最適値を求めるときは、構成による下からの評価と、不可能性の証明による上からの評価を分けます。二つの値が一致して初めて最適値が定まります。
1 三角形を含まないグラフ
定理 1.1 (Mantel 型の上界).頂点の単純無向グラフが三角形を含まないならば、辺数は
を満たします。この上界は達成されます。
証明.ならば結論は明らかです。以下ではとします。
辺を一つ取ります。とに共通の隣接頂点があればグラフは三角形を含むので、両端の次数は
を満たします。すべての辺について足すと、各頂点の次数が、その頂点に接続する各辺について一回ずつ現れるので、
です。
また、平方完成またはコーシー・シュワルツの不等式と握手補題から、
です。したがってです。なのでで割るとを得ます。は整数なのでです。
頂点を個数がとの二群へ分け、異なる群の頂点をすべて辺で結び、同じ群の内部には辺を置きません。この完全二部グラフは三角形を含まず、辺数は
です。したがって上界は達成されます。▨
証明では、各辺の局所条件を全辺について足し合わせ、握手補題によって全体の辺数へ変換しました。
2 演習
- のとき、上の構成が三角形を含まず、辺を12本もつことを確認します。
- 三角形を含まないグラフで、辺に対してが成り立つ理由を、共通の隣接頂点に着目して説明します。
- の場合を分けずに証明中の不等式をで割ると、どのような問題が生じますか。
- 頂点のグラフについて、次数の総和がであることを二通りに数える方法で証明します。
1では3頂点と4頂点の二群に分け、群間の辺をすべて結ぶと本です。2では共通の隣接頂点が存在すると、その頂点とが三角形を作ります。3ではのとき0で割る操作が定義されません。4は頂点と接続辺の組を頂点側と辺側から数えます。