)a_nb_n-a'_nb'_n=(a_n-a'_n)b_n+a'_n(b_n-b'_n)

と分けると、右辺の絶対値は

M∣an−an′∣+M∣bn−bn′∣M|a_n-a'_n|+M|b_n-b'_n|

以下である。二つの差が零列であるため、この上界も零列である。したがって積も代表元に依存しない。

結合律、交換律、分配律および単位元の公理は、有理数における対応する等式を各項で適用すると得られる。よってRC\mathbb R_Cは可換環である。▨

補題 2.3.a=(an)∈Ca=(a_n)\in\mathcal Cが零列でないとする。このとき、ある正の有理数η\etaと正の整数NNが存在し、n≥Nn\geq Nならば∣an∣≥η|a_n|\geq\etaとなる。さらに、ana_nの符号はn≥Nn\geq Nで一定になる。

証明.aaが零列でないため、ある正の有理数ε\varepsilonが存在し、どの正の整数N0N_0に対してもn≥N0n\geq N_0かつ∣an∣≥ε|a_n|\geq\varepsilonを満たすnnが存在する。aaは Cauchy 列なので、あるNN以後では∣am−an∣<ε/2|a_m-a_n|<\varepsilon/2が成り立つ。aaが零列ではないことを用いてn0≥Nn_0\geq Nかつ∣an0∣≥ε|a_{n_0}|\geq\varepsilonを取る。

m≥Nm\geq Nならば∣am−an0∣<ε/2|a_m-a_{n_0}|<\varepsilon/2である。an0≥εa_{n_0}\geq\varepsilonの場合はam>ε/2a_m>\varepsilon/2であり、an0≤−εa_{n_0}\leq-\varepsilonの場合はam<−ε/2a_m<-\varepsilon/2である。η=ε/2\eta=\varepsilon/2とおけば、絶対値の下界と符号の一定性を同時に得る。▨

命題 2.4.x∈RCx\in\mathbb R_Cがx≠0x\neq0を満たすとき、xy=1xy=1を満たすy∈RCy\in\mathbb R_Cが存在する。

証明.x=[a]x=[a]とする。x≠0x\neq0であるためaaは零列ではない。補題 2.3のη\etaとNNを取り、

bn={0,n<N,an−1,n≥Nb_n= \begin{cases} 0,&n<N,\\ a_n^{-1},&n\geq N \end{cases}

と定める。m,n≥Nm,n\geq Nならば

∣bm−bn∣=∣am−an∣∣aman∣≤η−2∣am−an∣|b_m-b_n|=\frac{|a_m-a_n|}{|a_ma_n|}\leq\eta^{-2}|a_m-a_n|

であるため、b=(bn)b=(b_n)は Cauchy 列である。積の列(anbn)(a_nb_n)はn≥Nn\geq Nで11に等しいので、定数列(1)(1)と Cauchy 同値である。したがってy=[b]y=[b]とおけばxy=1xy=1である。

別の代表元や別の番号NNから同じ方法でy′y'を作ってもxy′=1xy'=1である。可換環における逆元は一意なので、y′=yy'=yである。したがって逆元、ひいては非零元による除法も代表元の選び方に依存しない。▨

3 順序が代表元に依存しないこと

定義 3.1.x=[a]∈RCx=[a]\in\mathbb R_Cが正 (positive) であるとは、ある正の有理数ε\varepsilonと正の整数NNが存在し、n≥Nn\geq Nならばan≥εa_n\geq\varepsilonとなることをいう。正の元全体をPPと書き、

x<y⟺y−x∈Px<y\quad\Longleftrightarrow\quad y-x\in P

と定める。

例 3.2. 有理数列(1/n)n≥1(1/n)_{n\geq1}は各項が正である。この列は例 1.4で見たとおり零列であり、命題 1.2 (4)と命題 1.2 (2)による∣1/m−1/n∣≤∣1/m∣+∣1/n∣|1/m-1/n|\leq|1/m|+|1/n|から Cauchy 列でもあるので、[(1/n)]=[(0)]=0[(1/n)]=[(0)]=0である。定数列(0)(0)に対しては0≥ε0\geq\varepsilonを満たす正の有理数ε\varepsilonが存在しないから、00は定義 3.1の意味で正ではない。この定義が要求するのは、各項が正であることではなく、ある番号以降で一つの正の有理数を下回らないことである。

定理 3.3.定義 3.1の正であるという条件は代表元に依存しない。さらにPPは加法と乗法で閉じ、任意のx∈RCx\in\mathbb R_Cについて、x=0x=0、x∈Px\in P、−x∈P-x\in Pのうちただ一つが成り立つ。したがって、定めた関係<<はRC\mathbb R_Cを順序体にする。

証明.a∼a′a\sim a'とし、あるε>0\varepsilon>0とNNについてan≥εa_n\geq\varepsilonがn≥Nn\geq Nで成り立つとする。a−a′a-a'は零列なので、十分大きなnnについて∣an−an′∣<ε/2|a_n-a'_n|<\varepsilon/2である。このときan′≥ε/2a'_n\geq\varepsilon/2であるため、正であるという条件は代表元に依存しない。

x=[a]x=[a]とy=[b]y=[b]が正であるとする。あるε,δ>0\varepsilon,\delta>0について、十分大きなnnではan≥εa_n\geq\varepsilonかつbn≥δb_n\geq\deltaである。したがってan+bn≥ε+δa_n+b_n\geq\varepsilon+\deltaかつanbn≥εδa_nb_n\geq\varepsilon\deltaであり、x+yx+yとxyxyも正である。また、xxと−x-xがともに正ならば、十分大きなnnについて同時にan>0a_n>0と−an>0-a_n>0が必要になり、矛盾する。

x=[a]≠0x=[a]\neq0とする。補題 2.3により、十分大きなnnでは、あるη>0\eta>0に対してan≥ηa_n\geq\etaが常に成り立つか、an≤−ηa_n\leq-\etaが常に成り立つかのいずれかである。前者ではx∈Px\in P、後者では−x∈P-x\in Pである。定数列(1)(1)は正であり、定数列(0)(0)は正ではないので0≠10\neq1である。以上からPPは§E1.12 命題 1.4の正錐の条件を満たす。したがってx<y  ⟺  y−x∈Px<y\iff y-x\in Pは全順序であり、加法および正の元による乗法と両立する。

命題 2.4と定理 2.2を合わせると、RC\mathbb R_Cは体である。よってRC\mathbb R_Cは順序体である。▨

命題 3.4. 写像

ιC:Q⟶RC,q⟼[(q,q,q,…)]\iota_C:\mathbb Q\longrightarrow\mathbb R_C,\qquad q\longmapsto[(q,q,q,\ldots)]

は標準有理数埋め込みである。また、x<yx<yを満たすx,y∈RCx,y\in\mathbb R_Cの間にはιC(q)\iota_C(q)の形の元が存在する。

証明. 定数列に項ごとの演算を行うと有理数の演算と一致するため、ιC\iota_Cは単位元と四則演算を保つ。定数列(q)(q)が零列であることとq=0q=0であることは同値なので、ιC\iota_Cは単射である。順序も定義から保たれる。定理 3.3によりRC\mathbb R_Cは順序体であり、単位元を保つ体準同型Q→RC\mathbb Q\to\mathbb R_Cは§E1.15 定義 2.1のιRC\iota_{\mathbb R_C}に限る(§E1.15 命題 2.2)。したがってιC=ιRC\iota_C=\iota_{\mathbb R_C}であり、ιC\iota_Cは標準有理数埋め込みである。

x<yx<yとし、x=[a]x=[a]、y=[b]y=[b]と書く。y−xy-xが正であるため、ある正の有理数δ\deltaと番号N0N_0が存在し、n≥N0n\geq N_0ならばbn−an≥δb_n-a_n\geq\deltaである。さらにN≥N0N\geq N_0を、n≥Nn\geq Nならば∣an−aN∣<δ/6|a_n-a_N|<\delta/6かつ∣bn−bN∣<δ/6|b_n-b_N|<\delta/6となるように取る。有理数q=aN+δ/3q=a_N+\delta/3とおく。n≥Nn\geq Nならば命題 1.2 (3)により

q−an=(aN−an)+δ3>−δ6+δ3=δ6q-a_n=(a_N-a_n)+\frac{\delta}{3}>-\frac{\delta}{6}+\frac{\delta}{3}=\frac{\delta}{6}

であり、N≥N0N\geq N_0から従うbN−aN≥δb_N-a_N\geq\deltaとあわせて

bn−q>(bN−δ6)−(aN+δ3)≥δ−δ6−δ3=δ2b_n-q>\left(b_N-\frac{\delta}{6}\right)-\left(a_N+\frac{\delta}{3}\right)\geq\delta-\frac{\delta}{6}-\frac{\delta}{3}=\frac{\delta}{2}

である。ιC(q)−x\iota_C(q)-xの代表列は(q−an)(q-a_n)、y−ιC(q)y-\iota_C(q)の代表列は(bn−q)(b_n-q)であり、いずれもn≥Nn\geq Nで一つの正の有理数(それぞれδ/6\delta/6とδ/2\delta/2)を下回らない。したがって定義 3.1によりx<ιC(q)<yx<\iota_C(q)<yである。▨

以後、有理数qqとその像ιC(q)\iota_C(q)を同じ記号qqで表す。

4 Cauchy 完備性

定義 4.1.RC\mathbb R_Cの列(xk)(x_k)がCauchy 列 (Cauchy sequence in the Cauchy completion) であるとは、任意の正の有理数ε\varepsilonに対して、ある正の整数NNが存在し、k,l≥Nk,l\geq Nならば

−ε<xk−xl<ε-\varepsilon<x_k-x_l<\varepsilon

となることをいう。また、(xk)(x_k)がx∈RCx\in\mathbb R_Cに収束する (converge) とは、任意の正の有理数ε\varepsilonに対して、ある正の整数NNが存在し、k≥Nk\geq Nならば

−ε<xk−x<ε-\varepsilon<x_k-x<\varepsilon

となることをいう。

命題 3.4により、任意の正のδ∈RC\delta\in\mathbb R_Cに対して0<ε<δ0<\varepsilon<\deltaを満たす正の有理数ε\varepsilonが存在する。したがって、ここで正の有理数だけを用いた二つの定義は、ε\varepsilonを任意の正のRC\mathbb R_Cの元とする通常の定義と同値である。

補題 4.2.r=(rk)k≥1∈Cr=(r_k)_{k\geq1}\in\mathcal Cとすると、RC\mathbb R_Cの列(ιC(rk))k≥1(\iota_C(r_k))_{k\geq1}は[r][r]へ収束する。

証明. 正の有理数ε\varepsilonを取り、j,k≥Nj,k\geq Nならば∣rj−rk∣<ε/3|r_j-r_k|<\varepsilon/3となる番号NNを取る。k≥Nk\geq Nを固定すると、[r]−ιC(rk)[r]-\iota_C(r_k)の代表列は(rj−rk)j≥1(r_j-r_k)_{j\geq1}であり、j≥Nj\geq Nについて命題 1.2 (3)により

ε2−(rj−rk)>ε2−ε3=ε6,ε2+(rj−rk)>ε6\frac{\varepsilon}{2}-(r_j-r_k)>\frac{\varepsilon}{2}-\frac{\varepsilon}{3}=\frac{\varepsilon}{6}, \qquad \frac{\varepsilon}{2}+(r_j-r_k)>\frac{\varepsilon}{6}

である。ιC(ε/2)−([r]−ιC(rk))\iota_C(\varepsilon/2)-([r]-\iota_C(r_k))とιC(ε/2)+([r]−ιC(rk))\iota_C(\varepsilon/2)+([r]-\iota_C(r_k))の代表列がj≥Nj\geq Nでε/6\varepsilon/6を下回らないので、定義 3.1により

−ε2<[r]−ιC(rk)<ε2-\frac{\varepsilon}{2}<[r]-\iota_C(r_k)<\frac{\varepsilon}{2}

である。したがってk≥Nk\geq Nならば−ε<ιC(rk)−[r]<ε-\varepsilon<\iota_C(r_k)-[r]<\varepsilonであり、定義 4.1の意味で(ιC(rk))(\iota_C(r_k))は[r][r]へ収束する。▨

補題 4.3.Q\mathbb Q上の全順序≺\precで、Q\mathbb Qの空でない任意の部分集合が≺\precに関する最小元をもつものが存在する。

後の完備性の証明では、各近似候補の非空集合から代表元を一つずつ取る必要がある。ここで構成する≺\precに関する最小元は各非空集合から一意に定まるため、その規則で代表元を定めれば可算選択公理を用いない。

証明. 有理数qqに対して

h(q)=min⁡{∣m∣+n∣m∈Z, n∈Z>0, q=m/n}h(q)=\min\{|m|+n\mid m\in\mathbb Z,\ n\in\mathbb Z_{>0},\ q=m/n\}

とおく。右辺の集合は空でない正の整数の集合であるから最小元をもち、h(q)h(q)は定まる。正の整数ddに対して∣m∣+n=d|m|+n=dを満たす対(m,n)(m,n)は有限個であるから、h(q)=dh(q)=dを満たす有理数qqは有限個である。異なる有理数p,qp,qに対して、h(p)<h(q)h(p)<h(q)であるとき、またはh(p)=h(q)h(p)=h(q)かつp<qp<qであるときにp≺qp\prec qと定める。これはhhの値と有理数の通常の順序による辞書式順序であるから、Q\mathbb Q上の全順序である。

S⊆QS\subseteq\mathbb Qを空でないとする。{h(q)∣q∈S}\{h(q)\mid q\in S\}は空でない正の整数の集合であるから最小元ddをもち、h(q)=dh(q)=dを満たすq∈Sq\in Sの全体は空でない有限集合である。この有限集合の通常の順序に関する最小元は、SSの≺\precに関する最小元である。▨

定理 4.4.RC\mathbb R_Cの任意の Cauchy 列はRC\mathbb R_Cの元へ収束する。

証明.(xk)k≥1(x_k)_{k\geq1}をRC\mathbb R_Cの Cauchy 列とし、補題 4.3の全順序≺\precを一つ固定する。

命題 3.4により、各kkについて

xk−1k<rk<xk+1kx_k-\frac1k<r_k<x_k+\frac1k

を満たす有理数が存在する。そのような有理数のうち≺\precに関する最小のものをrkr_kとする。各rkr_kは条件から一意に定まり、置換公理スキーマ(§E1.13 定義 5.1)によって列(rk)k≥1(r_k)_{k\geq1}が集合として得られる。

正の有理数ε\varepsilonを取り、ε=a/b\varepsilon=a/b(a,b∈Z>0a,b\in\mathbb Z_{>0})と表す。k≥3b+1k\geq3b+1ならば1/k<a/(3b)=ε/31/k<a/(3b)=\varepsilon/3である。したがって十分大きなk,lk,lについて

−ε3<xk−xl<ε3,1k<ε3,1l<ε3-\frac{\varepsilon}{3}<x_k-x_l<\frac{\varepsilon}{3},\qquad \frac1k<\frac{\varepsilon}{3},\qquad \frac1l<\frac{\varepsilon}{3}

が成り立つ。近似の定め方から

rk−rl<(xk+1/k)−(xl−1/l)<εr_k-r_l<(x_k+1/k)-(x_l-1/l)<\varepsilon

であり、k,lk,lを入れ替えると−ε<rk−rl-\varepsilon<r_k-r_lも得られる。したがってr=(rk)r=(r_k)は有理数の Cauchy 列であり、x=[r]∈RCx=[r]\in\mathbb R_Cとおくことができる。

再び正の有理数ε=a/b\varepsilon=a/b(a,b∈Z>0a,b\in\mathbb Z_{>0})を取る。k≥2b+1k\geq2b+1ならば1/k<a/(2b)=ε/21/k<a/(2b)=\varepsilon/2であり、−1/k<xk−rk<1/k-1/k<x_k-r_k<1/kとあわせて

−ε2<xk−rk<ε2-\frac{\varepsilon}{2}<x_k-r_k<\frac{\varepsilon}{2}

である。補題 4.2により(rk)(r_k)はxxへ収束するので、十分大きなkkについて

−ε2<rk−x<ε2-\frac{\varepsilon}{2}<r_k-x<\frac{\varepsilon}{2}

である。二つの不等式を加えると

−ε<xk−x<ε-\varepsilon<x_k-x<\varepsilon

となる。したがってxk→xx_k\to xである。▨

5 上限の性質

定理 5.1.RC\mathbb R_Cの上に有界で空でない任意の部分集合は上限をもつ。したがって、定理 3.3の順序体RC\mathbb R_Cは完備順序体である。

証明.A⊆RCA\subseteq\mathbb R_Cを空でなく上に有界とする。a0∈Aa_0\in Aと上界UUを取る。命題 3.4により、p0<a0p_0<a_0およびU<q0U<q_0を満たす有理数p0,q0p_0,q_0を取る。特にp0p_0はAAの上界ではなく、q0q_0はAAの上界である。

写像F:Q×Q→Q×QF:\mathbb Q\times\mathbb Q\to\mathbb Q\times\mathbb Qを、m=(p+q)/2m=(p+q)/2がAAの上界であるとき

F(p,q)=(p,m)F(p,q)=(p,m)

とし、mmがAAの上界でないとき

F(p,q)=(m,q)F(p,q)=(m,q)

として定める。「帰納法と再帰的な定義」の§D2.1 定理 4.4をV=Q×QV=\mathbb Q\times\mathbb Q、g(0)=(p0,q0)g(0)=(p_0,q_0)、hS=Fh_S=Fに適用すると、(pn+1,qn+1)=F(pn,qn)(p_{n+1},q_{n+1})=F(p_n,q_n)を満たす対の列((pn,qn))n≥0((p_n,q_n))_{n\geq0}がただ一つ定まる。各nnについて、pnp_nは上界ではなく、qnq_nは上界であり、

qn−pn=2−n(q0−p0)q_n-p_n=2^{-n}(q_0-p_0)

である。

m>nm>nならばpn≤pm≤qnp_n\leq p_m\leq q_nかつpn≤qm≤qnp_n\leq q_m\leq q_nである。L=q0−p0=u/vL=q_0-p_0=u/v(u,v∈Z>0u,v\in\mathbb Z_{>0})と表す。正の有理数ε=c/d\varepsilon=c/d(c,d∈Z>0c,d\in\mathbb Z_{>0})に対し、n≥udn\geq udならば2n≥n+1>ud/(vc)=L/ε2^n\geq n+1>ud/(vc)=L/\varepsilonである。ここで2n≥n+12^n\geq n+1はnnに関する帰納法から従う。したがって2−nL<ε2^{-n}L<\varepsilonであり、区間の長さは零列をなす。この評価と上の包含から、(pn)n≥1(p_n)_{n\geq1}と(qn)n≥1(q_n)_{n\geq1}は有理数の Cauchy 列であり、その差も零列である。したがって

s=[(pn)n≥1]=[(qn)n≥1]∈RCs=[(p_n)_{n\geq1}]=[(q_n)_{n\geq1}]\in\mathbb R_C

とおくことができる。

補題 4.2により、(pn)(p_n)と(qn)(q_n)はいずれもssへ収束する。定義 4.1により、収束のε\varepsilonとしてRC\mathbb R_Cの任意の正の元を取ることができる。

a∈Aa\in Aとする。すべてのnnについてa≤qna\leq q_nである。s<as<aと仮定すると、命題 3.4によりs<t<as<t<aを満たす有理数ttが存在し、正の元t−st-sに対して、十分大きなnnについてqn−s<t−sq_n-s<t-s、すなわちqn<t<aq_n<t<aである。これはa≤qna\leq q_nに反する。よってa≤sa\leq sであり、ssはAAの上界である。

y<sy<sとする。命題 3.4によりy<t<sy<t<sを満たす有理数ttを取ると、正の元s−ts-tに対して、十分大きなnnについてs−pn<s−ts-p_n<s-t、すなわちt<pnt<p_nである。pnp_nはAAの上界ではないため、pn<ap_n<aを満たすa∈Aa\in Aが存在する。したがってy<t<pn<ay<t<p_n<aであり、yyは上界ではない。ssより小さい元は上界ではないので、s=sup⁡As=\sup Aである。▨

6 Dedekind 切断による構成との比較

注意 6.1 (二つの構成が先に手に入れるもの). 「実数体の構成」の Dedekind 切断による構成と本記事の構成では、安く手に入る性質が入れ替わる。切断では順序が包含であり、上限は切断の族の和集合として直ちに得られる一方、乗法は符号による場合分けを要する(§E1.14 定義 2.4)。Cauchy 列では四則が項ごとに定まり、演算が代表元に依存しないことは定理 2.2の短い計算で済むが、上限の性質は定理 5.1の二分法を要する。演算と順序完備性のどちらを先に手に入れるかが、二つの構成の違いである。

本記事が別々に証明した二つの完備性も同じものではない。§E1.15 定理 1.5により、上限の性質は Archimedes 性を導く。一方、Cauchy 列に関する完備性だけからは Archimedes 性が従わない。順序体においては、上限の性質は Archimedes 性と Cauchy 完備性を合わせたものに一致する。Archimedes 的でない Cauchy 完備な順序体が存在することはここでは紹介にとどめ、本記事では構成しない。

一般化の向きも異なる。Cauchy 列による構成は距離空間や一様空間の完備化へ、切断による構成は順序の完備化へ続く。本記事はいずれの一般論も扱わない。

系 6.2.RD\mathbb R_Dを「実数体の構成」で得られる完備順序体とする。このとき、標準有理数埋め込みを一致させる順序体同型

RC⟶RD\mathbb R_C\longrightarrow\mathbb R_D

がただ一つ存在する。

証明.定理 5.1によりRC\mathbb R_Cは完備順序体である。RD\mathbb R_Dも§E1.14 定理 3.1により完備順序体である。したがって「完備順序体の一意性」§E1.15 定理 4.4により、単位元と順序を保つ体同型Φ:RC→RD\Phi:\mathbb R_C\to\mathbb R_Dがただ一つ存在する。

Φ∘ιC\Phi\circ\iota_Cは単位元を保つ体準同型Q→RD\mathbb Q\to\mathbb R_Dであるから、§E1.15 命題 2.2によりΦ∘ιC=ιRD\Phi\circ\iota_C=\iota_{\mathbb R_D}である。命題 3.4によりιC\iota_CはRC\mathbb R_Cへの標準有理数埋め込みであるから、Φ\Phiは二つの標準有理数埋め込みを一致させる。標準有理数埋め込みを一致させる順序体同型は、とくに単位元と順序を保つ体同型であるから、Φ\Phiのほかにない。▨

7 演習

問題 7.1 (異なる代表元による逆元).an=2+1/na_n=2+1/nおよびan′=2+(−1)n/na'_n=2+(-1)^n/nとする。[a]=[a′][a]=[a']であることを示せ。また、命題 2.4の方法で得られる逆数列(1/an)(1/a_n)と(1/an′)(1/a'_n)が Cauchy 同値であることを直接証明せよ。

解答.

各nnについて

∣an−an′∣=∣1−(−1)n∣n≤2n|a_n-a'_n|=\frac{|1-(-1)^n|}{n}\leq\frac2n

であり、右辺(2/n)(2/n)は零列なのでa∼a′a\sim a'である。またan≥2a_n\geq2かつan′≥1a'_n\geq1であるため、

∣1an−1an′∣=∣an−an′∣∣anan′∣≤∣an−an′∣2≤1n.\left|\frac1{a_n}-\frac1{a'_n}\right| =\frac{|a_n-a'_n|}{|a_na'_n|} \leq\frac{|a_n-a'_n|}{2} \leq\frac1n.

右辺(1/n)(1/n)は零列なので、二つの逆数列も Cauchy 同値である。この例では、二つの代表元から作った逆数列が同じ同値類を与える。▨

参考文献

  1. Nicolas Bourbaki, General Topology, Chapters 1–4, Elements of Mathematics, Springer, Berlin, 1989.
  2. Walter Rudin, Principles of Mathematical Analysis, 3rd ed., International Series in Pure and Applied Mathematics, McGraw Hill, 1976.

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