§E10.1一次元の Lebesgue 微分定理

最終更新

連続関数の不定積分は、微分によってもとの関数をすべての点で回収することができる。Lebesgue 積分では、不連続な関数や非有界な関数も積分することができるため、局所可積分関数から定めた不定積分の導関数がどの点でもとの関数に一致するかが問題となる。

たとえば、段差関数f(t)=1(0,∞)(t)f(t)=\mathbf1_{(0,\infty)}(t)の不定積分F(x)=∫0xf(t) dtF(x)=\int_0^x f(t)\,dtはF(x)=max⁡{x,0}F(x)=\max\{x,0\}である。原点ではFFは微分可能でないが、原点以外ではF′(x)=f(x)F'(x)=f(x)が成り立つ。この例は、局所可積分関数に対する微分積分の関係を、例外集合を許して定式化する必要があることを示している。

Lebesgue の微分定理は、縮小する区間上の平均によって関数値を回収することができる点がほとんどすべての点を占めると述べる。この定理は、Lebesgue 積分と点ごとの微分を結ぶ基本的な結果であり、可積分関数の不定積分と絶対連続関数の関係を調べるための基礎となる。

本記事では、一次元の Lebesgue 微分定理と、不定積分の微分に対する帰結を扱う。

1 局所可積分関数と Lebesgue 点

定義 1.1.I⊆RI\subseteq\Rを空でない開区間、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。可測関数f:I→Kdf:I\to\mathbb K^dが局所可積分 (locally integrable) であるとは、任意の有限閉区間[a,b]⊂I[a,b]\subset Iに対して

∫ab∥f(t)∥ dt<∞\int_a^b\|f(t)\|\,dt<\infty

が成り立つことをいう。ここで∥⋅∥\|\cdot\|は Euclid ノルムであり、積分は Lebesgue 積分である。局所可積分関数をほとんど至る所の一致によって同一視した空間をLloc1(I;Kd)L^1_{\mathrm{loc}}(I;\mathbb K^d)と書く。有限次元のベクトル値関数の積分は成分ごとに定める。

定義 1.2 (Lebesgue 点).I⊆RI\subseteq\Rを空でない開区間とし、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。局所可積分な可測関数f:I→Kdf:I\to\mathbb K^dに対して、x∈Ix\in IがffのLebesgue 点 (Lebesgue point) であるとは、

lim⁡r↓012r∫x−rx+r∥f(t)−f(x)∥ dt=0\lim_{r\downarrow0}\frac1{2r} \int_{x-r}^{x+r}\|f(t)-f(x)\|\,dt=0

が成り立つことをいう。半径r>0r>0は[x−r,x+r]⊂I[x-r,x+r]\subset Iを満たす範囲で取る。

例 1.3.K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。開区間II上の局所可積分関数f:I→Kdf:I\to\mathbb K^dがx∈Ix\in Iで連続ならば、xxはffの Lebesgue 点である。実際、任意のε>0\ep>0に対して、∣t−x∣<δ|t-x|<\deltaならば∥f(t)−f(x)∥<ε\|f(t)-f(x)\|<\epとなるδ>0\delta>0が存在する。0<r<δ0<r<\deltaならば定義中の平均もε\ep以下である。

2 有限個の区間の選択

補題 2.1.I1,…,INI_1,\ldots,I_NをR\Rの空でない有界開区間の有限族とする。この族から互いに素な区間J1,…,JmJ_1,\ldots,J_mを選び、

⋃i=1NIi⊆⋃j=1m3Jj\bigcup_{i=1}^N I_i\subseteq\bigcup_{j=1}^m 3J_j

を満たすようにすることができる。ここでJ=(c−r,c+r)J=(c-r,c+r)に対して3J=(c−3r,c+3r)3J=(c-3r,c+3r)と書く。

証明. 残った区間のうち長さが最大のものを一つ選び、その区間と交わる区間をすべて除く操作を、区間が残らなくなるまで繰り返す。選ばれた区間を選択順にJ1,…,JmJ_1,\ldots,J_mとすると、有限回で操作が終わり、選ばれた区間は互いに素である。

選択時に除かれた区間I=(a−s,a+s)I=(a-s,a+s)と、そのとき選ばれたJ=(c−r,c+r)J=(c-r,c+r)を取る。最大長の選択からs≤rs\leq rであり、I∩J≠∅I\cap J\neq\varnothingから∣a−c∣<r+s|a-c|<r+sである。t∈It\in Iに対して

∣t−c∣≤∣t−a∣+∣a−c∣<s+(r+s)≤3r|t-c|\leq |t-a|+|a-c|<s+(r+s)\leq3r

なのでI⊆3JI\subseteq3Jである。選ばれた区間自身もJ⊆3JJ\subseteq3Jを満たすため、主張の包含を得る。▨

3 中心極大関数の評価

定義 3.1 (中心極大関数).K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とし、f:R→Kf:\R\to\mathbb Kを可積分関数とする。ffの中心極大関数 (centered maximal function) を

Mf(x)=sup⁡r>012r∫x−rx+r∣f(t)∣ dt(x∈R)Mf(x)=\sup_{r>0}\frac1{2r}\int_{x-r}^{x+r}|f(t)|\,dt \qquad(x\in\R)

によって定める。MfMfは+∞+\inftyを値として取ることを許す。

定理 3.2.K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}とし、f:R→Kf:\R\to\mathbb Kを可積分関数とする。中心極大関数MfMfは可測であり、任意のα>0\alpha>0に対して

λ1({x∈R:Mf(x)>α})≤3α∥f∥L1(R)\lambda_1\bigl(\{x\in\R:Mf(x)>\alpha\}\bigr) \leq\frac3\alpha\|f\|_{L^1(\R)}

が成り立つ。特に、Mf(x)<∞Mf(x)<\inftyがほとんど至る所で成り立つ。

証明.r>0r>0を固定し、

Ar(x)=12r∫x−rx+r∣f(t)∣ dtA_r(x)=\frac1{2r}\int_{x-r}^{x+r}|f(t)|\,dt

とおく。xn→xx_n\to xならば、区間(xn−r,xn+r)(x_n-r,x_n+r)の指示関数は、端点x−r,x+rx-r,x+rを除いて(x−r,x+r)(x-r,x+r)の指示関数へ収束する。積分の被積分関数は∣f∣|f|によって支配されるので、§E9.7 定理 3.2によりAr(xn)→Ar(x)A_r(x_n)\to A_r(x)である。したがってArA_rは連続である。xxを固定しrn→r>0r_n\to r>0とした場合も、端点を除く指示関数の収束と同じ支配関数を使うとArn(x)→Ar(x)A_{r_n}(x)\to A_r(x)を得る。従って

Mf(x)=sup⁡r∈Q, r>0Ar(x)Mf(x)=\sup_{r\in\Q,\ r>0}A_r(x)

である。連続関数の可算上限であるからMfMfは可測である。

α>0\alpha>0とし、Eα={x:Mf(x)>α}E_\alpha=\{x:Mf(x)>\alpha\}のコンパクト部分集合KKを取る。K=∅K=\varnothingの場合はλ1(K)=0\lambda_1(K)=0である。K≠∅K\neq\varnothingの場合、各x∈Kx\in Kに対して、あるr>0r>0が

∫x−rx+r∣f(t)∣ dt>α(2r)\int_{x-r}^{x+r}|f(t)|\,dt>\alpha(2r)

を満たす。この不等式を満たす区間全体はKKの開被覆をなすため、有限部分被覆I1,…,INI_1,\ldots,I_Nが存在する。補題 2.1によって、互いに素なJ1,…,JmJ_1,\ldots,J_mを選び、K⊆⋃j=1m3JjK\subseteq\bigcup_{j=1}^m3J_jとする。各JjJ_jは有限部分被覆の一員なので、

λ1(K)≤∑j=1mλ1(3Jj)=3∑j=1mλ1(Jj)<3α∑j=1m∫Jj∣f(t)∣ dt≤3α∥f∥L1(R).\begin{aligned} \lambda_1(K) &\leq\sum_{j=1}^m\lambda_1(3J_j) =3\sum_{j=1}^m\lambda_1(J_j)\\ &<\frac3\alpha\sum_{j=1}^m\int_{J_j}|f(t)|\,dt \leq\frac3\alpha\|f\|_{L^1(\R)}. \end{aligned}

最後の不等式は、JjJ_jが互いに素であることによる。§E9.4 定理 7.1によってEαE_\alphaのコンパクト部分集合について上限を取ると、主張の測度評価を得る。

任意のn∈N≥1n\in\NNに対して{Mf=∞}⊆En\{Mf=\infty\}\subseteq E_nであり、λ1(En)≤3∥f∥L1/n\lambda_1(E_n)\leq3\|f\|_{L^1}/nである。n→∞n\to\inftyとすればλ1({Mf=∞})=0\lambda_1(\{Mf=\infty\})=0となる。▨

4 Lebesgue の微分定理

定理 4.1 (Lebesgue の微分定理).I⊆RI\subseteq\Rを空でない開区間とし、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。f:I→Kdf:I\to\mathbb K^dが局所可積分ならば、次が成り立つ。

  1. ほとんどすべてのx∈Ix\in Iはffの Lebesgue 点である。
  2. ffの任意の Lebesgue 点xxにおいて、 lim⁡h↓01h∫xx+hf(t) dt=lim⁡h↓01h∫x−hxf(t) dt=f(x)\lim_{h\downarrow0}\frac1h\int_x^{x+h}f(t)\,dt =\lim_{h\downarrow0}\frac1h\int_{x-h}^xf(t)\,dt=f(x) が成り立つ。
  3. x0∈Ix_0\in I、c∈Kdc\in\mathbb K^dとし、 F(x)=c+∫x0xf(t) dt(x∈I)F(x)=c+\int_{x_0}^xf(t)\,dt\qquad(x\in I) と定める。x<x0x<x_0では積分を−∫xx0f(t) dt-\int_x^{x_0}f(t)\,dtとする。FFはffの任意の Lebesgue 点xxで微分可能であり、F′(x)=f(x)F'(x)=f(x)である。従って、この等式はほとんど至る所で成り立つ。

証明.I=RI=\R、d=1d=1、f∈L1(R;K)f\in L^1(\R;\mathbb K)の場合に、各x∈Rx\in\Rについて

Df(x)=lim sup⁡r↓012r∫x−rx+r∣f(t)−f(x)∣ dtD f(x)=\limsup_{r\downarrow0}\frac1{2r} \int_{x-r}^{x+r}|f(t)-f(x)|\,dt

とおく。g∈Cc(R;K)g\in C_c(\R;\mathbb K)とすると、三角不等式から

12r∫x−rx+r∣f(t)−f(x)∣ dt≤12r∫x−rx+r∣f(t)−g(t)∣ dt+12r∫x−rx+r∣g(t)−g(x)∣ dt+∣g(x)−f(x)∣.\begin{aligned} \frac1{2r}\int_{x-r}^{x+r}|f(t)-f(x)|\,dt &\leq \frac1{2r}\int_{x-r}^{x+r}|f(t)-g(t)|\,dt\\ &\quad+\frac1{2r}\int_{x-r}^{x+r}|g(t)-g(x)|\,dt +|g(x)-f(x)|. \end{aligned}

ggの連続性により右辺第二項はr↓0r\downarrow0で零へ収束するので、

Df(x)≤M(f−g)(x)+∣f(x)−g(x)∣D f(x)\leq M(f-g)(x)+|f(x)-g(x)|

を得る。

α>0\alpha>0を固定する。直前の不等式から

{Df>α}⊆{M(f−g)>α/2}∪{∣f−g∣>α/2}.\{D f>\alpha\} \subseteq\{M(f-g)>\alpha/2\}\cup\{|f-g|>\alpha/2\}.

右辺第一集合の測度は定理 3.2によって6∥f−g∥L1/α6\|f-g\|_{L^1}/\alpha以下である。第二集合については

α2λ1({∣f−g∣>α/2})≤∫{∣f−g∣>α/2}∣f−g∣≤∥f−g∥L1\frac\alpha2\lambda_1(\{|f-g|>\alpha/2\}) \leq\int_{\{|f-g|>\alpha/2\}}|f-g| \leq\|f-g\|_{L^1}

である。従って、Lebesgue 外測度λ1∗\lambda_1^*を用いると

λ1∗({Df>α})≤8α∥f−g∥L1.\lambda_1^*(\{D f>\alpha\})\leq\frac8\alpha\|f-g\|_{L^1}.

§E9.13 定理 3.3により、∥f−g∥L1\|f-g\|_{L^1}は任意に小さくすることができる。よってλ1∗({Df>α})=0\lambda_1^*(\{D f>\alpha\})=0である。Df≥0D f\geq0と

{Df>0}=⋃n=1∞{Df>1/n}\{D f>0\}=\bigcup_{n=1}^\infty\{D f>1/n\}

から、{Df>0}\{D f>0\}も外測度零である。Lebesgue 測度は完備なので、Df=0D f=0がほとんど至る所で成り立つ。非負な平均の上極限が零であることは平均そのものが零へ収束することを意味し、L1(R;K)L^1(\R;\mathbb K)の場合の(1)を得る。

一般の開区間II上の局所可積分関数f=(f1,…,fd)f=(f_1,\ldots,f_d)を取る。有理数a<ba<bで[a,b]⊂I[a,b]\subset Iを満たす閉区間全体は可算であり、その内部はIIを覆う。各区間[a,b][a,b]と各成分fjf_jについて、fjf_jを[a,b][a,b]の外で零とした関数をfj,a,b:R→Kf_{j,a,b}:\R\to\mathbb Kと書く。∣fj∣≤∥f∥|f_j|\leq\|f\|なのでfj,a,b∈L1(R;K)f_{j,a,b}\in L^1(\R;\mathbb K)である。既に証明した結論から、fj,a,bf_{j,a,b}の Lebesgue 点でない点は零集合に含まれる。これらの零集合を可算個の区間と有限個の成分について合わせた零集合をNNとする。

x∈I∖Nx\in I\setminus Nに対し、a<x<ba<x<bを満たす上記の区間を一つ取る。0<r<min⁡{x−a,b−x}0<r<\min\{x-a,b-x\}ならば、中心平均に現れるfj,a,bf_{j,a,b}はfjf_jに一致する。従って、各jjについて∣fj(t)−fj(x)∣|f_j(t)-f_j(x)|の中心平均は零へ収束する。不等式

∥f(t)−f(x)∥≤∑j=1d∣fj(t)−fj(x)∣\|f(t)-f(x)\|\leq\sum_{j=1}^d|f_j(t)-f_j(x)|

からxxはffの Lebesgue 点である。(1)が従う。

x∈Ix\in Iをffの Lebesgue 点とする。十分小さいh>0h>0に対して

1h∫xx+h∥f(t)−f(x)∥ dt≤212h∫x−hx+h∥f(t)−f(x)∥ dt⟶0.\frac1h\int_x^{x+h}\|f(t)-f(x)\|\,dt \leq2\frac1{2h}\int_{x-h}^{x+h}\|f(t)-f(x)\|\,dt\longrightarrow0.

左側区間[x−h,x][x-h,x]の平均にも同じ上界が成り立つ。各成分について§E9.7 補題 3.1を適用すると、左右の平均の第jj成分とfj(x)f_j(x)との差の絶対値は、それぞれ対応する上のノルム平均以下である。成分数は有限なので、ベクトルとしての左右の平均もf(x)f(x)へ収束する。(2)を得る。

x0∈Ix_0\in I、c∈Kdc\in\mathbb K^dを固定し、主張のFFを取る。積分の加法性と§E9.6 定理 3.2から、x,x+h∈Ix,x+h\in Iかつh≠0h\neq0のとき

F(x+h)−F(x)h=1h∫xx+hf(t) dt.\frac{F(x+h)-F(x)}h=\frac1h\int_x^{x+h}f(t)\,dt.

h>0h>0の場合の右辺は右側平均であり、h<0h<0の場合はk=−h>0k=-h>0としてk−1∫x−kxf(t) dtk^{-1}\int_{x-k}^xf(t)\,dtである。(2)により、xxが Lebesgue 点ならば両方ともf(x)f(x)へ収束する。従ってF′(x)=f(x)F'(x)=f(x)であり、(1)から(3)が従う。▨

注意 4.2. 局所可積分関数f,f~:I→Kdf,\widetilde f:I\to\mathbb K^dがほとんど至る所で一致すれば、§E9.6 定理 4.2により、同じ初期値から定めた不定積分はすべての点で一致する。一方、xxが Lebesgue 点であるかどうかにはf(x)f(x)の値も関わる。例えばf=0f=0とf~=1{0}\widetilde f=\mathbf1_{\{0\}}を実直線上で考えると、不定積分はどちらも定数であるが、00はf~\widetilde fの Lebesgue 点ではない。実際、∣f~(t)−f~(0)∣|\widetilde f(t)-\widetilde f(0)|の中心平均は常に11である。代表元の変更は、微分定理のほとんど至る所という結論を変えない。

系 4.3.I⊆RI\subseteq\Rを空でない開区間、K∈{R,C}\mathbb K\in\{\R,\C\}、d∈N≥1d\in\NNとする。局所可積分関数f,g:I→Kdf,g:I\to\mathbb K^dが、任意のa<ba<b、[a,b]⊂I[a,b]\subset Iに対して

∫abf(t) dt=∫abg(t) dt\int_a^bf(t)\,dt=\int_a^bg(t)\,dt

を満たすならば、f=gf=gがほとんど至る所で成り立つ。

証明. 証明は演習とする(問題 5.3)。▨

5 具体例と演習

例 5.1 (段差関数).f(t)=1(0,∞)(t)f(t)=\mathbf1_{(0,\infty)}(t)とする。x≠0x\neq0ではffは近傍で定数なので、xxは Lebesgue 点である。x=0x=0ではf(0)=0f(0)=0であり、任意のr>0r>0について

12r∫−rr∣f(t)−f(0)∣ dt=12\frac1{2r}\int_{-r}^r|f(t)-f(0)|\,dt=\frac12

であるから、00は Lebesgue 点ではない。不定積分は

F(x)=∫0xf(t) dt=max⁡{x,0}F(x)=\int_0^xf(t)\,dt=\max\{x,0\}

であり、x≠0x\neq0ではF′(x)=f(x)F'(x)=f(x)、x=0x=0では左微分係数が00、右微分係数が11である。中心平均12r∫−rrf(t) dt\frac1{2r}\int_{-r}^rf(t)\,dtは1/21/2に等しいが、その収束だけからFFの微分可能性は従わない。

問題 5.2.0<β<10<\beta<1とし、f:R→Rf:\R\to\Rをf(0)=0f(0)=0、f(t)=∣t∣−βf(t)=|t|^{-\beta}(t≠0t\neq0)によって定める。ffが局所可積分であることを示し、Lebesgue 点の全体と、F(x)=∫0xf(t) dtF(x)=\int_0^xf(t)\,dtが微分可能である点の全体を求めよ。

解答.

R>0R>0に対して

∫−RR∣f(t)∣ dt=2R1−β1−β<∞\int_{-R}^R|f(t)|\,dt=\frac{2R^{1-\beta}}{1-\beta}<\infty

なのでffは局所可積分である。x≠0x\neq0ではffが連続なのでxxは Lebesgue 点である。原点での中心平均は

12r∫−rr∣f(t)−f(0)∣ dt=r−β1−β⟶∞\frac1{2r}\int_{-r}^r|f(t)-f(0)|\,dt =\frac{r^{-\beta}}{1-\beta}\longrightarrow\infty

であるから、Lebesgue 点の全体はR∖{0}\R\setminus\{0\}である。積分を計算すると

F(x)={x1−β/(1−β),x>0,0,x=0,−(−x)1−β/(1−β),x<0.F(x)= \begin{cases} x^{1-\beta}/(1-\beta),&x>0,\\ 0,&x=0,\\ -(-x)^{1-\beta}/(1-\beta),&x<0. \end{cases}

x≠0x\neq0ではF′(x)=∣x∣−βF'(x)=|x|^{-\beta}である。h≠0h\neq0に対してF(h)/h=∣h∣−β/(1−β)→∞F(h)/h=|h|^{-\beta}/(1-\beta)\to\inftyなので、FFは原点では微分可能でない。従って、FFが微分可能である点の全体もR∖{0}\R\setminus\{0\}である。▨

問題 5.3.系 4.3の証明を完成させよ。

解答.

x0∈Ix_0\in Iを固定し、H(x)=∫x0x(f(t)−g(t)) dtH(x)=\int_{x_0}^x(f(t)-g(t))\,dtとおく。仮定と積分の線形性から、x≥x0x\geq x_0とx<x0x<x_0のどちらの場合もH(x)=0H(x)=0である。定理 4.1 (3)により、H′=f−gH'=f-gがほとんど至る所で成り立つ。一方、HHは恒等的に零なのでH′=0H'=0がすべての点で成り立ち、f=gf=gがほとんど至る所で従う。▨

前提記事