§C4.1放物線と直線が囲む面積の公式

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放物線と直線が二点で交わるとき、両者が囲む面積はどのように定まるのでしょうか。本記事では、放物線の二次係数と二つの交点のxx座標の差から得られる面積公式を導き、三次関数と接線が囲む面積にも同じ考え方を適用します。

1 差の関数を因数分解した形で書く

二つのグラフが囲む部分の面積は、区間の上で上にある関数から下にある関数を引き、その差を積分して求めます。放物線と直線の場合、この差は2次関数であり、交点のxx座標はその2次式の零点にあたります。そこで、差の関数を展開した形ではなく、零点による因数分解の形で書きます。

定理 1.1 (放物線と直線の差).a≠0a \ne 0とする。放物線y=ax2+bx+cy = ax^2 + bx + cと直線y=mx+ny = mx + nが異なる2点で交わり、その交点のxx座標をα\alpha、β\beta(α<β\alpha < \beta)とする。このとき、すべての実数xxについて

(ax2+bx+c)−(mx+n)=a(x−α)(x−β)(ax^2 + bx + c) - (mx + n) = a(x-\alpha)(x-\beta)

が成り立つ。

証明.h(x)=(ax2+bx+c)−(mx+n)h(x)=(ax^2+bx+c)-(mx+n)と置く。h(x)h(x)はxxの2次式であり、x2x^2の係数はaaである。二つのグラフがx=αx=\alphaとx=βx=\betaで交わることから、h(α)=h(β)=0h(\alpha)=h(\beta)=0である。α≠β\alpha \ne \betaなので、因数定理によりh(x)h(x)は(x−α)(x−β)(x-\alpha)(x-\beta)で割り切れる。h(x)h(x)と(x−α)(x−β)(x-\alpha)(x-\beta)はともに 2次式なので、商は定数である。x2x^2の係数を比べるとその定数はaaであり、h(x)=a(x−α)(x−β)h(x)=a(x-\alpha)(x-\beta)を得る。▨

この形が得られる根拠は、交点が2個あることと、a≠0a \ne 0であることの二つだけです。放物線の位置や直線の傾きは、α\alphaとβ\betaの値には効きますが、因数分解の形には効きません。

2 因数分解した形のまま積分する

a(x−α)(x−β)a(x-\alpha)(x-\beta)を展開してから積分すると、原始関数へα\alphaとβ\betaを代入した値の差を整理する計算が残ります。因数分解した形のまま積分すると、次の一つの計算だけで済みます。

定理 2.1 (因数の積の定積分). 実数α\alpha、β\betaについて

∫αβ(x−α)(x−β) dx=−(β−α)36\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)\,dx = -\frac{(\beta-\alpha)^3}{6}

が成り立つ。

証明.L=β−αL = \beta - \alphaと置く。x−β=(x−α)−Lx - \beta = (x-\alpha) - Lなので、被積分関数は

(x−α)(x−β)=(x−α)2−L(x−α)(x-\alpha)(x-\beta) = (x-\alpha)^2 - L(x-\alpha)

と書き直すことができる。(x−α)2(x-\alpha)^2の原始関数の一つは(x−α)33\dfrac{(x-\alpha)^3}{3}、(x−α)(x-\alpha)の原始関数の一つは(x−α)22\dfrac{(x-\alpha)^2}{2}である。x=αx=\alphaではどちらも値00、x=βx=\betaではそれぞれL33\dfrac{L^3}{3}、L22\dfrac{L^2}{2}をとるので

∫αβ(x−α)(x−β) dx=L33−L⋅L22=−L36\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)\,dx = \frac{L^3}{3} - L \cdot \frac{L^2}{2} = -\frac{L^3}{6}

となる。L=β−αL = \beta-\alphaを戻すと結論を得る。▨

この計算ではα<β\alpha < \betaを使っていないので、上の等式はα\alphaとβ\betaの大小によらず成り立ちます。面積を求めるときには、ここへ絶対値をとる操作が加わります。

公式 2.2 (放物線と直線が囲む面積).a≠0a \ne 0とする。放物線y=ax2+bx+cy = ax^2+bx+cと直線y=mx+ny = mx+nが異なる2点で交わり、その交点のxx座標をα\alpha、β\beta(α<β\alpha < \beta)とする。このとき、二つのグラフがα≤x≤β\alpha \le x \le \betaの範囲で囲む部分の面積SSは

S=∣a∣6(β−α)3S = \frac{|a|}{6}(\beta-\alpha)^3

である。

証明.α<x<β\alpha < x < \betaの範囲ではx−α>0x-\alpha > 0かつx−β<0x-\beta < 0なので、定理 1.1の右辺a(x−α)(x−β)a(x-\alpha)(x-\beta)は、a>0a>0のとき負、a<0a<0のとき正である。すなわち、この範囲では二つのグラフの上下関係が入れ替わらず、a>0a>0のときは直線が上、a<0a<0のときは放物線が上にある。したがって、囲む部分の面積は

S=∫αβ∣a(x−α)(x−β)∣ dx=∣a∣∣∫αβ(x−α)(x−β) dx∣S = \int_{\alpha}^{\beta} \bigl| a(x-\alpha)(x-\beta) \bigr|\,dx = |a| \left| \int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta)\,dx \right|

である。二つ目の等号では、被積分関数が積分区間の上で符号を変えないことを用いた。定理 2.1により右端の積分は−(β−α)36-\dfrac{(\beta-\alpha)^3}{6}であり、β−α>0\beta - \alpha > 0なのでその絶対値は(β−α)36\dfrac{(\beta-\alpha)^3}{6}である。▨

導出のどこで何を用いたかを整理すると、公式が成り立つ条件を読み取ることができます。

注意 2.3 (この公式を用いることができる条件). 次の三つがそろっているときに限り、上の公式は囲む部分の面積を与える。

  1. 2次の係数aaが00でない。a=0a=0のときは二つのグラフがともに直線であり、定理 1.1の因数分解が成り立たない。
  2. 二つのグラフが異なる2点で交わる。ax2+bx+c=mx+nax^2+bx+c = mx+nを整理した2次方程式ax2+(b−m)x+(c−n)=0ax^2 + (b-m)x + (c-n) = 0の判別式D=(b−m)2−4a(c−n)D = (b-m)^2 - 4a(c-n)が正であることが、これと同値である。D=0D = 0のとき二つのグラフは接し、囲む部分がない。
  3. 積分区間の両端が、ともに交点である。区間の端が交点でない場合、定理 2.1の計算は成り立たず、面積は個別に積分して求める。

また、公式に現れるのはaaではなく∣a∣|a|であり、β−α\beta-\alphaは大きいほうの交点から小さいほうの交点を引いた正の数である。

具体的な数で確かめます。

例 2.4 (放物線y=x2y=x^2と直線y=x+2y=x+2). 交点のxx座標はx2=x+2x^2 = x+2、すなわち(x+1)(x−2)=0(x+1)(x-2)=0の解なので、α=−1\alpha=-1、β=2\beta=2である。a=1a=1なので、公式により

S=16{2−(−1)}3=276=92S = \frac{1}{6}\{2-(-1)\}^3 = \frac{27}{6} = \frac{9}{2}

である。展開して直接積分しても

∫−12{(x+2)−x2} dx=[x22+2x−x33]−12=103−(−76)=92\int_{-1}^{2} \{(x+2) - x^2\}\,dx = \left[\frac{x^2}{2} + 2x - \frac{x^3}{3}\right]_{-1}^{2} = \frac{10}{3} - \left(-\frac{7}{6}\right) = \frac{9}{2}

となり、同じ値が得られる。

3 3次関数と接線が囲む部分

同じ筋道は、差の関数が因数分解した形で書き表される別の場合にも通ります。3次関数のグラフとその接線の差がその例です。ここでは、3次関数のグラフが1点に関して点対称であることを先に確かめ、その対称性によって式を簡単な形に直してから差を計算します。

定理 3.1 (3次関数のグラフの点対称性).a≠0a \ne 0とし、f(x)=ax3+bx2+cx+df(x) = ax^3+bx^2+cx+d、m=−b3am = -\dfrac{b}{3a}とする。このとき、ある実数ppが存在して、すべての実数ttについて

f(m+t)=at3+pt+f(m)f(m+t) = at^3 + pt + f(m)

が成り立つ。とくに、すべての実数ttについてf(m+t)+f(m−t)=2f(m)f(m+t) + f(m-t) = 2f(m)が成り立ち、y=f(x)y=f(x)のグラフは点(m,f(m))(m, f(m))に関して点対称である。

証明.f(m+t)f(m+t)をttについて展開すると

f(m+t)=at3+(3am+b)t2+(3am2+2bm+c)t+f(m)f(m+t) = at^3 + (3am+b)t^2 + (3am^2+2bm+c)t + f(m)

である。m=−b3am = -\dfrac{b}{3a}から3am+b=03am+b = 0なので、t2t^2の項が消える。p=3am2+2bm+cp = 3am^2+2bm+cと置くと、はじめの等式が得られる。この表示でttを−t-tに変えるとf(m−t)=−at3−pt+f(m)f(m-t) = -at^3 - pt + f(m)となるので、二つを足してf(m+t)+f(m−t)=2f(m)f(m+t)+f(m-t) = 2f(m)を得る。この等式は、点(m+t,f(m+t))(m+t, f(m+t))と点(m−t,f(m−t))(m-t, f(m-t))の中点が、ttによらず(m,f(m))(m, f(m))であることを述べている。▨

注意 3.2 (対称の中心は変曲点である).f′′(x)=6ax+2bf''(x) = 6ax + 2bなので、f′′(x)=0f''(x)=0となるxxはm=−b3am = -\dfrac{b}{3a}に限られ、f′′f''の符号はx=mx=mの前後で変わる。したがって点(m,f(m))(m, f(m))はグラフの凹凸が変わる点、すなわち変曲点である。高次導関数による凹凸の判定は「関数の性質」が扱う。

点対称性が与える表示f(m+t)=at3+pt+f(m)f(m+t) = at^3+pt+f(m)にはt2t^2の項がありません。この形で接線との差をとると、差が因数分解した形のまま出てきます。

定理 3.3 (3次関数と接線の差).a≠0a \ne 0とし、f(x)=ax3+bx2+cx+df(x) = ax^3+bx^2+cx+d、m=−b3am = -\dfrac{b}{3a}とする。α\alphaを実数とし、点(α,f(α))(\alpha, f(\alpha))におけるy=f(x)y=f(x)の接線をy=g(x)y=g(x)とする。β=3m−2α\beta = 3m - 2\alphaと置くと、すべての実数xxについて

f(x)−g(x)=a(x−α)2(x−β)f(x) - g(x) = a(x-\alpha)^2(x-\beta)

が成り立つ。α≠m\alpha \ne mのときβ≠α\beta \ne \alphaであり、このとき接線は接点のほかにもう1点(β,f(β))(\beta, f(\beta))でグラフと交わる。

証明.x=m+tx = m+t、s=α−ms = \alpha - mと置くと、定理 3.1により

f(m+t)=at3+pt+f(m),f′(m+t)=3at2+pf(m+t) = at^3+pt+f(m), \qquad f'(m+t) = 3at^2+p

である。接点はt=st=sにあたるので、接線は

g(m+t)=f(m+s)+f′(m+s)(t−s)=as3+ps+f(m)+(3as2+p)(t−s)g(m+t) = f(m+s) + f'(m+s)(t-s) = as^3+ps+f(m) + (3as^2+p)(t-s)

と書ける。差をとるとppを含む項が打ち消し合い、

f(m+t)−g(m+t)=a(t3−s3)−3as2(t−s)=a(t−s)(t2+st+s2−3s2)=a(t−s)(t2+st−2s2)f(m+t) - g(m+t) = a(t^3-s^3) - 3as^2(t-s) = a(t-s)(t^2+st+s^2-3s^2) = a(t-s)(t^2+st-2s^2)

となる。t2+st−2s2=(t−s)(t+2s)t^2+st-2s^2 = (t-s)(t+2s)なので、f(m+t)−g(m+t)=a(t−s)2(t+2s)f(m+t)-g(m+t) = a(t-s)^2(t+2s)である。ここでt=x−mt = x-m、s=α−ms = \alpha-mを戻すとt−s=x−αt-s = x-\alphaであり、

t+2s=(x−m)+2(α−m)=x−(3m−2α)=x−βt+2s = (x-m) + 2(\alpha-m) = x - (3m-2\alpha) = x - \beta

なので、結論の等式を得る。またβ−α=3m−3α=−3s\beta - \alpha = 3m-3\alpha = -3sなので、s≠0s \ne 0ならばβ≠α\beta \ne \alphaである。▨

放物線の場合と同じく、因数分解した形のまま積分します。指数が一つ上がるだけで、計算の手順は同じです。

定理 3.4 (2乗の因数を含む積の定積分). 実数α\alpha、β\betaについて

∫αβ(x−α)2(x−β) dx=−(β−α)412\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2(x-\beta)\,dx = -\frac{(\beta-\alpha)^4}{12}

が成り立つ。

証明.L=β−αL = \beta-\alphaと置き、x−β=(x−α)−Lx-\beta = (x-\alpha)-Lを用いると、被積分関数は(x−α)3−L(x−α)2(x-\alpha)^3 - L(x-\alpha)^2と書き直すことができる。x=αx=\alphaでともに値00をとる原始関数(x−α)44\dfrac{(x-\alpha)^4}{4}と(x−α)33\dfrac{(x-\alpha)^3}{3}を用いて

∫αβ(x−α)2(x−β) dx=L44−L⋅L33=−L412\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^2(x-\beta)\,dx = \frac{L^4}{4} - L\cdot\frac{L^3}{3} = -\frac{L^4}{12}

となる。L4=(β−α)4L^4 = (\beta-\alpha)^4なので結論を得る。▨

公式 3.5 (3次関数と接線が囲む面積).a≠0a \ne 0とし、f(x)=ax3+bx2+cx+df(x)=ax^3+bx^2+cx+d、m=−b3am=-\dfrac{b}{3a}とする。α≠m\alpha \ne mとし、点(α,f(α))(\alpha, f(\alpha))における接線をy=g(x)y=g(x)、β=3m−2α\beta = 3m-2\alphaとする。このとき、グラフy=f(x)y=f(x)と接線y=g(x)y=g(x)が、α\alphaとβ\betaを両端とする区間で囲む部分の面積SSは

S=∣a∣12(β−α)4S = \frac{|a|}{12}(\beta-\alpha)^4

である。

証明.定理 3.3によりf(x)−g(x)=a(x−α)2(x−β)f(x)-g(x) = a(x-\alpha)^2(x-\beta)である。α\alphaとβ\betaを両端とする区間の内部では(x−α)2>0(x-\alpha)^2 > 0であり、x−βx-\betaは符号を変えない。したがってf−gf-gはこの区間の内部で符号を変えず、面積は

S=∣∫αβa(x−α)2(x−β) dx∣S = \left| \int_{\alpha}^{\beta} a(x-\alpha)^2(x-\beta)\,dx \right|

である。定理 3.4によりこの値は∣a∣⋅(β−α)412|a| \cdot \dfrac{(\beta-\alpha)^4}{12}である。指数が偶数なので、α\alphaとβ\betaのどちらが大きいかによらず、この式は同じ値を与える。▨

例 3.6 (f(x)=x3−3xf(x)=x^3-3xとx=1x=1における接線).b=0b=0なのでm=0m=0である。α=1\alpha=1とするとβ=3⋅0−2⋅1=−2\beta = 3\cdot 0 - 2\cdot 1 = -2である。f′(x)=3x2−3f'(x)=3x^2-3からf′(1)=0f'(1)=0、f(1)=−2f(1)=-2なので、接線はy=−2y=-2である。実際に差をとると

f(x)−(−2)=x3−3x+2=(x−1)2(x+2)f(x) - (-2) = x^3-3x+2 = (x-1)^2(x+2)

となり、定理 3.3の形になっている。公式により

S=112(−2−1)4=8112=274S = \frac{1}{12}(-2-1)^4 = \frac{81}{12} = \frac{27}{4}

である。直接積分しても、−2≤x≤1-2 \le x \le 1で(x−1)2(x+2)≥0(x-1)^2(x+2) \ge 0なので

∫−21(x3−3x+2) dx=[x44−3x22+2x]−21=34−(−6)=274\int_{-2}^{1} (x^3-3x+2)\,dx = \left[\frac{x^4}{4} - \frac{3x^2}{2} + 2x\right]_{-2}^{1} = \frac{3}{4} - (-6) = \frac{27}{4}

となり、同じ値が得られる。

二つの公式に共通しているのは、差の関数が零点による因数分解の形で書き表されることです。その形が分かれば、積分は定理 2.1または定理 3.4の一度の計算で済み、面積は最高次の係数と零点の差だけで定まります。逆に、差の関数がこの形をとらない場合には、面積は個別に積分して求めることになります。

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