1 なぜ「有界閉区間」なのか
3つの条件——有界・閉・連続——がすべて必要です。1つでも欠けると成り立ちません。
- 開区間(0,1)上のf(x)=x:上限1に近づくが到達せず、最大値なし。
- 有界でない[0,∞)上のf(x)=x:いくらでも大きく、最大値なし。
- 不連続な関数:ジャンプで最大値を飛ばすことがある。
2 定理と証明
定理 2.1 (最大値の定理).fが有界閉区間[a,b]で連続ならば、fは[a,b]上で最大値と最小値をとる。すなわちあるxmax,xmin∈[a,b]で、すべてのxに対しf(xmin)≤f(x)≤f(xmax)。
補題 2.2.[a,b]で連続なfは有界。
証明. 有界でないと仮定すると、各nに対し∣f(xn)∣>nとなるxn∈[a,b]がとれる。[a,b]は有界だから§D1.8 定理 2.2 (ボルツァーノ・ワイエルシュトラス)で収束部分列xnk→x∗∈[a,b](閉区間なので極限も区間内)。連続性よりf(xnk)→f(x∗)は有限値に収束するはずだが、∣f(xnk)∣>nk→∞で発散——矛盾。ゆえにfは有界。▨
証明 (定理 2.1).補題 2.2よりfは有界で、M=supx∈[a,b]f(x)が存在する(上限公理)。上限のε-特徴づけ(§D1.4 命題 1.6)より、各nでf(xn)>M−n1となるxn∈[a,b]がとれ、f(xn)→M。B-W で収束部分列xnk→xmax∈[a,b]をとると、連続性よりf(xmax)=limf(xnk)=M。よって最大値Mがxmaxで達成される。最小値は−fに同じ議論を適用すればよい。▨
「収束部分列を取り出す」B-W が、最大点の存在を生む足場です。これは位相空間論 I で「コンパクト集合上の連続関数は最大値をとる」と一般化されます。
3 帰結:正の連続関数は正の下限をもつ
最大値・最小値が「達成される」ことは、不等式の議論で地味に効きます。
系 3.1.fが[a,b]で連続かつ、すべてのxでf(x)>0ならば、ある定数m>0が存在してf(x)≥m(すべてのx∈[a,b])。
証明.定理 2.1よりfは最小値m=f(xmin)をとる。仮定よりm=f(xmin)>0。すべてのxでf(x)≥m>0。▨
「つねに正」から「一律にm以上」へ格上げできるのは、最小値が達成されるからです。もしinff=0が達成されないと(開区間(0,1)上のf(x)=xのように)、正の下界はとれません。この系は、たとえば∫abf(x)1dxの有界性や、連続関数の逆数の連続性を示すときに使われます。