§E2.41Σ-積

最終更新

稠密部分空間上の実数値連続関数が空間全体へ連続に延長するならば、その延長は一意である。しかし、稠密性だけでは延長の存在は保証されない。無限直積の稠密部分空間を選ぶときには、どのような部分空間であれば、すべての実数値連続関数を全直積へ延長することができるかが問題となる。

空でない T3½ 空間の直積に基点を固定し、基点と異なる座標が高々可算である点の全体を Σ-積という。Σ-積は無限直積の稠密部分空間を与える基本的な構成の一つである。たとえばΣ(Rω1,0)\Sigma(\R^{\omega_1},0)では、非零座標が高々可算である点だけを残してもRω1\R^{\omega_1}での稠密性は保たれる。

すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact、すなわち空でない開集合からなる任意の局所有限族が高々可算であるならば、Σ-積上の各実数値連続関数は高々可算な部分積を連続に経由する。そのため、Σ-積は全直積にCC-埋め込まれ、両者の Stone–Čech のコンパクト化が一致する。一方、全直積の Stone–Čech のコンパクト化を各因子のコンパクト化の直積に同定するには、別の条件が関わる。全直積の擬コンパクト性は後者の同定を保証するが、有限部分積がすべて擬コンパクトであるという条件だけでは十分でない。本記事では、Σ-積上の関数の延長と無限直積のコンパクト化を定める条件を扱い、あわせて Corson コンパクト空間の距離化可能性を caliberℵ1\aleph_1によって特徴づける。

1 pseudo-ℵ₁-compact 空間

定義 1.1. 位相空間XXの空でない開集合からなる任意の局所有限な族(Uα)α∈A(U_\alpha)_{\alpha\in A}について、添字集合AAが高々可算であるとき、XXはpseudo-ℵ₁-compact (pseudo-ℵ₁-compact) であるという。

命題 1.2. 擬コンパクトな T3½ 空間の空でない開集合からなる局所有限な族は有限である。とくに、擬コンパクトな T3½ 空間は pseudo-ℵ₁-compact である。

証明. 無限な局所有限族が存在すれば、§E1.21 命題 4.2 (4)と§E1.21 命題 2.5 (1)により可算無限な部分族を取り出すことができる。この部分族も局所有限であり、擬コンパクト性の特徴づけ§E2.36 定理 3.4 (2)に反する。▨

命題 1.3. 可算鎖条件をもつ位相空間は pseudo-ℵ₁-compact である。

証明.(Uα)α∈A(U_\alpha)_{\alpha\in A}をXXの空でない開集合からなる局所有限族とする。空でない開集合VVのうち、V∩Uα≠∅V\cap U_\alpha\ne\emptysetとなる添字α\alphaが有限個であるものを考える。それらからなる互いに交わらない集合族V\mathcal Vを、包含関係について極大にとる。このような極大族は、包含順序に関する鎖の合併も同じ条件を満たすことと§E1.20 定理 2.1 (3)から存在する。可算鎖条件によりV\mathcal Vは高々可算である。

⋃V\bigcup\mathcal VはXXで稠密である。実際、その閉包を避ける空でない開集合があれば、局所有限性によってその中に上の条件を満たす空でない開集合をとり、V\mathcal Vに追加することができ、極大性に反する。したがって各UαU_\alphaはあるV∈VV\in\mathcal Vと交わる。各VVと交わるUαU_\alphaの添字は有限個なので、§E1.18 定理 6.3 (2)によりAAは高々可算である。▨

補題 1.4. 可分空間は pseudo-ℵ₁-compact である。

証明.§E2.40 命題 3.4 (2)により可分空間は可算鎖条件をもつので、命題 1.3により pseudo-ℵ₁-compact である。▨

補題 1.5.XXを pseudo-ℵ₁-compact な空間、YYを位相空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを像が稠密な連続写像とする。このときYYは pseudo-ℵ₁-compact である。

証明.YYの空でない開集合からなる局所有限族(Uα)α∈A(U_\alpha)_{\alpha\in A}をとる。像の稠密性と§E2.36 命題 3.2 (2)により、(f−1(Uα))α∈A(f^{-1}(U_\alpha))_{\alpha\in A}はXXの空でない開集合からなる局所有限族である。したがってAAは高々可算である。▨

定理 1.6.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない位相空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとする。aaと異なる座標が有限個である点の全体をσ(P,a)\sigma(P,a)とおき、σ(P,a)⊆D⊆P\sigma(P,a)\subseteq D\subseteq Pとする。すべての有限部分積∏i∈FXi\prod_{i\in F}X_iが pseudo-ℵ₁-compact ならば、DDは pseudo-ℵ₁-compact である。

証明.DDの空でない開集合からなる非可算な局所有限族が存在すると仮定する。§E1.21 定理 5.1 (7)と§E1.21 命題 2.5 (1)により濃度ℵ1\aleph_1の部分族をとる。§E2.12 定義 4.1、§E2.14 命題 1.3および§E2.13 命題 1.2により、各開集合はBα∩DB_\alpha\cap Dの形の空でない開集合を含む。ここで

Bα=⋂i∈Fαπi−1(Vα,i)(α<ω1)B_\alpha=\bigcap_{i\in F_\alpha}\pi_i^{-1}(V_{\alpha,i})\quad(\alpha<\omega_1)

であり、FαF_\alphaは有限集合、Vα,iV_{\alpha,i}は空でない開集合である。§E1.23 定理 2.10と§E2.40 定理 1.2により、添字を濃度ℵ1\aleph_1の部分集合AAに制限すると、(Fα)α∈A(F_\alpha)_{\alpha\in A}は有限集合rrを根とする Δ-システムになる。

Pr=∏i∈rXiP_r=\prod_{i\in r}X_iにおける空でない開集合Cα=∏i∈rVα,iC_\alpha=\prod_{i\in r}V_{\alpha,i}の族は、PrP_rの pseudo-ℵ₁-compact 性によって局所有限ではない。したがって、あるt∈Prt\in P_rの任意の近傍は無限個のCαC_\alphaと交わる。z∣r=tz|_r=t、zi=aiz_i=a_i(i∉ri\notin r)によってz∈σ(P,a)z\in\sigma(P,a)を定める。

zzの任意の基本近傍W=⋂i∈Eπi−1(Wi)W=\bigcap_{i\in E}\pi_i^{-1}(W_i)をとり、指定座標の有限集合EEにrrを加えておく。rr上の近傍∏i∈rWi\prod_{i\in r}W_iは無限個のCαC_\alphaと交わる。集合Fα∖rF_\alpha\setminus rは互いに交わらないので、そのうち有限個を除けば(Fα∖r)∩E=∅(F_\alpha\setminus r)\cap E=\emptysetである。そのようなα\alphaについて、rr上では∏i∈rWi∩Cα\prod_{i\in r}W_i\cap C_\alphaの点、E∖rE\setminus r上ではaia_i、Fα∖rF_\alpha\setminus r上ではVα,iV_{\alpha,i}の点を選び、残りの座標をaia_iとすれば、W∩Bα∩σ(P,a)W\cap B_\alpha\cap\sigma(P,a)の点を得る。ゆえにzzの任意の近傍は無限個のBα∩DB_\alpha\cap Dと交わる。これは縮小した族の局所有限性に反するので、DDは pseudo-ℵ₁-compact である。▨

系 1.7. 空でない位相空間の直積が pseudo-ℵ₁-compact であることと、すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact であることは同値である。

証明. 有限部分積への射影は連続な全射なので、補題 1.5により一方の含意が従う。逆の含意は定理 1.6をD=PD=Pに適用すれば従う。▨

2 Σ-積

定義 2.1.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_iとし、a∈Pa\in Pを固定する。aaを基点 (base point) とするΣ-積 (Σ-product) を

Σ(P,a)={x∈P:{i∈I:xi≠ai} は高々可算}\Sigma(P,a)=\{x\in P:\{i\in I:x_i\ne a_i\}\text{ は高々可算}\}

と定める。

補題 2.2.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとする。

  1. aaと異なる座標が有限個である点はすべてΣ(P,a)\Sigma(P,a)に属する。
  2. Σ(P,a)\Sigma(P,a)はPPで稠密である。
  3. 高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iについて、PJ=∏i∈JXiP_J=\prod_{i\in J}X_iへの射影πJ∣Σ(P,a)\pi_J|_{\Sigma(P,a)}は全射であり、sJ(t)∣J=ts_J(t)|_J=t、sJ(t)i=ais_J(t)_i=a_i(i∉Ji\notin J)によって定まる連続な切断sJ ⁣:PJ→Σ(P,a)s_J\colon P_J\to\Sigma(P,a)をもつ。

証明. 演習とする。▨

3 Corson コンパクト空間と距離化

定義 3.1 (点可算族). 集合XXの部分集合の族(Uα)α∈A(U_\alpha)_{\alpha\in A}が点可算 (point-countable) であるとは、各x∈Xx\in Xに対して{α∈A:x∈Uα}\{\alpha\in A:x\in U_\alpha\}が高々可算であることをいう。

命題 3.2.XXを位相空間、κ\kappaを無限基数とする。次の三条件は同値である。

  1. κ\kappaはXXの caliber である。
  2. 空でない開集合の任意の族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}に対して、∣{α<κ:x∈Uα}∣=κ\lvert\{\alpha<\kappa:x\in U_\alpha\}\rvert=\kappaとなる点x∈Xx\in Xが存在する。
  3. 空でない開集合の族(Uα)α∈A(U_\alpha)_{\alpha\in A}が、すべてのx∈Xx\in Xについて∣{α∈A:x∈Uα}∣<κ\lvert\{\alpha\in A:x\in U_\alpha\}\rvert<\kappaを満たすならば、∣A∣<κ\lvert A\rvert<\kappaである。

証明. 濃度κ\kappaの部分族の共通点は、その部分族のすべての添字に対応する開集合に属する。逆に、濃度κ\kappa個の添字に対応する開集合に属する点をとれば、それらの開集合の共通部分は空でない。したがって(1)⇔\Leftrightarrow(2)が成り立つ。

(2)を仮定し、(3)の族をとる。∣A∣≥κ\lvert A\rvert\geq\kappaならば、濃度κ\kappaの部分集合B⊆AB\subseteq Aを選ぶことができる。(Uα)α∈B(U_\alpha)_{\alpha\in B}に(2)を適用すると、少なくともκ\kappa個の添字に対応する開集合に属する点が存在し、族の仮定に反する。よって∣A∣<κ\lvert A\rvert<\kappaである。

(3)を仮定し、空でない開集合の族(Uα)α<κ(U_\alpha)_{\alpha<\kappa}をとる。すべての点が属する添字の個数がκ\kappa未満ならば、(3)により添字集合の濃度がκ\kappa未満となり、矛盾する。したがって(2)が成り立つ。▨

系 3.3. 位相空間XXがℵ1\aleph_1を caliber にもつことと、XXの空でない開集合からなる点可算な族の添字集合が常に高々可算であることは同値である。とくに、点可算な開基をもち、ℵ1\aleph_1を caliber にもつ空間は第二可算である。

証明.§E1.21 定理 5.1 (7)により、濃度がℵ1\aleph_1未満であることと高々可算であることは同値なので、前半は命題 3.2をκ=ℵ1\kappa=\aleph_1に適用すれば従う。後半では、点可算な開基から空集合を除き、その開基の元自身を添字とする族に前半を適用する。得られる開基は高々可算である。▨

定義 3.4 (Corson コンパクト空間). ある集合IIに対するΣ(RI,0)\Sigma(\R^I,0)のコンパクト部分空間と同相な空間を、Corson コンパクト空間 (Corson compact space) という。

定理 3.5.IIを集合、YYをΣ(RI,0)\Sigma(\R^I,0)の部分空間とし、

J(Y)={i∈I:ある y∈Y に対して yi≠0}J(Y)=\{i\in I:\text{ある }y\in Y\text{ に対して }y_i\ne0\}

とおく。次の三条件は同値である。

  1. YYはℵ1\aleph_1を caliber にもつ。
  2. J(Y)J(Y)は高々可算である。
  3. YYは第二可算である。

これらの条件が成り立つとき、YYは高々可算個の実数直線の直積RJ(Y)\R^{J(Y)}の部分空間と同相であり、距離化可能である。

証明.(1)を仮定する。各i∈J(Y)i\in J(Y)に対して

Ui={y∈Y:yi≠0}U_i=\{y\in Y:y_i\ne0\}

とおく。射影の連続性によりUiU_iは開集合であり、J(Y)J(Y)の定義により空でない。各y∈Yy\in Yが属する添字の集合は{i∈I:yi≠0}\{i\in I:y_i\ne0\}であり、Σ-積の定義により高々可算である。したがって(Ui)i∈J(Y)(U_i)_{i\in J(Y)}は点可算であり、系 3.3によりJ(Y)J(Y)は高々可算である。

(2)を仮定する。射影を制限した写像p ⁣:Y→RJ(Y)p\colon Y\to\R^{J(Y)}は単射である。実際、J(Y)J(Y)の外の座標ではすべてのy∈Yy\in Yの成分が00である。p(Y)p(Y)からYYへの逆写像は、J(Y)J(Y)の外に00を補う写像であり、各成分が射影または定数写像なので§E2.14 定理 1.6により連続である。したがってppは像への同相写像である。

§E2.13 例 5.2によるR\Rの高々可算な開基をB\mathcal Bとする。有限個の座標をB\mathcal Bの元で制限した柱状集合は、§E2.14 命題 1.3によりRJ(Y)\R^{J(Y)}の開基をなす。J(Y)J(Y)とB\mathcal Bは高々可算なので、そのような有限個の指定の全体は§E1.18 定理 6.3 (2)と§E1.18 定理 5.2 (1)により高々可算である。§E2.13 命題 3.2により、この開基をp(Y)p(Y)に制限すると高々可算な開基を得る。よって(3)が成り立つ。

(3)を仮定すると、§E2.13 定理 6.2によりYYは可分である。§E1.23 定理 2.10と§E2.40 命題 2.6 (4)により、YYはℵ1\aleph_1を caliber にもつ。

J(Y)J(Y)が可算無限ならば、§E2.14 系 3.2によりRJ(Y)\R^{J(Y)}は距離化可能である。J(Y)J(Y)が空でない有限集合ならば、距離d(s,t)=max⁡i∈J(Y)∣si−ti∣d(s,t)=\max_{i\in J(Y)}|s_i-t_i|の開球が各成分の同じ半径の開球の直積となるので、この距離は積位相を生成する。J(Y)=∅J(Y)=\emptysetならば直積は一点空間であり距離化可能である。いずれの場合も、p(Y)p(Y)には制限距離を入れることができるので、YYは距離化可能である。▨

系 3.6. Corson コンパクト空間KKについて、次の五条件は同値である。

  1. KKはℵ1\aleph_1を caliber にもつ。
  2. KKはℵ1\aleph_1を precaliber にもつ。
  3. KKは可分である。
  4. KKは第二可算である。
  5. KKは距離化可能である。

とくに、ある集合AAに対する2A2^Aからの連続全射が存在する Corson コンパクト空間は距離化可能である。ここで22は二点離散空間である。

証明.KKと同相なコンパクト部分空間Y⊆Σ(RI,0)Y\subseteq\Sigma(\R^I,0)をとる。§E2.15 定理 3.2 (1)、§E2.15 定理 2.8 (3)および§E2.15 定理 2.1 (3)により、KKはコンパクト Hausdorff 空間である。§E2.40 定理 2.4により(1)⇔\Leftrightarrow(2)が成り立つ。

定理 3.5により(1)⇔\Leftrightarrow(4)と(4)⇒\Rightarrow(5)が成り立つ。§E2.13 定理 6.2により(4)⇒\Rightarrow(3)が成り立ち、§E1.23 定理 2.10と§E2.40 命題 2.6 (4)により(3)⇒\Rightarrow(1)が成り立つ。さらに、§E2.13 補題 5.10により(5)⇒\Rightarrow(4)が成り立つので、五条件は同値である。

連続全射2A→K2^A\to Kが存在するとき、§E2.40 系 2.17と§E2.40 命題 2.6 (1)によりKKはℵ1\aleph_1を caliber にもつ。したがってKKは距離化可能である。▨

例 3.7.Σ(Rω1,0)\Sigma(\R^{\omega_1},0)はRω1\R^{\omega_1}の稠密部分空間であり、非可算共終数をもつすべての基数を precaliber にもつ。とくに可算鎖条件をもつ。しかし、Σ(Rω1,0)\Sigma(\R^{\omega_1},0)はℵ1\aleph_1を caliber にもたない。一方、Rω1\R^{\omega_1}はℵ1\aleph_1を caliber にもつ。

証明.§E2.13 例 5.2と§E2.13 定理 6.2によりR\Rは可分なので、§E2.40 系 2.14によりRω1\R^{\omega_1}は非可算共終数をもつすべての基数を caliber および precaliber にもつ。補題 2.2 (2)による稠密性と§E2.40 命題 2.7により、Σ(Rω1,0)\Sigma(\R^{\omega_1},0)もそれらの基数を precaliber にもつ。とくに§E1.23 定理 2.10と§E2.40 命題 3.2により可算鎖条件をもつ。

一方、Uα={x∈Σ(Rω1,0):xα≠0}U_\alpha=\{x\in\Sigma(\R^{\omega_1},0):x_\alpha\ne0\}は空でない開集合であり、A⊆ω1A\subseteq\omega_1が非可算ならば⋂α∈AUα=∅\bigcap_{\alpha\in A}U_\alpha=\emptysetである。実際、共通点があればその非零座標の集合が非可算となり、Σ-積の定義に反する。したがってΣ(Rω1,0)\Sigma(\R^{\omega_1},0)はℵ1\aleph_1を caliber にもたない。▨

4 Σ-積と連続関数

定理 4.1.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏i∈IXiP=\prod_{i\in I}X_i、a∈Pa\in Pとし、J⊆IJ\subseteq Iに対してPJ=∏i∈JXiP_J=\prod_{i\in J}X_iとおく。次の三条件は同値である。

  1. PPは擬コンパクトである。
  2. 任意の高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iに対してPJP_Jは擬コンパクトである。
  3. Σ(P,a)\Sigma(P,a)は擬コンパクトである。

証明.(1)を仮定する。部分積への射影は連続な全射なので、§E2.36 補題 1.4により(2)が成り立つ。

(2)を仮定し、Σ(P,a)\Sigma(P,a)上に非有界な連続関数f ⁣:Σ(P,a)→Rf\colon\Sigma(P,a)\to\Rがあるとする。各n∈N≥1n\in\NNに対して∣f(x(n))∣>n|f(x^{(n)})|>nとなるx(n)∈Σ(P,a)x^{(n)}\in\Sigma(P,a)をとり、

J=⋃n∈N≥1{i∈I:xi(n)≠ai}J=\bigcup_{n\in\NN}\{i\in I:x_i^{(n)}\ne a_i\}

とおく。§E1.18 定理 6.3 (2)によりJJは高々可算である。補題 2.2 (3)の切断sJ ⁣:PJ→Σ(P,a)s_J\colon P_J\to\Sigma(P,a)はsJ(x(n)∣J)=x(n)s_J(x^{(n)}|_J)=x^{(n)}を満たすので、連続関数f∘sJf\circ s_Jは非有界である。これはPJP_Jの擬コンパクト性に反する。したがってΣ(P,a)\Sigma(P,a)上の実数値連続関数はすべて有界であり、(3)が成り立つ。

(3)を仮定すると、補題 2.2 (2)と§E2.36 補題 1.4により(1)が成り立つ。▨

系 4.2.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとする。すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact ならば、Σ(P,a)\Sigma(P,a)は pseudo-ℵ₁-compact である。

証明.補題 2.2 (1)と定理 1.6を適用する。▨

定理 4.3.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとする。すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact ならば、任意の連続写像f ⁣:Σ(P,a)→Rf\colon\Sigma(P,a)\to\Rに対して、高々可算な集合J⊆IJ\subseteq Iと連続写像g ⁣:∏i∈JXi→Rg\colon\prod_{i\in J}X_i\to\Rが存在して、f=g∘πJ∣Σ(P,a)f=g\circ\pi_J|_{\Sigma(P,a)}となる。

証明.Σ=Σ(P,a)\Sigma=\Sigma(P,a)とおく。高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iであって、x∣J=y∣Jx|_J=y|_Jならばf(x)=f(y)f(x)=f(y)となるものが存在しないと仮定する。このとき、あるε>0\varepsilon>0が存在して、任意の高々可算なJJに対しx∣J=y∣Jx|_J=y|_Jかつ∣f(x)−f(y)∣>ε|f(x)-f(y)|>\varepsilonを満たすx,y∈Σx,y\in\Sigmaが存在する。実際、そうでなければ各n∈N≥1n\in\NNに対して∣f(x)−f(y)∣≤1/n|f(x)-f(y)|\leq1/nを保証する高々可算なJnJ_nがあり、§E1.18 定理 6.3 (2)によって高々可算な⋃nJn\bigcup_nJ_nがffの値を定める。

J0=∅J_0=\emptysetとして、α<ω1\alpha<\omega_1に関する再帰でJα,xα,yα,Bα,CαJ_\alpha,x^\alpha,y^\alpha,B_\alpha,C_\alphaを選ぶ。高々可算なJαJ_\alphaが与えられたら、xα∣Jα=yα∣Jαx^\alpha|_{J_\alpha}=y^\alpha|_{J_\alpha}かつ∣f(xα)−f(yα)∣>ε|f(x^\alpha)-f(y^\alpha)|>\varepsilonを満たす二点を選び、その基本近傍Bα,Cα⊆PB_\alpha,C_\alpha\subseteq Pを

∣f(u)−f(xα)∣<ε/3(u∈Bα∩Σ),∣f(v)−f(yα)∣<ε/3(v∈Cα∩Σ)|f(u)-f(x^\alpha)|<\varepsilon/3\quad(u\in B_\alpha\cap\Sigma),\qquad |f(v)-f(y^\alpha)|<\varepsilon/3\quad(v\in C_\alpha\cap\Sigma)

となるようにとる。両近傍の指定座標集合を同じ有限集合FαF_\alphaにそろえ、Fα∩JαF_\alpha\cap J_\alpha上の開集合は共通の座標値を含む交わりに置き換える。Jα+1=Jα∪FαJ_{\alpha+1}=J_\alpha\cup F_\alphaとし、極限段ではJα=⋃ξ<αJξJ_\alpha=\bigcup_{\xi<\alpha}J_\xiとする。§E1.21 定理 5.1 (2)と§E1.18 定理 6.3 (2)により各段のJαJ_\alphaは高々可算であり、§E1.17 定理 2.1によって再帰を続けることができる。Tα=Fα∖JαT_\alpha=F_\alpha\setminus J_\alphaは互いに交わらない。

z∈Σz\in\Sigmaに対し、ffの振動がε/6\varepsilon/6未満である基本近傍W∩ΣW\cap\Sigmaをとり、WWの指定座標集合をEEとする。E∩Tα≠∅E\cap T_\alpha\ne\emptysetとなるα\alphaは有限個しかない。それ以外のα\alphaについてu∈W∩Bα∩Σu\in W\cap B_\alpha\cap\Sigmaが存在すると、uuのTαT_\alpha上の座標だけをyαy^\alphaの座標に置き換えた点vvはW∩Cα∩ΣW\cap C_\alpha\cap\Sigmaに属する。実際、JαJ_\alpha上の制約は両近傍で同じであり、TαT_\alphaはEEと交わらず、変更した座標は有限個である。ところが上の評価から∣f(u)−f(v)∣>ε/3|f(u)-f(v)|>\varepsilon/3となり、W∩ΣW\cap\Sigmaでの振動の評価に反する。したがって(Bα∩Σ)α<ω1(B_\alpha\cap\Sigma)_{\alpha<\omega_1}は局所有限である。この非可算族は系 4.2に反する。

ゆえにffの値を定める高々可算なJJが存在する。補題 2.2 (3)の切断を用いてg=f∘sJg=f\circ s_Jとおけばggは連続であり、sJ(πJ(x))∣J=x∣Js_J(\pi_J(x))|_J=x|_Jによりf(x)=g(πJ(x))f(x)=g(\pi_J(x))である。▨

系 4.4.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族とし、すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact であるとする。このとき、任意の連続写像f ⁣:∏iXi→Rf\colon\prod_iX_i\to\Rに対して、高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iと連続写像g ⁣:∏i∈JXi→Rg\colon\prod_{i\in J}X_i\to\Rが存在してf=g∘πJf=g\circ\pi_Jとなる。

証明. 基点aaをとり、f∣Σ(P,a)f|_{\Sigma(P,a)}に定理 4.3を適用する。得られたg∘πJg\circ\pi_Jとffは稠密部分集合Σ(P,a)\Sigma(P,a)上で一致するので、§E2.22 補題 2.1によりPP上で一致する。▨

系 4.5.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとする。すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact ならば、Σ(P,a)\Sigma(P,a)はPPにCC-埋め込みされる。各連続実数値関数の延長は一意であり、延長前後の値域は等しい。

証明.定理 4.3で得たg∘πJg\circ\pi_Jはffの延長であり、補題 2.2 (3)の全射性によりg(πJ(P))=f(Σ(P,a))g(\pi_J(P))=f(\Sigma(P,a))である。一意性は補題 2.2 (2)と§E2.22 補題 2.1による。▨

定理 4.6.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとし、すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact であるとする。このとき、Σ(P,a)\Sigma(P,a)の各点を固定する同相βΣ(P,a)≅βP\beta\Sigma(P,a)\cong\beta Pが存在する。各因子がコンパクト Hausdorff 空間であれば、βΣ(P,a)≅P\beta\Sigma(P,a)\cong Pである。

証明.Σ(P,a)\Sigma(P,a)はPPで稠密であり、PPはβP\beta Pで稠密なので、βP\beta PはΣ(P,a)\Sigma(P,a)のコンパクト化である。系 4.5によりf∈Cb(Σ(P,a),R)f\in C_b(\Sigma(P,a),\R)はPP上の有界連続関数に延長し、§E2.22 系 3.4によりさらにβP\beta Pへ延長する。したがって、このコンパクト化の延長関数代数はCb(Σ(P,a),R)C_b(\Sigma(P,a),\R)である。§E2.33 例 4.2と§E2.33 定理 2.2によりβΣ(P,a)≅βP\beta\Sigma(P,a)\cong\beta Pである。

各因子がコンパクト Hausdorff であれば、§E2.19 定理 8.2と§E2.15 定理 2.8 (3)によりPPもコンパクト Hausdorff であり、§E2.22 例 7.2 (1)によりβP=P\beta P=Pである。▨

定理 4.7.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとし、{i∈I:∣Xi∣≥2}\{i\in I:|X_i|\geq2\}は非可算であるとする。次の四条件は同値である。

  1. すべての有限部分積が pseudo-ℵ₁-compact である。
  2. PPは pseudo-ℵ₁-compact である。
  3. Σ(P,a)\Sigma(P,a)は pseudo-ℵ₁-compact である。
  4. 任意の連続写像f ⁣:Σ(P,a)→Rf\colon\Sigma(P,a)\to\Rは、高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iに対する射影πJ∣Σ(P,a)\pi_J|_{\Sigma(P,a)}と、連続写像∏i∈JXi→R\prod_{i\in J}X_i\to\Rとの合成である。

証明.(1)⇔\Leftrightarrow(2)は系 1.7による。(1)⇒\Rightarrow(3)は系 4.2による。補題 2.2 (3)と補題 1.5により(3)⇒\Rightarrow(1)が成り立つ。(1)⇒\Rightarrow(4)は定理 4.3による。

(4)⇒\Rightarrow(1)を示す。(4)を仮定し、ある有限部分積PFP_Fが pseudo-ℵ₁-compact でないと仮定する。空でない開集合からなる局所有限族(Uα)α<ω1(U_\alpha)_{\alpha<\omega_1}と点tα∈Uαt^\alpha\in U_\alphaをとる。完全正則性により、uα ⁣:PF→[0,1]u_\alpha\colon P_F\to[0,1]をuα(tα)=1u_\alpha(t^\alpha)=1、uα∣PF∖Uα=0u_\alpha|_{P_F\setminus U_\alpha}=0となるようにとる。非自明な因子が非可算個あるので、I∖FI\setminus Fの相異なる添字iαi_\alphaと点bα∈Xiα∖{aiα}b_\alpha\in X_{i_\alpha}\setminus\{a_{i_\alpha}\}をとることができる。再び完全正則性により、hα ⁣:Xiα→[0,1]h_\alpha\colon X_{i_\alpha}\to[0,1]をhα(aiα)=0h_\alpha(a_{i_\alpha})=0、hα(bα)=1h_\alpha(b_\alpha)=1となるようにとる。

族(πF−1(Uα))(\pi_F^{-1}(U_\alpha))は局所有限なので、§E2.36 補題 3.3により

f(x)=∑α<ω1uα(x∣F)hα(xiα)f(x)=\sum_{\alpha<\omega_1}u_\alpha(x|_F)h_\alpha(x_{i_\alpha})

はPP上で連続である。任意の高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iに対し、iα∉Ji_\alpha\notin Jとなるα\alphaを選ぶ。x∣F=tαx|_F=t^\alpha、xi=aix_i=a_i(i∉Fi\notin F)とし、yyをxxの第iαi_\alpha座標だけbαb_\alphaに置き換えた点とする。両点はΣ(P,a)\Sigma(P,a)に属し、x∣J=y∣Jx|_J=y|_Jであるが、f(x)=0f(x)=0、f(y)=1f(y)=1である。したがってf∣Σ(P,a)f|_{\Sigma(P,a)}はどの高々可算な座標集合も経由せず、(4)に反する。よって(1)が成り立つ。▨

注意 4.8. 添字集合IIが高々可算ならばΣ(P,a)=P\Sigma(P,a)=Pであり、定理 4.7 (4)はJ=IJ=Iとして常に成り立つ。しかし、たとえばIIが一点集合で唯一の因子が非可算な離散空間であるとき、その一点集合の族は非可算な局所有限開集合族なので、定理 4.7 (1)は成り立たない。したがって定理 4.7の非可算性の仮定を落とすことはできない。

例 4.9. Cantor 立方体2ω12^{\omega_1}において、S=Σ(2ω1,0)S=\Sigma(2^{\omega_1},0)は非コンパクトな真の稠密部分空間であり、SSの各点を固定する同相βS≅2ω1\beta S\cong2^{\omega_1}が存在する。

証明. すべての座標が11である点は、非零座標が非可算個あるのでSSに属さない。一方、補題 2.2 (2)によりSSは2ω12^{\omega_1}で稠密なので、SSは閉集合でない。2ω12^{\omega_1}は Hausdorff であるから、§E2.19 命題 6.4によりSSはコンパクトでない。各因子22は有限離散空間でありコンパクト Hausdorff なので、定理 4.6によりβS≅2ω1\beta S\cong2^{\omega_1}である。▨

5 無限直積のコンパクト化

定理 5.1.IIを空でない集合、(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族とし、各i∈Ii\in IについてXi⊆KiX_i\subseteq K_iをコンパクト化とする。

P=∏i∈IXi,P−i=∏j∈I∖{i}Xj,K=∏i∈IKi,Li=Ki×βP−iP=\prod_{i\in I}X_i,\qquad P_{-i}=\prod_{j\in I\setminus\{i\}}X_j,\qquad K=\prod_{i\in I}K_i,\qquad L_i=K_i\times\beta P_{-i}

とおく。PPのコンパクト化LLに連続に延長することができる有界実数値連続関数の代数をA(L)A(L)と書く。このとき

A(K)=⋂i∈IA(Li),inf⁡i∈I[Ki×βP−i]=[∏i∈IKi]A(K)=\bigcap_{i\in I}A(L_i),\qquad \inf_{i\in I}[K_i\times\beta P_{-i}] =\left[\prod_{i\in I}K_i\right]

が成り立つ。下限はPPのコンパクト化の同相類の順序についてとる。

特に、すべてのi∈Ii\in IについてKi=βXiK_i=\beta X_iとすれば、

inf⁡i∈I[βXi×βP−i]=[∏i∈IβXi]\inf_{i\in I}[\beta X_i\times\beta P_{-i}] =\left[\prod_{i\in I}\beta X_i\right]

である。

証明.§E2.14 補題 1.7 (4)、§E2.14 補題 1.12、§E2.19 定理 8.2によりLiL_iとKKはPPのコンパクト化である。各j≠ij\ne iについて、射影と包含写像の合成P−i→Xj⊆KjP_{-i}\to X_j\subseteq K_jを§E2.22 定理 3.2によりβP−i→Kj\beta P_{-i}\to K_jへ延長する。これらの延長を並べた連続写像とKiK_iの恒等写像から、PPの各点を固定する連続写像Li→KL_i\to Kを得る。したがってA(K)⊆⋂iA(Li)A(K)\subseteq\bigcap_iA(L_i)である。

f∈⋂iA(Li)f\in\bigcap_iA(L_i)をとり、各iiについてその延長をFi∈C(Li,R)F_i\in C(L_i,\R)とする。LiL_iはコンパクトなのでFiF_iは有界である。射影Li→KiL_i\to K_iはコンパクト空間から Hausdorff 空間への連続写像なので閉写像であり、したがって z-閉である。因子を交換して§E2.36 定理 4.4 (3)を適用すると、切片写像

Φi ⁣:Ki⟶C(βP−i,R),Φi(t)(s)=Fi(t,s)\Phi_i\colon K_i\longrightarrow C(\beta P_{-i},\R),\qquad \Phi_i(t)(s)=F_i(t,s)

は一様距離に関して連続である。像Mi=Φi(Ki)M_i=\Phi_i(K_i)は§E2.19 定理 4.2によりコンパクト距離空間であり、Zi=Φi(Xi)Z_i=\Phi_i(X_i)は§E2.12 命題 1.7 (2)によりMiM_iで稠密である。§E2.21 命題 1.2と§E2.21 定理 4.2によりMiM_iは第二可算である。第二可算性をZiZ_iに制限して§E2.13 定理 6.2を適用すると、ZiZ_iは可分である。MiM_iの一様距離の制限をdid_i、Φi∣Xi\Phi_i|_{X_i}をqiq_iと書く。

x,y∈Px,y\in Pが第ii座標だけで異なるならば、s=x∣I∖{i}=y∣I∖{i}s=x|_{I\setminus\{i\}}=y|_{I\setminus\{i\}}として

∣f(x)−f(y)∣=∣Fi(xi,s)−Fi(yi,s)∣≤di(qi(xi),qi(yi))|f(x)-f(y)|=|F_i(x_i,s)-F_i(y_i,s)|\leq d_i(q_i(x_i),q_i(y_i))

である。有限集合E⊆IE\subseteq Iの外でx,yx,yが一致するとき、EEの座標を一つずつ変更して三角不等式を用いると

∣f(x)−f(y)∣≤∑i∈Edi(qi(xi),qi(yi))|f(x)-f(y)|\leq\sum_{i\in E}d_i(q_i(x_i),q_i(y_i))

を得る。

q=∏iqi ⁣:P→∏iZiq=\prod_iq_i\colon P\to\prod_iZ_iとおく。q(x)=q(y)q(x)=q(y)とし、ε>0\varepsilon>0をとる。yyの基本近傍WWを∣f(v)−f(y)∣<ε|f(v)-f(y)|<\varepsilon(v∈Wv\in W)となるようにとり、その指定座標集合をEEとする。xxのEE上の座標だけをyyの座標に替えた点vvはWWに属し、有限変更の評価によってf(v)=f(x)f(v)=f(x)である。したがって∣f(x)−f(y)∣<ε|f(x)-f(y)|<\varepsilonであり、f(x)=f(y)f(x)=f(y)となる。qqは全射なので、f=g∘qf=g\circ qを満たす写像g ⁣:∏iZi→Rg\colon\prod_iZ_i\to\Rがただ一つ定まる。また、z,w∈∏iZiz,w\in\prod_iZ_iが有限集合EEの外で一致するとき、その外では共通の持ち上げを選ぶことにより

∣g(z)−g(w)∣≤∑i∈Edi(zi,wi)|g(z)-g(w)|\leq\sum_{i\in E}d_i(z_i,w_i)

を得る。

z=q(x)z=q(x)とε>0\varepsilon>0をとる。xxの基本近傍WWを∣f(v)−f(x)∣<ε/2|f(v)-f(x)|<\varepsilon/2(v∈Wv\in W)となるようにとり、その指定座標集合をEEとする。w∈∏iZiw\in\prod_iZ_iが∑i∈Edi(wi,zi)<ε/2\sum_{i\in E}d_i(w_i,z_i)<\varepsilon/2を満たすとき、q(y)=wq(y)=wとなるyyを選び、v∣E=x∣Ev|_E=x|_E、v∣I∖E=y∣I∖Ev|_{I\setminus E}=y|_{I\setminus E}とおく。v∈Wv\in Wであり、yyとvvはEEの外で一致するので

∣g(w)−g(z)∣≤∣f(y)−f(v)∣+∣f(v)−f(x)∣<ε|g(w)-g(z)|\leq |f(y)-f(v)|+|f(v)-f(x)|<\varepsilon

となる。wwへの条件はzzの開近傍を定めるから、ggは連続である。

ZiZ_iは距離空間なので Tychonoff であり、§E2.14 系 5.3と補題 1.4により、すべての有限部分積は pseudo-ℵ₁-compact である。系 4.4により、高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iと連続写像gJ ⁣:∏j∈JZj→Rg_J\colon\prod_{j\in J}Z_j\to\Rが存在してg=gJ∘πJg=g_J\circ\pi_Jとなる。∏iZi\prod_iZ_iの基点を固定してJJの外の座標を補えば、gJg_Jも有限変更について上の和の評価を満たす。

p∈∏j∈JMjp\in\prod_{j\in J}M_jとε>0\varepsilon>0をとる。JJは高々可算であり、各ZjZ_jはMjM_jで稠密なので、z∈∏j∈JZjz\in\prod_{j\in J}Z_jを

∑j∈Jdj(pj,zj)<ε/8\sum_{j\in J}d_j(p_j,z_j)<\varepsilon/8

となるように選ぶことができる。実際、JJを自然数の部分集合で添字づけ、各誤差を総和ε/8\varepsilon/8未満の正数列で抑えればよい。zzの基本近傍W⊆∏JZjW\subseteq\prod_JZ_jを∣gJ(v)−gJ(z)∣<ε/8|g_J(v)-g_J(z)|<\varepsilon/8(v∈Wv\in W)となるようにとり、その指定座標集合をEEとする。

N={y∈∏JMj:∑j∈Edj(yj,pj)<ε/8}N=\{y\in\prod_JM_j:\sum_{j\in E}d_j(y_j,p_j)<\varepsilon/8\}はppの開近傍である。y∈N∩∏JZjy\in N\cap\prod_JZ_jに対し、v∣E=z∣Ev|_E=z|_E、v∣J∖E=y∣J∖Ev|_{J\setminus E}=y|_{J\setminus E}とおけばv∈Wv\in Wであり、

∣gJ(y)−gJ(z)∣≤∑j∈Edj(yj,zj)+∣gJ(v)−gJ(z)∣<3ε/8|g_J(y)-g_J(z)|\leq\sum_{j\in E}d_j(y_j,z_j)+|g_J(v)-g_J(z)|<3\varepsilon/8

となる。したがってN∩∏JZjN\cap\prod_JZ_j上の振動はε\varepsilon未満である。

D=∏JZjD=\prod_JZ_j、M=∏JMjM=\prod_JM_jとおく。§E2.14 補題 1.12によりDDはMMで稠密である。各p∈Mp\in Mについて、gJ(Nn∩D)g_J(N_n\cap D)の直径が2−n2^{-n}以下となる開近傍NnN_nをNn+1⊆NnN_{n+1}\subseteq N_nとなるように選び、zn∈Nn∩Dz_n\in N_n\cap Dをとる。m≥nm\geq nならば∣gJ(zm)−gJ(zn)∣≤2−n|g_J(z_m)-g_J(z_n)|\leq2^{-n}なので、§D1.10 定理 1.1により(gJ(zn))(g_J(z_n))はある実数g~J(p)\widetilde g_J(p)に収束する。別の近傍列と点列を選んでも、対応する二つの近傍の交わりはDDと交わるので、振動の評価から極限は等しい。p∈Dp\in Dでは同じ評価からg~J(p)=gJ(p)\widetilde g_J(p)=g_J(p)である。

p∈Mp\in Mとε>0\varepsilon>0に対し、gJ(N∩D)g_J(N\cap D)の直径がε/3\varepsilon/3以下となる開近傍NNをとる。任意のy∈Ny\in Nでは、上の近傍列をNNの中で選ぶことにより、g~J(y)∈cl⁡R(gJ(N∩D))\widetilde g_J(y)\in\tpcl[\R]{g_J(N\cap D)}となる。この閉包の直径もε/3\varepsilon/3以下なので、∣g~J(y)−g~J(p)∣<ε|\widetilde g_J(y)-\widetilde g_J(p)|<\varepsilonである。したがってg~J\widetilde g_JはMM上の連続関数であり、

K→∏iΦi∏iMi→πJ∏JMj→g~JRK\xrightarrow{\prod_i\Phi_i}\prod_iM_i\xrightarrow{\pi_J}\prod_JM_j\xrightarrow{\widetilde g_J}\R

はffの連続な延長であり、⋂iA(Li)⊆A(K)\bigcap_iA(L_i)\subseteq A(K)である。

以上から⋂iA(Li)=A(K)\bigcap_iA(L_i)=A(K)を得る。§E2.33 命題 1.2によりA(K)A(K)はPPの点と閉集合を分離するので、§E2.33 系 3.2 (2)により主張の下限公式が成り立つ。▨

系 5.2.IIを空でない集合、(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族とし、各i∈Ii\in IについてXi⊆KiX_i\subseteq K_iをコンパクト化とする。YYを Hausdorff 空間、P=∏i∈IXiP=\prod_{i\in I}X_i、P−i=∏j∈I∖{i}XjP_{-i}=\prod_{j\in I\setminus\{i\}}X_jとする。Hom⁡(Z,Y)\Hom(Z,Y)をZZからYYへの連続写像全体とし、各コンパクト化からの写像をPPへの制限によってHom⁡(P,Y)\Hom(P,Y)の部分集合と同一視する。このとき

Hom⁡(∏i∈IKi,Y)=⋂i∈IHom⁡(Ki×βP−i,Y)\Hom\left(\prod_{i\in I}K_i,Y\right) =\bigcap_{i\in I}\Hom(K_i\times\beta P_{-i},Y)

が成り立つ。

証明.K=∏iKiK=\prod_iK_i、Li=Ki×βP−iL_i=K_i\times\beta P_{-i}とおく。PPはKKと各LiL_iで稠密であり、YYは Hausdorff なので、§E2.22 補題 2.1により制限写像は単射である。定理 5.1の下限公式により[K]≤[Li][K]\leq[L_i]であるから、PPの点を固定する連続写像Li→KL_i\to Kが存在する。この写像との合成により、左辺は右辺に含まれる。

f∈⋂iHom⁡(Li,Y)f\in\bigcap_i\Hom(L_i,Y)をとり、その各LiL_iへの延長をFi ⁣:Li→YF_i\colon L_i\to Yとする。§E2.19 定理 4.2と§E2.19 命題 6.4により、Fi(Li)F_i(L_i)はYYのコンパクトな閉部分集合である。PPの稠密性と§E2.12 命題 1.7 (2)により

Fi(Li)=cl⁡Y(f(P))=:HF_i(L_i)=\tpcl[Y]{f(P)}=:H

であり、HHはコンパクト Hausdorff 空間である。§E2.19 系 6.12と§E2.15 定理 4.3 (3)により、ある集合TTと位相的埋め込みe ⁣:H→[0,1]Te\colon H\to[0,1]^Tが存在する。

各t∈Tt\in Tについて、pr⁡t∘e∘f\pr_t\circ e\circ fはpr⁡t∘e∘Fi\pr_t\circ e\circ F_iによりすべてのLiL_iへ延長する。定理 5.1の代数の等式により、pr⁡t∘e∘f\pr_t\circ e\circ fはKK上の連続関数hth_tへ延長する。hth_tは稠密なPP上で[0,1][0,1]に値をもつので、KK上でも[0,1][0,1]に値をもつ。§E2.14 定理 1.6により、h=(ht)t∈T ⁣:K→[0,1]Th=(h_t)_{t\in T}\colon K\to[0,1]^Tは連続であり、h∣P=e∘fh|_P=e\circ fである。e(H)e(H)はコンパクトなので立方体の閉集合であり、PPの稠密性からh(K)⊆e(H)h(K)\subseteq e(H)となる。したがってe−1∘h ⁣:K→H⊆Ye^{-1}\circ h\colon K\to H\subseteq Yはffの連続な延長であり、右辺は左辺に含まれる。▨

注意 5.3 (2026/10/1). 上記の定理 5.1と系 5.2は天游ヶ丘数理学院運営が下記系 5.4を再考していた際に既存文献とは独立に見出した等式である。証明手法は知られている系 5.4の証明と大差ないものの、明記されている文献を見つけることができなかった(民間伝承として既知であった可能性もある)。本件について、既存文献や関連する発展話題についてご存じの方は 天游ヶ丘数理学院公式 X アカウント までご連絡ください。

系 5.4 (Glicksberg).(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族とする。P=∏iXiP=\prod_iX_iが擬コンパクトであれば、包含写像が引き起こす自然な連続写像βP→∏iβXi\beta P\to\prod_i\beta X_iは同相写像である。

証明.I=∅I=\emptysetでは両辺が一点空間である。I≠∅I\ne\emptysetとすると、射影の全射性と§E2.36 補題 1.4により、各XiX_iとP−iP_{-i}は擬コンパクトである。§E2.14 補題 1.7 (4)によってPPとXi×P−iX_i\times P_{-i}を同一視し、二因子の Glicksberg の定理§E2.36 定理 5.1 (2)を適用すれば[βXi×βP−i]=[βP][\beta X_i\times\beta P_{-i}]=[\beta P]である。定理 5.1により[∏iβXi]=[βP][\prod_i\beta X_i]=[\beta P]となる。PPを固定する同相は、稠密集合上での一致§E2.22 補題 2.1によって自然な写像に等しい。▨

系 5.5.(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない T3½ 空間の族、P=∏iXiP=\prod_iX_i、a∈Pa\in Pとする。すべての高々可算な部分積が擬コンパクトならば、

βΣ(P,a)≅βP≅∏i∈IβXi\beta\Sigma(P,a)\cong\beta P\cong\prod_{i\in I}\beta X_i

である。

証明.定理 4.1によりPPは擬コンパクトなので、系 5.4が右の同相を与える。有限部分積も擬コンパクトであり、命題 1.2と定理 4.6が左の同相を与える。▨

6 例

補題 6.1.S,TS,Tを可算無限離散空間とし、σ ⁣:S→T\sigma\colon S\to Tを全単射とする。このときβσ ⁣:βS→βT\beta\sigma\colon\beta S\to\beta Tは同相写像であり、βσ(βS∖S)=βT∖T\beta\sigma(\beta S\setminus S)=\beta T\setminus Tである。任意のA⊆SA\subseteq Sについてβσ(cl⁡βS(A))=cl⁡βT(σ(A))\beta\sigma(\tpcl[\beta S]{A})=\tpcl[\beta T]{\sigma(A)}が成り立つ。

証明.§E2.22 命題 3.1 (1)と§E2.22 命題 3.1 (2)により、β(σ−1)\beta(\sigma^{-1})はβσ\beta\sigmaの逆写像である。したがってβσ\beta\sigmaは同相写像であり、SSをTTに写すので剰余も互いに写す。同相写像とその逆写像に§E2.12 命題 1.7 (2)を適用すれば閉包の等式を得る。▨

定義 6.2.ω∗=βω∖ω\omega^*=\beta\omega\setminus\omegaとする。p∈ω∗p\in\omega^*に対して、ppの型 (type (orbit under permutations)) を

T(p)={βσ(p):σ ⁣:ω→ω は全単射}T(p)=\{\beta\sigma(p):\sigma\colon\omega\to\omega\text{ は全単射}\}

と定める。

補題 6.3. 型の全体はω∗\omega^*の分割をなし、各型の濃度はc\mathfrak c以下である。

証明. 恒等置換と置換の合成・逆を延長することにより、p∈T(p)p\in T(p)であり、q∈T(p)q\in T(p)ならばT(q)=T(p)T(q)=T(p)である。ゆえに型は剰余を分割する。置換はグラフによってω×ω\omega\times\omegaの部分集合とみなすことができるので、§E1.22 命題 1.5と§E1.22 定理 3.2により、置換全体の濃度は2ℵ0=c2^{\aleph_0}=\mathfrak c以下である。その像である各型も同じ評価を満たす。▨

補題 6.4.∣ω∗∣≥2c>c|\omega^*|\geq2^{\mathfrak c}>\mathfrak cである。とくに、相異なる型の代表を可算無限個とることができる。

証明.§E2.22 定理 4.2を離散空間ω\omegaに適用すると、∣ω∗∣=22ℵ0=2c|\omega^*|=2^{2^{\aleph_0}}=2^{\mathfrak c}である。§E1.22 系 4.1により2c>c2^{\mathfrak c}>\mathfrak cである。

型が高々可算個しかなければ、補題 6.3と§E1.22 系 3.3により剰余全体の濃度はℵ0c=c\aleph_0\mathfrak c=\mathfrak c以下となる。これは上の評価に反するので、相異なる型の代表を可算無限個選ぶことができる。▨

補題 6.5. 任意のp∈ω∗p\in\omega^*についてT(p)T(p)はω∗\omega^*で稠密である。

証明.OOをω∗\omega^*の空でない開集合とする。§E2.22 命題 4.4 (2)により、ある無限集合M0⊆ωM_0\subseteq\omegaについて∅≠cl⁡βω(M0)∩ω∗⊆O\emptyset\ne\tpcl[\beta\omega]{M_0}\cap\omega^*\subseteq Oとなる。M0M_0の無限部分集合MMを、ω∖M\omega\setminus Mも無限となるように選ぶ。§E2.22 命題 4.4 (3)によりcl⁡βω(M)∩ω∗\tpcl[\beta\omega]{M}\cap\omega^*は空でない。

偶数全体と奇数全体の閉包は補い合うので、ppはその一方EEの閉包に属する。EEとMM、それぞれの補集合がいずれも可算無限なので、σ(E)=M\sigma(E)=Mを満たす置換σ\sigmaが存在する。補題 6.1によりβσ(p)∈cl⁡βω(M)∩ω∗⊆O\beta\sigma(p)\in\tpcl[\beta\omega]{M}\cap\omega^*\subseteq Oである。したがってO∩T(p)≠∅O\cap T(p)\ne\emptysetである。▨

定理 6.6.p∈ω∗p\in\omega^*とし、Yp=ω∪T(p)Y_p=\omega\cup T(p)とおく。このとき、任意の有限集合FFについてYpFY_p^Fは擬コンパクトである。

証明. 擬コンパクトでない有限冪があると仮定し、その指数の最小値をr≥1r\geq1とする。YprY_p^r上の非有界な連続関数の絶対値をffとする。ωr\omega^rはYprY_p^rで稠密なので、各m∈N≥0m\in\Nに対してxm∈ωrx_m\in\omega^rをf(xm)>mf(x_m)>mとなるように選ぶことができる。

各座標列では、どの値も有限回しか現れない。実際、ある座標が一定となる無限部分列があれば、r>1r>1ではYpr−1Y_p^{r-1}と同相な切片上でffが非有界となり、rrの最小性に反する。r=1r=1では一点でf(xm)>mf(x_m)>mが無限個のmmについて成り立つことになり、やはり不可能である。したがって、有限個の既出の座標値を避けながら項を選べば、すべての座標列が単射である部分列を得る。さらに一つおきの項を残せば、どの座標列の値域も補集合が無限である。得られた列を再び(xm)(x_m)と書くと、f(xm)>mf(x_m)>mは保たれる。

B={xm(1):m∈N≥0}B=\{x_m^{(1)}:m\in\N\}とおく。各1≤k≤r1\leq k\leq rについてσk(xm(1))=xm(k)\sigma_k(x_m^{(1)})=x_m^{(k)}を満たす置換σk\sigma_kをとり、σ1\sigma_1は恒等写像とする。各座標列は単射であり、その値域と補集合が可算無限なので、そのような置換が存在する。§E2.22 命題 4.4 (3)と補題 6.5により、空でない開集合cl⁡βω(B)∩ω∗\tpcl[\beta\omega]{B}\cap\omega^*の中にq1∈T(p)q_1\in T(p)をとることができる。qk=βσk(q1)q_k=\beta\sigma_k(q_1)とおくと、すべてのqkq_kがT(p)T(p)に属する。

q=(q1,…,qr)∈Yprq=(q_1,\ldots,q_r)\in Y_p^rの基本近傍を∏k=1r(Wk∩Yp)\prod_{k=1}^r(W_k\cap Y_p)と書く。ただし各WkW_kはqkq_kのβω\beta\omegaにおける開近傍である。⋂k=1r(βσk)−1(Wk)\bigcap_{k=1}^r(\beta\sigma_k)^{-1}(W_k)はq1q_1の近傍なので、§E2.22 命題 4.4 (3)によりBBと無限個の点で交わる。したがってこの基本近傍は無限個のxmx_mを含む。f(xm)>mf(x_m)>mであるから、ffはqqのどの近傍でも非有界となる。一方、連続性により∣f−f(q)∣<1|f-f(q)|<1となるqqの近傍があり、矛盾する。よってすべての有限冪は擬コンパクトである。▨

命題 6.7. 相異なる型の代表(pn)n∈ω(p_n)_{n\in\omega}をとり、

Xn=ω∪⋃k≠nT(pk),P=∏n∈ωXnX_n=\omega\cup\bigcup_{k\ne n}T(p_k),\qquad P=\prod_{n\in\omega}X_n

とおく。次が成り立つ。

  1. 各XnX_nとPPは空でない T3½ 空間であり、⋂n∈ωXn=ω\bigcap_{n\in\omega}X_n=\omegaである。
  2. 各XnX_nとPPは可分であり、pseudo-ℵ₁-compact である。
  3. PPのすべての有限部分積は擬コンパクトである。
  4. PPは擬コンパクトでない。
  5. 包含写像が引き起こす同相によってβXn≅βω\beta X_n\cong\beta\omegaであるが、自然な連続写像βP→∏nβXn\beta P\to\prod_n\beta X_nは同相写像でない。

証明.(1)を示す。各XnX_nはコンパクト Hausdorff 空間βω\beta\omegaの部分空間なので、§E2.19 系 6.12と§E2.15 系 2.2により Tychonoff である。その直積も§E2.15 系 2.9により Tychonoff である。各XnX_nはω\omegaを含むので空でない。型は互いに交わらず、T(pk)T(p_k)の点はXkX_kに属さないので、⋂nXn\bigcap_nX_nはω\omegaに等しい。

(2)を示す。各XnX_nは可算集合ω\omegaを稠密部分集合にもつので可分である。§E2.14 系 5.3により、可算個の可分空間の直積PPも可分である。したがって補題 1.4により、各XnX_nとPPは pseudo-ℵ₁-compact である。

(3)を示す。有限集合F⊆ωF\subseteq\omegaに対しk∉Fk\notin Fをとる。Ypk=ω∪T(pk)Y_{p_k}=\omega\cup T(p_k)は各XnX_n(n∈Fn\in F)に含まれ、ω\omegaを含むので稠密である。§E2.14 補題 1.12によりYpkFY_{p_k}^Fは∏n∈FXn\prod_{n\in F}X_nで稠密である。定理 6.6と§E2.36 補題 1.4により∏n∈FXn\prod_{n\in F}X_nは擬コンパクトである。

(4)を示す。m∈ωm\in\omegaに対して

Um={x∈P:x0=x1=⋯=xm=m}U_m=\{x\in P:x_0=x_1=\cdots=x_m=m\}

とおく。各UmU_mは自然数mmの対角点を含み、§E2.22 命題 4.4 (1)と射影の連続性により開かつ閉である。相異なるm,lm,lについて第00座標の指定が異なるのでUm∩Ul=∅U_m\cap U_l=\emptysetである。

x∈Px\in Pのある座標xjx_jが自然数bbであれば、近傍{y:yj=b}\{y:y_j=b\}はm≥jm\geq jかつm≠bm\ne bとなるUmU_mと交わらない。すべての座標がω∗\omega^*に属する場合、(1)の⋂nXn=ω\bigcap_nX_n=\omegaにより全座標が一致することはない。xj≠xkx_j\ne x_kとなる二座標をとり、βω\beta\omegaにおける互いに交わらない開近傍Wj,WkW_j,W_kを選ぶ。{y:yj∈Wj, yk∈Wk}\{y:y_j\in W_j,\ y_k\in W_k\}はm≥max⁡{j,k}m\geq\max\{j,k\}となるUmU_mと交わらない。したがって族は局所有限である。

§E2.36 補題 3.3によりf=∑m∈ω(m+1)1Umf=\sum_{m\in\omega}(m+1)1_{U_m}は連続である。各UmU_mは空でなく互いに交わらないので、ffはm+1m+1を値にとる。ゆえにffは非有界であり、PPは擬コンパクトでない。

(5)を示す。ω⊆Xn⊆βω\omega\subseteq X_n\subseteq\beta\omegaなので、§E2.22 系 3.6によりβXn≅βω\beta X_n\cong\beta\omegaである。K=(βω)ωK=(\beta\omega)^\omegaとし、上で定めたUmU_mを用いてV=⋃mUmV=\bigcup_mU_mとおく。局所有限性と§E2.36 補題 3.3により、h=1V=∑m1Umh=1_V=\sum_m1_{U_m}はPP上の有界連続関数である。

hhがKK上の連続関数h~\widetilde hに延長すると仮定する。対角写像Δ ⁣:βω→K\Delta\colon\beta\omega\to Kは連続であり、Δ(m)∈Um\Delta(m)\in U_mなので、h~∘Δ\widetilde h\circ\Deltaはω\omega上で11に等しい。稠密性と§E2.22 補題 2.1により、任意のp∈ω∗p\in\omega^*でh~(Δ(p))=1\widetilde h(\Delta(p))=1である。

一方、Δ(p)\Delta(p)の任意の基本近傍WWをとり、その指定座標集合を有限集合F⊆ωF\subseteq\omegaとする。各指定座標の近傍の共通部分をOOとすれば、OOはppの近傍であり、§E2.22 命題 4.4 (3)によりO∩ωO\cap\omegaは無限である。m∈O∩ωm\in O\cap\omegaをm>∣F∣+1m>|F|+1となるように選び、1≤j≤m1\leq j\leq m、j∉Fj\notin Fを満たすjjをとる。点x∈ωω⊆Px\in\omega^\omega\subseteq Pをxj=m+1x_j=m+1、xi=mx_i=m(i≠ji\ne j)と定めるとx∈Wx\in Wである。x0=mx_0=mなのでxxが属する可能性のあるUlU_lはUmU_mだけだが、xj≠mx_j\ne mかつj≤mj\leq mによりx∉Umx\notin U_mである。ゆえにW∩(P∖V)≠∅W\cap(P\setminus V)\ne\emptysetであり、Δ(p)∈cl⁡K(P∖V)\Delta(p)\in\tpcl[K]{P\setminus V}となる。連続性によりh~(Δ(p))=0\widetilde h(\Delta(p))=0となり、値11と矛盾する。したがってhhはKKへ連続延長しない。

自然な写像βP→K\beta P\to Kが同相であれば、§E2.22 系 3.4によるhhのβP\beta Pへの延長をその逆写像と合成してKKへ延長することができる。これは上の非延長性に反するので、自然な写像は同相でない。▨

系 6.8.命題 6.7の直積PPでは、任意の基点a∈Pa\in Pに対してΣ(P,a)=P\Sigma(P,a)=Pであり、βΣ(P,a)=βP\beta\Sigma(P,a)=\beta Pであるが、自然な写像βP→∏nβXn\beta P\to\prod_n\beta X_nは同相でない。

証明. 添字集合ω\omegaは可算なので、任意のx∈Px\in Pに対して{n∈ω:xn≠an}\{n\in\omega:x_n\ne a_n\}は高々可算である。したがってΣ(P,a)=P\Sigma(P,a)=Pである。比較写像が同相でないことは命題 6.7 (5)による。▨

7 演習

問題 7.1.補題 2.2の証明を完成させよ。

解答.

補題 2.2 (1)は有限集合が高々可算であることから従う。PPの空でない基本開集合に対して、指定された有限個の座標では各指定開集合の点を選び、残りの座標ではaia_iを用いる。この点は基本開集合とΣ(P,a)\Sigma(P,a)に属するので、補題 2.2 (2)が成り立つ。

高々可算なJ⊆IJ\subseteq Iとt∈PJt\in P_Jに対して、sJ(t)s_J(t)がaaと異なる座標はJJに含まれるのでsJ(t)∈Σ(P,a)s_J(t)\in\Sigma(P,a)である。各座標との合成は射影または定値写像なので、§E2.14 定理 1.6によりsJs_JはPPへの写像として連続であり、§E2.12 定理 4.4 (3)によりΣ(P,a)\Sigma(P,a)への写像としても連続である。πJ∘sJ=id⁡PJ\pi_J\circ s_J=\id_{P_J}なので、制限射影は全射であり、sJs_Jはその切断である。これで補題 2.2 (3)は示された。▨

参考文献

  1. N. Noble and Milton Ulmer, Factoring Functions on Cartesian Products, Transactions of the American Mathematical Society 163 (1972), 329–339.pseudo-ℵ₁-compact 性の有限部分積への帰着、連続関数の可算座標への因子化、および Σ-積の C-埋め込みを参考にした。
  2. W. W. Comfort, A Nonpseudocompact Product Space Whose Finite Subproducts are Pseudocompact, Mathematische Annalen 170 (1967), 41–44.置換の軌道から作る空間の有限冪の擬コンパクト性と、有限部分積がすべて擬コンパクトである非擬コンパクトな可算直積の構成を参考にした。
  3. Irving Glicksberg, Stone–Čech compactifications of products, Transactions of the American Mathematical Society 90 (1959), 369–382.擬コンパクトな直積の Stone–Čech のコンパクト化と、各因子のコンパクト化の直積の同定を参考にした。

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