1 連続問題と射撃法
命題 1.1.a<bとし、c,f:[a,b]→Rを連続関数、c≥0、α,β∈Rとする。このとき
−u′′+cu=f,u(a)=α,u(b)=βを満たすu∈C2([a,b];R)がただ一つ存在する。
証明.w∈C2([a,b];R)がw′′−cw=0、w(a)=w(b)=0を満たすとする。部分積分により
0=∫ab(w′′−cw)wdx=[w′w]ab−∫ab(w′)2dx−∫abcw2dx=−∫ab(w′)2dx−∫abcw2dxであり、二つの被積分関数は連続かつ非負であるからw′=0である。wは定数であり、w(a)=0からw=0である。したがって、P=0、Q=−c、境界係数(αa,βa)=(αb,βb)=(1,0)の斉次境界値問題は自明解だけをもつ。
ℓ(x):=α+(β−α)(x−a)/(b−a)と置く。−f+cℓは連続であるから、§E10.13 系 3.6により
v′′−cv=−f+cℓ,v(a)=v(b)=0を満たすv∈C2([a,b];R)がただ一つ存在する。ℓ′′=0であるから、u:=v+ℓはu′′−cu=v′′−cv−cℓ=−fを満たし、u(a)=α、u(b)=βである。二つの解の差はw′′−cw=0、w(a)=w(b)=0を満たすC2級関数であるから、第一段により0である。▨
命題 1.2.a<b、L:=b−aとし、c,f:[a,b]→Rを連続関数、c≥0、α,β∈Rとし、uを命題 1.1の解とする。
- q′′=cq、q(a)=0、q′(a)=1を満たすq∈C2([a,b];R)がただ一つ存在する。qは[a,b]上で狭義増加し、q(b)≥Lである。
- 任意のs∈Rについて、y′′=cy−f、y(a)=α、y′(a)=sを満たすy∈C2([a,b];R)がただ一つ存在し、それはys:=u+(s−u′(a))qである。
- s∈Rに対してR(s):=ys(b)−βと置くと、任意のs∈RについてR(s)=R(0)+sq(b)である。Rの零点はs∗:=u′(a)だけであり、s∗=−R(0)/(R(1)−R(0))、ys∗=uである。
- s∈R、ε,η≥0とし、実数y^が∣y^−ys(b)∣≤εと∣y^−β∣≤ηを満たすとする。このとき
∣s−s∗∣≤q(b)η+ε≤Lη+ε
であり、任意のx∈[a,b]について∣ys(x)−u(x)∣≤η+εである。
証明.(1)を示す。§E10.13 補題 3.2と§E10.13 補題 3.3をP=0、Q=−c、(αa,βa)=(−1,0)に適用すると、q′′=cq、q(a)=0、q′(a)=1を満たすqはC1級で導関数が絶対連続な関数の中でただ一つ存在し、C2級である。q(a)=0、q′(a)=1であるから、δ∈(0,L)が存在してqは(a,a+δ]上で正である。Z:={x∈[a+δ,b]∣q(x)≤0}が空でないと仮定し、x1:=minZと置く。(a,x1)上でq′′=cq≥0であるからq′は[a,x1]上で単調非減少であり、q′≥q′(a)=1である。平均値の定理によりq(x1)≥x1−a>0であり、これはq(x1)≤0と両立しない。したがってqは(a,b]上で正であり、[a,b]上でq′′=cq≥0、q′≥1である。平均値の定理によりqは狭義増加し、q(b)≥q(a)+L=Lである。
(2)を示す。u′′=cu−fとq′′=cqからys′′=cys−fであり、ys(a)=α、ys′(a)=u′(a)+s−u′(a)=sである。yが同じ条件を満たすとすると、w:=y−ysはw′′=cw、w(a)=w′(a)=0を満たし、q+wは(1)の条件を満たす。(1)の一意性によりq+w=qであり、y=ysである。
(3)を示す。u(b)=βからR(s)=(s−u′(a))q(b)であり、R(0)=−u′(a)q(b)であるからR(s)=R(0)+sq(b)である。(1)によりq(b)>0であるから、Rの零点はu′(a)だけである。R(1)−R(0)=q(b)から−R(0)/(R(1)−R(0))=u′(a)であり、yu′(a)=uである。
(4)を示す。∣R(s)∣≤∣ys(b)−y^∣+∣y^−β∣≤ε+ηであり、(3)により∣R(s)∣=∣s−s∗∣q(b)である。q(b)≥Lから第一の評価を得る。ys−u=(s−s∗)qであり、(1)により任意のx∈[a,b]について0≤q(x)≤q(b)であるから、∣ys(x)−u(x)∣≤∣s−s∗∣q(b)≤η+εである。▨
2 中心差分法と差分行列
定義 2.1.a<b、L:=b−aとし、c,f:[a,b]→Rを連続関数、α,β∈R、n∈N≥1とする。h:=L/(n+1)、xi:=a+ih(0≤i≤n+1)、ci:=c(xi)、fi:=f(xi)と置き、集合{x0,…,xn+1}上の実数値関数Vを値の列(V0,…,Vn+1)、Vi:=V(xi)と同一視する。
U0=α,Un+1=β,−Dh2U(xi)+ciUi=fi(1≤i≤n)を境界値問題−u′′+cu=f、u(a)=α、u(b)=βの格子幅hの 中心差分方程式 (central difference equation) といい、その解(U0,…,Un+1)を 離散解 (discrete solution) という。Anを§E20.10 命題 5.1の行列とし、
Bh:=h−2An+diag(c1,…,cn)を 差分行列 (difference matrix) という。e1,…,enをRnの標準基底としてF:=(f1,…,fn)T+h−2(αe1+βen)と置く。n=1ではF=(f1+(α+β)/h2)である。
命題 2.2.定義 2.1の設定でc≥0とする。
- Bhは実対称かつ正定値であり、任意のv∈RnについてvTBhv=h−2vTAnv+∑i=1ncivi2≥h−2vTAnvである。
- v∈Rnにv0:=vn+1:=0を添えると、1≤i≤nについて(Bhv)i=−Dh2v(xi)+civiである。
- 中心差分方程式の離散解はただ一つ存在し、(U1,…,Un)TはBhU^=Fのただ一つの解U^である。
- Bhのピボット選択なしの消去を厳密算術で実行すると、どの段でも失敗せず、すべてのピボットは正である。§E20.5 定理 6.1 (1)の漸化式による消去、前進代入と後退代入はBhU^=Fの解を8n−7回の四則演算で与える。
証明.(1)を示す。Anと対角行列は対称であるからBhは対称であり、等式はBhの定義から従う。ci≥0から不等式が成り立つ。§E20.10 命題 5.1 (1)によりv=0ならばvTAnv>0であるから、Bhは正定値である。
(2)を示す。Anの第i行から(Anv)i=2vi−vi−1−vi+1であり、i=1とi=nで現れない項はv0=vn+1=0により0である。−Dh2v(xi)=(2vi−vi−1−vi+1)/h2から等式を得る。
(3)を示す。(U0,…,Un+1)を実数の列とし、U^:=(U1,…,Un)Tと置く。1≤i≤nについて、−Dh2U(xi)+ciUiは、U^に0を添えた列に(2)を適用した値(BhU^)iから、i=1のときU0/h2を、i=nのときUn+1/h2を引いた値である。したがってU0=α、Un+1=βの下で、中心差分方程式はBhU^=Fと同値である。(1)によりBhは正則であるから、解はただ一つである。
(4)は、(1)と三重対角なBhに§E20.5 定理 6.1 (3)と§E20.5 定理 6.1 (1)を適用して得られる。▨
命題 2.3.定義 2.1の設定でc≥0とし、C:=max[a,b]c、1≤k≤nについてμk:=4h−2sin2(kπ/(2(n+1)))と置き、ν1≤⋯≤νnをBhの固有値を重複度を込めて並べたものとする。
- 1≤k≤nについてμk≤νk≤μk+Cである。
- 4/L2≤μ1≤π2/L2、2h−2≤μn≤4h−2である。
-
(π2+CL2)h22L2≤μ1+Cμn≤κ2(Bh)≤μ1μn+C≤h2L2+4CL2
である。特にcとLを固定してn→∞とするとκ2(Bh)=Θ(h−2)である。
- c=0ならばκ2(Bh)=cot2(π/(2(n+1)))であり、n→∞のときπ2h2κ2(Bh)/(4L2)→1である。
証明.(1)を示す。§E20.10 命題 5.1 (2)によりh−2Anの固有値を非減少に並べた列はμ1<⋯<μnである。D:=diag(c1,…,cn)と置くと、∥x∥2=1を満たすx∈Rnについて0≤xTDx≤Cであるから
xT(h−2An)x≤xTBhx≤xT(h−2An)x+Cである。dimS=kを満たす各部分空間Sで単位ベクトルx∈Sについての最大値をとり、さらにSについての最小値をとると、§E20.7 定理 4.2をBhとh−2Anに適用してμk≤νk≤μk+Cを得る。
(2)を示す。θ:=π/(2(n+1))=πh/(2L)と置くと0<θ≤π/4である。sinは[0,π/2]上で凹でありsint≤tであるから、2θ/π≤sinθ≤θであり、μ1=4h−2sin2θから第一の評価を得る。nπ/(2(n+1))=π/2−θからμn=4h−2cos2θであり、1/2≤cos2θ≤1から第二の評価を得る。
(3)を示す。命題 2.2 (1)によりBhは実対称かつ正定値であるから、§E20.5 命題 4.4 (5)によりκ2(Bh)=νn/ν1である。(1)から内側の二つの不等式を得る。(2)によりμn/(μ1+C)≥2h−2/(π2/L2+C)、(μn+C)/μ1≤(4h−2+C)L2/4である。
(4)を示す。c=0ではBh=h−2Anであり、κ2(Bh)=μn/μ1=cos2θ/sin2θ=cot2θである。n→∞のときθ→0であり、θ2cot2θ=(θ/sinθ)2cos2θ→1、θ2=π2h2/(4L2)である。▨
例 2.4.c=0、a=0、b=Lとする。§E12.13 例 4.2により、−y′′=λy、y(0)=y(L)=0の固有値はλk=(kπ/L)2、固有関数はsin(kπx/L)の定数倍である(k∈N≥1)。xj=jh=jL/(n+1)であるから、§E20.10 命題 5.1 (2)の固有ベクトルs(k)の成分sin(jkπ/(n+1))はsin(kπx/L)のxjでの値であり、h−2Ans(k)=μks(k)である。1≤k≤nについてθk:=kπh/(2L)∈(0,π/2)と置くと
μk=λk(θksinθk)2,π24λk<μk<λkである。kを固定してn→∞とするとμk→λkであり、μn/λn=(sinθn/θn)2→4/π2である。
3 離散最大原理と収束
補題 3.1.n∈N≥1、h>0、c1,…,cn≥0とし、実数v0,…,vn+1がv0≥0、vn+1≥0と
−h2vi−1−2vi+vi+1+civi≥0(1≤i≤n)を満たすとする。このとき、0≤i≤n+1を満たすすべてのiについてvi≥0である。
証明.m:=min0≤i≤n+1vi<0と仮定し、vj=mを満たす最小の添字をjとする。v0,vn+1≥0>mであるから1≤j≤nである。jの最小性とv0≥0からvj−1>mであり、vj+1≥mである。したがって
−vj−1+2vj−vj+1=(vj−vj−1)+(vj−vj+1)<0であり、cj≥0、vj<0からcjvj≤0である。二つを合わせると−(vj−1−2vj+vj+1)/h2+cjvj<0であり、これはi=jの仮定の不等式と両立しない。▨
命題 3.2.定義 2.1の設定でc≥0とし、1≤i≤nについてwi:=(xi−a)(b−xi)/2、w:=(w1,…,wn)Tと置く。
- r∈Rnの成分がすべて非負ならば、Bh−1rの成分もすべて非負である。
- 1≤i≤nについて(Bhw)i=1+ciwi≥1である。
- 任意のr∈Rnと1≤i≤nについて∣(Bh−1r)i∣≤∥r∥∞wi≤L2∥r∥∞/8である。特に∥Bh−1∥∞≤L2/8である。
証明.(1)を示す。v:=Bh−1rにv0:=vn+1:=0を添えると、命題 2.2 (2)により1≤i≤nについて−Dh2v(xi)+civi=ri≥0である。補題 3.1によりvi≥0である。
(2)を示す。W(x):=(x−a)(b−x)/2は二次多項式であり、W′′=−1、W(4)=0である。§E20.19 定理 1.2 (3)により1≤i≤nについてDh2W(xi)=W′′(xi)=−1である。W(x0)=W(xn+1)=0であるから、命題 2.2 (2)により(Bhw)i=1+ciwiであり、ci≥0、wi≥0から(Bhw)i≥1である。
(3)を示す。∥r∥∞=:Mと置く。(2)によりBh(Mw±Bh−1r)=MBhw±rの各成分はM±ri≥0以上である。(1)によりMw±Bh−1rの成分はすべて非負であり、∣(Bh−1r)i∣≤Mwiである。(x−a)(b−x)≤L2/4からwi≤L2/8である。▨
例 3.3.κ>0、a=0、b=1、c=κ2、f=0、α=1、β=0とする。命題 1.1の解はu(x)=sinh(κ(1−x))/sinhκであり、0≤u≤1である。命題 1.2 (1)の関数はq(x)=sinh(κx)/κであり、命題 1.2 (2)により任意のs,δ∈Rについてys+δ−ys=δsinh(κx)/κである。命題 1.2 (3)により∣R(s)∣=∣s−s∗∣sinhκ/κである。κ=40ではsinh40/40=2.94…×1015であり、∣R(s)∣≤1は∣s−s∗∣≤κ/sinhκ=3.39…×10−16と同値である。
初期値をα+ϑに替えると、y′′=κ2y、y(0)=1+ϑ、y′(0)=sの解はys+ϑcosh(κx)である。この関数は方程式と初期条件を満たし、命題 1.2 (2)をα+ϑに適用した一意性により解はこれに限る。κ=40、ϑ=10−16では終端値の変化は10−16cosh40=11.76…である。
同じ係数の中心差分方程式で、境界値αをα+ϑ(ϑ≥0)に替えた離散解から元の離散解を引いた差をVとする。V0=ϑ、Vn+1=0であり、1≤i≤nについて−Dh2V(xi)+κ2Vi=0、−Dh2(ϑ−V)(xi)+κ2(ϑ−Vi)=κ2ϑ≥0である。補題 3.1をVとϑ−Vに適用すると、すべてのiについて0≤Vi≤ϑである。命題 3.2 (3)の定数L2/8=1/8もκによらない。
定理 3.4.定義 2.1の設定でc≥0とし、uを命題 1.1の解、(U0,…,Un+1)を離散解とする。u∈C4([a,b];R)ならば、M4:=max[a,b]∣u(4)∣と置くと、0≤i≤n+1について
∣Ui−u(xi)∣≤24h2M4(xi−a)(b−xi)≤96L2h2M4であり、任意のV^∈Rnについて
1≤i≤nmax∣V^i−u(xi)∣≤96L2h2M4+8L2∥F−BhV^∥∞である。c,f∈C2([a,b];R)ならばu∈C4([a,b];R)である。
証明.1≤i≤nとする。[xi−h,xi+h]=[xi−1,xi+1]⊆[a,b]であるから、§E20.19 定理 1.2 (3)によりξi∈[xi−1,xi+1]が存在してDh2u(xi)=u′′(xi)+h2u(4)(ξi)/12である。−u′′(xi)+ciu(xi)=fiから
−Dh2u(xi)+ciu(xi)=fi−12h2u(4)(ξi)である。Ei:=Ui−u(xi)(0≤i≤n+1)と置くとE0=En+1=0であり、τi:=h2u(4)(ξi)/12と置くと、中心差分方程式との差から−Dh2E(xi)+ciEi=τiである。命題 2.2 (2)によりBh(E1,…,En)T=τであり、∥τ∥∞≤h2M4/12である。命題 3.2 (3)により∣Ei∣≤∥τ∥∞wi≤h2M4(xi−a)(b−xi)/24であり、(xi−a)(b−xi)≤L2/4から第一の評価を得る。
U^:=(U1,…,Un)Tと置く。命題 2.2 (3)によりBhU^=FであるからV^−U^=−Bh−1(F−BhV^)であり、命題 3.2 (3)により∥V^−U^∥∞≤L2∥F−BhV^∥∞/8である。∣V^i−u(xi)∣≤∣V^i−Ui∣+∣Ei∣から第二の評価を得る。
c,f∈C2ならば、u∈C2からu′′=cu−fはC2級であり、u∈C4である。▨
例 3.5.a=0、b=1、c=0、u(x)=x4、f(x)=−12x2、α=0、β=1とすると、uは命題 1.1の解であり、M4=24である。§E20.19 定理 1.2 (3)により1≤i≤nについてDh2u(xi)−u′′(xi)=2h2であり、離散解との差Ei:=Ui−u(xi)はE0=En+1=0、−Dh2E(xi)=2h2を満たす。命題 2.2 (2)によりBh(E1,…,En)T=2h2(1,…,1)Tであり、c=0では命題 3.2 (2)によりBhw=(1,…,1)Tである。Bhは正則であるから(E1,…,En)T=2h2w、すなわちEi=h2xi(1−xi)である。nが奇数ならばx(n+1)/2=1/2であり、maxi∣Ei∣=h2/4=L2h2M4/96である。したがって定理 3.4の第一の評価は等号で成り立つ。h=1/2,1/4,1/8,1/16でのmaxi∣Ei∣は1/16,1/64,1/256,1/1024であり、格子幅を半分にするごとに1/4倍になる。
4 非線形の差分方程式と Newton 法
例 4.1.a<b、L:=b−a、n∈N≥1、h:=L/(n+1)、xi:=a+ihとし、u(x):=(x−a)(b−x)、uh:=(u(x1),…,u(xn))T、gi:=2+u(xi)3と置く。G:Rn→Rnを
G(V):=h−2AnV+(V13,…,Vn3)T−(g1,…,gn)Tで定める。命題 2.2 (2)をc=0として用いると、V∈RnにV0:=Vn+1:=0を添えた列について、G(V)=0は−Dh2V(xi)+Vi3=gi(1≤i≤n)と同値であり、これは−v′′+v3=2+u3、v(a)=v(b)=0の二階導関数を二階中心差分で置き換えた方程式である。
u′′=−2、u(4)=0、u(x0)=u(xn+1)=0であるから、§E20.19 定理 1.2 (3)と命題 2.2 (2)(c=0)によりh−2Anuh=(2,…,2)Tであり、G(uh)=0である。GはC1級であり、DG(V)=h−2An+3diag(V12,…,Vn2)である。μ1:=4h−2sin2(π/(2(n+1)))と置くと、§E20.7 定理 4.2をk=1でh−2Anに適用して、任意のx∈RnについてxTDG(V)x≥xTh−2Anx≥μ1∥x∥22である。したがってDG(V)は実対称かつ正定値であり、Newton 法の各段の連立一次方程式は§E20.5 定理 6.1 (3)によりピボット選択なしの三重対角消去で解かれる。Cauchy–Schwarz の不等式から∥DG(V)x∥2≥μ1∥x∥2であり、命題 2.3 (2)(c=0)によりβ:=∥DG(uh)−1∥2≤1/μ1≤L2/4である。
r:=L2/4とし、x,y∈Rnが∥x−uh∥2≤r、∥y−uh∥2≤rを満たすとする。0≤u≤L2/4であるから∣xi∣,∣yi∣≤L2/2であり、
∥DG(x)−DG(y)∥2≤3imax∣xi+yi∣∣xi−yi∣≤3L2∥x−y∥2である。したがってuhはGの正則零点であり、半径r、定数γ:=3L2の Lipschitz 条件を満たし、1/(2βγ)≥2/(3L4)である。§E20.23 定理 2.5により、∥V0−uh∥2≤min{L2/4, 2/(3L4)}を満たす任意のV0から Newton 法の反復列(Vk)が定まり、∥Vk+1−uh∥2≤βγ∥Vk−uh∥22≤43L4∥Vk−uh∥22を満たしてuhに収束する。
a=0、b=1、n=7とすると、この半径は1/4である。V0=0は∥V0−uh∥2=0.516…を満たし、この半径の球に属さない。60桁の十進演算で計算すると、∥Vk−uh∥2はk=1,2,3,4で2.55×10−3、1.94×10−7、1.12×10−15、3.73×10−32である。V1はこの半径の球に属し、k≥1の値は評価∥Vk+1−uh∥2≤43∥Vk−uh∥22を満たす。