§E4.10Riemann 重積分

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平面の長方形R=[a,b]×[c,d]R=[a,b]\times[c,d]上で薄い板の非負の面密度f(x,y)f(x,y)が与えられた場合、板の質量を近似するには、RRを小長方形QQへ分け、QQ上の密度の下限または上限に面積∣Q∣|Q|を掛けた量をすべてのQQについて加える。下限を用いる和と上限を用いる和の差を任意に小さくする分割が存在しなければ、上積分と下積分は一致しない。Darboux 和による Riemann 重積分は、二つの和の差によって可積分性を定式化し、任意有限次元の閉直方体上に積分を定める。本記事で定める積分とその基本性質は、後続記事が Jordan 可測領域上の積分を定義し、累次積分による表示を証明する際に用いる。

1 閉直方体の分割と Darboux 和

定義 1.1.n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}とし、

R=∏i=1n[ai,bi]⊂Rn,ai<biR=\prod_{i=1}^n[a_i,b_i]\subset\mathbb R^n, \qquad a_i<b_i

を閉直方体 (closed rectangle) とする。その体積を

∣R∣=∏i=1n(bi−ai)|R|=\prod_{i=1}^n(b_i-a_i)

と定める。

各iiについて有限分割

Pi:ai=xi,0<xi,1<⋯<xi,mi=biP_i:\quad a_i=x_{i,0}<x_{i,1}<\cdots<x_{i,m_i}=b_i

をとる。これらから得られる小直方体

Qν=∏i=1n[xi,νi−1,xi,νi](1≤νi≤mi)Q_{\nu} =\prod_{i=1}^n[x_{i,\nu_i-1},x_{i,\nu_i}] \qquad (1\leq\nu_i\leq m_i)

の有限族をRRの直積分割 (product partition) といい、P=P1×⋯×PnP=P_1\times\cdots\times P_nと書く。小直方体の体積を

∣Qν∣=∏i=1n(xi,νi−xi,νi−1)|Q_{\nu}|=\prod_{i=1}^n(x_{i,\nu_i}-x_{i,\nu_i-1})

と定め、その Euclid 距離に関する直径の最大値を∥P∥\lVert P\rVertと書く。

直積分割P′P'の各座標分割がPPの対応する座標分割の分点をすべて含むとき、P′P'はPPの細分 (refinement) であるという。二つの直積分割PPとP′P'の各座標の分点を合わせると、両方の細分である共通細分 (common refinement)P∨P′P\vee P'が得られる。

定義 1.2.f ⁣:R→Rf\colon R\to\mathbb Rを有界関数とし、G⊆RG\subseteq Rを空でない集合とする。非負の実数

osc⁡(f;G)=sup⁡x∈Gf(x)−inf⁡x∈Gf(x)\operatorname{osc}(f;G)=\sup_{x\in G}f(x)-\inf_{x\in G}f(x)

をGGにおけるffの振幅 (oscillation) という。

定義 1.3.f ⁣:R→Rf\colon R\to\mathbb Rを有界関数とし、PPをRRの直積分割とする。PPに属する小直方体QQに対して

mQ(f)=inf⁡x∈Qf(x),MQ(f)=sup⁡x∈Qf(x)m_Q(f)=\inf_{x\in Q}f(x), \qquad M_Q(f)=\sup_{x\in Q}f(x)

とおき、

L(f,P)=∑Q∈PmQ(f)∣Q∣,U(f,P)=∑Q∈PMQ(f)∣Q∣L(f,P)=\sum_{Q\in P}m_Q(f)|Q|, \qquad U(f,P)=\sum_{Q\in P}M_Q(f)|Q|

を、それぞれffのPPに関する下 Darboux 和 (lower Darboux sum) および上 Darboux 和 (upper Darboux sum) という。さらに、

∫R‾f=sup⁡PL(f,P),∫R‾f=inf⁡PU(f,P)\underline{\int_R}f=\sup_P L(f,P), \qquad \overline{\int_R}f=\inf_P U(f,P)

を、それぞれffの下積分 (lower integral) および上積分 (upper integral) という。

下積分と上積分が等しいとき、ffはRR上で Riemann 可積分 (Riemann integrable) であるという。その共通の値を

∫Rf(x) dx\int_R f(x)\,dx

と書き、ffのRR上の Riemann 重積分 (Riemann multiple integral) という。

注意 1.4 (一変数の Darboux 和との関係).n=1n=1の場合、直積分割は閉区間の分割であり、定義 1.3は§D1.17 定義 1.1の上和・下和を用いる Riemann 積分の定義に一致する。多変数の場合には、小区間を小直方体へ置き換え、各小直方体の体積を重みとして用いる。

補題 1.5.f ⁣:R→Rf\colon R\to\mathbb Rを有界関数とする。

  1. P′P'がPPの細分ならば、 L(f,P)≤L(f,P′)≤U(f,P′)≤U(f,P)L(f,P)\leq L(f,P')\leq U(f,P')\leq U(f,P) が成り立つ。
  2. 任意の二つの直積分割PPとP′P'に対して、 L(f,P)≤U(f,P′)L(f,P)\leq U(f,P') が成り立つ。
  3. 下積分と上積分は有限の実数であり、 ∫R‾f≤∫R‾f\underline{\int_R}f\leq\overline{\int_R}f が成り立つ。

証明.(1)を示す。P′P'がPPの細分であるとする。PPの小直方体QQを分割するP′P'の小直方体をQ1,…,QsQ_1,\ldots,Q_sとすると、

∑j=1s∣Qj∣=∣Q∣,mQ(f)≤mQj(f)≤MQj(f)≤MQ(f)\sum_{j=1}^s|Q_j|=|Q|, \qquad m_Q(f)\leq m_{Q_j}(f)\leq M_{Q_j}(f)\leq M_Q(f)

である。これらの不等式へ∣Qj∣|Q_j|を掛けてjjについて足し、さらにPPのすべてのQQについて足すと、(1)を得る。

(2)を示す。PPとP′P'の共通細分をP∨P′P\vee P'とする。(1)により

L(f,P)≤L(f,P∨P′)≤U(f,P∨P′)≤U(f,P′)L(f,P)\leq L(f,P\vee P') \leq U(f,P\vee P')\leq U(f,P')

であるから、(2)が成り立つ。

(3)を示す。ffは有界であるから、m≤f(x)≤Mm\leq f(x)\leq Mをすべてのx∈Rx\in Rについて満たす実数m,Mm,Mが存在する。各直積分割PPについて

m∣R∣≤L(f,P)≤U(f,P)≤M∣R∣m|R|\leq L(f,P)\leq U(f,P)\leq M|R|

である。したがって下積分と上積分は有限である。(2)においてPPとP′P'を独立に動かして上限と下限をとると、下積分が上積分以下であることが従う。▨

2 Darboux の可積分判定

命題 2.1 (Darboux の可積分判定). 有界関数f ⁣:R→Rf\colon R\to\mathbb Rが Riemann 可積分であるための必要十分条件は、任意のε>0\varepsilon>0に対して、ある直積分割PPが存在して

U(f,P)−L(f,P)<εU(f,P)-L(f,P)<\varepsilon

となることである。

証明. 任意のε>0\varepsilon>0に対して条件を満たすPPが存在すると仮定する。補題 1.5により

0≤∫R‾f−∫R‾f≤U(f,P)−L(f,P)<ε0\leq \overline{\int_R}f-\underline{\int_R}f \leq U(f,P)-L(f,P)<\varepsilon

である。この差は非負であり、任意の正のε\varepsilonより小さいため00である。したがってffは Riemann 可積分である。

逆に、ffを Riemann 可積分とし、その積分値をIIとする。下積分が下和全体の上限であり、上積分が上和全体の下限であるから、直積分割P1,P2P_1,P_2であって

L(f,P1)>I−ε2,U(f,P2)<I+ε2L(f,P_1)>I-\frac{\varepsilon}{2}, \qquad U(f,P_2)<I+\frac{\varepsilon}{2}

を満たすものが存在する。共通細分P=P1∨P2P=P_1\vee P_2をとると、補題 1.5により

U(f,P)−L(f,P)≤U(f,P2)−L(f,P1)<εU(f,P)-L(f,P) \leq U(f,P_2)-L(f,P_1)<\varepsilon

となる。▨

3 連続関数の可積分性

定理 3.1.f ⁣:R→Rf\colon R\to\mathbb Rが連続ならば、ffはRR上で Riemann 可積分である。

証明.RRは有界閉集合であるから§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。したがって§E2.9 定理 5.1により、ffはRR上で一様連続である。また、§E4.1 定理 5.1によりffはRR上で最大値と最小値をとるため、有界である。

ε>0\varepsilon>0をとり、η=ε/∣R∣\eta=\varepsilon/|R|とおく。一様連続性により、あるδ>0\delta>0が存在して、任意のx,y∈Rx,y\in Rについて

∥x−y∥<δ⟹∣f(x)−f(y)∣<η\lVert x-y\rVert<\delta \quad\Longrightarrow\quad |f(x)-f(y)|<\eta

が成り立つ。各座標区間を十分多く等分し、すべての小直方体の直径がδ\delta未満となる直積分割PPをとる。

PPの各小直方体QQは有界閉集合であり、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。f∣Qf|_Qは連続であるから、§E4.1 定理 5.1により、f(xQ)=MQ(f)f(x_Q)=M_Q(f)とf(yQ)=mQ(f)f(y_Q)=m_Q(f)を満たす点xQ,yQ∈Qx_Q,y_Q\in Qが存在する。QQの直径はδ\delta未満であるため、

osc⁡(f;Q)=f(xQ)−f(yQ)<η\operatorname{osc}(f;Q) =f(x_Q)-f(y_Q)<\eta

となる。したがって

U(f,P)−L(f,P)=∑Q∈Posc⁡(f;Q)∣Q∣<η∑Q∈P∣Q∣=η∣R∣=εU(f,P)-L(f,P) =\sum_{Q\in P}\operatorname{osc}(f;Q)|Q| <\eta\sum_{Q\in P}|Q| =\eta|R|=\varepsilon

である。命題 2.1により、ffはRR上で Riemann 可積分である。▨

4 積分の基本性質

命題 4.1.f,g ⁣:R→Rf,g\colon R\to\mathbb Rを Riemann 可積分関数とし、α,β∈R\alpha,\beta\in\mathbb Rとする。任意のc∈Rc\in\mathbb Rによる定数関数も Riemann 可積分であり、

∫Rc dx=c∣R∣\int_R c\,dx=c|R|

を満たす。さらに、次が成り立つ。

  1. αf+βg\alpha f+\beta gは Riemann 可積分であり、 ∫R(αf+βg) dx=α∫Rf dx+β∫Rg dx\int_R(\alpha f+\beta g)\,dx =\alpha\int_Rf\,dx+\beta\int_Rg\,dx である。
  2. すべてのx∈Rx\in Rについてf(x)≤g(x)f(x)\leq g(x)ならば、 ∫Rf dx≤∫Rg dx\int_Rf\,dx\leq\int_Rg\,dx である。
  3. ∣f∣|f|は Riemann 可積分であり、 ∣∫Rf dx∣≤∫R∣f∣ dx≤∣R∣sup⁡x∈R∣f(x)∣\left|\int_Rf\,dx\right| \leq\int_R|f|\,dx \leq |R|\sup_{x\in R}|f(x)| である。とくに、 ∣∫Rf dx−∫Rg dx∣≤∣R∣sup⁡x∈R∣f(x)−g(x)∣\left|\int_Rf\,dx-\int_Rg\,dx\right| \leq |R|\sup_{x\in R}|f(x)-g(x)| が成り立つ。

証明. 定数関数ccについては、任意の直積分割PPに対して

L(c,P)=U(c,P)=c∑Q∈P∣Q∣=c∣R∣L(c,P)=U(c,P)=c\sum_{Q\in P}|Q|=c|R|

である。したがってccは可積分であり、その積分値はc∣R∣c|R|である。

(1)を示す。初めにスカラー倍を扱う。α≥0\alpha\geq0ならば、任意の小直方体QQについて

mQ(αf)=αmQ(f),MQ(αf)=αMQ(f)m_Q(\alpha f)=\alpha m_Q(f), \qquad M_Q(\alpha f)=\alpha M_Q(f)

である。α<0\alpha<0ならば上限と下限が交換され、

mQ(αf)=αMQ(f),MQ(αf)=αmQ(f)m_Q(\alpha f)=\alpha M_Q(f), \qquad M_Q(\alpha f)=\alpha m_Q(f)

である。これらの等式を小直方体について足すと、α≥0\alpha\geq0の場合には上下和がそれぞれα\alpha倍になり、α<0\alpha<0の場合には上下和が交換してα\alpha倍になる。従って命題 2.1からαf\alpha fは可積分である。さらに、上下積分の上限と下限をとると

∫Rαf dx=α∫Rf dx\int_R\alpha f\,dx=\alpha\int_Rf\,dx

が従う。

次に和を扱う。各小直方体QQについて

mQ(f)+mQ(g)≤mQ(f+g)≤MQ(f+g)≤MQ(f)+MQ(g)m_Q(f)+m_Q(g)\leq m_Q(f+g) \leq M_Q(f+g)\leq M_Q(f)+M_Q(g)

である。したがって、任意の直積分割PPに対して

U(f+g,P)−L(f+g,P)≤(U(f,P)−L(f,P))+(U(g,P)−L(g,P))U(f+g,P)-L(f+g,P) \leq\bigl(U(f,P)-L(f,P)\bigr) +\bigl(U(g,P)-L(g,P)\bigr)

が成り立つ。ffとggに対して Darboux の可積分判定を適用し、得られた二分割の共通細分をとると、右辺を任意に小さくすることができる。従ってf+gf+gは可積分である。

If=∫Rf dxI_f=\int_Rf\,dx、Ig=∫Rg dxI_g=\int_Rg\,dxおよびIf+g=∫R(f+g) dxI_{f+g}=\int_R(f+g)\,dxとおく。任意のη>0\eta>0に対して、上の共通細分PPを

(U(f,P)−L(f,P))+(U(g,P)−L(g,P))<η\bigl(U(f,P)-L(f,P)\bigr) +\bigl(U(g,P)-L(g,P)\bigr)<\eta

となるように選ぶ。このとき、If+gI_{f+g}とIf+IgI_f+I_gはともに

L(f,P)+L(g,P)以上、かつU(f,P)+U(g,P)以下L(f,P)+L(g,P) \quad\text{以上、かつ}\quad U(f,P)+U(g,P) \quad\text{以下}

である。従って∣If+g−(If+Ig)∣<η|I_{f+g}-(I_f+I_g)|<\etaとなる。η\etaは任意であるから、

If+g=If+IgI_{f+g}=I_f+I_g

である。スカラー倍の結果と合わせると、(1)を得る。

(2)を示す。f≤gf\leq gとする。各直積分割PPについてL(f,P)≤L(g,P)L(f,P)\leq L(g,P)であるから、下和全体の上限をとると

∫Rf dx≤∫Rg dx\int_Rf\,dx\leq\int_Rg\,dx

となり、(2)を得る。

(3)を示す。任意の実数s,ts,tに対して∣∣s∣−∣t∣∣≤∣s−t∣\bigl||s|-|t|\bigr|\leq|s-t|である。従って各小直方体QQについて

osc⁡(∣f∣;Q)≤osc⁡(f;Q)\operatorname{osc}(|f|;Q)\leq\operatorname{osc}(f;Q)

が成り立つ。命題 2.1により∣f∣|f|は可積分である。点ごとの不等式

−∣f∣≤f≤∣f∣-|f|\leq f\leq|f|

へ(2)を適用し、(1)の線形性を用いると

−∫R∣f∣ dx≤∫Rf dx≤∫R∣f∣ dx-\int_R|f|\,dx\leq\int_Rf\,dx\leq\int_R|f|\,dx

を得る。また、M=sup⁡x∈R∣f(x)∣M=\sup_{x\in R}|f(x)|とおけば0≤∣f∣≤M0\leq|f|\leq Mであるから、(2)と定数関数の積分公式により

∫R∣f∣ dx≤M∣R∣\int_R|f|\,dx\leq M|R|

となる。最後に、(1)をf−gf-gへ適用した後、得られた評価をf−gf-gへ適用すると、(3)の最後の不等式を得る。▨

例 4.2 (座標関数の積分).1≤k≤n1\leq k\leq nとし、πk(x1,…,xn)=xk\pi_k(x_1,\ldots,x_n)=x_kとおく。このとき

∫Rπk(x) dx=ak+bk2∣R∣\int_R\pi_k(x)\,dx=\frac{a_k+b_k}{2}|R|

である。

実際、第kk座標の区間だけをmm等分し、他の座標区間を分割しない直積分割をPmP_mとする。Δ=(bk−ak)/m\Delta=(b_k-a_k)/mとおくと、各小直方体におけるπk\pi_kの下限と上限は、対応する第kk座標区間の左端と右端である。従って等差数列の和から

L(πk,Pm)=∣R∣(ak+bk2−bk−ak2m),L(\pi_k,P_m) =|R|\left(\frac{a_k+b_k}{2}-\frac{b_k-a_k}{2m}\right),U(πk,Pm)=∣R∣(ak+bk2+bk−ak2m)U(\pi_k,P_m) =|R|\left(\frac{a_k+b_k}{2}+\frac{b_k-a_k}{2m}\right)

を得る。上和と下和の差は∣R∣(bk−ak)/m|R|(b_k-a_k)/mであるから、命題 2.1によりπk\pi_kは可積分である。積分値はすべてのmmについて二つの表示の間にあり、両端がm→∞m\to\inftyのとき同じ値へ収束するため、上の公式が成り立つ。

5 演習

問題 5.1 (最大値関数と最小値関数).f,g ⁣:R→Rf,g\colon R\to\mathbb Rを Riemann 可積分関数とする。点ごとに定めた関数

h(x)=max⁡{f(x),g(x)},ℓ(x)=min⁡{f(x),g(x)}h(x)=\max\{f(x),g(x)\}, \qquad \ell(x)=\min\{f(x),g(x)\}

が Riemann 可積分であることを証明せよ。さらに、

∫Rh dx+∫Rℓ dx=∫Rf dx+∫Rg dx\int_Rh\,dx+\int_R\ell\,dx =\int_Rf\,dx+\int_Rg\,dx

を証明せよ。

解答.

実数s,ts,tに対して

max⁡{s,t}=s+t+∣s−t∣2,min⁡{s,t}=s+t−∣s−t∣2\max\{s,t\}=\frac{s+t+|s-t|}{2}, \qquad \min\{s,t\}=\frac{s+t-|s-t|}{2}

である。命題 4.1 (1)によりf−gf-gは可積分であり、命題 4.1 (3)により∣f−g∣|f-g|も可積分である。従って上の表示と線形性からhhとℓ\ellは可積分である。二つの表示を加えるとh+ℓ=f+gh+\ell=f+gとなるため、線形性を再び適用すると積分の等式を得る。▨

問題 5.2 (Lipschitz 関数に対する分割の選択).f ⁣:R→Rf\colon R\to\mathbb Rが、ある定数C≥0C\geq0によって

∣f(x)−f(y)∣≤C∥x−y∥(x,y∈R)|f(x)-f(y)|\leq C\lVert x-y\rVert \qquad(x,y\in R)

を満たすとする。各座標区間を同じ個数mmに等分する直積分割をPmP_mとする。U(f,Pm)−L(f,Pm)U(f,P_m)-L(f,P_m)を上から評価し、任意のε>0\varepsilon>0に対して Darboux の可積分判定を満たすmmの条件を与えよ。

解答.

A=max⁡1≤i≤n(bi−ai)A=\max_{1\leq i\leq n}(b_i-a_i)とおく。PmP_mの各小直方体QQの直径はnA/m\sqrt n A/m以下である。Lipschitz 条件からffは連続である。また、各QQは有界閉集合であり、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。従って§E4.1 定理 5.1により、ffは各QQ上で最大値と最小値をとる。これらを与える点をxQ,yQ∈Qx_Q,y_Q\in Qとすると、

osc⁡(f;Q)=∣f(xQ)−f(yQ)∣≤CnAm\operatorname{osc}(f;Q) =|f(x_Q)-f(y_Q)| \leq\frac{C\sqrt n A}{m}

である。従って

U(f,Pm)−L(f,Pm)≤CnAm∑Q∈Pm∣Q∣=CnA∣R∣mU(f,P_m)-L(f,P_m) \leq\frac{C\sqrt n A}{m}\sum_{Q\in P_m}|Q| =\frac{C\sqrt n A|R|}{m}

となる。したがって

m>CnA∣R∣εm>\frac{C\sqrt n A|R|}{\varepsilon}

を満たす正の整数mmを選ぶと、上和と下和の差はε\varepsilon未満になる。▨

参考文献

  1. Tom M. Apostol, Mathematical Analysis, 2nd ed., Addison-Wesley, 1974.多次元 Riemann 積分の Darboux 和による構成を参考にした。
  2. Serge Lang, Undergraduate Analysis, 2nd ed., Springer, New York, 1997.連続関数の可積分性と積分の基本性質を参考にした。

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