§C4.13斜軸回転体の体積

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回転軸がxx軸である回転体の体積は∫πy2 dx\displaystyle\int \pi y^2\,dxで求まります。この式が成り立つのは、二つのことが同時に成り立っているからです。第一に、yyが回転軸から点までの距離です。第二に、xxが回転軸に沿って測った長さであり、dxdxが軸に垂直な二つの断面の間隔を表します。回転軸が座標軸でない直線ℓ\ellになると、この二つがどちらも成り立たなくなります。点(x,y)(x,y)からℓ\ellまでの距離はyyではなく、xxの変化量はℓ\ellに沿って測った長さではありません。

本記事は、回転軸ℓ\ellに沿って測った座標と、ℓ\ellからの距離とを、ℓ\ellの傾きの三角比によってxxとyyで表し、ℓ\ellに沿う変数で積分して体積を求めます。あわせて、積分の範囲が、もとの図形をℓ\ellの上へ正射影した区間になることを確かめます。断面の面積を積分して体積を求めるという立式の型そのものは「微積分」が扱い、本記事はそれを用います。

1 軸に沿う座標と軸からの距離

回転軸を、原点を通る直線にとります。原点を通らない直線については、平行移動して原点を通る場合へ帰着させます(注意 5.1)。

公式 1.1 (軸に沿う座標と軸からの距離).0≤θ<π0 \le \theta < \piとし、ℓ\ellを、原点を通り、xx軸の正の向きとなす角がθ\thetaである直線とする。ℓ\ell上の点は、実数ssを用いて(scos⁡θ, ssin⁡θ)(s\cos\theta,\ s\sin\theta)と一意に表される。このssを、その点の ℓ\ell上の座標という。点P(x,y)\mathrm{P}(x,y)からℓ\ellへ下ろした垂線の足をH\mathrm{H}とすると、H\mathrm{H}のℓ\ell上の座標ttと、P\mathrm{P}とℓ\ellの距離ddは

t=xcos⁡θ+ysin⁡θ,d=∣xsin⁡θ−ycos⁡θ∣t = x\cos\theta + y\sin\theta, \qquad d = |x\sin\theta - y\cos\theta|

である。

証明.ℓ\ell上の点(scos⁡θ,ssin⁡θ)(s\cos\theta, s\sin\theta)は、すべてのssについてscos⁡θ⋅sin⁡θ−ssin⁡θ⋅cos⁡θ=0s\cos\theta\cdot\sin\theta - s\sin\theta\cdot\cos\theta = 0を満たすので、ℓ\ellの方程式はxsin⁡θ−ycos⁡θ=0x\sin\theta - y\cos\theta = 0です。点と直線の距離の公式により

d=∣xsin⁡θ−ycos⁡θ∣sin⁡2θ+cos⁡2θ=∣xsin⁡θ−ycos⁡θ∣d = \frac{|x\sin\theta - y\cos\theta|}{\sqrt{\sin^2\theta + \cos^2\theta}} = |x\sin\theta - y\cos\theta|

です。

次に垂線の足を求めます。t=xcos⁡θ+ysin⁡θt = x\cos\theta + y\sin\thetaと置き、ℓ\ell上の座標がttである点をQ\mathrm{Q}とします。sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1を用いると

PQ2=(x−tcos⁡θ)2+(y−tsin⁡θ)2=x2+y2−2t(xcos⁡θ+ysin⁡θ)+t2=x2+y2−t2\mathrm{PQ}^2 = (x - t\cos\theta)^2 + (y - t\sin\theta)^2 = x^2+y^2 - 2t(x\cos\theta + y\sin\theta) + t^2 = x^2+y^2-t^2

です。一方、同じ関係式を用いてd2d^2を展開すると

d2=(xsin⁡θ−ycos⁡θ)2=x2sin⁡2θ−2xysin⁡θcos⁡θ+y2cos⁡2θ=x2+y2−t2d^2 = (x\sin\theta - y\cos\theta)^2 = x^2\sin^2\theta - 2xy\sin\theta\cos\theta + y^2\cos^2\theta = x^2+y^2-t^2

となるので、PQ=d\mathrm{PQ} = dです。P\mathrm{P}からℓ\ell上の点までの距離は、垂線の足において最小値ddをとり、ℓ\ell上の他の点では、三平方の定理によりddより大きくなります。したがってQ\mathrm{Q}は垂線の足H\mathrm{H}に一致し、H\mathrm{H}のℓ\ell上の座標はttです。▨

θ=0\theta = 0のときt=xt = x、d=∣y∣d = |y|となり、回転軸がxx軸である場合の設定に戻ります。

2 軸に垂直な断面による立式

回転体を回転軸に垂直な平面で切ると、断面は軸上に中心をもつ円板または円環です。断面積を、軸に沿う座標ttについて積分します。

定理 2.1 (斜軸回転体の体積).ℓ\ellを公式 1.1の直線とし、平面図形DDが次の三つを満たすとする。

  1. DDをℓ\ellの上へ正射影した像が、区間t1≤t≤t2t_1 \le t \le t_2である。
  2. t1≤t≤t2t_1 \le t \le t_2を満たす各ttについて、ℓ\ell上の座標ttの点を通りℓ\ellに垂直な直線とDDの共通部分が、そのℓ\ell上の点を一方の端とする線分である。その長さをr(t)r(t)と置く。
  3. rrは[t1,t2][t_1,t_2]で連続である。

このとき、DDをℓ\ellのまわりに1回転させてできる立体の体積VVは

V=π∫t1t2r(t)2 dtV = \pi \int_{t_1}^{t_2} r(t)^2\,dt

である。

証明. 立体を、ℓ\ell上の座標ttの点を通りℓ\ellに垂直な平面で切ります。仮定2により、この平面とDDの共通部分は、ℓ\ell上の点から出る長さr(t)r(t)の線分です。この線分をℓ\ellのまわりに1回転させた図形は、ℓ\ell上の点を中心とする半径r(t)r(t)の円板なので、断面の面積はπr(t)2\pi r(t)^2です。仮定3によりπr(t)2\pi r(t)^2は[t1,t2][t_1,t_2]で連続なので、断面積を軸に沿う座標について積分してV=π∫t1t2r(t)2 dtV = \pi \displaystyle\int_{t_1}^{t_2} r(t)^2\,dtを得ます。▨

仮定2は、断面が円板であって円環でないことを保証しています。DDがℓ\ellから離れている場合には、共通部分の線分がℓ\ell上の点から始まらないので、断面は円環になり、外側の半径と内側の半径の 2乗の差を積分することになります。

注意 2.2 (積分の範囲は正射影した区間である).定理 2.1の積分の範囲[t1,t2][t_1,t_2]は、DDをℓ\ellの上へ正射影した区間である。すなわちt1t_1はDDの点についてのxcos⁡θ+ysin⁡θx\cos\theta + y\sin\thetaの最小値、t2t_2はその最大値である。これは、DDをxx軸の上へ正射影した区間、すなわちDDの点のxx座標が動く範囲とは一般に異なる。

3 もとの変数を積分変数にする

図形の境界がy=f(x)y = f(x)の形で与えられているとき、rrをttの式として書き直すにはttとxxの対応を解く必要があります。置換積分を逆向きに用いると、この書き直しをせずにxxのまま積分することができます。

公式 3.1 (もとの変数による表示).定理 2.1の仮定のもとで、DDのℓ\ellから遠いほうの境界が、[a,b][a,b]で微分可能な関数ffによってy=f(x)y = f(x)(a≤x≤ba \le x \le b)と表されているとする。

t(x)=xcos⁡θ+f(x)sin⁡θ,r(x)=∣xsin⁡θ−f(x)cos⁡θ∣t(x) = x\cos\theta + f(x)\sin\theta, \qquad r(x) = |x\sin\theta - f(x)\cos\theta|

と置き、ttが[a,b][a,b]で狭義単調増加であってt(a)=t1t(a) = t_1、t(b)=t2t(b) = t_2であるとする。このとき

V=π∫abr(x)2(cos⁡θ+f′(x)sin⁡θ) dxV = \pi \int_a^b r(x)^2 \bigl(\cos\theta + f'(x)\sin\theta\bigr)\,dx

である。

証明.t=t(x)t = t(x)を置換とみなします。ttは[a,b][a,b]で狭義単調増加なので、[a,b][a,b]から[t1,t2][t_1,t_2]への 1対1の対応を与えます。dtdx=cos⁡θ+f′(x)sin⁡θ\dfrac{dt}{dx} = \cos\theta + f'(x)\sin\thetaであり、ℓ\ell上の座標がt(x)t(x)である断面について、その半径は境界上の点(x,f(x))(x,f(x))とℓ\ellの距離r(x)r(x)です。定理 2.1の積分にt=t(x)t = t(x)を代入すると

V=π∫t1t2r(t)2 dt=π∫abr(x)2dtdx dxV = \pi \int_{t_1}^{t_2} r(t)^2\,dt = \pi \int_a^b r(x)^2 \frac{dt}{dx}\,dx

となり、結論を得ます。▨

注意 3.2 (dtdtをdxdxに置き換えてはならない).公式 3.1の被積分関数にはdtdx=cos⁡θ+f′(x)sin⁡θ\dfrac{dt}{dx} = \cos\theta + f'(x)\sin\thetaが掛かる。この因子を落としたπ∫abr(x)2 dx\pi \displaystyle\int_a^b r(x)^2\,dxは、体積とは別の値である。dxdxはxx軸に沿って測った長さ、dtdtはℓ\ellに沿って測った長さであり、θ≠0\theta \ne 0のときは両者が一致しないからである。θ=0\theta = 0のときに限りdtdx=1\dfrac{dt}{dx} = 1となり、π∫aby2 dx\pi\displaystyle\int_a^b y^2\,dxに戻る。

ttが[a,b][a,b]で狭義単調増加であるという仮定も外すことができない。ttが増加から減少へ変わると、一つのttにxxが二つ以上対応し、置換が1対1でなくなる。この場合には、ttが単調である区間へ[a,b][a,b]を分けて扱う。

4 放物線と直線が囲む図形を、その直線のまわりに回転させる

例 4.1 (y=x2y=x^2とy=xy=xが囲む図形の、直線y=xy=xのまわりの回転).DDを、放物線y=x2y=x^2と直線y=xy=xが囲む図形とします。二つの交点は(0,0)(0,0)と(1,1)(1,1)であり、0≤x≤10 \le x \le 1でx2≤xx^2 \le xなので

D={(x,y)∣0≤x≤1, x2≤y≤x}D = \{(x,y) \mid 0 \le x \le 1,\ x^2 \le y \le x\}

です。回転軸ℓ\ellを直線y=xy=xとするとθ=π4\theta = \dfrac{\pi}{4}であり、cos⁡θ=sin⁡θ=12\cos\theta = \sin\theta = \dfrac{1}{\sqrt2}です。

まず定理 2.1の仮定を確かめます。DDの点についてt=x+y2t = \dfrac{x+y}{\sqrt2}であり、DD上でx+yx+yは(0,0)(0,0)で最小値00、(1,1)(1,1)で最大値22をとるので、正射影した区間は0≤t≤20 \le t \le \sqrt2です。ℓ\ell上の座標ttの点を通りℓ\ellに垂直な直線はx+y=2 tx+y = \sqrt2\,tであり、この直線上の点(x,2 t−x)(x, \sqrt2\,t-x)がDDに属する条件はx2≤2 t−xx^2 \le \sqrt2\,t-xかつ2 t−x≤x\sqrt2\,t-x \le x、すなわちt2≤x≤x0\dfrac{t}{\sqrt2} \le x \le x_0(ここでx0x_0はx0+x02=2 tx_0 + x_0^2 = \sqrt2\,tを満たす00以上の数)です。これは線分であり、その一方の端x=t2x = \dfrac{t}{\sqrt2}はℓ\ell上の点です。したがって仮定2が成り立ちます。

次に公式 3.1を用います。ℓ\ellから遠いほうの境界はf(x)=x2f(x) = x^2で、

t(x)=x+x22,r(x)=∣x−x2∣2=x−x22(0≤x≤1)t(x) = \frac{x+x^2}{\sqrt2}, \qquad r(x) = \frac{|x-x^2|}{\sqrt2} = \frac{x-x^2}{\sqrt2} \quad (0 \le x \le 1)

です。dtdx=1+2x2\dfrac{dt}{dx} = \dfrac{1+2x}{\sqrt2}は0≤x≤10 \le x \le 1で正なので、ttはこの区間で狭義単調増加であり、t(0)=0t(0)=0、t(1)=2t(1)=\sqrt2です。したがって

V=π∫01(x−x2)22⋅1+2x2 dx=π22∫01(x−x2)2(1+2x) dxV = \pi \int_0^1 \frac{(x-x^2)^2}{2}\cdot\frac{1+2x}{\sqrt2}\,dx = \frac{\pi}{2\sqrt2}\int_0^1 (x-x^2)^2(1+2x)\,dx

です。被積分関数を展開すると

(x2−2x3+x4)(1+2x)=x2−3x4+2x5(x^2-2x^3+x^4)(1+2x) = x^2 - 3x^4 + 2x^5

なので

∫01(x2−3x4+2x5) dx=13−35+13=115\int_0^1 (x^2-3x^4+2x^5)\,dx = \frac13 - \frac35 + \frac13 = \frac{1}{15}

であり、

V=π22⋅115=π302=2 π60V = \frac{\pi}{2\sqrt2}\cdot\frac{1}{15} = \frac{\pi}{30\sqrt2} = \frac{\sqrt2\,\pi}{60}

となります。

この例で、xxの動く範囲[0,1][0,1]と、積分の範囲[0,2][0,\sqrt2]は別のものです。前者はDDをxx軸の上へ正射影した区間、後者はDDをℓ\ellの上へ正射影した区間です。ℓ\ellの上への正射影の長さ2\sqrt2は、二つの交点(0,0)(0,0)と(1,1)(1,1)の距離に等しくなっています。この例では二つの交点がともにℓ\ell上にあるからです。

5 軸が原点を通らない場合

注意 5.1 (平行移動による帰着). 回転軸ℓ\ellが原点を通らない場合には、ℓ\ell上の1点A(p,q)\mathrm{A}(p,q)をとり、xx軸の向きに−p-p、yy軸の向きに−q-qだけ平行移動する。平行移動は距離と体積を変えないので、移した図形を、原点を通りℓ\ellと同じ方向をもつ直線のまわりに回転させた立体の体積を求めればよい。すなわち公式 1.1のxx、yyをx−px-p、y−qy-qに置き換え、

t=(x−p)cos⁡θ+(y−q)sin⁡θ,d=∣(x−p)sin⁡θ−(y−q)cos⁡θ∣t = (x-p)\cos\theta + (y-q)\sin\theta, \qquad d = |(x-p)\sin\theta - (y-q)\cos\theta|

とする。

注意 5.2 (本記事が扱う範囲). 本記事は、回転軸が座標軸に平行でない直線である場合の立式を扱う。回転軸がyy軸またはそれに平行な直線である場合に、円筒の側面を積分する立式は「円筒殻による回転体の体積」が扱う。回転体でない立体を断面の面積から求めるのは「断面を追う立体の体積」であり、回転体の体積を図形の面積と重心が動いた距離の積として表すのは「パップス・ギュルダンの定理」である。

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