1 被覆の二つの定式化
定義 1.1.Xを集合とし、A=(Ai)i∈IとB=(Bj)j∈JをXの部分集合族とする。任意のj∈Jに対してBj⊆Aiを満たすi∈Iが存在するとき、BはAの 非選択的細分 (nonselective refinement) であるという。§E2.19 細分は、各j∈Jに対してBj⊆Af(j)を満たす添字を与える写像f:J→Iの存在を要求する。
証明.(1)⇔(2)を示す。(1)は§E2.19 補題 2.2 (1)と同じ条件であり、(2)は§E2.19 補題 2.2 (2)と同じ条件であるから、§E2.19 補題 2.2 (1)⇔(2)を適用する。
(2)⇔(3)を示す。U=(Ui)i∈IをXの開被覆、F=(Fj)j∈JをXの有限被覆とする。添字集合Jは有限集合であるから、§E2.19 補題 1.3 (3)により、FがUの細分であることと、任意のj∈Jに対してFj⊆Uiを満たすi∈Iが存在することとは同値である。後者の条件は、FがUの非選択的細分であることにほかならない。ゆえに、一つの開被覆Uについて、有限被覆による細分をもつことと有限被覆による非選択的細分をもつこととは同値であり、Uは任意であったから二条件は同値である。
(1)⇔(4)を示す。§E2.19 補題 2.4により、Xがコンパクトであることと(4)の条件が成り立つこととは同値である。▨
2 細分と選択公理
補題 2.1.Λを集合とし、(Aλ)λ∈Λを空でない集合からなる族とする。
J={(λ,a)∣λ∈Λ, a∈Aλ},X=(Λ×{0})∪(J×{1})とおき、(λ,a)∈Jに対してC(λ,a)={(λ,0),((λ,a),1)}と定める。C=(C(λ,a))(λ,a)∈J、S=({p})p∈Xとおくと、ZF において次が成り立つ。
- CとSはいずれもXの被覆である。
- SはCの非選択的細分である。
- λ∈Λと(μ,a)∈Jが(λ,0)∈C(μ,a)を満たすならば、μ=λでありa∈Aλである。
- SがCの細分であるならば、族(Aλ)λ∈Λは選択関数をもつ。
証明.(1)を示す。p∈Xに対してp∈{p}であるから、SはXの被覆である。Xの元は、λ∈Λに対する(λ,0)か、(λ,a)∈Jに対する((λ,a),1)のいずれかである。(λ,a)∈Jに対して((λ,a),1)∈C(λ,a)である。λ∈Λに対してはAλ=∅であるからa∈Aλをとることができ、(λ,a)∈Jかつ(λ,0)∈C(λ,a)である。ゆえにCはXの被覆である。
(2)を示す。p∈Xをとる。(1)によりCはXの被覆であるから、p∈C(λ,a)を満たす(λ,a)∈Jが存在し、{p}⊆C(λ,a)である。ゆえにSはCの非選択的細分である。
(3)を示す。C(μ,a)={(μ,0),((μ,a),1)}であり、(λ,0)の第二成分は0、((μ,a),1)の第二成分は1であるから(λ,0)=((μ,a),1)である。ゆえに(λ,0)=(μ,0)でありμ=λである。(μ,a)∈Jであるからa∈Aμ=Aλである。
(4)を示す。細分射f:X→Jをとると、各p∈Xについて{p}⊆Cf(p)である。λ∈Λに対して(λ,0)∈Cf((λ,0))であるから、(3)によりf((λ,0))の第一成分はλであり、第二成分はAλに属する。g(λ)をf((λ,0))の第二成分と定めると、写像g:Λ→⋃λ∈ΛAλが定まり、各λ∈Λについてg(λ)∈Aλである。したがってgは族(Aλ)λ∈Λの選択関数である。▨
定理 2.2. ZF において次は同値である。
- §E1.20 選択公理が成り立つ。
- 任意の集合XとXの部分集合族A、Bについて、BがAの非選択的細分であるならば、BはAの細分である。
証明.(1)⇒(2)を示す。A=(Ai)i∈I、B=(Bj)j∈Jを集合Xの部分集合族とし、BがAの非選択的細分であるとする。各j∈Jに対してIj={i∈I∣Bj⊆Ai}とおくと、非選択的細分の定義によりIj=∅である。§E1.20 定理 2.1 (1)により、族(Ij)j∈Jの選択関数f:J→⋃j∈JIjが存在する。各j∈Jについてf(j)∈Ij⊆IであるからBj⊆Af(j)であり、fをJからIへの写像とみなすと細分射である。したがってBはAの細分である。
(2)⇒(1)を示す。Λを集合、(Aλ)λ∈Λを空でない集合からなる族とし、補題 2.1のX、C、Sをとる。補題 2.1 (2)によりSはCの非選択的細分であるから、(2)によりSはCの細分である。ゆえに補題 2.1 (4)により(Aλ)λ∈Λは選択関数をもつ。族は任意であったから、§E1.20 定理 2.1 (1)が成り立つ。▨
系 2.3. ZF において次は同値である。
- 選択公理が成り立つ。
- 位相空間Xの開被覆A、Bについて、BがAの非選択的細分であるならば、BはAの細分である。
証明.(1)⇒(2)を示す。開被覆は部分集合族であるから、(2)は定理 2.2 (2)の特別な場合であり、定理 2.2 (1)⇒(2)を適用する。
(2)⇒(1)を示す。Λを集合、(Aλ)λ∈Λを空でない集合からなる族とし、補題 2.1のX、C、Sをとる。Xに離散位相を入れるとXの部分集合はすべて開集合であるから、補題 2.1 (1)によりCとSはいずれもXの開被覆である。補題 2.1 (2)と(2)によりSはCの細分であるから、補題 2.1 (4)により(Aλ)λ∈Λは選択関数をもつ。族は任意であったから、§E1.20 定理 2.1 (1)が成り立つ。▨
命題 2.4. ZF において、§E1.18 可算選択公理が成り立つことと、次が成り立つこととは同値である。集合Xの部分集合族Aと、添字集合が高々可算であるXの部分集合族Bについて、BがAの非選択的細分であるならば、BはAの細分である。
3 Lindelöf 性と可算選択公理
補題 3.1. ZF において、位相空間Xについて次の二条件は同値である。
- Xは Lindelöf である。
- Xの任意の開被覆は、添字集合が高々可算であるXの被覆による細分をもつ。
証明.(1)⇒(2)を示す。U=(Ui)i∈IをXの開被覆とする。Xは Lindelöf であるから、高々可算な部分集合I0⊆Iで(Ui)i∈I0がXの被覆となるものが存在する。(Ui)i∈I0はUの部分族であるから、§E2.19 補題 1.3 (1)によりUの細分であり、その添字集合I0は高々可算である。開被覆Uは任意であったから、(2)が成り立つ。
(2)⇒(1)を示す。U=(Ui)i∈IをXの開被覆とし、添字集合Kが高々可算であるXの被覆(Bk)k∈Kと細分射f:K→Iをとる。I0=f(K)とおくと、§E1.18 補題 3.5によりI0は高々可算である。各k∈KについてBk⊆Uf(k)であるから
X=k∈K⋃Bk⊆k∈K⋃Uf(k)=i∈I0⋃Uiであり、(Ui)i∈I0はUの高々可算部分被覆である。開被覆Uは任意であったから、Xは Lindelöf である。▨
定理 3.2. ZF において次は同値である。
- 可算選択公理が成り立つ。
- 位相空間Xの開被覆Uが、添字集合が高々可算であるXの被覆による非選択的細分をもつならば、Uは高々可算部分被覆をもつ。
- 位相空間Xの開被覆(Ui)i∈Iについて、集合{Ui∣i∈I}の高々可算な部分集合VがX=⋃Vを満たすならば、(Ui)i∈Iは高々可算部分被覆をもつ。
証明.(1)⇒(2)を示す。U=(Ui)i∈Iを位相空間Xの開被覆とし、添字集合Kが高々可算であるXの被覆(Bk)k∈KがUの非選択的細分であるとする。可算選択公理と命題 2.4により(Bk)k∈KはUの細分であるから、細分射f:K→Iをとると各k∈KについてBk⊆Uf(k)である。I0=f(K)とおくと、§E1.18 補題 3.5によりI0は高々可算であり、
X=k∈K⋃Bk⊆k∈K⋃Uf(k)=i∈I0⋃Uiが成り立つ。したがって(Ui)i∈I0はUの高々可算部分被覆である。
(2)⇒(3)を示す。(Ui)i∈Iを位相空間Xの開被覆とし、{Ui∣i∈I}の高々可算な部分集合VがX=⋃Vを満たすとする。Vをそれ自身で添字づけた族(V)V∈Vは、添字集合が高々可算であるXの被覆である。各V∈Vは{Ui∣i∈I}に属するからV=Uiを満たすi∈Iが存在し、このiについてV⊆Uiである。ゆえに(V)V∈Vは(Ui)i∈Iの非選択的細分であり、(2)により(Ui)i∈Iは高々可算部分被覆をもつ。
(3)⇒(1)を示す。(An)n∈N≥0を空でない集合からなる族とする。N≥0に離散位相を入れ、
I={(n,a)∣n∈N≥0, a∈An}とおいて、(n,a)∈Iに対してU(n,a)={n}と定める。n∈N≥0に対してAn=∅であるからa∈Anをとることができ、(n,a)∈Iかつn∈U(n,a)である。ゆえに(Ui)i∈IはN≥0の開被覆である。また{Ui∣i∈I}={{n}∣n∈N≥0}であり、この集合はn↦{n}によるN≥0の像であるから§E1.18 補題 3.5により高々可算であって、その合併はN≥0に等しい。よって(3)により、高々可算な部分集合I0⊆Iで(Ui)i∈I0がN≥0の被覆となるものが存在する。
n∈N≥0をとるとn∈Uiを満たすi∈I0が存在し、i=(m,a)と書けばUi={m}かつn∈{m}であるからm=nである。すなわち、各n∈N≥0に対してI0∩({n}×An)=∅である。N≥0=∅であるからI0=∅であり、§E1.18 定理 3.3 (3)により全射u:N≥0→I0が存在する。n∈N≥0に対して、I0∩({n}×An)は空でなくuは全射であるから、集合{k∈N≥0∣u(k)∈{n}×An}は空でなく、その最小元k(n)をとることができる。u(k(n))∈{n}×Anであるから、u(k(n))の第二成分をg(n)と定めるとg(n)∈Anである。したがってgは族(An)n∈N≥0の選択関数であり、族は任意であったから、§E1.18 注意 6.2により可算選択公理が成り立つ。▨
補題 3.3. ZF において、Xを位相空間とする。一点集合の族({x})x∈XはXの被覆であり、Xの任意の開被覆の非選択的細分である。
証明.x∈Xに対してx∈{x}であるから、({x})x∈XはXの被覆である。U=(Ui)i∈IをXの開被覆とする。各x∈Xに対してx∈Uiを満たすi∈Iが存在し、このiについて{x}⊆Uiである。ゆえに({x})x∈XはUの非選択的細分である。▨
系 3.4. ZF において次は同値である。
- 可算選択公理が成り立つ。
- 位相空間Xの任意の開被覆が、添字集合が高々可算であるXの被覆による非選択的細分をもつならば、Xは Lindelöf である。
証明.(1)⇒(2)を示す。Xを位相空間とし、Xの任意の開被覆が、添字集合が高々可算であるXの被覆による非選択的細分をもつとする。UをXの開被覆とすると、仮定によりそのような非選択的細分が存在し、可算選択公理を仮定しているから、定理 3.2 (1)⇒(2)によりUは高々可算部分被覆をもつ。開被覆Uは任意であったから、Xは Lindelöf である。
(2)⇒(1)を示す。Xを可算離散空間とする。補題 3.3により、一点集合の族({x})x∈XはXの被覆であってXの任意の開被覆の非選択的細分であり、その添字集合Xは高々可算である。ゆえに(2)によりXは Lindelöf である。可算離散空間Xは任意であったから、§E2.21 補題 6.1 (2)⇒(3)により可算選択公理が成り立つ。▨
4 Baire の範疇定理と従属選択公理
補題 4.1.(X,d)を距離空間、UをXで稠密なXの開集合とする。x∈Xと実数r>0に対して、0<s≤r/2かつ
B(y,s)⊆B(x,r)∩Uを満たすy∈Xと実数sが存在する。
証明.§E2.2 補題 1.2によりB(x,r)は開集合であり、x∈B(x,r)であるから空でない。UはXで稠密であるから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりB(x,r)∩U=∅である。点y∈B(x,r)∩Uをとる。§E2.2 定理 1.3によりB(x,r)∩Uは開集合であるから、§E2.2 定義 1.1によりB(y,ρ)⊆B(x,r)∩Uを満たす実数ρ>0が存在する。s=min{ρ/2,r/2}とおけば0<s≤r/2かつs<ρであり、§E2.2 補題 2.5によりB(y,s)⊆B(y,ρ)⊆B(x,r)∩Uである。▨
命題 4.2. ZF において、従属選択公理を仮定すると、任意の完備距離空間は Baire 空間である。
証明は演習とする(問題 5.3)。
補題 4.3.Sを空でない集合とする。相異なるx,y∈SN≥0に対してxn=ynを満たす最小のn∈N≥0をn(x,y)と書き、x,y∈SN≥0に対して
ρ(x,y)={02−n(x,y)(x=y),(x=y)と定める。ZF において次が成り立つ。
- ρはSN≥0の上の距離である。
- m∈N≥0とx,y∈SN≥0について、ρ(x,y)<2−mであることと、i≤mを満たすすべてのi∈N≥0についてxi=yiであることとは同値である。
- 距離空間(SN≥0,ρ)は完備である。
証明.(1)の証明は演習とする(問題 5.4)。
(2)を示す。i≤mを満たすすべてのiについてxi=yiであるとする。x=yならばρ(x,y)=0<2−mである。x=yならば、i≤mを満たすiについてxi=yiであることからn(x,y)≥m+1であり、ρ(x,y)=2−n(x,y)≤2−(m+1)<2−mである。逆にρ(x,y)<2−mとする。x=yならばi≤mを満たすすべてのiについてxi=yiである。x=yならば2−n(x,y)<2−mからn(x,y)>mであり、n(x,y)の最小性によりi≤mを満たすすべてのiについてxi=yiである。
(3)を示す。(x(k))k≥1を(SN≥0,ρ)の Cauchy 列とする。m∈N≥0に対して、集合
Tm={M≥1∣k,k′≥M を満たすすべての k,k′ について ρ(x(k),x(k′))<2−m}は§E2.5 定義 1.1により空でないから、その最小元をMmとおく。2−(m+1)<2−mであるからTm+1⊆Tmであり、最小元をとるとMm≤Mm+1である。
xm=xm(Mm)と定めてx=(xm)m∈N≥0∈SN≥0とおく。i≤mとするとMi≤Mmであり、Mm,Mi≥Miであるからρ(x(Mm),x(Mi))<2−iであって、(2)によりxi(Mm)=xi(Mi)=xiである。ゆえにk≥Mmならば、k,Mm≥Mmからρ(x(k),x(Mm))<2−mであり、(2)によりi≤mを満たすすべてのiについてxi(k)=xi(Mm)=xiである。ふたたび(2)によりρ(x(k),x)<2−mである。
実数ε>0に対して2−m≤εを満たすm∈N≥0をとると、k≥Mmについてρ(x(k),x)<εである。したがって(x(k))k≥1はxに収束し、(SN≥0,ρ)は完備である。▨
証明.(1)⇒(2)を示す。従属選択公理を仮定すると、命題 4.2により、完備距離空間はすべて Baire 空間である。
(2)⇒(1)を示す。Sを空でない集合とし、R⊆S×Sを、任意のa∈Sに対してaRbを満たすb∈Sが存在するという条件を満たす二項関係とする。§E1.20 命題 4.5により、すべてのn∈N≥0についてxnRxn+1を満たすSの元の族(xn)n∈N≥0の存在を、SとRについて示せば従属選択公理が成り立つ。そこで、そのような族が存在しないと仮定する。
a∈SがaRaを満たすとすると、xn=a(n∈N≥0)で定まる族はすべてのn∈N≥0についてxnRxn+1を満たす。仮定によりそのような族は存在しないから、どのa∈SについてもaRaは成り立たない。
SN≥0に補題 4.3の距離ρを入れ、
X={u∈SN≥0∣すべての k∈N≥0 について uk+1=uk または ukRuk+1}とおく。u∈SN≥0∖Xとすると、uk+1=ukであってukRuk+1が成り立たないk∈N≥0が存在する。ρ(v,u)<2−(k+1)を満たすv∈SN≥0は、補題 4.3 (2)によりi≤k+1を満たすすべてのiについてvi=uiを満たすから、vk+1=vkであってvkRvk+1が成り立たず、v∈/Xである。ゆえにSN≥0∖Xの各点はその点を中心とする開球をSN≥0∖Xの中にもち、§E2.2 定義 1.1によりSN≥0∖Xは開集合であって、XはSN≥0の閉集合である。S=∅であるからa∈Sをとることができ、uk=a(k∈N≥0)で定まるuはXに属するからX=∅である。補題 4.3 (3)と§E2.5 定理 3.2により、ρの制限を入れたXは完備距離空間である。
n≥1に対して
Dn={u∈X∣k1<k2<⋯<kn かつ ukj=ukj+1 (1≤j≤n) を満たす k1,…,kn∈N≥0 が存在する}とおく。u∈Dnとし、k1<⋯<knをこの条件を満たす番号としてm=kn+1とおく。v∈Xがρ(v,u)<2−mを満たすならば、補題 4.3 (2)によりi≤mを満たすすべてのiについてvi=uiであり、各jについてkj<kj+1≤mであるからvkj=ukj=ukj+1=vkj+1である。ゆえにv∈Dnであり、§E2.2 定義 1.1によりDnはXの開集合である。
z∈Sとn∈N≥0に対して、写像s:{j∈N≥0∣j≤n}→Sであってs(0)=zを満たし、j<nを満たすすべてのjについてs(j)Rs(j+1)を満たすものが存在する。実際、n=0のときはs(0)=zで定まる写像がこの条件を満たす。nについて条件を満たす写像sが存在するとすると、Rについての仮定によりs(n)Rwを満たすw∈Sが存在するから、j≤nについてs′(j)=s(j)、s′(n+1)=wと定めた写像s′がn+1について条件を満たす。
n≥1を固定し、OをXの空でない開集合としてu∈Oをとる。§E2.2 定義 1.1により、ρ(v,u)<εを満たすv∈XがすべてOに属するような実数ε>0が存在する。2−m≤εを満たすm∈N≥0をとり、s(0)=umを満たし、j<nを満たすすべてのjについてs(j)Rs(j+1)を満たす写像s:{j∈N≥0∣j≤n}→Sをとる。v∈SN≥0を、i≤mについてvi=ui、0≤j≤nについてvm+j=s(j)、i≥m+nについてvi=s(n)と定める。i=mではum=s(0)であり、i=m+nでは二つの場合の値がともにs(n)であるから、vは矛盾なく定まる。
k<mのときはvk=ukかつvk+1=uk+1でありu∈Xであるから、vk+1=vkまたはvkRvk+1が成り立つ。m≤k<m+nのときはvk=s(k−m)かつvk+1=s(k−m+1)であるからvkRvk+1である。k≥m+nのときはvk=vk+1=s(n)である。ゆえにv∈Xである。1≤j≤nに対してkj=m+j−1とおくとk1<k2<⋯<knであり、vkj=s(j−1)かつvkj+1=s(j)であってs(j−1)Rs(j)であるから、どのa∈SについてもaRaが成り立たないことによりvkj=vkj+1である。ゆえにv∈Dnである。さらにi≤mについてvi=uiであるから、補題 4.3 (2)によりρ(v,u)<2−m≤εであり、v∈Oである。したがってOはDnと交わり、Oは任意であったから§E2.11 命題 2.9 (2)⇒(1)によりDnはXで稠密である。
Xは空でない完備距離空間であるから、(2)によりXは Baire 空間である。(Dn)n≥1はXの開集合の列であってすべての項がXで稠密であるから、§E2.28 定義 1.2により⋂n≥1DnはXで稠密である。X自身はXの空でない開集合であるから、§E2.11 命題 2.9 (1)⇒(2)により⋂n≥1Dnは空でない。
w∈⋂n≥1Dnをとり、K={k∈N≥0∣wk=wk+1}とおく。N∈N≥0に対して、w∈DN+2であるからk1<k2<⋯<kN+2を満たすKの元がとれ、狭義単調増加であることからkN+2≥k1+N+1≥N+1>Nである。ゆえにKは上に有界でなく、とくに空でない。l0=minKとおき、i∈N≥0に対してli+1=min{k∈K∣k>li}と定めると、Kが上に有界でないことからこの帰納的な定め方はすべてのiで意味をもち、li<li+1である。
i∈N≥0を固定する。li<k<li+1を満たすkはKに属さないからwk=wk+1であり、li+1≤j≤li+1を満たすjについてwj=wli+1であることがjについての帰納法で従う。とくにwli+1=wli+1である。またli∈Kであるからwli=wli+1であり、w∈XであるからwliRwli+1である。ゆえにwliRwli+1である。
xi=wli(i∈N≥0)とおくと、(xi)i∈N≥0はすべてのi∈N≥0についてxiRxi+1を満たすSの元の族である。一方、はじめの仮定により、すべてのn∈N≥0についてxnRxn+1を満たすSの元の族は存在しない。この二つは両立しない。したがって、そのような族は存在する。SとRは任意であったから、§E1.20 命題 4.5により従属選択公理が成り立つ。▨
5 演習
解答.
(X,O)を Lindelöf な位相空間とし、U⊆OがX=⋃Uを満たすとする。Uをそれ自身で添字づけた族(U)U∈UはXの開被覆である。Xは Lindelöf であるから、高々可算な部分集合V⊆Uで(U)U∈VがXの被覆となるものが存在する。この族の値の合併は⋃VであるからX=⋃Vである。▨
解答.
可算選択公理を仮定し、A=(Ai)i∈Iを集合Xの部分集合族、B=(Bk)k∈Kを添字集合Kが高々可算であるXの部分集合族とし、BがAの非選択的細分であるとする。P={(k,i)∈K×I∣Bk⊆Ai}とおき、p:P→Kを第一成分への射影とする。非選択的細分の定義により、各k∈Kに対してBk⊆Aiを満たすi∈Iが存在するからpは全射であり、Kは高々可算であるから、§E1.20 補題 4.8によりp∘s=idKを満たす写像s:K→Pが存在する。f(k)をs(k)の第二成分と定めると、写像f:K→Iは各k∈KについてBk⊆Af(k)を満たすから細分射であり、BはAの細分である。
逆に、後者の主張を仮定し、(An)n∈N≥0を空でない集合からなる族とする。補題 2.1をΛ=N≥0として適用してJ、X、Cをとり、B0=({(n,0)})n∈N≥0とおくと、その添字集合N≥0は高々可算である。n∈N≥0に対してAn=∅であるからa∈Anをとることができ、(n,a)∈Jかつ{(n,0)}⊆C(n,a)であるから、B0はCの非選択的細分である。ゆえに仮定により細分射f:N≥0→Jが存在し、各n∈N≥0について{(n,0)}⊆Cf(n)である。補題 2.1 (3)によりf(n)の第一成分はnであり、第二成分はAnに属する。f(n)の第二成分をg(n)と定めるとg(n)∈Anであり、gは族(An)n∈N≥0の選択関数である。族は任意であったから、§E1.18 注意 6.2により可算選択公理が成り立つ。▨
解答.
従属選択公理を仮定する。(X,d)を完備な距離空間、(Un)n≥1をXで稠密なXの開集合からなる列とし、G=⋂n≥1Unとおく。WをXの空でない開集合とし、x0∈Wをとる。§E2.2 定義 1.1によりB(x0,r0)⊆Wを満たす実数r0>0が存在する。
S=N≥0×X×R>0とおき、S上の関係Rを
((n,x,r),(n′,y,s))∈R⟺n′=n+1, 0<s≤2r, B(y,s)⊆B(x,r)∩Un+1によって定める。補題 4.1により、Sの任意の元はRに関する後続元をもつ。そこで§E1.20 定義 4.2の従属選択公理を初期項(0,x0,r0)へ適用すると、すべてのn≥0について
0<rn+1≤2rn,B(xn+1,rn+1)⊆B(xn,rn)∩Un+1を満たす列((n,xn,rn))n≥0を得る。この構成からrn≤r0/2nが帰納的に従う。また§E2.2 補題 2.5によりB(xn,rn)⊆B(xn,rn)であるから
B(xn+1,rn+1)⊆B(xn,rn)⊆B(xn,rn)であり、閉球の列(B(xn,rn))n≥0は包含関係について減少する。
m≥nならば、この減少性からxm∈B(xn,rn)であり、d(xm,xn)≤rn≤r0/2nである。§B1.7 定理 2.1により(1/2)n→0であるから、実数ε>0に対してr0/2N<εを満たすNをとると、m,n≥Nの場合には添字の大小に応じて同じ評価を適用してd(xm,xn)<εを得る。ゆえに(xn)n≥0は Cauchy 列である。
Xの完備性により、あるx∗∈Xに対してxn→x∗となる。n≥0を固定すると、k≥nについてxk∈B(xn,rn)であり、§E2.2 補題 2.5によりB(xn,rn)は閉集合であるから、閉集合が収束列の極限を含むという§E2.3 定理 3.1の含意によりx∗∈B(xn,rn)である。n≥1についてB(xn,rn)⊆Unであるからx∗∈Gであり、B(x1,r1)⊆B(x0,r0)であるからx∗∈B(x0,r0)⊆Wである。ゆえにG∩W=∅である。
Wは任意の空でない開集合であったから、§E2.11 命題 2.9 (2)によりGはXで稠密であり、Xは Baire 空間である。
この構成で用いた選択原理は§E1.20 定義 4.2の従属選択公理だけであり、選択公理は用いていない。▨
解答.
ρの値は非負であり、ρ(x,y)=0であることとx=yであることとは定め方から同値である。相異なるx,y∈SN≥0に対してxn=ynであることとyn=xnであることとは同値であるからn(x,y)=n(y,x)であり、ρ(x,y)=ρ(y,x)である。
x,y,z∈SN≥0に対してρ(x,z)≤max{ρ(x,y),ρ(y,z)}が成り立つ。実際、x=zならば左辺は0であり、右辺は非負であるから不等式が成り立つ。x=zとしn=n(x,z)とおくとxn=znであるから、xn=ynまたはyn=znが成り立つ。xn=ynならばx=yであり、n(x,y)の最小性によりn(x,y)≤nであるからρ(x,y)=2−n(x,y)≥2−n=ρ(x,z)である。yn=znならば、同じ議論によりρ(y,z)≥ρ(x,z)である。いずれの場合も右辺はρ(x,z)以上である。
ρの値は非負であるからmax{ρ(x,y),ρ(y,z)}≤ρ(x,y)+ρ(y,z)であり、ρ(x,z)≤ρ(x,y)+ρ(y,z)が成り立つ。したがってρはSN≥0の上の距離である。▨
問題 5.5.Λを集合、(Aλ)λ∈Λを空でない集合からなる族とし、補題 2.1のJを用いて、台集合をY=Λ∪J、C′=(C(λ,a)′)(λ,a)∈JをC(λ,a)′={λ,(λ,a)}、B′=(Bλ′)λ∈ΛをBλ′={λ}で定める。B′がC′の非選択的細分であることを示せ。さらに、細分射f:Λ→Jに対してλ↦f(λ)の第二成分が(Aλ)λ∈Λの選択関数を与えるとは限らないことを、例を挙げて示せ。
解答.
λ∈Λに対してAλ=∅であるからa∈Aλをとることができ、(λ,a)∈JかつBλ′={λ}⊆{λ,(λ,a)}=C(λ,a)′である。ゆえにB′はC′の非選択的細分である。
Λ={0,(0,1)}とし、A0={1}、A(0,1)={2}とおく。このときJ={(0,1),((0,1),2)}である。f(0)=(0,1)、f((0,1))=(0,1)と定めると、B0′={0}⊆{0,(0,1)}=C(0,1)′であり、B(0,1)′={(0,1)}⊆{0,(0,1)}=C(0,1)′であるから、fは細分射である。ところがf((0,1))=(0,1)の第二成分は1であり、A(0,1)={2}であるから1∈/A(0,1)である。したがってλ↦f(λ)の第二成分は選択関数を与えない。
補題 2.1では、Λの元に0を付けた対とJの元に1を付けた対を台集合の元にとっているので、(λ,0)∈C(μ,a)を満たす(μ,a)∈Jはつねにλ=μを満たす。▨
問題 5.6. ZF において、台集合が高々可算である位相空間がすべて Lindelöf であることと可算選択公理とが同値であることを示せ。
解答.
可算選択公理を仮定し、Xを台集合が高々可算である位相空間とする。補題 3.3により、一点集合の族({x})x∈XはXの被覆であってXの任意の開被覆の非選択的細分であり、その添字集合Xは高々可算である。ゆえに系 3.4 (1)⇒(2)によりXは Lindelöf である。
逆に、台集合が高々可算である位相空間がすべて Lindelöf であると仮定する。可算離散空間の台集合は高々可算であるから、可算離散空間はすべて Lindelöf である。ゆえに§E2.21 補題 6.1 (2)⇒(3)により可算選択公理が成り立つ。▨