1 一般形
定理 1.1 (包除原理).A1,…,Anを有限集合とします。このとき
i=1⋃nAi=i∑∣Ai∣−i<j∑∣Ai∩Aj∣+i<j<k∑∣Ai∩Aj∩Ak∣−⋯+(−1)n+1∣A1∩⋯∩An∣が成り立ちます。
証明. 和集合の一つの要素xを取り、xがちょうどr個の集合に属するとします。右辺でxは
rC1−rC2+⋯+(−1)r+1rCr回数えられます。二項定理
0=(1−1)r=rC0−rC1+rC2−⋯+(−1)rrCrから、この交代和は1です。したがって、和集合の各要素は右辺でちょうど一度ずつ数えられます。▨
2 錯排への適用
n人へ宛名の異なるn通の手紙を一通ずつ配ります。誰も自分宛ての手紙を受け取らない配り方を数えます。
例 2.1 (完全順列の個数). 全順列の集合をUとし、人iが自分宛ての手紙を受け取る順列の集合をAiとします。求める個数Dnは
Dn=U∖i=1⋃nAiです。指定したk人を固定する順列は(n−k)!通りなので、包除原理から
Dn=n!−nC1(n−1)!+nC2(n−2)!−⋯+(−1)n=n!k=0∑nk!(−1)kを得ます。
3 演習
- 1以上1000以下の整数のうち、2、3、5の少なくとも一つで割り切れるものの個数を求めます。
- 4人の完全順列の個数D4を公式から求めます。
- 包除原理の証明で、一つの要素がちょうどr個の集合に属するときに一度だけ数えられることを、r=3の場合に確認します。
1の答えは
500+333+200−166−100−66+33=734
個です。2の答えは24−24+12−4+1=9通りです。3では3−3+1=1となります。