§E2.48Euclid 空間の次元

最終更新

正の整数m,nm,nに対して、Rn\R^nの空でない開集合とRm\R^mの空でない開集合が同相ならばm=nm=nが従うかどうかが問題となる。立方体[0,1]n[0,1]^nの被覆次元がnnであるという Lebesgue の被覆定理は、座標の本数と位相的な不変量の値の一致を述べる。

正の整数nnに対し、[0,1]n[0,1]^nからRn\R^nへの連続写像の各座標関数が、対応する下側の面で非正、上側の面で非負であるとする。すべての座標関数が同時に零となる点の存在は、中間値の定理を高次元へ拡張する問いである。

1 Hex の定理

定義 1.1 (隣接).n∈N≥1n\in\NNとする。Zn\Z^nの点z,z′z,z'が 隣接する (adjacent) とは、z≠z′z\neq z'であり、差z′−zz'-zが{0,1}n\{0,1\}^nまたは{0,−1}n\{0,-1\}^nに属することをいう。

定義 1.2 (鎖).n∈N≥1n\in\NNとし、i=1,…,ni=1,\ldots,nについて、第ii成分が11で他の成分が00であるZn\Z^nの点をeie^iと書く。Zn\Z^nの点の列σ=(z0,z1,…,zn)\sigma=(z^0,z^1,\ldots,z^n)が 鎖 (chain) であるとは、全単射π ⁣:{1,…,n}→{1,…,n}\pi\colon\{1,\ldots,n\}\to\{1,\ldots,n\}で、j=1,…,nj=1,\ldots,nについてzj−zj−1=eπ(j)z^j-z^{j-1}=e^{\pi(j)}を満たすものが存在することをいう。z0,…,znz^0,\ldots,z^nをσ\sigmaの 頂点 (vertex) といい、0≤j≤n0\le j\le nについて、zjz^j以外のnn個の頂点からなる集合をσ\sigmaの第jj面 (face) という。

0≤j≤n0\le j\le nについて、σ\sigmaの第jj隣接鎖 (neighboring chain) を次の点の列と定める。0<j<n0<j<nのときはσ\sigmaのzjz^jをzj−1+zj+1−zjz^{j-1}+z^{j+1}-z^jに替えた列、j=0j=0のときは(z1,…,zn, zn+z1−z0)(z^1,\ldots,z^n,\,z^n+z^1-z^0)、j=nj=nのときは(z0+zn−1−zn, z0,…,zn−1)(z^0+z^{n-1}-z^n,\,z^0,\ldots,z^{n-1})である。

補題 1.3.n∈N≥1n\in\NNとし、σ=(z0,…,zn)\sigma=(z^0,\ldots,z^n)をZn\Z^nの鎖とする。

  1. 0≤j<j′≤n0\le j<j'\le nならば、zj′−zjz^{j'}-z^jは{0,1}n\{0,1\}^nに属し00でない。とくに、σ\sigmaの頂点は相異なり、どの二つも隣接する。
  2. 0≤j≤n0\le j\le nとし、σ′=(y0,…,yn)\sigma'=(y^0,\ldots,y^n)をσ\sigmaの第jj隣接鎖とする。0<j<n0<j<nのときj∗=jj^*=j、j=0j=0のときj∗=nj^*=n、j=nj=nのときj∗=0j^*=0とおく。このときσ′\sigma'は鎖であり、yj∗y^{j^*}はσ\sigmaの頂点でなく、σ′\sigma'の第j∗j^*面はσ\sigmaの第jj面に等しい。さらに、σ\sigmaはσ′\sigma'の第j∗j^*隣接鎖である。
  3. 整数N≥0N\ge0についてσ\sigmaの頂点がすべて{0,1,…,N}n\{0,1,\ldots,N\}^nに属するとき、0<j<n0<j<nならば、σ\sigmaの第jj隣接鎖の頂点もすべて{0,1,…,N}n\{0,1,\ldots,N\}^nに属する。

証明.π\piをσ\sigmaに対する定義 1.2の全単射とし、e1,…,ene^1,\ldots,e^nを同じ定義の点とする。z∈Znz\in\Z^nに対してs(z)=z1+⋯+zns(z)=z_1+\cdots+z_nとおくと、s(ei)=1s(e^i)=1であるから、0≤l≤n0\le l\le nについてs(zl)=s(z0)+ls(z^l)=s(z^0)+lである。

(1)を示す。zj′−zj=eπ(j+1)+⋯+eπ(j′)z^{j'}-z^j=e^{\pi(j+1)}+\cdots+e^{\pi(j')}であり、π(j+1),…,π(j′)\pi(j+1),\ldots,\pi(j')は相異なるから、この差は{0,1}n\{0,1\}^nに属し00でない。したがって相異なる添字の頂点は相異なり、隣接する。

(2)を示す。y=yj∗y=y^{j^*}とおく。0<j<n0<j<nのとき、y=zj−1+zj+1−zj=zj−1+eπ(j+1)y=z^{j-1}+z^{j+1}-z^j=z^{j-1}+e^{\pi(j+1)}であり、zj+1−y=eπ(j)z^{j+1}-y=e^{\pi(j)}であるから、σ′\sigma'の隣り合う頂点の差は順にeπ(1),…,eπ(j−1),eπ(j+1),eπ(j),eπ(j+2),…,eπ(n)e^{\pi(1)},\ldots,e^{\pi(j-1)},e^{\pi(j+1)},e^{\pi(j)},e^{\pi(j+2)},\ldots,e^{\pi(n)}である。j=0j=0のとき、y=zn+eπ(1)y=z^n+e^{\pi(1)}であり、差は順にeπ(2),…,eπ(n),eπ(1)e^{\pi(2)},\ldots,e^{\pi(n)},e^{\pi(1)}である。j=nj=nのとき、y=z0−eπ(n)y=z^0-e^{\pi(n)}であり、差は順にeπ(n),eπ(1),…,eπ(n−1)e^{\pi(n)},e^{\pi(1)},\ldots,e^{\pi(n-1)}である。いずれの場合も差はe1,…,ene^1,\ldots,e^nを一度ずつ並べたものであるから、σ′\sigma'は鎖である。s(y)s(y)は、0<j<n0<j<nのときs(z0)+js(z^0)+j、j=0j=0のときs(z0)+n+1s(z^0)+n+1、j=nj=nのときs(z0)−1s(z^0)-1である。j∈{0,n}j\in\{0,n\}のときs(y)s(y)はどのs(zl)s(z^l)とも異なるので、yyはσ\sigmaの頂点でない。0<j<n0<j<nのとき、s(zl)=s(y)s(z^l)=s(y)を満たす頂点はzjz^jだけであり、y−zj−1=eπ(j+1)≠eπ(j)=zj−zj−1y-z^{j-1}=e^{\pi(j+1)}\neq e^{\pi(j)}=z^j-z^{j-1}であるから、yyはσ\sigmaの頂点でない。yj∗y^{j^*}以外のσ′\sigma'の頂点はσ\sigmaの第jj面の点であり、σ′\sigma'の頂点は相異なるので、σ′\sigma'の第j∗j^*面はσ\sigmaの第jj面に等しい。

0<j<n0<j<nのとき、yj−1+yj+1−yj=zj−1+zj+1−y=zjy^{j-1}+y^{j+1}-y^j=z^{j-1}+z^{j+1}-y=z^jであるから、第jj隣接鎖はσ\sigmaである。j=0j=0のとき、σ′=(z1,…,zn,y)\sigma'=(z^1,\ldots,z^n,y)であり、y0+yn−1−yn=z1+zn−y=z1−eπ(1)=z0y^0+y^{n-1}-y^n=z^1+z^n-y=z^1-e^{\pi(1)}=z^0であるから、第nn隣接鎖は(z0,z1,…,zn)=σ(z^0,z^1,\ldots,z^n)=\sigmaである。j=nj=nのとき、σ′=(y,z0,…,zn−1)\sigma'=(y,z^0,\ldots,z^{n-1})であり、yn+y1−y0=zn−1+z0−y=zn−1+eπ(n)=zny^n+y^1-y^0=z^{n-1}+z^0-y=z^{n-1}+e^{\pi(n)}=z^nであるから、第00隣接鎖は(z0,…,zn−1,zn)=σ(z^0,\ldots,z^{n-1},z^n)=\sigmaである。

(3)を示す。0<j<n0<j<nのとき、第jj隣接鎖の頂点のうちσ\sigmaの頂点でないものはy=zj−1+eπ(j+1)y=z^{j-1}+e^{\pi(j+1)}であり、zj+1=y+eπ(j)z^{j+1}=y+e^{\pi(j)}である。よって各iiについてzij−1≤yi≤zij+1z^{j-1}_i\le y_i\le z^{j+1}_iであり、0≤yi≤N0\le y_i\le Nである。▨

補題 1.4.n,k∈N≥1n,k\in\NNとし、A={0,1,…,k+1}nA=\{0,1,\ldots,k+1\}^n、H={1,…,k}nH=\{1,\ldots,k\}^nとおく。写像L ⁣:A→{1,…,n}L\colon A\to\{1,\ldots,n\}は、各z∈A∖Hz\in A\setminus Hについて、zi=0z_i=0を満たすiiが存在するならばL(z)=min⁡{i∣zi=0}L(z)=\min\{i\mid z_i=0\}であり、存在しないならばL(z)=min⁡{i∣zi=k+1}L(z)=\min\{i\mid z_i=k+1\}であるとする。このとき、あるr∈{1,…,n}r\in\{1,\ldots,n\}とAAの点の列w0,…,wMw^0,\ldots,w^Mで、すべてのllについてL(wl)=rL(w^l)=rであり、0≤l<M0\le l<Mについてwlw^lとwl+1w^{l+1}が隣接し、wr0=0w^0_r=0かつwrM=k+1w^M_r=k+1を満たすものが存在する。

証明. 頂点がすべてAAに属する鎖をAAの鎖と呼び、AAの鎖σ\sigmaが完全であるとは、LLをσ\sigmaの頂点の集合へ制限した写像が{1,…,n}\{1,\ldots,n\}への全射であることをいう。σ=(z0,…,zn)\sigma=(z^0,\ldots,z^n)を完全なAAの鎖とすると、補題 1.3 (1)により相異なるn+1n+1個の頂点がnn個の値へ全射に写るので、L(zp)=L(zq)L(z^p)=L(z^q)を満たす添字p<qp<qがちょうど一組あり、他の頂点の値は互いに異なりL(zp)L(z^p)とも異なる。このp,qp,qをσ\sigmaの重複添字と呼ぶ。LLがσ\sigmaの第jj面の上で{1,…,n}\{1,\ldots,n\}への全射であることは、j∈{p,q}j\in\{p,q\}であることと同値である。

完全なAAの鎖の全体を頂点の集合とするグラフΓ\Gammaを定める。AAは有限集合であり、鎖はAAの点の列であるから、Γ\Gammaの頂点は有限個である。Γ\Gammaの相異なる二頂点を辺で結ぶのは、一方が他方の第jj隣接鎖であって、LLが他方の第jj面の上で全射であるようなjjが存在するときとする。

主張 1.4.1.σ\sigmaをΓ\Gammaの頂点とし、p<qp<qをその重複添字とする。Γ\Gammaにおいてσ\sigmaと辺で結ばれる頂点は、σ\sigmaの第pp隣接鎖と第qq隣接鎖のうちAAの鎖であるものであり、この二つの隣接鎖は相異なる。

証明.j∈{p,q}j\in\{p,q\}とし、σ\sigmaの第jj隣接鎖σ′\sigma'がAAの鎖であるとする。補題 1.3 (2)によりσ′\sigma'の頂点の集合はσ\sigmaの第jj面を含み、σ\sigmaの頂点でない点を含むので、σ′\sigma'は完全であってσ\sigmaと異なり、σ\sigmaと辺で結ばれる。

逆に、Γ\Gammaの頂点σ′\sigma'がσ\sigmaと辺で結ばれるとする。σ′\sigma'がσ\sigmaの第jj隣接鎖であってLLがσ\sigmaの第jj面の上で全射であるならば、j∈{p,q}j\in\{p,q\}である。σ\sigmaがσ′\sigma'の第jj隣接鎖であってLLがσ′\sigma'の第jj面の上で全射であるならば、補題 1.3 (2)をσ′\sigma'に適用すると、σ′\sigma'はσ\sigmaの第j∗j^*隣接鎖であり、σ\sigmaの第j∗j^*面はσ′\sigma'の第jj面に等しいので、j∗∈{p,q}j^*\in\{p,q\}である。

補題 1.3 (2)により、第qq隣接鎖の頂点の集合は第qq面とσ\sigmaの頂点でない一点の和集合であり、zqz^qを含まない。第pp隣接鎖の頂点の集合は第pp面を含み、p≠qp\neq qであるからzqz^qを含む。よって二つの隣接鎖は相異なる。▨

0<j<n0<j<nのとき、補題 1.3 (3)をN=k+1N=k+1として用いると、AAの鎖の第jj隣接鎖はAAの鎖である。したがって主張 1.4.1により、Γ\Gammaの各頂点σ\sigmaと辺で結ばれる頂点は高々二つであり、それが二つ未満であるならば、σ\sigmaの重複添字jjで、j∈{0,n}j\in\{0,n\}であって第jj隣接鎖がAAの鎖でないものが存在する。

0≤j≤n0\le j\le nについてcj=e1+⋯+ejc^j=e^1+\cdots+e^jとおき(c0=0c^0=0)、σ0=(c0,…,cn)\sigma^0=(c^0,\ldots,c^n)とおく。σ0\sigma^0は恒等写像を全単射とするAAの鎖である。0≤j<n0\le j<nについて、cjc^jは第11成分から第jj成分までが11、他の成分が00であるから、cj∈A∖Hc^j\in A\setminus HでありL(cj)=j+1L(c^j)=j+1である。よってLLはσ0\sigma^0の第nn面の上で全射であり、σ0\sigma^0はΓ\Gammaの頂点で、r0=L(cn)r_0=L(c^n)とおくとその重複添字はr0−1r_0-1とnnである。第nn隣接鎖の頂点c0+cn−1−cn=−enc^0+c^{n-1}-c^n=-e^nはAAに属さない。r0≥2r_0\ge2ならば0<r0−1<n0<r_0-1<nであるから、第r0−1r_0-1隣接鎖はAAの鎖である。r0=1r_0=1ならば、第00隣接鎖の頂点のうちσ0\sigma^0の頂点でないものはcn+c1−c0=cn+e1c^n+c^1-c^0=c^n+e^1であり、k≥1k\ge1から2≤k+12\le k+1であるのでAAに属する。いずれの場合も、主張 1.4.1によりσ0\sigma^0と辺で結ばれる頂点はちょうど一つである。

Γ\Gammaの相異なる頂点の列τ0,…,τm\tau^0,\ldots,\tau^mで、τ0=σ0\tau^0=\sigma^0であり隣り合う二項が辺で結ばれ、末尾にΓ\Gammaの頂点を一つ加えて同じ条件を満たす列にすることができないものをとる。Γ\Gammaは有限であるから、列(σ0)(\sigma^0)から始めて末尾への追加を繰り返すとこのような列が得られ、σ0\sigma^0と辺で結ばれる頂点が存在するのでm≥1m\ge1である。τm\tau^mと辺で結ばれる頂点ρ\rhoでτm−1\tau^{m-1}と異なるものが存在したとすると、列を延長することができないのでρ=τl\rho=\tau^lを満たすl≤m−2l\le m-2がある。l=0l=0ならば、σ0\sigma^0は相異なるτ1\tau^1とτm\tau^mの両方と辺で結ばれ、σ0\sigma^0と辺で結ばれる頂点がちょうど一つであることに反する。1≤l≤m−21\le l\le m-2ならば、τl\tau^lは相異なる三つの頂点τl−1,τl+1,τm\tau^{l-1},\tau^{l+1},\tau^mと辺で結ばれ、辺で結ばれる頂点が高々二つであることに反する。よってτm\tau^mと辺で結ばれる頂点はτm−1\tau^{m-1}だけであり、τm≠σ0\tau^m\neq\sigma^0である。

τm=(z0,…,zn)\tau^m=(z^0,\ldots,z^n)と書き、その全単射をπ\pi、重複添字をp<qp<qとする。τm\tau^mと辺で結ばれる頂点は一つだけであり、0<j<n0<j<nならば第jj隣接鎖はAAの鎖であるから、主張 1.4.1により、重複添字j∈{0,n}j\in\{0,n\}で第jj隣接鎖がAAの鎖でないものがある。

j=nj=nであると仮定し、r=π(n)r=\pi(n)とおく。第nn隣接鎖の頂点z0+zn−1−zn=z0−erz^0+z^{n-1}-z^n=z^0-e^rはAAに属さず、z0∈Az^0\in Aであるからzr0=0z^0_r=0である。l<nl<nについてzl=z0+eπ(1)+⋯+eπ(l)z^l=z^0+e^{\pi(1)}+\cdots+e^{\pi(l)}でありπ(1),…,π(l)\pi(1),\ldots,\pi(l)はrrと異なるので、zrl=0z^l_r=0である。よって0≤l<n0\le l<nについてzl∈A∖Hz^l\in A\setminus Hであり、L(zl)=min⁡{i∣zil=0}≤rL(z^l)=\min\{i\mid z^l_i=0\}\le rである。nnは重複添字であるからLLは第nn面{z0,…,zn−1}\{z^0,\ldots,z^{n-1}\}の上で全射であり、値nnをとるのでr=nr=nである。

Zl={i∣zil=0}Z_l=\{i\mid z^l_i=0\}とおくと、zlz^lの成分はllについて減少しないのでZ0⊇Z1⊇⋯⊇Zn−1Z_0\supseteq Z_1\supseteq\cdots\supseteq Z_{n-1}であり、L(zl)=min⁡ZlL(z^l)=\min Z_lはllについて減少しない。L(z0),…,L(zn−1)L(z^0),\ldots,L(z^{n-1})は1,…,n1,\ldots,nを一度ずつとるのでL(zl)=l+1L(z^l)=l+1である。よってすべてのl<nl<nについてl+1∈Zl⊆Z0l+1\in Z_l\subseteq Z_0であり、Z0={1,…,n}Z_0=\{1,\ldots,n\}、すなわちz0=0z^0=0である。

このとき1≤l<n1\le l<nについてZl={1,…,n}∖{π(1),…,π(l)}Z_l=\{1,\ldots,n\}\setminus\{\pi(1),\ldots,\pi(l)\}であり、min⁡Zl=l+1\min Z_l=l+1から{π(1),…,π(l)}={1,…,l}\{\pi(1),\ldots,\pi(l)\}=\{1,\ldots,l\}である。したがってπ\piは恒等写像であり、τm=σ0\tau^m=\sigma^0となる。これはτm≠σ0\tau^m\neq\sigma^0と両立しないので、j≠nj\neq nである。

よってj=0j=0であり、00はτm\tau^mの重複添字である。r=π(1)r=\pi(1)とおくと、第00隣接鎖の頂点zn+z1−z0=zn+erz^n+z^1-z^0=z^n+e^rはAAに属さず、zn∈Az^n\in Aであるからzrn=k+1z^n_r=k+1である。1≤l≤n1\le l\le nについてzrl=zrn=k+1z^l_r=z^n_r=k+1である。LLは第00面{z1,…,zn}\{z^1,\ldots,z^n\}の上で全射であるから、第00面の点vvでL(v)=rL(v)=rを満たすものがあり、vr=k+1v_r=k+1である。

1≤l≤m1\le l\le mについて、τl−1\tau^{l-1}とτl\tau^lは辺で結ばれるので、一方は他方の第jj隣接鎖であって、LLは他方の第jj面FlF_lの上で全射である。補題 1.3 (2)によりFlF_lはτl−1\tau^{l-1}とτl\tau^lの両方の頂点の集合に含まれる。FlF_lの点でLLの値がrrであるものをulu^lとする。u0=cr−1u^0=c^{r-1}とおくと、u0u^0はσ0\sigma^0の頂点であり、L(u0)=rL(u^0)=r、ur0=0u^0_r=0である。um+1=vu^{m+1}=vとおく。0≤l≤m0\le l\le mについてulu^lとul+1u^{l+1}はともにτl\tau^lの頂点であるから、補題 1.3 (1)により等しいか隣接する。列u0,…,um+1u^0,\ldots,u^{m+1}から直前の項に等しい項を取り除いた列をw0,…,wMw^0,\ldots,w^Mとすると、w0=u0w^0=u^0、wM=vw^M=vであり、この列は主張の条件を満たす。▨

定理 1.5 (Hex の定理).n,k∈N≥1n,k\in\NNとし、H={1,…,k}nH=\{1,\ldots,k\}^nとおく。任意の写像L ⁣:H→{1,…,n}L\colon H\to\{1,\ldots,n\}に対して、あるi∈{1,…,n}i\in\{1,\ldots,n\}とHHの点の列z0,…,zmz^0,\ldots,z^mで、すべてのllについてL(zl)=iL(z^l)=iであり、0≤l<m0\le l<mについてzlz^lとzl+1z^{l+1}が隣接し、zi0=1z^0_i=1かつzim=kz^m_i=kを満たすものが存在する。

証明.A={0,1,…,k+1}nA=\{0,1,\ldots,k+1\}^nとおく。z∈A∖Hz\in A\setminus Hはzi∈{0,k+1}z_i\in\{0,k+1\}を満たすiiをもつので、zi=0z_i=0を満たすiiが存在するならばL(z)=min⁡{i∣zi=0}L(z)=\min\{i\mid z_i=0\}、存在しないならばL(z)=min⁡{i∣zi=k+1}L(z)=\min\{i\mid z_i=k+1\}と定めて、LLをAA上の写像へ延ばすことができる。補題 1.4により、あるrrと、LLの値がすべてrrで隣り合う二項が隣接するAAの点の列w0,…,wMw^0,\ldots,w^Mで、wr0=0w^0_r=0かつwrM=k+1w^M_r=k+1を満たすものがある。wra=0w^a_r=0を満たす最大のaaをとるとa<Ma<Mであり、b>ab>aかつwrb=k+1w^b_r=k+1を満たす最小のbbをとる。aaとbbの選び方から、a<l<ba<l<bならば1≤wrl≤k1\le w^l_r\le kである。A∖HA\setminus Hの点zzでL(z)=rL(z)=rを満たすものは、zi=0z_i=0を満たすiiが存在するならばzr=0z_r=0を満たし、存在しないならばzr=k+1z_r=k+1を満たす。よってa<l<ba<l<bならばwl∈Hw^l\in Hである。隣接する二点の第rr成分の差の絶対値は11以下であるから、wrb−wra=k+1≥2w^b_r-w^a_r=k+1\ge2からb−a≥2b-a\ge2であり、wra+1=1w^{a+1}_r=1、wrb−1=kw^{b-1}_r=kである。したがってi=ri=rと列wa+1,…,wb−1w^{a+1},\ldots,w^{b-1}が主張の条件を満たす。▨

注意 1.6.n=2n=2のとき、z∈Z2z\in\Z^2と隣接する点はz±(1,0)z\pm(1,0)、z±(0,1)z\pm(0,1)、z±(1,1)z\pm(1,1)の六つである。{1,…,k}2\{1,\ldots,k\}^2の各点を六角形のます目と見ると、隣接する二点は辺を共有するます目にあたり、{1,…,k}2\{1,\ldots,k\}^2はゲーム Hex の盤になる。二人の対局者は番号11と22でます目を埋めていき、それぞれ自分の番号のます目の隣接する列で、自分に割り当てられた相対する二辺を結ぶことを目指す。定理 1.5は、盤がすべて埋まったとき、いずれかの対局者がこの目標を達成していることを述べる。

系 1.7.n∈N≥1n\in\NNとし、[0,1]n[0,1]^nに Euclid 距離d2d_2を入れる。実数δ>0\delta>0と写像λ ⁣:[0,1]n→{1,…,n}\lambda\colon[0,1]^n\to\{1,\ldots,n\}に対して、あるi∈{1,…,n}i\in\{1,\ldots,n\}と[0,1]n[0,1]^nの点の列x0,…,xmx^0,\ldots,x^mで、すべてのllについてλ(xl)=i\lambda(x^l)=iであり、0≤l<m0\le l<mについてd2(xl,xl+1)<δd_2(x^l,x^{l+1})<\deltaであり、xi0=0x^0_i=0かつxim=1x^m_i=1を満たすものが存在する。

証明.n/(k−1)<δn/(k-1)<\deltaを満たす整数k≥2k\ge2をとる。z∈{1,…,k}nz\in\{1,\ldots,k\}^nに対して、第jj成分が(zj−1)/(k−1)(z_j-1)/(k-1)である[0,1]n[0,1]^nの点をp(z)p(z)とし、L(z)=λ(p(z))L(z)=\lambda(p(z))とおく。定理 1.5により、あるiiと、LLの値がすべてiiで隣り合う二項が隣接する{1,…,k}n\{1,\ldots,k\}^nの点の列z0,…,zmz^0,\ldots,z^mで、zi0=1z^0_i=1かつzim=kz^m_i=kを満たすものがある。xl=p(zl)x^l=p(z^l)とおくと、λ(xl)=i\lambda(x^l)=i、xi0=0x^0_i=0、xim=1x^m_i=1である。zlz^lとzl+1z^{l+1}は隣接するので各成分の差の絶対値は11以下であり、d∞(xl,xl+1)≤1/(k−1)d_\infty(x^l,x^{l+1})\le1/(k-1)である。§E2.1 公式 4.2によりd2(xl,xl+1)≤n/(k−1)<δd_2(x^l,x^{l+1})\le n/(k-1)<\deltaである。▨

2 立方体の被覆次元

補題 2.1.n∈N≥1n\in\NNとし、i=1,…,ni=1,\ldots,nについて実数ai<bia_i<b_iをとり、Q=∏i=1n[ai,bi]={x∈Rn∣ai≤xi≤bi (i=1,…,n)}Q=\prod_{i=1}^n[a_i,b_i]=\{x\in\R^n\mid a_i\le x_i\le b_i\ (i=1,\ldots,n)\}とおく。

  1. QQはコンパクトである。
  2. φ(y)=(a1+(b1−a1)y1,…,an+(bn−an)yn)\varphi(y)=\bigl(a_1+(b_1-a_1)y_1,\ldots,a_n+(b_n-a_n)y_n\bigr)で定まる写像φ ⁣:[0,1]n→Q\varphi\colon[0,1]^n\to Qは同相写像である。さらに各iiについて、φ\varphiはyi=0y_i=0を満たす点の全体をxi=aix_i=a_iを満たす点の全体へ、yi=1y_i=1を満たす点の全体をxi=bix_i=b_iを満たす点の全体へ写す。
  3. Rn\R^nにおけるQQの境界∂Q\partial Qは、xi∈{ai,bi}x_i\in\{a_i,b_i\}を満たすiiが存在するx∈Qx\in Qの全体に等しい。

証明.πi ⁣:Rn→R\pi_i\colon\R^n\to\Rを第ii成分への射影とする。

(1)を示す。[ai,bi][a_i,b_i]は補集合が二つの開半直線の和集合であるからR\Rの閉集合であり、§E2.12 命題 1.6 (2)によりQ=⋂i=1nπi−1([ai,bi])Q=\bigcap_{i=1}^n\pi_i^{-1}([a_i,b_i])はRn\R^nの閉集合である。x,y∈Qx,y\in Qについて、§E2.1 公式 4.2によりd2(x,y)≤n d∞(x,y)≤nmax⁡i(bi−ai)d_2(x,y)\le n\,d_\infty(x,y)\le n\max_i(b_i-a_i)であるから、QQは有界である。§E2.9 定理 4.3によりQQはコンパクトである。

(2)を示す。同じ式で写像Φ ⁣:Rn→Rn\Phi\colon\R^n\to\R^nを定め、Ψ(x)=((x1−a1)/(b1−a1),…,(xn−an)/(bn−an))\Psi(x)=\bigl((x_1-a_1)/(b_1-a_1),\ldots,(x_n-a_n)/(b_n-a_n)\bigr)で写像Ψ ⁣:Rn→Rn\Psi\colon\R^n\to\R^nを定める。Φ\PhiとΨ\Psiの各成分は一つの成分の一次関数であるから、Φ\PhiとΨ\Psiは連続であり、互いに逆写像である。ai+(bi−ai)yi∈[ai,bi]a_i+(b_i-a_i)y_i\in[a_i,b_i]であることはyi∈[0,1]y_i\in[0,1]であることと同値であるからΦ([0,1]n)=Q\Phi([0,1]^n)=Qであり、φ\varphiは同相写像Φ\Phiの制限として[0,1]n[0,1]^nからQQへの同相写像である。ai+(bi−ai)yi=aia_i+(b_i-a_i)y_i=a_iはyi=0y_i=0と同値であり、ai+(bi−ai)yi=bia_i+(b_i-a_i)y_i=b_iはyi=1y_i=1と同値であるから、面についての主張も成り立つ。

(3)の証明は演習とする(問題 4.1)。▨

補題 2.2.(X,d)(X,d)を距離空間、n≥0n\ge0を整数とし、U=(Ut)t∈I\mathcal U=(U_t)_{t\in I}をord⁡U≤n\operatorname{ord}\mathcal U\le nを満たすXXの有限開被覆とする。このとき、XXの有限開被覆W=(Ws)s∈S\mathcal W=(W_s)_{s\in S}と写像κ ⁣:S→{0,1,…,n}\kappa\colon S\to\{0,1,\ldots,n\}で、W≺U\mathcal W\prec\mathcal Uであり、κ(s)=κ(s′)\kappa(s)=\kappa(s')を満たす相異なる任意のs,s′∈Ss,s'\in SについてWs∩Ws′=∅W_s\cap W_{s'}=\emptysetとなるものが存在する。

証明.X=∅X=\emptysetならばS=∅S=\emptysetとすればよい。あるt0∈It_0\in IについてUt0=XU_{t_0}=Xならば、S={t0}S=\{t_0\}、Wt0=XW_{t_0}=X、κ(t0)=0\kappa(t_0)=0とすればよい。以下、X≠∅X\neq\emptysetであり、すべてのt∈It\in IについてX∖Ut≠∅X\setminus U_t\neq\emptysetであるとする。

t∈It\in Iに対してgt(x)=d(x,X∖Ut)g_t(x)=d(x,X\setminus U_t)とおく。§E2.10 命題 5.2 (1)によりgtg_tは連続である。X∖UtX\setminus U_tは閉集合であるから、§E2.10 命題 5.2 (2)により、gt(x)>0g_t(x)>0であることはx∈Utx\in U_tであることと同値である。1≤∣T∣≤n+11\le|T|\le n+1を満たすT⊆IT\subseteq Iの全体をSSとし、T∈ST\in Sに対して

hT(x)=min⁡t∈Tgt(x)−max⁡s∈I∖Tgs(x),WT={x∈X∣hT(x)>0}h_T(x)=\min_{t\in T}g_t(x)-\max_{s\in I\setminus T}g_s(x),\qquad W_T=\{x\in X\mid h_T(x)>0\}

とおく。ただしT=IT=Iのときは第 2 項を00と読む。§E2.16 補題 1.2 (1)と§E2.16 補題 1.2 (2)によりhTh_Tは連続であり、WTW_Tは開集合である。κ(T)=∣T∣−1\kappa(T)=|T|-1とおく。

x∈WTx\in W_Tならば、hT(x)>0h_T(x)>0とすべてのssについてgs(x)≥0g_s(x)\ge0であることから、各t∈Tt\in Tについてgt(x)≥min⁡t′∈Tgt′(x)>0g_t(x)\ge\min_{t'\in T}g_{t'}(x)>0であり、x∈Utx\in U_tである。よって各T∈ST\in SについてTTの元tTt_Tを一つ選ぶとWT⊆UtTW_T\subseteq U_{t_T}であり、T↦tTT\mapsto t_Tは細分射である。

x∈Xx\in Xとし、T(x)={t∈I∣x∈Ut}T(x)=\{t\in I\mid x\in U_t\}とおく。U\mathcal Uは被覆であるからT(x)≠∅T(x)\neq\emptysetであり、§E2.47 補題 1.5 (1)により∣T(x)∣≤n+1|T(x)|\le n+1であるからT(x)∈ST(x)\in Sである。t∈T(x)t\in T(x)ならばgt(x)>0g_t(x)>0であり、s∉T(x)s\notin T(x)ならばgs(x)=0g_s(x)=0であるから、x∈WT(x)x\in W_{T(x)}である。よってW=(WT)T∈S\mathcal W=(W_T)_{T\in S}はXXの有限開被覆であり、W≺U\mathcal W\prec\mathcal Uである。

T,T′∈ST,T'\in Sが相異なり∣T∣=∣T′∣|T|=|T'|を満たすとする。t∈T∖T′t\in T\setminus T'とs∈T′∖Ts\in T'\setminus Tが存在し、WTW_Tの点ではgt>gsg_t>g_s、WT′W_{T'}の点ではgs>gtg_s>g_tであるから、WT∩WT′=∅W_T\cap W_{T'}=\emptysetである。▨

命題 2.3.n∈N≥1n\in\NNとし、[0,1]n[0,1]^nに Euclid 距離d2d_2を入れる。U\mathcal Uを[0,1]n[0,1]^nの有限開被覆で、その各元の直径が11未満であるものとする。このとき、V≺U\mathcal V\prec\mathcal Uかつord⁡V≤n−1\operatorname{ord}\mathcal V\le n-1を満たす[0,1]n[0,1]^nの有限開被覆V\mathcal Vは存在しない。

証明.V≺U\mathcal V\prec\mathcal Uかつord⁡V≤n−1\operatorname{ord}\mathcal V\le n-1を満たす有限開被覆V\mathcal Vが存在すると仮定する。n−1≥0n-1\ge0であるから、補題 2.2により、[0,1]n[0,1]^nの有限開被覆W=(Ws)s∈S\mathcal W=(W_s)_{s\in S}と写像κ ⁣:S→{0,…,n−1}\kappa\colon S\to\{0,\ldots,n-1\}で、W≺V\mathcal W\prec\mathcal Vであり、κ\kappaの値が等しい相異なる添字の元が交わらないものがある。§E2.19 補題 1.3 (2)によりW≺U\mathcal W\prec\mathcal Uであるから、各WsW_sはU\mathcal Uのある元に含まれ、その直径は11未満である。

[0,1]n[0,1]^nは補題 2.1 (1)によりコンパクトであるから、§E2.9 定理 3.1 (1)⇔\Leftrightarrow(2)により点列コンパクトであり、§E2.9 補題 2.3によりW\mathcal Wは Lebesgue 数δ\deltaをもつ。各x∈[0,1]nx\in[0,1]^nに対してB(x,δ)⊆WsxB(x,\delta)\subseteq W_{s_x}を満たすsx∈Ss_x\in Sを選び、λ(x)=κ(sx)+1\lambda(x)=\kappa(s_x)+1とおく。系 1.7により、あるiiと[0,1]n[0,1]^nの点の列x0,…,xmx^0,\ldots,x^mで、すべてのllについてλ(xl)=i\lambda(x^l)=i、d2(xl,xl+1)<δd_2(x^l,x^{l+1})<\deltaであり、xi0=0x^0_i=0かつxim=1x^m_i=1を満たすものがある。0≤l<m0\le l<mについて、xl+1∈B(xl,δ)⊆Wsxlx^{l+1}\in B(x^l,\delta)\subseteq W_{s_{x^l}}かつxl+1∈B(xl+1,δ)⊆Wsxl+1x^{l+1}\in B(x^{l+1},\delta)\subseteq W_{s_{x^{l+1}}}であり、κ(sxl)=κ(sxl+1)=i−1\kappa(s_{x^l})=\kappa(s_{x^{l+1}})=i-1であるから、sxl=sxl+1s_{x^l}=s_{x^{l+1}}である。よってs=sx0s=s_{x^0}についてx0,xm∈Wsx^0,x^m\in W_sであり、§E2.1 公式 4.2によりd2(x0,xm)≥∣xim−xi0∣=1d_2(x^0,x^m)\ge|x^m_i-x^0_i|=1であるから、WsW_sの直径は11以上である。これはWsW_sの直径が11未満であることと両立しないので、V\mathcal Vは存在しない。▨

補題 2.4.n∈N≥1n\in\NNとする。v∈Znv\in\Z^nとx∈Rnx\in\R^nに対して、n+1n+1個の実数0,x1−v1,…,xn−vn0,x_1-v_1,\ldots,x_n-v_nの最大値から最小値を引いた値をμv(x)\mu_v(x)と書き、S(v)={x∈Rn∣μv(x)<1}S(v)=\{x\in\R^n\mid\mu_v(x)<1\}とおく。

  1. 各S(v)S(v)はRn\R^nの開集合であり、x∈S(v)x\in S(v)ならば、すべてのiiについて∣xi−vi∣<1|x_i-v_i|<1である。
  2. 族(S(v))v∈Zn(S(v))_{v\in\Z^n}はRn\R^nの被覆であり、その位数はnn以下である。

証明.(1)を示す。各x↦xi−vix\mapsto x_i-v_iは連続であるから、§E2.16 補題 1.2 (1)と§E2.16 補題 1.2 (2)によりμv\mu_vは連続であり、S(v)=μv−1((−∞,1))S(v)=\mu_v^{-1}((-\infty,1))は開集合である。x∈S(v)x\in S(v)ならば、00とxi−vix_i-v_iはともに最小値と最大値の間にあり、その差は11未満であるから、∣xi−vi∣<1|x_i-v_i|<1である。

(2)を示す。x∈Rnx\in\R^nを固定し、各iiについてai≤xi<ai+1a_i\le x_i<a_i+1を満たす整数aia_iをとり、fi=xi−aif_i=x_i-a_iとおく。0≤fi<10\le f_i<1であるから、a=(a1,…,an)a=(a_1,\ldots,a_n)について0,f1,…,fn0,f_1,\ldots,f_nの最大値と最小値の差は11未満である。したがってx∈S(a)x\in S(a)であり、族(S(v))v∈Zn(S(v))_{v\in\Z^n}はRn\R^nの被覆である。

x∈S(v)x\in S(v)を満たすv∈Znv\in\Z^nをとる。(1)により∣xi−vi∣<1|x_i-v_i|<1であるから、fi=0f_i=0ならばvi=aiv_i=a_iであり、fi>0f_i>0ならばvi∈{ai,ai+1}v_i\in\{a_i,a_i+1\}である。A(v)={i∣vi=ai+1}A(v)=\{i\mid v_i=a_i+1\}とおく。i∉A(v)i\notin A(v)、j∈A(v)j\in A(v)ならば、xi−vi=fix_i-v_i=f_i、xj−vj=fj−1x_j-v_j=f_j-1であり、μv(x)<1\mu_v(x)<1から

fi−(fj−1)<1,fi<fjf_i-(f_j-1)<1,\qquad f_i<f_j

である。

f1,…,fnf_1,\ldots,f_nのうち正で相異なる値をb1<⋯<bqb_1<\cdots<b_qと並べる(0≤q≤n0\le q\le n)。A(v)≠∅A(v)\neq\emptysetならば、min⁡j∈A(v)fj=br\min_{j\in A(v)}f_j=b_rを満たすrrがある。i∉A(v)i\notin A(v)ならばfi<brf_i<b_rであり、i∈A(v)i\in A(v)ならばfi≥brf_i\ge b_rであるから、

A(v)={i∣fi≥br}A(v)=\{i\mid f_i\ge b_r\}

である。したがってA(v)A(v)は空集合またはこれらqq個の集合のいずれかであり、A(v)A(v)が定まると各viv_iも定まる。よってxxを含むS(v)S(v)は高々q+1≤n+1q+1\le n+1個であり、§E2.47 補題 1.5 (1)により族(S(v))v∈Zn(S(v))_{v\in\Z^n}の位数はnn以下である。▨

定理 2.5 (Lebesgue の被覆定理). 任意のn∈N≥1n\in\NNについて、dim⁡[0,1]n=n\dim[0,1]^n=nである。

証明.[0,1]n[0,1]^nに Euclid 距離d2d_2を入れる。補題 2.1 (1)により[0,1]n[0,1]^nはコンパクトであり、§E2.9 定理 3.1 (1)⇔\Leftrightarrow(2)により点列コンパクトである。

各x∈[0,1]nx\in[0,1]^nについて、開球B(x,1/3)B(x,1/3)は§E2.2 補題 1.2により開集合であり、三角不等式によりその直径は2/32/3以下である。[0,1]n[0,1]^nはコンパクトであるから、有限個の点x1,…,xNx^1,\ldots,x^Nについて(B(xj,1/3))1≤j≤N(B(x^j,1/3))_{1\le j\le N}は[0,1]n[0,1]^nの有限開被覆である。命題 2.3により、この被覆は位数n−1n-1以下の有限開被覆を細分としてもたないので、条件dim⁡[0,1]n≤n−1\dim[0,1]^n\le n-1は成り立たず、§E2.47 補題 1.5 (2)によりdim⁡[0,1]n≥n\dim[0,1]^n\ge nである。

U\mathcal Uを[0,1]n[0,1]^nの有限開被覆とし、§E2.9 補題 2.3によりその Lebesgue 数δ\deltaをとる。2nt<δ2nt<\deltaを満たす実数t>0t>0をとり、v∈Znv\in\Z^nに対して、補題 2.4のS(v)S(v)を用いてWv={y∈[0,1]n∣y/t∈S(v)}W_v=\{y\in[0,1]^n\mid y/t\in S(v)\}とおく。y↦y/ty\mapsto y/tは連続であるから、補題 2.4 (1)によりWvW_vは[0,1]n[0,1]^nの開集合である。y∈Wvy\in W_vならば、補題 2.4 (1)により各iiについて∣yi/t−vi∣<1|y_i/t-v_i|<1であり、0≤yi≤10\le y_i\le1から−1<vi<1/t+1-1<v_i<1/t+1である。よってWv≠∅W_v\neq\emptysetを満たすvvの全体VVは有限集合である。

補題 2.4 (2)により、各y∈[0,1]ny\in[0,1]^nについてy/t∈S(v)y/t\in S(v)を満たすvvが存在するので、(Wv)v∈V(W_v)_{v\in V}は[0,1]n[0,1]^nの有限開被覆である。相異なるn+2n+2個のv∈Vv\in VについてWvW_vの共通部分に点yyがあれば、y/ty/tが対応するn+2n+2個のS(v)S(v)の共通部分に属することになるので、補題 2.4 (2)と§E2.47 補題 1.5 (1)によりord⁡(Wv)v∈V≤n\operatorname{ord}(W_v)_{v\in V}\le nである。

v∈Vv\in Vについてy∈Wvy\in W_vを一つとると、任意のy′∈Wvy'\in W_vと各iiについて∣yi′−yi∣≤t∣yi′/t−vi∣+t∣vi−yi/t∣<2t|y'_i-y_i|\le t|y'_i/t-v_i|+t|v_i-y_i/t|<2tであるから、§E2.1 公式 4.2によりd2(y,y′)<2nt<δd_2(y,y')<2nt<\deltaであり、Wv⊆B(y,δ)W_v\subseteq B(y,\delta)である。δ\deltaはU\mathcal Uの Lebesgue 数であるからB(y,δ)B(y,\delta)はU\mathcal Uのある元に含まれ、§E2.19 補題 1.3 (3)により(Wv)v∈V≺U(W_v)_{v\in V}\prec\mathcal Uである。

よって条件dim⁡[0,1]n≤n\dim[0,1]^n\le nが成り立ち、§E2.47 補題 1.5 (2)によりdim⁡[0,1]n≤n\dim[0,1]^n\le nである。dim⁡[0,1]n≥n\dim[0,1]^n\ge nとあわせてdim⁡[0,1]n=n\dim[0,1]^n=nである。▨

補題 2.6.m,n∈N≥1m,n\in\NNとする。

  1. Rn\R^nの空でない開集合は、[0,1]n[0,1]^nと同相な部分空間を含む。
  2. Rn\R^nのコンパクトな部分集合KKが[0,1]m[0,1]^mと同相ならば、m≤nm\le nである。

証明.(1)を示す。UUをRn\R^nの空でない開集合とし、a∈Ua\in Uをとる。B(a,ε)⊆UB(a,\varepsilon)\subseteq Uを満たす実数ε>0\varepsilon>0があり、η=ε/(2n)\eta=\varepsilon/(2n)とおいてQ=∏i=1n[ai−η,ai+η]Q=\prod_{i=1}^n[a_i-\eta,a_i+\eta]とする。y∈Qy\in Qならば、§E2.1 公式 4.2によりd2(a,y)≤n d∞(a,y)≤nη<εd_2(a,y)\le n\,d_\infty(a,y)\le n\eta<\varepsilonであるからQ⊆UQ\subseteq Uであり、補題 2.1 (2)によりQQは[0,1]n[0,1]^nと同相である。

(2)を示す。KKは空でないコンパクト集合であるから、§E2.9 系 4.1により有界な閉集合である。b∈Kb\in Kをとり、DDをKKの直径とし、R=max⁡i∣bi∣+D+1R=\max_i|b_i|+D+1とおく。y∈Ky\in Kについて∣yi∣≤∣bi∣+d2(y,b)≤∣bi∣+D<R|y_i|\le|b_i|+d_2(y,b)\le|b_i|+D<Rであるから、K⊆C=[−R,R]nK\subseteq C=[-R,R]^nである。KKはRn\R^nの閉集合であるから、§E2.12 命題 4.6によりK=K∩CK=K\cap CはCCの閉集合である。補題 2.1 (2)によりCCは[0,1]n[0,1]^nと同相であるから、§E2.47 命題 2.1 (1)、定理 2.5、および§E2.47 命題 2.4により

m=dim⁡[0,1]m=dim⁡K≤dim⁡C=dim⁡[0,1]n=nm=\dim[0,1]^m=\dim K\le\dim C=\dim[0,1]^n=n

である。▨

定理 2.7.m,n∈N≥1m,n\in\NNとし、UUをRn\R^nの空でない開集合、VVをRm\R^mの空でない開集合とする。UUとVVが同相ならばm=nm=nである。

証明.h ⁣:V→Uh\colon V\to Uを同相写像とする。補題 2.6 (1)により、VVは[0,1]m[0,1]^mと同相な部分空間K′K'を含む。補題 2.1 (1)により[0,1]m[0,1]^mはコンパクトであるから、§E2.19 定理 4.2によりK′K'とK=h(K′)K=h(K')はコンパクトである。hhの制限はK′K'からKKへの同相写像であるから、KKはRn\R^nのコンパクトな部分集合で[0,1]m[0,1]^mと同相であり、補題 2.6 (2)によりm≤nm\le nである。h−1h^{-1}に同じ議論を適用するとn≤mn\le mであり、m=nm=nである。▨

3 Poincaré–Miranda の定理

定理 3.1 (Poincaré–Miranda の定理).n∈N≥1n\in\NNとし、i=1,…,ni=1,\ldots,nについて実数ai<bia_i<b_iをとり、Q=∏i=1n[ai,bi]⊆RnQ=\prod_{i=1}^n[a_i,b_i]\subseteq\R^nとおく。連続写像f=(f1,…,fn) ⁣:Q→Rnf=(f_1,\ldots,f_n)\colon Q\to\R^nが、各iiについて、xi=aix_i=a_iを満たす任意のx∈Qx\in Qでfi(x)≤0f_i(x)\le0を満たし、xi=bix_i=b_iを満たす任意のx∈Qx\in Qでfi(x)≥0f_i(x)\ge0を満たすならば、f(x)=0f(x)=0を満たすx∈Qx\in Qが存在する。

証明.補題 2.1 (2)の同相写像φ ⁣:[0,1]n→Q\varphi\colon[0,1]^n\to Qについて、f∘φf\circ\varphiは連続であり、その第ii成分はyi=0y_i=0を満たすyyで00以下、yi=1y_i=1を満たすyyで00以上である。f∘φf\circ\varphiの零点yyに対してφ(y)\varphi(y)はffの零点であるから、Q=[0,1]nQ=[0,1]^nの場合を示せば十分である。

ffが[0,1]n[0,1]^n上で零点をもたないと仮定する。各fif_iは連続であるから、N(x)=max⁡i∣fi(x)∣N(x)=\max_i|f_i(x)|で定まるNNは§E2.16 補題 1.2 (2)により連続であり、すべてのxxについてN(x)>0N(x)>0である。[0,1]n[0,1]^nは補題 2.1 (1)により空でないコンパクト空間であるから、§E2.19 定理 4.4によりNNは最小値ε>0\varepsilon>0をとる。

[0,1]n[0,1]^nとRn\R^nに Euclid 距離d2d_2を入れると、§E2.9 定理 5.1によりffは一様連続であり、d2(x,x′)<ηd_2(x,x')<\etaならばd2(f(x),f(x′))<εd_2(f(x),f(x'))<\varepsilonとなる実数η>0\eta>0が存在する。

各x∈[0,1]nx\in[0,1]^nについて∣fi(x)∣≥ε|f_i(x)|\ge\varepsilonを満たすiiが存在するので、その最小値をλ(x)\lambda(x)とする。系 1.7により、あるiiと[0,1]n[0,1]^nの点の列x0,…,xmx^0,\ldots,x^mで、すべてのllについてλ(xl)=i\lambda(x^l)=i、d2(xl,xl+1)<ηd_2(x^l,x^{l+1})<\etaであり、xi0=0x^0_i=0かつxim=1x^m_i=1を満たすものがある。

仮定によりfi(x0)≤0f_i(x^0)\le0であり、∣fi(x0)∣≥ε|f_i(x^0)|\ge\varepsilonであるからfi(x0)≤−εf_i(x^0)\le-\varepsilonである。同様にfi(xm)≥εf_i(x^m)\ge\varepsilonである。

fi(xl)≥εf_i(x^l)\ge\varepsilonを満たす最小のllをとるとl≥1l\ge1であり、fi(xl−1)<εf_i(x^{l-1})<\varepsilonと∣fi(xl−1)∣≥ε|f_i(x^{l-1})|\ge\varepsilonからfi(xl−1)≤−εf_i(x^{l-1})\le-\varepsilonである。よって∣fi(xl)−fi(xl−1)∣≥2ε|f_i(x^l)-f_i(x^{l-1})|\ge2\varepsilonである。一方、d2(xl−1,xl)<ηd_2(x^{l-1},x^l)<\etaであるから、§E2.1 公式 4.2により∣fi(xl)−fi(xl−1)∣≤d2(f(xl),f(xl−1))<ε|f_i(x^l)-f_i(x^{l-1})|\le d_2(f(x^l),f(x^{l-1}))<\varepsilonである。ε>0\varepsilon>0であるから二つの評価は両立せず、ffは零点をもつ。▨

系 3.2.n∈N≥1n\in\NNとし、i=1,…,ni=1,\ldots,nについて実数ai<bia_i<b_iをとり、Q=∏i=1n[ai,bi]⊆RnQ=\prod_{i=1}^n[a_i,b_i]\subseteq\R^nとおく。Rn\R^nにおけるQQの境界∂Q\partial QはQQのレトラクトでない。

証明. レトラクションr ⁣:Q→∂Qr\colon Q\to\partial Qが存在すると仮定する。c=((a1+b1)/2,…,(an+bn)/2)c=\bigl((a_1+b_1)/2,\ldots,(a_n+b_n)/2\bigr)とおき、f(x)=r(x)−cf(x)=r(x)-cで連続写像f ⁣:Q→Rnf\colon Q\to\R^nを定める。x∈Qx\in Qがxi=aix_i=a_iを満たすならば、補題 2.1 (3)によりx∈∂Qx\in\partial Qであるからr(x)=xr(x)=xであり、fi(x)=ai−ci<0f_i(x)=a_i-c_i<0である。同様に、xi=bix_i=b_iならばfi(x)=bi−ci>0f_i(x)=b_i-c_i>0である。定理 3.1により、r(x)=cr(x)=cを満たすx∈Qx\in Qが存在する。すべてのiiについてai<ci<bia_i<c_i<b_iであるから、補題 2.1 (3)によりc∉∂Qc\notin\partial Qであるが、r(x)∈∂Qr(x)\in\partial Qである。これらは両立しないので、∂Q\partial QはQQのレトラクトでない。▨

系 3.3 (Brouwer の不動点定理).n∈N≥1n\in\NNとし、i=1,…,ni=1,\ldots,nについて実数ai<bia_i<b_iをとり、Q=∏i=1n[ai,bi]⊆RnQ=\prod_{i=1}^n[a_i,b_i]\subseteq\R^nとおく。任意の連続写像g ⁣:Q→Qg\colon Q\to Qに対して、g(x)=xg(x)=xを満たすx∈Qx\in Qが存在する。

証明.f(x)=x−g(x)f(x)=x-g(x)で連続写像f ⁣:Q→Rnf\colon Q\to\R^nを定める。g(x)∈Qg(x)\in Qであるから、xi=aix_i=a_iならばfi(x)=ai−gi(x)≤0f_i(x)=a_i-g_i(x)\le0であり、xi=bix_i=b_iならばfi(x)=bi−gi(x)≥0f_i(x)=b_i-g_i(x)\ge0である。定理 3.1によりf(x)=0f(x)=0を満たすx∈Qx\in Qがあり、g(x)=xg(x)=xである。▨

注意 3.4.n=2n=2の場合の定理 3.1と系 3.2は、記事「Jordan の曲線定理」で、平面の弧が平面を分離しないことと Jordan の曲線定理の証明に用いる。

定理 3.5 (Lebesgue の分離定理).n∈N≥1n\in\NNとする。各i=1,…,ni=1,\ldots,nについて、Ui,ViU_i,V_iを[0,1]n[0,1]^nの互いに交わらない開集合で、xi=0x_i=0を満たすx∈[0,1]nx\in[0,1]^nがすべてUiU_iに属し、xi=1x_i=1を満たすx∈[0,1]nx\in[0,1]^nがすべてViV_iに属するものとし、Li=[0,1]n∖(Ui∪Vi)L_i=[0,1]^n\setminus(U_i\cup V_i)とおく。このときL1∩⋯∩Ln≠∅L_1\cap\cdots\cap L_n\neq\emptysetである。

証明.[0,1]n[0,1]^nに Euclid 距離ddを入れ、Pi=[0,1]n∖ViP_i=[0,1]^n\setminus V_i、Ri=[0,1]n∖UiR_i=[0,1]^n\setminus U_iとおく。Ui∩Vi=∅U_i\cap V_i=\emptysetであるから、PiP_iはxi=0x_i=0を満たす点をすべて含み、RiR_iはxi=1x_i=1を満たす点をすべて含むので、PiP_iとRiR_iは空でない閉集合である。fi(x)=d(x,Pi)−d(x,Ri)f_i(x)=d(x,P_i)-d(x,R_i)とおくと、§E2.10 命題 5.2 (1)によりfif_iは連続である。§E2.10 命題 5.2 (2)により、d(x,Pi)=0d(x,P_i)=0であることはx∈Pix\in P_iであることと同値であり、d(x,Ri)=0d(x,R_i)=0であることはx∈Rix\in R_iであることと同値である。x∈Uix\in U_iならばx∈Pix\in P_iかつx∉Rix\notin R_iであるからfi(x)<0f_i(x)<0であり、x∈Vix\in V_iならばx∉Pix\notin P_iかつx∈Rix\in R_iであるからfi(x)>0f_i(x)>0であり、x∈Lix\in L_iならばx∈Pi∩Rix\in P_i\cap R_iであるからfi(x)=0f_i(x)=0である。[0,1]n[0,1]^nはUiU_i、ViV_i、LiL_iの和集合であるから、fi(x)=0f_i(x)=0であることはx∈Lix\in L_iであることと同値である。また、xi=0x_i=0ならばfi(x)<0f_i(x)<0であり、xi=1x_i=1ならばfi(x)>0f_i(x)>0である。f=(f1,…,fn) ⁣:[0,1]n→Rnf=(f_1,\ldots,f_n)\colon[0,1]^n\to\R^nは連続であるから、定理 3.1によりf(x)=0f(x)=0を満たすx∈[0,1]nx\in[0,1]^nが存在し、x∈L1∩⋯∩Lnx\in L_1\cap\cdots\cap L_nである。▨

4 演習

問題 4.1.補題 2.1 (3)の証明を完成させよ。

解答.

πi ⁣:Rn→R\pi_i\colon\R^n\to\Rを第ii成分への射影とし、P=∏i=1n(ai,bi)=⋂i=1nπi−1((ai,bi))P=\prod_{i=1}^n(a_i,b_i)=\bigcap_{i=1}^n\pi_i^{-1}((a_i,b_i))とおく。πi\pi_iは連続であるから、PPはRn\R^nの開集合であり、P⊆QP\subseteq QであるからP⊆int⁡(Q)P\subseteq\tpint{Q}である。

x∈Q∖Px\in Q\setminus Pとすると、xi∈{ai,bi}x_i\in\{a_i,b_i\}を満たすiiがある。x∈int⁡(Q)x\in\tpint{Q}であると仮定すると、int⁡(Q)\tpint{Q}は開集合であるから、B(x,ε)⊆int⁡(Q)⊆QB(x,\varepsilon)\subseteq\tpint{Q}\subseteq Qを満たす実数ε>0\varepsilon>0がある。xi=aix_i=a_iならば第ii成分だけをai−ε/2a_i-\varepsilon/2に替えた点、xi=bix_i=b_iならば第ii成分だけをbi+ε/2b_i+\varepsilon/2に替えた点は、xxとの Euclid 距離がε/2\varepsilon/2であるからB(x,ε)B(x,\varepsilon)に属するが、QQに属さない。これはB(x,ε)⊆QB(x,\varepsilon)\subseteq Qと両立しないので、x∉int⁡(Q)x\notin\tpint{Q}である。したがってint⁡(Q)=P\tpint{Q}=Pである。

補題 2.1 (1)と§E2.9 系 4.1によりQQはRn\R^nの閉集合であるからQ‾=Q\overline Q=Qであり、§E2.11 命題 2.8 (1)により∂Q=Q‾∖int⁡(Q)=Q∖P\partial Q=\overline Q\setminus\tpint{Q}=Q\setminus Pである。Q∖PQ\setminus Pは、xi∈{ai,bi}x_i\in\{a_i,b_i\}を満たすiiが存在するx∈Qx\in Qの全体である。▨

問題 4.2.e1=(1,0)e^1=(1,0)、e2=(0,1)e^2=(0,1)とする。Z2\Z^2の二点z,z′z,z'の間の関係として、隣接の代わりに「z′−zz'-zがe1,−e1,e2,−e2e^1,-e^1,e^2,-e^2のいずれかに等しい」という関係を用いると、定理 1.5の結論がn=k=2n=k=2の場合に成り立たなくなることを、写像L ⁣:{1,2}2→{1,2}L\colon\{1,2\}^2\to\{1,2\}を具体的に与えて示せ。

解答.

L(1,1)=L(2,2)=1L(1,1)=L(2,2)=1、L(1,2)=L(2,1)=2L(1,2)=L(2,1)=2と定める。

i=1i=1とする。値が11の点は(1,1)(1,1)と(2,2)(2,2)だけであり、第11成分が11のものは(1,1)(1,1)、22のものは(2,2)(2,2)である。したがって、値がすべて11で(1,1)(1,1)から始まり(2,2)(2,2)で終わる列は、隣り合う二項として(1,1)(1,1)と(2,2)(2,2)を含む。(2,2)−(1,1)=(1,1)(2,2)-(1,1)=(1,1)とその符号を替えた(−1,−1)(-1,-1)はe1,−e1,e2,−e2e^1,-e^1,e^2,-e^2のいずれでもないので、隣り合う二項が替えた関係を満たすそのような列は存在しない。

i=2i=2とする。値が22の点は(2,1)(2,1)と(1,2)(1,2)だけであり、第22成分が11のものは(2,1)(2,1)、22のものは(1,2)(1,2)である。(1,2)−(2,1)=(−1,1)(1,2)-(2,1)=(-1,1)とその符号を替えた(1,−1)(1,-1)もe1,−e1,e2,−e2e^1,-e^1,e^2,-e^2のいずれでもないので、同様にそのような列は存在しない。

よって替えた関係については、どのiiについても結論の列は存在しない。一方、本来の隣接については(1,1)(1,1)と(2,2)(2,2)が隣接するので、i=1i=1について列(1,1),(2,2)(1,1),(2,2)が定理 1.5の結論を満たす。▨

問題 4.3.m,n∈N≥1m,n\in\NNがm<nm<nを満たすとし、UUをRn\R^nの空でない開集合とする。UUからRm\R^mへの連続な単射は存在しないことを示せ。

解答.

連続な単射h ⁣:U→Rmh\colon U\to\R^mが存在すると仮定する。補題 2.6 (1)により、UUは[0,1]n[0,1]^nと同相な部分空間K′K'を含む。補題 2.1 (1)により[0,1]n[0,1]^nはコンパクトであるから、§E2.19 定理 4.2によりK′K'とK=h(K′)K=h(K')はコンパクトである。Rm\R^mは距離空間であるから§E2.15 定理 3.2 (1)により Hausdorff 空間であり、その部分空間KKも Hausdorff 空間である。hhの制限K′→KK'\to Kは連続な全単射であるから、§E2.19 定理 6.8により同相写像である。よってKKはRm\R^mのコンパクトな部分集合で[0,1]n[0,1]^nと同相であり、補題 2.6 (2)によりn≤mn\le mである。これはm<nm<nと両立しないので、連続な単射hhは存在しない。▨

参考文献

  1. David Gale, The Game of Hex and the Brouwer Fixed-Point Theorem, The American Mathematical Monthly 86 (1979), no. 10, 818–827.高次元の Hex の定理と、格子点の鎖をたどるその証明、および Hex の定理から不動点定理を導く着想を参考にした。
  2. Ryszard Engelking, Theory of Dimensions: Finite and Infinite, Sigma Series in Pure Mathematics 10, Heldermann Verlag, 1995.族の位数の規約、Lebesgue の被覆定理、および相対する面を分離する集合についての Lebesgue の分離定理を参考にした。
  3. Carlo Miranda, Un'osservazione su un teorema di Brouwer, Bollettino dell'Unione Matematica Italiana 3 (1940), 5–7.Brouwer の不動点定理と同値な命題としての Poincaré–Miranda の定理を参考にした。
  4. Władysław Kulpa, The Poincaré-Miranda Theorem, The American Mathematical Monthly 104 (1997), no. 6, 545–550.Poincaré–Miranda の定理の由来と証明を参考にした。

前提記事

15 本の記事・単元を表示