1 実コンパクト空間の復元
補題 1.1.X,Yを T3½ 空間とし、Φ:C(X,R)→C(Y,R)を環同型とする。各y∈Yについてevy∘ΦがXのある点での評価写像であり、各x∈Xについてevx∘Φ−1がYのある点での評価写像であると仮定する。このとき、ただ一つの同相写像τ:Y→Xが存在して、任意のf∈C(X,R)についてΦ(f)=f∘τが成り立つ。
証明. 仮定により、各y∈Yに対してevy∘Φ=evτ(y)を満たすτ(y)∈Xをとる。Xは T1 空間であり、相異なる二点は§E2.15 定義 1.7 (2)により連続実関数で分離されるから、τ(y)は一意である。したがってΦ(f)(y)=f(τ(y))であり、Φ(f)=f∘τである。
同様に、Φ−1(g)=g∘σを満たす写像σ:X→Yを得る。f∈C(X,R)に対してf=f∘τ∘σである。相異なる二点を連続実関数が分離することからτ∘σ=idXであり、同様にσ∘τ=idYである。
y0∈Yとτ(y0)∈U⊆Xを満たす開集合Uをとる。X∖Uは閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)によりf(τ(y0))=0かつX∖Uの上でf=1を満たす連続写像f:X→[0,1]が存在する。{y∈Y∣Φ(f)(y)=1}はy0を含む開集合であり、Φ(f)=f∘τによりτ−1(U)に含まれる。ゆえにτは連続である。σも同じ議論で連続であるから、τは同相写像である。▨
定理 1.2 (Gelfand-Kolmogorov-Hewitt).X,Yを実コンパクト空間とし、Φ:C(X,R)→C(Y,R)を環同型とする。このとき、ただ一つの同相写像τ:Y→Xが存在して、任意のf∈C(X,R)についてΦ(f)=f∘τが成り立つ。
証明.X=∅ならばC(X,R)は零環である。Φが存在するときC(Y,R)も零環であり、Y=∅ならば値0と値1をとる定数写像が異なることに反する。したがってY=∅であり、結論は空集合から空集合への一意な同相写像について成り立つ。Y=∅の場合も対称的である。以下、X,Yは空でないとする。
y∈Yに対して、§E2.34 補題 1.1 (1)によりevy∘ΦはC(X,R)からRへの環準同型である。Xの実コンパクト性により、この準同型はXの一点での評価写像である。Φ−1とYについても同じことが成り立つ。補題 1.1を適用すれば結論を得る。▨
§E2.34 系 2.2により、コンパクト Hausdorff 空間は実コンパクトである。したがって定理 1.2は、コンパクト Hausdorff 空間についても成り立つ。
系 1.3.X,Yを空でない T3½ 空間とし、Φ:C(X,R)→C(Y,R)を環同型とする。このとき、Hewitt の実コンパクト化υXとυYの間には同相写像が存在する。
証明.§E2.34 命題 5.3 (2)により、C(X,R)とC(υX,R)、およびC(Y,R)とC(υY,R)の間には環同型がある。§E2.34 定理 5.6によりυX,υYは実コンパクトであるから、これらの同型とΦの合成へ定理 1.2を適用すればよい。▨
注意 1.4. コンパクト Hausdorff 空間の連続実関数環からの復元は Gelfand と Kolmogorov による結果の一形態である。
Hewitt は実コンパクト空間とその実コンパクト化を導入し、復元の範囲を拡張した。
例 1.5.S={0,1}に∅,{1},Sを開集合とする位相を入れる。このときSと一点空間は同相でないが、C(S,R)と一点空間の連続実関数環はともにRと環同型である。
証明.f:S→Rが連続でありf(0)=f(1)であると仮定する。f(0)とf(1)を分離するRの開集合をとると、その一方の逆像は{0}となる。しかし{0}はSの開集合でない。したがってfは定数であり、C(S,R)≅Rである。一点空間の連続実関数も定数である。
Sは二点をもち一点空間と全単射でないから、両者は同相でない。どちらも有限空間であるからコンパクトである。0を含むSの開集合はSだけであるから、0と1は互いに素な開集合で分離されず、Sは Hausdorff 空間でない。この例は、コンパクト Hausdorff 空間の復元における Hausdorff 性を除くことができないことを示す。▨
2 位相環による復元
定義 2.1 (位相環). 位相空間Aが環であり、加法A×A→A、加法逆元A→Aおよび乗法A×A→Aが連続であるとき、Aを 位相環 (topological ring) という。二つの位相環の間の環同型であって連続かつ逆写像も連続であるものを 位相環の同型写像 (topological ring isomorphism) という。
命題 2.3.Xを位相空間とする。次が成り立つ。
- 任意のx∈Xに対して、評価写像evx:Cp(X)→Rは連続な環準同型である。
- Cp(X)の加法、加法逆元および乗法は連続である。したがってCp(X)は位相環である。
- 連続な環準同型φ:Cp(X)→Rに対し、あるx∈Xが存在してφ=evxが成り立つ。
- 位相空間Yと連続写像φ:X→Yに対し、φ∗:Cp(Y)→Cp(X)、φ∗(g)=g∘φは連続な環準同型である。
証明.§E2.34 補題 1.1 (1)により評価写像は環準同型である。§E2.30 定理 1.4により、各点収束の位相はRXの部分空間位相である。射影の連続性から評価写像の連続性が従い、(1)を得る。
f,g∈Cp(X)に対してx∈Xにおける加法、加法逆元および乗法の値は、それぞれf(x)+g(x)、−f(x)およびf(x)g(x)である。Rの対応する演算の連続性と積位相の普遍性により、これらはRX上で連続である。部分空間への制限はCp(X)の中に値をとるから、(2)が従う。
(3)を示す。φの0における連続性と§E2.30 定義 1.3により、有限部分集合F⊆Xと正の実数εが存在して、∣f(x)∣<εがすべてのx∈Fで成り立つならば∣φ(f)∣<1となる。fがFのすべての点で0をとると、任意の実数tについてtfはこの近傍に属する。§E2.34 系 1.5によりφ(tf)=tφ(f)であるから、∣tφ(f)∣<1がすべてのtで成り立ち、φ(f)=0である。
Fが空であるとすると、定数関数1に前段落を適用してφ(1)=0を得るが、環準同型は単位元を保つ。よってFは空でない。Fのどの点においてもφが評価写像と異なると仮定する。各x∈Fに対して、φ(fx)=0かつfx(x)=0を満たすfx∈Cp(X)をとることができる。実際、φ(u)=u(x)を満たすuに対して、§E2.34 系 1.5によりφ(fx)=φ(u−φ(u))=0となるようにfx=u−φ(u)とおけばよい。
h=∑x∈Ffx2とおくとφ(h)=0であり、hはFのすべての点で正である。c=min{h(x)∣x∈F}>0とし、h′=max{h,c/2}とおく。§E2.16 補題 1.2によりh′∈Cp(X)であり、h′は零点をもたないから§E2.16 命題 5.1 (2)により可逆である。h′−hはFのすべての点で0をとるから、Fの上で0をとる関数について示したことによりφ(h′−h)=0であり、φ(h′)=0を得る。しかしh′が可逆であれば環準同型φはh′を可逆な実数へ送るので、φ(h′)=0である。これは矛盾である。したがって、あるx∈Fについてφ=evxである。
(4)を示す。§E2.34 補題 1.1 (2)によりφ∗は環準同型である。各x∈Xに対してevx∘φ∗=evφ(x)は連続であるから、積位相の普遍性と§E2.30 定理 1.4によりφ∗は連続である。▨
補題 2.4.Xを T3½ 空間とする。このとき、次が成り立つ:
- Cp(X)⊆RXは稠密である。
- 評価写像e:X→Cp(Cp(X))、x↦evxは位相的埋め込みであり、その像は閉である。
証明.(1)は§E2.30 系 1.6で示した。
命題 2.3 (1)によりeはCp(Cp(X))に値をとる。§E2.34 定理 4.2 (1)と§E2.30 定理 1.4により、eは位相的埋め込みである。ΦをCp(Cp(X))におけるe(X)の閉包の点とすると、ΦはRC(X,R)におけるe(X)の閉包にも属する。§E2.34 定理 4.2 (2)によりΦ:C(X,R)→Rは環準同型である。Φ∈Cp(Cp(X))であるからΦは連続であり、命題 2.3 (3)により、あるx∈Xに対してΦ=evxである。ゆえにe(X)はCp(Cp(X))の閉集合である。▨
定理 2.5 (長田).X,Yを T3½ 空間とする。このとき、任意の連続な環準同型Φ:Cp(X)→Cp(Y)に対し、ただ一つの連続写像τΦ:Y→Xが存在し、任意のf∈Cp(X)に対してΦ(f)=f∘τΦが成り立つ。特に、位相環としてCp(X)≅Cp(Y)であれば、X,Yは同相である。
証明. 任意のy∈Yに対し、命題 2.3 (1)より評価写像evy:Cp(Y)→Rは連続な環準同型であるから、特にevy∘Φ:Cp(X)→Rも連続な環準同型である。よって命題 2.3 (3)により、点τΦ(y)∈Xが存在してevy∘Φ=evτΦ(y)が成り立つ。Xの連続実関数は点を分離するから、この点は一意である。このとき、任意のf∈Cp(X)に対してΦ(f)=f∘τΦを満たす。また、これは評価埋め込みeY:Y→RCp(Y)と連続写像Φの引き起こす標準的な連続写像Φ∗:RCp(Y)→RCp(X)の合成Φ∗∘eY:Y→RCp(X)が評価埋め込みeX:X→RCp(X)を一意的に経由することを意味している。すなわち、Φ∗∘eY=eX∘τΦが成り立つ。eXは§E2.34 定理 4.2 (1)により位相的埋め込みであるから、τΦは連続である。各τΦ(y)の一意性から、写像τΦも一意である。
最後の主張はΦ−1に対して同じことを考えることでτΦ∘τΦ−1=idX,τΦ−1∘τΦ=idYとなることから明らかである。▨
3 定義域の性質と各点収束の位相
命題 3.1.Xを T3½ 空間とする。次の四条件は同値である。
- Xは高々可算である。
- Cp(X)は第二可算である。
- Cp(X)は距離化可能である。
- Cp(X)は第一可算である。
証明は演習とする(問題 4.1)。
命題 3.2.Xを T3½ 空間とし、0∈Cp(X)を零関数とする。次の三条件は同値である。
- Xは可分である。
- {0}はCp(X)のGδ集合である。
- Cp(X)の各一点集合はGδ集合である。
証明は演習とする(問題 4.2)。
命題 3.3.Xを T3½ 空間とする。次の三条件は同値である。
- Cp(X)は可分である。
- Xの点を分離する高々可算な連続実関数の族が存在する。
- 連続な単射X→RN≥1が存在する。
証明は演習とする(問題 4.3)。
命題 3.4.Xを T3½ 空間とする。次の三条件は同値である。
- Xは有限離散空間である。
- Cp(X)は σ-コンパクトである。
- Cp(X)は局所コンパクトである。
証明は演習とする(問題 4.4)。
4 演習
解答.
Xが高々可算ならば、RXの有限個の座標を有理数端点の開区間で制限する基本開集合全体は高々可算である。したがって部分空間Cp(X)は第二可算である。また§E2.14 系 3.2によりRXは距離化可能であり、その部分空間Cp(X)も距離化可能である。第二可算性と距離化可能性は、それぞれ§E2.13 命題 5.3と§E2.13 命題 4.2により第一可算性を導く。
Cp(X)が第一可算であるとする。零関数の可算近傍基から、有限集合Fn⊆Xと正数εnによる基本開近傍
Bn={f∈Cp(X)∣∣f(x)∣<εn (x∈Fn)}(n∈N≥1)を各近傍の中にとる。(Bn)n∈N≥1も零関数の近傍基である。A=⋃n∈N≥1FnとおくとAは高々可算である。x∈X∖Aが存在すると仮定する。V={f∣∣f(x)∣<1}は零関数の開近傍であるから、Bn⊆Vとなるnが存在する。しかし§E2.30 補題 1.5により、Fn上で0、xで2をとる連続関数hが存在し、h∈Bn∖Vとなる。これは矛盾である。ゆえにX=Aであり、Xは高々可算である。▨
解答.
D⊆Xを高々可算な稠密部分集合とする。連続関数がD上で0ならばX全体で0であるから、
{0}=d∈D⋂n∈N≥1⋂{f∈Cp(X)∣∣f(d)∣<1/n}である。右辺は高々可算個の開集合の共通部分であるから、{0}はGδ集合である。X=∅の場合も、Cp(X)={0}であるから結論は成り立つ。
逆に、{0}=⋂n∈N≥1Unとし、各UnをCp(X)の開集合とする。各nに対して0∈Bn⊆Unを満たす有限集合Fn⊆X上の値だけで定まる基本開集合Bnをとり、A=⋃n∈N≥1Fnとおく。Aが稠密でなければ、x∈X∖Aをとることができる。完全正則性により、A上で0、xで1をとる連続関数hが存在する。hはすべてのBnに属するからh∈⋂nUn={0}であるが、h(x)=1に反する。したがってAは高々可算な稠密部分集合であり、Xは可分である。
任意のg∈Cp(X)に対して、平行移動f↦f+gは命題 2.3 (2)により同相写像であり、零関数をgへ送る。よって{0}がGδであることと、各一点集合がGδであることは同値である。▨
解答.
D⊆Cp(X)を高々可算な稠密部分集合とする。相異なるx,y∈Xに対して、§E2.30 補題 1.5によりh(x)=0、h(y)=1となるh∈Cp(X)が存在する。
{f∈Cp(X)∣∣f(x)∣<1/3, ∣f(y)−1∣<1/3}は空でない開集合であるからDと交わり、その交点の関数はx,yを分離する。したがってDはXの点を分離する。
点を分離する高々可算な連続実関数の族を、零関数を補って列(un)n∈N≥1として並べる。写像x↦(un(x))n∈N≥1は連続な単射である。逆に、連続な単射X→RN≥1の成分写像全体は、点を分離する可算な連続実関数の族を与える。
(un)n∈N≥1が点を分離するとする。有限個のunに有理数係数の多項式を代入して得られる関数全体をAとおく。多項式は有限個の添字・指数・有理数係数で定まるから、Aは高々可算である。
f∈Cp(X)、相異なる有限個の点x1,…,xm、およびε>0をとる。m≥1のとき、各i=kに対してun(i,k)(xi)=un(i,k)(xk)を満たす添字n(i,k)をとり、
pi=k=i∏un(i,k)(xi)−un(i,k)(xk)un(i,k)−un(i,k)(xk),p=i=1∑mf(xi)piとおく。m=1のときの空積は1とする。pi(xi)=1、pi(xk)=0(k=i)であるからp(xi)=f(xi)である。pは有限個のunの実数係数多項式である。その有限個の係数を有理数で十分近く近似すると、各xiでの値の差をε未満にすることができる。実際、単項式をv1,…,vs、係数の差をδ1,…,δsとすれば、各点での差は∑j=1s∣δj∣maxi∣vj(xi)∣以下である。得られたq∈Aは∣q(xi)−f(xi)∣<εをすべてのiについて満たす。m=0の場合は零関数をとればよい。したがってAはすべての空でない基本開集合と交わり、Cp(X)で稠密である。▨
解答.
Xが有限離散空間ならばCp(X)=RXである。有限次元 Euclid 空間は閉立方体の可算和であり、各点にコンパクト近傍をもつ。したがってCp(X)は σ-コンパクトかつ局所コンパクトである。X=∅の場合はCp(X)が一点空間となり、同じ結論が成り立つ。
Cp(X)が局所コンパクトであるとする。零関数のコンパクト近傍Kと、有限集合F⊆Xおよびε>0による基本開近傍
B={f∈Cp(X)∣∣f(x)∣<ε (x∈F)}⊆Kをとる。x∈X∖Fが存在すると、§E2.30 補題 1.5によりF上で0をとり、xでは任意に指定した実数をとる関数が存在する。したがってevx(B)=Rである。一方、evx(K)はコンパクトであるから有界であり、B⊆Kに反する。よってX=Fは有限であり、§E2.15 命題 1.6により離散である。
Cp(X)=⋃n∈N≥1Knとし、各Knをコンパクトとする。以下、X=∅とする。Cp(X)は Hausdorff 空間RXの部分空間であるから、各KnはRXのコンパクト部分集合であり、§E2.19 命題 6.4によりRXで閉じている。
有界連続関数の空間Cb(X)に一様距離を入れる。各点での評価が一様距離について連続であるから、包含写像Cb(X)→RXは連続であり、Kn∩Cb(X)はCb(X)の閉集合である。§E2.16 定理 2.6によりCb(X)は完備である。§E2.28 定理 4.2と§E2.28 命題 1.3 (3)を閉被覆(Kn∩Cb(X))n∈N≥1に適用すると、あるN∈N≥1、f0∈Cb(X)およびr>0に対して
{f∈Cb(X)∣∥f−f0∥∞<r}⊆KNとなる。
任意の写像a:X→[−r/2,r/2]と有限集合F⊆Xをとる。§E2.30 補題 1.5によりh∣F=a∣Fを満たす連続関数hが存在する。hをmax{−r/2,min{r/2,h}}へ取り替えれば、F上の値を保って∥h∥∞≤r/2とすることができる。したがってf0+h∈KNであり、f0+hはF上でf0+aと一致する。積位相の基本開集合は有限個の座標で定まるから、f0+aはKNの積位相での閉包に属する。KNはRXで閉じているのでf0+a∈KN⊆Cp(X)であり、aは連続である。
各x∈Xに対して、xでr/2、他の点で0をとる写像も連続である。(r/4,r)の逆像が{x}であるから、各一点集合は開集合であり、Xは離散である。
Xが無限であると仮定し、相異なる点の列(xn)n∈N≥1をとる。各nについてevxn(Kn)はコンパクトであるから、∣f(xn)∣≤bnがすべてのf∈Knについて成り立つbn≥0をとることができる。g(xn)=bn+1、g(x)=0(x∈/{xn∣n∈N≥1})と定める。Xは離散であるからgは連続であるが、すべてのnについてg∈/Knであり、Cp(X)=⋃nKnに反する。ゆえにXは有限離散空間である。▨