1 基本:単位円で角を読む
sinθ=21(0≤θ<2π)を解くとは、単位円上でy座標が21になる点の角をすべて挙げることです。第1象限のθ=6πと、第2象限のθ=65πの2つ。
「値を満たす角は単位円上に何個あるか」を単位円またはグラフで確認してください。sin,cosは基本2個、範囲や値によって個数が変わります。式だけで
1つだけ答えて取りこぼす、が最頻出の失敗です。
2 変形の定石
- 角をそろえる:cos2θとsinθが混在するなら、倍角公式でcos2θ=1−2sin2θとしてsinθだけの式にする。するとsinθをtと置いて2次方程式・2次不等式に帰着できます。
- 合成する:asinθ+bcosθの形は合成で1つのsinにまとめ、sin(θ+φ)=kの形にする。
- 置き換えの範囲に注意:t=sinθと置いたら−1≤t≤1。さらに2θやθ+φと置き換えたら、角の動く範囲も変換する(0≤θ<2πなら0≤2θ<4π)。ここを忘れると解を取りこぼします。
3 不等式は範囲で答える
0≤θ<2πの範囲でsinθ>21なら、単位円でy>21となる角の範囲(6π<θ<65π)を読みます。実数全体での解は6π+2nπ<θ<65π+2nπ (n∈Z)です。方程式が「点」を、不等式が「弧(範囲)」を答えるイメージです。
閑話休題:根号が敗れ、三角関数が3次方程式を解く 3次方程式には「カルダノの公式」という根号による解の公式があります。ところが、有理係数の三次式が既約で、相異なる3つの実根を持つ還元不能の場合には、途中でどうしても負の数の平方根(虚数)を経由してしまうという奇妙な癖があります。しかも、これは公式の作りが悪いのではありません。実数の根号だけで書こうとしても一般には不可能なことが知られています。重根や可約な三次式まで含む無条件の主張ではありません。全部実数の答えに、実数の道からはたどり着けないのです。
この行き詰まりを救うのが三角関数です。3倍角の公式cos3θ=4cos3θ−3cosθを見てください——cosθの3次式です。そこでx=2cosθと置くと、たとえばx3−3x=1は2(4cos3θ−3cosθ)=1、すなわちcos3θ=21という、まさにこの単元の三角方程式に化けます。0≤θ≤πに限定すると3θ=3π,35π,37πなので、3つの実数解がx=2cos9π, 2cos95π, 2cos97πとすべて実数のまま手に入ります。根号では書けない答えが、cosなら書ける——三角関数は角度の道具である以上に、代数の限界を1枚超える関数でもあるのです(なぜ根号が敗れるのかの完全な説明は、ガロア理論で与えられます)。