§E2.50ZF 上の位相空間論

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位相空間論の基本的な結果の多くは、選択公理を仮定した集合論の枠組みの中で証明され、その証明がどの程度選択公理に依存しているかが問われることは少ない。開被覆から有限部分被覆や高々可算な部分被覆を取り出す議論、あるいは一つの被覆を別の被覆で置き換える議論も、この枠組みの中では複数の言い方を区別せずに進めることができる。

しかし、選択公理を仮定しない Zermelo–Fraenkel の公理系のもとでこれらの議論を見直すと、二つの違いが証明の成立を左右するようになる。一つは、被覆を添字集合をもつ族として扱うか、開集合からなる集合として扱うかという違いである。もう一つは、一つの被覆を別の被覆で置き換えるときに、置き換え先の各集合がもとの被覆のどの集合に含まれるかを一斉に指定する写像の存在まで要求するか、そのような指定が個々の集合について存在することだけを要求するかという違いである。このうち、族として扱うか集合として扱うかという違いはコンパクト性の同値な言い換えには影響せず、コンパクト性のいくつかの言い方は Zermelo–Fraenkel の公理系だけで同値であり続ける。一方、写像による一斉の指定を要求する条件と個々の存在だけを要求する条件とが一般に同値であることは、選択公理そのものと同値である。さらに、自然数全体に離散位相を入れた空間が Lindelöf であることや、空でない完備距離空間がすべて Baire 空間であることは、それぞれ可算選択公理、従属選択公理と同値である。

本記事では、被覆と細分の定式化の違いが選択原理とどのように対応するかを解説し、Lindelöf 性と Baire の範疇定理について、その対応を同値の形で与える。

1 被覆の二つの定式化

定義 1.1.XXを集合とし、A=(Ai)i∈I\mathcal A=(A_i)_{i\in I}とB=(Bj)j∈J\mathcal B=(B_j)_{j\in J}をXXの部分集合族とする。任意のj∈Jj\in Jに対してBj⊆AiB_j\subseteq A_iを満たすi∈Ii\in Iが存在するとき、B\mathcal BはA\mathcal Aの 非選択的細分 (nonselective refinement) であるという。§E2.19 細分は、各j∈Jj\in Jに対してBj⊆Af(j)B_j\subseteq A_{f(j)}を満たす添字を与える写像f ⁣:J→If\colon J\to Iの存在を要求する。

補題 1.2. ZF において、位相空間(X,O)(X,\mathcal O)について次の四条件は同値である。

  1. XXはコンパクトである。
  2. XXの任意の開被覆は、有限被覆による細分をもつ。
  3. XXの任意の開被覆は、有限被覆による非選択的細分をもつ。
  4. U⊆O\mathcal U\subseteq\mathcal OがX=⋃UX=\bigcup\mathcal Uを満たすならば、X=⋃U0X=\bigcup\mathcal U_0を満たす有限部分集合U0⊆U\mathcal U_0\subseteq\mathcal Uが存在する。

証明.(1)⇔\Leftrightarrow(2)を示す。(1)は§E2.19 補題 2.2 (1)と同じ条件であり、(2)は§E2.19 補題 2.2 (2)と同じ条件であるから、§E2.19 補題 2.2 (1)⇔\Leftrightarrow(2)を適用する。

(2)⇔\Leftrightarrow(3)を示す。U=(Ui)i∈I\mathcal U=(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆、F=(Fj)j∈J\mathcal F=(F_j)_{j\in J}をXXの有限被覆とする。添字集合JJは有限集合であるから、§E2.19 補題 1.3 (3)により、F\mathcal FがU\mathcal Uの細分であることと、任意のj∈Jj\in Jに対してFj⊆UiF_j\subseteq U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在することとは同値である。後者の条件は、F\mathcal FがU\mathcal Uの非選択的細分であることにほかならない。ゆえに、一つの開被覆U\mathcal Uについて、有限被覆による細分をもつことと有限被覆による非選択的細分をもつこととは同値であり、U\mathcal Uは任意であったから二条件は同値である。

(1)⇔\Leftrightarrow(4)を示す。§E2.19 補題 2.4により、XXがコンパクトであることと(4)の条件が成り立つこととは同値である。▨

2 細分と選択公理

補題 2.1.Λ\Lambdaを集合とし、(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}を空でない集合からなる族とする。

J={(λ,a)∣λ∈Λ, a∈Aλ},X=(Λ×{0})∪(J×{1})J=\{(\lambda,a)\mid\lambda\in\Lambda,\ a\in A_\lambda\},\qquad X=(\Lambda\times\{0\})\cup(J\times\{1\})

とおき、(λ,a)∈J(\lambda,a)\in Jに対してC(λ,a)={(λ,0),((λ,a),1)}C_{(\lambda,a)}=\{(\lambda,0),((\lambda,a),1)\}と定める。C=(C(λ,a))(λ,a)∈J\mathcal C=(C_{(\lambda,a)})_{(\lambda,a)\in J}、S=({p})p∈X\mathcal S=(\{p\})_{p\in X}とおくと、ZF において次が成り立つ。

  1. C\mathcal CとS\mathcal SはいずれもXXの被覆である。
  2. S\mathcal SはC\mathcal Cの非選択的細分である。
  3. λ∈Λ\lambda\in\Lambdaと(μ,a)∈J(\mu,a)\in Jが(λ,0)∈C(μ,a)(\lambda,0)\in C_{(\mu,a)}を満たすならば、μ=λ\mu=\lambdaでありa∈Aλa\in A_\lambdaである。
  4. S\mathcal SがC\mathcal Cの細分であるならば、族(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}は選択関数をもつ。

証明.(1)を示す。p∈Xp\in Xに対してp∈{p}p\in\{p\}であるから、S\mathcal SはXXの被覆である。XXの元は、λ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対する(λ,0)(\lambda,0)か、(λ,a)∈J(\lambda,a)\in Jに対する((λ,a),1)((\lambda,a),1)のいずれかである。(λ,a)∈J(\lambda,a)\in Jに対して((λ,a),1)∈C(λ,a)((\lambda,a),1)\in C_{(\lambda,a)}である。λ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対してはAλ≠∅A_\lambda\neq\emptysetであるからa∈Aλa\in A_\lambdaをとることができ、(λ,a)∈J(\lambda,a)\in Jかつ(λ,0)∈C(λ,a)(\lambda,0)\in C_{(\lambda,a)}である。ゆえにC\mathcal CはXXの被覆である。

(2)を示す。p∈Xp\in Xをとる。(1)によりC\mathcal CはXXの被覆であるから、p∈C(λ,a)p\in C_{(\lambda,a)}を満たす(λ,a)∈J(\lambda,a)\in Jが存在し、{p}⊆C(λ,a)\{p\}\subseteq C_{(\lambda,a)}である。ゆえにS\mathcal SはC\mathcal Cの非選択的細分である。

(3)を示す。C(μ,a)={(μ,0),((μ,a),1)}C_{(\mu,a)}=\{(\mu,0),((\mu,a),1)\}であり、(λ,0)(\lambda,0)の第二成分は00、((μ,a),1)((\mu,a),1)の第二成分は11であるから(λ,0)≠((μ,a),1)(\lambda,0)\neq((\mu,a),1)である。ゆえに(λ,0)=(μ,0)(\lambda,0)=(\mu,0)でありμ=λ\mu=\lambdaである。(μ,a)∈J(\mu,a)\in Jであるからa∈Aμ=Aλa\in A_\mu=A_\lambdaである。

(4)を示す。細分射f ⁣:X→Jf\colon X\to Jをとると、各p∈Xp\in Xについて{p}⊆Cf(p)\{p\}\subseteq C_{f(p)}である。λ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対して(λ,0)∈Cf((λ,0))(\lambda,0)\in C_{f((\lambda,0))}であるから、(3)によりf((λ,0))f((\lambda,0))の第一成分はλ\lambdaであり、第二成分はAλA_\lambdaに属する。g(λ)g(\lambda)をf((λ,0))f((\lambda,0))の第二成分と定めると、写像g ⁣:Λ→⋃λ∈ΛAλg\colon\Lambda\to\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_\lambdaが定まり、各λ∈Λ\lambda\in\Lambdaについてg(λ)∈Aλg(\lambda)\in A_\lambdaである。したがってggは族(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}の選択関数である。▨

定理 2.2. ZF において次は同値である。

  1. §E1.20 選択公理が成り立つ。
  2. 任意の集合XXとXXの部分集合族A\mathcal A、B\mathcal Bについて、B\mathcal BがA\mathcal Aの非選択的細分であるならば、B\mathcal BはA\mathcal Aの細分である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。A=(Ai)i∈I\mathcal A=(A_i)_{i\in I}、B=(Bj)j∈J\mathcal B=(B_j)_{j\in J}を集合XXの部分集合族とし、B\mathcal BがA\mathcal Aの非選択的細分であるとする。各j∈Jj\in Jに対してIj={i∈I∣Bj⊆Ai}I_j=\{i\in I\mid B_j\subseteq A_i\}とおくと、非選択的細分の定義によりIj≠∅I_j\neq\emptysetである。§E1.20 定理 2.1 (1)により、族(Ij)j∈J(I_j)_{j\in J}の選択関数f ⁣:J→⋃j∈JIjf\colon J\to\bigcup_{j\in J}I_jが存在する。各j∈Jj\in Jについてf(j)∈Ij⊆If(j)\in I_j\subseteq IであるからBj⊆Af(j)B_j\subseteq A_{f(j)}であり、ffをJJからIIへの写像とみなすと細分射である。したがってB\mathcal BはA\mathcal Aの細分である。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。Λ\Lambdaを集合、(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}を空でない集合からなる族とし、補題 2.1のXX、C\mathcal C、S\mathcal Sをとる。補題 2.1 (2)によりS\mathcal SはC\mathcal Cの非選択的細分であるから、(2)によりS\mathcal SはC\mathcal Cの細分である。ゆえに補題 2.1 (4)により(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}は選択関数をもつ。族は任意であったから、§E1.20 定理 2.1 (1)が成り立つ。▨

系 2.3. ZF において次は同値である。

  1. 選択公理が成り立つ。
  2. 位相空間XXの開被覆A\mathcal A、B\mathcal Bについて、B\mathcal BがA\mathcal Aの非選択的細分であるならば、B\mathcal BはA\mathcal Aの細分である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。開被覆は部分集合族であるから、(2)は定理 2.2 (2)の特別な場合であり、定理 2.2 (1)⇒\Rightarrow(2)を適用する。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。Λ\Lambdaを集合、(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}を空でない集合からなる族とし、補題 2.1のXX、C\mathcal C、S\mathcal Sをとる。XXに離散位相を入れるとXXの部分集合はすべて開集合であるから、補題 2.1 (1)によりC\mathcal CとS\mathcal SはいずれもXXの開被覆である。補題 2.1 (2)と(2)によりS\mathcal SはC\mathcal Cの細分であるから、補題 2.1 (4)により(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}は選択関数をもつ。族は任意であったから、§E1.20 定理 2.1 (1)が成り立つ。▨

命題 2.4. ZF において、§E1.18 可算選択公理が成り立つことと、次が成り立つこととは同値である。集合XXの部分集合族A\mathcal Aと、添字集合が高々可算であるXXの部分集合族B\mathcal Bについて、B\mathcal BがA\mathcal Aの非選択的細分であるならば、B\mathcal BはA\mathcal Aの細分である。

証明. 演習とする(問題 5.2)。▨

3 Lindelöf 性と可算選択公理

補題 3.1. ZF において、位相空間XXについて次の二条件は同値である。

  1. XXは Lindelöf である。
  2. XXの任意の開被覆は、添字集合が高々可算であるXXの被覆による細分をもつ。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。U=(Ui)i∈I\mathcal U=(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆とする。XXは Lindelöf であるから、高々可算な部分集合I0⊆II_0\subseteq Iで(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}がXXの被覆となるものが存在する。(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}はU\mathcal Uの部分族であるから、§E2.19 補題 1.3 (1)によりU\mathcal Uの細分であり、その添字集合I0I_0は高々可算である。開被覆U\mathcal Uは任意であったから、(2)が成り立つ。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。U=(Ui)i∈I\mathcal U=(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆とし、添字集合KKが高々可算であるXXの被覆(Bk)k∈K(B_k)_{k\in K}と細分射f ⁣:K→If\colon K\to Iをとる。I0=f(K)I_0=f(K)とおくと、§E1.18 補題 3.5によりI0I_0は高々可算である。各k∈Kk\in KについてBk⊆Uf(k)B_k\subseteq U_{f(k)}であるから

X=⋃k∈KBk⊆⋃k∈KUf(k)=⋃i∈I0UiX=\bigcup_{k\in K}B_k\subseteq\bigcup_{k\in K}U_{f(k)}=\bigcup_{i\in I_0}U_i

であり、(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}はU\mathcal Uの高々可算部分被覆である。開被覆U\mathcal Uは任意であったから、XXは Lindelöf である。▨

定理 3.2. ZF において次は同値である。

  1. 可算選択公理が成り立つ。
  2. 位相空間XXの開被覆U\mathcal Uが、添字集合が高々可算であるXXの被覆による非選択的細分をもつならば、U\mathcal Uは高々可算部分被覆をもつ。
  3. 位相空間XXの開被覆(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}について、集合{Ui∣i∈I}\{U_i\mid i\in I\}の高々可算な部分集合V\mathcal VがX=⋃VX=\bigcup\mathcal Vを満たすならば、(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}は高々可算部分被覆をもつ。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。U=(Ui)i∈I\mathcal U=(U_i)_{i\in I}を位相空間XXの開被覆とし、添字集合KKが高々可算であるXXの被覆(Bk)k∈K(B_k)_{k\in K}がU\mathcal Uの非選択的細分であるとする。可算選択公理と命題 2.4により(Bk)k∈K(B_k)_{k\in K}はU\mathcal Uの細分であるから、細分射f ⁣:K→If\colon K\to Iをとると各k∈Kk\in KについてBk⊆Uf(k)B_k\subseteq U_{f(k)}である。I0=f(K)I_0=f(K)とおくと、§E1.18 補題 3.5によりI0I_0は高々可算であり、

X=⋃k∈KBk⊆⋃k∈KUf(k)=⋃i∈I0UiX=\bigcup_{k\in K}B_k\subseteq\bigcup_{k\in K}U_{f(k)}=\bigcup_{i\in I_0}U_i

が成り立つ。したがって(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}はU\mathcal Uの高々可算部分被覆である。

(2)⇒\Rightarrow(3)を示す。(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}を位相空間XXの開被覆とし、{Ui∣i∈I}\{U_i\mid i\in I\}の高々可算な部分集合V\mathcal VがX=⋃VX=\bigcup\mathcal Vを満たすとする。V\mathcal Vをそれ自身で添字づけた族(V)V∈V(V)_{V\in\mathcal V}は、添字集合が高々可算であるXXの被覆である。各V∈VV\in\mathcal Vは{Ui∣i∈I}\{U_i\mid i\in I\}に属するからV=UiV=U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在し、このiiについてV⊆UiV\subseteq U_iである。ゆえに(V)V∈V(V)_{V\in\mathcal V}は(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}の非選択的細分であり、(2)により(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}は高々可算部分被覆をもつ。

(3)⇒\Rightarrow(1)を示す。(An)n∈N≥0(A_n)_{n\in\N}を空でない集合からなる族とする。N≥0\Nに離散位相を入れ、

I={(n,a)∣n∈N≥0, a∈An}I=\{(n,a)\mid n\in\N,\ a\in A_n\}

とおいて、(n,a)∈I(n,a)\in Iに対してU(n,a)={n}U_{(n,a)}=\{n\}と定める。n∈N≥0n\in\Nに対してAn≠∅A_n\neq\emptysetであるからa∈Ana\in A_nをとることができ、(n,a)∈I(n,a)\in Iかつn∈U(n,a)n\in U_{(n,a)}である。ゆえに(Ui)i∈I(U_i)_{i\in I}はN≥0\Nの開被覆である。また{Ui∣i∈I}={{n}∣n∈N≥0}\{U_i\mid i\in I\}=\{\{n\}\mid n\in\N\}であり、この集合はn↦{n}n\mapsto\{n\}によるN≥0\Nの像であるから§E1.18 補題 3.5により高々可算であって、その合併はN≥0\Nに等しい。よって(3)により、高々可算な部分集合I0⊆II_0\subseteq Iで(Ui)i∈I0(U_i)_{i\in I_0}がN≥0\Nの被覆となるものが存在する。

n∈N≥0n\in\Nをとるとn∈Uin\in U_iを満たすi∈I0i\in I_0が存在し、i=(m,a)i=(m,a)と書けばUi={m}U_i=\{m\}かつn∈{m}n\in\{m\}であるからm=nm=nである。すなわち、各n∈N≥0n\in\Nに対してI0∩({n}×An)≠∅I_0\cap(\{n\}\times A_n)\neq\emptysetである。N≥0≠∅\N\neq\emptysetであるからI0≠∅I_0\neq\emptysetであり、§E1.18 定理 3.3 (3)により全射u ⁣:N≥0→I0u\colon\N\to I_0が存在する。n∈N≥0n\in\Nに対して、I0∩({n}×An)I_0\cap(\{n\}\times A_n)は空でなくuuは全射であるから、集合{k∈N≥0∣u(k)∈{n}×An}\{k\in\N\mid u(k)\in\{n\}\times A_n\}は空でなく、その最小元k(n)k(n)をとることができる。u(k(n))∈{n}×Anu(k(n))\in\{n\}\times A_nであるから、u(k(n))u(k(n))の第二成分をg(n)g(n)と定めるとg(n)∈Ang(n)\in A_nである。したがってggは族(An)n∈N≥0(A_n)_{n\in\N}の選択関数であり、族は任意であったから、§E1.18 注意 6.2により可算選択公理が成り立つ。▨

補題 3.3. ZF において、XXを位相空間とする。一点集合の族({x})x∈X(\{x\})_{x\in X}はXXの被覆であり、XXの任意の開被覆の非選択的細分である。

証明.x∈Xx\in Xに対してx∈{x}x\in\{x\}であるから、({x})x∈X(\{x\})_{x\in X}はXXの被覆である。U=(Ui)i∈I\mathcal U=(U_i)_{i\in I}をXXの開被覆とする。各x∈Xx\in Xに対してx∈Uix\in U_iを満たすi∈Ii\in Iが存在し、このiiについて{x}⊆Ui\{x\}\subseteq U_iである。ゆえに({x})x∈X(\{x\})_{x\in X}はU\mathcal Uの非選択的細分である。▨

系 3.4. ZF において次は同値である。

  1. 可算選択公理が成り立つ。
  2. 位相空間XXの任意の開被覆が、添字集合が高々可算であるXXの被覆による非選択的細分をもつならば、XXは Lindelöf である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。XXを位相空間とし、XXの任意の開被覆が、添字集合が高々可算であるXXの被覆による非選択的細分をもつとする。U\mathcal UをXXの開被覆とすると、仮定によりそのような非選択的細分が存在し、可算選択公理を仮定しているから、定理 3.2 (1)⇒\Rightarrow(2)によりU\mathcal Uは高々可算部分被覆をもつ。開被覆U\mathcal Uは任意であったから、XXは Lindelöf である。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。XXを可算離散空間とする。補題 3.3により、一点集合の族({x})x∈X(\{x\})_{x\in X}はXXの被覆であってXXの任意の開被覆の非選択的細分であり、その添字集合XXは高々可算である。ゆえに(2)によりXXは Lindelöf である。可算離散空間XXは任意であったから、§E2.21 補題 6.1 (2)⇒\Rightarrow(3)により可算選択公理が成り立つ。▨

命題 3.5. ZF において、位相空間(X,O)(X,\mathcal O)が Lindelöf であるとする。U⊆O\mathcal U\subseteq\mathcal OがX=⋃UX=\bigcup\mathcal Uを満たすならば、X=⋃VX=\bigcup\mathcal Vを満たす高々可算な部分集合V⊆U\mathcal V\subseteq\mathcal Uが存在する。

証明. 演習とする(問題 5.1)。▨

注意 3.6.命題 3.5の逆向きの含意は、ZF が無矛盾であれば ZF から証明することができない。実数の部分集合に対する可算選択公理とは、空でない集合からなる列(An)n∈N≥0(A_n)_{n\in\N}であって各AnA_nがR\Rの部分集合であるものに限って選択関数の存在を要請する主張をいう。Herrlich と Strecker は、離散位相を入れたN≥0\Nについて、N≥0\Nの部分集合からなる集合U\mathcal UでN≥0=⋃U\N=\bigcup\mathcal Uを満たすものがつねに高々可算な部分集合による被覆をもつことが、ZF において実数の部分集合に対する可算選択公理と同値であることを示した。一方、離散位相を入れたN≥0\Nが Lindelöf であることは、§E2.21 補題 6.1 (2)⇒\Rightarrow(3)により可算選択公理と同値である。Howard と Rubin および Jech によれば、可算選択公理は実数の部分集合に対する可算選択公理を含意するが、ZF が無矛盾であれば逆向きの含意は ZF から証明することができない。したがって、被覆を族としてとるか開集合の集合としてとるかによって、Lindelöf 性は ZF の上で別の条件になる。

4 Baire の範疇定理と従属選択公理

補題 4.1.(X,d)(X,d)を距離空間、UUをXXで稠密なXXの開集合とする。x∈Xx\in Xと実数r>0r>0に対して、0<s≤r/20<s\leq r/2かつ

B‾(y,s)⊆B(x,r)∩U\overline B(y,s)\subseteq B(x,r)\cap U

を満たすy∈Xy\in Xと実数ssが存在する。

証明.§E2.2 補題 1.2によりB(x,r)B(x,r)は開集合であり、x∈B(x,r)x\in B(x,r)であるから空でない。UUはXXで稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりB(x,r)∩U≠∅B(x,r)\cap U\neq\emptysetである。点y∈B(x,r)∩Uy\in B(x,r)\cap Uをとる。§E2.2 定理 1.3によりB(x,r)∩UB(x,r)\cap Uは開集合であるから、§E2.2 定義 1.1によりB(y,ρ)⊆B(x,r)∩UB(y,\rho)\subseteq B(x,r)\cap Uを満たす実数ρ>0\rho>0が存在する。s=min⁡{ρ/2,r/2}s=\min\{\rho/2,r/2\}とおけば0<s≤r/20<s\leq r/2かつs<ρs<\rhoであり、§E2.2 補題 2.5によりB‾(y,s)⊆B(y,ρ)⊆B(x,r)∩U\overline B(y,s)\subseteq B(y,\rho)\subseteq B(x,r)\cap Uである。▨

命題 4.2. ZF において、従属選択公理を仮定すると、任意の完備距離空間は Baire 空間である。

証明は演習とする(問題 5.3)。

補題 4.3.SSを空でない集合とする。相異なるx,y∈SN≥0x,y\in S^{\N}に対してxn≠ynx_n\neq y_nを満たす最小のn∈N≥0n\in\Nをn(x,y)n(x,y)と書き、x,y∈SN≥0x,y\in S^{\N}に対して

ρ(x,y)={0(x=y),2−n(x,y)(x≠y)\rho(x,y)= \begin{cases} 0&(x=y),\\ 2^{-n(x,y)}&(x\neq y) \end{cases}

と定める。ZF において次が成り立つ。

  1. ρ\rhoはSN≥0S^{\N}の上の距離である。
  2. m∈N≥0m\in\Nとx,y∈SN≥0x,y\in S^{\N}について、ρ(x,y)<2−m\rho(x,y)<2^{-m}であることと、i≤mi\leq mを満たすすべてのi∈N≥0i\in\Nについてxi=yix_i=y_iであることとは同値である。
  3. 距離空間(SN≥0,ρ)(S^{\N},\rho)は完備である。

証明.(1)の証明は演習とする(問題 5.4)。

(2)を示す。i≤mi\leq mを満たすすべてのiiについてxi=yix_i=y_iであるとする。x=yx=yならばρ(x,y)=0<2−m\rho(x,y)=0<2^{-m}である。x≠yx\neq yならば、i≤mi\leq mを満たすiiについてxi=yix_i=y_iであることからn(x,y)≥m+1n(x,y)\geq m+1であり、ρ(x,y)=2−n(x,y)≤2−(m+1)<2−m\rho(x,y)=2^{-n(x,y)}\leq2^{-(m+1)}<2^{-m}である。逆にρ(x,y)<2−m\rho(x,y)<2^{-m}とする。x=yx=yならばi≤mi\leq mを満たすすべてのiiについてxi=yix_i=y_iである。x≠yx\neq yならば2−n(x,y)<2−m2^{-n(x,y)}<2^{-m}からn(x,y)>mn(x,y)>mであり、n(x,y)n(x,y)の最小性によりi≤mi\leq mを満たすすべてのiiについてxi=yix_i=y_iである。

(3)を示す。(x(k))k≥1(x^{(k)})_{k\geq1}を(SN≥0,ρ)(S^{\N},\rho)の Cauchy 列とする。m∈N≥0m\in\Nに対して、集合

Tm={M≥1∣k,k′≥M を満たすすべての k,k′ について ρ(x(k),x(k′))<2−m}T_m=\{M\geq1\mid k,k'\geq M\ \text{を満たすすべての}\ k,k'\ \text{について}\ \rho(x^{(k)},x^{(k')})<2^{-m}\}

は§E2.5 定義 1.1により空でないから、その最小元をMmM_mとおく。2−(m+1)<2−m2^{-(m+1)}<2^{-m}であるからTm+1⊆TmT_{m+1}\subseteq T_mであり、最小元をとるとMm≤Mm+1M_m\leq M_{m+1}である。

xm=xm(Mm)x_m=x^{(M_m)}_mと定めてx=(xm)m∈N≥0∈SN≥0x=(x_m)_{m\in\N}\in S^{\N}とおく。i≤mi\leq mとするとMi≤MmM_i\leq M_mであり、Mm,Mi≥MiM_m,M_i\geq M_iであるからρ(x(Mm),x(Mi))<2−i\rho(x^{(M_m)},x^{(M_i)})<2^{-i}であって、(2)によりxi(Mm)=xi(Mi)=xix^{(M_m)}_i=x^{(M_i)}_i=x_iである。ゆえにk≥Mmk\geq M_mならば、k,Mm≥Mmk,M_m\geq M_mからρ(x(k),x(Mm))<2−m\rho(x^{(k)},x^{(M_m)})<2^{-m}であり、(2)によりi≤mi\leq mを満たすすべてのiiについてxi(k)=xi(Mm)=xix^{(k)}_i=x^{(M_m)}_i=x_iである。ふたたび(2)によりρ(x(k),x)<2−m\rho(x^{(k)},x)<2^{-m}である。

実数ε>0\varepsilon>0に対して2−m≤ε2^{-m}\leq\varepsilonを満たすm∈N≥0m\in\Nをとると、k≥Mmk\geq M_mについてρ(x(k),x)<ε\rho(x^{(k)},x)<\varepsilonである。したがって(x(k))k≥1(x^{(k)})_{k\geq1}はxxに収束し、(SN≥0,ρ)(S^{\N},\rho)は完備である。▨

注意 4.4.補題 4.3でS=N≥0S=\Nとすると、ρ\rhoは§E2.27 命題 4.4の距離である。

定理 4.5. ZF において次は同値である。

  1. §E1.20 従属選択公理が成り立つ。
  2. 空でない完備距離空間はすべて Baire 空間である。

証明.(1)⇒\Rightarrow(2)を示す。従属選択公理を仮定すると、命題 4.2により、完備距離空間はすべて Baire 空間である。

(2)⇒\Rightarrow(1)を示す。SSを空でない集合とし、R⊆S×SR\subseteq S\times Sを、任意のa∈Sa\in Sに対してaRba\mathrel{R}bを満たすb∈Sb\in Sが存在するという条件を満たす二項関係とする。§E1.20 命題 4.5により、すべてのn∈N≥0n\in\NについてxnRxn+1x_n\mathrel{R}x_{n+1}を満たすSSの元の族(xn)n∈N≥0(x_n)_{n\in\N}の存在を、SSとRRについて示せば従属選択公理が成り立つ。そこで、そのような族が存在しないと仮定する。

a∈Sa\in SがaRaa\mathrel{R}aを満たすとすると、xn=ax_n=a(n∈N≥0n\in\N)で定まる族はすべてのn∈N≥0n\in\NについてxnRxn+1x_n\mathrel{R}x_{n+1}を満たす。仮定によりそのような族は存在しないから、どのa∈Sa\in SについてもaRaa\mathrel{R}aは成り立たない。

SN≥0S^{\N}に補題 4.3の距離ρ\rhoを入れ、

X={u∈SN≥0∣すべての k∈N≥0 について uk+1=uk または ukRuk+1}X=\{u\in S^{\N}\mid\text{すべての }k\in\N\text{ について }u_{k+1}=u_k\text{ または }u_k\mathrel{R}u_{k+1}\}

とおく。u∈SN≥0∖Xu\in S^{\N}\setminus Xとすると、uk+1≠uku_{k+1}\neq u_kであってukRuk+1u_k\mathrel{R}u_{k+1}が成り立たないk∈N≥0k\in\Nが存在する。ρ(v,u)<2−(k+1)\rho(v,u)<2^{-(k+1)}を満たすv∈SN≥0v\in S^{\N}は、補題 4.3 (2)によりi≤k+1i\leq k+1を満たすすべてのiiについてvi=uiv_i=u_iを満たすから、vk+1≠vkv_{k+1}\neq v_kであってvkRvk+1v_k\mathrel{R}v_{k+1}が成り立たず、v∉Xv\notin Xである。ゆえにSN≥0∖XS^{\N}\setminus Xの各点はその点を中心とする開球をSN≥0∖XS^{\N}\setminus Xの中にもち、§E2.2 定義 1.1によりSN≥0∖XS^{\N}\setminus Xは開集合であって、XXはSN≥0S^{\N}の閉集合である。S≠∅S\neq\emptysetであるからa∈Sa\in Sをとることができ、uk=au_k=a(k∈N≥0k\in\N)で定まるuuはXXに属するからX≠∅X\neq\emptysetである。補題 4.3 (3)と§E2.5 定理 3.2により、ρ\rhoの制限を入れたXXは完備距離空間である。

n≥1n\geq1に対して

Dn={u∈X∣k1<k2<⋯<kn かつ ukj≠ukj+1 (1≤j≤n) を満たす k1,…,kn∈N≥0 が存在する}D_n=\{u\in X\mid k_1<k_2<\cdots<k_n\ \text{かつ}\ u_{k_j}\neq u_{k_j+1}\ (1\leq j\leq n)\ \text{を満たす}\ k_1,\ldots,k_n\in\N\ \text{が存在する}\}

とおく。u∈Dnu\in D_nとし、k1<⋯<knk_1<\cdots<k_nをこの条件を満たす番号としてm=kn+1m=k_n+1とおく。v∈Xv\in Xがρ(v,u)<2−m\rho(v,u)<2^{-m}を満たすならば、補題 4.3 (2)によりi≤mi\leq mを満たすすべてのiiについてvi=uiv_i=u_iであり、各jjについてkj<kj+1≤mk_j<k_j+1\leq mであるからvkj=ukj≠ukj+1=vkj+1v_{k_j}=u_{k_j}\neq u_{k_j+1}=v_{k_j+1}である。ゆえにv∈Dnv\in D_nであり、§E2.2 定義 1.1によりDnD_nはXXの開集合である。

z∈Sz\in Sとn∈N≥0n\in\Nに対して、写像s ⁣:{j∈N≥0∣j≤n}→Ss\colon\{j\in\N\mid j\leq n\}\to Sであってs(0)=zs(0)=zを満たし、j<nj<nを満たすすべてのjjについてs(j)Rs(j+1)s(j)\mathrel{R}s(j+1)を満たすものが存在する。実際、n=0n=0のときはs(0)=zs(0)=zで定まる写像がこの条件を満たす。nnについて条件を満たす写像ssが存在するとすると、RRについての仮定によりs(n)Rws(n)\mathrel{R}wを満たすw∈Sw\in Sが存在するから、j≤nj\leq nについてs′(j)=s(j)s'(j)=s(j)、s′(n+1)=ws'(n+1)=wと定めた写像s′s'がn+1n+1について条件を満たす。

n≥1n\geq1を固定し、OOをXXの空でない開集合としてu∈Ou\in Oをとる。§E2.2 定義 1.1により、ρ(v,u)<ε\rho(v,u)<\varepsilonを満たすv∈Xv\in XがすべてOOに属するような実数ε>0\varepsilon>0が存在する。2−m≤ε2^{-m}\leq\varepsilonを満たすm∈N≥0m\in\Nをとり、s(0)=ums(0)=u_mを満たし、j<nj<nを満たすすべてのjjについてs(j)Rs(j+1)s(j)\mathrel{R}s(j+1)を満たす写像s ⁣:{j∈N≥0∣j≤n}→Ss\colon\{j\in\N\mid j\leq n\}\to Sをとる。v∈SN≥0v\in S^{\N}を、i≤mi\leq mについてvi=uiv_i=u_i、0≤j≤n0\leq j\leq nについてvm+j=s(j)v_{m+j}=s(j)、i≥m+ni\geq m+nについてvi=s(n)v_i=s(n)と定める。i=mi=mではum=s(0)u_m=s(0)であり、i=m+ni=m+nでは二つの場合の値がともにs(n)s(n)であるから、vvは矛盾なく定まる。

k<mk<mのときはvk=ukv_k=u_kかつvk+1=uk+1v_{k+1}=u_{k+1}でありu∈Xu\in Xであるから、vk+1=vkv_{k+1}=v_kまたはvkRvk+1v_k\mathrel{R}v_{k+1}が成り立つ。m≤k<m+nm\leq k<m+nのときはvk=s(k−m)v_k=s(k-m)かつvk+1=s(k−m+1)v_{k+1}=s(k-m+1)であるからvkRvk+1v_k\mathrel{R}v_{k+1}である。k≥m+nk\geq m+nのときはvk=vk+1=s(n)v_k=v_{k+1}=s(n)である。ゆえにv∈Xv\in Xである。1≤j≤n1\leq j\leq nに対してkj=m+j−1k_j=m+j-1とおくとk1<k2<⋯<knk_1<k_2<\cdots<k_nであり、vkj=s(j−1)v_{k_j}=s(j-1)かつvkj+1=s(j)v_{k_j+1}=s(j)であってs(j−1)Rs(j)s(j-1)\mathrel{R}s(j)であるから、どのa∈Sa\in SについてもaRaa\mathrel{R}aが成り立たないことによりvkj≠vkj+1v_{k_j}\neq v_{k_j+1}である。ゆえにv∈Dnv\in D_nである。さらにi≤mi\leq mについてvi=uiv_i=u_iであるから、補題 4.3 (2)によりρ(v,u)<2−m≤ε\rho(v,u)<2^{-m}\leq\varepsilonであり、v∈Ov\in Oである。したがってOOはDnD_nと交わり、OOは任意であったから§E2.11 命題 2.9 (2)⇒\Rightarrow(1)によりDnD_nはXXで稠密である。

XXは空でない完備距離空間であるから、(2)によりXXは Baire 空間である。(Dn)n≥1(D_n)_{n\geq1}はXXの開集合の列であってすべての項がXXで稠密であるから、§E2.28 定義 1.2により⋂n≥1Dn\bigcap_{n\geq1}D_nはXXで稠密である。XX自身はXXの空でない開集合であるから、§E2.11 命題 2.9 (1)⇒\Rightarrow(2)により⋂n≥1Dn\bigcap_{n\geq1}D_nは空でない。

w∈⋂n≥1Dnw\in\bigcap_{n\geq1}D_nをとり、K={k∈N≥0∣wk≠wk+1}K=\{k\in\N\mid w_k\neq w_{k+1}\}とおく。N∈N≥0N\in\Nに対して、w∈DN+2w\in D_{N+2}であるからk1<k2<⋯<kN+2k_1<k_2<\cdots<k_{N+2}を満たすKKの元がとれ、狭義単調増加であることからkN+2≥k1+N+1≥N+1>Nk_{N+2}\geq k_1+N+1\geq N+1>Nである。ゆえにKKは上に有界でなく、とくに空でない。l0=min⁡Kl_0=\min Kとおき、i∈N≥0i\in\Nに対してli+1=min⁡{k∈K∣k>li}l_{i+1}=\min\{k\in K\mid k>l_i\}と定めると、KKが上に有界でないことからこの帰納的な定め方はすべてのiiで意味をもち、li<li+1l_i<l_{i+1}である。

i∈N≥0i\in\Nを固定する。li<k<li+1l_i<k<l_{i+1}を満たすkkはKKに属さないからwk=wk+1w_k=w_{k+1}であり、li+1≤j≤li+1l_i+1\leq j\leq l_{i+1}を満たすjjについてwj=wli+1w_j=w_{l_i+1}であることがjjについての帰納法で従う。とくにwli+1=wli+1w_{l_i+1}=w_{l_{i+1}}である。またli∈Kl_i\in Kであるからwli≠wli+1w_{l_i}\neq w_{l_i+1}であり、w∈Xw\in XであるからwliRwli+1w_{l_i}\mathrel{R}w_{l_i+1}である。ゆえにwliRwli+1w_{l_i}\mathrel{R}w_{l_{i+1}}である。

xi=wlix_i=w_{l_i}(i∈N≥0i\in\N)とおくと、(xi)i∈N≥0(x_i)_{i\in\N}はすべてのi∈N≥0i\in\NについてxiRxi+1x_i\mathrel{R}x_{i+1}を満たすSSの元の族である。一方、はじめの仮定により、すべてのn∈N≥0n\in\NについてxnRxn+1x_n\mathrel{R}x_{n+1}を満たすSSの元の族は存在しない。この二つは両立しない。したがって、そのような族は存在する。SSとRRは任意であったから、§E1.20 命題 4.5により従属選択公理が成り立つ。▨

注意 4.6.§E2.28 定理 4.2の証明は§E2.26 系 3.3を経由しており、そこで用いるコンパクト化の存在は§E2.22 系 2.4が与えている。§E2.22 系 2.4の構成は§E2.19 定理 8.2を用いるので、この経路は選択公理に依拠する。定理 4.5により、完備距離空間に対する Baire の範疇定理そのものは ZF 上で従属選択公理と同値である。

注意 4.7.定理 4.5 (2)⇒\Rightarrow(1)の証明の骨格は Blair による。

5 演習

問題 5.1.命題 3.5の証明を完成させよ。

解答.

(X,O)(X,\mathcal O)を Lindelöf な位相空間とし、U⊆O\mathcal U\subseteq\mathcal OがX=⋃UX=\bigcup\mathcal Uを満たすとする。U\mathcal Uをそれ自身で添字づけた族(U)U∈U(U)_{U\in\mathcal U}はXXの開被覆である。XXは Lindelöf であるから、高々可算な部分集合V⊆U\mathcal V\subseteq\mathcal Uで(U)U∈V(U)_{U\in\mathcal V}がXXの被覆となるものが存在する。この族の値の合併は⋃V\bigcup\mathcal VであるからX=⋃VX=\bigcup\mathcal Vである。▨

問題 5.2.命題 2.4の証明を完成させよ。

解答.

可算選択公理を仮定し、A=(Ai)i∈I\mathcal A=(A_i)_{i\in I}を集合XXの部分集合族、B=(Bk)k∈K\mathcal B=(B_k)_{k\in K}を添字集合KKが高々可算であるXXの部分集合族とし、B\mathcal BがA\mathcal Aの非選択的細分であるとする。P={(k,i)∈K×I∣Bk⊆Ai}P=\{(k,i)\in K\times I\mid B_k\subseteq A_i\}とおき、p ⁣:P→Kp\colon P\to Kを第一成分への射影とする。非選択的細分の定義により、各k∈Kk\in Kに対してBk⊆AiB_k\subseteq A_iを満たすi∈Ii\in Iが存在するからppは全射であり、KKは高々可算であるから、§E1.20 補題 4.8によりp∘s=id⁡Kp\circ s=\id_Kを満たす写像s ⁣:K→Ps\colon K\to Pが存在する。f(k)f(k)をs(k)s(k)の第二成分と定めると、写像f ⁣:K→If\colon K\to Iは各k∈Kk\in KについてBk⊆Af(k)B_k\subseteq A_{f(k)}を満たすから細分射であり、B\mathcal BはA\mathcal Aの細分である。

逆に、後者の主張を仮定し、(An)n∈N≥0(A_n)_{n\in\N}を空でない集合からなる族とする。補題 2.1をΛ=N≥0\Lambda=\Nとして適用してJJ、XX、C\mathcal Cをとり、B0=({(n,0)})n∈N≥0\mathcal B_0=(\{(n,0)\})_{n\in\N}とおくと、その添字集合N≥0\Nは高々可算である。n∈N≥0n\in\Nに対してAn≠∅A_n\neq\emptysetであるからa∈Ana\in A_nをとることができ、(n,a)∈J(n,a)\in Jかつ{(n,0)}⊆C(n,a)\{(n,0)\}\subseteq C_{(n,a)}であるから、B0\mathcal B_0はC\mathcal Cの非選択的細分である。ゆえに仮定により細分射f ⁣:N≥0→Jf\colon\N\to Jが存在し、各n∈N≥0n\in\Nについて{(n,0)}⊆Cf(n)\{(n,0)\}\subseteq C_{f(n)}である。補題 2.1 (3)によりf(n)f(n)の第一成分はnnであり、第二成分はAnA_nに属する。f(n)f(n)の第二成分をg(n)g(n)と定めるとg(n)∈Ang(n)\in A_nであり、ggは族(An)n∈N≥0(A_n)_{n\in\N}の選択関数である。族は任意であったから、§E1.18 注意 6.2により可算選択公理が成り立つ。▨

問題 5.3.命題 4.2の証明を完成させよ。

解答.

従属選択公理を仮定する。(X,d)(X,d)を完備な距離空間、(Un)n≥1(U_n)_{n\geq1}をXXで稠密なXXの開集合からなる列とし、G=⋂n≥1UnG=\bigcap_{n\geq1}U_nとおく。WWをXXの空でない開集合とし、x0∈Wx_0\in Wをとる。§E2.2 定義 1.1によりB(x0,r0)⊆WB(x_0,r_0)\subseteq Wを満たす実数r0>0r_0>0が存在する。

S=N≥0×X×R>0S=\N\times X\times\R_{>0}とおき、SS上の関係RRを

((n,x,r),(n′,y,s))∈R⟺n′=n+1, 0<s≤r2, B‾(y,s)⊆B(x,r)∩Un+1\bigl((n,x,r),(n',y,s)\bigr)\in R \quad\Longleftrightarrow\quad n'=n+1,\ 0<s\leq\frac r2,\ \overline B(y,s)\subseteq B(x,r)\cap U_{n+1}

によって定める。補題 4.1により、SSの任意の元はRRに関する後続元をもつ。そこで§E1.20 定義 4.2の従属選択公理を初期項(0,x0,r0)(0,x_0,r_0)へ適用すると、すべてのn≥0n\geq0について

0<rn+1≤rn2,B‾(xn+1,rn+1)⊆B(xn,rn)∩Un+10<r_{n+1}\leq\frac{r_n}2, \qquad \overline B(x_{n+1},r_{n+1})\subseteq B(x_n,r_n)\cap U_{n+1}

を満たす列((n,xn,rn))n≥0((n,x_n,r_n))_{n\geq0}を得る。この構成からrn≤r0/2nr_n\leq r_0/2^nが帰納的に従う。また§E2.2 補題 2.5によりB(xn,rn)⊆B‾(xn,rn)B(x_n,r_n)\subseteq\overline B(x_n,r_n)であるから

B‾(xn+1,rn+1)⊆B(xn,rn)⊆B‾(xn,rn)\overline B(x_{n+1},r_{n+1})\subseteq B(x_n,r_n)\subseteq\overline B(x_n,r_n)

であり、閉球の列(B‾(xn,rn))n≥0(\overline B(x_n,r_n))_{n\geq0}は包含関係について減少する。

m≥nm\geq nならば、この減少性からxm∈B‾(xn,rn)x_m\in\overline B(x_n,r_n)であり、d(xm,xn)≤rn≤r0/2nd(x_m,x_n)\leq r_n\leq r_0/2^nである。§B1.7 定理 2.1により(1/2)n→0(1/2)^n\to0であるから、実数ε>0\varepsilon>0に対してr0/2N<εr_0/2^N<\varepsilonを満たすNNをとると、m,n≥Nm,n\geq Nの場合には添字の大小に応じて同じ評価を適用してd(xm,xn)<εd(x_m,x_n)<\varepsilonを得る。ゆえに(xn)n≥0(x_n)_{n\geq0}は Cauchy 列である。

XXの完備性により、あるx∗∈Xx^{*}\in Xに対してxn→x∗x_n\to x^{*}となる。n≥0n\geq0を固定すると、k≥nk\geq nについてxk∈B‾(xn,rn)x_k\in\overline B(x_n,r_n)であり、§E2.2 補題 2.5によりB‾(xn,rn)\overline B(x_n,r_n)は閉集合であるから、閉集合が収束列の極限を含むという§E2.3 定理 3.1の含意によりx∗∈B‾(xn,rn)x^{*}\in\overline B(x_n,r_n)である。n≥1n\geq1についてB‾(xn,rn)⊆Un\overline B(x_n,r_n)\subseteq U_nであるからx∗∈Gx^{*}\in Gであり、B‾(x1,r1)⊆B(x0,r0)\overline B(x_1,r_1)\subseteq B(x_0,r_0)であるからx∗∈B(x0,r0)⊆Wx^{*}\in B(x_0,r_0)\subseteq Wである。ゆえにG∩W≠∅G\cap W\neq\emptysetである。

WWは任意の空でない開集合であったから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりGGはXXで稠密であり、XXは Baire 空間である。

この構成で用いた選択原理は§E1.20 定義 4.2の従属選択公理だけであり、選択公理は用いていない。▨

問題 5.4.補題 4.3 (1)の証明を完成させよ。

解答.

ρ\rhoの値は非負であり、ρ(x,y)=0\rho(x,y)=0であることとx=yx=yであることとは定め方から同値である。相異なるx,y∈SN≥0x,y\in S^{\N}に対してxn≠ynx_n\neq y_nであることとyn≠xny_n\neq x_nであることとは同値であるからn(x,y)=n(y,x)n(x,y)=n(y,x)であり、ρ(x,y)=ρ(y,x)\rho(x,y)=\rho(y,x)である。

x,y,z∈SN≥0x,y,z\in S^{\N}に対してρ(x,z)≤max⁡{ρ(x,y),ρ(y,z)}\rho(x,z)\leq\max\{\rho(x,y),\rho(y,z)\}が成り立つ。実際、x=zx=zならば左辺は00であり、右辺は非負であるから不等式が成り立つ。x≠zx\neq zとしn=n(x,z)n=n(x,z)とおくとxn≠znx_n\neq z_nであるから、xn≠ynx_n\neq y_nまたはyn≠zny_n\neq z_nが成り立つ。xn≠ynx_n\neq y_nならばx≠yx\neq yであり、n(x,y)n(x,y)の最小性によりn(x,y)≤nn(x,y)\leq nであるからρ(x,y)=2−n(x,y)≥2−n=ρ(x,z)\rho(x,y)=2^{-n(x,y)}\geq2^{-n}=\rho(x,z)である。yn≠zny_n\neq z_nならば、同じ議論によりρ(y,z)≥ρ(x,z)\rho(y,z)\geq\rho(x,z)である。いずれの場合も右辺はρ(x,z)\rho(x,z)以上である。

ρ\rhoの値は非負であるからmax⁡{ρ(x,y),ρ(y,z)}≤ρ(x,y)+ρ(y,z)\max\{\rho(x,y),\rho(y,z)\}\leq\rho(x,y)+\rho(y,z)であり、ρ(x,z)≤ρ(x,y)+ρ(y,z)\rho(x,z)\leq\rho(x,y)+\rho(y,z)が成り立つ。したがってρ\rhoはSN≥0S^{\N}の上の距離である。▨

問題 5.5.Λ\Lambdaを集合、(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}を空でない集合からなる族とし、補題 2.1のJJを用いて、台集合をY=Λ∪JY=\Lambda\cup J、C′=(C(λ,a)′)(λ,a)∈J\mathcal C'=(C'_{(\lambda,a)})_{(\lambda,a)\in J}をC(λ,a)′={λ,(λ,a)}C'_{(\lambda,a)}=\{\lambda,(\lambda,a)\}、B′=(Bλ′)λ∈Λ\mathcal B'=(B'_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}をBλ′={λ}B'_\lambda=\{\lambda\}で定める。B′\mathcal B'がC′\mathcal C'の非選択的細分であることを示せ。さらに、細分射f ⁣:Λ→Jf\colon\Lambda\to Jに対してλ↦f(λ)\lambda\mapsto f(\lambda)の第二成分が(Aλ)λ∈Λ(A_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}の選択関数を与えるとは限らないことを、例を挙げて示せ。

解答.

λ∈Λ\lambda\in\Lambdaに対してAλ≠∅A_\lambda\neq\emptysetであるからa∈Aλa\in A_\lambdaをとることができ、(λ,a)∈J(\lambda,a)\in JかつBλ′={λ}⊆{λ,(λ,a)}=C(λ,a)′B'_\lambda=\{\lambda\}\subseteq\{\lambda,(\lambda,a)\}=C'_{(\lambda,a)}である。ゆえにB′\mathcal B'はC′\mathcal C'の非選択的細分である。

Λ={0,(0,1)}\Lambda=\{0,(0,1)\}とし、A0={1}A_0=\{1\}、A(0,1)={2}A_{(0,1)}=\{2\}とおく。このときJ={(0,1),((0,1),2)}J=\{(0,1),((0,1),2)\}である。f(0)=(0,1)f(0)=(0,1)、f((0,1))=(0,1)f((0,1))=(0,1)と定めると、B0′={0}⊆{0,(0,1)}=C(0,1)′B'_0=\{0\}\subseteq\{0,(0,1)\}=C'_{(0,1)}であり、B(0,1)′={(0,1)}⊆{0,(0,1)}=C(0,1)′B'_{(0,1)}=\{(0,1)\}\subseteq\{0,(0,1)\}=C'_{(0,1)}であるから、ffは細分射である。ところがf((0,1))=(0,1)f((0,1))=(0,1)の第二成分は11であり、A(0,1)={2}A_{(0,1)}=\{2\}であるから1∉A(0,1)1\notin A_{(0,1)}である。したがってλ↦f(λ)\lambda\mapsto f(\lambda)の第二成分は選択関数を与えない。

補題 2.1では、Λ\Lambdaの元に00を付けた対とJJの元に11を付けた対を台集合の元にとっているので、(λ,0)∈C(μ,a)(\lambda,0)\in C_{(\mu,a)}を満たす(μ,a)∈J(\mu,a)\in Jはつねにλ=μ\lambda=\muを満たす。▨

問題 5.6. ZF において、台集合が高々可算である位相空間がすべて Lindelöf であることと可算選択公理とが同値であることを示せ。

解答.

可算選択公理を仮定し、XXを台集合が高々可算である位相空間とする。補題 3.3により、一点集合の族({x})x∈X(\{x\})_{x\in X}はXXの被覆であってXXの任意の開被覆の非選択的細分であり、その添字集合XXは高々可算である。ゆえに系 3.4 (1)⇒\Rightarrow(2)によりXXは Lindelöf である。

逆に、台集合が高々可算である位相空間がすべて Lindelöf であると仮定する。可算離散空間の台集合は高々可算であるから、可算離散空間はすべて Lindelöf である。ゆえに§E2.21 補題 6.1 (2)⇒\Rightarrow(3)により可算選択公理が成り立つ。▨

参考文献

  1. Horst Herrlich and George E. Strecker, When is N Lindelöf?, Commentationes Mathematicae Universitatis Carolinae 38 (1997), no. 3, 553–556.離散位相を入れた自然数全体が開集合の集合による被覆の意味で Lindelöf であることと、実数の部分集合に対する可算選択公理との同値を参考にした。
  2. Paul Howard and Jean E. Rubin, Consequences of the Axiom of Choice, Mathematical Surveys and Monographs 59, American Mathematical Society, Providence, R.I., 1998.可算選択公理と、実数の部分集合に対する可算選択公理とが同値でないことを参考にした。
  3. Thomas J. Jech, The Axiom of Choice, Dover Publications, 2008, originally published 1973.選択原理の強さを分ける模型の構成と、可算選択公理の弱い形どうしの関係を参考にした。
  4. Charles E. Blair, The Baire category theorem implies the principle of dependent choices, Bulletin de l'Académie Polonaise des Sciences. Série des Sciences Mathématiques, Astronomiques et Physiques 25 (1977), 933–934.完備距離空間の Baire 性から従属選択公理を導く証明の骨格を参考にした。

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