1 薄い円筒殻の体積
はじめに、二つの同心円柱の間にはさまれた部分の体積を求めます。この部分は、あとで回転体を分けるときの一つ分にあたります。
定義 1.1 (円筒殻).0≤r<R、h>0とする。半径R、高さhの円柱から、それと軸を共有する半径r、高さhの円柱を取り除いた立体を、内半径r、外半径R、高さhの円筒殻という。
円筒殻の体積は、二つの円柱の体積の差として、近似を用いずに求まります。
定理 1.2 (円筒殻の体積). 内半径r、外半径R、高さhの円筒殻の体積Wは
W=π(R2−r2)h=2π⋅2R+r⋅(R−r)⋅hである。
証明. 半径Rの円柱の体積はπR2h、半径rの円柱の体積はπr2hです。二つの円柱は軸を共有し、高さも等しいので、内側の円柱は外側の円柱に含まれます。したがって差はπ(R2−r2)hです。R2−r2=(R+r)(R−r)を用いてπ(R+r)(R−r)hと書き、R+r=2⋅2R+rと分けると、二つ目の表示を得ます。▨
二つ目の表示は、円筒殻の体積が「内半径と外半径の平均を半径とする円周の長さ2π⋅2R+r」と「厚さR−r」と「高さh」の積であることを述べています。R−rが小さいとき、平均の半径はrにもRにも近いので、体積は側面積と厚さの積に近い値になります。
2 側面積を積分する立式
区間[a,b]を細かく分け、それぞれの部分を回転させて得られる円筒殻の体積を足し合わせます。
証明. 区間[a,b]をn等分し、分点をa=x0<x1<⋯<xn=b、幅をΔx=nb−aとします。Dのうちxi−1≤x≤xiを満たす部分をDiと置き、Diを回転させてできる立体の体積をViとします。立体はn個の部分に分かれるのでV=∑i=1nViです。
fは閉区間[xi−1,xi]で連続なので、そこで最小値miと最大値Miをとります。Diは、高さmiの長方形を含み、高さMiの長方形に含まれるので、Diを回転させた立体は、内半径xi−1、外半径xi、高さmiの円筒殻を含み、同じ半径で高さMiの円筒殻に含まれます。定理 1.2により、ξi=2xi−1+xiと置くと
2πξimiΔx≤Vi≤2πξiMiΔxです。iについて足し合わせると
i=1∑n2πξimiΔx≤V≤i=1∑n2πξiMiΔxとなります。左辺と右辺はいずれも、関数2πxf(x)についての区分求積の和です。2πxf(x)は[a,b]で連続なので、n→∞のとき両辺はともに2π∫abxf(x)dxへ収束します。はさみうちの原理により、Vはこの値に等しくなります。▨
上の証明は、Diを回転させた立体に体積が定まることと、体積が部分ごとの和になることを認めたうえで、その値を二つの円筒殻ではさんでいます。
3 断面の円板による立式との一致
同じ立体をy軸に垂直な平面で切ると、断面は円板または円環になります。その面積をyについて積分しても体積が求まります。二つの立式が同じ値を与えることを、具体例で確かめます。
例 3.1 (y=1−x2の場合).f(x)=1−x2、a=0、b=1とします。[0,1]でf(x)≥0です。円筒殻による立式では
V=2π∫01x(1−x2)dx=2π[2x2−4x4]01=2π(21−41)=2πです。断面の円板による立式では、y=1−x2を0≤x≤1の範囲でxについて解いてx=1−yとし、高さyにおける断面が半径1−yの円板であることを用いて
V=π∫01(1−y)2dy=π∫01(1−y)dy=π[y−2y2]01=2πとなります。二つの値は一致します。
次の例では、fが単調でないため、断面の円板による立式に円環が現れます。
例 3.2 (y=x−x2の場合).f(x)=x−x2、a=0、b=1とします。[0,1]でf(x)≥0です。円筒殻による立式では
V=2π∫01x(x−x2)dx=2π[3x3−4x4]01=2π(31−41)=6πです。断面の円板による立式では、まずfの最大値がx=21における41であることを確かめます。0<y<41に対してx2−x+y=0の解は
x−=21−1−4y,x+=21+1−4yの二つであり、高さyにおける断面は内半径x−、外半径x+の円環です。x++x−=1、x+−x−=1−4yなので
x+2−x−2=(x++x−)(x+−x−)=1−4yであり、
V=π∫01/41−4ydy=π[−6(1−4y)3/2]01/4=6πとなります。二つの値は一致します。
二つの立式は同じ体積を与えるので、どちらを用いるかは計算の手間だけで決まります。
4 回転軸を平行に動かす
回転軸がy軸ではなく、それに平行な直線である場合も、同じ立式を用いることができます。変わるのは、円筒殻の半径が原点からの距離ではなく、軸からの距離になることです。
証明.x軸の向きに−cだけ平行移動すると、DはD′={(u,y)∣a−c≤u≤b−c, 0≤y≤f(u+c)}へ移り、直線x=cはy軸へ移ります。平行移動は体積を変えないので、求める体積はD′をy軸のまわりに回転させた立体の体積に等しく、c≤aから0≤a−cなので公式 2.1を用いることができます。したがって
V=2π∫a−cb−cuf(u+c)duです。x=u+cと置換するとdu=dxであり、積分区間はa≤x≤bになるので、V=2π∫ab(x−c)f(x)dxを得ます。▨