§E20.14直交多項式と二乗平均最良近似

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有限個の節点で残差の二乗和を最小にする最小二乗法は、節点の選び方に応じて異なる多項式を与える。区間[−1,1][-1,1]上の∣x∣|x|を22次以下の多項式で近似する場合、等間隔のmm個の節点での最小二乗解の係数はmmによって変わるが、m→∞m\to\inftyでは多項式3/16+(15/16)x23/16+(15/16)x^2の係数に収束する。この極限の多項式は、節点での和を区間上の積分に置き換えた誤差∫−11(∣x∣−p(x))2 dx\int_{-1}^1(|x|-p(x))^2\,dxを、22次以下の多項式ppのうちで最小にするものである。

一般に、有界な開区間(a,b)(a,b)上で正であり、(a,b)(a,b)に含まれる各閉区間で Riemann 可積分であり、広義積分が有限な関数を重みとして定めると、その重みを掛けた積分によって[a,b][a,b]上の連続関数の空間に内積が入る。この内積から定まるノルムについて、連続関数に最も近い次数nn以下の多項式はただ一つ存在し、これをその関数の二乗平均最良近似という。重みを変えると最良近似も変わることがある。端点で非有界な重み(1−x2)−1/2(1-x^2)^{-1/2}を用いると、同じ∣x∣|x|の22次以下の多項式による最良近似は、x=±1x=\pm1での誤差の絶対値が重み11の場合より小さく、x=0x=0での誤差の絶対値は大きくなる。

二乗平均最良近似は、重みに関する直交多項式を基底にとると係数ごとに内積で求めることができ、次数を一つ上げるときには項を一つ加えるだけで済む。直交多項式は三項漸化式によって順に計算することができ、次数n≥1n\ge1の直交多項式の零点は(a,b)(a,b)の中にある相異なるnn個の実数である。重み11と(1−x2)−1/2(1-x^2)^{-1/2}に対しては、直交多項式はそれぞれ Legendre 多項式と Chebyshev 多項式の定数倍である。本記事では、重み付きの二乗平均による多項式の最良近似と直交多項式について、その基本的な性質と代表的な例を解説する。

1 重み付き内積と最良近似

定義 1.1.a<ba<bを実数とする。関数w ⁣:(a,b)→Rw\colon(a,b)\to\Rが、任意のx∈(a,b)x\in(a,b)に対してw(x)>0w(x)>0を満たし、a<c<d<ba<c<d<bを満たす任意の実数c,dc,dについて[c,d][c,d]で Riemann 可積分であり、広義積分

μ0:=lim⁡c→a+, d→b−∫cdw(x) dx\mu_0:=\lim_{c\to a+,\ d\to b-}\int_c^dw(x)\,dx

が有限であるとき、wwを(a,b)(a,b)上の 重み関数 (weight function) という。

補題 1.2.c<dc<dを実数とし、w ⁣:[c,d]→Rw\colon[c,d]\to\Rを Riemann 可積分な関数とする。

  1. h ⁣:[c,d]→Rh\colon[c,d]\to\Rが連続ならば、hwhwは[c,d][c,d]で Riemann 可積分である。
  2. 任意のx∈[c,d]x\in[c,d]に対してw(x)>0w(x)>0ならば、∫cdw(x) dx>0\int_c^dw(x)\,dx>0である。

証明.(1)を示す。§D1.13 定理 2.1によりH:=max⁡x∈[c,d]∣h(x)∣H:=\max_{x\in[c,d]}\lvert h(x)\rvertは有限であり、Riemann 可積分なwwは有界であるからK:=sup⁡x∈[c,d]∣w(x)∣K:=\sup_{x\in[c,d]}\lvert w(x)\rvertは有限である。したがってhwhwは有界である。[c,d][c,d]の部分区間IIと関数ggに対してosc⁡Ig:=sup⁡Ig−inf⁡Ig\operatorname{osc}_Ig:=\sup_Ig-\inf_Igと置く。x,y∈Ix,y\in Iならば

∣h(x)w(x)−h(y)w(y)∣≤∣h(x)∣ ∣w(x)−w(y)∣+∣w(y)∣ ∣h(x)−h(y)∣≤Hosc⁡Iw+Kosc⁡Ih\lvert h(x)w(x)-h(y)w(y)\rvert\le\lvert h(x)\rvert\,\lvert w(x)-w(y)\rvert+\lvert w(y)\rvert\,\lvert h(x)-h(y)\rvert\le H\operatorname{osc}_Iw+K\operatorname{osc}_Ih

であるから、osc⁡I(hw)≤Hosc⁡Iw+Kosc⁡Ih\operatorname{osc}_I(hw)\le H\operatorname{osc}_Iw+K\operatorname{osc}_Ihである。ε>0\varepsilon>0をとる。§D1.15 定理 3.1によりhhは[c,d][c,d]で一様連続であるから、δ>0\delta>0であって、x,y∈[c,d]x,y\in[c,d]、∣x−y∣<δ\lvert x-y\rvert<\deltaならば∣h(x)−h(y)∣<ε\lvert h(x)-h(y)\rvert<\varepsilonとなるものが存在する。§D1.17 定理 2.4により[c,d][c,d]の分割PPであってU(w,P)−L(w,P)<εU(w,P)-L(w,P)<\varepsilonを満たすものが存在する。PPに分割点を加えて、各小区間の長さがδ\delta未満である分割QQをとると、§D1.17 補題 1.3によりU(w,Q)−L(w,Q)<εU(w,Q)-L(w,Q)<\varepsilonであり、QQの各小区間IIでosc⁡Ih≤ε\operatorname{osc}_Ih\le\varepsilonである。QQの小区間について和をとると

U(hw,Q)−L(hw,Q)≤H(U(w,Q)−L(w,Q))+Kε(d−c)≤(H+K(d−c))εU(hw,Q)-L(hw,Q)\le H\bigl(U(w,Q)-L(w,Q)\bigr)+K\varepsilon(d-c)\le\bigl(H+K(d-c)\bigr)\varepsilon

である。ε>0\varepsilon>0は任意であるから、§D1.17 定理 2.4によりhwhwは[c,d][c,d]で Riemann 可積分である。

(2)を示す。w>0w>0であるから、§D1.17 命題 3.4により∫cdw dx≥0\int_c^dw\,dx\ge0である。∫cdw dx=0\int_c^dw\,dx=0と仮定する。閉区間[ck,dk][c_k,d_k](k∈N≥0k\in\N)を、ck<dkc_k<d_k、[ck+1,dk+1]⊆[ck,dk][c_{k+1},d_{k+1}]\subseteq[c_k,d_k]、wwの[ck,dk][c_k,d_k]への制限は Riemann 可積分でその積分は00、k≥1k\ge1ならばsup⁡[ck,dk]w<1/k\sup_{[c_k,d_k]}w<1/kを満たすように帰納的に定める。[c0,d0]:=[c,d][c_0,d_0]:=[c,d]とする。[ck,dk][c_k,d_k]が定まったとき、[ck,dk][c_k,d_k]上のwwの上積分は積分00に等しいから、[ck,dk][c_k,d_k]の分割PPであってU(w,P)<(dk−ck)/(k+1)U(w,P)<(d_k-c_k)/(k+1)を満たすものが存在する。PPの小区間の長さの和はdk−ckd_k-c_kであるから、PPの小区間のうちwwの上限が1/(k+1)1/(k+1)未満であるものが存在し、それを[ck+1,dk+1][c_{k+1},d_{k+1}]とする。§D1.17 命題 3.1と§D1.17 定理 3.6により、wwのPPの各小区間への制限は Riemann 可積分であり、それらの積分の和は00である。§D1.17 命題 3.4によりそれらの積分はすべて00以上であるから、すべて00であり、[ck+1,dk+1][c_{k+1},d_{k+1}]上の積分も00である。

区間が入れ子であるから、任意のk,j∈N≥0k,j\in\Nに対してck≤djc_k\le d_jである。x∗:=sup⁡kckx^*:=\sup_kc_kと置くと、任意のk∈N≥0k\in\Nに対してck≤x∗≤dkc_k\le x^*\le d_kである。したがって任意のk∈N≥1k\in\NNに対してw(x∗)≤sup⁡[ck,dk]w<1/kw(x^*)\le\sup_{[c_k,d_k]}w<1/kであり、w(x∗)≤0w(x^*)\le0である。これはw(x∗)>0w(x^*)>0と両立しないから、∫cdw dx>0\int_c^dw\,dx>0である。▨

補題 1.3.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、μ0:=∫abw(x) dx\mu_0:=\int_a^bw(x)\,dxとする。h ⁣:[a,b]→Rh\colon[a,b]\to\Rを連続関数とする。

  1. 広義積分∫abh(x)w(x) dx\int_a^bh(x)w(x)\,dxは絶対収束し、∣∫abh(x)w(x) dx∣≤μ0∥h∥∞\bigl|\int_a^bh(x)w(x)\,dx\bigr|\le\mu_0\lVert h\rVert_\inftyである。
  2. 任意のx∈[a,b]x\in[a,b]に対してh(x)≥0h(x)\ge0であり、h(x0)>0h(x_0)>0を満たすx0∈[a,b]x_0\in[a,b]が存在するならば、∫abh(x)w(x) dx>0\int_a^bh(x)w(x)\,dx>0である。

証明.(1)を示す。a<c<d<ba<c<d<bとする。w>0w>0であるから、§D1.17 定理 3.6と§D1.17 命題 3.4により∫cdw dx\int_c^dw\,dxはccについて減少しddについて増加し、その極限μ0\mu_0以下である。g ⁣:[a,b]→Rg\colon[a,b]\to\Rを任意のx∈[a,b]x\in[a,b]に対して0≤g(x)≤∥h∥∞0\le g(x)\le\lVert h\rVert_\inftyを満たす連続関数とし、a<e<ba<e<bを一つ固定する。補題 1.2 (1)によりgwgwは(a,b)(a,b)に含まれる各閉区間で Riemann 可積分であるから、a<c<ea<c<eに対してG−(c):=∫ceg(x)w(x) dxG_-(c):=\int_c^eg(x)w(x)\,dx、e<d<be<d<bに対してG+(d):=∫edg(x)w(x) dxG_+(d):=\int_e^dg(x)w(x)\,dxと置くことができる。gw≥0gw\ge0であるから、§D1.17 定理 3.6と§D1.17 命題 3.4によりG−G_-は減少しG+G_+は増加する。gw≤∥h∥∞wgw\le\lVert h\rVert_\infty wであるから、§D1.17 命題 3.4によりG−(c)≤∥h∥∞∫cew dx≤∥h∥∞μ0G_-(c)\le\lVert h\rVert_\infty\int_c^ew\,dx\le\lVert h\rVert_\infty\mu_0、G+(d)≤∥h∥∞∫edw dx≤∥h∥∞μ0G_+(d)\le\lVert h\rVert_\infty\int_e^dw\,dx\le\lVert h\rVert_\infty\mu_0である。単調で有界な関数の片側極限は存在するから、lim⁡c→a+G−(c)\lim_{c\to a+}G_-(c)とlim⁡d→b−G+(d)\lim_{d\to b-}G_+(d)は有限な値として存在する。a<c<e<d<ba<c<e<d<bならば§D1.17 定理 3.6により∫cdgw dx=G−(c)+G+(d)\int_c^dgw\,dx=G_-(c)+G_+(d)であるから、gwgwの広義積分は存在する。

h±:=max⁡{±h,0}h^\pm:=\max\{\pm h,0\}と置くと、h+h^+、h−h^-、∣h∣=h++h−\lvert h\rvert=h^++h^-は[a,b][a,b]上の連続関数であり、その値は00以上∥h∥∞\lVert h\rVert_\infty以下である。上の議論をg=∣h∣g=\lvert h\rvertに適用すると∣hw∣=∣h∣w\lvert hw\rvert=\lvert h\rvert wの広義積分が存在し、g=h+g=h^+、g=h−g=h^-に適用するとh+wh^+wとh−wh^-wの広義積分が存在する。hw=h+w−h−whw=h^+w-h^-wであるから、§D1.17 定理 3.2によりa<c<d<ba<c<d<bに対して∫cdhw dx=∫cdh+w dx−∫cdh−w dx\int_c^dhw\,dx=\int_c^dh^+w\,dx-\int_c^dh^-w\,dxであり、hwhwの広義積分も存在する。したがってhwhwの広義積分は絶対収束する。§D1.17 定理 3.5と§D1.17 命題 3.4により∣∫cdhw dx∣≤∫cd∣h∣w dx≤∥h∥∞∫cdw dx≤∥h∥∞μ0\bigl|\int_c^dhw\,dx\bigr|\le\int_c^d\lvert h\rvert w\,dx\le\lVert h\rVert_\infty\int_c^dw\,dx\le\lVert h\rVert_\infty\mu_0であり、c→a+c\to a+、d→b−d\to b-として評価を得る。

(2)を示す。hhはx0x_0で連続であるから、a<c<d<ba<c<d<bを満たすc,dc,dであって、任意のx∈[c,d]x\in[c,d]に対してh(x)≥h(x0)/2h(x)\ge h(x_0)/2となるものが存在する。補題 1.2 (1)によりhwhwは[c,d][c,d]で Riemann 可積分であり、[c,d][c,d]上でhw≥(h(x0)/2) whw\ge(h(x_0)/2)\,wであるから、§D1.17 命題 3.4と補題 1.2 (2)により∫cdhw dx≥(h(x0)/2)∫cdw dx>0\int_c^dhw\,dx\ge(h(x_0)/2)\int_c^dw\,dx>0である。h≥0h\ge0であるから、a<c′≤c<d≤d′<ba<c'\le c<d\le d'<bならば∫c′d′hw dx≥∫cdhw dx\int_{c'}^{d'}hw\,dx\ge\int_c^dhw\,dxである。c′→a+c'\to a+、d′→b−d'\to b-として∫abhw dx≥(h(x0)/2)∫cdw dx>0\int_a^bhw\,dx\ge(h(x_0)/2)\int_c^dw\,dx>0を得る。▨

定義 1.4.a<ba<bを実数とし、C([a,b])C([a,b])を[a,b][a,b]上の連続な実数値関数の全体、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数とする。f,g∈C([a,b])f,g\in C([a,b])に対して、補題 1.3 (1)により有限な値

⟨f,g⟩w:=∫abf(x)g(x)w(x) dx,∥f∥w:=⟨f,f⟩w1/2\langle f,g\rangle_w:=\int_a^bf(x)g(x)w(x)\,dx,\qquad\lVert f\rVert_w:=\langle f,f\rangle_w^{1/2}

を置く。⟨⋅,⋅⟩w\langle\cdot,\cdot\rangle_wをwwに関する 重み付き内積 (weighted inner product) という。

命題 1.5.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、μ0:=∫abw(x) dx\mu_0:=\int_a^bw(x)\,dxとする。⟨⋅,⋅⟩w\langle\cdot,\cdot\rangle_wはC([a,b])C([a,b])上の内積であり、任意のf∈C([a,b])f\in C([a,b])に対して∥f∥w≤μ01/2∥f∥∞\lVert f\rVert_w\le\mu_0^{1/2}\lVert f\rVert_\inftyである。さらに、n∈N≥0n\in\Nに対して、[a,b][a,b]への制限Pn→C([a,b])\mathcal P_n\to C([a,b])は単射であり、1,x,…,xn1,x,\dots,x^nの制限はC([a,b])C([a,b])の一次独立な元である。

証明. 広義積分は被積分関数について線形であるから、⟨⋅,⋅⟩w\langle\cdot,\cdot\rangle_wは対称な双線形形式である。f∈C([a,b])f\in C([a,b])に対してf2≥0f^2\ge0であるから、補題 1.3 (1)をh=f2h=f^2に適用して0≤⟨f,f⟩w≤μ0∥f2∥∞=μ0∥f∥∞20\le\langle f,f\rangle_w\le\mu_0\lVert f^2\rVert_\infty=\mu_0\lVert f\rVert_\infty^2を得る。f≠0f\ne0ならばf(x0)2>0f(x_0)^2>0を満たすx0∈[a,b]x_0\in[a,b]が存在し、補題 1.3 (2)により⟨f,f⟩w>0\langle f,f\rangle_w>0である。したがって⟨⋅,⋅⟩w\langle\cdot,\cdot\rangle_wは正定値である。

p∈Pnp\in\mathcal P_nの[a,b][a,b]への制限が00ならば、ppは[a,b][a,b]の相異なるn+1n+1点で00になるから、§E20.12 補題 1.2 (2)をki=1k_i=1、K=n+1K=n+1、m=nm=nとして適用してp=0p=0を得る。1,x,…,xn1,x,\dots,x^nはPn\mathcal P_nの基底であるから、その制限は一次独立である。▨

定理 1.6.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、n∈N≥0n\in\N、f∈C([a,b])f\in C([a,b])とする。

  1. p∈Pnp\in\mathcal P_nであって、任意のq∈Pnq\in\mathcal P_nに対して∥f−p∥w≤∥f−q∥w\lVert f-p\rVert_w\le\lVert f-q\rVert_wを満たすものがただ一つ存在する。
  2. p∈Pnp\in\mathcal P_nが(1)の元であることと、任意のq∈Pnq\in\mathcal P_nに対して⟨f−p,q⟩w=0\langle f-p,q\rangle_w=0であることは同値である。
  3. ppを(1)の元とすると、任意のq∈Pnq\in\mathcal P_nに対して∥f−q∥w2=∥f−p∥w2+∥p−q∥w2\lVert f-q\rVert_w^2=\lVert f-p\rVert_w^2+\lVert p-q\rVert_w^2である。
  4. φ0,…,φn\varphi_0,\dots,\varphi_nをPn\mathcal P_nの基底とする。c0,…,cn∈Rc_0,\dots,c_n\in\Rについて、∑j=0ncjφj\sum_{j=0}^nc_j\varphi_jが(1)の元であることと、 ∑j=0n⟨φj,φi⟩wcj=⟨f,φi⟩w(0≤i≤n)\sum_{j=0}^n\langle\varphi_j,\varphi_i\rangle_wc_j=\langle f,\varphi_i\rangle_w\qquad(0\le i\le n) が成り立つことは同値である。
  5. (4)の基底がi≠ji\ne jならば⟨φi,φj⟩w=0\langle\varphi_i,\varphi_j\rangle_w=0を満たすとき、(1)の元はp=∑i=0n(⟨f,φi⟩w/∥φi∥w2)φip=\sum_{i=0}^n\bigl(\langle f,\varphi_i\rangle_w/\lVert\varphi_i\rVert_w^2\bigr)\varphi_iであり、 ∥f−p∥w2=∥f∥w2−∑i=0n⟨f,φi⟩w2∥φi∥w2\lVert f-p\rVert_w^2=\lVert f\rVert_w^2-\sum_{i=0}^n\frac{\langle f,\varphi_i\rangle_w^2}{\lVert\varphi_i\rVert_w^2} である。

証明.命題 1.5により1,x,…,xn1,x,\dots,x^nは内積空間(C([a,b]),⟨⋅,⋅⟩w)(C([a,b]),\langle\cdot,\cdot\rangle_w)の一次独立な元であり、これに§D3.14 定理 2.1を適用すると、Pn\mathcal P_nを張る正規直交系e0,…,ene_0,\dots,e_nを得る。p:=∑k=0n⟨f,ek⟩wekp:=\sum_{k=0}^n\langle f,e_k\rangle_we_kと置く。§D3.14 命題 3.2により、f−pf-pはPn\mathcal P_nのすべての元に直交し、任意のq∈Pnq\in\mathcal P_nに対して∥f−p∥w≤∥f−q∥w\lVert f-p\rVert_w\le\lVert f-q\rVert_wであって、等号はq=pq=pのときに限る。これで(1)は示された。

(2)を示す。(1)の元ppについてf−pf-pがPn\mathcal P_nに直交することは上で示した。逆にp′∈Pnp'\in\mathcal P_nが任意のq∈Pnq\in\mathcal P_nに対して⟨f−p′,q⟩w=0\langle f-p',q\rangle_w=0を満たすとする。p−p′∈Pnp-p'\in\mathcal P_nであるから、∥p−p′∥w2=⟨f−p′,p−p′⟩w−⟨f−p,p−p′⟩w=0\lVert p-p'\rVert_w^2=\langle f-p',p-p'\rangle_w-\langle f-p,p-p'\rangle_w=0であり、p′=pp'=pである。

(3)を示す。f−q=(f−p)+(p−q)f-q=(f-p)+(p-q)であり、p−q∈Pnp-q\in\mathcal P_nであるから(2)により⟨f−p,p−q⟩w=0\langle f-p,p-q\rangle_w=0である。∥f−q∥w2\lVert f-q\rVert_w^2を展開して等式を得る。

(4)を示す。p=∑jcjφjp=\sum_jc_j\varphi_jと置く。Pn\mathcal P_nはφ0,…,φn\varphi_0,\dots,\varphi_nで張られるから、(2)の条件は⟨f−p,φi⟩w=0\langle f-p,\varphi_i\rangle_w=0(0≤i≤n0\le i\le n)と同値であり、これは⟨f,φi⟩w=∑jcj⟨φj,φi⟩w\langle f,\varphi_i\rangle_w=\sum_jc_j\langle\varphi_j,\varphi_i\rangle_w(0≤i≤n0\le i\le n)と同値である。

(5)を示す。基底の元は00でないから∥φi∥w2>0\lVert\varphi_i\rVert_w^2>0である。(4)の方程式は∥φi∥w2ci=⟨f,φi⟩w\lVert\varphi_i\rVert_w^2c_i=\langle f,\varphi_i\rangle_wとなり、係数の式を得る。(3)をq=0q=0として適用すると∥f∥w2=∥f−p∥w2+∥p∥w2\lVert f\rVert_w^2=\lVert f-p\rVert_w^2+\lVert p\rVert_w^2であり、φi\varphi_iが互いに直交するから∥p∥w2=∑ici2∥φi∥w2=∑i⟨f,φi⟩w2/∥φi∥w2\lVert p\rVert_w^2=\sum_ic_i^2\lVert\varphi_i\rVert_w^2=\sum_i\langle f,\varphi_i\rangle_w^2/\lVert\varphi_i\rVert_w^2である。▨

定義 1.7.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、n∈N≥0n\in\Nとする。f∈C([a,b])f\in C([a,b])に対して、定理 1.6 (1)のただ一つの元をΠnwf\Pi_n^wfと書き、ffのPn\mathcal P_nによるwwに関する 二乗平均最良近似 (best approximation in the weighted mean square) という。

2 直交多項式と三項漸化式

定義 2.1.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数とする。

  1. k∈N≥0k\in\Nとする。xkx^kの係数が11であるkk次の実係数多項式をkk次の モニック多項式 (monic polynomial) という。
  2. 実係数多項式の列(πk)k∈N≥0(\pi_k)_{k\in\N}が、各k∈N≥0k\in\Nについてπk\pi_kはkk次のモニック多項式であり、k≥1k\ge1ならば任意のq∈Pk−1q\in\mathcal P_{k-1}に対して⟨πk,q⟩w=0\langle\pi_k,q\rangle_w=0であるという条件を満たすとき、(πk)k∈N≥0(\pi_k)_{k\in\N}をwwに関する モニック直交多項式列 (monic orthogonal polynomials) といい、πk\pi_kをwwに関するkk次の 直交多項式 (orthogonal polynomial) という。

命題 2.2.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数とする。

  1. wwに関するモニック直交多項式列(πk)k∈N≥0(\pi_k)_{k\in\N}はただ一つ存在し、π0=1\pi_0=1、πk=xk−Πk−1w(xk)\pi_k=x^k-\Pi_{k-1}^w(x^k)(k≥1k\ge1)である。
  2. n∈N≥0n\in\Nとする。π0,…,πn\pi_0,\dots,\pi_nはPn\mathcal P_nの基底であり、i≠ji\ne jならば⟨πi,πj⟩w=0\langle\pi_i,\pi_j\rangle_w=0である。任意のf∈C([a,b])f\in C([a,b])に対して Πnwf=∑k=0n⟨f,πk⟩w∥πk∥w2 πk\Pi_n^wf=\sum_{k=0}^n\frac{\langle f,\pi_k\rangle_w}{\lVert\pi_k\rVert_w^2}\,\pi_k であり、n≥1n\ge1ならばΠnwf=Πn−1wf+(⟨f,πn⟩w/∥πn∥w2)πn\Pi_n^wf=\Pi_{n-1}^wf+\bigl(\langle f,\pi_n\rangle_w/\lVert\pi_n\rVert_w^2\bigr)\pi_nである。
  3. n∈N≥1n\in\NNとし、p∈Pnp\in\mathcal P_nが任意のq∈Pn−1q\in\mathcal P_{n-1}に対して⟨p,q⟩w=0\langle p,q\rangle_w=0を満たすとする。ppのxnx^nの係数をccとするとp=c πnp=c\,\pi_nである。

証明.(1)を示す。00次のモニック多項式は11だけであり、k=0k=0では直交の条件は課されない。k≥1k\ge1とする。kk次のモニック多項式は、r∈Pk−1r\in\mathcal P_{k-1}によってxk−rx^k-rとただ一通りに書かれる。定理 1.6 (2)をf=xkf=x^k、n=k−1n=k-1として適用すると、任意のq∈Pk−1q\in\mathcal P_{k-1}に対して⟨xk−r,q⟩w=0\langle x^k-r,q\rangle_w=0であることとr=Πk−1w(xk)r=\Pi_{k-1}^w(x^k)であることは同値である。したがってπk\pi_kはただ一つ存在し、πk=xk−Πk−1w(xk)\pi_k=x^k-\Pi_{k-1}^w(x^k)である。

(2)を示す。i<ji<jならばπi∈Pj−1\pi_i\in\mathcal P_{j-1}であるから⟨πj,πi⟩w=0\langle\pi_j,\pi_i\rangle_w=0である。πi≠0\pi_i\ne0であるから、∑iciπi=0\sum_ic_i\pi_i=0とπj\pi_jの内積をとってcj∥πj∥w2=0c_j\lVert\pi_j\rVert_w^2=0、すなわちcj=0c_j=0を得る。したがってπ0,…,πn\pi_0,\dots,\pi_nはn+1n+1次元のPn\mathcal P_nの一次独立なn+1n+1個の元であり、基底である。展開式は定理 1.6 (5)であり、n≥1n\ge1のときの等式はnnとn−1n-1の展開式の差である。

(3)を示す。p−cπnp-c\pi_nのxnx^nの係数は00であるからp−cπn∈Pn−1p-c\pi_n\in\mathcal P_{n-1}である。ppとπn\pi_nはともにPn−1\mathcal P_{n-1}のすべての元に直交するから、∥p−cπn∥w2=⟨p−cπn,p−cπn⟩w=0\lVert p-c\pi_n\rVert_w^2=\langle p-c\pi_n,p-c\pi_n\rangle_w=0であり、p=cπnp=c\pi_nである。▨

定理 2.3.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、(πk)k∈N≥0(\pi_k)_{k\in\N}をwwに関するモニック直交多項式列とする。π−1:=0\pi_{-1}:=0と置き、k∈N≥0k\in\Nに対して多項式xπkx\pi_kをx⋅πk(x)x\cdot\pi_k(x)で定め、

αk:=⟨xπk,πk⟩w∥πk∥w2(k∈N≥0),β0:=0,βk:=∥πk∥w2∥πk−1∥w2(k∈N≥1)\alpha_k:=\frac{\langle x\pi_k,\pi_k\rangle_w}{\lVert\pi_k\rVert_w^2}\quad(k\in\N),\qquad\beta_0:=0,\qquad\beta_k:=\frac{\lVert\pi_k\rVert_w^2}{\lVert\pi_{k-1}\rVert_w^2}\quad(k\in\NN)

と置く。

  1. 任意のk∈N≥0k\in\Nに対してπk+1=(x−αk)πk−βkπk−1\pi_{k+1}=(x-\alpha_k)\pi_k-\beta_k\pi_{k-1}であり、k≥1k\ge1ならばβk>0\beta_k>0である。
  2. k∈N≥1k\in\NNとする。実数α,β\alpha,\betaがπk+1=(x−α)πk−βπk−1\pi_{k+1}=(x-\alpha)\pi_k-\beta\pi_{k-1}を満たすならば、α=αk\alpha=\alpha_k、β=βk\beta=\beta_kである。

証明.(1)を示す。k∈N≥0k\in\Nとし、r:=xπk−πk+1r:=x\pi_k-\pi_{k+1}と置く。xπkx\pi_kとπk+1\pi_{k+1}はともにk+1k+1次のモニック多項式であるからr∈Pkr\in\mathcal P_kであり、命題 2.2 (2)によりr=∑j=0kdjπjr=\sum_{j=0}^kd_j\pi_jと書かれる。πi\pi_i(0≤i≤k0\le i\le k)との内積をとるとdi∥πi∥w2=⟨r,πi⟩wd_i\lVert\pi_i\rVert_w^2=\langle r,\pi_i\rangle_wである。πk+1\pi_{k+1}はPk\mathcal P_kに直交し、被積分関数の等式xπk(x)πi(x)w(x)=πk(x)⋅xπi(x)w(x)x\pi_k(x)\pi_i(x)w(x)=\pi_k(x)\cdot x\pi_i(x)w(x)により

⟨r,πi⟩w=⟨xπk,πi⟩w=⟨πk,xπi⟩w\langle r,\pi_i\rangle_w=\langle x\pi_k,\pi_i\rangle_w=\langle\pi_k,x\pi_i\rangle_w

である。i≤k−2i\le k-2ならばxπi∈Pk−1x\pi_i\in\mathcal P_{k-1}であるからdi=0d_i=0である。i=ki=kならばdk=αkd_k=\alpha_kである。k≥1k\ge1かつi=k−1i=k-1ならば、xπk−1−πk∈Pk−1x\pi_{k-1}-\pi_k\in\mathcal P_{k-1}であるから⟨πk,xπk−1⟩w=∥πk∥w2\langle\pi_k,x\pi_{k-1}\rangle_w=\lVert\pi_k\rVert_w^2であり、dk−1=βkd_{k-1}=\beta_kである。以上によりr=αkπk+βkπk−1r=\alpha_k\pi_k+\beta_k\pi_{k-1}であり(k=0k=0ではπ−1=0\pi_{-1}=0によりr=α0π0r=\alpha_0\pi_0)、漸化式を得る。k≥1k\ge1ならば∥πk∥w2>0\lVert\pi_k\rVert_w^2>0、∥πk−1∥w2>0\lVert\pi_{k-1}\rVert_w^2>0であるからβk>0\beta_k>0である。

(2)を示す。(1)の等式との差をとると(αk−α)πk=(β−βk)πk−1(\alpha_k-\alpha)\pi_k=(\beta-\beta_k)\pi_{k-1}である。命題 2.2 (2)によりπk−1\pi_{k-1}とπk\pi_kは一次独立であるから、α=αk\alpha=\alpha_k、β=βk\beta=\beta_kである。▨

3 直交多項式の零点

定理 3.1.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、n∈N≥1n\in\NNとし、πn\pi_nをwwに関するnn次の直交多項式とする。このとき、a<z1<⋯<zn<ba<z_1<\dots<z_n<bを満たす実数z1,…,znz_1,\dots,z_nが存在してπn=∏i=1n(x−zi)\pi_n=\prod_{i=1}^n(x-z_i)である。特に、πn\pi_nの複素数の零点はz1,…,znz_1,\dots,z_nだけであり、πn′(zi)=∏j≠i(zi−zj)≠0\pi_n'(z_i)=\prod_{j\ne i}(z_i-z_j)\ne0(1≤i≤n1\le i\le n)である。

証明.πn≠0\pi_n\ne0であるから、§E20.12 補題 1.2 (2)によりπn\pi_nの(a,b)(a,b)における零点は高々nn個である。それらをy1<⋯<yry_1<\dots<y_r(0≤r≤n0\le r\le n)とし、y0:=ay_0:=a、yr+1:=by_{r+1}:=bと置く。0≤j≤r0\le j\le rについて、πn\pi_nは開区間(yj,yj+1)(y_j,y_{j+1})に零点をもたないから、中間値の定理によりこの区間で一定の符号εj∈{1,−1}\varepsilon_j\in\{1,-1\}をとる。1≤j≤r1\le j\le rのうちεj−1≠εj\varepsilon_{j-1}\ne\varepsilon_jを満たすjjに対応するyjy_jを小さい順にz1<⋯<zmz_1<\dots<z_mとし、q:=∏i=1m(x−zi)q:=\prod_{i=1}^m(x-z_i)(m=0m=0のときq:=1q:=1)と置く。

1≤j≤r1\le j\le rについて、yjy_jをπn\pi_nのkjk_j重の零点とし、πn=(x−yj)kjgj\pi_n=(x-y_j)^{k_j}g_j、gj(yj)≠0g_j(y_j)\ne0と書くと、gjg_jはyjy_jを含む開区間で符号が一定であるから、εj−1≠εj\varepsilon_{j-1}\ne\varepsilon_jであることはkjk_jが奇数であることと同値である。したがってπn\pi_nは(a,b)(a,b)で奇数重複の零点z1,…,zmz_1,\dots,z_mでだけ符号を変える。qqは各ziz_iで一位の零点をもち、q/(x−zi)=∏l≠i(x−zl)q/(x-z_i)=\prod_{l\ne i}(x-z_l)はziz_iで00でないから、qqは(a,b)(a,b)でz1,…,zmz_1,\dots,z_mでだけ00になり、各ziz_iで符号を変える。πn\pi_nとqqは(a,b)(a,b)の同じ点z1,…,zmz_1,\dots,z_mでだけ符号を変えるので、πnq\pi_nqは(a,b)(a,b)からy1,…,yry_1,\dots,y_rを除いた集合で一定の符号ε∈{1,−1}\varepsilon\in\{1,-1\}をとり、h:=ε πnqh:=\varepsilon\,\pi_nqはこの集合で正である。hhは[a,b][a,b]で連続であるから、任意のx∈[a,b]x\in[a,b]に対してh(x)≥0h(x)\ge0であり、hhは(y0,y1)(y_0,y_1)で正である。補題 1.3 (2)により⟨πn,q⟩w=ε∫abh(x)w(x) dx≠0\langle\pi_n,q\rangle_w=\varepsilon\int_a^bh(x)w(x)\,dx\ne0である。

m≤n−1m\le n-1と仮定するとq∈Pn−1q\in\mathcal P_{n-1}であり、直交多項式の定義により⟨πn,q⟩w=0\langle\pi_n,q\rangle_w=0である。これは⟨πn,q⟩w≠0\langle\pi_n,q\rangle_w\ne0と両立しないから、m≥nm\ge nである。z1,…,znz_1,\dots,z_nは(a,b)(a,b)の相異なる零点であるから、§E20.12 補題 1.2 (3)をki=1k_i=1、K=nK=nとして適用すると、πn\pi_nのxnx^nの係数が11であることからπn=∏i=1n(x−zi)\pi_n=\prod_{i=1}^n(x-z_i)を得る。この積表示から、πn\pi_nの複素数の零点はz1,…,znz_1,\dots,z_nだけであり、積の微分によりπn′(zi)=∏j≠i(zi−zj)\pi_n'(z_i)=\prod_{j\ne i}(z_i-z_j)である。▨

例 3.2.(0,1)(0,1)上のw(x):=xw(x):=xは重み関数であり、∫01xkw(x) dx=1/(k+2)\int_0^1x^kw(x)\,dx=1/(k+2)(k∈N≥0k\in\N)、μ0=1/2\mu_0=1/2である。定理 2.3 (1)により

α0=⟨x,1⟩w∥1∥w2=1/31/2=23,π1=x−23,∥π1∥w2=14−43⋅13+49⋅12=136\alpha_0=\frac{\langle x,1\rangle_w}{\lVert1\rVert_w^2}=\frac{1/3}{1/2}=\frac23,\qquad\pi_1=x-\frac23,\qquad\lVert\pi_1\rVert_w^2=\frac14-\frac43\cdot\frac13+\frac49\cdot\frac12=\frac1{36}

であり、β1=(1/36)/(1/2)=1/18\beta_1=(1/36)/(1/2)=1/18、⟨xπ1,π1⟩w=1/5−(4/3)(1/4)+(4/9)(1/3)=2/135\langle x\pi_1,\pi_1\rangle_w=1/5-(4/3)(1/4)+(4/9)(1/3)=2/135、α1=(2/135)⋅36=8/15\alpha_1=(2/135)\cdot36=8/15である。したがって

π2=(x−815)(x−23)−118=x2−65x+310\pi_2=\Bigl(x-\frac8{15}\Bigr)\Bigl(x-\frac23\Bigr)-\frac1{18}=x^2-\frac65x+\frac3{10}

である。π2\pi_2の零点は3/5±6/103/5\pm\sqrt6/10、すなわち約0.35510.3551と約0.84490.8449であり、定理 3.1のとおり(0,1)(0,1)の相異なる二点である。

4 Legendre 多項式と Chebyshev の重み

命題 4.1.(−1,1)(-1,1)上の重み関数wP(x):=1w_P(x):=1に関するモニック直交多項式列を(πn)n∈N≥0(\pi_n)_{n\in\N}、三項漸化式の係数をαn,βn\alpha_n,\beta_nとする。n∈N≥0n\in\Nに対してPnP_nをnn次の Legendre 多項式とし、cnc_nをPnP_nのxnx^nの係数とする。このとき、任意のn∈N≥0n\in\Nに対して

cn=(2n)!2n(n!)2,πn=Pncn,∥πn∥wP2=2(2n+1)cn2,αn=0c_n=\frac{(2n)!}{2^n(n!)^2},\qquad\pi_n=\frac{P_n}{c_n},\qquad\lVert\pi_n\rVert_{w_P}^2=\frac2{(2n+1)c_n^2},\qquad\alpha_n=0

であり、n≥1n\ge1ならばβn=n2/(4n2−1)\beta_n=n^2/(4n^2-1)である。さらに、任意のf∈C([−1,1])f\in C([-1,1])とn∈N≥0n\in\Nに対して

ΠnwPf=∑k=0n2k+12(∫−11f(x)Pk(x) dx)Pk\Pi_n^{w_P}f=\sum_{k=0}^n\frac{2k+1}2\Bigl(\int_{-1}^1f(x)P_k(x)\,dx\Bigr)P_k

である。

証明.§E10.15 定理 2.1によりPn=12nn!dndxn(x2−1)nP_n=\frac1{2^nn!}\frac{d^n}{dx^n}(x^2-1)^nであり、n=0,1n=0,1としてP0=1P_0=1、P1=xP_1=xを得る。二項展開により(x2−1)n−x2n(x^2-1)^n-x^{2n}の次数は2n−22n-2以下であるから、そのnn回微分の次数はn−2n-2以下であり、dndxnx2n=(2n)!n!xn\frac{d^n}{dx^n}x^{2n}=\frac{(2n)!}{n!}x^nである。したがってPnP_nはnn次の多項式であり、

cn=12nn!⋅(2n)!n!=(2n)!2n(n!)2c_n=\frac1{2^nn!}\cdot\frac{(2n)!}{n!}=\frac{(2n)!}{2^n(n!)^2}

である。特にc0=c1=1c_0=c_1=1であり、任意のn∈N≥0n\in\Nに対してcn+1/cn=(2n+2)(2n+1)/(2(n+1)2)=(2n+1)/(n+1)c_{n+1}/c_n=(2n+2)(2n+1)/(2(n+1)^2)=(2n+1)/(n+1)、すなわち(n+1)cn+1=(2n+1)cn(n+1)c_{n+1}=(2n+1)c_nである。

n≥1n\ge1とする。§E10.15 定理 3.1により、PnP_nは次数がnn未満の任意の多項式と⟨⋅,⋅⟩wP\langle\cdot,\cdot\rangle_{w_P}について直交する。命題 2.2 (3)によりPn=cnπnP_n=c_n\pi_nである。n=0n=0ではP0=1=π0P_0=1=\pi_0、c0=1c_0=1である。§E10.15 命題 4.2により∥πn∥wP2=∥Pn∥wP2/cn2=2/((2n+1)cn2)\lVert\pi_n\rVert_{w_P}^2=\lVert P_n\rVert_{w_P}^2/c_n^2=2/((2n+1)c_n^2)である。

π1=x=(x−0)π0\pi_1=x=(x-0)\pi_0であるから、定理 2.3 (1)のk=0k=0の等式と比べてα0=0\alpha_0=0である。n≥1n\ge1とする。§E10.15 定理 4.1を(n+1)cn+1=(2n+1)cn(n+1)c_{n+1}=(2n+1)c_nで割り、Pk=ckπkP_k=c_k\pi_kを代入すると

πn+1=xπn−n cn−1(2n+1)cn πn−1\pi_{n+1}=x\pi_n-\frac{n\,c_{n-1}}{(2n+1)c_n}\,\pi_{n-1}

である。ncn=(2n−1)cn−1nc_n=(2n-1)c_{n-1}(n=1n=1ではc0=c1=1c_0=c_1=1による)であるからπn−1\pi_{n-1}の係数はn2/((2n+1)(2n−1))n^2/((2n+1)(2n-1))であり、定理 2.3 (2)によりαn=0\alpha_n=0、βn=n2/(4n2−1)\beta_n=n^2/(4n^2-1)である。

最後の式は、命題 2.2 (2)の展開式にπk=Pk/ck\pi_k=P_k/c_kを代入し、⟨f,πk⟩wP/∥πk∥wP2⋅πk=⟨f,Pk⟩wP/∥Pk∥wP2⋅Pk\langle f,\pi_k\rangle_{w_P}/\lVert\pi_k\rVert_{w_P}^2\cdot\pi_k=\langle f,P_k\rangle_{w_P}/\lVert P_k\rVert_{w_P}^2\cdot P_kと§E10.15 命題 4.2を用いて得る。▨

補題 4.2.wT(x):=(1−x2)−1/2w_T(x):=(1-x^2)^{-1/2}は(−1,1)(-1,1)上の重み関数であり、∫−11wT(x) dx=π\int_{-1}^1w_T(x)\,dx=\piである。任意のg∈C([−1,1])g\in C([-1,1])に対して

∫−11g(x)wT(x) dx=∫0πg(cos⁡θ) dθ\int_{-1}^1g(x)w_T(x)\,dx=\int_0^\pi g(\cos\theta)\,d\theta

である。

証明.wTw_Tは(−1,1)(-1,1)で正であり、連続であるから、§D1.17 定理 2.5により−1<c<d<1-1<c<d<1を満たす各[c,d][c,d]で Riemann 可積分である。0<δ<π/20<\delta<\pi/2とする。cos⁡\cosは[δ,π−δ][\delta,\pi-\delta]でC1C^1級かつ狭義単調減少であり、この区間を[−cos⁡δ,cos⁡δ][-\cos\delta,\cos\delta]の上へ写し、θ∈(0,π)\theta\in(0,\pi)に対してsin⁡θ=(1−cos⁡2θ)1/2>0\sin\theta=(1-\cos^2\theta)^{1/2}>0である。置換積分により、任意のg∈C([−1,1])g\in C([-1,1])に対して

∫−cos⁡δcos⁡δg(x)wT(x) dx=∫δπ−δg(cos⁡θ)sin⁡θ(1−cos⁡2θ)1/2 dθ=∫δπ−δg(cos⁡θ) dθ\int_{-\cos\delta}^{\cos\delta}g(x)w_T(x)\,dx=\int_\delta^{\pi-\delta}g(\cos\theta)\frac{\sin\theta}{(1-\cos^2\theta)^{1/2}}\,d\theta=\int_\delta^{\pi-\delta}g(\cos\theta)\,d\theta

である。g=1g=1とすると、−1<c<d<1-1<c<d<1に対してe:=max⁡(∣c∣,∣d∣)e:=\max(|c|,|d|)、δ:=arccos⁡e\delta:=\arccos eと置けば∫cdwT dx≤∫−eewT dx=π−2δ<π\int_c^dw_T\,dx\le\int_{-e}^ew_T\,dx=\pi-2\delta<\piである。wT>0w_T>0であるから∫cdwT dx\int_c^dw_T\,dxはccについて減少しddについて増加し、上の評価によりπ\pi以下であるから、wTw_Tの広義積分は有限であり、wTw_Tは重み関数である。補題 1.3 (1)によりgwTgw_Tの広義積分は存在するから、その値はc=−cos⁡δc=-\cos\delta、d=cos⁡δd=\cos\delta、δ→0+\delta\to0+とした極限に等しく、右辺のδ→0+\delta\to0+の極限∫0πg(cos⁡θ) dθ\int_0^\pi g(\cos\theta)\,d\thetaに一致する。g=1g=1として∫−11wT dx=π\int_{-1}^1w_T\,dx=\piを得る。▨

命題 4.3.wT(x):=(1−x2)−1/2w_T(x):=(1-x^2)^{-1/2}を(−1,1)(-1,1)上の重み関数とし、wTw_Tに関するモニック直交多項式列を(πk)k∈N≥0(\pi_k)_{k\in\N}、三項漸化式の係数をαk,βk\alpha_k,\beta_kとする。k∈N≥0k\in\Nに対してTkT_kをkk次の Chebyshev 多項式とする。

  1. j,k∈N≥0j,k\in\Nに対して、j≠kj\ne kならば⟨Tj,Tk⟩wT=0\langle T_j,T_k\rangle_{w_T}=0であり、∥T0∥wT2=π\lVert T_0\rVert_{w_T}^2=\pi、k≥1k\ge1ならば∥Tk∥wT2=π/2\lVert T_k\rVert_{w_T}^2=\pi/2である。
  2. π0=1\pi_0=1であり、k≥1k\ge1ならばπk=21−kTk\pi_k=2^{1-k}T_kである。
  3. 任意のk∈N≥0k\in\Nに対してαk=0\alpha_k=0であり、β1=1/2\beta_1=1/2、k≥2k\ge2ならばβk=1/4\beta_k=1/4である。
  4. 任意のf∈C([−1,1])f\in C([-1,1])とn∈N≥0n\in\Nに対して、ak:=(2/π)∫0πf(cos⁡θ)cos⁡kθ dθa_k:=(2/\pi)\int_0^\pi f(\cos\theta)\cos k\theta\,d\theta(k∈N≥0k\in\N)と置くと、ΠnwTf=a0/2+∑k=1nakTk\Pi_n^{w_T}f=a_0/2+\sum_{k=1}^na_kT_kである。

証明.(1)を示す。補題 4.2と§E20.11 補題 3.2 (2)により

⟨Tj,Tk⟩wT=∫0πcos⁡jθcos⁡kθ dθ=12∫0π(cos⁡(j−k)θ+cos⁡(j+k)θ) dθ\langle T_j,T_k\rangle_{w_T}=\int_0^\pi\cos j\theta\cos k\theta\,d\theta=\frac12\int_0^\pi\bigl(\cos(j-k)\theta+\cos(j+k)\theta\bigr)\,d\theta

である。整数llについて∫0πcos⁡lθ dθ\int_0^\pi\cos l\theta\,d\thetaはl=0l=0のときπ\pi、l≠0l\ne0のときsin⁡(lπ)/l=0\sin(l\pi)/l=0であるから、主張の値を得る。

(2)を示す。k≥1k\ge1とする。§E20.11 補題 3.2 (1)によりT0,…,Tk−1∈Pk−1T_0,\dots,T_{k-1}\in\mathcal P_{k-1}であり、(1)によりこれらは互いに直交する00でないkk個の元であるから、kk次元のPk−1\mathcal P_{k-1}の基底である。したがってTkT_kはPk−1\mathcal P_{k-1}のすべての元に直交する。§E20.12 命題 5.2 (1)によりTk∈PkT_k\in\mathcal P_kのxkx^kの係数は2k−12^{k-1}であるから、命題 2.2 (3)によりTk=2k−1πkT_k=2^{k-1}\pi_kである。

(3)を示す。π1=T1=x\pi_1=T_1=xであるから、定理 2.3 (1)のk=0k=0の等式π1=(x−α0)π0\pi_1=(x-\alpha_0)\pi_0と比べてα0=0\alpha_0=0である。π2=T2/2=(2x2−1)/2=xπ1−π0/2\pi_2=T_2/2=(2x^2-1)/2=x\pi_1-\pi_0/2である。k≥2k\ge2ならば、§E20.11 定義 3.1の漸化式Tk+1=2xTk−Tk−1T_{k+1}=2xT_k-T_{k-1}に2−k2^{-k}を掛け、πk−1=22−kTk−1\pi_{k-1}=2^{2-k}T_{k-1}を用いてπk+1=xπk−πk−1/4\pi_{k+1}=x\pi_k-\pi_{k-1}/4を得る。定理 2.3 (2)により主張の値を得る。

(4)を示す。命題 2.2 (2)の展開式の各項は、(2)により⟨f,Tk⟩wT/∥Tk∥wT2⋅Tk\langle f,T_k\rangle_{w_T}/\lVert T_k\rVert_{w_T}^2\cdot T_kに等しい。補題 4.2と§E20.11 補題 3.2 (2)により⟨f,Tk⟩wT=∫0πf(cos⁡θ)cos⁡kθ dθ\langle f,T_k\rangle_{w_T}=\int_0^\pi f(\cos\theta)\cos k\theta\,d\thetaであり、(1)のノルムで割って係数a0/2a_0/2とaka_k(k≥1k\ge1)を得る。▨

例 4.4.f(x):=∣x∣f(x):=|x|をC([−1,1])C([-1,1])の元とし、n=2n=2とする。

  1. wP:=1w_P:=1のとき、∫−11∣x∣P0 dx=1\int_{-1}^1|x|P_0\,dx=1、∫−11∣x∣P1 dx=0\int_{-1}^1|x|P_1\,dx=0、∫−11∣x∣P2 dx=2∫01x(3x2−1)/2 dx=1/4\int_{-1}^1|x|P_2\,dx=2\int_0^1x(3x^2-1)/2\,dx=1/4である。命題 4.1の式により Π2wPf=12⋅1+52⋅14⋅3x2−12=316+1516x2\Pi_2^{w_P}f=\frac12\cdot1+\frac52\cdot\frac14\cdot\frac{3x^2-1}2=\frac3{16}+\frac{15}{16}x^2 であり、定理 1.6 (5)により∥f−Π2wPf∥wP2=2/3−(1/2)2⋅2−(5/8)2⋅(2/5)=1/96\lVert f-\Pi_2^{w_P}f\rVert_{w_P}^2=2/3-(1/2)^2\cdot2-(5/8)^2\cdot(2/5)=1/96である。
  2. w=wTw=w_Tのとき、命題 4.3 (4)の係数は、θ↦π−θ\theta\mapsto\pi-\thetaの置換によりa0=(2/π)⋅2∫0π/2cos⁡θ dθ=4/πa_0=(2/\pi)\cdot2\int_0^{\pi/2}\cos\theta\,d\theta=4/\pi、a1=0a_1=0、a2=(2/π)∫0π/2(cos⁡3θ+cos⁡θ) dθ=4/(3π)a_2=(2/\pi)\int_0^{\pi/2}(\cos3\theta+\cos\theta)\,d\theta=4/(3\pi)である。したがって Π2wTf=2π+43π(2x2−1)=23π+83πx2\Pi_2^{w_T}f=\frac2\pi+\frac4{3\pi}(2x^2-1)=\frac2{3\pi}+\frac8{3\pi}x^2 であり、∥f∥wT2=∫0πcos⁡2θ dθ=π/2\lVert f\rVert_{w_T}^2=\int_0^\pi\cos^2\theta\,d\theta=\pi/2と定理 1.6 (5)により∥f−Π2wTf∥wT2=π/2−(22/π+(2/3)2/(π/2))=π/2−44/(9π)≈0.01461\lVert f-\Pi_2^{w_T}f\rVert_{w_T}^2=\pi/2-(2^2/\pi+(2/3)^2/(\pi/2))=\pi/2-44/(9\pi)\approx0.01461である。

Π2wPf\Pi_2^{w_P}fの係数(3/16,15/16)=(0.1875,0.9375)(3/16,15/16)=(0.1875,0.9375)とΠ2wTf\Pi_2^{w_T}fの係数(2/(3π),8/(3π))≈(0.2122,0.8488)(2/(3\pi),8/(3\pi))\approx(0.2122,0.8488)は異なる。誤差f−pf-pは、p=Π2wPfp=\Pi_2^{w_P}fではx=0x=0で−3/16-3/16、x=±1x=\pm1で−1/8-1/8であり、p=Π2wTfp=\Pi_2^{w_T}fではx=0x=0で−2/(3π)≈−0.2122-2/(3\pi)\approx-0.2122、x=±1x=\pm1で1−10/(3π)≈−0.06101-10/(3\pi)\approx-0.0610である。x→±1x\to\pm1で非有界な重みwTw_Tに関する最良近似は、x=±1x=\pm1での誤差の絶対値がwPw_Pの場合より小さく、x=0x=0での誤差の絶対値が大きい。

5 二乗平均近似の収束

定理 5.1.a<ba<bを実数とし、wwを(a,b)(a,b)上の重み関数、μ0:=∫abw(x) dx\mu_0:=\int_a^bw(x)\,dx、f∈C([a,b])f\in C([a,b])とする。n∈N≥0n\in\Nに対してEn(f):=inf⁡q∈Pn∥f−q∥∞E_n(f):=\inf_{q\in\mathcal P_n}\lVert f-q\rVert_\inftyをffのPn\mathcal P_nによる最良一様近似誤差とする。

  1. 任意のn∈N≥0n\in\Nに対して∥f−Πnwf∥w≤μ01/2En(f)\lVert f-\Pi_n^wf\rVert_w\le\mu_0^{1/2}E_n(f)である。
  2. 任意のn∈N≥0n\in\Nに対して∥f−Πn+1wf∥w≤∥f−Πnwf∥w\lVert f-\Pi_{n+1}^wf\rVert_w\le\lVert f-\Pi_n^wf\rVert_wである。
  3. lim⁡n→∞∥f−Πnwf∥w=0\lim_{n\to\infty}\lVert f-\Pi_n^wf\rVert_w=0である。

証明.(1)を示す。q∈Pnq\in\mathcal P_nを任意にとる。定理 1.6 (1)と命題 1.5により∥f−Πnwf∥w≤∥f−q∥w≤μ01/2∥f−q∥∞\lVert f-\Pi_n^wf\rVert_w\le\lVert f-q\rVert_w\le\mu_0^{1/2}\lVert f-q\rVert_\inftyである。qqについて下限をとって主張を得る。

(2)を示す。Πnwf∈Pn⊆Pn+1\Pi_n^wf\in\mathcal P_n\subseteq\mathcal P_{n+1}であるから、定理 1.6 (1)をn+1n+1について適用して主張を得る。

(3)を示す。ε>0\varepsilon>0をとる。§E2.32 問題 5.2により、実係数多項式ppであって∥f−p∥∞<ε\lVert f-p\rVert_\infty<\varepsilonを満たすものが存在する。NNをppの次数(p=0p=0のときN:=0N:=0)とすると、n≥Nn\ge Nならばp∈Pnp\in\mathcal P_nでありEn(f)≤∥f−p∥∞<εE_n(f)\le\lVert f-p\rVert_\infty<\varepsilonである。(1)により、n≥Nn\ge Nならば∥f−Πnwf∥w<μ01/2ε\lVert f-\Pi_n^wf\rVert_w<\mu_0^{1/2}\varepsilonである。▨

例 5.2.(−1,1)(-1,1)上の重み関数wP:=1w_P:=1とm∈N≥1m\in\NNについて、∥xm∥wP2=∫−11x2m dx=2/(2m+1)\lVert x^m\rVert_{w_P}^2=\int_{-1}^1x^{2m}\,dx=2/(2m+1)であり、∥xm∥∞=1\lVert x^m\rVert_\infty=1である。m→∞m\to\inftyで∥xm∥wP→0\lVert x^m\rVert_{w_P}\to0であるから、正の定数CCであって、任意の実係数多項式qqに対して∥q∥∞≤C∥q∥wP\lVert q\rVert_\infty\le C\lVert q\rVert_{w_P}を満たすものは存在しない。

6 離散と連続の最小二乗の比較

例 6.1.f(x):=∣x∣f(x):=|x|、次数22、区間[−1,1][-1,1]、(−1,1)(-1,1)上の重み関数wP:=1w_P:=1とする。整数m≥3m\ge3に対して等間隔の節点xi:=−1+2i/(m−1)x_i:=-1+2i/(m-1)(0≤i≤m−10\le i\le m-1)をとり、A:=(xi j)∈Rm×3A:=(x_i^{\,j})\in\R^{m\times3}(0≤i≤m−10\le i\le m-1、0≤j≤20\le j\le2)、b:=(∣xi∣)i∈Rmb:=(|x_i|)_i\in\R^mと置く。x0,x1,x2x_0,x_1,x_2は相異なるから、§E20.12 定理 1.3 (3)によりAAの第00行から第22行までからなる3×33\times3行列は正則であり、AAの列は一次独立である。§E20.6 命題 1.2 (2)によりAx=bAx=bの最小二乗解c(m)c^{(m)}はただ一つであり、pm:=∑jcj(m)xjp_m:=\sum_jc^{(m)}_jx^jと置く。m=3m=3では§E20.12 定理 1.3 (2)の補間多項式x2x^2が残差00を与えるから、p3=x2p_3=x^2は節点−1,0,1-1,0,1におけるffの補間多項式である。正規方程式を有理数の演算で解くと次の値を得る。

多項式pp ppの係数(1,x,x2)(1,x,x^2) ∥f−p∥wP2\lVert f-p\rVert_{w_P}^2 max⁡[−1,1]∣f−p∣\max_{[-1,1]}\lvert f-p\rvert
p3p_3(補間) (0,0,1)(0,0,1) 1/15≈0.066671/15\approx0.06667 1/41/4
p5p_5 (6/35,0,6/7)(6/35,0,6/7) 8/525≈0.015248/525\approx0.01524 6/35≈0.17146/35\approx0.1714
p21p_{21} (594/3059,0,2750/3059)(594/3059,0,2750/3059) ≈0.01076\approx0.01076 594/3059≈0.1942594/3059\approx0.1942
Π2wPf\Pi_2^{w_P}f (3/16,0,15/16)(3/16,0,15/16) 1/96≈0.010421/96\approx0.01042 3/16=0.18753/16=0.1875

定理 1.6 (1)により∥f−p∥wP\lVert f-p\rVert_{w_P}はP2\mathcal P_2の中でp=Π2wPfp=\Pi_2^{w_P}fのときに最小であり、表の第三列の最小値はΠ2wPf\Pi_2^{w_P}fの行にある。第四列ではp5p_5の値がΠ2wPf\Pi_2^{w_P}fの値より小さく、Π2wPf\Pi_2^{w_P}fはP2\mathcal P_2の中で最大値ノルムの誤差を最小にしない。

m→∞m\to\inftyでc(m)c^{(m)}はΠ2wPf\Pi_2^{w_P}fの係数(3/16,0,15/16)(3/16,0,15/16)に収束する。実際、h:=2/(m−1)h:=2/(m-1)と置くと、正規方程式ATAc(m)=ATbA^{\mathsf T}Ac^{(m)}=A^{\mathsf T}bにhhを掛けた式の係数h∑ixi j+kh\sum_ix_i^{\,j+k}と右辺h∑i∣xi∣xi jh\sum_i|x_i|x_i^{\,j}は、連続関数xj+kx^{j+k}と∣x∣xj|x|x^jの刻みhhの Riemann 和に項h⋅1j+kh\cdot1^{j+k}、h⋅1h\cdot1を加えたものであるから、それぞれ⟨xj,xk⟩wP\langle x^j,x^k\rangle_{w_P}と⟨f,xj⟩wP\langle f,x^j\rangle_{w_P}に収束する。極限の行列G:=(⟨xj,xk⟩wP)j,kG:=(\langle x^j,x^k\rangle_{w_P})_{j,k}は、Gc=0Gc=0ならば∥∑jcjxj∥wP2=cTGc=0\lVert\sum_jc_jx^j\rVert_{w_P}^2=c^{\mathsf T}Gc=0となってc=0c=0であるから正則である。逆行列は正則行列の上で連続であるから、c(m)c^{(m)}はG−1(⟨f,xj⟩wP)jG^{-1}(\langle f,x^j\rangle_{w_P})_jに収束し、定理 1.6 (4)によりこの極限はΠ2wPf\Pi_2^{w_P}fの係数である。

7 演習

問題 7.1.wU(x):=(1−x2)1/2w_U(x):=(1-x^2)^{1/2}を(−1,1)(-1,1)上の重み関数とする。実係数多項式の列(Uk)k∈N≥0(U_k)_{k\in\N}をU0:=1U_0:=1、U1:=2xU_1:=2x、Uk+1:=2xUk−Uk−1U_{k+1}:=2xU_k-U_{k-1}(k≥1k\ge1)で定める。wUw_Uに関するモニック直交多項式列(πk)k∈N≥0(\pi_k)_{k\in\N}がπk=2−kUk\pi_k=2^{-k}U_kであることを示し、三項漸化式の係数αk,βk\alpha_k,\beta_kを求めよ。

解答.

UkU_kは次数kk、xkx^kの係数2k2^kの多項式である。実際、k=0,1k=0,1では定義から成り立ち、k≥1k\ge1についてUkU_kが次数kk、係数2k2^kでありUk−1U_{k-1}の次数がk−1k-1であれば、2xUk−Uk−12xU_k-U_{k-1}は次数k+1k+1、xk+1x^{k+1}の係数2k+12^{k+1}である。

θ∈(0,π)\theta\in(0,\pi)に対してUk(cos⁡θ)sin⁡θ=sin⁡(k+1)θU_k(\cos\theta)\sin\theta=\sin(k+1)\thetaである。実際、k=0k=0では両辺はsin⁡θ\sin\theta、k=1k=1では2cos⁡θsin⁡θ=sin⁡2θ2\cos\theta\sin\theta=\sin2\thetaであり、加法定理sin⁡(k+2)θ+sin⁡kθ=2cos⁡θsin⁡(k+1)θ\sin(k+2)\theta+\sin k\theta=2\cos\theta\sin(k+1)\thetaにより、k−1k-1とkkで等式が成り立てばUk+1(cos⁡θ)sin⁡θ=2cos⁡θsin⁡(k+1)θ−sin⁡kθ=sin⁡(k+2)θU_{k+1}(\cos\theta)\sin\theta=2\cos\theta\sin(k+1)\theta-\sin k\theta=\sin(k+2)\thetaである。

wUw_Uは(−1,1)(-1,1)で正であり、[−1,1][-1,1]へ連続に延びるから、§D1.17 定理 2.5により−1<c<d<1-1<c<d<1を満たす各[c,d][c,d]で Riemann 可積分であって、広義積分は延長の[−1,1][-1,1]上の積分に等しく有限である。したがってwUw_Uは重み関数であり、⟨f,g⟩wU\langle f,g\rangle_{w_U}は通常の積分∫−11fg wU dx\int_{-1}^1fg\,w_U\,dxに等しい。x=cos⁡θx=\cos\theta(θ∈[0,π]\theta\in[0,\pi])と置換すると、dx=−sin⁡θ dθdx=-\sin\theta\,d\theta、wU(cos⁡θ)=sin⁡θw_U(\cos\theta)=\sin\thetaであるから、

⟨Uj,Uk⟩wU=∫0πUj(cos⁡θ)Uk(cos⁡θ)sin⁡2θ dθ=∫0πsin⁡(j+1)θ sin⁡(k+1)θ dθ=12∫0π(cos⁡(j−k)θ−cos⁡(j+k+2)θ) dθ\langle U_j,U_k\rangle_{w_U}=\int_0^\pi U_j(\cos\theta)U_k(\cos\theta)\sin^2\theta\,d\theta=\int_0^\pi\sin(j+1)\theta\,\sin(k+1)\theta\,d\theta=\frac12\int_0^\pi\bigl(\cos(j-k)\theta-\cos(j+k+2)\theta\bigr)\,d\theta

である。整数l≠0l\ne0について∫0πcos⁡lθ dθ=0\int_0^\pi\cos l\theta\,d\theta=0であるから、j≠kj\ne kならば⟨Uj,Uk⟩wU=0\langle U_j,U_k\rangle_{w_U}=0、∥Uk∥wU2=π/2\lVert U_k\rVert_{w_U}^2=\pi/2である。

k≥1k\ge1とする。U0,…,Uk−1U_0,\dots,U_{k-1}はPk−1\mathcal P_{k-1}の互いに直交する00でないkk個の元であるから、Pk−1\mathcal P_{k-1}の基底であり、UkU_kはPk−1\mathcal P_{k-1}のすべての元に直交する。命題 2.2 (3)によりUk=2kπkU_k=2^k\pi_kである。k=0k=0ではU0=1=π0U_0=1=\pi_0である。

π1=U1/2=x\pi_1=U_1/2=xであるから、定理 2.3 (1)のk=0k=0の等式と比べてα0=0\alpha_0=0である。k≥1k\ge1ならば、Uk+1=2xUk−Uk−1U_{k+1}=2xU_k-U_{k-1}に2−k−12^{-k-1}を掛け、πk−1=21−kUk−1\pi_{k-1}=2^{1-k}U_{k-1}を用いてπk+1=xπk−πk−1/4\pi_{k+1}=x\pi_k-\pi_{k-1}/4を得る。定理 2.3 (2)により、k∈N≥1k\in\NNに対してαk=0\alpha_k=0、βk=1/4\beta_k=1/4である。▨

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