1 proper 写像と非退化な *-準同型
定義 1.1.XとYを位相空間とする。連続写像f:X→Yがproper 写像 (proper map) であるとは、Yの任意のコンパクト部分集合Kに対してf−1(K)がXのコンパクト部分集合であることをいう。
補題 1.2.Xをコンパクトな位相空間、Yを Hausdorff 空間とし、f:X→Yを連続写像とする。このときfは proper 写像である。
証明.K⊆Yをコンパクト部分集合とする。Yは Hausdorff であるから、§E2.19 命題 6.4によりKはYの閉集合である。fは連続であるから、§E2.12 命題 1.6 (2)によりf−1(K)はXの閉集合である。Xはコンパクトであるから、§E2.19 命題 4.1によりf−1(K)はコンパクトである。したがって定義 1.1によりfは proper 写像である。▨
定義 1.3.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、π:C0(Y)→C0(X)(§E12.16 定義 1.1)を *-準同型(§E12.15 定義 1.5)とする。πが非退化 (nondegenerate) であるとは、各x∈Xに対してπ(g)(x)=0を満たすg∈C0(Y)が存在することをいう。
命題 1.4.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、f:X→Yを proper 写像とする。g∈C0(Y)に対してf∗(g):=g∘fとおくと、次が成り立つ。
- すべてのg∈C0(Y)についてf∗(g)∈C0(X)であり、∥f∗(g)∥∞≤∥g∥∞である。
- f∗:C0(Y)→C0(X)は線形かつ乗法的であり、対合を保つ。すなわちf∗は *-準同型である。
- f∗は非退化である。
証明.(1)を示す。g∈C0(Y)とする。fとgは連続であるから、§E2.12 命題 1.10によりg∘fは連続である。ε>0に対して、∣g(f(x))∣≥εであることとf(x)∈{y∈Y:∣g(y)∣≥ε}であることは同値であるから
{x∈X:∣(g∘f)(x)∣≥ε}=f−1({y∈Y:∣g(y)∣≥ε})である。§E12.16 定義 1.1により{y∈Y:∣g(y)∣≥ε}はYのコンパクト部分集合であるから、定義 1.1によりそのfによる逆像はコンパクトである。ε>0は任意であったからg∘f∈C0(X)である。また、任意のx∈Xについて∣g(f(x))∣≤supy∈Y∣g(y)∣=∥g∥∞であるから、上限をとると∥f∗(g)∥∞≤∥g∥∞である。
(2)を示す。g,h∈C0(Y)、λ∈Cとする。各x∈Xについて
(g+λh)(f(x))=g(f(x))+λh(f(x)),(gh)(f(x))=g(f(x))h(f(x))であるからf∗(g+λh)=f∗(g)+λf∗(h)かつf∗(gh)=f∗(g)f∗(h)である。§E12.16 定理 2.1によりC0(Y)とC0(X)の対合はいずれも複素共役であり、各x∈Xについてg(f(x))=g(f(x))であるからf∗(g∗)=f∗(g)∗である。
(3)を示す。x∈Xをとる。一点集合{f(x)}はコンパクトであるから、§E12.16 補題 3.3をY、コンパクト部分集合{f(x)}、開部分集合W=Yに適用すると、g∈C0(Y)であってg(f(x))=1を満たすものが存在する。f∗(g)(x)=g(f(x))=1=0であるから、定義 1.3によりf∗は非退化である。▨
命題 1.5.X、Y、Zを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。
- f:X→Yとh:Y→Zが proper 写像ならばh∘f:X→Zは proper 写像であり、(h∘f)∗=f∗∘h∗である。
- 恒等写像idX:X→Xは proper 写像であり、(idX)∗はC0(X)の恒等写像である。
証明.(1)を示す。§E2.12 命題 1.10によりh∘fは連続である。K⊆Zをコンパクト部分集合とすると、定義 1.1によりh−1(K)はYのコンパクト部分集合であり、ふたたび定義 1.1によりf−1(h−1(K))はXのコンパクト部分集合である。(h∘f)−1(K)=f−1(h−1(K))であるからh∘fは proper 写像である。g∈C0(Z)とx∈Xに対して
(h∘f)∗(g)(x)=g(h(f(x)))=h∗(g)(f(x))=f∗(h∗(g))(x)であるから(h∘f)∗=f∗∘h∗である。
(2)を示す。idXは連続であり、K⊆XがコンパクトならばidX−1(K)=Kはコンパクトであるから、idXは proper 写像である。g∈C0(X)に対して(idX)∗(g)=g∘idX=gである。▨
2 空間の復元
補題 2.1.Aを可換 Banach 環、Zを位相空間とし、Ψ:Z→Δ(A)を写像とする。すべてのa∈Aについて写像z↦Ψ(z)(a)がZからCへの連続写像であるならば、Ψは Gelfand 位相(§E12.14 定義 5.1)について連続である。
証明.GをΔ(A)の開集合とし、z0∈Ψ−1(G)をとる。§E12.14 定義 5.1と§E2.12 定義 4.1により、A∗の弱星開集合Vが存在してG=V∩Δ(A)である。Ψ(z0)∈Vであるから、§E12.5 定義 2.1の基本近傍の形により、a1,…,am∈Aとε>0が存在して
V(Ψ(z0);a1,…,am;ε)⊆Vである。各jについてhj(z):=Ψ(z)(aj)は仮定により連続であるから、
W:=j=1⋂mhj−1({μ∈C:∣μ−hj(z0)∣<ε})は有限個の開集合の共通部分としてZの開集合であり、z0∈Wである。z∈Wならば、すべてのjについて∣Ψ(z)(aj)−Ψ(z0)(aj)∣<εであるからΨ(z)∈V(Ψ(z0);a1,…,am;ε)⊆Vであり、Ψ(z)∈Δ(A)とあわせてΨ(z)∈Gである。したがってz0∈W⊆Ψ−1(G)である。
Ψ−1(G)の各点がこのような開集合をもつから、Ψ−1(G)はそれらの和集合として開集合である。Gは任意であったから、§E2.12 定義 1.1によりΨは連続である。▨
補題 2.2.Kをコンパクト Hausdorff 空間とし、φ∈Δ(C(K))とする。このとき、すべてのg∈C(K)についてφ(g)=g(p)を満たすp∈Kがただ一つ存在する。
証明.Kはコンパクト Hausdorff であるから、§E2.24 例 5.1 (1)により局所コンパクトであり、§E12.16 命題 4.1 (1)によりC0(K)=C(K)であって定数関数1が単位元である。§E12.14 定義 4.4によりφは零写像でないからC(K)={0}である。K=∅ならばK上の写像は空写像だけでありC(K)={0}となるから、K=∅である。したがって、ふたたび§E12.16 命題 4.1 (1)によりC(K)は単位的可換 Banach 環である。
存在を示す。すべてのp∈Kに対してg(p)=0を満たすg∈kerφが存在すると仮定する。各p∈Kについてそのようなgp∈kerφをとり、up:=gpgp∈C(K)とおく。φは乗法的でありφ(gp)=0であるからφ(up)=φ(gp)φ(gp)=0であり、up∈kerφである。各x∈Kについてup(x)=∣gp(x)∣2≥0であり、up(p)=∣gp(p)∣2>0である。Vp:={x∈K:up(x)>0}は連続写像upによる開集合{μ∈C:Reμ>0}の逆像であるからKの開集合であり、p∈Vpである。
{Vp}p∈KはKの開被覆であるから、§E2.19 定義 2.1により有限個の点p1,…,pn∈Kが存在してK=Vp1∪⋯∪Vpnとなる。K=∅であるからn≥1である。u:=up1+⋯+upnとおくと、kerφは加法について閉じているからu∈kerφである。各x∈KはあるVpiに属し、他の項が非負であるからu(x)≥upi(x)>0である。したがってx↦1/u(x)はK上の連続写像でありC(K)に属し、u⋅(1/u)=1である。φは乗法的であり、§E12.14 命題 4.5 (2)によりφ(1)=1であるから
1=φ(1)=φ(u)φ(1/u)=0⋅φ(1/u)=0となり矛盾する。したがって仮定は誤りであり、あるp∈Kが存在して、すべてのg∈kerφについてg(p)=0である。g∈C(K)をとるとφ(g−φ(g)1)=φ(g)−φ(g)φ(1)=0であるからg−φ(g)1∈kerφであり、pで評価するとg(p)−φ(g)=0、すなわちφ(g)=g(p)である。
一意性を示す。p,q∈Kがともにこの性質をもち、p=qであると仮定する。Kは Hausdorff であるから§E2.15 定理 1.11 (4)により T1 であり、§E2.15 命題 1.5により{q}はKの閉集合である。W:=K∖{q}は開集合でありp∈Wである。一点集合{p}はコンパクトであるから、§E12.16 補題 3.3を局所コンパクト Hausdorff 空間K、コンパクト部分集合{p}、開部分集合Wに適用すると、g∈C0(K)=C(K)であってg(p)=1を満たしK∖W={q}の上で0をとるものが存在する。このときφ(g)=g(p)=1とφ(g)=g(q)=0が同時に成り立ち矛盾する。したがってp=qである。▨
補題 2.3.Kをコンパクト Hausdorff 空間とする。各p∈Kに対してεK(p):C(K)→CをεK(p)(g):=g(p)で定めると、εK(p)∈Δ(C(K))であり、εK:K→Δ(C(K))は Gelfand 位相について同相写像である。
証明.p∈Kをとる。εK(p)は各点ごとの演算により線形かつ乗法的であり、定数関数1についてεK(p)(1)=1=0であるから零写像でない。したがって§E12.14 定義 4.4によりεK(p)∈Δ(C(K))である。
補題 2.2の存在の主張により、Δ(C(K))の各元はあるεK(p)に等しいからεKは全射であり、一意性の主張によりεK(p)=εK(q)ならばp=qであるからεKは単射である。
各g∈C(K)について、p↦εK(p)(g)=g(p)はg自身であり連続である。Kはコンパクト Hausdorff であるから§E2.24 例 5.1 (1)により局所コンパクトであり、§E12.16 命題 4.1 (1)によりC(K)=C0(K)は可換 Banach 環である。したがって補題 2.1によりεKは連続である。
§E12.14 補題 5.2によりC(K)∗は弱星位相について Hausdorff であり、§E2.15 問題 6.2によりその部分空間であるΔ(C(K))も Hausdorff である。Kはコンパクトであるから、§E2.19 定理 6.8により連続な全単射εKは同相写像である。▨
定理 2.4.Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。各x∈Xに対してεX(x):C0(X)→CをεX(x)(g):=g(x)で定めると、εX(x)∈Δ(C0(X))であり、εX:X→Δ(C0(X))は Gelfand 位相について同相写像である。
証明.Xがコンパクトであるとする。§E12.16 命題 4.1 (1)によりC0(X)=C(X)であるから、補題 2.3をK=Xに適用すると主張が従う。
Xがコンパクトでないとする。A:=C0(X)とおく。§E12.16 定理 2.1によりAは可換 C* 環であり、§E12.16 命題 4.1 (2)により単位元をもたない。§E12.17 定義 1.1により単位化A+が定まり、§E12.18 補題 4.1によりA+は§E12.17 定理 2.2のノルムについて単位的可換 C* 環であるから、§E12.15 定義 1.2と§E12.15 定義 1.1により可換 Banach 環である。§E12.17 命題 1.3によりA+は1=(0,1)を単位元にもち、§E12.17 定義 1.1により(f,λ)=f+λ1である。
§E2.24 定義 2.1の一点コンパクト化位相を入れたαX=X∪{∞}を考える。§E2.24 命題 2.2 (3)によりαXはコンパクト Hausdorff 空間であり、§E2.24 命題 2.2 (1)によりXはαXの開部分空間であって、αXからXに入る部分空間位相はもとの位相に一致する。§E12.17 定理 3.2により
Φ:A+⟶C(αX),Φ(f,λ)=f++λ1は等長な *-同型である。ここでf+は§E12.17 補題 3.1の延長であり、f+(∞)=0かつf+∣X=fである。
ψ∈Δ(C(αX))に対してR(ψ):=ψ∘Φとおく。Φは線形かつ乗法的であるからR(ψ)は線形かつ乗法的であり、Φは全射であってψは零写像でないからR(ψ)も零写像でない。したがって§E12.14 定義 4.4によりR(ψ)∈Δ(A+)である。同じ理由でχ↦χ∘Φ−1はΔ(A+)からΔ(C(αX))への写像であり、Rとの合成は両向きとも恒等写像であるから、R:Δ(C(αX))→Δ(A+)は全単射である。
Θ:=R∘εαXとおく。補題 2.3をK=αXに適用するとεαXは全単射であるから、Θ:αX→Δ(A+)は全単射である。定義から、z∈αXと(f,λ)∈A+に対して
Θ(z)(f,λ)=εαX(z)(Φ(f,λ))=Φ(f,λ)(z)=f+(z)+λである。各(f,λ)∈A+についてz↦Θ(z)(f,λ)=Φ(f,λ)(z)はC(αX)の元であるから連続である。したがって補題 2.1を可換 Banach 環A+と位相空間αXに適用するとΘは連続である。§E12.14 補題 5.2により(A+)∗は弱星位相について Hausdorff であり、§E2.15 問題 6.2によりΔ(A+)も Hausdorff である。αXはコンパクトであるから、§E2.19 定理 6.8によりΘは同相写像である。
f+(∞)=0であるからΘ(∞)(f,λ)=λであり、これは§E12.18 命題 4.2のφ∞に等しい。Θは全単射であるから、ΘはX=αX∖{∞}をΔ(A+)∖{φ∞}の上へ全単射に写す。§E2.12 定義 4.2の包含写像ιX:X→αXは§E2.12 定理 4.4 (1)により連続であり、§E2.12 命題 1.10によりΘ∘ιX:X→Δ(A+)は連続であるから、§E2.12 定理 4.4 (3)を部分集合Δ(A+)∖{φ∞}⊆Δ(A+)に適用すると、制限Θ∣X:X→Δ(A+)∖{φ∞}は部分空間位相について連続である。同じ議論をΘ−1、包含写像Δ(A+)∖{φ∞}→Δ(A+)および部分集合X⊆αXに適用すると(Θ∣X)−1も連続である。したがってΘ∣Xは同相写像である。
x∈Xをとる。Θ(x)∈Δ(A+)∖{φ∞}であり、§E12.18 命題 4.2によりj(φ):=φ+はΔ(A)からΔ(A+)∖{φ∞}への同相写像であるから、φ+=Θ(x)を満たすφ∈Δ(A)がただ一つ存在する。(f,0)で評価すると、φ+(f,0)=φ(f)とΘ(x)(f,0)=f+(x)=f(x)から、すべてのf∈Aについてφ(f)=f(x)である。すなわちφ=εX(x)であり、とくにεX(x)∈Δ(A)かつj(εX(x))=Θ(x)である。
したがってΘ∣X=j∘εXであり、εX=j−1∘Θ∣Xである。j−1とΘ∣Xはいずれも同相写像であるから、その合成であるεXはXからΔ(C0(X))への同相写像である。▨
系 2.5. 次が成り立つ。
- Xを局所コンパクト Hausdorff 空間とすると、Δ(C0(X))はXへ同相であり、XがコンパクトであることとC0(X)が単位元をもつことは同値である。
- Aを可換 C* 環とすると、Δ(A)は局所コンパクト Hausdorff 空間であり、Gelfand 変換Γ:A→C0(Δ(A))は等長な *-同型である。Aが単位的であるとき、Δ(A)はコンパクトである。
系 2.6.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、f,h:X→Yを写像とする。すべてのg∈C0(Y)とすべてのx∈Xについてg(f(x))=g(h(x))が成り立つならば、f=hである。
証明.x∈Xをとる。仮定により、すべてのg∈C0(Y)についてεY(f(x))(g)=g(f(x))=g(h(x))=εY(h(x))(g)であるから、εY(f(x))=εY(h(x))である。定理 2.4によりεYは単射であるからf(x)=h(x)である。x∈Xは任意であったからf=hである。▨
命題 2.7.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、π:C0(Y)→C0(X)を非退化な *-準同型とする。このとき、すべてのx∈Xとすべてのg∈C0(Y)について
π(g)(x)=g(f(x))を満たす連続写像f:X→Yがただ一つ存在する。
証明.x∈Xをとり、φx:C0(Y)→Cをφx(g):=π(g)(x)で定める。πは線形であり各点における評価も線形であるからφxは線形である。g,h∈C0(Y)に対してφx(gh)=π(gh)(x)=(π(g)π(h))(x)=φx(g)φx(h)であるからφxは乗法的である。定義 1.3によりπ(g)(x)=0を満たすg∈C0(Y)が存在するからφxは零写像でない。したがって§E12.14 定義 4.4によりφx∈Δ(C0(Y))である。
定理 2.4をYに適用するとεY:Y→Δ(C0(Y))は同相写像であり、とくに全単射である。f(x):=εY−1(φx)と定めると、すべてのg∈C0(Y)についてg(f(x))=εY(f(x))(g)=φx(g)=π(g)(x)である。
fの連続性を示す。Ψ:X→Δ(C0(Y))をΨ(x):=φxで定める。各g∈C0(Y)についてx↦Ψ(x)(g)=π(g)(x)はπ(g)∈C0(X)自身であるから連続である。§E12.16 定理 2.1と§E12.15 定義 1.2、§E12.15 定義 1.1によりC0(Y)は可換 Banach 環であるから、補題 2.1によりΨは連続である。f=εY−1∘ΨでありεY−1は連続であるから、§E2.12 命題 1.10によりfは連続である。
一意性を示す。f1,f2:X→Yがともに条件を満たすとすると、すべてのg∈C0(Y)とx∈Xについてg(f1(x))=π(g)(x)=g(f2(x))であるから、系 2.6によりf1=f2である。▨
3 単位的な場合の双対
定理 3.1.XとYをコンパクト Hausdorff 空間とする。連続写像f:X→Yに対してf∗(g):=g∘f(g∈C(Y))とおくと、f∗はC(Y)からC(X)への単位元を保つ *-準同型であり、対応
f⟼f∗はXからYへの連続写像の全体から、C(Y)からC(X)への単位元を保つ *-準同型の全体への全単射である。
証明.XとYはコンパクト Hausdorff であるから、§E2.24 例 5.1 (1)により局所コンパクト Hausdorff であり、§E12.16 命題 4.1 (1)によりC0(X)=C(X)、C0(Y)=C(Y)であって、それぞれ定数関数1を単位元にもつ。
対応が定まることを示す。f:X→Yを連続写像とすると、XがコンパクトでYが Hausdorff であるから補題 1.2によりfは proper 写像である。命題 1.4 (1)と命題 1.4 (2)によりf∗はC(Y)からC(X)への *-準同型である。各x∈Xについてf∗(1)(x)=1(f(x))=1であるからf∗(1)=1であり、f∗は単位元を保つ。
単射性を示す。連続写像f,h:X→Yがf∗=h∗を満たすとすると、すべてのg∈C(Y)とx∈Xについてg(f(x))=f∗(g)(x)=h∗(g)(x)=g(h(x))であるから、系 2.6によりf=hである。
全射性を示す。π:C(Y)→C(X)を単位元を保つ *-準同型とする。各x∈Xについてπ(1)(x)=1(x)=1=0であるから、定義 1.3によりπは非退化である。命題 2.7により、すべてのx∈Xとg∈C(Y)についてπ(g)(x)=g(f(x))を満たす連続写像f:X→Yが存在する。このfについてf∗(g)=g∘f=π(g)であるからf∗=πである。▨
系 3.2.XとYをコンパクト Hausdorff 空間とする。XとYが同相であることと、C(Y)からC(X)への単位元を保つ *-同型が存在することは同値である。
証明.f:X→Yを同相写像とする。fとf−1はいずれも連続であり、補題 1.2によりいずれも proper 写像である。命題 1.5 (1)と命題 1.5 (2)により
f∗∘(f−1)∗=(f−1∘f)∗=(idX)∗=idC(X),(f−1)∗∘f∗=(f∘f−1)∗=(idY)∗=idC(Y)である。定理 3.1によりf∗は単位元を保つ *-準同型であり、上の二つの等式により全単射であるから、f∗はC(Y)からC(X)への単位元を保つ *-同型である。
逆に、π:C(Y)→C(X)を単位元を保つ *-同型とする。π−1:C(X)→C(Y)は、πが全単射な *-準同型であることから線形かつ乗法的であって対合を保ち、π(1)=1から単位元を保つ。定理 3.1の全射性により、連続写像f:X→Yとh:Y→Xが存在してf∗=πかつh∗=π−1である。補題 1.2によりfとhは proper 写像であるから、命題 1.5 (1)により
(h∘f)∗=f∗∘h∗=π∘π−1=idC(X)=(idX)∗,(f∘h)∗=h∗∘f∗=π−1∘π=idC(Y)=(idY)∗である。定理 3.1の単射性によりh∘f=idXかつf∘h=idYであるから、fは全単射であってf−1=hは連続である。よってfは同相写像であり、XとYは同相である。▨
4 単位元をもたない場合の双対
定理 4.1.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。proper 写像f:X→Yに対して命題 1.4のf∗を対応させると、対応
f⟼f∗はXからYへの proper 写像の全体から、C0(Y)からC0(X)への非退化な *-準同型の全体への全単射である。
証明. 対応が定まることは命題 1.4による。
単射性を示す。proper 写像f,h:X→Yがf∗=h∗を満たすとすると、すべてのg∈C0(Y)とx∈Xについてg(f(x))=f∗(g)(x)=h∗(g)(x)=g(h(x))であるから、系 2.6によりf=hである。
全射性を示す。π:C0(Y)→C0(X)を非退化な *-準同型とする。命題 2.7により、すべてのx∈Xとg∈C0(Y)についてπ(g)(x)=g(f(x))を満たす連続写像f:X→Yが存在する。
fが proper 写像であることを示す。K⊆Yをコンパクト部分集合とする。§E12.16 補題 3.3をY、コンパクト部分集合K、開部分集合W=Yに適用すると、g∈C0(Y)であって、すべてのy∈Kについてg(y)=1を満たすものが存在する。x∈f−1(K)ならばf(x)∈Kであるからπ(g)(x)=g(f(x))=1であり、
f−1(K)⊆{x∈X:∣π(g)(x)∣≥1}が成り立つ。π(g)∈C0(X)であるから、§E12.16 定義 1.1により右辺はコンパクトである。Yは Hausdorff であるから§E2.19 命題 6.4によりKはYの閉集合であり、fは連続であるから§E2.12 命題 1.6 (2)によりf−1(K)はXの閉集合である。§E12.16 補題 1.4によりf−1(K)はコンパクトである。Kは任意であったから、定義 1.1によりfは proper 写像である。
このfについて、すべてのg∈C0(Y)に対してf∗(g)=g∘f=π(g)であるからf∗=πである。したがって対応は全射である。▨
例 4.2.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、X=∅とする。π0:C0(Y)→C0(X)をπ0(g):=0で定めると、π0は線形かつ乗法的であって対合を保つから *-準同型である。しかしx∈Xをとると、すべてのg∈C0(Y)についてπ0(g)(x)=0であるから、定義 1.3によりπ0は非退化でない。命題 1.4 (3)によりすべての proper 写像f:X→Yについてf∗は非退化であるから、π0はいかなる proper 写像のf∗とも異なる。したがって定理 4.1の対応の終域を *-準同型の全体へ広げると、その対応は全射でなくなる。
例 4.3.Y=Rに通常の位相を入れ、X=(0,1)にRからの部分空間位相を入れる。ι:X→Yを包含写像(§E2.12 定義 4.2)とする。
Xは局所コンパクト Hausdorff 空間である。実際、§E2.1 命題 2.2と§E2.12 命題 4.8によりXの部分空間位相はRの Euclid 距離の制限が生じる位相であり、§E2.15 定理 3.2により Hausdorff である。x∈Xに対して0<a<x<b<1を満たすa,bをとると、(a,b)はXの開集合でありx∈(a,b)⊆[a,b]⊆Xである。§E2.9 定理 4.3により[a,b]はRのコンパクト部分集合であり、§E2.12 定義 4.1によりXから[a,b]に入る部分空間位相はRから入るものに一致するから、[a,b]はXのコンパクト部分集合である。したがって§E2.24 定義 1.2の条件が満たされる。Y=Rが局所コンパクト Hausdorff であることは§E2.24 例 5.1 (3)による。
ιは§E2.12 定理 4.4 (1)により連続である。しかしιは proper 写像でない。実際、[0,1]は有界な閉集合であるから§E2.9 定理 4.3によりRのコンパクト部分集合であるが、ι−1([0,1])=(0,1)については、1/n∈(0,1)(n≥2)が0∈/(0,1)に収束するので(0,1)はRの閉集合でなく、ふたたび§E2.9 定理 4.3により(0,1)はコンパクトでない。
g(t):=1/(1+t2)とおくと、§E12.16 例 1.2によりg∈C0(R)である。t∈(0,1)のとき1+t2<2であるからg(t)>1/2であり、
{t∈(0,1):∣(g∘ι)(t)∣≥1/2}=(0,1)である。この集合はコンパクトでないから、§E12.16 定義 1.1によりg∘ι∈/C0((0,1))である。したがって、proper でない連続写像に対しては、合成による引き戻しがC0の間の写像を定めないことがある。
5 演習
問題 5.1.XとYをコンパクト Hausdorff 空間とし、f:X→Yを連続写像とする。f∗:C(Y)→C(X)が単射であることとfが全射であることが同値であることを証明せよ。
解答.
fが全射であるとする。g∈C(Y)がf∗(g)=0を満たすとすると、すべてのx∈Xについてg(f(x))=0である。y∈Yをとると、fの全射性によりy=f(x)を満たすx∈Xが存在し、g(y)=g(f(x))=0である。したがってg=0である。定理 3.1によりf∗は線形であるから、核が{0}であることによりf∗は単射である。
fが全射でないとする。Xはコンパクトであるから§E2.19 定理 4.2によりf(X)はYのコンパクト部分集合であり、Yは Hausdorff であるから§E2.19 命題 6.4によりf(X)はYの閉集合である。W:=Y∖f(X)は開集合であり、fが全射でないことからy0∈Wを満たすy0が存在する。一点集合{y0}はコンパクトであり、Yは§E2.24 例 5.1 (1)により局所コンパクト Hausdorff であるから、§E12.16 補題 3.3をY、コンパクト部分集合{y0}、開部分集合Wに適用すると、g∈C0(Y)=C(Y)(§E12.16 命題 4.1 (1))であってg(y0)=1を満たしY∖W=f(X)の上で0をとるものが存在する。g(y0)=1=0であるからg=0であり、すべてのx∈Xについてf∗(g)(x)=g(f(x))=0であるからf∗(g)=0である。したがってf∗は単射でない。▨
問題 5.2.Z≥0に離散位相を入れる。写像f:Z≥0→Z≥0が proper 写像であることと、すべてのn∈Z≥0についてf−1({n})が有限集合であることが同値であることを証明せよ。また、f(n)=n+1が proper 写像であり、値0をとる定数写像が proper 写像でないことを確かめよ。
解答.
§E12.16 例 1.3により、離散位相のもとでは任意の写像が連続であり、離散空間の部分集合がコンパクトであることと有限集合であることは同値である。
fが proper 写像であるとする。n∈Z≥0に対して{n}は有限集合であるからコンパクトであり、定義 1.1によりf−1({n})はコンパクト、すなわち有限集合である。
逆に、すべてのnについてf−1({n})が有限であるとする。K⊆Z≥0がコンパクトならばKは有限集合{n1,…,nk}(k∈Z≥0)である。k=0のときK=∅でありf−1(K)=∅は有限である。k≥1のとき
f−1(K)=f−1({n1})∪⋯∪f−1({nk})は有限個の有限集合の和集合として有限である。いずれの場合もf−1(K)は有限集合であるからコンパクトであり、したがってfは proper 写像である。
f(n)=n+1については、f−1({n})はn=0のとき空集合、n≥1のとき{n−1}であり、いずれも有限であるからfは proper 写像である。値0をとる定数写像cについてはc−1({0})=Z≥0が無限集合であるから、cは proper 写像でない。▨
問題 5.3.XとYを局所コンパクト Hausdorff 空間とし、f:X→Yを proper 写像とする。f∗:C0(Y)→C0(X)が全単射であることとfが同相写像であることが同値であることを証明せよ。
解答.
fが同相写像であるとする。K⊆Xがコンパクトならば、§E2.19 定理 4.2により(f−1)−1(K)=f(K)はコンパクトであるから、f−1は proper 写像である。命題 1.5 (1)と命題 1.5 (2)により
f∗∘(f−1)∗=(f−1∘f)∗=(idX)∗=idC0(X),(f−1)∗∘f∗=(f∘f−1)∗=(idY)∗=idC0(Y)であるからf∗は全単射である。
逆にf∗が全単射であるとし、π:=(f∗)−1:C0(X)→C0(Y)とおく。f∗は命題 1.4 (2)により *-準同型であり全単射であるから、πも線形かつ乗法的であって対合を保つ。πが非退化であることを示す。y∈Yをとる。一点集合{y}はコンパクトであるから、§E12.16 補題 3.3をY、コンパクト部分集合{y}、開部分集合W=Yに適用すると、g∈C0(Y)であってg(y)=1を満たすものが存在する。u:=f∗(g)∈C0(X)とおくとπ(u)=gでありπ(u)(y)=1=0であるから、定義 1.3によりπは非退化である。
定理 4.1の全射性により、proper 写像h:Y→Xが存在してh∗=πである。命題 1.5 (1)と命題 1.5 (2)により
(h∘f)∗=f∗∘h∗=f∗∘π=idC0(X)=(idX)∗,(f∘h)∗=h∗∘f∗=π∘f∗=idC0(Y)=(idY)∗である。h∘fとidXはいずれも proper 写像であるから、定理 4.1の単射性によりh∘f=idXであり、同様にf∘h=idYである。したがってfは全単射であってf−1=hは連続であるから、fは同相写像である。▨