§E12.16無限遠で消える連続関数

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局所コンパクト Hausdorff 空間XXがコンパクトであるとき、XX上の連続関数の全体C(X)C(X)は、定数関数11を単位元とする可換 Banach 環になる。しかしXXがR\mathbb Rのようにコンパクトでない場合、有界でない連続関数まで含めてしまうと、上限ノルムに関して意味のある空間を作ることができない。絶対値がε\varepsilon以上となる点の集合が任意のε>0\varepsilon>0についてコンパクトになる連続関数、すなわち無限遠で消える連続関数へ制限すると、有界性は自動的に保証される。ただし定数関数11はXXがコンパクトでない限り無限遠で消えないから、この制限によって単位元は失われる。

無限遠で消える連続関数の全体C0(X)C_0(X)は、それでも可換 C* 環としての構造をもち、XXがコンパクトな場合にはC(X)C(X)に一致する。C0(X)C_0(X)の定義とその基本的な性質について解説する。

1 無限遠で消える連続関数

定義 1.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする(§E2.24 定義 1.2、§E2.15 定義 1.2)。連続写像f:X→Cf:X\to\mathbb Cが無限遠で消える (vanish at infinity) とは、任意のε>0\varepsilon>0に対して集合

{x∈X:∣f(x)∣≥ε}\{x\in X : |f(x)|\geq\varepsilon\}

がXXのコンパクト部分集合であることをいう。XX上の無限遠で消える複素数値連続関数の全体をC0(X)C_0(X)と書く。

例 1.2.X=RX=\mathbb Rは通常の位相について局所コンパクト Hausdorff である(§E2.24 例 5.1)。関数f(x)=1/(1+x2)f(x)=1/(1+x^2)は連続であり、C0(R)C_0(\mathbb R)に属する。実際、ε>1\varepsilon>1のとき{x:∣f(x)∣≥ε}=∅\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}=\emptysetであり、0<ε≤10<\varepsilon\leq1のとき

{x:∣f(x)∣≥ε}={x:x2≤1−εε}=[−1−εε,1−εε]\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}=\left\{x:x^2\leq\frac{1-\varepsilon}{\varepsilon}\right\} =\left[-\sqrt{\frac{1-\varepsilon}{\varepsilon}},\sqrt{\frac{1-\varepsilon}{\varepsilon}}\right]

であり、これは§E2.9 定理 4.3によりコンパクトである。一方、定数関数11はC0(R)C_0(\mathbb R)に属さない。{x:∣1∣≥1/2}=R\{x:|1|\geq1/2\}=\mathbb Rはコンパクトでないからである。

例 1.3.X=NX=\mathbb Nに離散位相を入れると、XXは局所コンパクト Hausdorff である(§E2.24 例 5.1)。離散空間の部分集合がコンパクトであることと有限集合であることは同値であるから、連続写像f:N→Cf:\mathbb N\to\mathbb C(離散位相のもとでは任意の写像が連続である)に対して、f∈C0(N)f\in C_0(\mathbb N)であることと、任意のε>0\varepsilon>0について{n:∣f(n)∣≥ε}\{n:|f(n)|\geq\varepsilon\}が有限であることは同値である。これは数列(f(n))n∈N(f(n))_{n\in\mathbb N}が00に収束することと同値であるから、C0(N)C_0(\mathbb N)は§E12.1 例 3.1で定めた数列空間c0c_0に一致する。

補題 1.4. 位相空間XXのコンパクトな部分集合KKと、A⊆KA\subseteq Kを満たすXXの閉集合AAに対して、AAはコンパクトである。

証明.A⊆KA\subseteq KであるからA=A∩KA=A\cap Kである。AAはXXの閉集合であるから、§E2.12 命題 4.6によりAAはKKの部分空間位相について閉集合である。KKはコンパクト空間であるから、§E2.19 命題 4.1をKKを周囲の空間として適用すると、AAはコンパクトである。▨

命題 1.5.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。C0(X)C_0(X)は各点ごとの和とスカラー倍についてC\mathbb C上のベクトル空間であり、

∥f∥∞:=sup⁡x∈X∣f(x)∣\|f\|_\infty:=\sup_{x\in X}|f(x)|

はC0(X)C_0(X)上のノルムである。ここでX=∅X=\emptysetのときは∥f∥∞=0\|f\|_\infty=0とする。

証明.f∈C0(X)f\in C_0(X)とする。K1:={x∈X:∣f(x)∣≥1}K_1:=\{x\in X:|f(x)|\geq1\}とおくと、K1K_1はコンパクトである。K1=∅K_1=\emptysetのとき、任意のx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣<1|f(x)|<1であるから∥f∥∞≤1<∞\|f\|_\infty\leq1<\inftyである。K1≠∅K_1\neq\emptysetのとき、∣f∣:X→R|f|:X\to\mathbb Rは連続であるから、そのK1K_1への制限は空でないコンパクト空間K1K_1上の連続な実数値写像であり、§E2.19 定理 4.4によりK1K_1上で最大値MMをとる。K1K_1の定義からM≥1M\geq1である。x∈K1x\in K_1ならば∣f(x)∣≤M|f(x)|\leq Mであり、x∉K1x\notin K_1ならば∣f(x)∣<1≤M|f(x)|<1\leq Mである。したがって任意のx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣≤M|f(x)|\leq Mであり、∥f∥∞≤M<∞\|f\|_\infty\leq M<\inftyである。

f,g∈C0(X)f,g\in C_0(X)とする。和f+gf+gがC0(X)C_0(X)に属することを示す。ε>0\varepsilon>0をとり、K1:={x:∣f(x)∣≥ε/2}K_1:=\{x:|f(x)|\geq\varepsilon/2\}、K2:={x:∣g(x)∣≥ε/2}K_2:=\{x:|g(x)|\geq\varepsilon/2\}とおくと、いずれもコンパクトである。∣f(x)+g(x)∣≥ε|f(x)+g(x)|\geq\varepsilonかつ∣f(x)∣<ε/2|f(x)|<\varepsilon/2かつ∣g(x)∣<ε/2|g(x)|<\varepsilon/2を同時に満たすxxは存在しない。三角不等式によりそのようなxxでは∣f(x)+g(x)∣<ε|f(x)+g(x)|<\varepsilonとなるからである。したがって

{x:∣f(x)+g(x)∣≥ε}⊆K1∪K2\{x:|f(x)+g(x)|\geq\varepsilon\}\subseteq K_1\cup K_2

である。左辺は連続写像∣f+g∣|f+g|による開集合(−∞,ε)(-\infty,\varepsilon)の逆像の補集合であるからXXの閉集合であり、§E2.19 補題 2.8によりK1∪K2K_1\cup K_2はコンパクトである。補題 1.4により、左辺はコンパクトである。ε>0\varepsilon>0は任意であったからf+g∈C0(X)f+g\in C_0(X)である。f+gf+gは連続写像の和として連続である。

α∈C\alpha\in\mathbb C、f∈C0(X)f\in C_0(X)とする。α=0\alpha=0のときαf\alpha fは恒等的に00であり、任意のε>0\varepsilon>0について{x:∣0∣≥ε}=∅\{x:|0|\geq\varepsilon\}=\emptysetはコンパクトであるからαf∈C0(X)\alpha f\in C_0(X)である。α≠0\alpha\neq0のとき、任意のε>0\varepsilon>0について{x:∣αf(x)∣≥ε}={x:∣f(x)∣≥ε/∣α∣}\{x:|\alpha f(x)|\geq\varepsilon\}=\{x:|f(x)|\geq\varepsilon/|\alpha|\}はコンパクトであるからαf∈C0(X)\alpha f\in C_0(X)である。αf\alpha fは連続写像のスカラー倍として連続である。恒等的に00である関数はC0(X)C_0(X)に属する。以上によりC0(X)C_0(X)はC\mathbb C上のベクトル空間である。

∥⋅∥∞\|\cdot\|_\inftyがノルムであることを示す。f,g∈C0(X)f,g\in C_0(X)について、上で示した有界性から∥f∥∞<∞\|f\|_\infty<\inftyである。∥f∥∞=0\|f\|_\infty=0であることと、任意のx∈Xx\in Xについてf(x)=0f(x)=0であることは、各点での絶対値の非負性から同値である。α∈C\alpha\in\mathbb Cについて∥αf∥∞=sup⁡x∣αf(x)∣=∣α∣sup⁡x∣f(x)∣=∣α∣∥f∥∞\|\alpha f\|_\infty=\sup_x|\alpha f(x)|=|\alpha|\sup_x|f(x)|=|\alpha|\|f\|_\inftyである。三角不等式により、任意のx∈Xx\in Xで∣f(x)+g(x)∣≤∣f(x)∣+∣g(x)∣≤∥f∥∞+∥g∥∞|f(x)+g(x)|\leq|f(x)|+|g(x)|\leq\|f\|_\infty+\|g\|_\inftyであるから、上限をとると∥f+g∥∞≤∥f∥∞+∥g∥∞\|f+g\|_\infty\leq\|f\|_\infty+\|g\|_\inftyである。したがって∥⋅∥∞\|\cdot\|_\inftyはC0(X)C_0(X)上のノルムである。▨

定理 1.6.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。(C0(X),∥⋅∥∞)(C_0(X),\|\cdot\|_\infty)は Banach 空間である。

証明.(fn)n≥1(f_n)_{n\geq1}をC0(X)C_0(X)の∥⋅∥∞\|\cdot\|_\inftyに関する Cauchy 列とする。各x∈Xx\in Xについて∣fn(x)−fm(x)∣≤∥fn−fm∥∞|f_n(x)-f_m(x)|\leq\|f_n-f_m\|_\inftyであるから(fn(x))n≥1(f_n(x))_{n\geq1}はC\mathbb Cの Cauchy 列であり、極限f(x):=lim⁡nfn(x)f(x):=\lim_nf_n(x)が存在する。

ε>0\varepsilon>0をとる。Cauchy 性により、あるNNが存在してn,m≥Nn,m\geq Nならば∥fn−fm∥∞<ε/2\|f_n-f_m\|_\infty<\varepsilon/2である。n≥Nn\geq Nを固定し、m→∞m\to\inftyとすると、任意のx∈Xx\in Xについて∣fn(x)−f(x)∣≤ε/2<ε|f_n(x)-f(x)|\leq\varepsilon/2<\varepsilonとなる。したがってn≥Nn\geq Nならば∥fn−f∥∞≤ε/2\|f_n-f\|_\infty\leq\varepsilon/2であり、(fn)(f_n)はffに一様収束する。

ffが連続であることを示す。x0∈Xx_0\in Xとε>0\varepsilon>0をとる。上の一様収束から、∥f−fn∥∞<ε/3\|f-f_n\|_\infty<\varepsilon/3を満たすnnが存在する。fnf_nの連続性により、x0x_0のある近傍VVが存在して、x∈Vx\in Vならば∣fn(x)−fn(x0)∣<ε/3|f_n(x)-f_n(x_0)|<\varepsilon/3となる。x∈Vx\in Vのとき

∣f(x)−f(x0)∣≤∣f(x)−fn(x)∣+∣fn(x)−fn(x0)∣+∣fn(x0)−f(x0)∣<ε|f(x)-f(x_0)| \leq|f(x)-f_n(x)|+|f_n(x)-f_n(x_0)|+|f_n(x_0)-f(x_0)| <\varepsilon

である。したがってffはx0x_0で連続であり、x0∈Xx_0\in Xは任意であったからffはXX上で連続である。

ffが無限遠で消えることを示す。ε>0\varepsilon>0をとり、∥f−fn∥∞<ε/2\|f-f_n\|_\infty<\varepsilon/2を満たすnnを固定する。K:={x∈X:∣fn(x)∣≥ε/2}K:=\{x\in X:|f_n(x)|\geq\varepsilon/2\}とおくと、fn∈C0(X)f_n\in C_0(X)よりKKはコンパクトである。∣f(x)∣≥ε|f(x)|\geq\varepsilonを満たすxxに対して

∣fn(x)∣≥∣f(x)∣−∣f(x)−fn(x)∣>ε−ε/2=ε/2|f_n(x)|\geq|f(x)|-|f(x)-f_n(x)|>\varepsilon-\varepsilon/2=\varepsilon/2

であるからx∈Kx\in Kである。したがって{x:∣f(x)∣≥ε}⊆K\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}\subseteq Kである。左辺は連続写像ffによる開集合{z∈C:∣z∣<ε}\{z\in\mathbb C:|z|<\varepsilon\}の逆像の補集合であるからXXの閉集合であり、補題 1.4により{x:∣f(x)∣≥ε}\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}はコンパクトである。ε>0\varepsilon>0は任意であったからf∈C0(X)f\in C_0(X)である。

以上によりf∈C0(X)f\in C_0(X)でありfn→ff_n\to fは∥⋅∥∞\|\cdot\|_\inftyについて成り立つ。命題 1.5と合わせて、(C0(X),∥⋅∥∞)(C_0(X),\|\cdot\|_\infty)は Banach 空間である。▨

2 可換 C* 環としての構造

定理 2.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。各点ごとの積(fg)(x):=f(x)g(x)(fg)(x):=f(x)g(x)と対合f∗(x):=f(x)‾f^*(x):=\overline{f(x)}について、C0(X)C_0(X)は可換 C* 環である。

証明.f,g∈C0(X)f,g\in C_0(X)とする。∥g∥∞=0\|g\|_\infty=0のときはggが恒等的に00であるからfgfgも恒等的に00でありfg∈C0(X)fg\in C_0(X)である。∥g∥∞>0\|g\|_\infty>0とする。ε>0\varepsilon>0をとる。∣f(x)g(x)∣≥ε|f(x)g(x)|\geq\varepsilonならば∣g(x)∣≤∥g∥∞|g(x)|\leq\|g\|_\inftyより∣f(x)∣≥ε/∥g∥∞|f(x)|\geq\varepsilon/\|g\|_\inftyであるから

{x:∣f(x)g(x)∣≥ε}⊆{x:∣f(x)∣≥ε/∥g∥∞}\{x:|f(x)g(x)|\geq\varepsilon\}\subseteq\{x:|f(x)|\geq\varepsilon/\|g\|_\infty\}

である。右辺はコンパクトであり、左辺は連続写像fgfgによる開集合{z:∣z∣<ε}\{z:|z|<\varepsilon\}の逆像の補集合として閉集合であるから、補題 1.4により左辺はコンパクトである。したがってfg∈C0(X)fg\in C_0(X)である。fgfgは連続写像の積として連続である。各点での積がC\mathbb Cの乗法であることから、この積は結合的、分配的、かつ可換である。任意のx∈Xx\in Xについて∣f(x)g(x)∣=∣f(x)∣∣g(x)∣≤∥f∥∞∥g∥∞|f(x)g(x)|=|f(x)||g(x)|\leq\|f\|_\infty\|g\|_\inftyであるから、∥fg∥∞≤∥f∥∞∥g∥∞\|fg\|_\infty\leq\|f\|_\infty\|g\|_\inftyである。

f∈C0(X)f\in C_0(X)に対してf∗(x)=f(x)‾f^*(x)=\overline{f(x)}は連続であり、∣f(x)‾∣=∣f(x)∣|\overline{f(x)}|=|f(x)|であるから、任意のε>0\varepsilon>0について{x:∣f∗(x)∣≥ε}={x:∣f(x)∣≥ε}\{x:|f^*(x)|\geq\varepsilon\}=\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}はコンパクトである。したがってf∗∈C0(X)f^*\in C_0(X)である。α,β∈C\alpha,\beta\in\mathbb C、f,g∈C0(X)f,g\in C_0(X)に対して、各点でαf(x)+βg(x)‾=α‾ f(x)‾+β‾ g(x)‾\overline{\alpha f(x)+\beta g(x)}=\overline\alpha\,\overline{f(x)}+\overline\beta\,\overline{g(x)}であるから(αf+βg)∗=α‾f∗+β‾g∗(\alpha f+\beta g)^*=\overline\alpha f^*+\overline\beta g^*である。各点でf(x)‾‾=f(x)\overline{\overline{f(x)}}=f(x)であるから(f∗)∗=f(f^*)^*=fである。各点でf(x)g(x)‾=f(x)‾ g(x)‾\overline{f(x)g(x)}=\overline{f(x)}\,\overline{g(x)}であるから(fg)∗=f∗g∗(fg)^*=f^*g^*であり、積の可換性からf∗g∗=g∗f∗f^*g^*=g^*f^*でもある。任意のx∈Xx\in Xについて∣f(x)‾∣=∣f(x)∣|\overline{f(x)}|=|f(x)|であるから∥f∗∥∞=∥f∥∞\|f^*\|_\infty=\|f\|_\inftyである。

以上と定理 1.6により、C0(X)C_0(X)は対合を備えた複素 Banach 環である。任意のx∈Xx\in Xについて∣f∗(x)f(x)∣=∣f(x)‾f(x)∣=∣f(x)∣2|f^*(x)f(x)|=|\overline{f(x)}f(x)|=|f(x)|^2である。t↦t2t\mapsto t^2は[0,∞)[0,\infty)上で単調増加であるから

∥f∗f∥∞=sup⁡x∈X∣f(x)∣2=(sup⁡x∈X∣f(x)∣)2=∥f∥∞2\|f^*f\|_\infty=\sup_{x\in X}|f(x)|^2=\left(\sup_{x\in X}|f(x)|\right)^2=\|f\|_\infty^2

である。したがって§E12.15 定義 1.2によりC0(X)C_0(X)は C* 環であり、積の可換性から可換 C* 環である。▨

3 台がコンパクトな関数

定義 3.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、f:X→Cf:X\to\mathbb Cを連続写像とする。ffの台 (support) を

supp⁡f:={x∈X:f(x)≠0}‾\operatorname{supp}f:=\overline{\{x\in X:f(x)\neq0\}}

と定める。台がコンパクトな連続関数の全体をCc(X)C_c(X)と書く。

命題 3.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。Cc(X)⊆C0(X)C_c(X)\subseteq C_0(X)である。

証明.f∈Cc(X)f\in C_c(X)とし、K:=supp⁡fK:=\operatorname{supp}fとおく。x∉Kx\notin Kとすると、KKは{y:f(y)≠0}\{y:f(y)\neq0\}の閉包であるから、xxには{y:f(y)≠0}\{y:f(y)\neq0\}と交わらない開近傍があり、とくにf(x)=0f(x)=0である。したがって、任意のε>0\varepsilon>0について

{x:∣f(x)∣≥ε}⊆K\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}\subseteq K

である。左辺は連続写像ffによる開集合{z:∣z∣<ε}\{z:|z|<\varepsilon\}の逆像の補集合であるから閉集合であり、補題 1.4によりコンパクトである。したがってf∈C0(X)f\in C_0(X)である。▨

補題 3.3.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、K⊆XK\subseteq Xをコンパクト部分集合、W⊆XW\subseteq XをK⊆WK\subseteq Wを満たす開部分集合とする。このとき、連続写像g:X→[0,1]g:X\to[0,1]であって、すべてのx∈Kx\in Kについてg(x)=1g(x)=1、すべてのx∈X∖Wx\in X\setminus Wについてg(x)=0g(x)=0を満たし、supp⁡g\operatorname{supp}g(定義 3.1)がコンパクトであるものが存在する。ggを複素数値の写像とみなすとg∈Cc(X)g\in C_c(X)であり、とくにg∈C0(X)g\in C_0(X)である。

証明. 各x∈Kx\in Kに対して、§E2.24 定理 1.6をxxと開集合WWに適用すると、開集合VxV_xであってx∈Vx⊆Vx‾⊆Wx\in V_x\subseteq\overline{V_x}\subseteq Wを満たしVx‾\overline{V_x}がコンパクトであるものが存在する。族{Vx}x∈K\{V_x\}_{x\in K}はXXの開集合からなりKKを覆うから、§E2.19 命題 2.6 (2)により、有限個の点x1,…,xn∈Kx_1,\ldots,x_n\in K(n∈Z≥0n\in\mathbb Z_{\geq0})が存在してK⊆Vx1∪⋯∪VxnK\subseteq V_{x_1}\cup\cdots\cup V_{x_n}となる。U:=Vx1∪⋯∪VxnU:=V_{x_1}\cup\cdots\cup V_{x_n}とおく。UUは開集合でありK⊆U⊆WK\subseteq U\subseteq Wである。

n≥1n\geq1のとき、§E2.2 公式 3.3を繰り返し適用するとU‾=Vx1‾∪⋯∪Vxn‾\overline U=\overline{V_{x_1}}\cup\cdots\cup\overline{V_{x_n}}であり、§E2.19 補題 2.8によりこれはコンパクトである。n=0n=0のときU=∅U=\emptysetでありU‾=∅\overline U=\emptysetもコンパクトである。いずれの場合もU‾\overline Uはコンパクトである。

§E2.24 定理 2.3をXX、コンパクト部分集合KK、開部分集合UUに適用すると、連続写像g:X→[0,1]g:X\to[0,1]であって、すべてのx∈Kx\in Kについてg(x)=1g(x)=1、すべてのx∈X∖Ux\in X\setminus Uについてg(x)=0g(x)=0を満たすものが存在する。U⊆WU\subseteq WであるからX∖W⊆X∖UX\setminus W\subseteq X\setminus Uであり、すべてのx∈X∖Wx\in X\setminus Wについてg(x)=0g(x)=0である。

g(x)≠0g(x)\neq0ならばx∈Ux\in Uであるから{x∈X:g(x)≠0}⊆U\{x\in X:g(x)\neq0\}\subseteq Uであり、定義 3.1によりsupp⁡g⊆U‾\operatorname{supp}g\subseteq\overline Uである。supp⁡g\operatorname{supp}gは閉包として閉集合でありU‾\overline Uはコンパクトであるから、補題 1.4によりsupp⁡g\operatorname{supp}gはコンパクトである。したがってg∈Cc(X)g\in C_c(X)であり、命題 3.2によりg∈C0(X)g\in C_0(X)である。▨

定理 3.4.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。Cc(X)C_c(X)は(C0(X),∥⋅∥∞)(C_0(X),\|\cdot\|_\infty)で稠密である。

証明.f∈C0(X)f\in C_0(X)、ε>0\varepsilon>0とする。K:={x∈X:∣f(x)∣≥ε}K:=\{x\in X:|f(x)|\geq\varepsilon\}とおくと、KKはコンパクトである。補題 3.3をXX、コンパクト部分集合KK、開部分集合W=XW=Xに適用すると、連続写像φ:X→[0,1]\varphi:X\to[0,1]であって、すべてのx∈Kx\in Kについてφ(x)=1\varphi(x)=1を満たし、supp⁡φ\operatorname{supp}\varphiがコンパクトであるものが存在する。

g:=φfg:=\varphi fとおく。ggは連続写像の積として連続である。g(x)≠0g(x)\neq0ならばφ(x)≠0\varphi(x)\neq0であるから{x:g(x)≠0}⊆{x:φ(x)≠0}\{x:g(x)\neq0\}\subseteq\{x:\varphi(x)\neq0\}であり、§E2.2 公式 3.3の単調性によりsupp⁡g⊆supp⁡φ\operatorname{supp}g\subseteq\operatorname{supp}\varphiである。supp⁡g\operatorname{supp}gは閉包として閉集合でありsupp⁡φ\operatorname{supp}\varphiはコンパクトであるから、補題 1.4によりsupp⁡g\operatorname{supp}gはコンパクトである。したがってg∈Cc(X)g\in C_c(X)である。

∥f−g∥∞≤ε\|f-g\|_\infty\leq\varepsilonを示す。x∈Kx\in Kのときφ(x)=1\varphi(x)=1であるからf(x)−g(x)=f(x)−φ(x)f(x)=0f(x)-g(x)=f(x)-\varphi(x)f(x)=0である。x∉Kx\notin Kのとき∣f(x)∣<ε|f(x)|<\varepsilonであり、φ(x)∈[0,1]\varphi(x)\in[0,1]より∣1−φ(x)∣≤1|1-\varphi(x)|\leq1であるから

∣f(x)−g(x)∣=∣f(x)∣ ∣1−φ(x)∣≤∣f(x)∣<ε|f(x)-g(x)|=|f(x)|\,|1-\varphi(x)|\leq|f(x)|<\varepsilon

である。いずれの場合も∣f(x)−g(x)∣≤ε|f(x)-g(x)|\leq\varepsilonであるから、∥f−g∥∞≤ε\|f-g\|_\infty\leq\varepsilonである。g∈Cc(X)g\in C_c(X)でありε>0\varepsilon>0は任意であったから、Cc(X)C_c(X)はC0(X)C_0(X)で稠密である。▨

4 コンパクトな場合

命題 4.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。

  1. XXがコンパクトならばC0(X)C_0(X)はXX上のすべての連続関数の空間C(X)C(X)に一致し、定数関数11がC0(X)C_0(X)の単位元である。このときC0(X)=C(X)C_0(X)=C(X)は可換 C* 環であり、とくに可換 Banach 環である。X≠∅X\neq\emptysetならば∥1∥∞=1\|1\|_\infty=1であるから、C(X)C(X)は単位的可換 C* 環かつ単位的可換 Banach 環である。ただしX=∅X=\emptysetのときはC0(∅)={0}C_0(\emptyset)=\{0\}であってこの単位元は00に等しく、∥0∥∞=0≠1\|0\|_\infty=0\neq1であるから、C0(∅)C_0(\emptyset)は単位的ではない。
  2. XXがコンパクトでないならばC0(X)C_0(X)は単位元をもたない。

証明.(1)を示す。XXがコンパクトであるとする。f∈C(X)f\in C(X)とすると、任意のε>0\varepsilon>0について{x:∣f(x)∣≥ε}\{x:|f(x)|\geq\varepsilon\}は連続写像ffによる開集合{z:∣z∣<ε}\{z:|z|<\varepsilon\}の逆像の補集合としてXXの閉集合であり、XX自身がコンパクトであるから§E2.19 命題 4.1によりコンパクトである。したがってf∈C0(X)f\in C_0(X)である。C0(X)⊆C(X)C_0(X)\subseteq C(X)は定義から成り立つのでC0(X)=C(X)C_0(X)=C(X)である。定数関数11は連続であるから1∈C0(X)=C(X)1\in C_0(X)=C(X)であり、任意のf∈C0(X)f\in C_0(X)について各点で1⋅f(x)=f(x)=f(x)⋅11\cdot f(x)=f(x)=f(x)\cdot1であるから、11は単位元である。定理 2.1によりC0(X)C_0(X)は可換 C* 環であり、したがって可換 Banach 環である。X≠∅X\neq\emptysetのとき、定数関数11について∥1∥∞=sup⁡x∈X∣1∣=1\|1\|_\infty=\sup_{x\in X}|1|=1であるから、C0(X)=C(X)C_0(X)=C(X)は単位的可換 C* 環かつ単位的可換 Banach 環である。X=∅X=\emptysetのときC0(X)C_0(X)の元は空写像だけであるからC0(∅)={0}C_0(\emptyset)=\{0\}であり、定数関数11はこの空写像、すなわち00に等しい。∥0∥∞=0\|0\|_\infty=0であって単位的であるために必要な∥1∥=1\|1\|=1を満たさないから、C0(∅)C_0(\emptyset)は単位的ではない。

(2)を示す。XXがコンパクトでないとする。§E2.19 定義 2.1により、X=∅X=\emptysetならば空の部分族が有限部分被覆となってXXはコンパクトになるので、X≠∅X\neq\emptysetである。e∈C0(X)e\in C_0(X)が単位元であると仮定する。x0∈Xx_0\in Xをとる。{x0}\{x_0\}はコンパクトであるから、補題 3.3をXX、コンパクト部分集合{x0}\{x_0\}、開部分集合W=XW=Xに適用すると、φ∈C0(X)\varphi\in C_0(X)であってφ(x0)=1\varphi(x_0)=1を満たすものが存在する。

eeが単位元であることからe(x0)φ(x0)=φ(x0)e(x_0)\varphi(x_0)=\varphi(x_0)であり、φ(x0)=1≠0\varphi(x_0)=1\neq0であるからe(x0)=1e(x_0)=1である。x0∈Xx_0\in Xは任意であったから、eeはXX上の定数関数11に一致する。しかしXXはコンパクトでないから{x:∣e(x)∣≥1}=X\{x:|e(x)|\geq1\}=Xはコンパクトでなく、e∈C0(X)e\in C_0(X)に反する。したがって単位元をもつe∈C0(X)e\in C_0(X)は存在しない。▨

例 4.2.X=[0,1]X=[0,1]は Euclid 距離が定める通常の位相について、§E2.9 定理 4.3によりコンパクトであり、§E2.15 定理 3.2により Hausdorff である。命題 4.1によりC0([0,1])=C[0,1]C_0([0,1])=C[0,1]であり、定数関数11が単位元である。C[0,1]C[0,1]が一様ノルムについて完備であることは§E12.1 定理 3.2で既に証明されており、定理 1.6はこの結果を局所コンパクトだが非コンパクトな場合へ拡張したものにあたる。

5 演習

問題 5.1.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、f∈C0(X)f\in C_0(X)を恒等的に00でない関数とする。あるx0∈Xx_0\in Xが存在して∣f(x0)∣=∥f∥∞|f(x_0)|=\|f\|_\inftyとなることを証明せよ。

解答.

M:=∥f∥∞M:=\|f\|_\inftyとおくと、ffが恒等的に00でないことと命題 1.5のノルムの正定値性からM>0M>0である。K:={x∈X:∣f(x)∣≥M/2}K:=\{x\in X:|f(x)|\geq M/2\}とおくと、KKはコンパクトであり、M/2<M=sup⁡x∈X∣f(x)∣M/2<M=\sup_{x\in X}|f(x)|から∣f(x)∣>M/2|f(x)|>M/2を満たすx∈Xx\in Xが存在するのでK≠∅K\neq\emptysetである。

∣f∣:X→R|f|:X\to\mathbb Rは連続であるから、そのKKへの制限は空でないコンパクト空間KK上の連続な実数値写像である。§E2.19 定理 4.4により、あるx0∈Kx_0\in Kが存在して、任意のx∈Kx\in Kについて∣f(x)∣≤∣f(x0)∣|f(x)|\leq|f(x_0)|となる。

x0∈Kx_0\in Kであるから∣f(x0)∣≥M/2|f(x_0)|\geq M/2である。したがってx∉Kx\notin Kならば∣f(x)∣<M/2≤∣f(x0)∣|f(x)|<M/2\leq|f(x_0)|であり、x∈Kx\in Kならば∣f(x)∣≤∣f(x0)∣|f(x)|\leq|f(x_0)|である。任意のx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣≤∣f(x0)∣|f(x)|\leq|f(x_0)|であるから、上限をとるとM=∥f∥∞≤∣f(x0)∣M=\|f\|_\infty\leq|f(x_0)|である。MMの定義から∣f(x0)∣≤M|f(x_0)|\leq Mでもあるから∣f(x0)∣=M|f(x_0)|=Mである。▨

問題 5.2.XXを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。f,g∈Cc(X)f,g\in C_c(X)ならばfg∈Cc(X)fg\in C_c(X)かつf∗∈Cc(X)f^*\in C_c(X)であることを証明せよ。

解答.

{x:f(x)g(x)≠0}⊆{x:f(x)≠0}∩{x:g(x)≠0}\{x:f(x)g(x)\neq0\}\subseteq\{x:f(x)\neq0\}\cap\{x:g(x)\neq0\}であるから、両辺の閉包をとると

supp⁡(fg)⊆supp⁡f∩supp⁡g⊆supp⁡f\operatorname{supp}(fg)\subseteq\operatorname{supp}f\cap\operatorname{supp}g\subseteq\operatorname{supp}f

である。supp⁡(fg)\operatorname{supp}(fg)は閉集合でありsupp⁡f\operatorname{supp}fはコンパクトであるから、補題 1.4によりsupp⁡(fg)\operatorname{supp}(fg)はコンパクトである。したがってfg∈Cc(X)fg\in C_c(X)である。

任意のx∈Xx\in Xについてf∗(x)=f(x)‾≠0f^*(x)=\overline{f(x)}\neq0であることとf(x)≠0f(x)\neq0であることは同値であるから、{x:f∗(x)≠0}={x:f(x)≠0}\{x:f^*(x)\neq0\}=\{x:f(x)\neq0\}であり、supp⁡f∗=supp⁡f\operatorname{supp}f^*=\operatorname{supp}fである。とくにsupp⁡f∗\operatorname{supp}f^*はコンパクトであり、f∗∈Cc(X)f^*\in C_c(X)である。▨

参考文献

  1. Gerard J. Murphy, C*-Algebras and Operator Theory, Academic Press, 1990.局所コンパクト Hausdorff 空間上で無限遠で消える連続関数がなす可換 C* 環の構成を参考にした。
  2. Walter Rudin, Functional Analysis, 2nd ed., International Series in Pure and Applied Mathematics, McGraw Hill, 1991.Banach 環と C* 環の基本的な構成、および稠密性の議論の型を参考にした。
  3. Gerald B. Folland, A Course in Abstract Harmonic Analysis, 2nd ed., CRC Press, 2016.局所コンパクト空間上の無限遠で消える連続関数の空間の標準的な扱いを参考にした。

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