1 軸に沿う座標と軸からの距離
回転軸を、原点を通る直線にとります。原点を通らない直線については、平行移動して原点を通る場合へ帰着させます(注意 5.1)。
証明.ℓ上の点(scosθ,ssinθ)は、すべてのsについてscosθ⋅sinθ−ssinθ⋅cosθ=0を満たすので、ℓの方程式はxsinθ−ycosθ=0です。点と直線の距離の公式により
d=sin2θ+cos2θ∣xsinθ−ycosθ∣=∣xsinθ−ycosθ∣です。
次に垂線の足を求めます。t=xcosθ+ysinθと置き、ℓ上の座標がtである点をQとします。sin2θ+cos2θ=1を用いると
PQ2=(x−tcosθ)2+(y−tsinθ)2=x2+y2−2t(xcosθ+ysinθ)+t2=x2+y2−t2です。一方、同じ関係式を用いてd2を展開すると
d2=(xsinθ−ycosθ)2=x2sin2θ−2xysinθcosθ+y2cos2θ=x2+y2−t2となるので、PQ=dです。Pからℓ上の点までの距離は、垂線の足において最小値dをとり、ℓ上の他の点では、三平方の定理によりdより大きくなります。したがってQは垂線の足Hに一致し、Hのℓ上の座標はtです。▨
θ=0のときt=x、d=∣y∣となり、回転軸がx軸である場合の設定に戻ります。
2 軸に垂直な断面による立式
回転体を回転軸に垂直な平面で切ると、断面は軸上に中心をもつ円板または円環です。断面積を、軸に沿う座標tについて積分します。
定理 2.1 (斜軸回転体の体積).ℓを公式 1.1の直線とし、平面図形Dが次の三つを満たすとする。
- Dをℓの上へ正射影した像が、区間t1≤t≤t2である。
- t1≤t≤t2を満たす各tについて、ℓ上の座標tの点を通りℓに垂直な直線とDの共通部分が、そのℓ上の点を一方の端とする線分である。その長さをr(t)と置く。
- rは[t1,t2]で連続である。
このとき、Dをℓのまわりに1回転させてできる立体の体積Vは
V=π∫t1t2r(t)2dtである。
証明. 立体を、ℓ上の座標tの点を通りℓに垂直な平面で切ります。仮定2により、この平面とDの共通部分は、ℓ上の点から出る長さr(t)の線分です。この線分をℓのまわりに1回転させた図形は、ℓ上の点を中心とする半径r(t)の円板なので、断面の面積はπr(t)2です。仮定3によりπr(t)2は[t1,t2]で連続なので、断面積を軸に沿う座標について積分してV=π∫t1t2r(t)2dtを得ます。▨
仮定2は、断面が円板であって円環でないことを保証しています。Dがℓから離れている場合には、共通部分の線分がℓ上の点から始まらないので、断面は円環になり、外側の半径と内側の半径の
2乗の差を積分することになります。
3 もとの変数を積分変数にする
図形の境界がy=f(x)の形で与えられているとき、rをtの式として書き直すにはtとxの対応を解く必要があります。置換積分を逆向きに用いると、この書き直しをせずにxのまま積分することができます。
証明.t=t(x)を置換とみなします。tは[a,b]で狭義単調増加なので、[a,b]から[t1,t2]への
1対1の対応を与えます。dxdt=cosθ+f′(x)sinθであり、ℓ上の座標がt(x)である断面について、その半径は境界上の点(x,f(x))とℓの距離r(x)です。定理 2.1の積分にt=t(x)を代入すると
V=π∫t1t2r(t)2dt=π∫abr(x)2dxdtdxとなり、結論を得ます。▨
4 放物線と直線が囲む図形を、その直線のまわりに回転させる
例 4.1 (y=x2とy=xが囲む図形の、直線y=xのまわりの回転).Dを、放物線y=x2と直線y=xが囲む図形とします。二つの交点は(0,0)と(1,1)であり、0≤x≤1でx2≤xなので
D={(x,y)∣0≤x≤1, x2≤y≤x}です。回転軸ℓを直線y=xとするとθ=4πであり、cosθ=sinθ=21です。
まず定理 2.1の仮定を確かめます。Dの点についてt=2x+yであり、D上でx+yは(0,0)で最小値0、(1,1)で最大値2をとるので、正射影した区間は0≤t≤2です。ℓ上の座標tの点を通りℓに垂直な直線はx+y=2tであり、この直線上の点(x,2t−x)がDに属する条件はx2≤2t−xかつ2t−x≤x、すなわち2t≤x≤x0(ここでx0はx0+x02=2tを満たす0以上の数)です。これは線分であり、その一方の端x=2tはℓ上の点です。したがって仮定2が成り立ちます。
次に公式 3.1を用います。ℓから遠いほうの境界はf(x)=x2で、
t(x)=2x+x2,r(x)=2∣x−x2∣=2x−x2(0≤x≤1)です。dxdt=21+2xは0≤x≤1で正なので、tはこの区間で狭義単調増加であり、t(0)=0、t(1)=2です。したがって
V=π∫012(x−x2)2⋅21+2xdx=22π∫01(x−x2)2(1+2x)dxです。被積分関数を展開すると
(x2−2x3+x4)(1+2x)=x2−3x4+2x5なので
∫01(x2−3x4+2x5)dx=31−53+31=151であり、
V=22π⋅151=302π=602πとなります。
この例で、xの動く範囲[0,1]と、積分の範囲[0,2]は別のものです。前者はDをx軸の上へ正射影した区間、後者はDをℓの上へ正射影した区間です。ℓの上への正射影の長さ2は、二つの交点(0,0)と(1,1)の距離に等しくなっています。この例では二つの交点がともにℓ上にあるからです。
5 軸が原点を通らない場合