§B4.4確率の定義と「同様に確からしい」

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場合の数の比を確率として用いるためには、何を一つの結果とみなすかと、それらの結果が同じ確率で起こる根拠を明示する必要があります。

1 標本空間と事象

定義 1.1 (標本空間と事象). 一回の試行で起こりうる根元的な結果をすべて集めた有限集合を標本空間Ω\Omegaといいます。Ω\Omegaの部分集合を事象といいます。

定義 1.2 (同様に確からしい場合の確率). 有限標本空間Ω\Omegaの各根元事象が同じ確率で起こると仮定するとき、事象A⊆ΩA\subseteq\Omegaの確率を

P(A)=∣A∣∣Ω∣P(A)=\frac{|A|}{|\Omega|}

と定義します。

例 1.3 (二枚の硬貨). 二枚の公平な硬貨を区別して投げます。標本空間を

Ω={(表,表),(表,裏),(裏,表),(裏,裏)}\Omega=\{(\text{表},\text{表}),(\text{表},\text{裏}),(\text{裏},\text{表}),(\text{裏},\text{裏})\}

とすると、各結果は同じ確率で起こります。表がちょうど一枚出る事象は2個の根元事象からなるので、確率は2/4=1/22/4=1/2です。

表の枚数だけを並べた{0,1,2}\{0,1,2\}の三つは同じ確率ではありません。この集合で個数の比を取って1/31/3とする計算は誤りです。

2 選択規則までが確率モデルに含まれる

同じ場面の説明でも、試行を行う人の選択規則が違えば確率は変わります。モンティ・ホール問題で、その違いを確かめます。

例 2.1 (モンティ・ホール問題の標準モデル). 三つの扉のうち一つに車を無作為に置きます。参加者は車の位置を知らず、車の配置とは独立な手順で一つの扉を選びます。司会者は車の位置と参加者の選択を知っており、参加者が選ばなかった扉のうち、必ずヤギの扉を一つ開けます。開けることができるヤギの扉が二つある場合には、その二つから等確率で一つを選びます。その後、参加者は未開封のもう一つの扉へ変更することができます。

最初の選択が車である確率は1/31/3であり、最初の選択がヤギである確率は2/32/3です。司会者は必ず別のヤギを開けるので、変更すると、最初にヤギを選んだ場合に車を得ます。したがって、変更して車を得る確率は2/32/3、変更しないで車を得る確率は1/31/3です。

注意 2.2 (司会者の規則を変えた場合). 司会者が車の位置を知らずに扉を開け、偶然ヤギが現れた場合には、観測した情報の確率モデルが変わります。「司会者がどの条件で、どの扉を、どの確率で開けるか」を指定しなければ、問題の答えは一意に定まりません。

3 演習

  1. 公平な六面体サイコロを二回投げるとき、出た目の和が7である確率を求めます。
  2. 「二枚の硬貨を投げたとき、表の枚数は0、1、2の三通りだから、表が一枚の確率は1/31/3である」という推論の誤りを説明します。
  3. モンティ・ホール問題で、参加者が車の位置を知らず、最初の選択が車の配置と独立であること、および司会者が参加者の選んだ扉を開けず、車の扉を開けず、必ず一枚を開けることが計算にどのように用いられたかを説明します。

1では36個の順序つき結果が同様に確からしく、和が7である結果は6個なので、確率は1/61/6です。2では三つの表の枚数が同様に確からしくありません。3では、参加者の知識と独立な選択規則から、最初に車を選ぶ確率が1/31/3、ヤギを選ぶ確率が2/32/3になります。司会者に関する三条件から、最初にヤギを選んだ場合には、未開封の別の扉が必ず車になると結論します。

例題

条件と何を求めるかを確認してから、式と答えの対応を見比べてください。

確率は P(A) == n(A)/n(U)(n(U) は同様に確からしい根元事象の総数)で定める。同様に確からしい根元事象を正しく取って、次の確率を求めよ。

解法の型式を立てる前に「今の数え方で、どの結果も同じ起こりやすさか」を自問する。区別すべきもの(2個のサイコロ、2枚の硬貨、同色の玉)は区別して数えるのが定石

  1. 袋に大きさの等しい赤玉 2 個と白玉 3 個が入っている。この袋から同時に2個の玉を取り出すとき、2個の色が異なる確率を求めよ。同じ色の玉どうしをどう扱うかに注意せよ。

    赤玉 2 個、白玉 3 個の袋から同時に2個を取り出す。P(取り出した2個が異色)= ?\text{赤玉 } 2 \text{ 個、白玉 } 3 \text{ 個の袋から同時に2個を取り出す。}\qquad P(\text{取り出した2個が異色}) = \ ?
  2. 全事象(標本空間)を U とし、事象 A と B は互いに排反であるとする。P(A) == 1/6、P(B) == 2/3 のとき、P(A ∪\cup B)、A の余事象の確率、A ∪\cup B の余事象の確率を求めよ。

    A∩B=∅,P(A)=16,P(B)=23,P(A∪B)= ?,P(A‾)= ?,P(A∪B‾)= ?A \cap B = \varnothing,\quad P(A) = \dfrac{1}{6},\quad P(B) = \dfrac{2}{3},\qquad P(A \cup B) = \ ?,\quad P(\overline{A}) = \ ?,\quad P(\overline{A \cup B}) = \ ?

演習

問題を解いてから「解答・解説」を開けます。

確率は P(A) == n(A)/n(U)(n(U) は同様に確からしい根元事象の総数)で定める。同様に確からしい根元事象を正しく取って、次の確率を求めよ。

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