直接数えにくい事象は余事象へ置き換え、複数の試行を組み合わせるときは独立性を確かめます。
1 余事象
定義 1.1 (余事象). 標本空間をとし、事象に対して、が起こらない事象をの余事象といいます。
公式 1.2 (余事象の確率).
証明.とは排反であり、その和集合はです。したがって
が成り立ちます。▨
例 1.3 (少なくとも一回の成功). 成功確率がである独立な試行を回行います。少なくとも一回成功する事象の余事象は、すべて失敗する事象です。したがって確率は
です。
2 独立性
独立性は、二つの事象の積の等式として定義します。原因と結果についての主張ではありません。
定義 2.1 (二事象の独立性). 事象が独立であるとは、
が成り立つことをいいます。
注意 2.2 (排反と独立の違い).であることを排反といいます。かつの排反な二事象は、
なので独立ではありません。
3 反復試行
公式 3.1 (反復試行の確率). 各回の成功確率がであり、各回が互いに独立である試行を回行います。ちょうど回成功する確率は
です。ただしとします。
証明. 成功する回の選び方は通りです。各選び方について、独立性から成功と失敗が指定どおり起こる確率はです。これらの事象は排反なので、確率を足すと公式を得ます。▨
4 誕生日問題のモデル
例 4.1 (誕生日が重なる確率). うるう日を除く365日を考え、各人の誕生日が365日のいずれにも同じ確率で属し、異なる人の誕生日が互いに独立であると仮定します。人の誕生日がすべて異なる確率は
です。したがって、少なくとも二人の誕生日が一致する確率は、この積を1から引いた値です。
注意 4.2 (誕生日モデルの限界). 現実の出生数は季節によって変化し、双子などの誕生日は独立ではありません。上の計算は、一様性と個人間の独立性を仮定した教材用モデルの結論であり、現実の集団へそのまま適用することはできません。
5 演習
- 公平なサイコロを4回投げるとき、少なくとも一回6が出る確率を求めます。
- 公平な硬貨を5回投げるとき、表がちょうど2回出る確率を求めます。
- 正の確率をもつ二事象が排反ならば独立でないことを、独立性の定義から説明します。
答えは順に、です。3では、積は正ですが、排反性からなので独立性の等式が成り立ちません。