1 条件付き確率
定義 1.1 (条件付き確率). 事象A,BについてP(B)>0であるとき、Bが起こったという条件のもとでのAの条件付き確率を
P(A∣B)=P(B)P(A∩B)と定義します。
定義を変形すると乗法定理を得ます。
2 ベイズの定理
原因に相当する事象を排反な場合へ分けて、結果が観測された後の確率を求めます。
定理 2.1 (ベイズの定理).A1,…,Amが標本空間の分割であり、各P(Ai)>0とします。事象BがP(B)>0を満たすとき、
P(Ai∣B)=∑j=1mP(B∣Aj)P(Aj)P(B∣Ai)P(Ai)が成り立ちます。
証明. 乗法定理から分子はP(Ai∩B)=P(B∣Ai)P(Ai)です。また、Aj∩Bは互いに排反で、その和集合がBなので、
P(B)=j=1∑mP(B∣Aj)P(Aj)です。条件付き確率の定義へ代入すると結論を得ます。▨
例 2.2 (検査の陽性反応). 病気の割合を1%とします。病気がある人の検査陽性率を90%、病気がない人の偽陽性率を5%とします。陽性となる確率は
0.90⋅0.01+0.05⋅0.99=0.0585です。したがって、陽性者が病気である条件付き確率は
0.05850.90⋅0.01≈0.154です。P(陽性∣病気)=0.90とP(病気∣陽性)≈0.154は異なります。
3 演習
- 箱Aを確率0.4、箱Bを確率0.6で選びます。箱Aから赤玉を引く確率は0.5、箱Bから赤玉を引く確率は0.2です。赤玉を引いたとき、箱Aを選んでいた確率を求めます。
- ベイズの定理で必要な分母の正値条件をすべて述べます。
- P(A∣B)とP(B∣A)を取り違えた説明の例を一つ作り、誤りを訂正します。
1の答えは
0.5⋅0.4+0.2⋅0.60.5⋅0.4=85
です。2では各P(Ai)>0とP(B)>0が必要です。3の例として、病気がある人の陽性率が90パーセントであることから、陽性者が病気である確率も90パーセントだとする説明は誤りです。後者は有病率と偽陽性率も用いてベイズの定理で求めます。