§B2.4グラフ変換の一般論

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基礎では平行移動と対称移動を扱いました。ここでは拡大・縮小を加え、すべての変換を統一的に整理します。

定義 1 (関数のグラフの変換). 関数のグラフの変換とは、式y=f(x)y=f(x)の入力または出力を規則的に置き換えることに対応して、グラフ上の各点を平面上で伸縮、移動、または反転させる操作です。

もとの関数をf:D→Ef:D\to E(D⊆R, E⊆RD\subseteq\mathbb{R},\ E\subseteq\mathbb{R})とすると、変換後の定義域は式の中に現れる入力がDDに入る範囲として追跡します。f(bx)f(bx)の横変換ではb≠0b\ne0を仮定します。

1 変換の一覧

公式 1.1 (グラフ変換の式と点の対応).y=f(x)y = f(x)に対して:

式の書き換え グラフの変化
y=f(x−p)+qy = f(x - p) + q 定義域D+p={x∈R∣x−p∈D}D+p=\{x\in\mathbb{R}\mid x-p\in D\}で、xx方向へpp、yy方向へqq平行移動
y=a f(x)y = a\,f(x) 定義域DDで、yy方向に∣a∣\lvert a\rvert倍に伸縮(a<0a<0でxx軸対称も)
y=f(bx)y = f(bx)(b≠0b\ne0) 定義域{x∈R∣bx∈D}\{x\in\mathbb{R}\mid bx\in D\}で、xx方向に1∣b∣\dfrac{1}{\lvert b\rvert}倍に伸縮(b<0b<0でyy軸対称も)
y=−f(x)y = -f(x)/y=f(−x)y = f(-x) 定義域DD/{x∈R∣−x∈D}\{x\in\mathbb{R}\mid -x\in D\}で、xx軸 /yy軸に関して対称

yy方向は「そのままの倍率」、xx方向は逆数の倍率になるのが要注意点です。f(2x)f(2x)は横に半分に縮みます(22倍ではない)。xxに関する操作は、移動では符号が、伸縮では倍率が、式に現れる値の逆になります。

a=0a=0のときはグラフをy=0y=0に潰す退化ケースで、通常の伸縮とは区別します。また、元の点(u,f(u))(u,f(u))(u∈Du\in D)は、f(bx)f(bx)ではx=u/bx=u/bに対応します。この対応から横方向の倍率が1/∣b∣1/|b|になることが分かります。

b≠0b\ne0としてy=a f(b(x−p))+qy=a\,f(b(x-p))+qを考えると、もとのグラフ上の点(u,f(u))(u,f(u))は

(ub+p, a f(u)+q)\left(\frac{u}{b}+p,\ a\,f(u)+q\right)

へ移ります。したがって、もとのグラフには、まず横方向の1/∣b∣1/|b|倍の伸縮と、b<0b<0の場合のyy軸に関する対称移動を施し、その後に横へppだけ平行移動します。縦方向については、∣a∣|a|倍の伸縮と、a<0a<0の場合のxx軸に関する対称移動を施した後、縦へqqだけ平行移動します。式の値を求めるときにx−px-p、b(x−p)b(x-p)の順に計算することと、もとのグラフへ変換を施す順序とは異なるので、点の座標の対応から順序を定めます。

次の図は、縦の拡大、横の移動、縦の移動を同時に施した場合を示します。

横軸は入力xx、縦軸は出力yyです。図の表示範囲は指定した有限範囲に限られ、範囲外のグラフや元の関数の定義域の外は描かれていません。図からは描画範囲内の移動や形を観察できますが、定義域・値域・点の対応は式で確認します。

2 三角関数の振幅・周期・位相

公式 2.1 (三角関数の振幅、周期、位相).y=asin⁡(b(x−p))+qy = a\sin(b(x - p)) + q(a≠0, b≠0a\ne0,\ b\ne0)は、この一般論の三角関数版です。∣a∣|a|が振幅、bbが周期を2π∣b∣\dfrac{2\pi}{\lvert b\rvert}に変える係数、ppが位相のずれ、qqが上下の平行移動です。

また、実数r,sr,sが(r,s)≠(0,0)(r,s)\ne(0,0)を満たすとき、R=r2+s2R=\sqrt{r^2+s^2}とおき、

cos⁡φ=rR,sin⁡φ=sR\cos\varphi=\frac rR,\qquad \sin\varphi=\frac sR

を満たす実数φ\varphiを選ぶと、加法定理により

rsin⁡θ+scos⁡θ=Rsin⁡(θ+φ)r\sin\theta+s\cos\theta=R\sin(\theta+\varphi)

です。したがって、RRが振幅、φ\varphiが位相のずれを表します。r=s=0r=s=0の場合は定数関数00であるため、この振幅と位相の表示から除きます。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の問いに答えよ(y == f(x) のグラフに施す変換を考える。x 方向の変換は式の上では逆に効くことに注意: y == f(bx) は x 方向に 1/b 倍)。

解法の型点の移動で考える。(X, Y) →\to (kX, Y) なら X == x/k を代入して y == f(x/k)。式を評価する順序とグラフへ変換を施す順序を区別し、y == a f(b(x − p)) + q は「x 方向に 1/b 倍 →\to y 方向に a 倍 →\to (p, q) 平行移動」の順と点対応から定める

  1. f(x) == x - 2 とする。y == |f(x)| と y == f(|x|) を場合分けして表し、2つのグラフが一致するかどうか答えよ。

    f(x)=x−2f(x) = x-2
  2. f(x) == 2x - 6 とする。y == |f(x)| と y == f(|x|) を場合分けして表し、2つのグラフが一致するかどうか答えよ。

    f(x)=2x−6f(x) = 2x-6
  3. y == f(x) のグラフに次の2つの手順で変換を施す。(A) y 軸方向に 4 だけ平行移動してから、y 軸方向に 1/2 倍する。(B) y 軸方向に 1/2 倍してから、y 軸方向に 4 だけ平行移動する。それぞれで得られるグラフの方程式を求め、一致するかどうか答えよ。

    y=f(x)y = f(x)
  4. 次の関数のグラフは、y == f(x) のグラフにどのような変換をどの順に施して得られるか答えよ(拡大縮小・平行移動の順序に注意)。

    y=12f(3(x−4))−4y = \dfrac{1}{2}f\left(3\left(x - 4\right)\right) - 4
  5. f(x) == x - 1 とする。y == |f(x)| と y == f(|x|) を場合分けして表し、2つのグラフが一致するかどうか答えよ。

    f(x)=x−1f(x) = x-1
  6. f(x) == 2x - 2 とする。y == |f(x)| と y == f(|x|) を場合分けして表し、2つのグラフが一致するかどうか答えよ。

    f(x)=2x−2f(x) = 2x-2
  7. 次の f について、指定された式で表されるグラフ(直線 y == x に関する対称移動)の式を求めよ。

    f(x)=2x⟹y=f−1(x)= ?f(x) = 2^{x} \qquad \Longrightarrow \qquad y = f^{-1}(x) = \ ?
  8. 次の f について、指定された式で表されるグラフ(原点に関する対称移動)の式を求めよ。

    f(x)=x2−2x⟹y=−f(−x)= ?f(x) = x^{2} - 2x \qquad \Longrightarrow \qquad y = -f(-x) = \ ?
  9. 次の f について、指定された式で表されるグラフ(y 軸に関する対称移動)の式を求めよ。

    f(x)=1x−1⟹y=f(−x)= ?f(x) = \dfrac{1}{x - 1} \qquad \Longrightarrow \qquad y = f(-x) = \ ?
  10. 次の関数のグラフは、y == f(x) のグラフにどのような変換をどの順に施して得られるか答えよ(拡大縮小・平行移動の順序に注意)。

    y=3f(2(x−1))+3y = 3f\left(2\left(x - 1\right)\right) + 3

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の問いに答えよ(y == f(x) のグラフに施す変換を考える。x 方向の変換は式の上では逆に効くことに注意: y == f(bx) は x 方向に 1/b 倍)。

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