§E2.40Caliber

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位相空間の空でない開集合を無限個並べたとき、その多くが一点で交わるとは限らない。しかし、空間によっては、基数を固定すれば、同じ濃度の部分族で共通部分が空でないものを必ず取り出すことができる。たとえば可算無限離散空間では、ℵ1\aleph_1個の空でない開集合から、共通点をもつℵ1\aleph_1個を選ぶことができる。

この性質を表す基数を caliber といい、有限部分族ごとの交わりだけを要求する対応する概念を precaliber という。caliber と precaliber は、開集合族の交わり方を通じて、無限直積や関数空間の構造を比較する道具となる。本記事では、caliber と precaliber の基本性質および直積との関係を扱う。

1 Δ-システム補題

定義 1.1 (Δ-システム). 集合族(Fα)α∈A(F_\alpha)_{\alpha\in A}が集合rrを根とする Δ-システム (delta-system) であるとは、すべてのα∈A\alpha\in Aについてr⊆Fαr\subseteq F_\alphaであり、相異なるα,β∈A\alpha,\beta\in AについてFα∩Fβ=rF_\alpha\cap F_\beta=rが成り立つことをいう。

定理 1.2 (Δ-システム補題).λ\lambdaを非可算正則基数とする。有限集合の添字付き族(Fα)α<λ(F_\alpha)_{\alpha<\lambda}に対し、濃度λ\lambdaの集合A⊆λA\subseteq\lambdaで、(Fα)α∈A(F_\alpha)_{\alpha\in A}が Δ-システムとなるものが存在する。

証明.§E1.23 補題 2.5 (2)により、あるn∈N≥0n\in\Nに対して∣Fα∣=n|F_\alpha|=nとなる添字がλ\lambda個存在する。その添字に制限し、nnに関する帰納法を用いる。n=0n=0ならば根を空集合とすればよい。

n>0n>0とする。ある元xxがλ\lambda個のFαF_\alphaに属する場合、その添字だけを取り、Fα∖{x}F_\alpha\setminus\{x\}に帰納法の仮定を適用する。得られた根にxxを加えると、もとの集合族の根になる。

そのようなxxが存在しない場合、互いに交わらない集合をλ\lambda個、超限帰納的に選ぶ。ξ<λ\xi<\lambdaの段階まで選んだ集合の合併をTξT_\xiとすると、∣Tξ∣<λ|T_\xi|<\lambdaである。各x∈Tξx\in T_\xiを含むFαF_\alphaの添字はλ\lambda個未満である。§E1.23 定理 2.4により、TξT_\xiと交わるFαF_\alphaの添字もλ\lambda個未満である。したがって既に選んだ添字とそれらの添字を避け、次の集合を選ぶことができる。得られた族は根が空集合の Δ-システムである。▨

補題 1.3.κ\kappaを特異基数とする。有限集合の添字付き族(sα)α<κ(s_\alpha)_{\alpha<\kappa}に対し、∣A∣=κ|A|=\kappaとなるA⊆κA\subseteq\kappaと、∣B∣≤cf⁡(κ)|B|\leq\operatorname{cf}(\kappa)となる集合BBで、相異なるα,β∈A\alpha,\beta\in Aについて

sα∩sβ⊆Bs_\alpha\cap s_\beta\subseteq B

を満たすものが存在する。

証明.λ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)とおく。κ\kappaに共終な正則基数の列(θξ)ξ<λ(\theta_\xi)_{\xi<\lambda}を

max⁡(λ,sup⁡η<ξθη)<θξ<κ\max\bigl(\lambda,\sup_{\eta<\xi}\theta_\eta\bigr)<\theta_\xi<\kappa

となるように選ぶ。§E1.23 補題 2.6により特異基数は後続基数でないので、共終列の各項と先行項の上限より大きい後続基数を順に取ればよい。

添字集合から、互いに交わらない濃度θξ\theta_\xiの集合LξL_\xiを選ぶ。定理 1.2により、各LξL_\xiを濃度を保って制限し、(sα)α∈Lξ(s_\alpha)_{\alpha\in L_\xi}を根rξr_\xiの Δ-システムとする。B=⋃ξ<λrξB=\bigcup_{\xi<\lambda}r_\xiとおけば∣B∣≤λ|B|\leq\lambdaである。

Aξ⊆LξA_\xi\subseteq L_\xiを順に選ぶ。先行するAηA_\etaを選んだ段階で

Tξ=B∪⋃η<ξ⋃α∈Aηsα,Aξ={α∈Lξ:(sα∖rξ)∩Tξ=∅}T_\xi=B\cup\bigcup_{\eta<\xi}\bigcup_{\alpha\in A_\eta}s_\alpha, \qquad A_\xi=\{\alpha\in L_\xi:(s_\alpha\setminus r_\xi)\cap T_\xi=\emptyset\}

とおく。∣Tξ∣≤max⁡(λ,sup⁡η<ξθη)<θξ|T_\xi|\leq\max(\lambda,\sup_{\eta<\xi}\theta_\eta)<\theta_\xiである。同じ層のsα∖rξs_\alpha\setminus r_\xiは互いに交わらないので、TξT_\xiの各元が除去の原因となる添字は高々一つである。したがって∣Lξ∖Aξ∣<θξ|L_\xi\setminus A_\xi|<\theta_\xi、∣Aξ∣=θξ|A_\xi|=\theta_\xiである。

A=⋃ξ<λAξA=\bigcup_{\xi<\lambda}A_\xiとおくと∣A∣=κ|A|=\kappaである。同じ層の二集合の交差はrξ⊆Br_\xi\subseteq Bに含まれる。異なる層では、後の層の根外の部分は前の層の台を避け、前の層の根外の部分はBBを避ける。よって交差は両層の根の交差に含まれ、特にBBに含まれる。▨

例 1.4. 特異基数κ\kappaとλ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)に対し、sup⁡ξ<λκξ=κ\sup_{\xi<\lambda}\kappa_\xi=\kappaとなる無限基数κξ<κ\kappa_\xi<\kappaを選ぶ。すべて相異なる記号を用いた二元集合の族

{{aξ,bξ,η}:ξ<λ, η<κξ}\bigl\{\{a_\xi,b_{\xi,\eta}\}:\xi<\lambda,\ \eta<\kappa_\xi\bigr\}

は濃度κ\kappaをもつが、濃度κ\kappaの Δ-システムを含まない。

根が空ならば各ξ\xiから高々一集合しか選ぶことができず、選んだ集合は高々λ\lambda個である。根が空でなければ、相異なる二集合の交差は同じ層の{aξ}\{a_\xi\}に限られるので、すべての集合が一つの層に属し、その個数は高々κξ<κ\kappa_\xi<\kappaである。

定理 1.5.κ\kappaをcf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0となる基数とする。集合族(Di)i∈I(D_i)_{i\in I}が各i∈Ii\in Iについて∣Di∣<cf⁡(κ)|D_i|<\operatorname{cf}(\kappa)を満たすとする。各α<κ\alpha<\kappaに対し、有限集合sα⊆Is_\alpha\subseteq I上の写像pαp_\alphaが与えられ、pα(i)∈Dip_\alpha(i)\in D_iを満たすならば、∣A∣=κ|A|=\kappaとなるA⊆κA\subseteq\kappaで、⋃α∈Apα\bigcup_{\alpha\in A}p_\alphaが写像となるものが存在する。

証明.κ\kappaが正則ならば、定理 1.2により台を根rrの Δ-システムへ制限する。根上の写像の候補数は∏i∈r∣Di∣<κ\prod_{i\in r}|D_i|<\kappaである。正則性によりκ\kappa個の添字でpα∣rp_\alpha|_rを一定にすることができる。根外の台は互いに交わらないので、選んだ写像は両立する。

κ\kappaが特異ならばλ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)とおく。補題 1.3の証明と同じく、max⁡(λ,sup⁡η<ξθη)<θξ<κ\max(\lambda,\sup_{\eta<\xi}\theta_\eta)<\theta_\xi<\kappaを満たす正則基数の共終列を取り、濃度θξ\theta_\xiの各層の台を根rξr_\xiの Δ-システムにする。各層における根上の写像の候補数は∏i∈rξ∣Di∣<λ<θξ\prod_{i\in r_\xi}|D_i|<\lambda<\theta_\xiなので、層の濃度を保ったままpα∣rξ=qξp_\alpha|_{r_\xi}=q_\xiを一定にする。

B=⋃ξ<λrξB=\bigcup_{\xi<\lambda}r_\xiとおき、各層でBBと先行層の台を避ける根外の部分だけを残す。補題 1.3の証明における評価から、各層の濃度は依然としてθξ\theta_\xiである。既に証明した正則基数の場合を(qξ)ξ<λ(q_\xi)_{\xi<\lambda}に適用し、λ\lambda個の層でqξq_\xiを両立させる。その層の集合はλ\lambdaに共終であるから、残した添字の総数はκ\kappaである。根上の写像は両立し、根外の台は互いにもBBにも交わらないので、対応するpαp_\alphaの合併は写像である。▨

2 caliber と precaliber

定義 2.1 (caliber と precaliber).XXを位相空間、κ\kappaを無限基数とする。

  1. 空でない開集合の任意の添字付き族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}に対し、∣A∣=κ|A|=\kappaとなるA⊆κA\subseteq\kappaで⋂α∈AUα≠∅\bigcap_{\alpha\in A}U_\alpha\ne\emptysetを満たすものが存在するとき、κ\kappaをXXの caliber (caliber) という。
  2. 空でない開集合の任意の添字付き族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}に対し、∣A∣=κ|A|=\kappaとなるA⊆κA\subseteq\kappaで、任意の空でない有限集合F⊆AF\subseteq Aについて⋂α∈FUα≠∅\bigcap_{\alpha\in F}U_\alpha\ne\emptysetを満たすものが存在するとき、κ\kappaをXXの precaliber (precaliber) という。

XXの caliber 全体のクラスをCal⁡(X)\operatorname{Cal}(X)、precaliber 全体のクラスをpCal⁡(X)\operatorname{pCal}(X)と書く。

注意 2.2. 添字付き族では、相異なる添字に同じ開集合を対応させてもよい。文献には、相異なる開集合からなる濃度κ\kappaの族だけを入力とする定義もある。相異なる開集合だけを扱う定義では、κ\kappaが空でない開集合全体の濃度を上回ると、条件は空虚に成立する。重複を許す定義では、この場合にも開集合族を入力することができる。共終数への下降では、この重複を用いる。

命題 2.3. 位相空間XXについてCal⁡(X)⊆pCal⁡(X)\operatorname{Cal}(X)\subseteq\operatorname{pCal}(X)である。また、C\mathcal CをCal⁡\operatorname{Cal}またはpCal⁡\operatorname{pCal}とすると、無限基数κ∈C(X)\kappa\in\mathcal C(X)に対してcf⁡(κ)∈C(X)\operatorname{cf}(\kappa)\in\mathcal C(X)である。

証明. 全体の交差が空でなければ、任意の有限部分族の交差も空でない。

λ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)とおく。κ=λ\kappa=\lambdaならば下降の主張は仮定そのものである。λ<κ\lambda<\kappaの場合、κ\kappaをλ\lambda個の集合LξL_\xiに分割し、各∣Lξ∣<κ|L_\xi|<\kappaとする。空でない開集合の族(Vξ)ξ<λ(V_\xi)_{\xi<\lambda}を取り、α∈Lξ\alpha\in L_\xiに対しUα=VξU_\alpha=V_\xiとおく。仮定により目的の交差性をもつκ\kappa個の添字AAを選ぶ。AAが交わる層の集合JJは濃度λ\lambdaをもつ。実際、∣J∣<cf⁡(κ)|J|<\operatorname{cf}(\kappa)ならば∣⋃ξ∈JLξ∣<κ|\bigcup_{\xi\in J}L_\xi|<\kappaとなる。各層から一つずつ添字を取ると、(Vξ)ξ∈J(V_\xi)_{\xi\in J}は同じ交差性をもつ。▨

定理 2.4. コンパクト Hausdorff 空間KKについて、Cal⁡(K)=pCal⁡(K)\operatorname{Cal}(K)=\operatorname{pCal}(K)が成り立つ。

証明.κ∈pCal⁡(K)\kappa\in\operatorname{pCal}(K)とし、空でない開集合の族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}を取る。§E2.19 命題 6.10により、各α\alphaに対して空でない開集合VαV_\alphaでVα‾⊆Uα\tpcl{V_\alpha}\subseteq U_\alphaを満たすものを選ぶことができる。仮定から、∣A∣=κ|A|=\kappaで(Vα)α∈A(V_\alpha)_{\alpha\in A}が有限交差性をもつように選ぶ。閉集合族(Vα‾)α∈A(\tpcl{V_\alpha})_{\alpha\in A}も有限交差性をもつので、コンパクト性と§E2.19 定理 3.2からその全体の交差は空でない。この交差は⋂α∈AUα\bigcap_{\alpha\in A}U_\alphaに含まれる。逆の包含は命題 2.3による。▨

定理 2.5. 離散空間DDと無限基数κ\kappaについて、次は同値である。

κ∈Cal⁡(D)⟺κ∈pCal⁡(D)⟺∣D∣<cf⁡(κ).\kappa\in\operatorname{Cal}(D) \quad\Longleftrightarrow\quad \kappa\in\operatorname{pCal}(D) \quad\Longleftrightarrow\quad |D|<\operatorname{cf}(\kappa).

証明.∣D∣<cf⁡(κ)|D|<\operatorname{cf}(\kappa)とし、空でない開集合の族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}を取る。各UαU_\alphaからxαx_\alphaを選ぶと、共終数による合併の評価から、あるx∈Dx\in Dについてxα=xx_\alpha=xとなる添字がκ\kappa個存在する。その添字に対応する開集合の交差はxxを含む。D=∅D=\emptysetならば入力する開集合族がなく、同じ結論が成り立つ。

∣D∣≥λ=cf⁡(κ)|D|\geq\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)ならば、相異なる点xξx_\xiをξ<λ\xi<\lambdaについて選ぶ。κ\kappaを各濃度がκ\kappa未満のλ\lambda個の集合LξL_\xiに分割し、α∈Lξ\alpha\in L_\xiに対してUα={xξ}U_\alpha=\{x_\xi\}とおく。有限交差性をもつ部分族の添字は一つのLξL_\xiに含まれるので、その濃度はκ\kappa未満である。したがってκ∉pCal⁡(D)\kappa\notin\operatorname{pCal}(D)である。▨

命題 2.6.C\mathcal CをCal⁡\operatorname{Cal}またはpCal⁡\operatorname{pCal}とし、κ\kappaを無限基数とする。

  1. 連続写像f:X→Yf:X\to Yの像が稠密ならば、C(X)⊆C(Y)\mathcal C(X)\subseteq\mathcal C(Y)である。
  2. UUが位相空間XXの開部分空間ならば、C(X)⊆C(U)\mathcal C(X)\subseteq\mathcal C(U)である。
  3. (Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}が空でない空間の族ならば、任意のJ⊆IJ\subseteq IについてC(∏i∈IXi)⊆C(∏i∈JXi)\mathcal C(\prod_{i\in I}X_i)\subseteq\mathcal C(\prod_{i\in J}X_i)である。
  4. 位相空間XXが濃度cf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)未満の稠密部分集合をもつならば、κ∈C(X)\kappa\in\mathcal C(X)である。特に、有限な稠密部分集合をもつ空間はすべての無限基数を、可分空間は非可算共終数をもつすべての基数を caliber および precaliber にもつ。

証明.(1)を示す。YYの空でない開集合の族を逆像へ移すと、像の稠密性により各逆像も空でない。XXで得られた全交差の点、または各有限交差の点をffで移せば、YYの族に必要な交差が得られる。

(2)では、UUの開集合はXXでも開集合であるから、同じ族へXXの条件を適用する。(3)では、部分積への射影が連続全射であるから(1)を適用する。

(4)を示す。稠密集合D⊆XD\subseteq Xに離散位相を入れると、包含写像D→XD\to Xは連続で像が稠密である。定理 2.5と(1)から結論が従う。▨

命題 2.7.DDが位相空間XXの稠密部分空間ならば、

Cal⁡(D)⊆Cal⁡(X),pCal⁡(D)=pCal⁡(X)\operatorname{Cal}(D)\subseteq\operatorname{Cal}(X), \qquad \operatorname{pCal}(D)=\operatorname{pCal}(X)

が成り立つ。

証明.D→XD\to Xの包含写像に命題 2.6 (1)を適用すると、caliber と precaliber の両方についてDDからXXへの包含が得られる。逆にκ∈pCal⁡(X)\kappa\in\operatorname{pCal}(X)とし、DDの空でない開集合をVα=D∩UαV_\alpha=D\cap U_\alphaと書く。UαU_\alphaはXXの開集合である。XXの条件によって有限交差性をもつκ\kappa個のUαU_\alphaを選ぶ。選んだ族の任意の有限交差は空でない開集合なのでDDと交わる。したがって対応するVαV_\alphaの族も有限交差性をもつ。▨

例 2.8. 可算無限離散空間ω\omegaでは、定理 2.5により、ℵ1\aleph_1は caliber および precaliber であるが、ℵ0\aleph_0とℵω\aleph_\omegaはいずれでもない。実際、cf⁡(ℵ1)=ℵ1\operatorname{cf}(\aleph_1)=\aleph_1、cf⁡(ℵ0)=cf⁡(ℵω)=ℵ0\operatorname{cf}(\aleph_0)=\operatorname{cf}(\aleph_\omega)=\aleph_0である。したがって caliber と precaliber は基数について上向きにも下向きにも単調ではない。

定理 2.9. 無限 Hausdorff 空間XXは、空でない開集合の可算無限な互いに交わらない族をもつ。したがって

Cal⁡(X)⊆pCal⁡(X)⊆{κ:cf⁡(κ)>ℵ0}\operatorname{Cal}(X)\subseteq\operatorname{pCal}(X) \subseteq\{\kappa:\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0\}

である。さらにXXが可分ならば、上の二つの包含は等号になる。

証明. 孤立点が無限個あれば、そのうち可算個の一点集合を取る。孤立点が有限個ならば、その有限集合を除いた空間V0V_0は空でない開集合であり、その中の点xxを取る。xxを含む有限な開集合があれば、Hausdorff 空間では一点集合が閉であることから他の有限個の点を除き、{x}\{x\}が開となる。これはxxが孤立点でないことに反する。したがってxxの任意の開近傍は無限である。

xxの開近傍Vn⊆V0V_n\subseteq V_0を取った段階でyn∈Vn∖{x}y_n\in V_n\setminus\{x\}を選び、Hausdorff 性によってVnV_n内の互いに交わらない開近傍Vn+1V_{n+1}とWnW_nを、それぞれxxとyny_nに対して選ぶ。Vn+1⊆VnV_{n+1}\subseteq V_nなので、(Wn)n∈N≥0(W_n)_{n\in\N}は互いに交わらない。

この族の有限交差性をもつ部分族には高々一添字しかないから、ℵ0∉pCal⁡(X)\aleph_0\notin\operatorname{pCal}(X)である。命題 2.3により、共終数がℵ0\aleph_0の基数も precaliber でない。可分な場合の逆の包含は命題 2.6 (4)による。▨

定理 2.10.C\mathcal CをCal⁡\operatorname{Cal}またはpCal⁡\operatorname{pCal}、κ\kappaを無限基数とする。

  1. X=⋃j∈JXjX=\bigcup_{j\in J}X_j、∣J∣<cf⁡(κ)|J|<\operatorname{cf}(\kappa)とし、各XjX_jに部分空間位相を入れる。すべてのj∈Jj\in Jについてκ∈C(Xj)\kappa\in\mathcal C(X_j)ならば、κ∈C(X)\kappa\in\mathcal C(X)である。
  2. (Xj)j∈J(X_j)_{j\in J}が空でない空間の族ならば、 κ∈C(∐j∈JXj)⟺∣J∣<cf⁡(κ) かつ ∀j∈J, κ∈C(Xj).\kappa\in\mathcal C\left(\coprod_{j\in J}X_j\right) \quad\Longleftrightarrow\quad |J|<\operatorname{cf}(\kappa)\ \text{かつ}\ \forall j\in J,\ \kappa\in\mathcal C(X_j).

証明.(1)を示す。XXの空でない開集合UαU_\alphaごとに、Uα∩Xj(α)≠∅U_\alpha\cap X_{j(\alpha)}\ne\emptysetとなるj(α)j(\alpha)を選ぶ。∣J∣<cf⁡(κ)|J|<\operatorname{cf}(\kappa)により、あるjjがκ\kappa個の添字に対応する。XjX_jの条件をその交差の族へ適用すれば、XXでも必要な交差性をもつ部分族が得られる。

(2)の十分性は(1)による。必要性について、各成分は開部分空間なので命題 2.6 (2)から各成分の条件が従う。また、各成分をその添字へ送る写像は、位相的直和から離散空間JJへの連続全射である。命題 2.6 (1)と定理 2.5により∣J∣<cf⁡(κ)|J|<\operatorname{cf}(\kappa)である。J=∅J=\emptysetの場合は直和が空間として空であり、両辺が成り立つ。▨

補題 2.11. 開集合の族についての条件P\mathsf Pを、「全体の交差が空でない」、「任意の空でない有限部分族の交差が空でない」、「任意の二つの集合が交わる」のいずれか一つとする。位相空間XXと無限基数ρ≥ν\rho\geq\nuについて、EP(X;ρ,ν)E_{\mathsf P}(X;\rho,\nu)を、XXの空でない開集合の任意のρ\rho個の添字付き族から、条件P\mathsf Pを満たすν\nu個の添字を選ぶことができる、という命題とする。

  1. EP(X;ρ,ν)E_{\mathsf P}(X;\rho,\nu)が成り立ち、無限基数ρ′,ν′\rho',\nu'がρ′≥ρ\rho'\geq\rho、ν′≤ν\nu'\leq\nuを満たすならばEP(X;ρ′,ν′)E_{\mathsf P}(X;\rho',\nu')が成り立つ。
  2. κ\kappaが特異基数でEP(X;κ,κ)E_{\mathsf P}(X;\kappa,\kappa)が成り立つならば、任意の無限基数μ<κ\mu<\kappaに対し、μ<ρ<κ\mu<\rho<\kappaとなる正則基数ρ\rhoでEP(X;ρ,μ)E_{\mathsf P}(X;\rho,\mu)が成り立つものが存在する。
  3. X0,…,Xn−1X_0,\ldots,X_{n-1}を空でない空間、ν0≤⋯≤νn\nu_0\leq\cdots\leq\nu_nを無限基数とする。各j<nj<nについてEP(Xj;νj+1,νj)E_{\mathsf P}(X_j;\nu_{j+1},\nu_j)が成り立つならば、EP(∏j<nXj;νn,ν0)E_{\mathsf P}(\prod_{j<n}X_j;\nu_n,\nu_0)が成り立つ。特に各因子でEP(Xj;κ,κ)E_{\mathsf P}(X_j;\kappa,\kappa)が成り立てば、有限積でも成り立つ。

証明. 三つの条件はいずれも部分族へ遺伝する。したがって入力からρ\rho個を取り、出力をν′\nu'個へ制限すれば(1)が従う。

(2)を示す。あるμ<κ\mu<\kappaに対し、該当する正則基数が存在しないと仮定する。λ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)とし、μ\muより大きい正則基数の共終列(ρξ)ξ<λ(\rho_\xi)_{\xi<\lambda}を取る。各ξ\xiについて、条件P\mathsf Pを満たすμ\mu個を選ぶことができないρξ\rho_\xi個の開集合族を選ぶ。これらを添字集合が互いに交わらない族として合併すると総数はκ\kappaとなる。仮定から条件P\mathsf Pを満たすκ\kappa個の添字を選ぶ。それらが各層にμ\mu個未満しか属さなければ、総数は高々λ⋅μ<κ\lambda\cdot\mu<\kappaとなる。したがって一つの層に少なくともμ\mu個属し、その部分族は条件P\mathsf Pを満たす。これはその層の選び方に反する。

(3)を示す。各開集合を空でない基本開集合∏j<nUα,j\prod_{j<n}U_{\alpha,j}に縮める。最後の座標から順に、νj+1\nu_{j+1}個の添字をνj\nu_j個へ制限し、jj座標で条件P\mathsf Pが成り立つようにする。既に成立した座標の条件は、部分族へ制限しても保存される。最後のν0\nu_0個について、全交差を考える場合は各座標の全交差の点を選ぶ。有限交差を考える場合は、指定した有限個について各座標で交差の点を選ぶ。二集合の交差を考える場合も、その二つについて各座標で交差の点を選ぶ。選んだ点の組が積における必要な交差に属する。n=0n=0では空積が一点空間なので結論が成り立つ。▨

補題 2.12.κ\kappaをcf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0となる基数、XXを空でない位相空間とする。開集合の族に対する条件P\mathsf Pを、「全体の交差が空でない」、「任意の空でない有限部分族の交差が空でない」、「任意の二つの集合が交わる」のいずれか一つとする。XXの空でない開集合の任意のκ\kappa個の添字付き族から、条件P\mathsf Pを満たすκ\kappa個を選ぶことができるならば、任意の集合IIに対するXIX^Iでも同じことが成り立つ。

証明.XIX^Iの空でない開集合の族を、有限台sα⊆Is_\alpha\subseteq Iをもつ基本開集合

Uα=⋂i∈sαpr⁡i−1(Uα,i)(α<κ)U_\alpha=\bigcap_{i\in s_\alpha}\pr_i^{-1}(U_{\alpha,i}) \qquad(\alpha<\kappa)

に縮める。κ\kappaが正則ならば、定理 1.2により台を根rrの Δ-システムへ制限する。補題 2.11 (3)を有限積XrX^rに適用し、(pr⁡r(Uα))(\pr_r(U_\alpha))が条件P\mathsf Pを満たすκ\kappa個の添字を選ぶ。§E2.14 補題 1.4により、全交差、各有限交差、各二集合の交差は根への制限で判定されるので、必要な結論が得られる。

κ\kappaが特異の場合、λ=cf⁡(κ)>ℵ0\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0とおく。補題 2.11 (2)を繰り返し適用し、κ\kappaに共終な正則基数の列(θξ)ξ<λ(\theta_\xi)_{\xi<\lambda}を、

max⁡(λ,sup⁡η<ξθη)<θξ<κ,EP(X;θξ+1,θξ)\max\bigl(\lambda,\sup_{\eta<\xi}\theta_\eta\bigr)<\theta_\xi<\kappa, \qquad E_{\mathsf P}(X;\theta_{\xi+1},\theta_\xi)

が成り立つように選ぶ。ここでEPE_{\mathsf P}は補題 2.11の命題である。具体的には、固定した共終列の第ξ\xi項と先行項の上限とλ\lambdaを上回る無限基数μ<κ\mu<\kappaを取り、そのμ\muに対して同補題を適用する。後続段階では前のθξ\theta_\xiがμ\mu以下であるから、補題 2.11 (1)によって表示した基数対の条件が得られる。

添字を、互いに交わらない濃度θξ\theta_\xiの層LξL_\xiに分ける。各層に定理 1.2を適用し、濃度を保って台を根rξr_\xiの Δ-システムにする。λ\lambdaの非可算正則性から、∣rξ∣=m|r_\xi|=mとなる一定の有限数mmをもつ層をλ\lambda個選ぶ。さらに(rξ)(r_\xi)に同補題を適用し、濃度λ\lambdaの集合J⊆λJ\subseteq\lambdaと有限集合rrで

rξ∩rη=r(ξ,η∈J, ξ≠η)r_\xi\cap r_\eta=r\qquad(\xi,\eta\in J,\ \xi\ne\eta)

を満たすものを得る。

B=⋃ξ∈JrξB=\bigcup_{\xi\in J}r_\xiとする。各層から、根外の台がBBまたは先行層で残した台と交わる添字を除く。補題 1.3の証明の評価と同じく、除去数はθξ\theta_\xi未満である。残した層を再びLξL_\xiと書く。このとき、同じ層の二つの台の交差はrξr_\xiであり、異なる層の二つの台の交差はrrである。実際、後の層の根外の部分は先行層の台を避け、すべての根外の部分はBBを避けている。

η<λ\eta<\lambdaごとに、βη∈J\beta_\eta\in Jを狭義増加に、かつβη≥η+m\beta_\eta\geq\eta+mとなるように選ぶ。JJはλ\lambdaに共終であり、η+m<λ\eta+m<\lambdaなので、この選択が成立する。有限積に対する基数対の条件をmm回適用すると、XrβηX^{r_{\beta_\eta}}において、θη+m\theta_{\eta+m}個から条件P\mathsf Pを満たすθη\theta_\eta個を選ぶことができる。∣Lβη∣=θβη≥θη+m|L_{\beta_\eta}|=\theta_{\beta_\eta}\geq\theta_{\eta+m}であるから、

Hη⊆Lβη,∣Hη∣=θηH_\eta\subseteq L_{\beta_\eta},\qquad |H_\eta|=\theta_\eta

を、(pr⁡rβη(Uα))α∈Hη(\pr_{r_{\beta_\eta}}(U_\alpha))_{\alpha\in H_\eta}が条件P\mathsf Pを満たすように選ぶことができる。m=0m=0の場合も、根上の積は一点空間なので同じ選択が成立する。

H=⋃η<λHηH=\bigcup_{\eta<\lambda}H_\etaとおけば∣H∣=κ|H|=\kappaである。有限積XrX^rは補題 2.11 (3)によりκ\kappa個から条件P\mathsf Pを満たすκ\kappa個を選ぶ性質をもつ。したがってA⊆HA\subseteq Hを、∣A∣=κ|A|=\kappaかつ(pr⁡r(Uα))α∈A(\pr_r(U_\alpha))_{\alpha\in A}が条件P\mathsf Pを満たすように選ぶ。

全交差の場合はF=AF=A、有限交差の場合は任意の空でない有限集合F⊆AF\subseteq A、二集合の場合は任意の二元集合F⊆AF\subseteq Aを取る。共通根上で

xr∈⋂α∈Fpr⁡r(Uα)x_r\in\bigcap_{\alpha\in F}\pr_r(U_\alpha)

を選ぶ。F∩Hη≠∅F\cap H_\eta\ne\emptysetとなる各η\etaについて、層の選択から

xη∈⋂α∈F∩Hηpr⁡rβη(Uα)x_\eta\in\bigcap_{\alpha\in F\cap H_\eta}\pr_{r_{\beta_\eta}}(U_\alpha)

を選ぶことができる。二集合の場合、一層に属する添字が一つだけならば、該当する射影が空でないことを用いる。

rr上でxrx_rを、rβη∖rr_{\beta_\eta}\setminus r上でxηx_\etaの値を用いる。残るsα∖rβηs_\alpha\setminus r_{\beta_\eta}上ではUα,iU_{\alpha,i}から任意の点を選ぶ。これらの定義域は互いに交わらない。未指定の座標にはXXの固定点を入れる。このように定めたx∈XIx\in X^Iは、各α∈F\alpha\in Fのすべての座標条件を満たすので、x∈⋂α∈FUαx\in\bigcap_{\alpha\in F}U_\alphaである。よって(Uα)α∈A(U_\alpha)_{\alpha\in A}は条件P\mathsf Pを満たす。▨

定理 2.13.C\mathcal CをCal⁡\operatorname{Cal}またはpCal⁡\operatorname{pCal}、κ\kappaを無限基数とする。(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない位相空間の族とし、PJ=∏i∈JXiP_J=\prod_{i\in J}X_i、P=PIP=P_Iとおく。

  1. κ\kappaが非可算正則基数である場合、または∣I∣<cf⁡(κ)|I|<\operatorname{cf}(\kappa)である場合には、 κ∈C(P)⟺∀i∈I, κ∈C(Xi).\kappa\in\mathcal C(P)\quad\Longleftrightarrow\quad \forall i\in I,\ \kappa\in\mathcal C(X_i). 特に、この同値は任意の無限基数について有限直積で成立する。
  2. κ\kappaが特異基数ならば、 κ∈C(P)⟺∀J⊆I,(∣J∣≤cf⁡(κ)⟹κ∈C(PJ)).\kappa\in\mathcal C(P)\quad\Longleftrightarrow\quad \forall J\subseteq I,\quad \bigl(|J|\leq\operatorname{cf}(\kappa)\Longrightarrow\kappa\in\mathcal C(P_J)\bigr).
  3. cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0であり、族(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}に現れる同相型の個数がcf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)未満ならば、 κ∈C(P)⟺∀i∈I, κ∈C(Xi).\kappa\in\mathcal C(P)\quad\Longleftrightarrow\quad \forall i\in I,\ \kappa\in\mathcal C(X_i). 特に、空でない空間XXと空でない集合AAに対し、cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0ならばκ∈C(XA)\kappa\in\mathcal C(X^A)とκ∈C(X)\kappa\in\mathcal C(X)は同値である。
  4. cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0であり、各XiX_iが濃度cf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)未満の稠密部分集合をもつならば、κ∈C(P)\kappa\in\mathcal C(P)である。特に、無限基数μ\muに対し、各因子が濃度μ\mu以下の稠密部分集合をもつならば、μ+∈C(P)\mu^+\in\mathcal C(P)である。

証明. 必要性はいずれも命題 2.6 (3)による。十分性の証明では、空でない開集合の族を、有限台sαs_\alphaをもつ基本開集合UαU_\alphaに縮める。

(1)を示す。有限積の場合は補題 2.11 (3)による。IIが無限で∣I∣<cf⁡(κ)|I|<\operatorname{cf}(\kappa)ならば、§E1.22 補題 6.3により、有限台の候補数は∣[I]<ω∣=∣I∣<cf⁡(κ)|[I]^{<\omega}|=|I|<\operatorname{cf}(\kappa)である。したがってある有限集合ssに対し、sα=ss_\alpha=sとなる添字がκ\kappa個存在する。有限積PsP_sの条件と§E2.14 補題 1.4によって結論が従う。

κ\kappaが非可算正則で因子数に制限がない場合、定理 1.2によりκ\kappa個の台を根rrの Δ-システムにする。有限積PrP_rの条件によって必要な交差性をもつκ\kappa個の射影を選ぶ。根外の台が互いに交わらないことと§E2.14 補題 1.4により、もとの基本開集合も同じ交差性をもつ。

(2)を示す。補題 1.3によってκ\kappa個の添字と∣B∣≤cf⁡(κ)|B|\leq\operatorname{cf}(\kappa)となる座標集合BBを取り、BBの外で台を互いに交わらなくする。仮定をPBP_Bに適用して、(pr⁡B(Uα))(\pr_B(U_\alpha))から必要な交差性をもつκ\kappa個を選ぶ。§E2.14 補題 1.4により、全交差または各有限交差をBB上で判定することができる。

(3)を示す。同相型ごとに添字を分け、代表空間をYtY_t、その同相型に属する添字集合をItI_tとする。積は∏tYtIt\prod_tY_t^{I_t}と同相である。補題 2.12によって各YtItY_t^{I_t}がκ\kappaを caliber または precaliber にもつ。同相型の個数が共終数未満なので、(1)によりそれらの積も同じ性質をもつ。任意冪の同値も、この補題と座標射影から従う。

(4)を示す。各XiX_iの稠密部分集合DiD_iを∣Di∣<cf⁡(κ)|D_i|<\operatorname{cf}(\kappa)となるように選ぶ。基本開集合の各指定座標についてpα(i)∈Di∩Uα,ip_\alpha(i)\in D_i\cap U_{\alpha,i}を選ぶ。定理 1.5により、κ\kappa個のpαp_\alphaの合併が写像となるように添字を選ぶ。その合併をPPの一点へ延長すれば、選んだ基本開集合すべてに属する点が得られる。したがって caliber の結論が成立し、precaliber の結論も従う。§E1.23 補題 2.6により後続基数μ+\mu^+は非可算正則であり、μ<cf⁡(μ+)=μ+\mu<\operatorname{cf}(\mu^+)=\mu^+なので、最後の主張も得られる。▨

系 2.14. 空でない可分空間の任意の直積と、その連続像は、非可算共終数をもつすべての基数を caliber および precaliber にもつ。そのような空間YYが無限 Hausdorff ならば、

Cal⁡(Y)=pCal⁡(Y)={κ:cf⁡(κ)>ℵ0}\operatorname{Cal}(Y)=\operatorname{pCal}(Y) =\{\kappa:\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0\}

である。

証明. 非可算共終数に対し、各因子の可算稠密部分集合の濃度はその共終数未満である。定理 2.13 (4)と命題 2.6 (1)により十分性が従う。無限 Hausdorff 空間での必要性は定理 2.9による。▨

系 2.15.(Di)i∈I(D_i)_{i\in I}を空でない離散空間の族、P=∏i∈IDiP=\prod_{i\in I}D_iとする。PPが有限ならばすべての無限基数がPPの caliber および precaliber である。PPが無限ならば、無限基数κ\kappaについて

κ∈Cal⁡(P)⟺κ∈pCal⁡(P)⟺cf⁡(κ)>ℵ0 かつ ∀i∈I, ∣Di∣<cf⁡(κ)\kappa\in\operatorname{Cal}(P) \quad\Longleftrightarrow\quad \kappa\in\operatorname{pCal}(P) \quad\Longleftrightarrow\quad \operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0\ \text{かつ}\ \forall i\in I,\ |D_i|<\operatorname{cf}(\kappa)

が成り立つ。

証明.PPが有限ならば、PP自身を有限な稠密部分集合として命題 2.6 (4)を適用する。PPが無限ならば、離散空間の積は Hausdorff であるから定理 2.9により非可算共終数が必要である。各因子への射影と定理 2.5により、各∣Di∣<cf⁡(κ)|D_i|<\operatorname{cf}(\kappa)も必要である。逆にこれらの条件が成立すれば、各DiD_i自身を稠密集合として定理 2.13 (4)を適用する。▨

系 2.16.DDを無限離散空間、IIを空でない集合とする。無限基数κ\kappaについて

κ∈Cal⁡(DI)⟺κ∈pCal⁡(DI)⟺∣D∣<cf⁡(κ)\kappa\in\operatorname{Cal}(D^I) \quad\Longleftrightarrow\quad \kappa\in\operatorname{pCal}(D^I) \quad\Longleftrightarrow\quad |D|<\operatorname{cf}(\kappa)

が成り立つ。特に、任意の無限基数μ\muについて、濃度μ\muの離散空間の任意の冪はμ+\mu^+を caliber および precaliber にもつ。

証明.DID^Iは無限である。∣D∣|D|は無限基数なので、∣D∣<cf⁡(κ)|D|<\operatorname{cf}(\kappa)ならば共終数は非可算である。したがって系 2.15の条件は表示した不等式に一致する。κ=μ+\kappa=\mu^+の場合は後続基数の正則性による。空冪は一点空間なので、最後の主張ではI=∅I=\emptysetも許す。▨

系 2.17.n≥2n\geq2を有限離散空間とし、IIを任意の集合とする。cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0となるすべての基数κ\kappaはnIn^Iの caliber および precaliber である。IIが無限ならば、逆にこれらの性質をもつ無限基数は非可算共終数をもつものに限られる。IIが有限ならば、すべての無限基数がnIn^Iの caliber および precaliber である。特にこれらの結論はn=2,3n=2,3に適用される。

有限離散空間nnが空または一点であっても、有限なIIに対するnIn^Iはすべての無限基数を caliber および precaliber にもつ。任意の位相空間の空冪も同様である。

証明.n≥2n\geq2でIIが無限ならばnIn^Iは無限である。各因子の濃度は有限なので、系 2.15の条件は共終数の非可算性に一致する。IIが有限ならば積は有限であり、命題 2.6 (4)を適用する。空間が空の場合も、空でない開集合族が存在しないので結論が成立する。空冪は一点空間である。▨

例 2.18. 二点離散空間22はℵ0\aleph_0を caliber および precaliber にもつが、2ω2^\omegaはいずれももたない。これは系 2.17の有限な添字集合の場合と無限な添字集合の場合を比較すれば従う。したがって任意冪への保存における共終数の非可算性を外すことはできない。

例 2.19. 集合IIに対して、§E2.14 系 5.3と§E2.14 系 5.6より、2I2^Iが可分であることと∣I∣≤2ℵ0|I|\leq2^{\aleph_0}は同値である。

一方、∣I∣>2ℵ0|I|>2^{\aleph_0}の場合でも、系 2.17により2I2^Iは非可算共終数をもつすべての基数を caliber および precaliber にもつ。

例 2.20. 閉順序数区間K=[0,ω1]K=[0,\omega_1]に順序位相を入れる。各点収束位相をもつ連続関数空間Cp(K)=Cp(K,R)C_p(K)=C_p(K,\R)はℵ1\aleph_1を precaliber にもつが、caliber にもたない。

§E2.19 定理 7.2と順序位相の Hausdorff 性によりKKはコンパクト Hausdorff である。§E2.19 系 6.12によりKKは Tychonoff であり、§E2.30 系 1.6によりCp(K)C_p(K)はRK\R^Kの稠密部分空間である。系 2.14によってℵ1∈pCal⁡(RK)\aleph_1\in\operatorname{pCal}(\R^K)であるから、命題 2.7によってℵ1∈pCal⁡(Cp(K))\aleph_1\in\operatorname{pCal}(C_p(K))が従う。

α<ω1\alpha<\omega_1ごとに

Uα={f∈Cp(K):f(α)<0, f(ω1)>1}U_\alpha=\{f\in C_p(K):f(\alpha)<0,\ f(\omega_1)>1\}

とおく。これは各点収束位相において開集合であり、§E2.30 補題 1.5により空でない。任意のf∈Cp(K)f\in C_p(K)について、連続性から各n∈N≥1n\in\NNに対しβn<ω1\beta_n<\omega_1を選び、βn<t≤ω1\beta_n<t\leq\omega_1ならば∣f(t)−f(ω1)∣<1/n|f(t)-f(\omega_1)|<1/nとすることができる。§E1.23 定理 2.9によりβ=sup⁡nβn<ω1\beta=\sup_n\beta_n<\omega_1なので、β<t≤ω1\beta<t\leq\omega_1ではf(t)=f(ω1)f(t)=f(\omega_1)である。

したがってf(ω1)>1f(\omega_1)>1ならば、f∈Uαf\in U_\alphaとなるα\alphaはβ\beta以下に限られる。f(ω1)≤1f(\omega_1)\leq1ならばそのようなα\alphaは存在しない。いずれにせよ一つの関数が属するUαU_\alphaの添字は高々可算なので、非可算個のUαU_\alphaの交差は空である。

3 鎖条件と Knaster 条件

定義 3.1 (鎖条件). 位相空間XXと無限基数κ\kappaに対し、空でない開集合の添字付き族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}で、相異なる添字の開集合が互いに交わらないものが存在しないとき、XXは κ\kappa-鎖条件 (kappa-chain condition) をもつという。ℵ1\aleph_1-鎖条件を 可算鎖条件 (countable chain condition)、または ccc という。

命題 3.2. 位相空間XXと無限基数κ\kappaについて、κ∈pCal⁡(X)\kappa\in\operatorname{pCal}(X)ならば、XXはcf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)-鎖条件をもち、したがってκ\kappa-鎖条件をもつ。

証明.命題 2.3によりλ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)も precaliber である。空でない開集合がλ\lambda個互いに交わらなければ、その族の有限交差性をもつ部分族には高々一つの添字しかない。これはλ\lambdaが precaliber であることに反する。また、κ\kappa個の互いに交わらない族があれば、そのうちλ\lambda個を選ぶことができるので、κ\kappa-鎖条件も従う。▨

命題 3.3.κ,λ\kappa,\lambdaを無限基数とする。

  1. κ≤λ\kappa\leq\lambdaならば、κ\kappa-鎖条件はλ\lambda-鎖条件を導く。
  2. 濃度κ\kappa未満の稠密部分集合をもつ空間はκ\kappa-鎖条件をもつ。
  3. κ\kappa-鎖条件は、像が稠密な連続写像によって保存され、開部分空間へ遺伝する。
  4. DDがXXの稠密部分空間ならば、DDとXXがκ\kappa-鎖条件をもつことは同値である。
  5. 空でない因子の直積がκ\kappa-鎖条件をもつならば、そのすべての部分積もκ\kappa-鎖条件をもつ。

証明.(1)では、λ\lambda個の互いに交わらない開集合からκ\kappa個を取ればよい。

(2)を示す。空でない開集合の互いに交わらない族に対し、各開集合と稠密集合DDとの交差から一点を選ぶ。選んだ点はすべて異なるので、添字集合はDDに単射する。∣D∣<κ|D|<\kappaならば添字の個数もκ\kappa未満である。

(3)を示す。像が稠密な連続写像について、像の空でない開集合の互いに交わらない族を逆像へ移すと、逆像も空でない開集合の互いに交わらない族となる。開部分空間の開集合は全空間でも開なので、同じ族を用いて遺伝性が従う。

(4)を示す。DDからXXへの方向は包含写像に(3)を適用する。逆にDDの空でない開集合Vα=D∩UαV_\alpha=D\cap U_\alphaが互いに交わらないとする。UαU_\alphaをXXの開集合として選ぶ。異なる二つのUαU_\alphaが交われば、その交差は空でない開集合なのでDDと交わり、対応する二つのVαV_\alphaが交わる。したがってUαU_\alphaも互いに交わらない。

(5)は、部分積への射影が連続全射であることと(3)から従う。▨

命題 3.4.κ\kappaを無限基数とする。

  1. 離散空間DDがκ\kappa-鎖条件をもつことと、∣D∣<κ|D|<\kappaは同値である。
  2. 可分空間は ccc である。

証明.(1)について、∣D∣≥κ|D|\geq\kappaならばκ\kappa個の相異なる点の一点集合が互いに交わらない開集合族となる。∣D∣<κ|D|<\kappaならば、DD自身を稠密集合として命題 3.3 (2)を適用する。

(2)では、可算稠密集合の濃度がℵ1\aleph_1未満であることと、同じ命題を用いる。▨

定理 3.5.XXを距離化可能空間とする。

  1. 非可算正則基数λ\lambdaに対し、XXがλ\lambda-鎖条件をもつことと、濃度λ\lambda未満の稠密部分集合をもつことは同値である。
  2. 任意の無限基数κ\kappaに対し、 κ∈Cal⁡(X)⟺κ∈pCal⁡(X)⟺X は濃度 cf⁡(κ) 未満の稠密部分集合をもつ\kappa\in\operatorname{Cal}(X) \quad\Longleftrightarrow\quad \kappa\in\operatorname{pCal}(X) \quad\Longleftrightarrow\quad X\text{ は濃度 }\operatorname{cf}(\kappa)\text{ 未満の稠密部分集合をもつ} が成り立つ。

特にCal⁡(X)=pCal⁡(X)\operatorname{Cal}(X)=\operatorname{pCal}(X)である。

証明.XXの位相を定める距離ddを取る。(1)の十分性は命題 3.3 (2)による。必要性について、各n∈N≥1n\in\NNに対し、相異なる二点の距離が1/n1/n以上である極大な集合An⊆XA_n\subseteq Xを取る。包含で順序づけたこのような集合族では、鎖の合併も同じ距離の条件を満たすので Zorn の補題を適用することができる。

開球(B(a,1/(3n)))a∈An(B(a,1/(3n)))_{a\in A_n}は互いに交わらない。実際、共通点があれば二つの中心の距離は2/(3n)<1/n2/(3n)<1/nとなる。λ\lambda-鎖条件から∣An∣<λ|A_n|<\lambdaである。λ\lambdaの非可算正則性によりD=⋃n∈N≥1AnD=\bigcup_{n\in\NN}A_nの濃度もλ\lambda未満である。極大性から、各x∈Xx\in Xとnnに対しd(x,a)<1/nd(x,a)<1/nとなるa∈Ana\in A_nが存在する。したがってDDは稠密である。

(2)を示す。小さい稠密部分集合から caliber への含意は命題 2.6 (4)、caliber から precaliber への含意は定義による。κ∈pCal⁡(X)\kappa\in\operatorname{pCal}(X)と仮定し、λ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)とする。λ>ℵ0\lambda>\aleph_0ならば、命題 3.2によりXXはλ\lambda-鎖条件をもち、(1)によって濃度λ\lambda未満の稠密部分集合をもつ。λ=ℵ0\lambda=\aleph_0ならば、定理 2.9によりXXは有限である。したがってXX自身が濃度λ\lambda未満の稠密部分集合となる。▨

系 3.6. 距離化可能空間XXについて、次の六条件は同値である。

  1. XXは ccc である。
  2. ℵ1∈Cal⁡(X)\aleph_1\in\operatorname{Cal}(X)である。
  3. ℵ1∈pCal⁡(X)\aleph_1\in\operatorname{pCal}(X)である。
  4. XXは可分である。
  5. XXは第二可算である。
  6. XXは Lindelöf である。

証明.定理 3.5にλ=κ=ℵ1\lambda=\kappa=\aleph_1を代入すると、鎖条件、caliber、precaliber の三条件はいずれも可分性に一致する。可分性・第二可算性・Lindelöf 性の同値は§E2.21 定理 4.2による。▨

定理 3.7.κ\kappaを非可算基数、(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない位相空間の族とする。

  1. κ\kappaが正則ならば、全直積がκ\kappa-鎖条件をもつことと、すべての有限部分積がκ\kappa-鎖条件をもつことは同値である。
  2. κ\kappaが特異ならば、全直積がκ\kappa-鎖条件をもつことと、高々cf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)個の因子からなるすべての部分積がκ\kappa-鎖条件をもつことは同値である。

証明. 必要性は命題 3.3 (5)による。十分性について、全直積に空でない開集合のκ\kappa個の互いに交わらない族があると仮定し、各開集合を有限台の基本開集合UαU_\alphaに縮める。

(1)では、定理 1.2によりκ\kappa個の台を有限な根rrの Δ-システムにする。§E2.14 補題 1.4により、相異なる添字について根への射影も互いに交わらない。これは有限部分積のκ\kappa-鎖条件に反する。

(2)では、補題 1.3によりκ\kappa個の台の交差を∣B∣≤cf⁡(κ)|B|\leq\operatorname{cf}(\kappa)となる座標集合BBに集中させる。同じ交差判定により、BB上の部分積にκ\kappa個の互いに交わらない空でない開集合が得られ、仮定に反する。▨

系 3.8. 空でない距離化可能空間の族(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}について、全直積が ccc であること、各因子が ccc であること、各因子が可分であることは同値である。

証明. 全直積から各因子への必要性は射影による。各因子の ccc と可分性の同値は系 3.6による。各因子が可分ならば、系 2.14によって全直積はℵ1\aleph_1を precaliber にもち、命題 3.2によって ccc である。▨

補題 3.9.κ\kappaを無限基数、LLを GO 空間とする。LLがκ\kappa-鎖条件を満たせば、LLの各点は濃度κ\kappa未満の近傍基をもつ。特に、LLが可算鎖条件を満たせば、LLは第一可算である。

証明.x∈Lx\in Lとし、L−:={y∈L∣y<x}L_-:=\{y\in L\mid y<x\}とおく。L−L_-は濃度κ\kappa未満の共終部分集合をもつ。実際、そのような部分集合が存在しないと仮定する。各α<κ\alpha<\kappaにおいて、それまでに選んだ点はκ\kappa個未満であり、L−L_-に共終でない。したがって超限帰納的に

aα<bα<cα<x,cβ<aα(β<α)a_\alpha<b_\alpha<c_\alpha<x, \qquad c_\beta<a_\alpha\quad(\beta<\alpha)

を満たす点を選ぶことができる。開区間(aα,cα)(a_\alpha,c_\alpha)はbαb_\alphaを含み、これらのκ\kappa個の開集合は互いに交わらない。これはκ\kappa-鎖条件に反する。よってL−L_-の共終部分集合AAで∣A∣<κ|A|<\kappaとなるものが存在する。順序を反転した議論により、L+:={y∈L∣x<y}L_+:=\{y\in L\mid x<y\}にも濃度κ\kappa未満の共始部分集合BBが存在する。片側が空の場合は、対応するAAまたはBBを空集合とする。

xxを含む開半直線(a,∞)(a,\infty)(a∈A)(a\in A)と(−∞,b)(-\infty,b)(b∈B)(b\in B)をとる。さらに[x,∞)[x,\infty)と(−∞,x](-\infty,x]のうちLLで開であるものを加え、得られた族の有限共通部分をとる。この族は濃度κ\kappa未満であり、xxの近傍基である。実際、xxの凸な開近傍VVをとる。VVがy<xy<xを含むならば、y≤a<xy\leq a<xとなるa∈Aa\in Aを選ぶ。VVがxxより小さい点を含まないならば、[x,∞)=V∪(x,∞)[x,\infty)=V\cup(x,\infty)は開である。右側についても同様に半直線を選び、左右の半直線の共通部分をとると、VVの凸性によりxxを含みVVに含まれる開近傍が得られる。 GO 空間では凸な開近傍が近傍基をなすので、結論が従う。κ=ℵ1\kappa=\aleph_1の場合、濃度κ\kappa未満の族は高々可算である。▨

直積が ccc を満たすための条件を導入しよう。

定義 3.10 (Knaster 条件). 位相空間XXと無限基数κ\kappaに対し、空でない開集合の任意の添字付き族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}から、∣A∣=κ|A|=\kappaとなるA⊆κA\subseteq\kappaで、相異なるα,β∈A\alpha,\beta\in AについてUα∩Uβ≠∅U_\alpha\cap U_\beta\ne\emptysetを満たすものを選ぶことができるとき、XXは κ\kappa-Knaster 条件 (kappa-Knaster property) をもつという。この条件は、κ\kappaがXXの weak precaliber (weak precaliber) であることとも呼ばれる。

定理 3.11.κ\kappaを無限基数とする。XXがκ\kappa-Knaster 条件をもち、YYがκ\kappa-鎖条件をもつならば、X×YX\times Yはκ\kappa-鎖条件をもつ。さらにκ\kappaが非可算正則基数ならば、空でない因子の族のうち一因子がκ\kappa-鎖条件をもち、残りのすべての因子がκ\kappa-Knaster 条件をもつ場合、その全直積はκ\kappa-鎖条件をもつ。

証明.X×YX\times Yの空でない開集合がκ\kappa個与えられたとし、それぞれを空でない長方形Uα×VαU_\alpha\times V_\alphaに縮める。XXの条件によって、κ\kappa個のUαU_\alphaを二つずつ交わるように選ぶ。対応するVαV_\alphaの族には、YYの鎖条件により交わる二つの添字がある。その二つの長方形は両座標で交わるので、積でも交わる。

任意積の場合、鎖条件をもつ因子の座標をi0i_0とする。κ\kappa個の空でない基本開集合の台を、定理 1.2によって有限な根rrの Δ-システムへ制限する。r∖{i0}r\setminus\{i_0\}の各座標について順に Knaster 条件を適用し、κ\kappa個の添字を残して、その座標の開集合を二つずつ交わるようにする。先に得られた交差性は部分族でも保存される。

i0∈ri_0\in rならば、その座標の鎖条件により、残った添字から交わる二つを選ぶ。i0∉ri_0\notin rならば、残った相異なる任意の二添字を選ぶ。いずれの場合も根上の射影は交わるので、§E2.14 補題 1.4によって基本開集合自体が交わる。したがって互いに交わらないκ\kappa個の開集合族は存在しない。▨

例 3.12.2ω12^{\omega_1}は系 2.17によりℵ1\aleph_1を caliber にもち、命題 3.2により ccc である。一方、00をすべての座標で値00をとる点とし、

F={0}∪{eα:α<ω1},eα(β)={1β=α,0β≠αF=\{0\}\cup\{e_\alpha:\alpha<\omega_1\}, \qquad e_\alpha(\beta)= \begin{cases}1&\beta=\alpha,\\0&\beta\ne\alpha\end{cases}

とおくと、FFは閉部分空間であるが ccc でない。

FFの外の点は少なくとも二つの座標で値11をとる。その二座標で値11を指定する基本開集合はFFを避けるので、FFの補集合は開である。他方、{x∈F:x(α)=1}={eα}\{x\in F:x(\alpha)=1\}=\{e_\alpha\}はFFの開集合である。これらの一点集合はℵ1\aleph_1個互いに交わらないので、FFは ccc でなく、命題 3.2によりℵ1\aleph_1を precaliber にも caliber にももたない。

定理 3.13.XXを空でない Tychonoff 空間、κ\kappaを無限基数とする。次は同値である。

κ∈pCal⁡(Cp(X))⟺Cp(X) は κ-Knaster 条件をもつ⟺cf⁡(κ)>ℵ0.\kappa\in\operatorname{pCal}(C_p(X)) \quad\Longleftrightarrow\quad C_p(X)\text{ は }\kappa\text{-Knaster 条件をもつ} \quad\Longleftrightarrow\quad \operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0.

特にCp(X)C_p(X)は ccc である。

証明.cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0とする。§E2.30 系 1.6によりCp(X)C_p(X)はRX\R^Xの稠密部分空間であり、系 2.14と命題 2.7によってκ∈pCal⁡(Cp(X))\kappa\in\operatorname{pCal}(C_p(X))である。有限交差性をもつ族では任意の二集合が交わるので、precaliber の条件は Knaster 条件を導く。

cf⁡(κ)=ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)=\aleph_0とする。X≠∅X\ne\emptysetなので、相異なる定数関数によりCp(X)C_p(X)は無限である。また、RX\R^Xの部分空間であるから Hausdorff である。定理 2.9により、空でない開集合の互いに交わらない可算族(Wn)n∈N≥0(W_n)_{n\in\N}が存在する。κ\kappaを可算個の集合LnL_nに分割し、各∣Ln∣<κ|L_n|<\kappaとする。α∈Ln\alpha\in L_nならばUα=WnU_\alpha=W_nと定める。二つずつ交わる部分族の添字は一つの層LnL_nにしか属さないので、その濃度はκ\kappa未満である。したがってκ\kappa-Knaster 条件は成立しない。

κ=ℵ1\kappa=\aleph_1の場合には precaliber の条件が成立するので、命題 3.2によって ccc が従う。▨

4 演習

問題 4.1. 位相空間XXと無限基数κ\kappaについて、

caliber κ⟹precaliber κ⟹κ-Knaster 条件⟹κ-鎖条件\text{caliber }\kappa \quad\Longrightarrow\quad \text{precaliber }\kappa \quad\Longrightarrow\quad \kappa\text{-Knaster 条件} \quad\Longrightarrow\quad \kappa\text{-鎖条件}

が成り立つことを示せ。

解答.

全体の交差が空でなければ、その点が任意の有限部分族の交差にも属する。有限交差性があれば、特に二つの集合の交差は空でない。最後に、κ\kappa個の互いに交わらない空でない開集合族があれば、二つずつ交わる部分族の添字は高々一つである。これは Knaster 条件に反する。以上で三つの含意が得られる。▨

問題 4.2. 無限基数κ\kappaに対する Knaster 条件について、次を示せ。

  1. 像が稠密な連続写像によって保存され、開部分空間へ遺伝する。
  2. 空間とその稠密部分空間との間で同値になる。
  3. κ\kappaについて成り立てばcf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)についても成り立つ。
解答.

(1)を示す。像が稠密な連続写像f:X→Yf:X\to YとYYの空でない開集合UαU_\alphaを取る。逆像f−1(Uα)f^{-1}(U_\alpha)は空でない開集合であるから、XXの Knaster 条件により二つずつ交わるκ\kappa個を選ぶことができる。各二集合の交差の点をffで移せば、対応するUαU_\alphaも二つずつ交わる。開部分空間では、その開集合が全空間でも開であることから同じ条件が従う。

(2)を示す。DDがXXで稠密ならば、DDからXXへの方向は包含写像による。逆にDDの空でない開集合をVα=D∩UαV_\alpha=D\cap U_\alphaと書き、XXの Knaster 条件によってUαU_\alphaをκ\kappa個、二つずつ交わるように選ぶ。各二集合の交差は空でない開集合なのでDDと交わる。したがって対応するVαV_\alphaも二つずつ交わる。

(3)を示す。λ=cf⁡(κ)\lambda=\operatorname{cf}(\kappa)とおき、λ<κ\lambda<\kappaの場合を考える。κ\kappaを各濃度がκ\kappa未満の層LξL_\xiにξ<λ\xi<\lambdaで分割する。λ\lambda個の空でない開集合VξV_\xiを、α∈Lξ\alpha\in L_\xiに対してUα=VξU_\alpha=V_\xiとして繰り返す。二つずつ交わるκ\kappa個の添字を選ぶと、その添字が交わる層はλ\lambda個でなければならない。実際、λ\lambda個未満の層の合併の濃度はκ\kappa未満である。交わる各層から一つずつ添字を取れば、λ\lambda個のVξV_\xiが二つずつ交わる。λ=κ\lambda=\kappaの場合は仮定そのものである。▨

問題 4.3.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない位相空間の族、κ\kappaを無限基数とする。次を示せ。

  1. κ\kappaが非可算正則基数である場合、または∣I∣<cf⁡(κ)|I|<\operatorname{cf}(\kappa)である場合には、全直積がκ\kappa-Knaster 条件をもつことと、各因子がκ\kappa-Knaster 条件をもつことは同値である。特に任意の無限基数について有限直積でこの同値が成立する。
  2. κ\kappaが特異基数ならば、全直積がκ\kappa-Knaster 条件をもつことと、高々cf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)個の因子からなるすべての部分積がκ\kappa-Knaster 条件をもつことは同値である。
  3. cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0であり、族に現れる同相型の個数がcf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)未満ならば、全直積がκ\kappa-Knaster 条件をもつことと、各因子がκ\kappa-Knaster 条件をもつことは同値である。特に、空でない空間XXと空でない集合AAに対し、cf⁡(κ)>ℵ0\operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0ならばXAX^AとXXのκ\kappa-Knaster 条件は同値である。
解答.

必要性は部分積への連続全射と問題 4.2 (1)による。十分性では、空でない開集合の族を有限台の基本開集合UαU_\alphaに縮める。

(1)を示す。補題 2.11 (3)の条件P\mathsf Pとして「任意の二つの集合が交わる」を取り、すべての基数をκ\kappaとすれば有限積での主張が得られる。IIが無限で∣I∣<cf⁡(κ)|I|<\operatorname{cf}(\kappa)の場合は、有限台の候補数が∣I∣|I|なので、κ\kappa個の台を同じ有限集合ssにそろえる。その有限部分積で Knaster 条件を適用すれば、対応する基本開集合も二つずつ交わる。

非可算正則基数について因子数が任意の場合は、定理 1.2によりκ\kappa個の台を根rrの Δ-システムにする。有限積での結果をrr上の積に適用すると、射影が二つずつ交わるκ\kappa個の添字が得られる。§E2.14 補題 1.4を各二添字に適用すると、基本開集合自身も二つずつ交わる。

(2)を示す。補題 1.3によりκ\kappa個の台の交差を、濃度がcf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)以下の座標集合BBに集中させる。仮定からBB上の部分積はκ\kappa-Knaster 条件をもつ。したがって射影が二つずつ交わるκ\kappa個の添字を選ぶことができる。各二添字に§E2.14 補題 1.4を適用すれば結論が従う。この議論には共終数の非可算性を用いていない。

(3)を示す。補題 2.12の条件P\mathsf Pを「任意の二つの集合が交わる」とすれば、任意冪への十分性が得られる。その証明では、基数対の選択補題はこの条件にも適用され、各層の根で選んだ族と全層共通の根で選んだ族が二つずつ交わる。最後に二添字を固定したとき、同じ層の二添字には層の根での交差を、異なる層の二添字には共通根での交差を用い、根外の座標を補って交差の点を得る。したがって有限交差性を仮定する必要はない。

同相型ごとに因子をまとめると全積は代表空間の冪の積と同相になる。各冪はκ\kappa-Knaster 条件をもち、その因子数はcf⁡(κ)\operatorname{cf}(\kappa)未満である。(1)によってそれらの積もκ\kappa-Knaster 条件をもつ。▨

問題 4.4.XXを空でない Tychonoff 空間とする。XXが高々可算である場合、または離散である場合には、無限基数κ\kappaについて

κ∈Cal⁡(Cp(X))⟺cf⁡(κ)>ℵ0\kappa\in\operatorname{Cal}(C_p(X)) \quad\Longleftrightarrow\quad \operatorname{cf}(\kappa)>\aleph_0

が成り立つことを示せ。

解答.

XXが高々可算ならば、RX\R^Xは可算個の有理端点の区間から有限座標を指定して得られる可算開基をもつ。したがって部分空間Cp(X)C_p(X)も第二可算である。可算開基の空でない各元から一点を取ると可算稠密集合が得られるので、Cp(X)C_p(X)は可分である。命題 2.6 (4)により非可算共終数をもつすべての基数は caliber である。

XXが離散ならば、任意の写像X→RX\to\Rが連続なので、各点収束位相に関してCp(X)=RXC_p(X)=\R^Xである。系 2.14により、やはり非可算共終数をもつすべての基数は caliber である。

いずれの場合も、X≠∅X\ne\emptysetなので定数関数によりCp(X)C_p(X)は無限であり、RX\R^Xの部分空間であるから Hausdorff である。定理 2.9により、可算共終数をもつ基数は caliber でない。▨

参考文献

  1. Alejandro Ríos-Herrejón, Singular precalibers for topological products, arXiv:2207.02444v2, 2022.基数対による選択、二段の Δ-システム、および特異基数の任意冪への保存を参考にした。
  2. Alejandro Ríos-Herrejón and Ángel Tamariz-Mascarúa, Some notes on topological calibers, arXiv:2302.12408v6, 2023.添字の重複を許す定義と許さない定義の相違、および保存性を参考にした。
  3. István Juhász, Cardinal Functions in Topology — Ten Years Later, Mathematical Centre Tracts 123, Mathematisch Centrum, 1980.コンパクト Hausdorff 空間での caliber と precaliber の一致、および小さい稠密部分集合をもつ因子の直積を参考にした。

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