1 弧度法:角を「長さ」で測る
弧度法とは、半径1の円で、角に対応する弧の長さをそのまま角の大きさとする測り方です。 単位はラジアン。半径1の円の全周は2πなので、
360∘=2π ラジアン,180∘=π,90∘=2π
弧度法を使うと、弧の長さ=rθ、扇形の面積=21r2θのように式が簡潔になり、さらに微分((sinx)′=cosxなど)がきれいに成り立ちます。以降、角は原則ラジアンで測ります。
2 単位円による定義
原点中心・半径1の円(単位円)上で、x軸の正の向きから角θだけ回転した点の座標を(cosθ, sinθ)と定める。 そしてtanθ=cosθsinθ。これが三角関数の定義です。tanθは分母cosθ=0となる角、すなわちθ=2π+nπ(n∈Z、度数法では90∘+180∘⋅n)では定義されません。sin,cosはすべての角で定義されますが、tanだけはこの定義域の穴に注意します。
この定義なら、θが90∘を超えても、負でも、一周を超えても、点さえ決まれば値が決まります。下の図でθを動かしてください。点のy座標がsinθ、x座標がcosθです。
図の横軸・縦軸はそれぞれ座標の値であり、表示範囲は図に示した範囲に限られます。図からは点の位置や符号を観察できますが、周期やtanの定義域などの等式・条件は定義と計算で確認します。表示範囲の外にも同じ定義が続いており、図に描かれていない角を解から除外してはいけません。
3 符号と周期
点が第何象限にあるかで、cosθ,sinθの符号が決まります。また一周2π回ると同じ点に戻るので、sin(θ+2π)=sinθのように周期2π を持ちます(tanの周期はπ)。
閑話休題:360 と2πの使い分け なぜ1周を360∘とするのかについては、古代の60進法や天文上の慣行と結び付けて説明されることが多いものの、ここでは起源を一つの理由に断定しません。360 は多くの整数で割り切れるため、角を分割して扱うときに便利な単位です。
一方、ラジアンは円の弧長から直接定まる単位です。そのため、(sinx)′=cosxというきれいな式は、角をラジアンで測ったときにだけ成り立ちます。度で測ると(sinx∘)′=180πcosx∘と係数が付きます。小さい角でsinx≈xと書けることや、微分公式が簡潔になることは、弧度法の数学的な利点です。物理現象への応用には、それぞれ別途のモデルと仮定が必要です。