§E8.27多項式の可解性

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KKを標数00の体とし、すべての代数拡大を一つの代数閉包K‾\overline Kの中で考える。標数00では有限拡大が分離的であるため、多項式の分解体は有限 Galois 拡大になる。

1 根基塔

定義 1.1. 体の塔

K=F0⊆F1⊆⋯⊆Fr,Fi=Fi−1(αi),αini∈Fi−1K=F_0\subseteq F_1\subseteq\cdots\subseteq F_r, \qquad F_i=F_{i-1}(\alpha_i),\quad \alpha_i^{n_i}\in F_{i-1}

であって、各ni≥2n_i\ge2となるものを根基塔 (radical tower) という。

f∈K[x]f\in K[x]の分解体をLLとする。LLがある根基塔の最上体FrF_rに含まれるとき、ffは根基によって可解 (solvable by radicals) であるという。

根基拡大Fi−1(αi)/Fi−1F_{i-1}(\alpha_i)/F_{i-1}は一般には Galois 拡大ではない。例えばQ(23)/Q\mathbb Q(\sqrt[3]{2})/\mathbb Qは非実根を含まないため正規でない。必要な一の冪根とすべての共役な根基を同時に添加すると、可解 Galois 群をもつ正規拡大へ埋め込むことができる。

補題 1.2.Fr/KF_r/Kが根基塔によって得られる有限拡大なら、FrF_rを含む有限 Galois 拡大M/KM/KであってGal⁡(M/K)\operatorname{Gal}(M/K)が可解群となるものが存在する。

証明.r=0r=0ならM=KM=Kと取ればよい。以下ではr≥1r\ge1とする。NNをすべてのnin_iの公倍数とし、M0=K(μN)M_0=K(\mu_N)とおく。§E8.20 命題 1.4によりM0/KM_0/Kは有限 Galois 拡大であり、その Galois 群は(Z/NZ)×(\mathbb Z/N\mathbb Z)^\timesの部分群なのでアーベル群である。とくに可解群である。

Mi−1/KM_{i-1}/Kが有限 Galois 拡大で、Galois 群が可解であり、Fi−1⊆Mi−1F_{i-1}\subseteq M_{i-1}であると仮定する。αi=0\alpha_i=0の段は体を変えないため、あらかじめ塔から除いてよい。ai=αini∈Fi−1×a_i=\alpha_i^{n_i}\in F_{i-1}^\timesとおき、Γi−1=Gal⁡(Mi−1/K)\Gamma_{i-1}=\operatorname{Gal}(M_{i-1}/K)とする。各σ∈Γi−1\sigma\in\Gamma_{i-1}に対してβσni=σ(ai)\beta_\sigma^{n_i}=\sigma(a_i)となる根を選び、σ=1\sigma=1ではβ1=αi\beta_1=\alpha_iと選ぶ。次の体を取る。

Mi=Mi−1(βσ∣σ∈Γi−1).M_i=M_{i-1}(\beta_\sigma\mid\sigma\in\Gamma_{i-1}).

μni⊆M0⊆Mi−1\mu_{n_i}\subseteq M_0\subseteq M_{i-1}なので、MiM_iは

∏σ∈Γi−1(xni−σ(ai))\prod_{\sigma\in\Gamma_{i-1}}(x^{n_i}-\sigma(a_i))

のMi−1M_{i-1}上の分解体である。KKを固定する埋め込みはΓi−1\Gamma_{i-1}を通じて各因子を置換し、各根を既に添加した根のμni\mu_{n_i}倍へ写す。したがってMi/KM_i/Kは正規であり、標数00なので有限 Galois 拡大である。またαi∈Mi\alpha_i\in M_iであるからFi⊆MiF_i\subseteq M_iである。

τ∈Gal⁡(Mi/Mi−1)\tau\in\operatorname{Gal}(M_i/M_{i-1})に対して

τ(βσ)=χσ(τ)βσ,χσ(τ)∈μni\tau(\beta_\sigma)=\chi_\sigma(\tau)\beta_\sigma, \qquad \chi_\sigma(\tau)\in\mu_{n_i}

と書ける。すべてのχσ(τ)\chi_\sigma(\tau)が11ならτ\tauはMiM_iの生成元をすべて固定する。ゆえに

Gal⁡(Mi/Mi−1)↪∏σ∈Γi−1μni\operatorname{Gal}(M_i/M_{i-1})\hookrightarrow \prod_{\sigma\in\Gamma_{i-1}}\mu_{n_i}

は単射であり、左辺はアーベル群である。制限写像による完全列

1⟶Gal⁡(Mi/Mi−1)⟶Gal⁡(Mi/K)⟶Gal⁡(Mi−1/K)⟶11\longrightarrow\operatorname{Gal}(M_i/M_{i-1}) \longrightarrow\operatorname{Gal}(M_i/K) \longrightarrow\operatorname{Gal}(M_{i-1}/K) \longrightarrow1

と可解性の閉性§E7.21 定理 3.2により、Gal⁡(Mi/K)\operatorname{Gal}(M_i/K)は可解群である。帰納法をrr回適用したM=MrM=M_rが求める拡大である。▨

2 Galois 群による必要十分条件

証明の出発点は、ffの分解体L/KL/Kと有限群G=Gal⁡(L/K)G=\operatorname{Gal}(L/K)を対応させることである。必要性の中間目標は、根基塔を含む有限 Galois 拡大を構成し、その Galois 群にアーベル核をもつ列を与えることである。十分性の本質的な一手は、GGの組成列を巡回 Galois 拡大の塔へ移し、一の冪根を添加した後に Kummer 理論で各段を一つの根基添加として実現することである。

定理 2.1.f∈K[x]f\in K[x]を非定数多項式とし、その分解体をLLとする。このとき次の二条件は同値である。

  1. ffは根基によって可解である。
  2. Gal⁡(L/K)\operatorname{Gal}(L/K)は可解群である。

証明.(1)を仮定し、L⊆FrL\subseteq F_rとなる根基塔を取る。補題 1.2によりFrF_rを含む有限 Galois 拡大M/KM/KであってGal⁡(M/K)\operatorname{Gal}(M/K)が可解となるものが存在する。L/KL/Kは Galois 拡大なので、制限写像

Gal⁡(M/K)⟶Gal⁡(L/K)\operatorname{Gal}(M/K)\longrightarrow\operatorname{Gal}(L/K)

は全射である。実際、LLの任意のKK-自己同型は有限埋め込み延長§E8.10 補題 1.3によってMMのKK-埋め込みへ延長され、M/KM/Kの正規性によってMMの自己同型になる。したがってGal⁡(L/K)\operatorname{Gal}(L/K)は可解群の商群であり、§E7.21 定理 3.2により可解である。

(2)を仮定し、G=Gal⁡(L/K)G=\operatorname{Gal}(L/K)とおく。GGが自明ならL=KL=Kなので結論は明らかである。以下ではN=∣G∣≥2N=|G|\ge2とし、K′=K(μN)K'=K(\mu_N)、M=LK′M=LK'とおく。K′/KK'/Kは、原始NN乗根ζN\zeta_NがζNN=1∈K\zeta_N^N=1\in Kを満たすため、一段の根基拡大である。M/K′M/K'は有限 Galois 拡大であり、制限写像によって

H=Gal⁡(M/K′)↪GH=\operatorname{Gal}(M/K')\hookrightarrow G

とみなすことができる。§E7.21 定理 3.2によりHHは可解群である。

有限可解群の組成因子判定§E7.21 定理 5.1により、組成列

H=H0▹H1▹⋯▹Hs={1}H=H_0\triangleright H_1\triangleright\cdots\triangleright H_s=\{1\}

を、各商Hj/Hj+1H_j/H_{j+1}が素数位数pjp_jの巡回群となるように取ることができる。Ej=MHjE_j=M^{H_j}とおくと、 Galois の基本定理§E8.10 定理 4.1により

K′=E0⊂E1⊂⋯⊂Es=MK'=E_0\subset E_1\subset\cdots\subset E_s=M

であり、Ej+1/EjE_{j+1}/E_jは次数pjp_jの巡回 Galois 拡大である。pjp_jは∣H∣|H|を割り、∣H∣|H|は∣G∣=N|G|=Nを割るため、μpj⊆K′⊆Ej\mu_{p_j}\subseteq K'\subseteq E_jである。

有限アーベル Kummer 拡大の分類§E8.21 定理 3.4をn=pjn=p_jとして適用する。Ej+1/EjE_{j+1}/E_jに対応する部分群Bj≤Ej×/Ej×pjB_j\le E_j^\times/E_j^{\times p_j}は位数pjp_jなので、一つの類[aj][a_j]で生成される。Kummer 対の完全性§E8.21 定理 3.3と分類の定義から

Ej+1=Ej(ajpj)E_{j+1}=E_j(\sqrt[p_j]{a_j})

である。したがってK⊆K′=E0⊆E1⊆⋯⊆Es=MK\subseteq K'=E_0\subseteq E_1\subseteq\cdots\subseteq E_s=Mは根基塔であり、L⊆ML\subseteq Mなのでffは根基によって可解である。▨

例 2.2 (巡回三次方程式).f=x3−3x−1∈Q[x]f=x^3-3x-1\in\mathbb Q[x]は有理根をもたないため既約である。判別式は8181であり、平方数である。§E8.16 定理 5.3により Galois 群はA3A_3に含まれる。一方、既約性から Galois 群は三つの根へ推移的に作用するため、その位数は33で割り切れる。したがって Galois 群はA3≅C3A_3\cong C_3である。これは可解群なので、定理 2.1によりffは根基によって可解である。三つの根がすべて実数であっても、根基表示の途中では原始三乗根を添加する必要がある場合がある。

3 分解体の忠実な線形表現

L/KL/Kをffの分解体、G=Gal⁡(L/K)G=\operatorname{Gal}(L/K)、d=[L:K]d=[L:K]とする。各σ∈G\sigma\in GはLLのKK-線形自己同型である。

命題 3.1.LLのKK-基底B\mathcal Bを選ぶと、作用の行列表現

ρB:G⟶GL⁡d(K)\rho_{\mathcal B}:G\longrightarrow\operatorname{GL}_d(K)

は忠実であり、像は有限群である。別の基底B′\mathcal B'への基底変換行列をPPとすると

ρB′(σ)=P−1ρB(σ)P\rho_{\mathcal B'}(\sigma)=P^{-1}\rho_{\mathcal B}(\sigma)P

がすべてのσ∈G\sigma\in Gについて成り立つ。とくに像の可解性は基底の選択に依存せず、ffが根基によって可解であることとρB(G)\rho_{\mathcal B}(G)が可解群であることは同値である。

証明.ρB(σ)\rho_{\mathcal B}(\sigma)が恒等行列ならσ\sigmaは基底の各元を固定し、KK-線形性によってLLの全元を固定する。ゆえにσ=1\sigma=1であり、表現は忠実である。GGは有限群なので像も有限である。

線形写像の行列に対する基底変換公式から共役の式を得る。共役写像A↦P−1APA\mapsto P^{-1}APは群同型であり、導来列の自然性§E7.21 補題 3.1により可解性を保つ。最後の同値はG≅ρB(G)G\cong\rho_{\mathcal B}(G)と定理 2.1から従う。▨

可解な有限行列群が常に同時上三角化可能であるわけではない。有限像の場合には、同時上三角化可能性は可解性より強く、可換性と同値になる。

定理 3.2.Ω\Omegaを標数00の代数閉体、VVを有限次元Ω\Omega-ベクトル空間とし、Γ≤GL⁡(V)\Gamma\le\operatorname{GL}(V)を有限部分群とする。次の三条件は同値である。

  1. VVのある基底についてΓ\Gammaの全元が上三角行列になる。
  2. VVのある基底についてΓ\Gammaの全元が対角行列になる。
  3. Γ\Gammaはアーベル群である。

証明.(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。

(1)⇒\Rightarrow(3)を示す。(1)を仮定し、全元を上三角行列として表す。対角成分を取る写像

δ:Γ⟶(Ω×)dim⁡V\delta:\Gamma\longrightarrow(\Omega^\times)^{\dim V}

は群準同型である。ker⁡δ\ker\deltaの元は上三角なユニポテント行列である。U∈ker⁡δU\in\ker\deltaの位数をmmとすると、UUの最小多項式は(x−1)dim⁡V(x-1)^{\dim V}とxm−1x^m-1の両方を割る。標数00ではxm−1x^m-1に重根がないため、両多項式の最大公約因子はx−1x-1である。したがってU=IU=Iであり、δ\deltaは単射である。終域はアーベル群なのでΓ\Gammaもアーベル群であり、(3)を得る。

(3)⇒\Rightarrow(2)を示す。(3)を仮定する。各g∈Γg\in\Gammaは有限位数なので、その最小多項式はあるxm−1x^m-1を割る。Ω\Omegaは代数閉体で標数00であるからxm−1x^m-1は相異なる一次因子の積であり、ggは対角化可能である。すべての元がスカラー行列なら任意の基底を取ればよい。そうでなければ、二つ以上の固有値をもつg∈Γg\in\Gammaを一つ取る。ggの各固有空間は、Γ\Gammaの可換性によって他の全元で保たれる。また、各h∈Γh\in\Gammaの固有空間射影はhhの多項式であるため、hhの制限も各gg-固有空間上で対角化可能である。各gg-固有空間はVVより小さいので、次元に関する帰納法を適用し、それぞれに共通固有基底を取る。それらを合わせるとΓ\Gammaの全元に共通する固有ベクトルからなる基底を得る。したがって(2)が成り立つ。▨

命題 3.3.L/KL/Kを有限アーベル Galois 拡大とし、G=Gal⁡(L/K)G=\operatorname{Gal}(L/K)の指数がnnを割るとする。μn⊂K\mu_n\subset Kと仮定し、§E8.21 定理 3.4でLLに対応する有限部分群をB≤K×/K×nB\le K^\times/K^{\times n}とする。各[b]∈B[b]\in Bに対してβbn=b\beta_b^n=bかつβb∈L\beta_b\in Lとなる根を選ぶ。このとき

κb:G⟶μn,κb(σ)=σ(βb)βb\kappa_b:G\longrightarrow\mu_n,\qquad \kappa_b(\sigma)=\frac{\sigma(\beta_b)}{\beta_b}

は指標であり、[b]↦κb[b]\mapsto\kappa_bは同型

B→∼Hom⁡(G,μn)B\xrightarrow{\sim}\operatorname{Hom}(G,\mu_n)

を与える。さらに(βb)[b]∈B(\beta_b)_{[b]\in B}はLLのKK-基底であり、この基底でGGの忠実表現は Kummer 指標を対角成分とする対角表現になる。

証明. 指標の定義と同型は Kummer 分類の写像および Kummer 対の完全性§E8.21 定理 3.3そのものである。とくに

σ(βb)=κb(σ)βb\sigma(\beta_b)=\kappa_b(\sigma)\beta_b

なのでβb\beta_bは指標κb\kappa_bに属する共通固有ベクトルである。

相異なる指標に属する非零の共通固有ベクトルは線形独立である。実際、最短の非自明な関係∑j=1tcjvj=0\sum_{j=1}^t c_jv_j=0が存在すると仮定する。χ1≠χt\chi_1\ne\chi_tを分離するσ∈G\sigma\in Gを選び、元の関係へσ\sigmaを作用させた式からχt(σ)\chi_t(\sigma)倍した元の関係を引くと、vtv_tの項が消えたより短い非自明な関係を得て矛盾する。

§E8.21 定理 3.3により∣B∣=[L:K]|B|=[L:K]である。したがって∣B∣|B|個の元βb\beta_bは線形独立で、LLのKK-基底になる。この基底に関する行列の[b][b]で添字付けられた対角成分はκb(σ)\kappa_b(\sigma)である。▨

4 Galois 群がS5S_5となる五次方程式

定理 4.1.

f=x5−4x+2∈Q[x]f=x^5-4x+2\in\mathbb Q[x]

の分解体をLLとすると

Gal⁡(L/Q)≅S5\operatorname{Gal}(L/\mathbb Q)\cong S_5

である。したがってffは根基によって可解でない。

証明.ffは素数22に関する Eisenstein の判定法§E6.28 命題 8.1の仮定を満たす。実際、首項係数は22で割れず、他の係数はすべて22で割れ、定数項22は44で割れない。したがってffはQ\mathbb Q上既約である。

G=Gal⁡(L/Q)G=\operatorname{Gal}(L/\mathbb Q)を五つの根への忠実な置換作用によってS5S_5の部分群とみなす。既約性により作用は推移的である。実際、根α\alphaの安定化群はGal⁡(L/Q(α))\operatorname{Gal}(L/\mathbb Q(\alpha))であり、Galois 対応から軌道の大きさは

[G:Stab⁡G(α)]=[Q(α):Q]=5[G:\operatorname{Stab}_G(\alpha)]=[\mathbb Q(\alpha):\mathbb Q]=5

である。ゆえに55は∣G∣|G|を割る。Cauchy の定理§E7.12 定理 6.1によりGGは位数55の元を含み、その元はS5S_5では五巡回置換である。

次に複素共役が互換を与えることを示す。a=(4/5)1/4a=(4/5)^{1/4}とおくと、実軸上で

f′(x)=5x4−4f'(x)=5x^4-4

はx=±ax=\pm aだけで零になる。また

f(−a)=2+16a5>0,f(a)=2−16a5<0f(-a)=2+\frac{16a}{5}>0, \qquad f(a)=2-\frac{16a}{5}<0

である。第二の不等式はa>5/8a>5/8から従い、この不等式はa4=4/5>(5/8)4a^4=4/5>(5/8)^4から従う。導関数の符号とx→±∞x\to\pm\inftyにおけるf(x)f(x)の符号を合わせると、ffは区間(−∞,−a)(-\infty,-a)、(−a,a)(-a,a)、(a,∞)(a,\infty)のそれぞれにちょうど一つの実根をもつ。残る二根は互いに複素共役な非実根である。したがって複素共役は三つの実根を固定し、二つの非実根を交換するGGの互換である。

c∈Gc\in Gを五巡回置換、τ∈G\tau\in Gを互換とする。頂点をZ/5Z\mathbb Z/5\mathbb Zと同一視し、ccをx↦x+1x\mapsto x+1と書く。τ\tauがuuとvvを交換するなら、共役ckτc−kc^k\tau c^{-k}はu+ku+kとv+kv+kを交換する。差v−uv-uは55を法として非零なので、これら五本の辺からなるグラフは連結である。連結グラフの任意の二頂点を結ぶ道を取り、道の辺の互換を順に共役すると両端を交換する互換が得られる。したがって辺に対応する互換はすべての互換を生成し、⟨c,τ⟩=S5\langle c,\tau\rangle=S_5である。ゆえにG=S5G=S_5となる。

§E7.21 例 6.2によりS5S_5は可解群でない。定理 2.1からffは根基によって可解でない。▨

系 4.2 (Abel–Ruffini の定理). すべての五次方程式の根を、その係数から四則演算と根基の有限回の適用によって与える一般公式は存在しない。

証明. そのような一般公式が存在すれば、係数をx5−4x+2x^5-4x+2の係数へ特殊化することにより、この多項式は根基によって可解になる。これは定理 4.1に反する。▨

5 演習

問題 5.1 (根基による可解性).

  1. 補題 1.2の証明で、Mi/KM_i/Kが正規となる理由を、根の置換を明示して説明せよ。
  2. 有限可解群の組成列から得た巡回拡大に Kummer 理論を適用するため、K(μN)K(\mu_N)を先に添加する必要がある理由を説明せよ。
  3. 標数00の有限ユニポテント群が自明であることを、最小多項式を用いず二項展開から証明せよ。
  4. x5−4x+2x^5-4x+2の三つの実根が存在する各区間を図示し、複素共役の巡回型を求めよ。
  5. 非可換な有限可解群の忠実表現が、代数閉体上でも同時上三角化されない理由を説明せよ。

6 扱った範囲と次の記事

本記事では、標数00の体上で根基による可解性と Galois 群の可解性が同値であることを証明した。また、分解体の忠実表現と Kummer 指標を記述し、有限像の同時上三角化可能性が可換性と同値であることを証明した。最後にx5−4x+2x^5-4x+2の Galois 群をS5S_5と計算し、一般五次方程式に根基公式が存在しないことを導いた。後続の記事は、五次方程式の標準形への代数的還元と、根基ではない特殊函数による解析的解法を別々に扱う。

参考文献

  1. Serge Lang, Algebra, revised 3 ed., Graduate Texts in Mathematics, Springer, New York, 2002.
  2. David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004.

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