§E2.36擬コンパクト空間

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コンパクト空間の上の実数値連続関数は有界であり、最大値と最小値をとる。この結論だけを取り出して条件とすると、コンパクト性より弱い性質が得られる。連続な実数値関数がすべて有界であるという条件がそれであり、この条件を満たす空間を擬コンパクト空間という。

コンパクト性・可算コンパクト性・点列コンパクト性が開被覆や点列という位相そのものの言葉で書かれているのに対して、擬コンパクト性は空間の上の関数を通して書かれている。この違いは、擬コンパクト性が直積とどう関わるかに現れる。コンパクト性は任意個の直積で保たれるが、擬コンパクト性は二つの空間の直積でさえ保たれるとは限らない。どのようなときに保たれるかを決める条件は、二つの因子の間の射影が零集合をどう写すかによって書くことができる。本記事はこの条件を取り出し、直積の Stone–Čech のコンパクト化が因子のコンパクト化の直積に一致することと同値であることを証明する。

1 定義

定義 1.1 (擬コンパクト空間). 位相空間XXが 擬コンパクト (pseudocompact) であるとは、任意の連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rが有界であること、すなわちある実数MMが存在してすべてのx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣≤M\lvert f(x)\rvert\leq Mが成り立つことをいう。

注意 1.2.定義 1.1は分離公理を仮定しない。密着位相を入れた集合の上の連続な実数値関数は定数関数に限るから、密着位相を入れた任意の集合は擬コンパクトである。

補題 1.3.XXを空でない位相空間とする。次の四条件は同値である。

  1. XXは擬コンパクトである。
  2. 任意の有界な連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rについて、像f(X)f(X)はR\mathbb Rの閉集合である。
  3. 任意の有界な連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rは最大値をとる。
  4. 任意の有界な連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rは最小値をとる。

証明. 演習とする(問題 7.1)。▨

補題 1.4.XXを擬コンパクトな位相空間、YYを位相空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yをf(X)f(X)がYYで稠密であるような連続写像とする。このときYYは擬コンパクトである。とくに、擬コンパクトな位相空間から位相空間への連続な全射の終域は擬コンパクトである。

証明.g ⁣:Y→Rg\colon Y\to\mathbb Rを連続写像とする。A=f(X)A=f(X)とおく。AAはYYで稠密であるから§E2.11 定義 2.7によりA‾=Y\overline A=Yであり、§E2.12 命題 1.7 (2)により

g(Y)=g(A‾)⊆g(A)‾=(g∘f)(X)‾g(Y)=g(\overline A)\subseteq\overline{g(A)}=\overline{(g\circ f)(X)}

である。§E2.12 命題 1.10によりg∘f ⁣:X→Rg\circ f\colon X\to\mathbb Rは連続であり、XXが擬コンパクトであるから有界である。有界な集合の閉包は有界であるからg(Y)g(Y)は有界であり、ggは有界である。ffが全射ならばf(X)=Yf(X)=YはYYで稠密であるから、後半は前半から従う。▨

2 可算コンパクト性との関係

補題 2.1. 可算コンパクトな位相空間は擬コンパクトである。

証明.XXを可算コンパクトな位相空間、f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rを連続写像とし、n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}に対してFn={x∈X∣∣f(x)∣≥n}F_n=\{x\in X\mid\lvert f(x)\rvert\geq n\}とおく。§E2.16 補題 1.2 (2)により∣f∣\lvert f\rvertは連続であり、[n,∞)[n,\infty)はR\mathbb Rの閉集合であるから、§E2.12 命題 1.6によりFnF_nはXXの閉集合であり、F1⊇F2⊇⋯F_1\supseteq F_2\supseteq\cdotsである。x∈⋂nFnx\in\bigcap_{n}F_nとするとすべてのnnについて∣f(x)∣≥n\lvert f(x)\rvert\geq nとなり、∣f(x)∣\lvert f(x)\rvertより大きい整数が存在することに反するから、⋂nFn=∅\bigcap_{n}F_n=\emptysetである。ゆえに§E2.23 系 2.3により、あるNNについてFN=∅F_N=\emptysetである。すなわちすべてのx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣<N\lvert f(x)\rvert<Nであり、ffは有界である。▨

補題 2.2. T4 空間については、擬コンパクトであることと可算コンパクトであることは同値である。

証明.XXを T4 空間とする。可算コンパクトならば擬コンパクトであることは補題 2.1である。

逆を対偶で示す。XXが可算コンパクトでないとする。§E2.15 定義 1.8 (3)によりXXは正規かつ T1 であるから、§E2.23 系 5.2 (2)の対偶により、集積点をもたない可算無限部分集合D⊆XD\subseteq Xが存在する。§E1.18 補題 3.6により、相異なる項からなる枚挙D={dn∣n∈Z≥1}D=\{d_n\mid n\in\mathbb Z_{\geq1}\}をとる。

§E2.23 命題 5.1 (1)によりDDはXXの閉集合であり、§E2.23 命題 5.1 (2)により部分空間DDの位相は離散位相であるから、写像h ⁣:D→Rh\colon D\to\mathbb R、h(dn)=nh(d_n)=nは連続である。XXは正規空間でありDDは閉集合であるから、§E2.18 定理 5.2により、すべてのz∈Dz\in DについてH(z)=h(z)H(z)=h(z)を満たす連続写像H ⁣:X→RH\colon X\to\mathbb Rが存在する。H(dn)=nH(d_n)=nであるからHHは有界でなく、XXは擬コンパクトでない。▨

系 2.3. 距離化可能な位相空間については、擬コンパクトであることとコンパクトであることは同値である。

証明. 演習とする(問題 7.2)。▨

定理 2.4.XXを空でない T3½ 空間とする。XXが擬コンパクトかつ実コンパクトであるための必要十分条件は、XXがコンパクトであることである。

証明. 必要性を示す。XXを擬コンパクトかつ実コンパクトな空間とする。f∈C(X,R)f\in C(X,\mathbb R)に対して、定義 1.1により、すべてのx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣≤M\lvert f(x)\rvert\leq Mを満たす実数MMが存在するから、像f(X)f(X)はR\mathbb Rの有界な部分集合である。ゆえに§E2.34 命題 6.1によりXXはコンパクトである。

十分性を示す。XXをコンパクトとする。§E2.23 定理 1.3によりXXは可算コンパクトであるから、補題 2.1により擬コンパクトである。§E2.15 定理 1.11 (2)と§E2.15 定理 1.11 (3)によりXXは Hausdorff であるから、§E2.34 系 2.2により実コンパクトである。▨

注意 2.5.系 2.3は距離化可能性を仮定して同じ結論を得ており、定理 2.4はその仮定を実コンパクト性へ取り替えたものである。補題 2.1とあわせると、可算コンパクトかつ実コンパクトな空でない T3½ 空間はコンパクトである。順序数空間ω1\omega_1は§E2.23 系 6.2により可算コンパクトであるから擬コンパクトであり、§E2.19 定理 7.2によりコンパクトでない。実コンパクト性の側から同じことを述べたのが§E2.34 例 6.4である。

3 局所有限な族による特徴づけ

定義 3.1 (局所有限な族).XXを位相空間、(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}をXXの部分集合の族とする。XXの任意の点xxに対して、xxの近傍VVであってV∩Ai≠∅V\cap A_i\neq\emptysetを満たすi∈Ii\in Iが有限個であるものが存在するとき、(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}を 局所有限 (locally finite) な族という。

命題 3.2. 次が成り立つ。

  1. XXを位相空間、(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}をXXの局所有限な族とし、各i∈Ii\in IについてBi⊆AiB_i\subseteq A_iとする。このとき(Bi)i∈I(B_i)_{i\in I}は局所有限である。
  2. XX、YYを位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを連続写像とし、(Bj)j∈J(B_j)_{j\in J}をYYの局所有限な族とする。このとき(f−1(Bj))j∈J(f^{-1}(B_j))_{j\in J}はXXの局所有限な族である。
  3. XX、YYを位相空間、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを閉写像かつ固有である連続写像とし、(Ai)i∈I(A_i)_{i\in I}をXXの局所有限な族とする。このとき(f(Ai))i∈I(f(A_i))_{i\in I}はYYの局所有限な族である。

証明.(1)を示す。x∈Xx\in Xに対して定義 3.1が与える近傍VVをとる。V∩Bi≠∅V\cap B_i\neq\emptysetならばBi⊆AiB_i\subseteq A_iからV∩Ai≠∅V\cap A_i\neq\emptysetであるから、V∩Bi≠∅V\cap B_i\neq\emptysetを満たすiiはV∩Ai≠∅V\cap A_i\neq\emptysetを満たすiiより多くない。ゆえに有限個である。

(2)を示す。x∈Xx\in Xに対して、定義 3.1がf(x)f(x)に与えるYYの近傍VVをとり、f(x)∈O⊆Vf(x)\in O\subseteq Vを満たすYYの開集合OOをとる。f−1(O)f^{-1}(O)はxxを含むXXの開集合であり、f−1(O)∩f−1(Bj)≠∅f^{-1}(O)\cap f^{-1}(B_j)\neq\emptysetならばO∩Bj≠∅O\cap B_j\neq\emptysetであるから、そのようなjjはV∩Bj≠∅V\cap B_j\neq\emptysetを満たすjjの中にあり、有限個である。

(3)を示す。y∈Yy\in Yをとる。{y}\{y\}は§E2.19 例 2.3によりコンパクトであるから、ffが固有であることによりF=f−1({y})F=f^{-1}(\{y\})はXXのコンパクト部分集合である。各x∈Fx\in Fに対して、定義 3.1が与える近傍VxV_xと、x∈Ox⊆Vxx\in O_x\subseteq V_xを満たす開集合OxO_xをとる。FFはコンパクトであるから、有限個のx1,…,xm∈Fx_1,\dots,x_m\in FでF⊆O=Ox1∪⋯∪OxmF\subseteq O=O_{x_1}\cup\cdots\cup O_{x_m}を満たすものが存在する(F=∅F=\emptysetのときはO=∅O=\emptysetとする)。ffは閉写像であるから、§E2.12 定理 5.10の条件§E2.12 定理 5.10 (3)により、y∈Vy\in Vかつf−1(V)⊆Of^{-1}(V)\subseteq Oを満たすYYの開集合VVが存在する。V∩f(Ai)≠∅V\cap f(A_i)\neq\emptysetならば、f(a)∈Vf(a)\in Vを満たすa∈Aia\in A_iが存在し、a∈f−1(V)⊆Oa\in f^{-1}(V)\subseteq Oであるから、あるkkについてOxk∩Ai≠∅O_{x_k}\cap A_i\neq\emptyset、したがってVxk∩Ai≠∅V_{x_k}\cap A_i\neq\emptysetである。各kkについてそのようなiiは有限個であるから、VVは有限個のf(Ai)f(A_i)としか交わらない。▨

補題 3.3.XXを位相空間、(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}を局所有限なXXの開集合の族とし、(fi)i∈I(f_i)_{i\in I}をC(X,R)C(X,\mathbb R)の族であって、各i∈Ii\in Iについてfif_iがX∖UiX\setminus U_iのすべての点で00をとるものとする。このとき、各x∈Xx\in Xについてfi(x)≠0f_i(x)\neq0を満たすi∈Ii\in Iは有限個であり、

(∑i∈Ifi)(x)=∑i∈Ifi(x)\Bigl(\sum_{i\in I}f_i\Bigr)(x)=\sum_{i\in I}f_i(x)

によって定まる写像∑i∈Ifi ⁣:X→R\sum_{i\in I}f_i\colon X\to\mathbb Rは連続である。

証明.x∈Xx\in Xをとり、定義 3.1が与える近傍VVと、x∈W⊆Vx\in W\subseteq Vを満たす開集合WWをとる。J={i∈I∣W∩Ui≠∅}J=\{i\in I\mid W\cap U_i\neq\emptyset\}とおくと、W⊆VW\subseteq VであるからJJは有限である。

y∈Wy\in Wとi∉Ji\notin Jをとる。W∩Ui=∅W\cap U_i=\emptysetであるからy∉Uiy\notin U_iであり、仮定によりfi(y)=0f_i(y)=0である。したがってy∈Wy\in Wについてfi(y)≠0f_i(y)\neq0を満たすiiはJJに含まれ、有限個である。とくにxxについてこれが成り立ち、和は有限和として定まる。さらにy∈Wy\in Wについて

(∑i∈Ifi)(y)=∑i∈Jfi(y)\Bigl(\sum_{i\in I}f_i\Bigr)(y)=\sum_{i\in J}f_i(y)

である。

∑i∈Ifi\sum_{i\in I}f_iが連続であることを§E2.12 補題 1.9により確かめる。x∈Xx\in Xとε>0\varepsilon>0をとり、上のWWとJJをとる。s=∑i∈Jfis=\sum_{i\in J}f_iは§E2.16 補題 1.2 (1)によりXX上の連続写像であるから、xxを含む開集合W′W'で、すべてのy∈W′y\in W'について∣s(y)−s(x)∣<ε\lvert s(y)-s(x)\rvert<\varepsilonを満たすものが存在する。W∩W′W\cap W'はxxを含む開集合であり、その点yyでは(∑i∈Ifi)(y)=s(y)\bigl(\sum_{i\in I}f_i\bigr)(y)=s(y)かつ(∑i∈Ifi)(x)=s(x)\bigl(\sum_{i\in I}f_i\bigr)(x)=s(x)であるから、∣(∑i∈Ifi)(y)−(∑i∈Ifi)(x)∣<ε\bigl\lvert\bigl(\sum_{i\in I}f_i\bigr)(y)-\bigl(\sum_{i\in I}f_i\bigr)(x)\bigr\rvert<\varepsilonである。ゆえに∑i∈Ifi\sum_{i\in I}f_iは連続である。▨

定理 3.4.XXを T3½ 空間とする。次の二条件は同値である。

  1. XXは擬コンパクトである。
  2. Z≥1\mathbb Z_{\geq1}で添字づけられたXXの局所有限な族(Un)n∈Z≥1(U_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}であって、すべてのUnU_nが空でない開集合であるものは存在しない。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を対偶で示す。そのような族(Un)n∈Z≥1(U_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}が存在するとし、各nnについてxn∈Unx_n\in U_nをとる。XXは T3½ 空間であるから§E2.15 定義 1.8により完全正則であり、X∖UnX\setminus U_nはxnx_nを含まない閉集合であるから、§E2.15 定義 1.7 (2)により、gn(xn)=0g_n(x_n)=0であってX∖UnX\setminus U_nのすべての点で11をとる連続写像gn ⁣:X→[0,1]g_n\colon X\to[0,1]が存在する。§E2.12 定理 4.4 (1)と§E2.12 命題 1.10によりgng_nはXXからR\mathbb Rへの連続写像とみなすことができ、§E2.16 補題 1.2 (1)によりfn=n(1−gn)f_n=n(1-g_n)はC(X,R)C(X,\mathbb R)に属する。fnf_nの値は00以上であり、fnf_nはX∖UnX\setminus U_nのすべての点で00をとり、fn(xn)=nf_n(x_n)=nである。補題 3.3によりF=∑n∈Z≥1fnF=\sum_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}f_nは連続であり、すべてのfmf_mの値が00以上であるからF(xn)≥fn(xn)=nF(x_n)\geq f_n(x_n)=nである。ゆえにFFは有界でなく、XXは擬コンパクトでない。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rを連続写像とし、n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}に対してAn=R∖[−n,n]A_n=\mathbb R\setminus[-n,n]とおく。AnA_nはR\mathbb Rの開集合であり、族(An)n∈Z≥1(A_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}はR\mathbb Rで局所有限である。実際、t∈Rt\in\mathbb Rに対して開区間(t−1,t+1)(t-1,t+1)はttの近傍であり、(t−1,t+1)∩An≠∅(t-1,t+1)\cap A_n\neq\emptysetならばn<∣t∣+1n<\lvert t\rvert+1であるから、そのようなnnは有限個である。ffは連続であるから各f−1(An)f^{-1}(A_n)はXXの開集合であり、命題 3.2 (2)により(f−1(An))n∈Z≥1(f^{-1}(A_n))_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}はXXの局所有限な族である。したがって(2)により、あるNNについてf−1(AN)=∅f^{-1}(A_N)=\emptysetである。すなわちすべてのx∈Xx\in Xについて∣f(x)∣≤N\lvert f(x)\rvert\leq Nであり、ffは有界である。▨

系 3.5. 次が成り立つ。

  1. XX、YYを T3½ 空間とし、f ⁣:X→Yf\colon X\to Yを開写像かつ閉写像かつ固有である連続写像とする。YYが擬コンパクトならば、XXも擬コンパクトである。
  2. KKをコンパクト Hausdorff 空間、YYを擬コンパクトな T3½ 空間とすると、K×YK\times Yは擬コンパクトな T3½ 空間である。

証明.(1)を対偶で示す。XXが擬コンパクトでないとすると、定理 3.4 (2)により、XXの局所有限な族(Un)n∈Z≥1(U_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}であってすべてのUnU_nが空でない開集合であるものが存在する。ffは開写像であるから各f(Un)f(U_n)はYYの空でない開集合であり、ffは閉写像かつ固有であるから命題 3.2 (3)により(f(Un))n∈Z≥1(f(U_n))_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}はYYの局所有限な族である。ゆえに定理 3.4 (2)によりYYは擬コンパクトでない。(2)はKKがコンパクトであるとき射影K×Y→YK\times Y\to Yが開かつ閉かつ固有な連続写像であることからただちに従う。▨

4 z-閉写像と射影

擬コンパクト性も Kuratowski 型の定理によって特徴付けることができる。

定義 4.1 (z-閉写像). 位相空間XX、YYと連続写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yに対して、ffが z-閉 (z-closed map) であるとは、XXの任意の零集合ZZに対してf(Z)f(Z)がYYの閉集合であることをいう。

注意 4.2.§E2.16 命題 4.3により零集合は閉集合であるから、閉写像は z-閉である。逆は成り立つとは限らない。

補題 4.3.XX、YYを位相空間、Z⊆X×YZ\subseteq X\times Yを零集合とし、y0∈Yy_0\in Yがy0∉pr⁡Y(Z)y_0\notin\operatorname{pr}_Y(Z)を満たすとする。

  1. 連続写像f ⁣:X×Y→[0,1]f\colon X\times Y\to[0,1]で、Z=f−1({0})Z=f^{-1}(\{0\})かつすべてのx∈Xx\in Xについてf(x,y0)=1f(x,y_0)=1を満たすものが存在する。
  2. さらにy0∈pr⁡Y(Z)‾y_0\in\overline{\operatorname{pr}_Y(Z)}であるとする。このとき、XXの空でない開集合の列(Un)n∈Z≥1(U_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}とYYの空でない開集合の列(Vn)n∈Z≥1(V_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}で、(Un×Vn)n∈Z≥1(U_n\times V_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}がX×YX\times Yの局所有限な族であるものが存在する。

証明.(1)を示す。Z=Z(h)Z=Z(h)を満たすh∈C(X×Y,R)h\in C(X\times Y,\mathbb R)をとり、g=min⁡{∣h∣,1}g=\min\{\lvert h\rvert,1\}とおく。y0∉pr⁡Y(Z)y_0\not\in\pr_Y(Z)であるから、任意のx∈Xx\in Xに対してg(x,y0)>0g(x, y_0) > 0である。よって

f(x,y)=min⁡{1, g(x,y)g(x,y0)}f(x,y)=\min\Bigl\{1,\ \frac{g(x,y)}{g(x,y_0)}\Bigr\}

は連続写像f ⁣:X×Y→[0,1]f\colon X\times Y\to [0, 1]を定め、f−1(0)=Z(g)=Zf^{-1}(0) = Z(g) = Z,f(x,y0)=1f(x, y_0) = 1(∀x∈X\forall x\in X) を満たす。

(2)を示す。(1)が与える連続写像f ⁣:X×Y→[0,1]f\colon X\times Y\to[0,1]をとる。W1=YW_1=Yとおき、n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}についてy0∈Wny_0\in W_nを満たす開集合WnW_nが定まっているとして、UnU_n、VnV_n、Wn+1W_{n+1}を次のように選ぶ。

y0∈pr⁡Y(Z)‾y_0\in\overline{\operatorname{pr}_Y(Z)}でありWnW_nはy0y_0の近傍であるから、§E2.11 命題 7.2 (2)によりWn∩pr⁡Y(Z)≠∅W_n\cap\operatorname{pr}_Y(Z)\neq\emptysetであり、yn∈Wny_n\in W_nを満たす(xn,yn)∈Z(x_n,y_n)\in Zが存在する。f(xn,yn)=0f(x_n,y_n)=0であり[0,1/3)[0,1/3)は[0,1][0,1]の開集合であるから、§E2.14 補題 1.11と§E2.13 命題 1.2により、xn∈Un′x_n\in U'_n、yn∈Vn⊆Wny_n\in V_n\subseteq W_nを満たす開集合Un′⊆XU'_n\subseteq X、Vn⊆YV_n\subseteq Yで

f(Un′×Vn)⊆[0,1/3)f(U'_n\times V_n)\subseteq[0,1/3)

を満たすものが存在する。同様にf(xn,y0)=1f(x_n,y_0)=1であり(2/3,1](2/3,1]は[0,1][0,1]の開集合であるから、xn∈Un′′x_n\in U''_n、y0∈Wn+1⊆Wny_0\in W_{n+1}\subseteq W_nを満たす開集合Un′′⊆XU''_n\subseteq X、Wn+1⊆YW_{n+1}\subseteq Yで

f(Un′′×Wn+1)⊆(2/3,1]f(U''_n\times W_{n+1})\subseteq(2/3,1]

を満たすものが存在する。Un=Un′∩Un′′U_n=U'_n\cap U''_nとおくとxn∈Unx_n\in U_nであり、

f(Un×Vn)⊆[0,1/3),f(Un×Wn+1)⊆(2/3,1]f(U_n\times V_n)\subseteq[0,1/3), \qquad f(U_n\times W_{n+1})\subseteq(2/3,1]

が成り立つ。xn∈Unx_n\in U_nとyn∈Vny_n\in V_nからUnU_nとVnV_nは空でない。列(Wn)(W_n)は包含について減少する。

(Un×Vn)n∈Z≥1(U_n\times V_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}が局所有限であることを示す。(x,y)∈X×Y(x,y)\in X\times Yをとる。f(x,y)>1/3f(x,y)>1/3ならば、N=f−1((1/3,1])N=f^{-1}\bigl((1/3,1]\bigr)は(x,y)(x,y)を含むX×YX\times Yの開集合であり、f(Un×Vn)⊆[0,1/3)f(U_n\times V_n)\subseteq[0,1/3)からすべてのnnについてN∩(Un×Vn)=∅N\cap(U_n\times V_n)=\emptysetである。f(x,y)≤1/3f(x,y)\leq1/3ならば、f−1([0,2/3))f^{-1}\bigl([0,2/3)\bigr)は(x,y)(x,y)を含む開集合であるから、§E2.14 補題 1.11と§E2.13 命題 1.2により、x∈Oxx\in O_x、y∈Oyy\in O_yを満たす開集合Ox⊆XO_x\subseteq X、Oy⊆YO_y\subseteq Yでf(Ox×Oy)⊆[0,2/3)f(O_x\times O_y)\subseteq[0,2/3)を満たすものが存在する。Ox×OyO_x\times O_yがUm×VmU_m\times V_mとUn×VnU_n\times V_n(m<nm<n)の両方と交わったとすると、Ox∩Um≠∅O_x\cap U_m\neq\emptysetかつOy∩Vn≠∅O_y\cap V_n\neq\emptysetであり、(Wk)(W_k)が減少列であることからVn⊆Wn⊆Wm+1V_n\subseteq W_n\subseteq W_{m+1}であるので、(Ox×Oy)∩(Um×Wm+1)≠∅(O_x\times O_y)\cap(U_m\times W_{m+1})\neq\emptysetである。この共通部分の点でffは[0,2/3)[0,2/3)と(2/3,1](2/3,1]の両方に値をとることになり、両立しない。ゆえにOx×OyO_x\times O_yは高々一つのUn×VnU_n\times V_nとしか交わらない。いずれの場合にも(x,y)(x,y)は有限個のUn×VnU_n\times V_nとしか交わらない近傍をもつから、(Un×Vn)n∈Z≥1(U_n\times V_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}は局所有限である。▨

定理 4.4.XX、YYを空でない位相空間とし、X×YX\times Yに積位相を入れる。次の三条件は同値である。

  1. 射影pr⁡Y ⁣:X×Y→Y\operatorname{pr}_Y\colon X\times Y\to Yは z-閉である。
  2. 任意のu∈Cb(X×Y)u\in C_b(X\times Y)に対して、v(y)=sup⁡x∈Xu(x,y)v(y)=\sup_{x\in X}u(x,y)によって定まる写像v ⁣:Y→Rv\colon Y\to\mathbb Rは連続である。
  3. 任意のu∈Cb(X×Y)u\in C_b(X\times Y)に対して、u∗(y)=u(⋅,y)u_*(y)=u(\cdot,y)によって定まる写像u∗ ⁣:Y→Cb(X)u_*\colon Y\to C_b(X)は連続である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。u∈Cb(X×Y)u\in C_b(X\times Y)をとり、v:=sup⁡x∈Xu(x,−) ⁣:Y→Rv:=\sup_{x\in X}u(x, -)\colon Y\to \Rとおく。定義より、任意のa∈Ra\in \Rに対してv−1((−∞,a])⊂Yv^{-1}((-\infty ,a])\subset Yは閉部分集合である。一方、

v−1([a,∞))=⋂ε>0pr⁡Y(u−1([a−ε,∞)))v^{-1}([a,\infty))=\bigcap_{\ep>0}\pr_Y\bigl(u^{-1}([a-\ep,\infty))\bigr)

である。§E2.16 命題 4.3 (4)により、各u−1([a−ε,∞))u^{-1}([a-\ep,\infty))は零集合である。pr⁡Y\pr_Yは z-閉であるから各射影は閉集合であり、これらの共通部分も閉集合である。よってvvは連続である。

(2)⇒\Rightarrow(1)を背理法で示す。pr⁡Y\pr_Yが z-閉でないとし、pr⁡Y(Z)\pr_Y(Z)が閉集合でないような零集合Z⊆X×YZ\subseteq X\times Yと点y0∈pr⁡Y(Z)‾∖pr⁡Y(Z)y_0\in\overline{\pr_Y(Z)}\setminus\pr_Y(Z)をとる。補題 4.3 (1)により、Z=f−1(0)Z=f^{-1}(0)かつすべてのx∈Xx\in Xについてf(x,y0)=1f(x, y_0)=1を満たす連続写像f ⁣:X×Y→[0,1]f\colon X\times Y\to[0,1]が存在する。このときu:=1−f∈Cb(X×Y)u:=1-f\in C_b(X\times Y)とおけば、仮定よりv(y):=sup⁡x∈Xu(x,y)v(y):=\sup_{x\in X}u(x,y)で定まる関数v ⁣:Y→Rv\colon Y\to \Rは連続である。よって、任意のε>0\ep > 0に対してv−1((−ε,ε))⊂Yv^{-1}((-\ep, \ep))\subset Yは開である。一方、y0∈pr⁡Y(Z)‾∖pr⁡Y(Z)y_0\in \overline{\pr_Y(Z)}\setminus \pr_Y(Z)であるから、点y1∈v−1((−ε,ε))∩pr⁡Y(Z)y_1\in v^{-1}((-\ep, \ep))\cap \pr_Y(Z)をとることができる。このとき、あるx∈Xx\in Xが存在して(x,y1)∈Z=u−1(1)(x, y_1)\in Z = u^{-1}(1)である。よって特にv(y1)=1v(y_1) = 1であり、これはv(y1)∈(−ε,ε)v(y_1)\in (-\ep, \ep)に反する。以上で示された。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。u∈Cb(X×Y)u\in C_b(X\times Y)、y0∈Yy_0\in Y,ε>0\ep > 0を任意にとる。u0(x,y):=∣u(x,y)−u(x,y0)∣u_0(x,y):=|u(x,y) - u(x,y_0)|、v0:=sup⁡x∈Xu0(x,−)v_0:=\sup_{x\in X}u_0(x, -)とおけば、任意のy∈Yy\in Yに対して∥u∗(y)−u∗(y0)∥=v0(y)\|u_*(y) - u_*(y_0)\| = v_0(y)が成り立ち、さらに仮定よりv0v_0は連続であるから、

{y∈Y|∥u∗(y)−u∗(y0)∥<ε}=v0−1((−ε,ε))⊂Y\left\{ y\in Y\middle| \|u_*(y) - u_*(y_0)\| < \ep \right\} = v_0^{-1}((-\ep, \ep)) \subset Y

は開である。これはu∗u_*が連続であることを意味している。

(3)⇒\Rightarrow(2)はsup⁡x∈X(−) ⁣:Cb(X)→R\sup_{x\in X}(-) \colon C_b(X) \to \Rが 1-Lipschitz であることから明らかである。▨

命題 4.5.XXを空でない位相空間とする。次の三条件は同値である。

  1. XXは擬コンパクトである。
  2. 任意の空でないコンパクト空間KKに対して、射影pr⁡K ⁣:K×X→K\operatorname{pr}_K\colon K\times X\to Kは z-閉である。
  3. 射影pr⁡ω+1 ⁣:(ω+1)×X→ω+1\operatorname{pr}_{\omega+1}\colon(\omega+1)\times X\to\omega+1は z-閉である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。ZZをK×XK\times Xの零集合とし、Z=Z(h)Z=Z(h)を満たすu∈Cb(K×X)u\in C_b(K\times X)をとる。KKはコンパクトであるから§E2.20 定理 4.2 (2)により射影pr⁡X ⁣:K×X→X\operatorname{pr}_X\colon K\times X\to Xは閉写像、特に z-閉である。ゆえに定理 4.4 (3)よりu∗ ⁣:X→Cb(K)u_*\colon X\to C_b(K)、u∗(x)=u(⋅,x)u_*(x)=u(\cdot, x)は連続である。A=u∗(X)A=u_*(X)とおけば、XXの擬コンパクト性と補題 1.4からAAは擬コンパクトであり、Cb(K)C_b(K)は距離空間なので系 2.3よりAAはコンパクトである。よって射影p ⁣:K×A→Kp\colon K\times A\to Kは閉写像である。ZA=(id⁡K×u∗)(Z)⊂K×AZ_A = (\id_K\times u_*)(Z) \subset K\times Aと置くと、ZAZ_Aは評価写像ev⁡K ⁣:K×Cb(K)→R\ev_K\colon K\times C_b(K)\to \RのK×AK\times Aへの制限による零集合であるから、特に閉である。よってp(ZA)=pr⁡K(Z)⊂Kp(Z_A) = \pr_K(Z)\subset Kも閉である。

(2)⇒\Rightarrow(3)は明らかである。

(3)⇒\Rightarrow(1)の対偶を示す。XXが擬コンパクトでないとし、有界でない連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rをとる。帰納的に、各n∈ωn\in\omegaに対して∣f(xn)∣≥max⁡{∣f(xn−1)∣+1}\lvert f(x_n)\rvert\geq \max\{|f(x_{n-1})|+1\}を満たすxn∈Xx_n\in Xをとることができる。このとき∣f(xn)∣≥n|f(x_n)| \geq nが成り立つ。写像g ⁣:(ω+1)×X→Rg\colon(\omega+1)\times X\to\mathbb Rを

g(n,x)=min⁡{1,∣f(x)−f(xn)∣}(n∈ω),g(ω,x)=1g(n,x)=\min\{1,\lvert f(x)-f(x_n)\rvert\}\quad(n\in\omega), \qquad g(\omega,x)=1

で定める。このとき、ggは連続である。実際、連続性が問題となるのは(ω,x)(\omega, x)の形の点の近傍であるが、a:=∣f(x)∣+1/2a:= \lvert f(x)\rvert + 1/2とおいて、∣f(xn)∣>a+1\lvert f(x_n)\rvert > a + 1となるn∈ωn\in\omegaをとれば、任意のn<m≤ωn < m\leq \omegaと任意のx′∈f−1((−a,a))x'\in f^{-1}((-a, a))に対して

∣f(x′)−f(xm)∣≥∣f(xm)∣−∣f(x′)∣>a+1−a=1\lvert f(x')-f(x_m)\rvert \geq \lvert f(x_m)\rvert - \lvert f(x')\rvert > a + 1 - a = 1

が成り立つため、ggは点(ω,x)(\omega, x)の開近傍(n,ω]×f−1((−a,a))(n, \omega]\times f^{-1}((-a, a))上で11をとる。これはggが点(ω,x)(\omega, x)で連続であることを意味している。

Z=Z(g)Z=Z(g)は(ω+1)×X(\omega+1)\times Xの零集合である。g(ω,x)=1g(\omega, x)=1であるからpr⁡ω+1(Z)⊆ω\operatorname{pr}_{\omega+1}(Z)\subseteq\omegaであり、g(n,xn)=0g(n,x_n)=0であるからn∈pr⁡ω+1(Z)n\in\operatorname{pr}_{\omega+1}(Z)である。ゆえにpr⁡ω+1(Z)=ω\operatorname{pr}_{\omega+1}(Z)=\omegaである。一方g(ω,X)={1}g(\omega, X) = \{1\}であるからω∉pr⁡ω+1(Z)\omega\not\in \pr_{\omega + 1}(Z)であり、よってpr⁡ω+1\pr_{\omega + 1}は z-閉でない。▨

5 直積の擬コンパクト性

定理 5.1 (Glicksberg の定理).XX、YYをともに擬コンパクトな空でない T3½ 空間とし、X×YX\times Yに積位相を入れる。次の三条件は同値である。

  1. X×YX\times Yは擬コンパクトである。
  2. 包含写像X×Y→βX×βYX\times Y\to\beta X\times\beta Yの引き起こす自然な連続写像φ ⁣:β(X×Y)→βX×βY\varphi\colon\beta(X\times Y)\to\beta X\times\beta Yは同相写像である。
  3. 射影pr⁡Y ⁣:X×Y→Y\operatorname{pr}_Y\colon X\times Y\to Yは z-閉である。

証明.XXとYYは T3½ 空間であるから、§E2.15 定理 2.8 (2)と§E2.15 定理 2.8 (5)によりX×YX\times Yも T3½ 空間である。またXX、YYのいずれかが空であるとき主張は明らかであるから、XXとYYはどちらも空でないと仮定してよく、このときX×YX\times Yも空でない。

(1)⇒\Rightarrow(3)を示す。対偶を示す。pr⁡Y\operatorname{pr}_Yが z-閉でないとし、pr⁡Y(Z)\operatorname{pr}_Y(Z)が閉集合でないような零集合Z⊆X×YZ\subseteq X\times Yとy0∈pr⁡Y(Z)‾∖pr⁡Y(Z)y_0\in\overline{\operatorname{pr}_Y(Z)}\setminus\operatorname{pr}_Y(Z)をとる。補題 4.3 (2)により、空でない開集合の列(Un)(U_n)、(Vn)(V_n)で(Un×Vn)n∈Z≥1(U_n\times V_n)_{n\in\mathbb Z_{\geq1}}が局所有限であるものが存在する。§E2.14 補題 1.11により各Un×VnU_n\times V_nはX×YX\times Yの空でない開集合であり、添字集合Z≥1\mathbb Z_{\geq1}は無限であるから、定理 3.4 (2)によりX×YX\times Yは擬コンパクトでない。

(3)⇒\Rightarrow(2)を示す。u∈Cb(X×Y)u\in C_b(X\times Y)をとる。§E2.22 定理 3.2より、uuがβX×βY\beta X\times \beta Y上の連続関数へ延長できることを示せばよい。定理 4.4 (3)によりu∗ ⁣:Y→Cb(X)u_*\colon Y\to C_b(X)は連続である。YYは擬コンパクトであるから、補題 1.4よりu∗(Y)u_*(Y)は擬コンパクトであり、Cb(X)C_b(X)は§E2.16 定義 2.1により距離化可能なので、系 2.3によりu∗(Y)u_*(Y)はコンパクト Hausdorff 空間である。よって§E2.22 定理 3.2により、YYからu∗(Y)u_*(Y)への連続写像u∗u_*は連続写像u^ ⁣:βY→u∗(Y)⊆Cb(X)\widehat u\colon\beta Y\to u_*(Y)\subseteq C_b(X)へ一意に延長される。自然なC(βX)→(−)∣XCb(X)C(\beta X) \xrightarrow{(-)|_X} C_b(X)は§E2.22 系 3.4により同型射であり、u^ ⁣:βY→u∗(Y)⊆Cb(X)≅C(βX)\widehat u\colon \beta Y\to u_*(Y)\subseteq C_b(X) \cong C(\beta X)に対応する連続写像u~ ⁣:βX×βY→R\widetilde u\colon \beta X\times \beta Y\to\mathbb Rは構成からuuの延長である。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。u∈Cb(X×Y)u\in C_b(X\times Y)をとる。補題 1.3 (2)より、u(X×Y)⊆Ru(X\times Y)\subseteq\mathbb Rが閉集合であることを示せばよい。仮定によりuuはβX×βY\beta X\times\beta Y上の連続写像へ延長されるから、そのβX×Y\beta X\times Yへの制限をu~\widetilde uと書く。系 3.5 (2)よりβX×Y\beta X\times Yは擬コンパクトなので、u~(βX×Y)⊆R\widetilde{u}(\beta X\times Y)\subseteq\mathbb Rは有界閉集合である。さらにXXは擬コンパクトなので、任意のy∈Yy\in Yに対してu(X×{y})=u~(βX×{y})⊆Ru(X\times \{y\}) = \widetilde{u}(\beta X\times \{y\})\subseteq\mathbb Rであり、よって

u(X×Y)=⋃y∈Yu(X×{y})=⋃y∈Yu~(βX×{y})=u~(βX×Y)⊆Ru(X\times Y) = \bigcup_{y\in Y}u(X\times \{y\}) = \bigcup_{y\in Y}\widetilde{u}(\beta X\times \{y\}) = \widetilde{u}(\beta X\times Y)\subseteq\mathbb R

は有界閉集合である。以上で示された。▨

注意 5.2.§E2.41 定理 4.1において、無限直積の擬コンパクト性に関して次の性質を示す:(Xi)i∈I(X_i)_{i\in I}を空でない擬コンパクト T3½ 空間の族であって、任意の可算部分集合J⊂IJ\subset Iに対し、∏j∈JXj\prod_{j\in J}X_jは擬コンパクトであるとする。このとき、∏i∈IXi\prod_{i\in I}X_iは擬コンパクトである。なお、ここで「可算」を「有限」に弱めることはできない。そのような例については§E2.41 命題 6.7を参照せよ。

6 例

例 6.1.

  1. §E2.23 系 6.2によると、ω1\omega_1は可算コンパクトなので、補題 2.1よりω1\omega_1は擬コンパクトである。KKをコンパクト Hausdorff 空間とすると、系 3.5 (2)よりX=ω1×KX=\omega_1\times Kは擬コンパクトな T3½ 空間であり、定理 5.1と§E2.22 命題 7.4によりβX≅βω1×K≅(ω1+1)×K\beta X\cong\beta\omega_1\times K\cong(\omega_1+1)\times Kなので、βX∖X≅K\beta X\setminus X \cong Kである。
  2. YYを空でない T3½ 空間とする。§E2.22 系 2.4と(1)より、ω1×βY\omega_1\times \beta Yは擬コンパクトな T3½ 空間であり、(1)よりβ(ω1×βY)≅(ω1+1)×βY\beta(\omega_1\times\beta Y)\cong (\omega_1+1)\times \beta Yである。Y1=(ω1×βY)∪({ω1}×(βY∖Y))⊆(ω1+1)×βYY_1=(\omega_1\times \beta Y) \cup (\{\omega_1\}\times (\beta Y\setminus Y))\subseteq(\omega_1+1)\times\beta Yとおけば、ω1×βY⊆Y1⊆β(ω1×βY)\omega_1\times\beta Y\subseteq Y_1\subseteq \beta (\omega_1\times \beta Y)なので補題 1.4によりY1Y_1は擬コンパクトであり、さらに§E2.22 系 3.6によりβY1=(ω1+1)×βY\beta Y_1 = (\omega_1+1)\times \beta Yとなる。よってβY1∖Y1≅Y\beta Y_1\setminus Y_1 \cong Yとなる。
  3. ω1×(ω+1)\omega_1\times (\omega+1)は(1)より擬コンパクトであり、さらにβ(ω1×(ω+1))≅(ω1+1)×(ω+1)\beta(\omega_1\times (\omega+1)) \cong (\omega_1+1)\times (\omega +1)となる。端点を抜いた Tychonoff の板T=((ω1+1)×(ω+1))∖{(ω1,ω)}T=((\omega_1+1)\times (\omega + 1))\setminus \{(\omega_1, \omega)\}はω1×(ω+1)⊆T\omega_1\times (\omega+1)\subseteq Tを稠密部分空間にもつので補題 1.4により擬コンパクトであり、よって§E2.22 系 3.6によりβT=(ω1+1)×(ω+1)\beta T = (\omega_1+1)\times (\omega + 1)である。

7 演習

問題 7.1.補題 1.3を証明せよ。

解答.

補題 1.3 (1)⇒\Rightarrow(2)を示す。f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rを有界な連続写像とし、f(X)f(X)が閉集合でないと仮定する。§E2.11 命題 2.5 (2)によりf(X)‾≠f(X)\overline{f(X)}\neq f(X)であるから、r∈f(X)‾∖f(X)r\in\overline{f(X)}\setminus f(X)をとることができる。すべてのx∈Xx\in Xについてf(x)≠rf(x)\neq rであるから

g(x)=1∣f(x)−r∣g(x)=\frac{1}{\lvert f(x)-r\rvert}

は定まり、§E2.16 補題 1.2 (1)と§E2.16 補題 1.2 (2)によりg ⁣:X→Rg\colon X\to\mathbb Rは連続である。n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}をとる。r∈f(X)‾r\in\overline{f(X)}であり(r−1/n,r+1/n)(r-1/n,r+1/n)はrrの近傍であるから、§E2.11 命題 7.2 (2)により∣f(x)−r∣<1/n\lvert f(x)-r\rvert<1/nを満たすx∈Xx\in Xが存在し、このxxについてg(x)>ng(x)>nである。ゆえにggは有界でなく、XXが擬コンパクトであることに反する。

補題 1.3 (2)⇒\Rightarrow(3)を示す。f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rを有界な連続写像とする。X≠∅X\neq\emptysetであるからf(X)≠∅f(X)\neq\emptysetであり、ffの有界性によりf(X)f(X)は上に有界である。§D1.4 定義 1.2によりs=sup⁡f(X)s=\sup f(X)が定まる。ε>0\varepsilon>0をとると、s−εs-\varepsilonはf(X)f(X)の上界でないからs−ε<t≤ss-\varepsilon<t\leq sを満たすt∈f(X)t\in f(X)が存在し、t∈(s−ε,s+ε)t\in(s-\varepsilon,s+\varepsilon)である。ゆえにssの任意の近傍はf(X)f(X)と交わり、§E2.11 命題 7.2 (2)によりs∈f(X)‾s\in\overline{f(X)}である。仮定によりf(X)f(X)は閉集合であるから、§E2.11 命題 2.5 (2)によりs∈f(X)s\in f(X)であり、f(x)=sf(x)=sを満たすx∈Xx\in Xが存在する。このxxでffは最大値をとる。

補題 1.3 (3)⇒\Rightarrow(4)を示す。f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rを有界な連続写像とすると、§E2.16 補題 1.2 (1)により−f-fも有界な連続写像である。仮定により−f-fはx0∈Xx_0\in Xで最大値をとる。すべてのx∈Xx\in Xについて−f(x)≤−f(x0)-f(x)\leq-f(x_0)、すなわちf(x0)≤f(x)f(x_0)\leq f(x)であるから、ffはx0x_0で最小値をとる。

補題 1.3 (4)⇒\Rightarrow(1)を示す。XXが擬コンパクトでないとし、有界でない連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rをとる。

g(x)=1max⁡{1,∣f(x)∣}g(x)=\frac{1}{\max\{1,\lvert f(x)\rvert\}}

とおく。§E2.16 補題 1.2 (2)によりmax⁡{1,∣f∣}\max\{1,\lvert f\rvert\}は連続であり、その値は11以上であるから、§E2.16 補題 1.2 (1)によりggは連続である。ggの値は(0,1](0,1]に含まれるからggは有界である。n∈Z≥1n\in\mathbb Z_{\geq1}をとると、ffが有界でないことから∣f(x)∣>n\lvert f(x)\rvert>nを満たすx∈Xx\in Xが存在し、このxxについて0<g(x)<1/n0<g(x)<1/nである。ゆえにggの値の下限は00である。一方ggの値はつねに00より大きいから、ggは最小値をとらない。したがってXXは補題 1.3 (4)を満たさない。▨

問題 7.2.系 2.3を証明せよ。

解答.

XXを距離化可能な空間とし、XXの位相を定める距離を一つ固定する。コンパクトならば§E2.23 定理 1.3と補題 2.1により擬コンパクトである。逆にXXが擬コンパクトであるとする。§E2.15 定理 3.2 (2)によりXXは T4 空間であるから、補題 2.2によりXXは可算コンパクトであり、§E2.9 定理 3.1 (4)によりXXはコンパクトである。▨

問題 7.3. T4 空間の閉部分空間について擬コンパクト性が遺伝することを示せ。

解答.

XXを擬コンパクトな T4 空間、F⊆XF\subseteq Xを閉集合とし、FFには部分空間位相を入れる。補題 2.2によりXXは可算コンパクトであり、§E2.23 系 4.2 (1)によりFFは可算コンパクトである。ゆえに補題 2.1によりFFは擬コンパクトである。▨

問題 7.4. 位相空間XX、YYと連続写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yについて、YYの任意の零集合ZZに対してf−1(Z)f^{-1}(Z)がXXの零集合であることを示せ。

解答.

§E2.16 定義 4.1によりZ=Z(h)Z=Z(h)を満たすh∈C(Y,R)h\in C(Y,\mathbb R)をとる。§E2.12 命題 1.10によりh∘f∈C(X,R)h\circ f\in C(X,\mathbb R)であり、

Z(h∘f)={x∈X∣h(f(x))=0}=f−1({y∈Y∣h(y)=0})=f−1(Z)Z(h\circ f)=\{x\in X\mid h(f(x))=0\}=f^{-1}\bigl(\{y\in Y\mid h(y)=0\}\bigr)=f^{-1}(Z)

であるから、ふたたび§E2.16 定義 4.1によりf−1(Z)f^{-1}(Z)はXXの零集合である。▨

問題 7.5.XXを空でない位相空間とする。XXが擬コンパクトであることと、すべての点で正の値をとる任意の連続写像f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rについてinf⁡f(X)>0\inf f(X)>0が成り立つこととは同値であることを示せ。

解答.

XXが擬コンパクトであるとし、f ⁣:X→Rf\colon X\to\mathbb Rをすべての点で正の値をとる連続写像とする。§E2.16 補題 1.2 (1)により1/f1/fは連続であるから、擬コンパクト性により1/f(x)≤M1/f(x)\leq Mをすべてのxxについて満たす実数MMが存在する。1/f1/fの値は正であるからM>0M>0であり、f(x)≥1/Mf(x)\geq1/Mがすべてのxxについて成り立つ。X≠∅X\neq\emptysetであるからf(X)≠∅f(X)\neq\emptysetであり、inf⁡f(X)≥1/M>0\inf f(X)\geq1/M>0である。

逆を示す。g ⁣:X→Rg\colon X\to\mathbb Rを連続写像とし、f=1/(1+∣g∣)f=1/(1+\lvert g\rvert)とおく。§E2.16 補題 1.2 (1)と§E2.16 補題 1.2 (2)によりffは連続であり、1+∣g∣≥11+\lvert g\rvert\geq1であるからffはすべての点で正の値をとる。仮定によりc=inf⁡f(X)>0c=\inf f(X)>0である。すべてのxxについて1/(1+∣g(x)∣)≥c1/(1+\lvert g(x)\rvert)\geq c、すなわち∣g(x)∣≤1/c−1\lvert g(x)\rvert\leq1/c-1であるからggは有界である。ゆえにXXは擬コンパクトである。▨

問題 7.6.KKを T1 空間、XXを位相空間とする。K×XK\times Xが正規であり、射影pr⁡K ⁣:K×X→K\pr_K\colon K\times X\to Kが z-閉ならば、pr⁡K\pr_Kは閉写像である。

解答.

F⊆K×XF\subseteq K\times Xを閉集合、k∈K∖pr⁡K(F)k\in K\setminus\pr_K(F)とする。KKは T1 なので{k}×X\{k\}\times Xは閉集合であり、FFと交わらない。§E2.18 定理 3.1により、連続写像f ⁣:K×X→[0,1]f\colon K\times X\to[0,1]でf∣F=0f|_F=0、f∣{k}×X=1f|_{\{k\}\times X}=1を満たすものが存在する。零集合Z=f−1({0})Z=f^{-1}(\{0\})はFFを含み、{k}×X\{k\}\times Xと交わらない。

射影が z-閉であることからpr⁡K(Z)\pr_K(Z)はKKの閉集合であり、k∉pr⁡K(Z)k\notin\pr_K(Z)である。したがってK∖pr⁡K(Z)K\setminus\pr_K(Z)はkkの開近傍でpr⁡K(F)\pr_K(F)と交わらない。K∖pr⁡K(F)K\setminus\pr_K(F)は開集合なので、pr⁡K(F)\pr_K(F)は閉集合である。▨

参考文献

  1. Irving Glicksberg, Stone–Čech compactifications of products, Transactions of the American Mathematical Society 90 (1959), 369–382.直積のコンパクト化が因子のコンパクト化の直積に一致することと直積が擬コンパクトであることの同値を参考にした。
  2. Ryszard Engelking, General Topology, revised and completed ed., Sigma Series in Pure Mathematics 6, Heldermann Verlag, Berlin, 1989.擬コンパクト性の局所有限な開族による特徴づけと、z-閉写像による直積の扱いを参考にした。
  3. Leonard Gillman and Meyer Jerison, Rings of Continuous Functions, Graduate Texts in Mathematics 43, Springer, New York, 1976.零集合と有界連続関数の空間を通した擬コンパクト性の扱いを参考にした。

前提記事

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