§C4.12円筒殻による回転体の体積

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yy軸のまわりの回転体の体積を、xx軸に垂直な円板の面積を積分して求めるには、曲線y=f(x)y=f(x)をx=g(y)x=g(y)の形へ書き直す必要があります。書き直すにはffの逆関数を求めることになり、ffが単調でない場合には、一つのyyに対してxxが二つ以上定まるため、区間を分けて扱うことになります。本記事は、この書き直しを行わずに、y=f(x)y=f(x)の形のまま体積を積分で表す立式を扱います。

用いるのは、回転軸に平行な薄い円筒の側面です。区間[a,b][a,b]を細かく分け、その一つ一つの上にある部分を回転させると、内側と外側の半径がわずかに違う円筒の殻ができます。この殻の体積を足し合わせると、体積が2π∫abxf(x) dx2\pi \int_a^b x f(x)\,dxという積分で表されます。本記事は、この立式の根拠を示し、同じ立体について断面の円板による立式と円筒殻による立式が同じ値を与えることを、具体例で確かめます。断面の円板や円筒の側面を積分するという立式の型そのものは「微積分」が扱い、本記事はそれらを用います。

1 薄い円筒殻の体積

はじめに、二つの同心円柱の間にはさまれた部分の体積を求めます。この部分は、あとで回転体を分けるときの一つ分にあたります。

定義 1.1 (円筒殻).0≤r<R0 \le r < R、h>0h > 0とする。半径RR、高さhhの円柱から、それと軸を共有する半径rr、高さhhの円柱を取り除いた立体を、内半径rr、外半径RR、高さhhの円筒殻という。

円筒殻の体積は、二つの円柱の体積の差として、近似を用いずに求まります。

定理 1.2 (円筒殻の体積). 内半径rr、外半径RR、高さhhの円筒殻の体積WWは

W=π(R2−r2)h=2π⋅R+r2⋅(R−r)⋅hW = \pi(R^2 - r^2)h = 2\pi \cdot \frac{R+r}{2} \cdot (R-r) \cdot h

である。

証明. 半径RRの円柱の体積はπR2h\pi R^2 h、半径rrの円柱の体積はπr2h\pi r^2 hです。二つの円柱は軸を共有し、高さも等しいので、内側の円柱は外側の円柱に含まれます。したがって差はπ(R2−r2)h\pi(R^2-r^2)hです。R2−r2=(R+r)(R−r)R^2 - r^2 = (R+r)(R-r)を用いてπ(R+r)(R−r)h\pi(R+r)(R-r)hと書き、R+r=2⋅R+r2R+r = 2\cdot\dfrac{R+r}{2}と分けると、二つ目の表示を得ます。▨

二つ目の表示は、円筒殻の体積が「内半径と外半径の平均を半径とする円周の長さ2π⋅R+r22\pi\cdot\dfrac{R+r}{2}」と「厚さR−rR-r」と「高さhh」の積であることを述べています。R−rR-rが小さいとき、平均の半径はrrにもRRにも近いので、体積は側面積と厚さの積に近い値になります。

2 側面積を積分する立式

区間[a,b][a,b]を細かく分け、それぞれの部分を回転させて得られる円筒殻の体積を足し合わせます。

公式 2.1 (円筒殻による回転体の体積).0≤a<b0 \le a < bとし、ffは[a,b][a,b]で連続で、[a,b][a,b]のすべてのxxについてf(x)≥0f(x) \ge 0とする。領域

D={(x,y)∣a≤x≤b, 0≤y≤f(x)}D = \{(x,y) \mid a \le x \le b,\ 0 \le y \le f(x)\}

をyy軸のまわりに1回転させてできる立体の体積VVは

V=2π∫abxf(x) dxV = 2\pi \int_a^b x f(x)\,dx

である。

証明. 区間[a,b][a,b]をnn等分し、分点をa=x0<x1<⋯<xn=ba = x_0 < x_1 < \cdots < x_n = b、幅をΔx=b−an\Delta x = \dfrac{b-a}{n}とします。DDのうちxi−1≤x≤xix_{i-1} \le x \le x_iを満たす部分をDiD_iと置き、DiD_iを回転させてできる立体の体積をViV_iとします。立体はnn個の部分に分かれるのでV=∑i=1nViV = \sum_{i=1}^{n} V_iです。

ffは閉区間[xi−1,xi][x_{i-1},x_i]で連続なので、そこで最小値mim_iと最大値MiM_iをとります。DiD_iは、高さmim_iの長方形を含み、高さMiM_iの長方形に含まれるので、DiD_iを回転させた立体は、内半径xi−1x_{i-1}、外半径xix_i、高さmim_iの円筒殻を含み、同じ半径で高さMiM_iの円筒殻に含まれます。定理 1.2により、ξi=xi−1+xi2\xi_i = \dfrac{x_{i-1}+x_i}{2}と置くと

2πξimiΔx≤Vi≤2πξiMiΔx2\pi \xi_i m_i \Delta x \le V_i \le 2\pi \xi_i M_i \Delta x

です。iiについて足し合わせると

∑i=1n2πξimiΔx≤V≤∑i=1n2πξiMiΔx\sum_{i=1}^{n} 2\pi \xi_i m_i \Delta x \le V \le \sum_{i=1}^{n} 2\pi \xi_i M_i \Delta x

となります。左辺と右辺はいずれも、関数2πxf(x)2\pi x f(x)についての区分求積の和です。2πxf(x)2\pi x f(x)は[a,b][a,b]で連続なので、n→∞n \to \inftyのとき両辺はともに2π∫abxf(x) dx2\pi \displaystyle\int_a^b x f(x)\,dxへ収束します。はさみうちの原理により、VVはこの値に等しくなります。▨

上の証明は、DiD_iを回転させた立体に体積が定まることと、体積が部分ごとの和になることを認めたうえで、その値を二つの円筒殻ではさんでいます。

注意 2.2 (薄い殻の体積についての厳密な扱い). 本記事は、回転体に体積が定まることと、体積が部分の和になることを認めて計算する。薄い殻の体積が側面積と厚さの積に近づくことを、立体の体積の定義にさかのぼって正当化するのは「ε-論法と基礎解析」である。

3 断面の円板による立式との一致

同じ立体をyy軸に垂直な平面で切ると、断面は円板または円環になります。その面積をyyについて積分しても体積が求まります。二つの立式が同じ値を与えることを、具体例で確かめます。

例 3.1 (y=1−x2y = 1-x^2の場合).f(x)=1−x2f(x) = 1-x^2、a=0a=0、b=1b=1とします。[0,1][0,1]でf(x)≥0f(x) \ge 0です。円筒殻による立式では

V=2π∫01x(1−x2) dx=2π[x22−x44]01=2π(12−14)=π2V = 2\pi \int_0^1 x(1-x^2)\,dx = 2\pi \left[\frac{x^2}{2} - \frac{x^4}{4}\right]_0^1 = 2\pi \left(\frac12 - \frac14\right) = \frac{\pi}{2}

です。断面の円板による立式では、y=1−x2y = 1-x^2を0≤x≤10 \le x \le 1の範囲でxxについて解いてx=1−yx = \sqrt{1-y}とし、高さyyにおける断面が半径1−y\sqrt{1-y}の円板であることを用いて

V=π∫01(1−y)2dy=π∫01(1−y) dy=π[y−y22]01=π2V = \pi \int_0^1 \left(\sqrt{1-y}\right)^2 dy = \pi \int_0^1 (1-y)\,dy = \pi\left[y - \frac{y^2}{2}\right]_0^1 = \frac{\pi}{2}

となります。二つの値は一致します。

次の例では、ffが単調でないため、断面の円板による立式に円環が現れます。

例 3.2 (y=x−x2y = x-x^2の場合).f(x)=x−x2f(x) = x-x^2、a=0a=0、b=1b=1とします。[0,1][0,1]でf(x)≥0f(x) \ge 0です。円筒殻による立式では

V=2π∫01x(x−x2) dx=2π[x33−x44]01=2π(13−14)=π6V = 2\pi \int_0^1 x(x-x^2)\,dx = 2\pi \left[\frac{x^3}{3} - \frac{x^4}{4}\right]_0^1 = 2\pi \left(\frac13 - \frac14\right) = \frac{\pi}{6}

です。断面の円板による立式では、まずffの最大値がx=12x=\dfrac12における14\dfrac14であることを確かめます。0<y<140 < y < \dfrac14に対してx2−x+y=0x^2 - x + y = 0の解は

x−=1−1−4y2,x+=1+1−4y2x_{-} = \frac{1-\sqrt{1-4y}}{2}, \qquad x_{+} = \frac{1+\sqrt{1-4y}}{2}

の二つであり、高さyyにおける断面は内半径x−x_{-}、外半径x+x_{+}の円環です。x++x−=1x_{+}+x_{-} = 1、x+−x−=1−4yx_{+}-x_{-} = \sqrt{1-4y}なので

x+2−x−2=(x++x−)(x+−x−)=1−4yx_{+}^2 - x_{-}^2 = (x_{+}+x_{-})(x_{+}-x_{-}) = \sqrt{1-4y}

であり、

V=π∫01/41−4y dy=π[−(1−4y)3/26]01/4=π6V = \pi \int_0^{1/4} \sqrt{1-4y}\,dy = \pi \left[-\frac{(1-4y)^{3/2}}{6}\right]_0^{1/4} = \frac{\pi}{6}

となります。二つの値は一致します。

二つの立式は同じ体積を与えるので、どちらを用いるかは計算の手間だけで決まります。

注意 3.3 (どちらの立式を選ぶか).yy軸のまわりの回転について、二つの立式は次の点で異なる。

  1. 断面の円板による立式は、yyを与えるごとにxxの範囲を決める必要がある。曲線がx=g(y)x = g(y)の形へ書き直されているとき、または書き直しが容易なときに手数が少ない。例 3.2のようにffが単調でない場合には、一つのyyに対してxxが二つ定まるため、断面が円環になり、内半径と外半径を別々に求めることになる。
  2. 円筒殻による立式は、y=f(x)y=f(x)の形のまま用いることができ、ffが単調であるかどうかによらず被積分関数が2πxf(x)2\pi x f(x)の一つで済む。

一方、xx軸のまわりの回転については、断面の円板による立式をy=f(x)y=f(x)の形のまま用いることができるので、上の関係は入れ替わる。

4 回転軸を平行に動かす

回転軸がyy軸ではなく、それに平行な直線である場合も、同じ立式を用いることができます。変わるのは、円筒殻の半径が原点からの距離ではなく、軸からの距離になることです。

公式 4.1 (直線x=cx=cのまわりの回転).c≤a<bc \le a < bとし、ffは[a,b][a,b]で連続で、[a,b][a,b]のすべてのxxについてf(x)≥0f(x) \ge 0とする。領域D={(x,y)∣a≤x≤b, 0≤y≤f(x)}D = \{(x,y) \mid a \le x \le b,\ 0 \le y \le f(x)\}を直線x=cx = cのまわりに1回転させてできる立体の体積VVは

V=2π∫ab(x−c)f(x) dxV = 2\pi \int_a^b (x-c) f(x)\,dx

である。

証明.xx軸の向きに−c-cだけ平行移動すると、DDはD′={(u,y)∣a−c≤u≤b−c, 0≤y≤f(u+c)}D' = \{(u,y) \mid a-c \le u \le b-c,\ 0 \le y \le f(u+c)\}へ移り、直線x=cx=cはyy軸へ移ります。平行移動は体積を変えないので、求める体積はD′D'をyy軸のまわりに回転させた立体の体積に等しく、c≤ac \le aから0≤a−c0 \le a-cなので公式 2.1を用いることができます。したがって

V=2π∫a−cb−cuf(u+c) duV = 2\pi \int_{a-c}^{b-c} u f(u+c)\,du

です。x=u+cx = u+cと置換するとdu=dxdu = dxであり、積分区間はa≤x≤ba \le x \le bになるので、V=2π∫ab(x−c)f(x) dxV = 2\pi \displaystyle\int_a^b (x-c)f(x)\,dxを得ます。▨

注意 4.2 (軸が図形を横切る場合).公式 4.1はc≤ac \le a、すなわち回転軸が領域DDの左側にあるか、DDの左端に接することを仮定している。a<c<ba < c < bの場合、軸の左側にある部分と右側にある部分は、回転によって同じ場所へ重なる。このとき2π∫ab∣x−c∣f(x) dx2\pi \displaystyle\int_a^b |x-c| f(x)\,dxは重なりを二重に数えた値であり、立体の体積とは一致しない。この場合には、軸からの距離がρ\rhoである点の高さとして、左側の部分と右側の部分の高さの大きいほうをとってから積分する。

注意 4.3 (本記事が扱う範囲). 本記事は、回転軸が座標軸またはそれに平行な直線である場合を扱う。回転軸が座標軸に平行でない場合は「斜軸回転体の体積」が扱う。回転体でない立体を断面の面積から求めるのは「断面を追う立体の体積」であり、回転体の体積を図形の面積と重心が動いた距離の積として表すのは「パップス・ギュルダンの定理」である。

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