1 疎集合、第一類集合、Baire 空間
定義 1.1 (疎集合、第一類集合、第二類集合).(X,O)を位相空間とし、A⊆Xとする。内部と閉包はXにおいてとる。
- int(A)=∅が成り立つとき、AをXにおける 疎集合 (nowhere dense set) といい、AはXで疎であるという。
- Xで疎である集合の列(An)n≥1が存在してA=⋃n≥1Anが成り立つとき、AをXにおける 第一類集合 (set of first category) という。
- AがXにおける第一類集合でないとき、AをXにおける 第二類集合 (set of second category) という。
定義 1.2 (Baire 空間). 位相空間Xが Baire 空間 (Baire space) であるとは、Xの開集合からなる任意の列(Un)n≥1について、すべてのUnがXで稠密であるならば⋂n≥1UnもXで稠密であることをいう。
命題 1.3.(X,O)を位相空間とする。次の三つは同値である。
- Xは Baire 空間である。
- Xにおける任意の第一類集合Aについてint(A)=∅である。
- Xの閉集合からなる列(Fn)n≥1とXの空でない開集合WがW⊆⋃n≥1Fnを満たすならば、int(Fn)=∅を満たすn≥1が存在する。
証明.(1)⇒(2)を示す。AをXにおける第一類集合とし、Xで疎である集合の列(An)n≥1でA=⋃n≥1Anを満たすものをとる。Un=X∖Anとおくと、Anは閉集合であるからUnはXの開集合であり、int(An)=∅と§E2.11 命題 2.9 (3)によりUnはXで稠密である。Xの Baire 性により⋂n≥1UnはXで稠密であるから、ふたたび§E2.11 命題 2.9 (3)により
int(X∖n≥1⋂Un)=∅である。§E1.2 定理 3.2によりX∖⋂n≥1Un=⋃n≥1Anであり、An⊆AnからA⊆⋃n≥1Anである。§E2.11 命題 2.5 (1)によりint(A)はAに含まれる開集合であるから⋃n≥1Anに含まれ、同じ項によりint(A)⊆int(⋃n≥1An)=∅である。
(2)⇒(3)を示す。(Fn)n≥1をXの閉集合の列、WをXの空でない開集合とし、W⊆⋃n≥1Fnとする。すべてのn≥1についてint(Fn)=∅であると仮定する。§E2.11 命題 2.5 (2)によりFn=Fnであるから、各FnはXで疎であり、⋃n≥1FnはXにおける第一類集合である。(2)によりint(⋃n≥1Fn)=∅である。一方、Wは⋃n≥1Fnに含まれる開集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりW⊆int(⋃n≥1Fn)であり、W=∅となる。これはW=∅と両立しない。ゆえにint(Fn)=∅を満たすn≥1が存在する。
(3)⇒(1)を示す。(Un)n≥1をXの稠密な開集合の列とし、WをXの空でない開集合とする。W∩⋂n≥1Un=∅と仮定する。Fn=X∖UnとおくとFnはXの閉集合であり、§E2.11 命題 2.9 (3)によりint(Fn)=∅である。仮定と§E1.2 定理 3.2により
W⊆X∖n≥1⋂Un=n≥1⋃Fnであるから、(3)によりint(Fn)=∅を満たすnが存在する。これはint(Fn)=∅と両立しない。ゆえにW∩⋂n≥1Un=∅である。Wは任意の空でない開集合であったから、§E2.11 命題 2.9 (2)により⋂n≥1UnはXで稠密であり、Xは Baire 空間である。▨
例 1.4.Rには通常の位相を入れ、QにはRからの部分空間位相を入れる。
- 任意のa∈Rに対して、一点集合{a}はRの閉集合であり、Rで疎である。
- ZはRで疎である。
- QはRにおける第一類集合であるが、Rで疎ではない。
- Qの任意の一点集合はQの閉集合であってQで疎であり、QはQにおける第一類集合である。とくにQは Baire 空間でない。
証明.UをRの空でない開集合とし、x∈Uをとると、§E2.2 定義 1.1によりB(x,ε)=(x−ε,x+ε)⊆Uを満たす実数ε>0が存在する。§D1.4 系 2.2の有理数の稠密性によりx<q<x+εを満たす有理数qが存在し、§D1.4 補題 2.3によりx<r<x+εを満たす無理数rが存在する。いずれもB(x,ε)⊆Uに属するから、Rの空でない開集合は有理数と無理数をともに含む。
(1)を示す。y=aを満たすy∈Rに対してB(y,∣y−a∣)⊆R∖{a}であるから、§E2.2 定義 1.1によりR∖{a}は開集合であり、§E2.11 命題 2.5 (2)により{a}={a}である。{a}に含まれる空でない開集合は有理数と無理数をともに含むことができないから存在せず、§E2.11 命題 2.5 (1)によりint({a})=∅である。
(2)を示す。x∈R∖Zとする。x>0の場合、§E2.5 補題 6.1によりk≤x<k+1を満たす非負整数kがただ一つ存在し、x∈/Zからk<x<k+1である。x<0の場合、−x>0かつ−x∈/Zであるから同じ補題によりk<−x<k+1を満たす非負整数kが存在し、−(k+1)<x<−kである。いずれの場合も、m<x<m+1を満たす整数mが存在する。m<j<m+1を満たす整数jは存在しないから(m,m+1)∩Z=∅であり、ε=min{x−m,m+1−x}>0とおけばB(x,ε)⊆(m,m+1)⊆R∖Zである。ゆえに§E2.2 定義 1.1によりR∖Zは開集合であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりZ=Zである。Zは無理数を含まないから、Zに含まれる空でない開集合は存在せず、§E2.11 命題 2.5 (1)によりint(Z)=∅である。
(3)を示す。§E1.18 定理 4.1によりQ={q1,q2,…}と番号づけるとQ=⋃n≥1{qn}であり、(1)により各{qn}はRで疎であるから、QはRにおける第一類集合である。一方、Rの空でない開集合は有理数を含むから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりQはRで稠密であり、Q=Rである。ゆえにint(Q)=R=∅であり、QはRで疎でない。
(4)を示す。q∈Qとする。(1)により{q}はRの閉集合であるから、§E2.12 命題 4.6により{q}={q}∩QはQの閉集合であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりQにおける閉包は{q}である。{q}に含まれるQの空でない開集合をVとするとV={q}であり、§E2.12 定義 4.1によりV=V∩Qを満たすRの開集合Vが存在するから、§E2.2 定義 1.1によりB(q,ε)⊆Vを満たす実数ε>0が存在する。§D1.4 系 2.2の有理数の稠密性によりq<q′<q+εを満たす有理数q′が存在し、q′∈V∩Q={q}かつq′=qとなって両立しない。ゆえに{q}のQにおける内部は空であり、{q}はQで疎である。したがってQ=⋃n≥1{qn}はQにおける第一類集合である。QはQの開集合であるから§E2.11 命題 2.5 (2)によりQにおける内部はQ自身であり、Q=∅である。ゆえに命題 1.3 (2)は成り立たず、Qは Baire 空間でない。▨
2 部分空間
定理 2.1.Xを Baire 空間、UをXの開集合とする。部分空間位相を入れたUは Baire 空間である。
証明.(Wk)k≥1をUの開集合からなる列とし、各WkはUで稠密であるとする。UはXの開集合であるから、§E2.12 命題 5.16 (1)により包含写像ιUは開写像であり、各WkはXの開集合でもある。
Vk=Wk∪(X∖U)とおく。Uは閉集合であるからVkはXの開集合である。OをXの空でない開集合とする。O∩U=∅の場合、O∩UはUの空でない開集合であるから、WkのUにおける稠密性と§E2.11 命題 2.9 (2)によりO∩U∩Wk=∅であり、とくにO∩Vk=∅である。O∩U=∅の場合、U⊆X∖OであってX∖Oは閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりU⊆X∖Oであり、O⊆X∖U⊆VkとなってO∩Vk=O=∅である。いずれの場合もO∩Vk=∅であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりVkはXで稠密である。
Xは Baire 空間であるから⋂k≥1VkはXで稠密である。Wk⊆UかつU∩(X∖U)=∅であるからVk∩U=Wkであり、したがって
U∩k≥1⋂Vk=k≥1⋂(Vk∩U)=k≥1⋂Wkである。O′をUの空でない開集合とすると、ιUが開写像であることからO′はXの開集合でもあるからO′∩⋂k≥1Vk=∅であり、O′⊆UとあわせてO′∩⋂k≥1Wk=∅である。ゆえに§E2.11 命題 2.9 (2)により⋂k≥1WkはUで稠密であり、Uは Baire 空間である。▨
定理 2.2.Xを Baire 空間とし、(Gn)n≥1をXの開集合からなる列とする。A=⋂n≥1GnがXで稠密であるならば、部分空間位相を入れたAは Baire 空間である。
証明. 各n≥1についてA⊆Gnであるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりX=A⊆Gnであり、GnはXで稠密な開集合である。
(Uk)k≥1をAの開集合からなる列とし、各UkはAで稠密であるとする。§E2.12 定義 4.1により、Uk=Vk∩Aを満たすXの開集合Vkが存在する。§E2.12 命題 4.7 (1)によりclA(Uk)=clX(Uk)∩Aであり、UkのAにおける稠密性からclA(Uk)=AであるからA⊆clX(Uk)である。clX(Uk)は閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりX=clX(A)⊆clX(Uk)となり、UkはXで稠密である。Uk⊆Vkであるから、同じ議論によりVkもXで稠密である。
Xの開集合からなる列(Hm)m≥1をH2k−1=Vk、H2k=Gkによって定めると、各HmはXで稠密であり、
m≥1⋂Hm=(k≥1⋂Vk)∩(n≥1⋂Gn)=(k≥1⋂Vk)∩A=k≥1⋂(Vk∩A)=k≥1⋂Ukである。Xは Baire 空間であるから⋂k≥1UkはXで稠密であり、clX(⋂k≥1Uk)=Xである。ふたたび§E2.12 命題 4.7 (1)により
clA(k≥1⋂Uk)=clX(k≥1⋂Uk)∩A=X∩A=Aであるから、⋂k≥1UkはAで稠密である。ゆえにAは Baire 空間である。▨
命題 2.3.Xを Baire 空間とし、AとBをともにXで稠密であり、かつともにXの可算個の開集合の共通部分として表されるXの部分集合とする。
- A∩BはXの可算個の開集合の共通部分として表される。
- A∩BはXで稠密である。
証明は演習とする(問題 6.3)。
補題 2.4.Xを位相空間、DをXの開集合とし、Dには部分空間位相を入れる。DがXで稠密であって Baire 空間であるならば、Xは Baire 空間である。
証明.(Wm)m≥1をXの開集合からなる列とし、各WmはXで稠密であるとする。§E2.12 定義 4.1によりWm∩DはDの開集合である。OをDの空でない開集合とすると、DはXの開集合であるから§E2.12 命題 5.16 (1)によりOはXの開集合でもあり、Wmの稠密性と§E2.11 命題 2.9 (2)によりO∩Wm=∅である。O⊆DであるからO∩(Wm∩D)=∅であり、§E2.11 命題 2.9 (2)によりWm∩DはDで稠密である。Dは Baire 空間であるから
m≥1⋂(Wm∩D)=D∩m≥1⋂WmはDで稠密である。O′をXの空でない開集合とすると、DのXにおける稠密性と§E2.11 命題 2.9 (2)によりO′∩D=∅であり、O′∩DはDの空でない開集合であるから、いま示した稠密性と§E2.11 命題 2.9 (2)によりO′∩D∩⋂m≥1Wm=∅である。とくにO′∩⋂m≥1Wm=∅であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)により⋂m≥1WmはXで稠密であり、Xは Baire 空間である。▨
3 コンパクト空間の Baire 性
補題 3.1.Xを§E2.15 定義 1.7に従って正則な位相空間、(Un)n≥1をXの開集合からなる列とし、各UnはXで稠密であるとする。WをXの空でない開集合とすると、Xの空でない開集合からなる列(Vn)n≥0で、V0⊆Wかつ、すべてのn≥0についてVn+1⊆Vn∩Un+1を満たすものが存在する。
証明.O∗をXの空でない開集合の全体とし、S=Z≥0×O∗とおく。S上の関係Rを
((n,V),(n′,V′))∈R⟺n′=n+1 かつ V′⊆V∩Un+1によって定める。(n,V)∈Sをとる。Un+1はXで稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりV∩Un+1=∅であり、これは開集合である。x∈V∩Un+1をとると、§E2.15 補題 2.6によりx∈V′かつV′⊆V∩Un+1を満たす開集合V′が存在する。x∈V′であるからV′∈O∗であり、((n,V),(n+1,V′))∈Rである。ゆえにSの任意の元はRに関する後続元をもつ。
W∈O∗であるからS=∅であり、初期項を(0,W)として、Sの元の列((n,Vn))n≥0でV0=Wかつ、すべてのn≥0についてVn+1⊆Vn∩Un+1を満たすものが得られる。各VnはXの空でない開集合でありV0=Wであるから、列(Vn)n≥0が求めるものである。▨
定理 3.2. コンパクトかつ Hausdorff である位相空間は Baire 空間である。
証明.Xをコンパクト Hausdorff 空間、(Un)n≥1をXの稠密な開集合の列とし、WをXの空でない開集合とする。§E2.19 命題 6.10によりXは正則であるから、補題 3.1により、Xの空でない開集合の列(Vn)n≥0でV0⊆WかつVn+1⊆Vn∩Un+1を満たすものが存在する。
§E2.11 命題 2.5 (1)によりVn⊆Vnであるから、Vn+1⊆Vn⊆Vnであり、閉集合の族(Vn)n≥0は包含関係について減少する。各Vnは空でない集合Vnを含むから空でなく、有限個の添字n1,…,nkに対してVn1∩⋯∩Vnk=VN=∅(N=max{n1,…,nk})である。ゆえにこの族は§E2.19 定義 3.1に従って有限交差性をもち、Xのコンパクト性と§E2.19 定理 3.2 (2)により⋂n≥0Vn=∅である。
y∈⋂n≥0Vnをとる。V1⊆V0⊆Wであるからy∈Wである。またn≥1についてVn⊆Vn−1∩Un⊆Unであるからy∈⋂n≥1Unである。ゆえにW∩⋂n≥1Un=∅であり、Wは任意の空でない開集合であったから、§E2.11 命題 2.9 (2)により⋂n≥1UnはXで稠密である。したがってXは Baire 空間である。▨
4 Čech 完備な空間の Baire 性
定理 4.1. Čech 完備な位相空間は Baire 空間である。
証明.Xを Čech 完備とし、§E2.26 定義 2.1により、Xのコンパクト化cXとcXの開集合からなる列(Un)n≥1でX=⋂n≥1Unを満たすものをとる。cXはコンパクト Hausdorff 空間であるから、定理 3.2により Baire 空間である。XはcXの稠密なGδ部分空間であるから、定理 2.2により Baire 空間である。▨
定理 4.2 (Baire の範疇定理).(X,d)を完備な距離空間とする。このときXは Baire 空間である。すなわち、Xの開集合からなる列(Un)n≥1のすべての項がXで稠密であるならば、⋂n≥1UnはXで稠密である。
証明.(X,d)は完備距離化可能であるから、§E2.26 系 3.3によりXは Čech 完備であり、定理 4.1によりXは Baire 空間である。▨
系 4.3. 空でない完備距離空間(X,d)は、Xにおける第二類集合である。
証明.XがXにおける第一類集合であると仮定する。定理 4.2によりXは Baire 空間であるから、命題 1.3 (2)によりint(X)=∅である。一方、XはXの開集合であるから§E2.11 命題 2.5 (2)によりint(X)=Xであり、X=∅である。この二つは両立しない。ゆえにXはXにおける第二類集合である。▨
系 4.4. 局所コンパクト性をもち、かつ Hausdorff である位相空間は Baire 空間である。
系 4.5. ポーランド空間は Baire 空間である。
系 4.6.Xをσ-コンパクトな T3½ 空間、cXをXのコンパクト化とすると、剰余cX∖Xは Baire 空間である。
5 例
系 5.1.QにRからの制限距離を入れると、Qは完備距離化可能でない。
証明.Qの制限距離と同じ位相を定める完備な距離が存在すると仮定する。定理 4.2によりQは Baire 空間となり、例 1.4 (4)に反する。したがってQは完備距離化可能でない。▨
系 5.2.QにRの通常の距離の制限を入れ、Qにはこの距離が定める位相を入れる。このときQは Čech 完備でない。
例 5.3.R2に Euclid 距離d2を入れ、
H=R×(0,∞),Q=Q×{0},X=H∪Qとおく。すべてR2の相対位相で考える。
- Hは Baire 空間R2の開部分集合なので Baire 空間である。
- H⊂Xは稠密開集合であるから補題 2.4より、Xも Baire 空間である。
- Qは距離空間Xの閉集合なのでGδ閉集合であるが、H=X∖Qが空でない開集合であるため、Q⊂Xは稠密でない。
- QはQと同相であるため、Baire 空間でない。とくに定理 2.2の稠密性の仮定を落とすことはできない。
- 定理 4.1よりQは Čech 完備でもない。閉部分空間Q⊂Xが Čech 完備でないことから、§E2.26 系 2.7 (1)よりXも Čech 完備でない。
6 演習
問題 6.1.R∖QをRの可算個の稠密な開集合の共通部分として表し、その共通部分がRで稠密であることを示せ。
解答.
§E1.18 定理 4.1によりQ={q1,q2,…}と番号づけ、Un=R∖{qn}とおく。例 1.4 (1)により{qn}はRの閉集合であってRで疎であるから、{qn}={qn}かつint({qn})=int({qn})=∅であり、Unは開集合であって、§E2.11 命題 2.9 (3)によりRで稠密である。§E1.2 定理 3.2により
n≥1⋂Un=R∖n≥1⋃{qn}=R∖Qである。§E2.5 例 4.1によりRは完備であるから、定理 4.2により⋂n≥1UnはRで稠密である。したがってR∖QはRで稠密である。▨
問題 6.2.R∖QにRからの制限距離を入れる。この距離空間は完備でないが Baire 空間であることを示し、定理 4.2の逆が成り立たないことを結論せよ。
解答.
問題 6.1により、R∖QはRの可算個の開集合の共通部分として表され、Rで稠密である。
R∖Qが制限距離について完備であるとすると、§E2.5 例 4.1によりRは完備であるから、§E2.5 系 3.4によりR∖QはRの閉集合であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりR∖Q=R∖Qである。一方、稠密性と§E2.11 定義 2.7によりR∖Q=Rであり、0∈QであるからR=R∖Qである。これは両立しないから、R∖Qは制限距離について完備でない。
§E2.5 例 4.1と定理 4.2によりRは Baire 空間である。R∖QはRの可算個の開集合の共通部分であってRで稠密であるから、定理 2.2により部分空間位相を入れたR∖Qは Baire 空間である。§E2.12 命題 4.8によりこの部分空間位相は制限距離が定める位相であるから、制限距離を入れたR∖Qは Baire 空間である。
ゆえに、完備であることは Baire 空間であるための必要条件ではなく、定理 4.2の逆は成り立たない。▨
解答.
Xの開集合からなる列(Gn)n≥1と(Gn′)n≥1でA=⋂n≥1GnかつB=⋂n≥1Gn′を満たすものをとる。A⊆GnでありAはXで稠密であるから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりX=A⊆Gnであり、GnはXで稠密な開集合である。同じ議論により各Gn′もXで稠密な開集合である。
命題 2.3 (1)を示す。Xの開集合からなる列(Hm)m≥1をH2n−1=Gn、H2n=Gn′によって定めると、各HmはXで稠密であり、
m≥1⋂Hm=(n≥1⋂Gn)∩(n≥1⋂Gn′)=A∩Bである。したがってA∩BはXの可算個の開集合の共通部分として表される。
命題 2.3 (2)を示す。各HmはXで稠密なXの開集合でありXは Baire 空間であるから、定義 1.2により⋂m≥1Hm=A∩BはXで稠密である。▨