§E4.13線形変換と体積

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単位正方形を(u,v)↦(2u+v,u+2v)(u,v)\mapsto(2u+v,u+2v)で移すと、像は面積33の平行四辺形になる。この倍率は行列式の絶対値から読み取ることができ、平行多面体の体積を計算する最も基本的な方法の一つである。

しかし、図形の体積倍率が分かるだけでは、像の上に置いた可積分関数の重積分がどのように変わるかまでは決まらない。Jordan 可測集合を有限個の部分へ分けても可積分性と積分値が整合することを確かめ、座標交換、座標の拡大縮小、および剪断における体積変化を一般の線形写像へ結び付ける必要がある。

本記事では、線形写像による体積変化を明らかにし、可逆な線形変換に対する重積分の変数変換公式を扱う。

補題 1.n≥1n\geq1とし、E⊂RnE\subset\mathbb R^nを有界な Jordan 可測集合、h:E→Rh:E\to\mathbb Rを有界関数とする。

  1. F⊂EF\subset Eが Jordan 可測ならば、hhがEE上で Riemann 可積分であることから、h∣Fh|_FがFF上で Riemann 可積分であることが従う。
  2. E=E1∪⋯∪ENE=E_1\cup\cdots\cup E_Nとし、各EkE_kは Jordan 可測、異なるEj,EkE_j,E_kの内部は交わらず、Ej∩EkE_j\cap E_kは Jordan 零集合であるとする。各h∣Ekh|_{E_k}が可積分ならばhhはEE上で可積分であり、 ∫Eh=∑k=1N∫Ekh(1)\int_Eh=\sum_{k=1}^N\int_{E_k}h \tag{1} が成り立つ。
  3. EEを上記の意味で有限個の空でない Jordan 可測集合へ分けた族を有限 Jordan 分割と呼ぶ。hhがEE上で可積分であることと、任意のε>0\varepsilon>0に対して有限 Jordan 分割{Gℓ}ℓ=1s\{G_\ell\}_{\ell=1}^sが存在し、 ∑ℓ=1sosc⁡(h;Gℓ)vol⁡(Gℓ)<ε(2)\sum_{\ell=1}^s \operatorname{osc}(h;G_\ell)\operatorname{vol}(G_\ell)<\varepsilon \tag{2} が成り立つことは同値である。

証明.E=∅E=\emptysetの場合には零拡張が零関数であり、三つの主張はいずれも成り立つ。以下、E≠∅E\ne\emptysetとし、EEを含む閉直方体RR上でhhを零拡張した関数をHHと書く。また、M=sup⁡E∣h∣M=\sup_E|h|とおく。

(1)を示す。FFの指示関数を1F\mathbf1_Fとすると、h∣Fh|_FのRR上の零拡張はH1FH\mathbf1_Fである。HHの Darboux 振幅和を任意に小さくする直積分割と、∂F\partial Fに交わる小直方体の総体積を任意に小さくする§E4.11 補題 1.3の直積分割との共通細分を取る。∂F\partial Fに交わらない小直方体では、1F\mathbf1_Fは定数であるため、H1FH\mathbf1_Fの振幅はHHの振幅以下である。∂F\partial Fに交わる小直方体では、その振幅は2M2M以下である。従ってH1FH\mathbf1_Fの Darboux 振幅和は任意に小さくなり、§E4.10 命題 2.1によりh∣Fh|_Fは可積分である。

(2)を示す。h∣Ekh|_{E_k}のRR上の零拡張をHkH_kとする。各HkH_kは可積分であるから、S=∑k=1NHkS=\sum_{k=1}^NH_kも可積分である。集合

N0=⋃k=1N∂EkN_0=\bigcup_{k=1}^N\partial E_k

は Jordan 零集合である。R∖N0R\setminus N_0では、EkE_kの内部が互いに交わらないことからH=SH=Sである。従ってD=H−SD=H-SはN0N_0の外で零であり、∣D∣≤(N+1)M|D|\leq(N+1)Mである。N0N_0に交わる小直方体の総体積を任意に小さくすると、DDの Darboux 振幅和も任意に小さくなり、DDは積分値が零である可積分関数となる。ゆえにH=S+DH=S+Dは可積分であり、線形性から式 (1) を得る。

(3)を示す。hhが可積分ならば、U(H,P)−L(H,P)<εU(H,P)-L(H,P)<\varepsilonとなるRRの直積分割PPを取る。各小直方体Q∈PQ\in Pに対してGQ=E∩QG_Q=E\cap Qとおき、空集合を除く。∂GQ⊂∂E∪∂Q\partial G_Q\subset\partial E\cup\partial Qであるから各GQG_Qは Jordan 可測であり、これらはEEの有限 Jordan 分割をなす。さらに

osc⁡(h;GQ)≤osc⁡(H;Q),vol⁡(GQ)≤∣Q∣\operatorname{osc}(h;G_Q)\leq\operatorname{osc}(H;Q), \qquad \operatorname{vol}(G_Q)\leq|Q|

であるから、式 (2) の左辺はU(H,P)−L(H,P)U(H,P)-L(H,P)以下である。

式 (2) の左辺がε/2\varepsilon/2未満となる有限 Jordan 分割{Gℓ}\{G_\ell\}を取り、

N1=∂E∪⋃ℓ=1s∂GℓN_1=\partial E\cup\bigcup_{\ell=1}^s\partial G_\ell

とおく。N1N_1は Jordan 零集合である。N1N_1に交わる小直方体の総体積がη\eta未満となるRRの直積分割を取る。N1N_1に交わらない小直方体は、EEの外にあるか、ただ一つのGℓG_\ellの内部に含まれる。後者のうちGℓG_\ellに含まれる小直方体の体積の総和はvol⁡(Gℓ)\operatorname{vol}(G_\ell)以下である。従って、境界に交わらない小直方体から生じる振幅和は式 (2) の左辺以下であり、境界に交わる小直方体から生じる振幅和は2Mη2M\eta以下である。M=0M=0ならH=0H=0である。M>0M>0なら2Mη<ε/22M\eta<\varepsilon/2と選ぶことにより、U(H,P)−L(H,P)<εU(H,P)-L(H,P)<\varepsilonを得る。よってhhは可積分である。▨

有限 Jordan 分割に対する積分の加法性は、直方体に対する体積計算を一般の Jordan 可測集合へ移す基礎となる。

1 基本線形変換

補題 1.1.n≥1n\geq1とし、T:Rn→RnT:\mathbb R^n\to\mathbb R^nを次のいずれかの基本線形変換、E⊂RnE\subset\mathbb R^nを有界な Jordan 可測集合とする。

  1. 二つの座標を交換する。この場合はλT=1\lambda_T=1とする。
  2. 第ii座標をc≠0c\ne0倍する。この場合はλT=∣c∣\lambda_T=|c|とする。
  3. i≠ji\ne jとし、第ii座標へ第jj座標のα\alpha倍を加える。この場合はλT=1\lambda_T=1とする。

このときT(E)T(E)は Jordan 可測であり、

vol⁡(T(E))=λTvol⁡(E)(3)\operatorname{vol}(T(E))=\lambda_T\operatorname{vol}(E) \tag{3}

が成り立つ。

証明. 線形写像による Jordan 零集合の保存を、この証明で用いる範囲で示す。線形写像B:Rn→RnB:\mathbb R^n\to\mathbb R^nに対して∥Bx∥≤∥B∥op∥x∥\lVert Bx\rVert\leq\lVert B\rVert_{\mathrm{op}}\lVert x\rVertである。辺の長さがℓ1,…,ℓn\ell_1,\ldots,\ell_nである開直方体QQに対してδ=min⁡iℓi\delta=\min_i\ell_iとおく。各座標区間を長さδ\delta以下の区間へ分け、各小直方体を一辺3δ3\deltaの開立方体で覆うと、QQは高々

∏i=1n⌈ℓiδ⌉≤2n∣Q∣δn\prod_{i=1}^n\left\lceil\frac{\ell_i}{\delta}\right\rceil \leq 2^n\frac{|Q|}{\delta^n}

個の開立方体で覆われる。一辺3δ3\deltaの立方体のBBによる像は、一辺4nmax⁡(1,∥B∥op)δ4\sqrt n\max(1,\lVert B\rVert_{\mathrm{op}})\deltaの開立方体に含まれる。従ってB(Q)B(Q)を覆う立方体の総体積は、∣Q∣|Q|の高々

CB=2n(4nmax⁡(1,∥B∥op))nC_B=2^n\bigl(4\sqrt n\max(1,\lVert B\rVert_{\mathrm{op}})\bigr)^n

倍である。Jordan 零集合の被覆の各直方体へこの構成を適用する。最初の被覆の総体積をε/CB\varepsilon/C_B未満に取れば、像を総体積がε\varepsilon未満である有限個の開立方体で覆うことができる。従って、線形写像は Jordan 零集合を Jordan 零集合へ写す。

各基本変換TTとT−1T^{-1}は線形であり、TTは同相写像である。従って

∂T(E)=T(∂E)\partial T(E)=T(\partial E)

は Jordan 零集合であり、T(E)T(E)は Jordan 可測である。

閉直方体Q=∏k=1n[ak,bk]Q=\prod_{k=1}^n[a_k,b_k]について式 (3) を示す。座標交換は辺を入れ替え、第ii座標のcc倍はその辺の長さだけを∣c∣|c|倍する。剪断については、座標名を入れ替えてi=1,j=2i=1,j=2としてよい。n=1n=1では剪断は現れない。n≥2n\geq2では、最初の二座標に関する像は

D={(y1,y2):a2≤y2≤b2, a1+αy2≤y1≤b1+αy2}D=\{(y_1,y_2):a_2\leq y_2\leq b_2, \ a_1+\alpha y_2\leq y_1\leq b_1+\alpha y_2\}

である。横線単純領域の累次積分公式§E4.12 系 1.3を定数関数11に適用すると

area⁡(D)=∫a2b2∫a1+αy2b1+αy21 dy1 dy2=(b1−a1)(b2−a2)\operatorname{area}(D) =\int_{a_2}^{b_2}\int_{a_1+\alpha y_2}^{b_1+\alpha y_2}1\,dy_1\,dy_2 =(b_1-a_1)(b_2-a_2)

を得る。n>2n>2の場合、残りの閉直方体をQ′=∏k=3n[ak,bk]Q'=\prod_{k=3}^n[a_k,b_k]とするとT(Q)=D×Q′T(Q)=D\times Q'である。DDの外接長方形の直積分割とQ′Q'の直積分割について指示関数の上下和を比較すれば

vol⁡(D×Q′)=area⁡(D)∏k=3n(bk−ak)\operatorname{vol}(D\times Q') =\operatorname{area}(D)\prod_{k=3}^n(b_k-a_k)

となる。従って剪断も閉直方体の体積を保つ。

最後に一般のEEを扱う。E=∅E=\emptysetなら式 (3) は明らかである。E≠∅E\ne\emptysetとし、EEを含む閉直方体へ直積分割PPを入れ、EEに含まれる小直方体の和をIPI_P、EEと交わる小直方体の和をOPO_Pとする。EEの境界と交わる小直方体の総体積を零へ近づける分割を取れば

IP⊂E⊂OP,vol⁡(OP)−vol⁡(IP)⟶0.I_P\subset E\subset O_P, \qquad \operatorname{vol}(O_P)-\operatorname{vol}(I_P)\longrightarrow0.

TTは単射であり、異なる小直方体の像の内部は交わらず、共有部分はそれらの境界に含まれる Jordan 零集合である。補題 1の有限加法性と閉直方体に対する計算により

vol⁡(T(IP))=λTvol⁡(IP),vol⁡(T(OP))=λTvol⁡(OP).\operatorname{vol}(T(I_P))=\lambda_T\operatorname{vol}(I_P), \qquad \operatorname{vol}(T(O_P))=\lambda_T\operatorname{vol}(O_P).

T(IP)⊂T(E)⊂T(OP)T(I_P)\subset T(E)\subset T(O_P)を挟み撃ちすると式 (3) を得る。▨

2 平行多面体の体積

定理 2.1.n≥1n\geq1とし、A:Rn→RnA:\mathbb R^n\to\mathbb R^nを線形写像、E⊂RnE\subset\mathbb R^nを有界な Jordan 可測集合とする。このときA(E)A(E)は Jordan 可測であり、

vol⁡(A(E))=∣det⁡A∣vol⁡(E)(4)\operatorname{vol}(A(E))=|\det A|\operatorname{vol}(E) \tag{4}

が成り立つ。

証明.AAが可逆であるとする。正則行列の基本行列分解§D3.4 定理 10.2により、A=T1⋯TmA=T_1\cdots T_mと基本線形変換の積に書くことができる。補題 1.1を中間像へ順に適用すると

vol⁡(A(E))=∏ν=1mλTνvol⁡(E)\operatorname{vol}(A(E)) =\prod_{\nu=1}^m\lambda_{T_\nu}\operatorname{vol}(E)

となる。基本行列の行列式§D3.4 命題 8.2と行列式の乗法性§D3.4 定理 9.1により、∏νλTν=∣det⁡A∣\prod_\nu\lambda_{T_\nu}=|\det A|である。

AAが特異であるとする。r=rank⁡A<nr=\operatorname{rank}A<nとおき、V=Im⁡AV=\operatorname{Im}Aとする。r=0r=0ならばA(E)⊂{0}A(E)\subset\{0\}であり、{0}\{0\}は Jordan 零集合である。以下では0<r<n0<r<nとする。

VVの基底を列に持つn×rn\times r行列は階数rrを持つので、rr個の座標の集合IIが存在し、座標射影πI:Rn→Rr\pi_I:\mathbb R^n\to\mathbb R^rの制限

πI∣V:V⟶Rr\pi_I|_V:V\longrightarrow\mathbb R^r

は線形同型になる。その逆写像をS:Rr→VS:\mathbb R^r\to Vとする。IIの補集をIcI^cとし、J:Rn−r→RnJ:\mathbb R^{n-r}\to\mathbb R^nをIcI^c座標への標準的な挿入とすると、

B(t,z)=S(t)+J(z)B(t,z)=S(t)+J(z)

は線形同型である。実際、πI(B(t,z))=t\pi_I(B(t,z))=tであるから、B(t,z)=0B(t,z)=0ならばt=0t=0およびz=0z=0である。

K=πI(A(E))K=\pi_I(A(E))とおくと、あるR>0R>0に対してK⊂[−R,R]rK\subset[-R,R]^rであり、

A(E)=B(K×{0}n−r)A(E)=B(K\times\{0\}^{n-r})

が成り立つ。0<δ≤10<\delta\leq1とし、[−R,R][-R,R]の各座標区間を長さδ\delta以下のN=⌈2R/δ⌉N=\lceil2R/\delta\rceil個の区間へ分ける。各rr次元小直方体を、最初のrr方向では各辺の長さが2δ2\delta以下になるように開いた直方体へわずかに広げ、残るn−rn-r方向では(−δ/2,δ/2)(-\delta/2,\delta/2)を取る。これによりK×{0}n−rK\times\{0\}^{n-r}はNrN^r個以下の開直方体で覆われ、各直方体の体積は2rδn2^r\delta^n以下である。さらに

Nr≤(2R+1)rδ−rN^r\leq(2R+1)^r\delta^{-r}

であるから、被覆の総体積は

2r(2R+1)rδn−r2^r(2R+1)^r\delta^{n-r}

以下である。

基本線形変換の補題の証明で示した線形写像による Jordan 零集合の保存をBBへ適用する。その証明で得たBBにのみ依存する定数CBC_Bにより、上の開直方体の像は、総体積がCB2r(2R+1)rδn−rC_B2^r(2R+1)^r\delta^{n-r}以下である有限個の開立方体で覆われる。任意のε>0\varepsilon>0に対して

CB2r(2R+1)rδn−r<εC_B2^r(2R+1)^r\delta^{n-r}<\varepsilon

となるδ\deltaを選べば、A(E)=B(K×{0}n−r)A(E)=B(K\times\{0\}^{n-r})は Jordan 零集合である。

Jordan 零集合の有限開直方体被覆をわずかに拡大すれば、その閉包も任意に小さい総体積で覆われる。従って∂A(E)⊂A(E)‾\partial A(E)\subset\overline{A(E)}も Jordan 零集合である。§E4.11 定理 2.2によりA(E)A(E)は Jordan 可測で体積が零であり、det⁡A=0\det A=0であるから式 (4) が成り立つ。▨

系 2.2.v1,…,vn∈Rnv_1,\ldots,v_n\in\mathbb R^nとし、

P={∑i=1ntivi:0≤ti≤1}P=\left\{\sum_{i=1}^nt_iv_i:0\leq t_i\leq1\right\}

とおく。このときPPは Jordan 可測であり、

vol⁡(P)=∣det⁡(v1,…,vn)∣\operatorname{vol}(P)=\left|\det(v_1,\ldots,v_n)\right|

が成り立つ。

証明. 標準基底の第iiベクトルをviv_iへ写す線形写像をAAとする。P=A([0,1]n)P=A([0,1]^n)であり、AAの行列は(v1,…,vn)(v_1,\ldots,v_n)である。定理 2.1を体積11の単位立方体に適用すると結論を得る。▨

3 線形変数変換

定理 3.1.n≥1n\geq1とし、A:Rn→RnA:\mathbb R^n\to\mathbb R^nを可逆線形写像、E⊂RnE\subset\mathbb R^nを有界な Jordan 可測集合とする。f:A(E)→Rf:A(E)\to\mathbb Rが Riemann 可積分ならば、f∘A:E→Rf\circ A:E\to\mathbb Rも Riemann 可積分であり、

∫A(E)f(x) dx=∣det⁡A∣∫Ef(Au) du(5)\int_{A(E)}f(x)\,dx =|\det A|\int_Ef(Au)\,du \tag{5}

が成り立つ。

証明.d=∣det⁡A∣>0d=|\det A|>0とおく。ε>0\varepsilon>0に対し、補題 1によりA(E)A(E)の有限 Jordan 分割{Gℓ}ℓ=1s\{G_\ell\}_{\ell=1}^sで

∑ℓ=1sosc⁡(f;Gℓ)vol⁡(Gℓ)<ε(6)\sum_{\ell=1}^s \operatorname{osc}(f;G_\ell)\operatorname{vol}(G_\ell)<\varepsilon \tag{6}

を満たすものが存在する。Hℓ=A−1(Gℓ)H_\ell=A^{-1}(G_\ell)とおく。定理 2.1をA−1A^{-1}へ適用すると、各HℓH_\ellは Jordan 可測で

vol⁡(Hℓ)=d−1vol⁡(Gℓ)\operatorname{vol}(H_\ell)=d^{-1}\operatorname{vol}(G_\ell)

を満たす。さらに、{Hℓ}\{H_\ell\}はEEの有限 Jordan 分割であり、

osc⁡(f∘A;Hℓ)=osc⁡(f;Gℓ)\operatorname{osc}(f\circ A;H_\ell)=\operatorname{osc}(f;G_\ell)

である。従ってf∘Af\circ Aに対する振幅和は式 (6) の左辺のd−1d^{-1}倍である。ε\varepsilonは任意であるから、有限 Jordan 分割の判定によりf∘Af\circ AはEE上で可積分である。

積分値を比較する。同じ分割について

mℓ=inf⁡Gℓf,Mℓ=sup⁡Gℓfm_\ell=\inf_{G_\ell}f, \qquad M_\ell=\sup_{G_\ell}f

とおく。補題 1 (1)により、f∣Gℓf|_{G_\ell}と(f∘A)∣Hℓ(f\circ A)|_{H_\ell}は可積分である。単調性と有限加法性により

∑ℓmℓvol⁡(Gℓ)≤∫A(E)f≤∑ℓMℓvol⁡(Gℓ)\sum_\ell m_\ell\operatorname{vol}(G_\ell) \leq\int_{A(E)}f \leq\sum_\ell M_\ell\operatorname{vol}(G_\ell)

であり、同時に

∑ℓmℓvol⁡(Gℓ)≤d∫Ef∘A≤∑ℓMℓvol⁡(Gℓ)\sum_\ell m_\ell\operatorname{vol}(G_\ell) \leq d\int_Ef\circ A \leq\sum_\ell M_\ell\operatorname{vol}(G_\ell)

である。この共通区間の長さは式 (6) の左辺より小さい。ε\varepsilonを任意に小さくすると式 (5) を得る。▨

例 3.2 (楕円の面積).a,b>0a,b>0とし、

D={(u,v):u2+v2≤1},E={(x,y):x2a2+y2b2≤1}D=\{(u,v):u^2+v^2\leq1\}, \qquad E=\left\{(x,y):\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\leq1\right\}

とする。A(u,v)=(au,bv)A(u,v)=(au,bv)はDDをEEへ写し、∣det⁡A∣=ab|\det A|=abである。定理 3.1を定数関数11へ適用すると

area⁡(E)=abarea⁡(D)=πab\operatorname{area}(E)=ab\operatorname{area}(D)=\pi ab

を得る。

4 演習

問題 4.1 (平行四辺形上の積分).A:R2→R2A:\mathbb R^2\to\mathbb R^2を

A(u,v)=(2u+v,u+2v)A(u,v)=(2u+v,u+2v)

とし、P=A([0,1]2)P=A([0,1]^2)とおく。AAが可逆であることを確かめ、

∫P(x−y)2 d(x,y)\int_P(x-y)^2\,d(x,y)

を求めよ。また、AAの第1列と第2列を交換して同じ平行四辺形を別の向きでパラメータ表示しても、積分値が変わらない理由を述べよ。

解答.

AAの行列は

(2112)\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix}

であり、行列式は33であるからAAは可逆である。またx−y=u−vx-y=u-vなので、定理 3.1により

∫P(x−y)2 d(x,y)=3∫01∫01(u−v)2 dv du=3(13−12+13)=12.\begin{aligned} \int_P(x-y)^2\,d(x,y) &=3\int_0^1\int_0^1(u-v)^2\,dv\,du\\ &=3\left(\frac13-\frac12+\frac13\right) =\frac12. \end{aligned}

二列を交換すると行列式の符号は反転するが、絶対値は33のままである。交換後の単位正方形の座標も入れ替わり、同じ平行四辺形を覆うため、式 (5) の両辺は変わらない。▨

参考文献

  1. Tom M. Apostol, Mathematical Analysis, 2nd ed., Addison-Wesley, 1974.線形変換に対する Jordan 体積と Riemann 積分の変数変換を参考にした。
  2. Serge Lang, Undergraduate Analysis, 2nd ed., Springer, New York, 1997.Jordan 分割による可積分性判定と積分の有限加法性を参考にした。

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