1 定義と基本補題
補題 1.1.X、Yを位相空間とする。
- x∈Xに対してevx:C(X,R)→Rをevx(u)=u(x)で定めると、evxは環準同型である。
- 連続写像f:X→Yに対してf∗(u)=u∘fで定めると、f∗はC(Y,R)からC(X,R)への環準同型である。
- 連続写像f:X→Yと環準同型φ:C(X,R)→Rに対して、φ∘f∗は環準同型C(Y,R)→Rである。とくにx∈Xに対してevx∘f∗=evf(x)である。
証明.(1)を示す。§E2.16 命題 5.1 (1)によりC(X,R)の和と積は各点ごとに定まり、乗法単位元は値1をとる定数写像である。u,v∈C(X,R)に対してevx(u+v)=u(x)+v(x)=evx(u)+evx(v)かつevx(uv)=u(x)v(x)=evx(u)evx(v)であり、evx(1)=1である。ゆえに§E1.6 定義 1.1によりevxは環準同型である。
(2)を示す。u∈C(Y,R)に対して§E2.12 命題 1.10によりu∘fは連続であるから、f∗はC(Y,R)からC(X,R)への写像である。u,v∈C(Y,R)とx∈Xに対して((u+v)∘f)(x)=u(f(x))+v(f(x))かつ((uv)∘f)(x)=u(f(x))v(f(x))であるから、f∗(u+v)=f∗(u)+f∗(v)かつf∗(uv)=f∗(u)f∗(v)である。Yの上で値1をとる定数写像とfの合成はXの上で値1をとる定数写像であるからf∗(1)=1である。ゆえに§E1.6 定義 1.1によりf∗は環準同型である。
(3)を示す。(2)と§E1.6 系 1.9 (2)によりφ∘f∗は環準同型である。x∈Xとu∈C(Y,R)に対して(evx∘f∗)(u)=(u∘f)(x)=u(f(x))=evf(x)(u)である。▨
定義 1.2.Xを T3½ 空間とする。任意の環準同型φ:C(X,R)→Rに対してφ=evxを満たすx∈Xが存在するとき、Xを 実コンパクト空間 (realcompact space) という。
補題 1.4. 環準同型σ:R→Rは恒等写像である。
証明.§E1.6 定義 1.1によりσ(1)=1であり、σは(R,+)の準同型でもあるから§E1.6 命題 1.3によりσ(0)=0かつσ(−t)=−σ(t)である。加法を保つこととσ(1)=1から、n∈Z≥1についてσ(n)=nが帰納法で従い、σ(−n)=−nも成り立つ。m∈Z、n∈Z≥1に対してnσ(m/n)=σ(m)=mであるからσ(m/n)=m/nである。ゆえにσは有理数を動かさない。
c≥0とする。§E1.14 命題 3.3によりc∈Rがとれ、σ(c)=σ(c)2≥0である。したがって、c≥dを満たす実数c,dに対してσ(c)−σ(d)=σ(c−d)≥0である。
c∈Rをとる。有理数q<cに対してσ(c)≥σ(q)=qであり、有理数q′>cに対してσ(c)≤q′である。σ(c)<cとすると、§D1.4 系 2.2によりσ(c)<q<cを満たす有理数qがとれてσ(c)≥qに反する。σ(c)>cの場合も同様に矛盾する。ゆえにσ(c)=cである。▨
系 1.5.Xを位相空間とし、φ:C(X,R)→Rを環準同型とする。任意のc∈Rに対してφ(c)=cである。
補題 1.6.Xを位相空間、φ:C(X,R)→Rを環準同型とする。
- 任意のf∈C(X,R)とc∈Rに対してφ(f−c)=φ(f)−cである。
- f∈C(X,R)がφ(f)=0を満たすならばZ(f)=∅である。
- 任意のf∈C(X,R)に対してφ(f)∈f(X)である。とくにX=∅である。
- すべてのx∈Xについてf(x)≥0が成り立つならばφ(f)≥0である。したがって、すべてのx∈Xについてf(x)≤g(x)が成り立つならばφ(f)≤φ(g)である。
証明.(1)を示す。系 1.5を定数−cへ適用するとφ(−c)=−cであり、φが加法を保つことからφ(f−c)=φ(f)+φ(−c)=φ(f)−cである。
(2)を示す。Z(f)=∅と仮定すると、§E2.16 命題 5.1 (2)によりfはC(X,R)において乗法逆元gをもち、φ(f)φ(g)=φ(fg)=φ(1)=1であるからφ(f)=0である。対偶をとればよい。
(3)を示す。r∈Rがr∈/f(X)を満たすとする。すべてのx∈Xについてf(x)=rであるからZ(f−r)=∅であり、(2)の対偶によりφ(f−r)=0である。(1)によりφ(f−r)=φ(f)−rであるからφ(f)=rである。rはf(X)に属さない任意の実数であったからφ(f)∈f(X)である。とくにf(X)=∅であるからX=∅である。
(4)を示す。すべてのx∈Xについてf(x)≥0が成り立つとする。s:R→Rをs(t)=max(t,0)で定めると、§E1.14 命題 3.3によりsは定まり、sは連続である。h=s∘fとおくと§E2.12 命題 1.10によりh∈C(X,R)であり、仮定から各x∈Xについてh(x)2=max(f(x),0)=f(x)である。ゆえにφ(f)=φ(h2)=φ(h)2≥0である。すべてのx∈Xについてf(x)≤g(x)が成り立つ場合は、g−fへいま示したことを適用してφ(g)−φ(f)=φ(g−f)≥0を得る。▨
補題 1.7.Xを位相空間、φ:C(X,R)→Rを環準同型とし、
Zφ={Z(f)∣f∈C(X,R), φ(f)=0}とおく。
- k∈Z≥1とZ1,…,Zk∈Zφに対してZ1∩⋯∩Zk∈Zφである。
- (Zn)n∈Z≥1がZφの元の列ならば⋂n∈Z≥1Zn=∅である。
- x∈Xに対して、x∈⋂Z∈ZφZであることとφ=evxであることは同値である。
証明.(1)を示す。Z,Z′∈Zφをとり、Z=Z(f)、Z′=Z(g)、φ(f)=φ(g)=0を満たすf,g∈C(X,R)をとる。φ(f2+g2)=φ(f)2+φ(g)2=0であり、§E2.16 命題 4.3 (3)によりZ∩Z′=Z(f2+g2)であるからZ∩Z′∈Zφである。個数についての帰納法により、k∈Z≥1の場合が従う。
(2)を示す。各nについてZn=Z(fn)かつφ(fn)=0を満たすfn∈C(X,R)をとる。§E2.16 補題 1.2 (2)により∣fn∣∈C(X,R)であり、φ(∣fn∣)2=φ(∣fn∣2)=φ(fn2)=φ(fn)2=0であるからφ(∣fn∣)=0である。gn=min(∣fn∣,1)とおくと、§E2.16 補題 1.2 (1)と§E2.16 補題 1.2 (2)によりgn∈C(X,R)であり、すべてのx∈Xについて0≤gn(x)≤1かつgn(x)≤∣fn(x)∣であってZ(gn)=Z(fn)=Znである。補題 1.6 (4)により0≤φ(gn)≤φ(∣fn∣)=0であるからφ(gn)=0である。
§E2.16 補題 2.5を列(gn)n∈Z≥1へ適用し、wN=∑n=1N2−ngnとおく。得られるw∈C(X,R)は0≤wを満たし、すべてのN∈Z≥1とx∈XについてwN(x)≤w(x)≤wN(x)+2−Nが成り立ち、w(x)=0であることとすべてのnについてgn(x)=0であることとは同値である。系 1.5によりφ(2−n)=2−nであるからφ(wN)=∑n=1N2−nφ(gn)=0であり、補題 1.6 (4)により
0=φ(wN)≤φ(w)≤φ(wN)+2−N=2−Nである。N∈Z≥1について2N≥Nが帰納法で従うから2−N≤1/Nである。φ(w)>0と仮定すると、§D1.4 系 2.2により1/N<φ(w)を満たすN∈Z≥1がとれてφ(w)≤2−N≤1/N<φ(w)となり、両立しない。ゆえにφ(w)=0である。補題 1.6 (2)によりZ(w)=∅であり、Z(w)=⋂n∈Z≥1Z(gn)=⋂n∈Z≥1Znであるから、この共通部分は空でない。
(3)を示す。φ=evxとする。Z∈Zφに対してZ=Z(f)かつφ(f)=0を満たすfをとるとf(x)=φ(f)=0であるからx∈Zであり、x∈⋂Z∈ZφZである。
逆にx∈⋂Z∈ZφZとする。f∈C(X,R)をとると、補題 1.6 (1)によりφ(f−φ(f))=φ(f)−φ(f)=0であるからZ(f−φ(f))∈Zφであり、xはこの零集合に属する。すなわちf(x)=φ(f)である。fは任意であったからφ=evxである。▨
2 Lindelöf 性・コンパクト性との関係
定理 2.1.Xを T3 かつ Lindelöf な位相空間とする。このときXは T3½ 空間であり、実コンパクトである。
証明.§E2.21 系 2.4によりXは T4 空間であり、§E2.18 系 3.3により T3½ 空間である。
φ:C(X,R)→Rを環準同型とし、Zφ={Z(f)∣f∈C(X,R), φ(f)=0}とおく。⋂Z∈ZφZ=∅と仮定する。§E2.16 命題 4.3 (1)によりZφの元はいずれもXの閉集合であるから、(X∖Z)Z∈ZφはXの開被覆であり、§E2.21 定義 1.1により高々可算な部分集合F⊆ZφでX=⋃Z∈F(X∖Z)を満たすものが存在する。補題 1.6 (3)によりX=∅であるからF=∅であり、§E1.18 補題 3.6により全射e:Z≥1→Fがとれる。Zn=e(n)とおくと(Zn)n∈Z≥1はZφの元の列であり、⋂n∈Z≥1Zn=⋂Z∈FZ=∅である。これは補題 1.7 (2)と両立しない。
ゆえにx∈⋂Z∈ZφZを満たすx∈Xが存在し、補題 1.7 (3)によりφ=evxである。したがってXは実コンパクトである。▨
系 2.2. コンパクト Hausdorff 空間は実コンパクトである。
系 2.3. 第二可算な T3 空間は実コンパクトである。
例 2.4.
- 可分な距離空間は実コンパクトである。
- 通常の位相を入れたRとそのすべての部分空間、および高々可算な離散空間は実コンパクトである。
- σ-コンパクトな T3 空間は実コンパクトである。
3 基本性質
補題 3.1.Xを T3½ 空間、Yを位相空間とし、同相写像h:X→Yが存在するとする。Xが実コンパクトならばYは実コンパクトである。
証明.§E2.15 定理 4.3により、ある集合Dと位相的埋め込みe:X→[0,1]Dが存在する。同相写像h−1:Y→Xは位相的埋め込みであるから、§E2.12 命題 6.13 (1)によりe∘h−1:Y→[0,1]Dは位相的埋め込みであり、ふたたび§E2.15 定理 4.3によりYは T3½ 空間である。
φ:C(Y,R)→Rを環準同型とする。補題 1.1 (3)によりψ=φ∘(h−1)∗は環準同型C(X,R)→Rであるから、Xが実コンパクトであることによりψ=evxを満たすx∈Xが存在する。u∈C(Y,R)に対して(h−1)∗(h∗(u))=u∘h∘h−1=uであるからψ∘h∗=φであり、補題 1.1 (3)により
φ=ψ∘h∗=evx∘h∗=evh(x)である。ゆえにYは実コンパクトである。▨
定理 3.2.Xを実コンパクトな空間、A⊆XをXの閉集合とする。このときAは実コンパクトである。
証明.Xは実コンパクトであるから T3½ 空間であり、§E2.15 定理 2.1 (2)と§E2.15 定理 2.1 (5)によりAは T1 かつ完全正則、すなわち T3½ 空間である。
φ:C(A,R)→Rを環準同型とする。包含写像ι:A→Xによる引き戻しはι∗(f)=f∣Aを満たし、補題 1.1 (3)によりψ=φ∘ι∗は環準同型C(X,R)→Rであるから、Xが実コンパクトであることによりψ=evpを満たすp∈Xが存在する。
Zφ={Z(g)∣g∈C(A,R), φ(g)=0}とおく。g∈C(A,R)がφ(g)=0を満たすとし、p∈/Z(g)と仮定する。§E2.16 命題 4.3 (1)によりZ(g)はAの閉集合であるから、§E2.12 命題 4.6によりZ(g)=F∩Aを満たすXの閉集合Fがとれ、AがXの閉集合であることからZ(g)はXの閉集合である。Xは完全正則であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)によりf0(p)=0であってZ(g)のすべての点で値1をとる連続写像f0:X→[0,1]が存在する。f=1−f0とおくと§E2.16 補題 1.2 (1)によりf∈C(X,R)であり、f(p)=1であってZ(g)のすべての点でfは値0をとる。
h=f∣Aとおくとφ(h)=ψ(f)=f(p)=1であり、補題 1.6 (1)によりφ(h−1)=φ(h)−1=0である。よってZ(h−1)とZ(g)はどちらもZφに属し、補題 1.7 (1)によりZ(h−1)∩Z(g)∈Zφであるから、補題 1.6 (2)によりこの共通部分は空でない。一方Z(g)の各点でhは値0をとるから、Z(g)の点はZ(h−1)に属さず、Z(h−1)∩Z(g)=∅である。両立しない。
ゆえにφ(g)=0を満たすすべてのg∈C(A,R)についてp∈Z(g)である。とくにg=0をとるとp∈Z(0)=Aであり、p∈⋂Z∈ZφZである。補題 1.7 (3)によりφ=evpであり、Aは実コンパクトである。▨
定理 3.3.(Xλ)λ∈Λを実コンパクトな空間の族とし、X=∏λ∈ΛXλとする。このときXは実コンパクトである。
証明. 各Xλは T3½ 空間であるから、§E2.15 定理 2.8 (2)と§E2.15 定理 2.8 (5)によりXは T1 かつ完全正則、すなわち T3½ 空間である。λ∈Λに対してπλ:X→Xλを射影とすると、§E2.14 命題 1.2 (1)によりπλは連続である。
φ:C(X,R)→Rを環準同型とする。補題 1.1 (3)により、φλ(u)=φ(u∘πλ)で定まるφλ=φ∘πλ∗:C(Xλ,R)→Rは環準同型である。Xλは実コンパクトであるから、φλ=evaλを満たすaλ∈Xλが存在する。a=(aλ)λ∈Λ∈Xとおく。
φ=evaと仮定する。このときφ(f)=f(a)を満たすf∈C(X,R)が存在する。g=f−φ(f)とおくと、補題 1.6 (1)によりφ(g)=φ(f)−φ(f)=0であり、c=g(a)=f(a)−φ(f)=0である。
W={t∈R∣∣t∣>∣c∣/2}はRの開集合であるから、§E2.12 定義 1.1によりg−1(W)はXの開集合であり、a∈g−1(W)である。§E2.14 命題 1.3により、Λの有限部分集合{λ1,…,λn}と開集合Ui⊆Xλiであって
a∈N=i=1⋂nπλi−1(Ui)⊆g−1(W)を満たすものが存在する。各iについてXλi∖UiはXλiの閉集合でありaλiを含まないから、Xλiが完全正則であることと§E2.15 定義 1.7 (2)により、ui(aλi)=0であってXλi∖Uiのすべての点で値1をとる連続写像ui:Xλi→[0,1]が存在する。
v=i=1∑n(ui∘πλi)2,w=g2+vとおく。§E2.16 補題 1.2 (1)と補題 1.1 (2)によりv,w∈C(X,R)であり、φ(v)=∑i=1nφλi(ui)2=∑i=1nui(aλi)2=0であるからφ(w)=φ(g)2+φ(v)=0である。
x∈Nならばg(x)∈Wであるからw(x)≥g(x)2>c2/4>0である。x∈/Nならば、あるiについてπλi(x)∈/Uiでありui(πλi(x))=1であるからw(x)≥v(x)≥1>0である。ゆえにZ(w)=∅となり、補題 1.6 (2)と両立しない。
ゆえにφ=evaであり、Xは実コンパクトである。▨
系 3.4. 任意の集合Λに対してRΛは実コンパクトである。
証明.例 2.4 (2)によりRは実コンパクトであるから、定理 3.3を族(R)λ∈Λへ適用すればよい。▨
定理 3.5.Xを T3½ 空間、Λを空でない集合とし、(Aλ)λ∈ΛをXの実コンパクトな部分空間の族とする。このとき⋂λ∈ΛAλは実コンパクトである。
証明は演習とする(問題 7.1)。
定義 3.6.Xを位相空間、A⊆Xとする。C(A,R)のすべての元がX上の連続写像へ延長されるとき、すなわち任意のg∈C(A,R)に対してf∣A=gを満たすf∈C(X,R)が存在するとき、AはXに C-埋め込み (C-embedded) されているという。
定理 3.7.Xを T3½ 空間、A⊆XをXにC-埋め込みされた部分空間とする。Aが実コンパクトならば、AはXの閉集合である。
証明.p∈Aをとる。§E2.12 命題 4.7 (1)によりclA(A)=A∩A=Aであるから、Aは部分空間Aで稠密である。
g∈C(A,R)をとる。C-埋め込みの仮定によりgのXへの連続な延長が存在する。f1,f2∈C(X,R)をどちらもgの延長とすると、f1とf2のAへの制限は連続であってAのすべての点で一致するから、§E2.15 定理 3.2 (1)と§E2.22 補題 2.1によりAのすべての点で一致する。とくにf1(p)=f2(p)であり、この共通の値をφ(g)と書く。
g1,g2∈C(A,R)とその延長f1,f2∈C(X,R)をとると、§E2.16 補題 1.2 (1)によりf1+f2とf1f2はC(X,R)に属し、それぞれg1+g2とg1g2の延長である。またXの上で値1をとる定数写像はAの上で値1をとる定数写像の延長である。ゆえにφ(g1+g2)=φ(g1)+φ(g2)、φ(g1g2)=φ(g1)φ(g2)およびφ(1)=1が成り立ち、§E1.6 定義 1.1によりφは環準同型C(A,R)→Rである。
Aは実コンパクトであるからφ=evaを満たすa∈Aが存在する。p=aと仮定する。§E2.15 命題 1.5により{a}はXの閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)によりf(p)=0かつf(a)=1を満たす連続写像f:X→[0,1]が存在する。g=f∣Aとおくとfはgの延長であるからφ(g)=f(p)=0であり、一方φ(g)=g(a)=f(a)=1である。0=1であるから両立しない。ゆえにp=a∈Aである。
pは任意であったからA⊆Aであり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりAはXの閉集合である。▨
4 実数の冪の閉部分空間による特徴づけ
定義 4.1.Xを T3½ 空間とし、C=C(X,R)とおく。写像
eX:X→RC,eX(x)=(f(x))f∈CをXの 評価埋め込み (evaluation embedding) という。
定理 4.2.Xを T3½ 空間、C=C(X,R)とし、eX:X→RCを評価埋め込みとする。f∈Cに対してprf:RC→Rを第f成分への射影とする。
- eXは位相的埋め込みである。
- t∈RCについて、t∈eX(X)であることと、f↦prf(t)が環準同型C→Rであることは同値である。
- Xが実コンパクトであることと、eX(X)がRCの閉集合であることは同値である。
証明.(1)を示す。相異なるx,x′∈Xをとる。§E2.15 命題 1.5により{x′}はXの閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)によりf(x)=0かつf(x′)=1を満たす連続写像f:X→[0,1]が存在し、終域をRとみるとf∈Cである。ゆえに族(f)f∈Cは点を分離する。次にFをXの閉集合、x∈X∖Fとすると、§E2.15 定義 1.7 (2)によりf(x)=0であってFのすべての点で値1をとるf∈Cが存在する。f(F)⊆{1}であり、開区間(−21,21)はf(x)=0を含んでf(F)と交わらないから、§E2.11 命題 7.2 (2)によりf(x)∈/f(F)である。ゆえに族(f)f∈Cは点と閉集合を分離する。eXはこの族の対角写像であるから、§E2.14 系 6.7により位相的埋め込みである。
(2)を示す。t∈eX(X)とする。f,g∈Cに対して
Sf,g={s∈RC∣prf+g(s)=prf(s)+prg(s)}とおく。§E2.14 命題 1.2 (1)によりprf+g、prf、prgは連続であるからs↦prf+g(s)−prf(s)−prg(s)は連続であり、{0}はRの閉集合であるから、§E2.12 命題 1.6によりSf,gはRCの閉集合である。x∈Xについて(f+g)(x)=f(x)+g(x)であるからeX(X)⊆Sf,gであり、§E2.11 命題 2.5 (1)によりeX(X)⊆Sf,gである。同じ議論により、{s∣prfg(s)=prf(s)prg(s)}と{s∣pr1(s)=1}もeX(X)を含む閉集合であり、したがってeX(X)を含む。ゆえにf↦prf(t)は和と積と乗法単位元を保ち、§E1.6 定義 1.1により環準同型である。
逆にφ:C→Rを環準同型とし、prf(t)=φ(f)(f∈C)でt∈RCを定める。Zφ={Z(f)∣f∈C, φ(f)=0}とおく。Wをtの近傍とし、t∈W0⊆Wを満たすRCの開集合W0をとる。§E2.14 命題 1.3により、n∈Z≥1、f1,…,fn∈CとRの開集合U1,…,Unであって
t∈i=1⋂nprfi−1(Ui)⊆W0を満たすものが存在する(値0をとる定数写像とRを組に加えることによりn≥1としてよい)。補題 1.6 (1)により各iについてφ(fi−φ(fi))=0であるからZ(fi−φ(fi))∈Zφであり、補題 1.7 (1)によりその共通部分もZφに属するから、補題 1.6 (2)により空でない。その点xは各iについてfi(x)=φ(fi)∈Uiを満たすから、eX(x)∈⋂i=1nprfi−1(Ui)⊆Wである。Wは任意であったから§E2.11 命題 7.2 (2)によりt∈eX(X)である。
(3)を示す。Xが実コンパクトであるとし、t∈eX(X)をとる。(2)によりφ(f)=prf(t)で定まるφ:C→Rは環準同型であるから、φ=evxを満たすx∈Xが存在する。すべてのf∈Cについてprf(t)=f(x)=prf(eX(x))であるからt=eX(x)∈eX(X)である。ゆえにeX(X)=eX(X)であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりeX(X)はRCの閉集合である。
逆にeX(X)がRCの閉集合であるとし、φ:C→Rを環準同型とする。prf(t)=φ(f)(f∈C)でt∈RCを定めると、(2)によりt∈eX(X)であり、§E2.11 命題 2.5 (2)によりt∈eX(X)であるから、t=eX(x)を満たすx∈Xがとれる。すべてのf∈Cについてφ(f)=prf(t)=f(x)であるからφ=evxであり、Xは実コンパクトである。▨
定理 4.3.Xを T3½ 空間とする。次の三条件は同値である。
- Xは実コンパクトである。
- ある集合ΛとRΛの閉集合Aが存在して、Xは部分空間Aと同相である。
- 実コンパクトな距離空間の族(Mλ)λ∈Λと∏λ∈ΛMλの閉集合Aが存在して、Xは部分空間Aと同相である。
証明.(1)⇒(2)を示す。C=C(X,R)とおく。定理 4.2 (3)によりeX(X)はRCの閉集合であり、定理 4.2 (1)と§E2.12 定義 6.10によりXはeX(X)と同相である。
(2)⇒(3)を示す。Rはd(s,t)=∣s−t∣が定める距離空間であり、例 2.4 (2)により実コンパクトであるから、λ∈Λに対してMλ=Rとおけばよい。
(3)⇒(1)を示す。定理 3.3により∏λ∈ΛMλは実コンパクトであり、定理 3.2によりAは実コンパクトである。XからAへの同相写像の逆写像はAからXへの同相写像であるから、補題 3.1によりXは実コンパクトである。▨
5 Hewitt の実コンパクト化
定義 5.1.Xを空でない T3½ 空間とし、C=C(X,R)とおく。§E2.12 補題 6.4により
h(t)=1+∣t∣t(t∈R)はRから開区間(−1,1)への同相写像であり、以下hはこの写像を表す。u∈Cに対してh∘uの像は(−1,1)に含まれて有界であるから、§E2.22 系 3.4により、すべてのx∈Xについて(h∘u)β(x)=h(u(x))を満たす連続写像(h∘u)β:βX→Rがただ一つ定まる。βXの部分集合
υX=u∈C⋂((h∘u)β)−1((−1,1))を、Xの Hewitt の実コンパクト化 (Hewitt realcompactification) という。
命題 5.2.Xを空でない T3½ 空間とする。X⊆υX⊆βXであり、XはυXで稠密である。またυXは T3½ 空間である。
証明.x∈Xとu∈C(X,R)に対して(h∘u)β(x)=h(u(x))∈(−1,1)であるからx∈υXであり、X⊆υX⊆βXである。§E2.22 定理 2.2によりXはβXで稠密であるからclβX(X)=βXであり、§E2.12 命題 4.7 (1)によりclυX(X)=βX∩υX=υXである。ゆえにXはυXで稠密である。
§E2.22 定理 2.2によりβXはコンパクト Hausdorff 空間であるから、§E2.19 系 6.12により T3½ 空間であり、§E2.15 定理 2.1 (2)と§E2.15 定理 2.1 (5)によりυXは T1 かつ完全正則、すなわち T3½ 空間である。▨
命題 5.3.Xを空でない T3½ 空間とする。
- 各u∈C(X,R)に対して、すべてのx∈Xについてuυ(x)=u(x)を満たす連続写像uυ:υX→Rがただ一つ存在し、すべてのq∈υXについてh(uυ(q))=(h∘u)β(q)が成り立つ。
- 写像u↦uυは環同型C(X,R)→C(υX,R)であり、その逆写像はg↦g∣Xである。
証明.(1)を示す。u∈C(X,R)をとる。υXの定義により、q∈υXに対して(h∘u)β(q)∈(−1,1)である。ゆえに§E2.12 定理 4.4 (3)により、(h∘u)βのυXへの制限は終域を(−1,1)とする連続写像を定め、h−1:(−1,1)→Rは連続であるから、§E2.12 命題 1.10により
uυ(q)=h−1((h∘u)β(q))(q∈υX)は連続写像υX→Rを定める。このuυはh(uυ(q))=(h∘u)β(q)を満たし、x∈Xについてuυ(x)=h−1(h(u(x)))=u(x)である。g1,g2∈C(υX,R)がともにXのすべての点でuに一致するとすると、命題 5.2によりXはυXで稠密であり、§E2.15 定理 3.2 (1)によりRは Hausdorff であるから、§E2.22 補題 2.1によりg1=g2である。
(2)を示す。u,v∈C(X,R)をとる。§E2.16 補題 1.2 (1)によりuυ+vυとuυvυはC(υX,R)に属し、Xのすべての点でそれぞれu+vとuvに一致するから、(1)の一意性により(u+v)υ=uυ+vυかつ(uv)υ=uυvυである。υXの上で値1をとる定数写像はXの上で値1をとる定数写像に一致するから、同じ一意性により1υ=1である。ゆえに§E1.6 定義 1.1によりu↦uυは環準同型である。
g∈C(υX,R)をとると、g∣Xは連続であってgはXのすべての点でg∣Xに一致するから、(1)の一意性により(g∣X)υ=gである。またu∈C(X,R)に対してuυ∣X=uである。ゆえにu↦uυは全単射であり、その逆写像はg↦g∣Xである。▨
命題 5.4.Xを空でない T3½ 空間、p∈βXとする。次の二条件は同値である。
- p∈υXである。
- 任意のu∈C(X,R)に対して、すべてのx∈Xについてu~(x)=u(x)を満たす連続写像u~:X∪{p}→Rが存在する。
証明.(1)⇒(2)を示す。p∈υXとすると、命題 5.2によりX∪{p}⊆υXである。u∈C(X,R)に対して、命題 5.3 (1)のuυのX∪{p}への制限が求める写像である。
(2)⇒(1)を示す。u∈C(X,R)をとり、u~:X∪{p}→Rを第二条件の連続写像とする。§E2.22 定理 2.2によりXはβXで稠密であるから、§E2.12 命題 4.7 (1)によりclX∪{p}(X)=βX∩(X∪{p})=X∪{p}であり、XはX∪{p}で稠密である。(h∘u)βのX∪{p}への制限とh∘u~はどちらもX∪{p}の上で連続であり、x∈Xについて(h∘u)β(x)=h(u(x))=h(u~(x))である。§E2.15 定理 3.2 (1)によりRは Hausdorff であるから、§E2.22 補題 2.1によりこの二つは一致し、(h∘u)β(p)=h(u~(p))∈(−1,1)である。uは任意であったからp∈υXである。▨
定理 5.5.Xを空でない T3½ 空間、φ:C(X,R)→Rを環準同型とする。このとき、すべてのu∈C(X,R)についてφ(u)=uυ(p)を満たすp∈υXがただ一つ存在する。
証明.C=C(X,R)とおき、Zφ={Z(f)∣f∈C, φ(f)=0}とおく。補題 1.6 (1)によりu∈Cについてφ(u−φ(u))=φ(u)−φ(u)=0であるからZ(u−φ(u))∈Zφであり、補題 1.6 (2)によりZ(u−φ(u))=∅である。Au=clβX(Z(u−φ(u)))とおくと、AuはβXの空でない閉集合である。
k∈Z≥1とu1,…,uk∈Cをとると、補題 1.7 (1)により⋂i=1kZ(ui−φ(ui))はZφに属するから、補題 1.6 (2)により空でない。この共通部分は⋂i=1kAuiに含まれるから、族(Au)u∈Cは有限交差性をもつ。値0をとる定数写像はCに属するからC=∅であり、§E2.22 定理 2.2によりβXはコンパクトであるから、§E2.19 定理 3.2 (2)によりp∈⋂u∈CAuがとれる。
u∈Cをとる。Z(u−φ(u))の各点xではu(x)=φ(u)であるから(h∘u)β(x)=h(u(x))=h(φ(u))である。§E2.16 補題 1.2 (1)によりw=(h∘u)β−h(φ(u))はC(βX,R)に属し、§E2.16 命題 4.3 (1)によりZ(w)はβXの閉集合であってZ(u−φ(u))を含むから、§E2.11 命題 2.5 (1)によりAu⊆Z(w)である。ゆえに(h∘u)β(p)=h(φ(u))∈(−1,1)である。uは任意であったからp∈υXであり、命題 5.3 (1)によりh(uυ(p))=(h∘u)β(p)=h(φ(u))であるから、hが単射であることによりuυ(p)=φ(u)である。
p,q∈υXがどちらもすべてのu∈Cについてφ(u)=uυ(p)とφ(u)=uυ(q)を満たし、p=qであるとする。命題 5.2によりυXは T3½ 空間であり、§E2.15 命題 1.5により{q}はυXの閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)によりG(p)=0かつG(q)=1を満たす連続写像G:υX→[0,1]が存在する。命題 5.3 (2)により(G∣X)υ=Gであるから、u=G∣Xとおくとφ(u)=uυ(p)=0かつφ(u)=uυ(q)=1となり、両立しない。▨
定理 5.6.Xを空でない T3½ 空間とする。υXは実コンパクトである。
証明.命題 5.2によりυXは T3½ 空間である。ψ:C(υX,R)→Rを環準同型とする。命題 5.3 (2)と§E1.6 系 1.9 (2)により、φ(u)=ψ(uυ)で定まるφ:C(X,R)→Rは環準同型であるから、定理 5.5により、すべてのu∈C(X,R)についてφ(u)=uυ(p)を満たすp∈υXが存在する。g∈C(υX,R)をとると、命題 5.3 (2)によりg=(g∣X)υであるから
ψ(g)=ψ((g∣X)υ)=φ(g∣X)=(g∣X)υ(p)=g(p)である。ゆえにψ=evpであり、υXは実コンパクトである。▨
定理 5.7.Xを空でない T3½ 空間とする。Xが実コンパクトであるための必要十分条件は、βXの部分集合としてX=υXが成り立つことである。
証明. 必要性を示す。Xを実コンパクトとし、p∈υXをとる。補題 1.1 (1)によりevp:C(υX,R)→Rは環準同型であるから、命題 5.3 (2)と§E1.6 系 1.9 (2)により、φ(u)=uυ(p)で定まるφ:C(X,R)→Rは環準同型である。Xは実コンパクトであるからφ=evxを満たすx∈Xが存在する。命題 5.2によりx∈υXであり、すべてのu∈C(X,R)についてuυ(x)=u(x)=φ(u)であるから、定理 5.5の一意性によりp=x∈Xである。ゆえにυX⊆Xであり、命題 5.2と合わせてX=υXである。
十分性を示す。X=υXならば、定理 5.6によりXは実コンパクトである。▨
定理 5.8.Xを空でない T3½ 空間、Yを実コンパクトな空間、f:X→Yを連続写像とする。このとき、すべてのx∈XについてF(x)=f(x)を満たす連続写像F:υX→Yがただ一つ存在する。
証明.X=∅であるからY=∅であり、Yは実コンパクトであるから T3½ 空間である。v∈C(Y,R)に対して、定義 5.1をYへ適用して定まる連続写像を(h∘v)β:βY→Rと書く。§E2.22 定理 2.2によりβYはコンパクト Hausdorff 空間であるから、Y⊆βYへの合成X→βYに§E2.22 定理 3.2を適用すると、すべてのx∈Xについてfβ(x)=f(x)を満たす連続写像fβ:βX→βYが存在する。
p∈υXとv∈C(Y,R)をとる。§E2.12 命題 1.10によりv∘f∈C(X,R)であり、(h∘v)β∘fβと(h∘(v∘f))βはどちらもβXからRへの連続写像であって、x∈Xについて
(h∘v)β(fβ(x))=(h∘v)β(f(x))=h(v(f(x)))=(h∘(v∘f))β(x)である。§E2.22 定理 2.2によりXはβXで稠密であり、§E2.15 定理 3.2 (1)によりRは Hausdorff であるから、§E2.22 補題 2.1によりこの二つは一致する。p∈υXであるから(h∘(v∘f))β(p)∈(−1,1)であり、(h∘v)β(fβ(p))∈(−1,1)である。vは任意であったからfβ(p)∈υYであり、定理 5.7によりυY=Yであるからfβ(p)∈Yである。
ゆえにfβ(υX)⊆Yであり、§E2.12 定理 4.4 (3)により、fβのυXへの制限は終域をYとする連続写像F:υX→Yを定める。x∈XについてF(x)=fβ(x)=f(x)である。
F1,F2:υX→Yがともに連続であって、すべてのx∈XについてF1(x)=F2(x)=f(x)を満たすとする。§E2.15 定理 1.11 (2)と§E2.15 定理 1.11 (3)によりYは Hausdorff であり、命題 5.2によりXはυXで稠密であるから、§E2.22 補題 2.1によりF1=F2である。▨
命題 5.9.Xを空でない T3½ 空間、C=C(X,R)とし、eX:X→RCを評価埋め込みとする。E(p)=(uυ(p))u∈Cで定まる写像E:υX→RCは位相的埋め込みであり、E(υX)=eX(X)を満たし、Xの各点でeXに一致する。とくにυXはRCの部分空間eX(X)と同相である。
証明.命題 5.3 (1)により、x∈Xについてuυ(x)=u(x)であるからE(x)=eX(x)である。
命題 5.2によりυXは T3½ 空間であるから、定理 4.2 (1)により評価埋め込みeυX:υX→RC(υX,R)は位相的埋め込みである。命題 5.3 (2)によりu↦uυは全単射C→C(υX,R)であるから、これへ§E2.14 補題 1.7 (2)を適用すると、Θ(w)=(wuυ)u∈Cで定まる写像Θ:RC(υX,R)→RCは同相写像である。p∈υXについてΘ(eυX(p))=(uυ(p))u∈C=E(p)であるから、E=Θ∘eυXは位相的埋め込みである。
u∈Cに対してpru:RC→Rを第u成分への射影とする。p∈υXをとると、補題 1.1 (1)によりevp:C(υX,R)→Rは環準同型であるから、命題 5.3 (2)と§E1.6 系 1.9 (2)によりu↦uυ(p)=pru(E(p))は環準同型C→Rであり、定理 4.2 (2)によりE(p)∈eX(X)である。逆にt∈eX(X)をとると、定理 4.2 (2)によりφ(u)=pru(t)で定まるφ:C→Rは環準同型であるから、定理 5.5により、すべてのu∈Cについてφ(u)=uυ(p)を満たすp∈υXが存在し、t=E(p)である。ゆえにE(υX)=eX(X)である。▨
υXをeX(X)として定義する流儀があり、命題 5.9はその流儀と本記事の構成との対応を与える。
6 実コンパクトでない空間
命題 6.1.Xを空でない T3½ 空間とし、C(X,R)のすべての元の像がRの有界な部分集合であるとする。このときυX=βXである。とくに、そのようなXが実コンパクトならばXはコンパクトである。
証明.u∈C(X,R)をとる。仮定により、すべてのx∈Xについて∣u(x)∣≤Kを満たすK≥0が存在する。c=K/(1+K)とおくとK<1+Kであるからc<1である。x∈Xに対して∣u(x)∣≤Kから∣u(x)∣(1+K)≤K(1+∣u(x)∣)であり、両辺を正の数(1+∣u(x)∣)(1+K)で割ると
∣h(u(x))∣=1+∣u(x)∣∣u(x)∣≤cを得る。§E2.22 系 3.4によりm=inf(h∘u)(X)とM=sup(h∘u)(X)は実数として定まり、(h∘u)β(βX)⊆[m,M]が成り立つ。−cは(h∘u)(X)の下界でありcはその上界であるから−c≤mかつM≤cであり、c<1とあわせて[m,M]⊆(−1,1)を得る。ゆえに((h∘u)β)−1((−1,1))=βXである。uは任意であったから、υXの定義によりυX=βXである。
Xが実コンパクトであるとする。定理 5.7によりX=υXであるからX=βXであり、§E2.22 定理 2.2によりXはコンパクトである。▨
例 6.4.§E2.17 注意 4.1で定める順序数空間ω1は実コンパクトでない。ω1は実コンパクトな空間ω1+1の開部分空間であるから、実コンパクト性は開部分空間へ遺伝せず、定理 3.2の閉集合という仮定を外すことはできない。
証明.§E2.17 系 6.5によりω1は T4 かつ T1 空間であるから、§E2.18 系 3.3により T3½ 空間である。0∈ω1であるからω1=∅である。
u∈C(ω1,R)の像が有界でないとする。各n∈Z≥1について∣u(xn)∣>nを満たすxn∈ω1をとり、Fn={xk∣k≥n}とおく。xn∈FnであるからFnは空でない閉集合であり、{xk∣k≥n+1}⊆Fnと§E2.11 命題 2.5 (1)によりFn+1⊆Fnである。§E2.23 系 6.2によりω1は可算コンパクトであるから、§E2.23 系 2.3によりx∈⋂n∈Z≥1Fnがとれる。
V=u−1((u(x)−1,u(x)+1))とおくと、§E2.12 定義 1.1によりVはω1の開集合であってxを含む。§D1.4 命題 2.1により∣u(x)∣+1<Nを満たすN∈Z≥1がとれる。x∈FNであるから、§E2.11 命題 7.2 (2)によりV∩{xk∣k≥N}=∅であり、xk∈Vを満たすk≥Nが存在する。xk∈Vから∣u(xk)∣<∣u(x)∣+1<N≤kであり、∣u(xk)∣>kと両立しない。ゆえにC(ω1,R)のすべての元の像は有界である。
§E2.19 定理 7.2によりω1はコンパクトでないから、命題 6.1によりω1は実コンパクトでない。
§E2.19 定理 7.2と§E2.17 系 4.4によりω1+1はコンパクト Hausdorff 空間であるから、系 2.2により実コンパクトである。ω1=(−∞,ω1)は§E2.17 定義 1.1の基本開集合であるからω1+1の開集合である。▨
7 演習
解答.
A=⋂λ∈ΛAλとおき、P=∏λ∈ΛAλとする。定理 3.3によりPは実コンパクトである。πμ:P→Aμを射影とし、ιλ:A→Aλを包含写像とし、族(ιλ)λ∈Λの対角写像をδ:A→Pとする。
相異なるx,x′∈Aに対してιλ(x)=x=x′=ιλ(x′)であるから、族(ιλ)λ∈Λは点を分離する。FをAの閉集合、x∈A∖Fとすると、§E2.12 命題 4.6によりF=G∩Aを満たすXの閉集合Gがとれ、x∈/Fとx∈Aからx∈/Gである。§E2.11 命題 2.5 (1)によりclX(F)⊆Gであるからx∈/clX(F)であり、Λの元μを一つとると、§E2.12 命題 4.7 (1)によりclAμ(F)=clX(F)∩Aμであるからιμ(x)=x∈/clAμ(F)である。ゆえに族(ιλ)λ∈Λは点と閉集合を分離する。§E2.14 系 6.7によりδは位相的埋め込みであり、§E2.12 定義 6.10によりAはδ(A)と同相である。
t=(tλ)λ∈Λ∈P∖δ(A)をとる。すべてのλ,ν∈Λについてtλ=tνであるとすると、この共通の点xはすべてのAλに属するからx∈Aでありt=δ(x)となってt∈/δ(A)に反する。したがってtμ=tνを満たすμ,ν∈Λが存在する。§E2.15 定理 1.11 (2)と§E2.15 定理 1.11 (3)によりXは T2 空間であるから、tμ∈U、tν∈V、U∩V=∅を満たすXの開集合U,Vが存在する。N=πμ−1(U∩Aμ)∩πν−1(V∩Aν)とおくと、U∩AμとV∩AνはそれぞれAμとAνの開集合であるから、§E2.14 命題 1.2 (1)によりNはPの開集合でありt∈Nである。x∈Aがδ(x)∈Nを満たすとするとx∈Uかつx∈VとなりU∩V=∅に反するから、N∩δ(A)=∅である。ゆえにP∖δ(A)はPの開集合であり、δ(A)はPの閉集合である。
定理 3.2によりδ(A)は実コンパクトであり、とくに T3½ 空間である。δが定める同相写像A→δ(A)の逆写像はδ(A)からAへの同相写像であるから、補題 3.1によりAは実コンパクトである。▨
問題 7.2.Xを空でない T3½ 空間とする。Xが実コンパクトであるための必要十分条件は、βX∖Xの各点pに対して、すべてのx∈Xについてu~(x)=u(x)を満たす連続写像u~:X∪{p}→Rが存在しないようなu∈C(X,R)が存在することである。これを示せ。
解答.
必要性を示す。Xを実コンパクトとし、p∈βX∖Xをとる。定理 5.7によりυX=Xであるからp∈/υXである。任意のu∈C(X,R)がX∪{p}上の連続写像へ延長されると仮定すると、命題 5.4によりp∈υXとなり、両立しない。ゆえに、そのような延長をもたないu∈C(X,R)が存在する。
十分性を示す。p∈υXをとる。命題 5.2によりp∈βXである。命題 5.4により、任意のu∈C(X,R)に対して、すべてのx∈Xについてu~(x)=u(x)を満たす連続写像u~:X∪{p}→Rが存在する。p∈βX∖Xと仮定すると、条件により、そのような延長をもたないu∈C(X,R)が存在することになり、両立しない。ゆえにp∈Xである。pは任意であったからυX⊆Xであり、命題 5.2と合わせてX=υXであるから、定理 5.7によりXは実コンパクトである。▨
問題 7.3.Xを実コンパクトな空間、f∈C(X,R)とする。Z(f)が実コンパクトであることを示せ。
解答.
§E2.16 命題 4.3 (1)によりZ(f)はXの閉集合であるから、定理 3.2によりZ(f)は実コンパクトである。▨