§D1.21級数の収束判定

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等比級数のように和を具体的に求めることができない場合にも、級数の収束を判定することができます。本記事では、各判定法を証明し、絶対収束と条件収束の相違を項の再配列まで含めて明らかにします。

定義 1 (級数の収束と和).K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an∈Ka_n\in\mathbb Kとする。部分和

SN=∑n=1NanS_N=\sum_{n=1}^{N}a_n

があるS∈KS\in\mathbb Kに収束するとき、級数∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは 収束 (convergence of a series) するといい、その和をSSと定める。部分和が収束しないとき、この級数は発散するという。

1 必要条件と比較判定

命題 1.1.K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an∈Ka_n\in\mathbb Kとする。∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nが収束するならば、an→0a_n\to0である。

証明.SN=∑n=1Nan→SS_N=\sum_{n=1}^{N}a_n\to Sとおく。N≥2N\geq2に対してaN=SN−SN−1a_N=S_N-S_{N-1}であるから、aN→S−S=0a_N\to S-S=0である。▨

注意 1.2.命題 1.1の逆は成り立たない。実際、調和級数∑n=1∞1/n\sum_{n=1}^{\infty}1/nの一般項は00に収束するが、この級数は発散する。したがって、an→0a_n\to0だけから級数の収束を結論することはできない。一方、an↛0a_n\not\to0ならば、対偶によって級数は発散する。

定理 1.3.an,bn∈Ra_n,b_n\in\mathbb Rとし、すべてのn≥1n\geq1に対して0≤an≤bn0\leq a_n\leq b_nとする。∑n=1∞bn\sum_{n=1}^{\infty}b_nが収束するならば、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nも収束する。

証明.AN=∑n=1NanA_N=\sum_{n=1}^{N}a_n、BN=∑n=1NbnB_N=\sum_{n=1}^{N}b_nとおく。an≥0a_n\geq0であるから{AN}\{A_N\}は単調増加であり、AN≤BNA_N\leq B_Nである。収束列{BN}\{B_N\}は上に有界であるから、{AN}\{A_N\}も上に有界である。§D1.7 定理 1.1により{AN}\{A_N\}は収束する。▨

定義 1.4 (絶対収束と条件収束).K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an∈Ka_n\in\mathbb Kとする。∑n=1∞∣an∣\sum_{n=1}^{\infty}|a_n|が収束するとき、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは 絶対収束 (absolute convergence) するという。∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nが収束し、∑n=1∞∣an∣\sum_{n=1}^{\infty}|a_n|が発散するとき、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは 条件収束 (conditional convergence) するという。

定理 1.5.K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an∈Ka_n\in\mathbb Kとする。∑n=1∞∣an∣\sum_{n=1}^{\infty}|a_n|が収束するならば、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nも収束する。

さらに、π ⁣:Z≥1→Z≥1\pi\colon\mathbb Z_{\geq1}\to\mathbb Z_{\geq1}が全単射ならば、∑n=1∞aπ(n)\sum_{n=1}^{\infty}a_{\pi(n)}は絶対収束し、その和は∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nの和に等しい。

証明.SN=∑n=1NanS_N=\sum_{n=1}^{N}a_nとおく。n>mn>mに対して

∣Sn−Sm∣≤∑k=m+1n∣ak∣|S_n-S_m|\leq\sum_{k=m+1}^{n}|a_k|

である。∑∣an∣\sum|a_n|の部分和は収束するため、その右辺はm,n→∞m,n\to\inftyのとき00へ収束する。したがって{SN}\{S_N\}はコーシー列である。

K=R\mathbb K=\mathbb Rのとき、§D1.10 定理 1.1により{SN}\{S_N\}は収束する。K=C\mathbb K=\mathbb Cのとき、XN=Re⁡SNX_N=\operatorname{Re}S_N、YN=Im⁡SNY_N=\operatorname{Im}S_Nとおくと、

∣Xn−Xm∣≤∣Sn−Sm∣,∣Yn−Ym∣≤∣Sn−Sm∣|X_n-X_m|\leq|S_n-S_m|,\qquad |Y_n-Y_m|\leq|S_n-S_m|

であるから、{XN}\{X_N\}と{YN}\{Y_N\}は実数のコーシー列である。§D1.10 定理 1.1により、あるX,Y∈RX,Y\in\mathbb Rが存在してXN→XX_N\to X、YN→YY_N\to Yとなる。したがって

∣SN−(X+iY)∣≤∣XN−X∣+∣YN−Y∣⟶0|S_N-(X+iY)|\leq|X_N-X|+|Y_N-Y|\longrightarrow0

であり、{SN}\{S_N\}は複素数列として収束する。

π ⁣:Z≥1→Z≥1\pi\colon\mathbb Z_{\geq1}\to\mathbb Z_{\geq1}を全単射とし、P=∑n=1∞∣an∣P=\sum_{n=1}^{\infty}|a_n|とおく。任意のNNに対して

∑k=1N∣aπ(k)∣≤P\sum_{k=1}^{N}|a_{\pi(k)}|\leq P

であるから、§D1.7 定理 1.1により∑k=1∞∣aπ(k)∣\sum_{k=1}^{\infty}|a_{\pi(k)}|は収束する。

S=∑n=1∞anS=\sum_{n=1}^{\infty}a_nとし、ε>0\varepsilon>0をとる。あるMMが存在して∑n>M∣an∣<ε\sum_{n>M}|a_n|<\varepsilonとなる。π\piは全射であるから、あるN0N_0が存在して

{1,…,M}⊆{π(1),…,π(N0)}\{1,\ldots,M\}\subseteq\{\pi(1),\ldots,\pi(N_0)\}

となる。N≥N0N\geq N_0とし、FN={π(1),…,π(N)}F_N=\{\pi(1),\ldots,\pi(N)\}とおく。有限個の項を除いて元の順序で和をとると、

∣S−∑k=1Naπ(k)∣≤∑n∉FN∣an∣≤∑n>M∣an∣<ε\left|S-\sum_{k=1}^{N}a_{\pi(k)}\right| \leq\sum_{n\notin F_N}|a_n| \leq\sum_{n>M}|a_n| <\varepsilon

である。ゆえに∑k=1∞aπ(k)=S\sum_{k=1}^{\infty}a_{\pi(k)}=Sである。▨

2 比判定(ダランベール)

定理 2.1.K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an∈Ka_n\in\mathbb Kとする。ある正整数N0N_0が存在し、すべてのn≥N0n\geq N_0に対してan≠0a_n\neq0であるとする。

lim⁡n→∞∣an+1an∣=r\lim_{n\to\infty}\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|=r

が存在するとき、r<1r<1ならば∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは絶対収束し、r>1r>1ならば発散する。

証明.r<1r<1とし、r<s<1r<s<1を満たすssをとる。あるN≥N0N\geq N_0が存在して、n≥Nn\geq Nならば

∣an+1an∣<s\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|<s

となる。帰納的に∣an∣≤∣aN∣sn−N|a_n|\leq |a_N|s^{n-N}がn≥Nn\geq Nに対して成り立つ。§B1.9 定理 2.1により∑m=0∞sm\sum_{m=0}^{\infty}s^mは収束するから、定理 1.3により∑n=N∞∣an∣\sum_{n=N}^{\infty}|a_n|は収束する。有限個の初項を加えても収束性は変わらないため、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは絶対収束する。

r>1r>1とし、1<s<r1<s<rを満たすssをとる。あるN≥N0N\geq N_0が存在して、n≥Nn\geq Nならば∣an+1∣>s∣an∣|a_{n+1}|>s|a_n|となる。帰納的に∣an∣≥∣aN∣sn−N|a_n|\geq |a_N|s^{n-N}がn≥Nn\geq Nに対して成り立つ。aN≠0a_N\neq0かつs>1s>1であるから、∣an∣→∞|a_n|\to\inftyであり、ana_nは00に収束しない。有限個の初項は一般項の極限に影響しないため、命題 1.1の対偶により∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは発散する。▨

注意 2.2.定理 2.1ではr=1r=1の場合に結論を得ることができない。実際、例 4.2により∑n=1∞1/n\sum_{n=1}^{\infty}1/nは発散し、∑n=1∞1/n2\sum_{n=1}^{\infty}1/n^2は収束するが、いずれの級数でも隣り合う項の比の極限は11である。

例 2.3 (等比級数を比判定で見る).∑n=0∞(1/3)n\sum_{n=0}^{\infty}(1/3)^nでは隣り合う項の比が常に1/31/3であるから、定理 2.1により絶対収束する。さらに§B1.9 定理 2.1により、その和は

11−1/3=32\frac{1}{1-1/3}=\frac32

である。比判定が与えるのは収束性であり、和の値は等比級数の公式によって求めている。

3 累乗根判定

定理 3.1.K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an∈Ka_n\in\mathbb Kとする。

r=lim⁡n→∞∣an∣nr=\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{|a_n|}

が存在するとき、r<1r<1ならば∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは絶対収束し、r>1r>1ならば発散する。

証明.r<1r<1とし、r<s<1r<s<1を満たすssをとる。あるNNが存在して、n≥Nn\geq Nならば∣an∣n<s\sqrt[n]{|a_n|}<sとなる。an=0a_n=0ならば∣an∣<sn|a_n|<s^nである。an≠0a_n\neq0ならば、§B3.1 定理 2.1の順序保存性により

∣an∣=(∣an∣n)n<sn|a_n|=\left(\sqrt[n]{|a_n|}\right)^n<s^n

である。したがって、すべてのn≥Nn\geq Nに対して∣an∣<sn|a_n|<s^nが成り立つ。§B1.9 定理 2.1と定理 1.3により∑n=N∞∣an∣\sum_{n=N}^{\infty}|a_n|は収束するから、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは絶対収束する。

r>1r>1とし、1<s<r1<s<rを満たすssをとる。あるNNが存在して、n≥Nn\geq Nならば∣an∣n>s\sqrt[n]{|a_n|}>sとなる。このときan≠0a_n\neq0であり、§B3.1 定理 2.1の順序保存性により∣an∣>sn>1|a_n|>s^n>1である。ゆえにana_nは00に収束せず、命題 1.1により∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは発散する。▨

例 3.2. 正の数列{an}\{a_n\}を

an={2−n(n が偶数),21−n(n が奇数)a_n= \begin{cases} 2^{-n} &(n\text{ が偶数}),\\ 2^{1-n} &(n\text{ が奇数}) \end{cases}

と定める。nnが偶数ならばann=1/2\sqrt[n]{a_n}=1/2であり、nnが奇数ならばann=21/n/2\sqrt[n]{a_n}=2^{1/n}/2である。任意のε>0\varepsilon>0に対し、十分大きなnnでは(1+ε)n≥1+nε>2(1+\varepsilon)^n\geq1+n\varepsilon>2となる。§B3.1 定理 2.1の順序保存性により1<21/n<1+ε1<2^{1/n}<1+\varepsilonであるから、21/n→12^{1/n}\to1である。したがってann→1/2\sqrt[n]{a_n}\to1/2であり、定理 3.1により∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nは絶対収束する。定理 1.5により、この級数は収束する。

一方、an+1/ana_{n+1}/a_nはnnが偶数ならば11、nnが奇数ならば1/41/4であるから極限をもたない。この級数には比判定を適用することができない。

4 積分判定

非負項級数の部分和と積分を同じ不等式で挟むことにより、級数の収束を広義積分へ移すことができます。

定理 4.1.f ⁣:[1,∞)→Rf\colon[1,\infty)\to\mathbb Rを正の単調減少関数とし、an=f(n)a_n=f(n)とする。このとき、∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nが収束することと、広義積分∫1∞f(x) dx\int_1^\infty f(x)\,dxが収束することは同値である。

証明. 任意の実数1≤u<v1\leq u<vをとる。ffの[u,v][u,v]への制限は単調減少であるから、§D1.18 定理 2.1によりリーマン可積分である。

n≥1n\geq1とする。定数関数ccの[n,n+1][n,n+1]上の任意の分割に対する上 Darboux 和と下 Darboux 和はともにc((n+1)−n)=cc((n+1)-n)=cであるから、この定数関数の積分値はccである。x∈[n,n+1]x\in[n,n+1]に対してf(n+1)≤f(x)≤f(n)f(n+1)\leq f(x)\leq f(n)であるから、§D1.17 命題 3.4により

f(n+1)≤∫nn+1f(x) dx≤f(n)f(n+1)\leq\int_n^{n+1}f(x)\,dx\leq f(n)

である。N≥2N\geq2とする。N=2N=2では次の等式はそのまま成り立つ。N≥3N\geq3では§D1.17 定理 3.6を真の内点2,…,N−12,\ldots,N-1で繰り返し適用すると

∫1Nf(x) dx=∑n=1N−1∫nn+1f(x) dx\int_1^N f(x)\,dx=\sum_{n=1}^{N-1}\int_n^{n+1}f(x)\,dx

となる。したがって、上の不等式をn=1,…,N−1n=1,\ldots,N-1について加えると、

∑n=2Nan≤∫1Nf(x) dx≤∑n=1N−1an\sum_{n=2}^{N}a_n\leq\int_1^N f(x)\,dx\leq\sum_{n=1}^{N-1}a_n

を得る。

IN=∫1Nf(x) dxI_N=\int_1^N f(x)\,dxとおく。N≥2N\geq2に対して、§D1.17 定理 3.6と§D1.17 命題 3.4により

IN+1=IN+∫NN+1f(x) dx≥INI_{N+1}=I_N+\int_N^{N+1}f(x)\,dx\geq I_N

である。ここで、最後の不等式には、定数関数00の積分値が00であるという上の Darboux 和の計算と、0≤f(x)0\leq f(x)を用いた。したがって{IN}N≥2\{I_N\}_{N\geq2}は単調増加である。

∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nが収束するとする。上の不等式によりIN≤∑n=1N−1anI_N\leq\sum_{n=1}^{N-1}a_nであり、右辺は上に有界である。§D1.7 定理 1.1により、あるL∈RL\in\mathbb Rに対してIN→LI_N\to Lである。

任意の実数t≥2t\geq2に対してm=⌊t⌋m=\lfloor t\rfloorとおく。t=mt=mならば∫1tf(x) dx=Im\int_1^t f(x)\,dx=I_mである。m<t<m+1m<t<m+1ならば、§D1.17 定理 3.6により

∫1tf(x) dx=Im+∫mtf(x) dx,Im+1=∫1tf(x) dx+∫tm+1f(x) dx\int_1^t f(x)\,dx=I_m+\int_m^t f(x)\,dx, \qquad I_{m+1}=\int_1^t f(x)\,dx+\int_t^{m+1}f(x)\,dx

である。二つの右端の積分は、定数関数00との点ごとの比較と§D1.17 命題 3.4により非負である。t=mt=mの場合には左の不等式が等号であるから、すべてのt≥2t\geq2に対して

Im≤∫1tf(x) dx≤Im+1I_m\leq\int_1^t f(x)\,dx\leq I_{m+1}

である。t→∞t\to\inftyならばm→∞m\to\inftyであり、両端はともにLLに収束する。したがって∫1tf(x) dx→L\int_1^t f(x)\,dx\to Lであり、広義積分は収束する。

広義積分が収束するとき、{IN}N≥2\{I_N\}_{N\geq2}は上に有界である。左辺の不等式により∑n=2Nan\sum_{n=2}^{N}a_nも上に有界である。この部分和は単調増加であるから、§D1.7 定理 1.1により収束する。初項a1a_1を加えると∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nも収束する。▨

例 4.2 (pp級数).p>0p>0とする。f(x)=x−pf(x)=x^{-p}は[1,∞)[1,\infty)上で正かつ単調減少である。§D1.20 命題 2.1と定理 4.1により、

∑n=1∞1np\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^p}

はp>1p>1ならば収束し、0<p≤10<p\leq1ならば発散する。

p≤0p\leq0ならば、すべてのn≥1n\geq1に対してn−p≥1n^{-p}\geq1であるため、一般項は00に収束しない。命題 1.1の対偶により、この場合にも級数は発散する。したがって、∑n=1∞1/np\sum_{n=1}^{\infty}1/n^pはp>1p>1のとき、かつそのときに限って収束する。特に、p=1p=1の調和級数は発散する。

注意 4.3.定理 3.1でもr=1r=1の場合に結論を得ることができない。実際、n1/n→1n^{1/n}\to1である。任意のε>0\varepsilon>0に対して、十分大きなnnでは

(1+ε)n≥(n2)ε2>n(1+\varepsilon)^n\geq\binom n2\varepsilon^2>n

となるから、§B3.1 定理 2.1の順序保存性によって1<n1/n<1+ε1<n^{1/n}<1+\varepsilonが成り立つ。したがって、1/nn→1\sqrt[n]{1/n}\to1かつ1/n2n→1\sqrt[n]{1/n^2}\to1であるが、例 4.2により前者の級数は発散し、後者の級数は収束する。

5 交代級数と絶対収束

定理 5.1 (ライプニッツ).bn≥0b_n\geq0が単調減少であり、bn→0b_n\to0を満たすならば、交代級数

∑n=1∞(−1)n−1bn\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n-1}b_n

は収束する。

証明.SN=∑k=1N(−1)k−1bkS_N=\sum_{k=1}^{N}(-1)^{k-1}b_kとおく。b2n+1≥b2n+2b_{2n+1}\geq b_{2n+2}であるから、

S2n+2−S2n=b2n+1−b2n+2≥0S_{2n+2}-S_{2n}=b_{2n+1}-b_{2n+2}\geq0

であり、{S2n}\{S_{2n}\}は単調増加である。また、

S2n=b1−(b2−b3)−⋯−(b2n−2−b2n−1)−b2n≤b1S_{2n}=b_1-(b_2-b_3)-\cdots-(b_{2n-2}-b_{2n-1})-b_{2n}\leq b_1

である。§D1.7 定理 1.1により、あるS∈RS\in\mathbb Rに対してS2n→SS_{2n}\to Sとなる。S2n+1=S2n+b2n+1S_{2n+1}=S_{2n}+b_{2n+1}とb2n+1→0b_{2n+1}\to0からS2n+1→SS_{2n+1}\to Sである。偶数番目と奇数番目の部分列がともにSSへ収束するから、SN→SS_N\to Sである。▨

例 5.2.bn=1/nb_n=1/nは非負で単調減少し、00に収束する。したがって、定理 5.1により交代調和級数

∑n=1∞(−1)n−1n\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n}

は収束する。一方、その絶対値級数∑n=1∞1/n\sum_{n=1}^{\infty}1/nは、例 4.2のp=1p=1の場合として発散する。ゆえに交代調和級数は条件収束する。

定理 5.3 (コーシー積).K∈{R,C}\mathbb K\in\{\mathbb R,\mathbb C\}とし、an,bn∈Ka_n,b_n\in\mathbb Kとする。∑n=0∞an\sum_{n=0}^{\infty}a_nと∑n=0∞bn\sum_{n=0}^{\infty}b_nが絶対収束し、その和をそれぞれA,BA,Bとする。

ck=∑j=0kajbk−jc_k=\sum_{j=0}^{k}a_jb_{k-j}

とおくと、∑k=0∞∣ck∣<∞\sum_{k=0}^{\infty}|c_k|<\inftyであり、∑k=0∞ck=AB\sum_{k=0}^{\infty}c_k=ABである。

証明.P=∑n=0∞∣an∣P=\sum_{n=0}^{\infty}|a_n|、Q=∑n=0∞∣bn∣Q=\sum_{n=0}^{\infty}|b_n|とおく。有限和について項を並べ替えると、

∑k=0N∣ck∣≤∑i,j≥0i+j≤N∣ai∣∣bj∣≤PQ\sum_{k=0}^{N}|c_k| \le \sum_{\substack{i,j\ge0\\i+j\le N}}|a_i||b_j| \le PQ

である。左辺はNNについて単調に増加して上に有界であるから、§D1.7 定理 1.1により∑∣ck∣\sum |c_k|は収束する。

AN=∑i=0NaiA_N=\sum_{i=0}^{N}a_i、BN=∑j=0NbjB_N=\sum_{j=0}^{N}b_j、CN=∑k=0NckC_N=\sum_{k=0}^{N}c_kとおく。二重和のうちi+j>Ni+j>Nを満たす項では、i>N/2i>N/2またはj>N/2j>N/2が成り立つので、

∑i+j>N∣ai∣∣bj∣≤Q∑i>N/2∣ai∣+P∑j>N/2∣bj∣⟶0\sum_{i+j>N}|a_i||b_j| \le Q\sum_{i>N/2}|a_i|+P\sum_{j>N/2}|b_j| \longrightarrow0

である。特に、正方形領域の和ANBNA_NB_Nと三角形領域の和CNC_Nの差について

∣ANBN−CN∣≤∑0≤i,j≤Ni+j>N∣ai∣∣bj∣⟶0|A_NB_N-C_N| \le\sum_{\substack{0\le i,j\le N\\i+j>N}}|a_i||b_j| \longrightarrow0

である。また、収束列{AN}\{A_N\}は有界であるから、実数または複素数の絶対値について

∣ANBN−AB∣≤∣AN∣ ∣BN−B∣+∣B∣ ∣AN−A∣⟶0|A_NB_N-AB|\le |A_N|\,|B_N-B|+|B|\,|A_N-A|\longrightarrow0

である。したがってCN→ABC_N\to ABであり、∑ck=AB\sum c_k=ABである。▨

6 条件収束と再配列

補題 6.1.∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nを条件収束する実数級数とし、

an+=max⁡{an,0},an−=max⁡{−an,0}a_n^+=\max\{a_n,0\},\qquad a_n^-=\max\{-a_n,0\}

とおく。このとき、

∑n=1∞an+=+∞,∑n=1∞an−=+∞\sum_{n=1}^{\infty}a_n^+=+\infty,\qquad \sum_{n=1}^{\infty}a_n^-=+\infty

である。

証明.PN=∑n=1Nan+P_N=\sum_{n=1}^{N}a_n^+、QN=∑n=1Nan−Q_N=\sum_{n=1}^{N}a_n^-、SN=∑n=1NanS_N=\sum_{n=1}^{N}a_n、TN=∑n=1N∣an∣T_N=\sum_{n=1}^{N}|a_n|とおく。an=an+−an−a_n=a_n^+-a_n^-と∣an∣=an++an−|a_n|=a_n^++a_n^-から、

PN=TN+SN2,QN=TN−SN2P_N=\frac{T_N+S_N}{2},\qquad Q_N=\frac{T_N-S_N}{2}

である。

∑an\sum a_nは条件収束するから、{SN}\{S_N\}は収束し、{TN}\{T_N\}は収束しない。{TN}\{T_N\}は非負項級数の部分和として単調増加である。{TN}\{T_N\}が上に有界ならば§D1.7 定理 1.1により収束するため、{TN}\{T_N\}は上に有界でない。したがってTN→+∞T_N\to+\inftyである。{SN}\{S_N\}は有界であるから、上の二つの等式によりPN→+∞P_N\to+\inftyかつQN→+∞Q_N\to+\inftyである。▨

定理 6.2 (リーマンの再配列定理).∑n=1∞an\sum_{n=1}^{\infty}a_nを条件収束する実数級数とし、L∈RL\in\mathbb Rとする。このとき、ある全単射π ⁣:Z≥1→Z≥1\pi\colon\mathbb Z_{\geq1}\to\mathbb Z_{\geq1}が存在して、

∑n=1∞aπ(n)=L\sum_{n=1}^{\infty}a_{\pi(n)}=L

となる。

証明.I+={n≥1∣an>0}I_+=\{n\geq1\mid a_n>0\}、I−={n≥1∣an<0}I_-=\{n\geq1\mid a_n<0\}、I0={n≥1∣an=0}I_0=\{n\geq1\mid a_n=0\}とおく。補題 6.1により、I+I_+とI−I_-は無限集合であり、正項の和と負項の絶対値の和はともに+∞+\inftyへ発散する。各集合の元を元の添字順に

I+={p1<p2<⋯ },I−={q1<q2<⋯ }I_+=\{p_1<p_2<\cdots\},\qquad I_-=\{q_1<q_2<\cdots\}

と並べる。I0I_0が無限集合ならばI0={z1<z2<⋯ }I_0=\{z_1<z_2<\cdots\}と並べ、有限集合ならばその全要素を昇順に並べる。また、命題 1.1によりan→0a_n\to0である。

未使用の正項を元の添字順に少なくとも一つ加え、部分和がLLを越えるまで正項を加える。正項の和が+∞+\inftyへ発散するため、この操作は有限回で終了する。未使用の零項があれば、そのうち添字が最小のものを一つ加える。未使用の負項を元の添字順に少なくとも一つ加え、部分和がLLを下回るまで負項を加える。負項の絶対値の和が+∞+\inftyへ発散するため、この操作も有限回で終了する。未使用の零項があれば、そのうち添字が最小のものを一つ加える。以上の二つの操作を繰り返す。

第kk正項ブロックの終了時の部分和をUkU_k、第kk負項ブロックの終了時の部分和をVkV_kとする。零項を加えても部分和は変わらないため、零項を加えた直後にも同じ記号を用いる。第22正項ブロック以降は直前の部分和がLLより小さい。第kk正項ブロックで最後に加えた項をaprka_{p_{r_k}}とすれば、k≥2k\geq2に対して

0<Uk−L≤aprk0<U_k-L\leq a_{p_{r_k}}

である。第kk負項ブロックで最後に加えた項をaqska_{q_{s_k}}とすれば、

0<L−Vk≤−aqsk0<L-V_k\leq-a_{q_{s_k}}

である。各ブロックで少なくとも一つの正項と一つの負項を使うため、prk→∞p_{r_k}\to\inftyかつqsk→∞q_{s_k}\to\inftyである。an→0a_n\to0と二つの不等式から、Uk→LU_k\to LかつVk→LV_k\to Lとなる。

k≥2k\geq2において、第kk正項ブロック内の各部分和はVk−1V_{k-1}とUkU_kの間にあり、第kk負項ブロック内の各部分和はVkV_kとUkU_kの間にある。挿入した零項の直後の部分和は対応する端点に等しい。Vk−1→LV_{k-1}\to L、Uk→LU_k\to L、Vk→LV_k\to Lであるから、ブロック内の部分和も含め、構成した級数のすべての部分和はLLへ収束する。

各段階では各符号の未使用項のうち添字が最小のものから使い、各正項ブロックと各負項ブロックは少なくとも一つの項を含む。したがって、すべての正項と負項は有限の段階でちょうど一度使われる。各半ブロックの後に未使用の零項を一つずつ使うため、零項が有限個の場合にも無限個の場合にも、すべての零項が有限の段階でちょうど一度使われる。ゆえに、構成した項の列は元の添字集合の置換π ⁣:Z≥1→Z≥1\pi\colon\mathbb Z_{\geq1}\to\mathbb Z_{\geq1}を定め、その部分和はLLへ収束する。▨

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