§B4.9条件付き確率とベイズの定理

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条件を課すと、確率を計算する範囲が標本空間全体から条件事象へ変わります。

1 条件付き確率

定義 1.1 (条件付き確率). 事象A,BA,BについてP(B)>0P(B)>0であるとき、BBが起こったという条件のもとでのAAの条件付き確率を

P(A∣B)=P(A∩B)P(B)P(A\mid B)=\frac{P(A\cap B)}{P(B)}

と定義します。

定義を変形すると乗法定理を得ます。

公式 1.2 (乗法定理).P(B)>0P(B)>0ならば、

P(A∩B)=P(B)P(A∣B)P(A\cap B)=P(B)P(A\mid B)

が成り立ちます。さらにP(A)>0P(A)>0ならば、

P(A∩B)=P(A)P(B∣A)P(A\cap B)=P(A)P(B\mid A)

も成り立ちます。

2 ベイズの定理

原因に相当する事象を排反な場合へ分けて、結果が観測された後の確率を求めます。

定理 2.1 (ベイズの定理).A1,…,AmA_1,\ldots,A_mが標本空間の分割であり、各P(Ai)>0P(A_i)>0とします。事象BBがP(B)>0P(B)>0を満たすとき、

P(Ai∣B)=P(B∣Ai)P(Ai)∑j=1mP(B∣Aj)P(Aj)P(A_i\mid B) =\frac{P(B\mid A_i)P(A_i)} {\sum_{j=1}^{m}P(B\mid A_j)P(A_j)}

が成り立ちます。

証明. 乗法定理から分子はP(Ai∩B)=P(B∣Ai)P(Ai)P(A_i\cap B)=P(B\mid A_i)P(A_i)です。また、Aj∩BA_j\cap Bは互いに排反で、その和集合がBBなので、

P(B)=∑j=1mP(B∣Aj)P(Aj)P(B)=\sum_{j=1}^{m}P(B\mid A_j)P(A_j)

です。条件付き確率の定義へ代入すると結論を得ます。▨

例 2.2 (検査の陽性反応). 病気の割合を1%1\%とします。病気がある人の検査陽性率を90%90\%、病気がない人の偽陽性率を5%5\%とします。陽性となる確率は

0.90⋅0.01+0.05⋅0.99=0.05850.90\cdot0.01+0.05\cdot0.99=0.0585

です。したがって、陽性者が病気である条件付き確率は

0.90⋅0.010.0585≈0.154\frac{0.90\cdot0.01}{0.0585}\approx0.154

です。P(陽性∣病気)=0.90P(\text{陽性}\mid\text{病気})=0.90とP(病気∣陽性)≈0.154P(\text{病気}\mid\text{陽性})\approx0.154は異なります。

3 演習

  1. 箱Aを確率0.40.4、箱Bを確率0.60.6で選びます。箱Aから赤玉を引く確率は0.50.5、箱Bから赤玉を引く確率は0.20.2です。赤玉を引いたとき、箱Aを選んでいた確率を求めます。
  2. ベイズの定理で必要な分母の正値条件をすべて述べます。
  3. P(A∣B)P(A\mid B)とP(B∣A)P(B\mid A)を取り違えた説明の例を一つ作り、誤りを訂正します。

1の答えは

0.5⋅0.40.5⋅0.4+0.2⋅0.6=58\frac{0.5\cdot0.4}{0.5\cdot0.4+0.2\cdot0.6}=\frac58

です。2では各P(Ai)>0P(A_i)>0とP(B)>0P(B)>0が必要です。3の例として、病気がある人の陽性率が90パーセントであることから、陽性者が病気である確率も90パーセントだとする説明は誤りです。後者は有病率と偽陽性率も用いてベイズの定理で求めます。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

次の条件付き確率を求めよ。

ある集団 6060 人のうち、AA である人が 3434 人(そのうち BB でもある人が 1010 人)、AA でない人が 2626 人(そのうち BB である人が 2121 人)である。AA である人の中から1人を選ぶとき、その人が BB である条件付き確率を求めよ。

解法の型P(B∣A)=n(A∩B)n(A)P(B \mid A) = \dfrac{n(A \cap B)}{n(A)}

  1. 例題 1

    P(B∣A)P(B \mid A)

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

次の条件付き確率を求めよ。

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