§E12.13応用:正則 Sturm–Liouville 問題

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有限閉区間上の正則 Sturm–Liouville 問題は、微分方程式の境界値問題と Hilbert 空間のスペクトル論が結びつく最も基本的な例の一つである。たとえば、Neumann 条件の下で−y′′=f-y''=fを解くことができるのは、外力ffの平均が零である場合に限る。この条件は定数固有関数との直交性を表す。しかし、固有関数が互いに直交することだけでは、任意の二乗可積分な外力を固有関数の級数として表すことができるとは限らない。

Green 作用素は、外力に境界値問題の解を対応させる積分作用素である。適切な実シフトを加えた問題の Green 作用素はコンパクト自己共役作用素となるため、そのスペクトル定理から古典的な固有関数の完全性が従う。これにより、外力の固有関数展開は二乗平均の意味で成立し、微分方程式のパラメータが固有値に一致しない場合の一意な解表示と、一致する場合の直交可解条件とを同じ原理から導くことができる。

本記事では、正則 Sturm–Liouville 問題の Green 作用素と固有関数系を構成し、二乗平均収束する展開を境界値問題の解表示へ適用する。

1 境界条件と実シフト

定義 1.1.a<ba<bとし、実数値関数p∈C1([a,b])p\in C^1([a,b])、q,w∈C([a,b])q,w\in C([a,b])がp(x)>0p(x)>0、w(x)>0w(x)>0をすべてのx∈[a,b]x\in[a,b]で満たすとする。実境界係数は(αa,βa)≠(0,0)(\alpha_a,\beta_a)\ne(0,0)、(αb,βb)≠(0,0)(\alpha_b,\beta_b)\ne(0,0)とする。 Hilbert 空間

H=L2([a,b],w(x) dx;C),⟨f,g⟩w=∫abf(x)g(x)‾w(x) dxH=L^2([a,b],w(x)\,dx;\C),\qquad \langle f,g\rangle_w=\int_a^bf(x)\overline{g(x)}w(x)\,dx

上の正則 Sturm–Liouville 作用素 (regular Sturm–Liouville operator) を

D(A)={y∈C1([a,b];C)  ∣  y′∈AC([a,b];C),w−1(−(py′)′+qy)∈H,αay(a)+βap(a)y′(a)=0,αby(b)+βbp(b)y′(b)=0},Ay=−(py′)′+qyw\begin{aligned} D(A)=\bigl\{y\in C^1([a,b];\C)\;\bigm|\;&y'\in AC([a,b];\C),\quad w^{-1}(-(py')'+qy)\in H,\\ &\alpha_a y(a)+\beta_a p(a)y'(a)=0,\\ &\alpha_b y(b)+\beta_b p(b)y'(b)=0\bigr\},\\ Ay&=\frac{-(py')'+qy}{w} \end{aligned}

によって定める。微分式はほとんど至る所で解釈し、端点の導関数は片側導関数とする。D(A)D(A)の関数はHHの同値類と同一視する。w>0w>0であるから、同じ同値類に属する連続関数は全点で一致する。

κ∈R\kappa\in\Rに対してA+κI:D(A)→HA+\kappa I:D(A)\to Hが全単射であるとき、その逆写像Tκ=(A+κI)−1T_\kappa=(A+\kappa I)^{-1}を、シフトκ\kappaに対する Green 作用素 (Green operator) という。

補題 1.2.a<ba<b、y∈C1([a,b];C)y\in C^1([a,b];\C)とする。任意のε>0\varepsilon>0に対して

∣y(a)∣2+∣y(b)∣2≤ε∫ab∣y′∣2 dx+(2b−a+4ε)∫ab∣y∣2 dx|y(a)|^2+|y(b)|^2 \leq \varepsilon\int_a^b|y'|^2\,dx +\left(\frac{2}{b-a}+\frac{4}{\varepsilon}\right)\int_a^b|y|^2\,dx

が成り立つ。

証明. 演習とする(問題 5.1)。▨

命題 1.3.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とし、mp=min⁡[a,b]pm_p=\min_{[a,b]}pとする。あるκ0∈R\kappa_0\in\Rが存在して、任意のκ≥κ0\kappa\geq\kappa_0とy∈D(A)y\in D(A)に対して⟨(A+κI)y,y⟩w\langle(A+\kappa I)y,y\rangle_wは実数であり、

⟨(A+κI)y,y⟩w≥mp2∫ab∣y′∣2 dx+∥y∥w2\langle(A+\kappa I)y,y\rangle_w \geq\frac{m_p}{2}\int_a^b|y'|^2\,dx+\|y\|_w^2

が成り立つ。特にker⁡(A+κI)={0}\ker(A+\kappa I)=\{0\}である。

証明.y∈D(A)y\in D(A)に対して、py′py'とy‾\overline yに§E10.2 定理 3.3を適用すると、

⟨(A+κI)y,y⟩w=∫ab(p∣y′∣2+(q+κw)∣y∣2) dx−[py′y‾]ab\langle(A+\kappa I)y,y\rangle_w =\int_a^b\bigl(p|y'|^2+(q+\kappa w)|y|^2\bigr)\,dx -[py'\overline y]_a^b

を得る。βe=0\beta_e=0である端点eeではy(e)=0y(e)=0であり、βe≠0\beta_e\ne0である端点ではp(e)y′(e)=−(αe/βe)y(e)p(e)y'(e)=-(\alpha_e/\beta_e)y(e)である。したがって境界項は実数であり、

R=∑e∈{a,b}βe≠0∣αeβe∣R=\sum_{\substack{e\in\{a,b\}\\\beta_e\ne0}} \left|\frac{\alpha_e}{\beta_e}\right|

とおくと

−[py′y‾]ab≥−R(∣y(a)∣2+∣y(b)∣2)-[py'\overline y]_a^b\geq-R\bigl(|y(a)|^2+|y(b)|^2\bigr)

が成り立つ。

R>0R>0の場合は補題 1.2にε=mp/(2R)\varepsilon=m_p/(2R)を代入する。R=0R=0の場合も含めて

C=2Rb−a+8R2mpC=\frac{2R}{b-a}+\frac{8R^2}{m_p}

とおけば、

⟨(A+κI)y,y⟩w≥mp2∫ab∣y′∣2 dx−(∥q∥∞+C)∫ab∣y∣2 dx+κ∥y∥w2\langle(A+\kappa I)y,y\rangle_w \geq\frac{m_p}{2}\int_a^b|y'|^2\,dx -\bigl(\|q\|_\infty+C\bigr)\int_a^b|y|^2\,dx +\kappa\|y\|_w^2

を得る。mw=min⁡[a,b]w>0m_w=\min_{[a,b]}w>0とし、

κ0=1+∥q∥∞+Cmw\kappa_0=1+\frac{\|q\|_\infty+C}{m_w}

と選ぶと、∫ab∣y∣2 dx≤mw−1∥y∥w2\int_a^b|y|^2\,dx\leq m_w^{-1}\|y\|_w^2より所要の下限を得る。(A+κI)y=0(A+\kappa I)y=0ならば下限から∥y∥w=0\|y\|_w=0であり、y=0y=0である。▨

2 Green 表示と逆作用素

定理 2.1.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とする。κ∈R\kappa\in\Rがker⁡(A+κI)={0}\ker(A+\kappa I)=\{0\}を満たすならば、Green 作用素TκT_\kappaが存在する。実数値連続関数Kκ:[a,b]2→RK_\kappa:[a,b]^2\to\Rが存在して、

Kκ(x,s)=Kκ(s,x),(Tκf)(x)=∫abKκ(x,s)f(s)w(s) dsK_\kappa(x,s)=K_\kappa(s,x),\qquad (T_\kappa f)(x)=\int_a^bK_\kappa(x,s)f(s)w(s)\,ds

が任意のf∈Hf\in Hとすべてのx∈[a,b]x\in[a,b]で成り立つ。

y=Tκfy=T_\kappa fはC1C^1級であり、y′y'とpy′py'は絶対連続である。微分方程式

−(py′)′+(q+κw)y=wf-(py')'+(q+\kappa w)y=wf

はほとんど至る所で成り立ち、両端の境界条件は端点の値として成り立つ。ffが連続な代表元を持つならばy∈C2([a,b])y\in C^2([a,b])であり、微分方程式は全点で成り立つ。

証明.P=p′/pP=p'/p、Q=−(q+κw)/pQ=-(q+\kappa w)/pとおき、微分方程式を

y′′+Py′+Qy=−wpfy''+Py'+Qy=-\frac{w}{p}f

と書く。P,QP,Qは連続な実数値関数であり、正規化された境界条件の係数は(αa,βap(a))(\alpha_a,\beta_a p(a))、(αb,βbp(b))(\alpha_b,\beta_b p(b))である。この斉次方程式のC1C^1級かつ導関数が絶対連続である境界解はAy=−κy∈HAy=-\kappa y\in Hを満たすのでD(A)D(A)に属し、仮定から零である。

f∈Hf\in Hに対して Cauchy–Schwarz の不等式より

∫ab∣wpf∣ dx≤1min⁡p(∫abw dx)1/2∥f∥w<∞\int_a^b\left|\frac{w}{p}f\right|\,dx \leq\frac{1}{\min p}\left(\int_a^bw\,dx\right)^{1/2}\|f\|_w<\infty

である。§E10.13 定理 3.5により、正規化された方程式の Green 関数GκG_\kappaが存在し、

y(x)=−∫abGκ(x,s)w(s)p(s)f(s) dsy(x)=-\int_a^bG_\kappa(x,s)\frac{w(s)}{p(s)}f(s)\,ds

は境界条件を満たす一意なC1C^1解であり、y′y'は絶対連続である。p∈C1p\in C^1なのでpy′py'も絶対連続であり、Ay=f−κy∈HAy=f-\kappa y\in Hからy∈D(A)y\in D(A)である。ffの代表元を替えても全点の解は変わらない。したがってA+κIA+\kappa Iは全射でもあり、逆写像を持つ。連続な外力についてのC2C^2正則性と全点での方程式も、引用した定理から従う。

引用した Green 表示に現れる実数値の左右境界解をu,vu,v、W=uv′−u′vW=uv'-u'vとする。u,vu,vは−(py′)′+(q+κw)y=0-(py')'+(q+\kappa w)y=0を満たす。§E10.14 定理 2.1 (1)を係数p,q+κwp,q+\kappa wと任意の部分区間に適用すると[p(uv′−u′v)]=0[p(uv'-u'v)]=0であるから、c=pWc=pWは零でない実定数である。そこでKκ(x,s)=−Gκ(x,s)/p(s)K_\kappa(x,s)=-G_\kappa(x,s)/p(s)とおくと、

Kκ(x,s)=−1c{u(x)v(s),a≤x≤s≤b,u(s)v(x),a≤s≤x≤b.K_\kappa(x,s)=-\frac1c \begin{cases} u(x)v(s),&a\leq x\leq s\leq b,\\ u(s)v(x),&a\leq s\leq x\leq b. \end{cases}

この式からKκK_\kappaの実数値性と対称性を得る。連続性はGκG_\kappaの連続性とp>0p>0から従う。▨

定理 2.2.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とし、κ∈R\kappa\in\Rはker⁡(A+κI)={0}\ker(A+\kappa I)=\{0\}を満たすとする。 Green 作用素Tκ:H→HT_\kappa:H\to Hは有界線形、コンパクト、自己共役かつ単射であり、im⁡Tκ=D(A)\im T_\kappa=D(A)はHHで稠密である。

さらにκ≥κ0\kappa\geq\kappa_0とし、κ0\kappa_0は命題 1.3の下限を満たすとする。このとき任意のf∈H∖{0}f\in H\setminus\{0\}に対して

⟨Tκf,f⟩w>0\langle T_\kappa f,f\rangle_w>0

である。ただし、すべてのf∈Hf\in Hに対して⟨Tκf,f⟩w≥c∥f∥w2\langle T_\kappa f,f\rangle_w\geq c\|f\|_w^2を満たす定数c>0c>0は存在しない。

証明.dμ=w(x) dxd\mu=w(x)\,dxとおくとμ([a,b])<∞\mu([a,b])<\inftyである。定理 2.1の連続核KκK_\kappaは有界なのでKκ∈L2(μ×μ)K_\kappa\in L^2(\mu\times\mu)である。§E12.11 定理 2.2よりTκT_\kappaは有界線形かつコンパクトであり、

∥Tκ∥≤∥Kκ∥L2(μ×μ)\|T_\kappa\|\leq\|K_\kappa\|_{L^2(\mu\times\mu)}

を満たす。

f,g∈Hf,g\in Hとするとf,g∈L1(μ)f,g\in L^1(\mu)でもあり、Kκ(x,s)f(s)g(x)‾K_\kappa(x,s)f(s)\overline{g(x)}は積測度に関して可積分である。§E9.11 定理 3.2と実対称性により

⟨Tκf,g⟩w=∫ab∫abKκ(x,s)f(s)g(x)‾ dμ(s) dμ(x)=∫abf(s)∫abKκ(s,x)g(x) dμ(x)‾ dμ(s)=⟨f,Tκg⟩w.\begin{aligned} \langle T_\kappa f,g\rangle_w &=\int_a^b\int_a^bK_\kappa(x,s)f(s)\overline{g(x)}\,d\mu(s)\,d\mu(x)\\ &=\int_a^bf(s)\overline{\int_a^bK_\kappa(s,x)g(x)\,d\mu(x)}\,d\mu(s) =\langle f,T_\kappa g\rangle_w. \end{aligned}

したがってTκT_\kappaは自己共役である。

逆写像の等式

(A+κI)Tκf=f(f∈H),Tκ(A+κI)y=y(y∈D(A))(A+\kappa I)T_\kappa f=f\quad(f\in H),\qquad T_\kappa(A+\kappa I)y=y\quad(y\in D(A))

から、TκT_\kappaは単射であり、im⁡Tκ=D(A)\im T_\kappa=D(A)である。h∈(im⁡Tκ)⊥h\in(\im T_\kappa)^\perpならば、任意のf∈Hf\in Hに対して0=⟨Tκf,h⟩w=⟨f,Tκh⟩w0=\langle T_\kappa f,h\rangle_w=\langle f,T_\kappa h\rangle_wである。f=Tκhf=T_\kappa hとするとTκh=0T_\kappa h=0となり、単射性からh=0h=0である。§E12.8 命題 2.3によりim⁡Tκ\im T_\kappaは稠密である。

κ≥κ0\kappa\geq\kappa_0、f≠0f\ne0とし、y=Tκfy=T_\kappa fとおくとy≠0y\ne0である。命題 1.3より

⟨Tκf,f⟩w=⟨y,(A+κI)y⟩w≥∥y∥w2>0\langle T_\kappa f,f\rangle_w =\langle y,(A+\kappa I)y\rangle_w \geq\|y\|_w^2>0

を得る。

一様な正下限c>0c>0が存在すると仮定する。互いに素な区間In=(a+(b−a)2−n,a+(b−a)2−n+1)I_n=(a+(b-a)2^{-n},a+(b-a)2^{-n+1})、n∈N≥1n\in\NNの指示関数を用いてen=1In/μ(In)e_n=\mathbf1_{I_n}/\sqrt{\mu(I_n)}とおくと、(en)(e_n)はHHの正規直交列である。仮定と Cauchy–Schwarz の不等式により任意のf∈Hf\in Hに対して∥Tκf∥w≥c∥f∥w\|T_\kappa f\|_w\geq c\|f\|_wであるから、n≠mn\ne mならば

∥Tκen−Tκem∥w≥c2\|T_\kappa e_n-T_\kappa e_m\|_w\geq c\sqrt2

である。これはコンパクト性により(Tκen)(T_\kappa e_n)が収束部分列を持つことに反する。したがって一様な正下限は存在しない。▨

例 2.3.[a,b]=[0,1][a,b]=[0,1]、p=w=1p=w=1、q=0q=0とし、y(0)=y(1)=0y(0)=y(1)=0を課す。κ=0\kappa=0に対する Green 核は

K0(x,s)=min⁡{x,s}(1−max⁡{x,s})K_0(x,s)=\min\{x,s\}\bigl(1-\max\{x,s\}\bigr)

である。外力f=1(0,1/2)f=\mathbf1_{(0,1/2)}に対する解は

(T0f)(x)={3x8−x22,0≤x≤12,1−x8,12≤x≤1.(T_0f)(x)= \begin{cases} \dfrac{3x}{8}-\dfrac{x^2}{2},&0\leq x\leq\dfrac12,\\[2mm] \dfrac{1-x}{8},&\dfrac12\leq x\leq1. \end{cases}

この解はC1C^1級であり導関数は絶対連続であるが、x=1/2x=1/2で二階微分可能ではない。

証明.−y′′=0-y''=0と両端の零境界条件からy=0y=0である。左右境界解u(x)=xu(x)=x、v(x)=1−xv(x)=1-xに対してpW=−1pW=-1なので、定理 2.1の核の式は上記のK0K_0を与える。∫01/2K0(x,s) ds\int_0^{1/2}K_0(x,s)\,dsをs=xs=xで分けて積分すると上記の解を得る。導関数は左側で3/8−x3/8-x、右側で−1/8-1/8であり、x=1/2x=1/2で一致する。導関数は連続な区分一次関数なので絶対連続であるが、その左右の傾きは−1-1と00である。▨

例 2.4.[a,b]=[0,1][a,b]=[0,1]、p=w=1p=w=1、q=0q=0とし、y′(0)=y′(1)=0y'(0)=y'(1)=0を課す。κ=0\kappa=0では定数関数が核に属するため Green 作用素は存在しない。任意のκ>0\kappa>0に対して Green 作用素TκT_\kappaが存在し、定数関数11に対してTκ1=1/κT_\kappa1=1/\kappaが成り立つ。

証明. 境界項は零であるから⟨(A+κI)y,y⟩=∫01∣y′∣2 dx+κ∫01∣y∣2 dx\langle(A+\kappa I)y,y\rangle=\int_0^1|y'|^2\,dx+\kappa\int_0^1|y|^2\,dxである。κ>0\kappa>0ならば核は零であり、定理 2.1が適用される。y=1/κy=1/\kappaは−y′′+κy=1-y''+\kappa y=1と両端の Neumann 条件を満たすため、一意性から結論を得る。▨

3 固有関数の完全系と展開

補題 3.1.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とし、κ≥κ0\kappa\geq\kappa_0を命題 1.3の下限を満たす実数とする。τ∈C∖{0}\tau\in\C\setminus\{0\}とe∈H∖{0}e\in H\setminus\{0\}に対して、Tκe=τeT_\kappa e=\tau eであることと、eeが両端の境界条件および

−(pe′)′+qe=λwe,λ=τ−1−κ-(pe')'+qe=\lambda we,\qquad \lambda=\tau^{-1}-\kappa

を全点で満たすC2([a,b];C)C^2([a,b];\C)の代表元を持つことは同値である。このときτ>0\tau>0、λ∈R\lambda\in\Rである。逆にAAの任意の固有値λ\lambdaはλ+κ≠0\lambda+\kappa\ne0を満たし、AAの固有空間とTκT_\kappaの固有値(λ+κ)−1(\lambda+\kappa)^{-1}に対する固有空間は一致する。

証明.Tκe=τeT_\kappa e=\tau eとすると、定理 2.2により

τ∥e∥w2=⟨Tκe,e⟩w>0\tau\|e\|_w^2=\langle T_\kappa e,e\rangle_w>0

であり、τ>0\tau>0である。定理 2.1よりe=τ−1Tκee=\tau^{-1}T_\kappa eはC1C^1級の代表元を持つ。この連続な代表元を外力として同じ Green 表示を適用すると、TκeT_\kappa e、従ってeeはC2C^2級である。逆写像の等式から(A+κI)e=τ−1e(A+\kappa I)e=\tau^{-1}eであり、境界条件と上記の微分方程式が全点で成り立つ。

逆に上記の古典解eeはD(A)D(A)に属し、(A+κI)e=τ−1e(A+\kappa I)e=\tau^{-1}eを満たす。両辺へTκT_\kappaを適用するとe=τ−1Tκee=\tau^{-1}T_\kappa eを得る。また、Ay=λyAy=\lambda y、y∈D(A)∖{0}y\in D(A)\setminus\{0\}ならば、A+κIA+\kappa Iの単射性からλ+κ≠0\lambda+\kappa\ne0であり、Tκy=(λ+κ)−1yT_\kappa y=(\lambda+\kappa)^{-1}yである。先に示した同定によりyyは古典固有関数でもある。▨

補題 3.2.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とする。任意のλ∈C\lambda\in\Cに対してdim⁡Cker⁡(A−λI)≤1\dim_{\C}\ker(A-\lambda I)\leq1である。

証明.y∈ker⁡(A−λI)y\in\ker(A-\lambda I)の初期値(y(a),y′(a))(y(a),y'(a))は

αau+βap(a)v=0\alpha_a u+\beta_a p(a)v=0

を満たす(u,v)∈C2(u,v)\in\C^2の一次元部分空間に属する。一方、yyは

y′′+p′py′+λw−qpy=0y''+\frac{p'}p y'+\frac{\lambda w-q}{p}y=0

をほとんど至る所で満たす。係数は閉区間上で連続であり、§E10.7 命題 4.1の初期値一意性をt0=at_0=aに適用すると、y(a)=y′(a)=0y(a)=y'(a)=0である解は零である。従って初期値を取る線形写像はker⁡(A−λI)\ker(A-\lambda I)上で単射であり、所要の次元の上限を得る。▨

定理 3.3.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とする。AAの固有値全体は実数列

λ1<λ2<⋯ ,lim⁡n→∞λn=+∞\lambda_1<\lambda_2<\cdots,\qquad \lim_{n\to\infty}\lambda_n=+\infty

として並べることができる。各固有値は単純であり、実数値の古典固有関数ene_nを∥en∥w=1\|e_n\|_w=1となるように選ぶと、(en)n∈N≥1(e_n)_{n\in\NN}はH=L2([a,b],w(x) dx;C)H=L^2([a,b],w(x)\,dx;\C)の完全正規直交系である。

κ≥κ0\kappa\geq\kappa_0を命題 1.3の下限を満たす実数とすると、TκT_\kappaの非零固有値全体は

τn=1λn+κ,τ1>τ2>⋯>0,lim⁡n→∞τn=0\tau_n=\frac1{\lambda_n+\kappa},\qquad \tau_1>\tau_2>\cdots>0,\qquad \lim_{n\to\infty}\tau_n=0

であり、Tκen=τnenT_\kappa e_n=\tau_n e_nが成り立つ。

証明.定理 2.2により、十分大きい実数κ\kappaに対してTκT_\kappaはコンパクト自己共役、単射かつ厳密に正値である。§E12.12 定理 3.1 (2)を適用すると、HHはTκT_\kappaの非零固有空間の閉直交和である。補題 3.1と補題 3.2により、これらの固有値は正であり、固有空間はすべて一次元である。

HHには互いに素な正の長さの区間の指示関数からなる無限の一次独立系が存在するので、HHは無限次元である。従ってTκT_\kappaの非零固有値は無限個存在する。§E12.12 定理 3.1 (1)と0<τ≤∥Tκ∥0<\tau\leq\|T_\kappa\|より、任意のε>0\varepsilon>0に対してτ≥ε\tau\geq\varepsilonを満たす固有値は有限個である。そのため固有値全体を狭義単調減少列(τn)n∈N≥1(\tau_n)_{n\in\NN}として並べることができ、τn→0\tau_n\to0である。

λn=τn−1−κ\lambda_n=\tau_n^{-1}-\kappaとおくと、補題 3.1によりλn\lambda_nはAAの固有値を尽くし、狭義単調増加して正の無限大へ発散する。各固有空間は実係数の微分方程式と境界条件で定まるため、非零固有関数の実部または虚部は実数値の非零固有関数である。その一つをHHのノルムで正規化してene_nとする。固有空間の直交性と閉直交和分解により、(en)(e_n)は完全正規直交系である。別の許されるシフトについても、同定補題を各ene_nに適用すれば、同じλn\lambda_nから所要のτn\tau_nを得る。▨

系 3.4.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とし、(λn,en)n∈N≥1(\lambda_n,e_n)_{n\in\NN}を定理 3.3の固有値と完全正規直交系とする。任意のf∈Hf\in Hに対して

fn=⟨f,en⟩w=∫abf(x)en(x)w(x) dxf_n=\langle f,e_n\rangle_w=\int_a^bf(x)e_n(x)w(x)\,dx

とおくと、

lim⁡N→∞∥f−∑n=1Nfnen∥w=0,∥f∥w2=∑n=1∞∣fn∣2\lim_{N\to\infty}\left\|f-\sum_{n=1}^Nf_ne_n\right\|_w=0, \qquad \|f\|_w^2=\sum_{n=1}^{\infty}|f_n|^2

が成り立つ。

証明.定理 3.3の完全正規直交系へ§E12.8 定理 3.3 (3)と§E12.8 定理 3.3 (4)を適用する。▨

4 境界値問題の解表示

定理 4.1.AAを正則 Sturm–Liouville 作用素とし、(λn,en)n∈N≥1(\lambda_n,e_n)_{n\in\NN}を定理 3.3の固有値と完全正規直交系とする。z∈Cz\in\C、f∈Hf\in H、fn=⟨f,en⟩wf_n=\langle f,e_n\rangle_wとする。境界値問題

−(py′)′+(q−zw)y=wf,y∈D(A)-(py')'+(q-zw)y=wf,\qquad y\in D(A)

について、次が成り立つ。

  1. z∉{λn:n∈N≥1}z\notin\{\lambda_n:n\in\NN\}のとき、解は一意に存在し、 y=∑n=1∞fnλn−zeny=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{f_n}{\lambda_n-z}e_n とHHのノルム収束の意味で表される。
  2. z=λmz=\lambda_mのとき、解が存在するための必要十分条件は fm=∫abf(x)em(x)w(x) dx=0f_m=\int_a^bf(x)e_m(x)w(x)\,dx=0 である。この条件の下ですべての解は y=∑n≥1n≠mfnλn−λmen+cem,c∈Cy=\sum_{\substack{n\geq1\\n\ne m}}\frac{f_n}{\lambda_n-\lambda_m}e_n+ce_m, \qquad c\in\C と表され、級数はHHのノルムで収束する。特に⟨y,em⟩w=0\langle y,e_m\rangle_w=0を満たす解は一意である。

いずれの場合も解はC1C^1級で、導関数は絶対連続であり、微分方程式はほとんど至る所で成り立つ。ffが連続な代表元を持つならば解はC2C^2級であり、微分方程式は全点で成り立つ。

証明.κ≥κ0\kappa\geq\kappa_0を命題 1.3の下限を満たす実数とする。y∈D(A)y\in D(A)が(A−zI)y=f(A-zI)y=fを満たすことは

y=Tκ(f+(z+κ)y)y=T_\kappa\bigl(f+(z+\kappa)y\bigr)

と同値である。yn=⟨y,en⟩wy_n=\langle y,e_n\rangle_wとおき、TκT_\kappaの自己共役性とTκen=(λn+κ)−1enT_\kappa e_n=(\lambda_n+\kappa)^{-1}e_nを用いて係数を比較すると、

yn=fn+(z+κ)ynλn+κ,(λn−z)yn=fny_n=\frac{f_n+(z+\kappa)y_n}{\lambda_n+\kappa},\qquad (\lambda_n-z)y_n=f_n

を得る。従って非共鳴時にはすべての係数が一意に定まり、共鳴時にはfm=0f_m=0が必要で、ymy_mだけが自由である。完全性により、係数が等しい二つの解はHHの元として一致する。

J={n∈N≥1:λn≠z}J=\{n\in\NN:\lambda_n\ne z\}とおく。λn→+∞\lambda_n\to+\inftyであるから、あるN0N_0が存在して、n≥N0n\geq N_0ならば∣λn−z∣≥1|\lambda_n-z|\geq1である。残るJJの添字は有限個であり、分母は零でないので、

δ=inf⁡n∈J∣λn−z∣>0\delta=\inf_{n\in J}|\lambda_n-z|>0

である。系 3.4により

∑n∈J∣fnλn−z∣2≤δ−2∥f∥w2<∞\sum_{n\in J}\left|\frac{f_n}{\lambda_n-z}\right|^2 \leq\delta^{-2}\|f\|_w^2<\infty

となる。正規直交性から級数の部分和は Cauchy 列であり、HHの完備性により極限を持つ。この極限を非共鳴時にはyyとし、共鳴時にはfm=0f_m=0と仮定して任意のc∈Cc\in\Cに対するcemce_mを加えたものをyyとする。

g=f+(z+κ)y∈Hg=f+(z+\kappa)y\in Hとおく。構成したyyの各係数は(λn−z)yn=fn(\lambda_n-z)y_n=f_nを満たすので、

⟨Tκg,en⟩w=fn+(z+κ)ynλn+κ=yn\langle T_\kappa g,e_n\rangle_w =\frac{f_n+(z+\kappa)y_n}{\lambda_n+\kappa}=y_n

がすべてのnnで成り立つ。完全性からTκg=yT_\kappa g=yである。定理 2.1により、yyはD(A)D(A)に属し、境界条件を満たし、(A−zI)y=f(A-zI)y=fがほとんど至る所で成り立つ。従って上記の級数は実際に解を与え、先の係数比較によってすべての解を尽くす。共鳴時には⟨y,em⟩w=c\langle y,e_m\rangle_w=cであるから、直交する解はc=0c=0のものに限られる。

ffが連続な代表元を持つ場合、すでにy∈C1y\in C^1であるためg=f+(z+κ)yg=f+(z+\kappa)yは連続である。同じ Green 表示へ連続外力についての正則性を適用するとy∈C2y\in C^2であり、方程式は全点で成り立つ。▨

例 4.2.L>0L>0とし、[0,L][0,L]上のA=−d2/dx2A=-d^2/dx^2に Dirichlet 条件y(0)=y(L)=0y(0)=y(L)=0を課す。固有値と正規化した固有関数は

λn=(nπL)2,en(x)=2Lsin⁡nπxL,n∈N≥1\lambda_n=\left(\frac{n\pi}{L}\right)^2,\qquad e_n(x)=\sqrt{\frac2L}\sin\frac{n\pi x}{L},\qquad n\in\NN

であり、(en)(e_n)はL2(0,L)L^2(0,L)の完全正規直交系である。特に−y′′=1-y''=1、y(0)=y(L)=0y(0)=y(L)=0の解は

y(x)=x(L−x)2=4L2π3∑k=0∞sin⁡((2k+1)πx/L)(2k+1)3y(x)=\frac{x(L-x)}2 =\frac{4L^2}{\pi^3}\sum_{k=0}^{\infty} \frac{\sin((2k+1)\pi x/L)}{(2k+1)^3}

と表される。級数の等式はL2(0,L)L^2(0,L)で成り立つ。

証明. 固有方程式−y′′=λy-y''=\lambda yの非零解は、部分積分によりλ∫0L∣y∣2 dx=∫0L∣y′∣2 dx>0\lambda\int_0^L|y|^2\,dx=\int_0^L|y'|^2\,dx>0を満たす。r=λ>0r=\sqrt\lambda>0とすると、解はy=csin⁡(rx)+dcos⁡(rx)y=c\sin(rx)+d\cos(rx)であり、左端条件はd=0d=0、右端条件はsin⁡(rL)=0\sin(rL)=0を与える。従って固有値と固有関数は上記に尽き、∫0Lsin⁡2(nπx/L) dx=L/2\int_0^L\sin^2(n\pi x/L)\,dx=L/2から正規化係数を得る。完全性は定理 3.3から従う。

f=1f=1の係数は

fn=2LLnπ(1−(−1)n)f_n=\sqrt{\frac2L}\frac{L}{n\pi}\bigl(1-(-1)^n\bigr)

である。定理 4.1 (1)にz=0z=0を代入すると、上記の正弦級数を得る。x(L−x)/2x(L-x)/2も同じ微分方程式と境界条件を満たすので、解の一意性により級数の極限と一致する。▨

例 4.3.L>0L>0とし、[0,L][0,L]上で Neumann 条件y′(0)=y′(L)=0y'(0)=y'(L)=0を課す。A=−d2/dx2A=-d^2/dx^2の固有値は00と(nπ/L)2(n\pi/L)^2、n∈N≥1n\in\NNであり、対応する固有関数

e0(x)=1L,en(x)=2Lcos⁡nπxL(n∈N≥1)e_0(x)=\frac1{\sqrt L},\qquad e_n(x)=\sqrt{\frac2L}\cos\frac{n\pi x}{L}\quad(n\in\NN)

はL2(0,L)L^2(0,L)の完全正規直交系である。f∈L2(0,L)f\in L^2(0,L)に対して、−y′′=f-y''=fを満たす境界解が存在するための必要十分条件は

∫0Lf(x) dx=0\int_0^Lf(x)\,dx=0

である。この条件の下で、積分が零である解は

y=∑n=1∞⟨f,en⟩(nπ/L)2eny=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\langle f,e_n\rangle}{(n\pi/L)^2}e_n

であり、すべての解はこの解に任意の定数を加えて得られる。

証明. 固有方程式に部分積分を適用するとλ∫0L∣y∣2 dx=∫0L∣y′∣2 dx≥0\lambda\int_0^L|y|^2\,dx=\int_0^L|y'|^2\,dx\geq0である。λ=0\lambda=0の場合は定数関数を得る。λ=r2>0\lambda=r^2>0の場合はy=ccos⁡(rx)+dsin⁡(rx)y=c\cos(rx)+d\sin(rx)に左端条件を課してd=0d=0を得て、右端条件からrL=nπrL=n\piを得る。各ノルムを積分して上記の正規化係数を得る。定理 3.3により完全性が成り立つ。固有値00に対する係数は⟨f,e0⟩=L−1/2∫0Lf\langle f,e_0\rangle=L^{-1/2}\int_0^Lfであるから、定理 4.1 (2)が可解条件とすべての解を与える。▨

5 演習

問題 5.1.補題 1.2の証明を完成させよ。

解答.

N2=∫ab∣y∣2 dxN^2=\int_a^b|y|^2\,dx、D2=∫ab∣y′∣2 dxD^2=\int_a^b|y'|^2\,dxとおく。任意のx∈[a,b]x\in[a,b]とe∈{a,b}e\in\{a,b\}に対して、∣y∣2|y|^2の微分を積分すると

∣y(e)∣2≤∣y(x)∣2+2∫ab∣y′∣∣y∣ dt≤∣y(x)∣2+2ND|y(e)|^2\leq|y(x)|^2+2\int_a^b|y'||y|\,dt \leq|y(x)|^2+2ND

を得る。xxに関する平均を取って両端の評価を加えると

∣y(a)∣2+∣y(b)∣2≤2N2b−a+4ND|y(a)|^2+|y(b)|^2\leq\frac{2N^2}{b-a}+4ND

である。0≤(εD−2N/ε)20\leq(\sqrt\varepsilon D-2N/\sqrt\varepsilon)^2より4ND≤εD2+4N2/ε4ND\leq\varepsilon D^2+4N^2/\varepsilonであるから、所要の評価を得る。▨

問題 5.2.h>0h>0とし、[0,1][0,1]上でp=w=1p=w=1、q=0q=0、境界条件をy′(0)=hy(0)y'(0)=hy(0)、y′(1)=hy(1)y'(1)=hy(1)とする。κ=h2\kappa=h^2ではq+κw>0q+\kappa w>0であるにもかかわらず、A+κIA+\kappa Iの核が零でないことを示せ。さらに、κ>h2\kappa>h^2では Green 作用素が存在し、厳密に正値であることを示せ。

解答.

y(x)=ehxy(x)=e^{hx}は両端の境界条件と−y′′+h2y=0-y''+h^2y=0を満たす非零関数である。したがってq+h2w=h2>0q+h^2w=h^2>0であっても核は零ではない。

y∈D(A)y\in D(A)に対して部分積分すると

⟨(A+κI)y,y⟩=∫01∣y′∣2 dx+κ∫01∣y∣2 dx−h(∣y(1)∣2−∣y(0)∣2)=∫01∣y′−hy∣2 dx+(κ−h2)∫01∣y∣2 dx.\begin{aligned} \langle(A+\kappa I)y,y\rangle &=\int_0^1|y'|^2\,dx+\kappa\int_0^1|y|^2\,dx -h\bigl(|y(1)|^2-|y(0)|^2\bigr)\\ &=\int_0^1|y'-hy|^2\,dx+(\kappa-h^2)\int_0^1|y|^2\,dx. \end{aligned}

κ>h2\kappa>h^2ならばこの量はy≠0y\ne0に対して正であり、核は零である。定理 2.1よりTκT_\kappaが存在する。f≠0f\ne0に対してy=Tκf≠0y=T_\kappa f\ne0とおくと、上記の等式から⟨Tκf,f⟩=⟨y,(A+κI)y⟩>0\langle T_\kappa f,f\rangle=\langle y,(A+\kappa I)y\rangle>0である。▨

問題 5.3.[0,1][0,1]上で

p(x)=11+x,q(x)=0,w(x)=1+xp(x)=\frac1{1+x},\qquad q(x)=0,\qquad w(x)=1+x

とし、Dirichlet 条件y(0)=y(1)=0y(0)=y(1)=0を課す。t=x+x2/2t=x+x^2/2という変数変換を用いて、すべての固有値と重み付きノルムで正規化した固有関数を求めよ。さらに

−(y′1+x)′=1+x,y(0)=y(1)=0-\left(\frac{y'}{1+x}\right)'=1+x,\qquad y(0)=y(1)=0

の解を求め、その固有関数展開を与えよ。

解答.

t=x+x2/2t=x+x^2/2は[0,1][0,1]を[0,3/2][0,3/2]へ写す滑らかな変数変換であり、dt/dx=1+x>0dt/dx=1+x>0である。y(x)=u(t)y(x)=u(t)とおくと

y′1+x=dudt,−(y′1+x)′=−(1+x)d2udt2,∫01∣y(x)∣2(1+x) dx=∫03/2∣u(t)∣2 dt.\frac{y'}{1+x}=\frac{du}{dt},\qquad -\left(\frac{y'}{1+x}\right)'=-(1+x)\frac{d^2u}{dt^2},\qquad \int_0^1|y(x)|^2(1+x)\,dx=\int_0^{3/2}|u(t)|^2\,dt.

従って固有方程式は−u′′=λu-u''=\lambda u、u(0)=u(3/2)=0u(0)=u(3/2)=0に変わる。例 4.2により、固有値と正規化した固有関数は

λn=(2nπ3)2,en(x)=23sin⁡(2nπ3(x+x22)),n∈N≥1\lambda_n=\left(\frac{2n\pi}{3}\right)^2,\qquad e_n(x)=\frac2{\sqrt3}\sin\left(\frac{2n\pi}{3}\left(x+\frac{x^2}{2}\right)\right),\qquad n\in\NN

である。変数変換は可逆であり境界条件とノルムを保存するため、固有値の取りこぼしはない。

非斉次方程式は−u′′=1-u''=1に変わるので、

y(x)=12(x+x22)(32−x−x22)y(x)=\frac12\left(x+\frac{x^2}{2}\right) \left(\frac32-x-\frac{x^2}{2}\right)

である。同じ例の展開にL=3/2L=3/2を代入して変数を戻すと

y(x)=9π3∑k=0∞sin⁡(2(2k+1)π3(x+x22))(2k+1)3y(x)=\frac9{\pi^3}\sum_{k=0}^{\infty} \frac{\sin\left(\dfrac{2(2k+1)\pi}{3}\left(x+\dfrac{x^2}{2}\right)\right)}{(2k+1)^3}

を得る。収束はL2([0,1],(1+x) dx)L^2([0,1],(1+x)\,dx)のノルム収束である。▨

問題 5.4.h>0h>0とし、[0,1][0,1]上のA=−d2/dx2A=-d^2/dx^2に境界条件y′(0)=hy(0)y'(0)=hy(0)、y′(1)=hy(1)y'(1)=hy(1)を課す。AAの最小固有値が−h2-h^2であることを示し、対応する正規化した固有関数を求めよ。さらに、f∈L2(0,1)f\in L^2(0,1)に対する方程式

−y′′+h2y=f-y''+h^2y=f

の境界解の可解条件を求めよ。f=1f=1の場合とf(x)=x−cf(x)=x-c、c∈Rc\in\Rの場合について判定せよ。

解答.

y(x)=ehxy(x)=e^{hx}は両端の境界条件と−y′′=−h2y-y''=-h^2yを満たす。一方、y∈D(A)y\in D(A)に対して部分積分すると

⟨(A+h2I)y,y⟩=∫01(∣y′∣2+h2∣y∣2) dx−h(∣y(1)∣2−∣y(0)∣2)=∫01∣y′−hy∣2 dx≥0.\begin{aligned} \langle(A+h^2I)y,y\rangle &=\int_0^1\bigl(|y'|^2+h^2|y|^2\bigr)\,dx -h\bigl(|y(1)|^2-|y(0)|^2\bigr)\\ &=\int_0^1|y'-hy|^2\,dx\geq0. \end{aligned}

従ってどの固有値λ\lambdaもλ≥−h2\lambda\geq-h^2を満たし、λ1=−h2\lambda_1=-h^2である。正規化した固有関数として

e1(x)=2he2h−1ehxe_1(x)=\sqrt{\frac{2h}{e^{2h}-1}}e^{hx}

を取ることができる。

与えられた非斉次方程式は(A−λ1I)y=f(A-\lambda_1I)y=fであるから、定理 4.1 (2)による可解条件は

∫01f(x)ehx dx=0\int_0^1 f(x)e^{hx}\,dx=0

である。f=1f=1の場合は積分が(eh−1)/h>0(e^h-1)/h>0なので解は存在しない。f(x)=x−cf(x)=x-cの場合は

∫01(x−c)ehx dx=ehh−eh−1h2−ceh−1h\int_0^1(x-c)e^{hx}\,dx =\frac{e^h}{h}-\frac{e^h-1}{h^2}-c\frac{e^h-1}{h}

であり、解が存在するための必要十分条件は

c=eheh−1−1hc=\frac{e^h}{e^h-1}-\frac1h

である。この値のとき、すべての解はe1e_1に直交する一意な解にehxe^{hx}の任意の定数倍を加えて得られる。▨

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