§E2.38コンパクト生成空間

最終更新

位相空間の閉集合や連続写像を調べる際には、コンパクト部分集合上の振る舞いを利用することが多い。ところが、一般の位相空間では、ある部分集合とすべてのコンパクト部分集合との交わりが閉であっても、その部分集合自体が閉であるとは限らない。

閉性をコンパクト部分集合上で判定することができる空間をコンパクト生成空間という。コンパクト生成空間は、位相的構成と写像空間を扱ううえで基本的なクラスの一つである。たとえば、通常の位相をもつ Euclid 空間は局所コンパクトであるため、コンパクト生成空間である。

コンパクト生成空間は第一可算空間と局所コンパクト空間を含み、商による構成の後にも閉性と連続性をコンパクトな部分から判定する枠組みを与える。Hausdorff 空間の範囲では、この枠組みに合わせて積と写像空間の位相を定めることにより、連続写像の随伴関係を位相空間の同相として表すことができる。

本記事では、コンパクト生成空間の定義を導入し、その基本的な性質と位相的構成における役割を解説する。

1 閉集合の判定

定義 1.1. 位相空間XXの部分集合AAが k 閉 (k-closed) であるとは、XXの任意のコンパクト部分集合KKに対してA∩KA\cap KがKKの相対位相で閉であることをいう。すべての k 閉集合がXXで閉であるとき、XXを コンパクト生成空間 (compactly generated space)、または k 空間 (k-space) という。

補題 1.2. 位相空間XXにおいてxn→xx_n\to xならば、{x}∪{xn:n∈N≥1}\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}はコンパクトである。

証明.K={x}∪{xn:n∈N≥1}K=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}の開被覆からxxを含む一つの開集合を取る。KK内でもxn→xx_n\to xであるから、この開集合は有限個の項を除くすべてのxnx_nを含む。残る有限個の点を覆う被覆要素を加えると、KKの有限部分被覆を得る。▨

命題 1.3. 第一可算空間と局所コンパクト空間はコンパクト生成空間である。

証明. 第一可算空間XXの k 閉集合AAとx∈cl⁡X(A)x\in\tpcl[X]{A}を取る。§E2.13 定理 7.4により、AA内の点列でxn→xx_n\to xとなるものが存在する。補題 1.2によりK={x}∪{xn:n∈N≥1}K=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}はコンパクトである。A∩KA\cap KはKKで閉であり、KK内でもxn→xx_n\to xであるからx∈Ax\in Aである。したがってAAは閉である。

局所コンパクト空間XXの k 閉集合AAとx∈X∖Ax\in X\setminus Aを取る。xxのコンパクト近傍KKに対して、K∖AK\setminus AはKKで開であるから、XXの開集合VVを用いてK∖A=K∩VK\setminus A=K\cap Vと書くことができる。x∈int⁡X(K)∩V⊆X∖Ax\in\tpint[X]{K}\cap V\subseteq X\setminus AであるからX∖AX\setminus Aは開である。▨

注意 1.4. より詳細な主張に関しては§E2.39 命題 1.4を参照せよ。

2 k 化と連続性

定義 2.1 (k 化). 位相空間XXの台集合上に、XXのすべてのコンパクト部分集合KKからの包含写像K→XK\to Xによる終位相を入れた空間を、XXの k 化 (k-ification) といい、kXkXと書く。kXkXの閉集合はXXの k 閉集合である。

命題 2.2. 任意の位相空間XXに対して、kXkXの位相はXXの位相より細かい。XXとkXkXのコンパクト部分集合は一致し、各コンパクト部分集合上の相対位相も一致する。さらにk(kX)=kXk(kX)=kXであり、kXkXはコンパクト生成空間である。XXがコンパクト生成であることとkX=XkX=Xは同値である。

証明.§E2.12 命題 3.9 (2)を包含写像の族へ適用すると、恒等写像ϵX ⁣:kX→X\epsilon_X\colon kX\to Xは連続である。XXのコンパクト部分集合KKについて、構造写像K→kXK\to kXも連続であるから、KK上の相対位相はXXとkXkXで一致する。特にKKはkXkXでもコンパクトである。逆にkXkXのコンパクト部分集合は、連続写像ϵX\epsilon_Xによる像としてXXでもコンパクトである。

コンパクト部分集合と各相対位相が一致するので、k(kX)k(kX)を定める検査族はkXkXを定めた検査族と同じであり、k(kX)=kXk(kX)=kXである。最後の同値は閉集合の記述から従い、kXkXに適用するとkXkXのコンパクト生成性を得る。▨

補題 2.3. コンパクト生成性は、任意の位相的直和および商像によって保たれる。

証明.q ⁣:X→Yq\colon X\to Yをコンパクト生成空間XXからの商写像とし、A⊆YA\subseteq Yを k 閉とする。XXのコンパクト部分集合KKに対して、q(K)q(K)はコンパクトであり、

q−1(A)∩K=(q∣K)−1(A∩q(K))q^{-1}(A)\cap K=(q|_K)^{-1}(A\cap q(K))

はKKで閉である。したがってq−1(A)q^{-1}(A)は k 閉、ゆえに閉であり、商性からAAも閉である。

コンパクト生成空間の直和X=∐i∈IXiX=\coprod_{i\in I}X_iの k 閉集合AAを取る。各成分の包含は連続であるから、AAの各成分での逆像は k 閉、ゆえに閉である。§E2.12 命題 7.2 (1)によりAAは閉である。▨

定理 2.4. 位相空間XXについて、次の条件は同値である。

  1. XXはコンパクト生成空間である。
  2. XXのすべてのコンパクト部分集合を添字とする自然な全射qK ⁣:∐K⊆X, K はコンパクトK⟶X,(K,x)⟼xq_K\colon\coprod_{K\subseteq X,\ K\text{ はコンパクト}}K\longrightarrow X,\qquad (K,x)\longmapsto xは商写像である。
  3. XXは局所コンパクト空間の商像である。
  4. 任意の位相空間YYと写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yに対して、ffが連続であることと、XXの任意のコンパクト部分集合KKに対してf∣K ⁣:K→Yf|_K\colon K\to Yが連続であることは同値である。

XXが Hausdorff ならば、これらは「XXが局所コンパクト Hausdorff 空間の商像である」という条件とも同値である。

証明.§E2.12 命題 7.2 (1)により、qK−1(A)q_K^{-1}(A)が閉であることはAAが k 閉であることと同値である。一点集合がコンパクトであることからqKq_Kは全射であり、§E2.12 命題 7.2 (3)により連続である。したがって(1)と(2)は同値である。

qKq_Kの始域では各成分が開なコンパクト近傍であるから、始域は局所コンパクトである。XXが Hausdorff ならば各成分も Hausdorff であり、異なる成分は開集合で分離されるから、始域も Hausdorff である。これにより(2)から(3)と Hausdorff 版を得る。逆方向は命題 1.3と補題 2.3から従う。

kXkXの終位相の普遍性§E2.12 定理 3.10により、kX→YkX\to Yの連続性は各KKへの制限で判定される。X=kXX=kXならば(4)が成り立つ。逆にこの判定を恒等集合写像X→kXX\to kXに適用する。各K→kXK\to kXは構造写像として連続であるからX→kXX\to kXは連続となり、命題 2.2によりX=kXX=kXである。▨

系 2.5. コンパクト生成空間TTから位相空間XXへの任意の連続写像f ⁣:T→Xf\colon T\to Xは、連続写像f~ ⁣:T→kX\widetilde f\colon T\to kXと恒等写像ϵX ⁣:kX→X\epsilon_X\colon kX\to Xにより、一意にf=ϵX∘f~f=\epsilon_X\circ\widetilde fと分解される。

証明.TTのコンパクト部分集合AAを取る。f(A)f(A)はXXのコンパクト部分集合であり、A→f(A)→kXA\to f(A)\to kXは連続である。定理 2.4 (4)により、ffと同じ集合写像であるf~ ⁣:T→kX\widetilde f\colon T\to kXは連続である。ϵX\epsilon_Xは恒等集合写像であるから、因子化は一意である。▨

3 部分空間と積

命題 3.1.XXをコンパクト生成空間とする。

  1. XXの閉部分空間はコンパクト生成である。
  2. XXが Hausdorff ならば、XXの開部分空間もコンパクト生成である。

証明.F⊆XF\subseteq Xを閉集合とし、A⊆FA\subseteq FをFFで k 閉とする。XXのコンパクト部分集合KKに対して、F∩KF\cap Kはコンパクトであり、A∩K=A∩(F∩K)A\cap K=A\cap(F\cap K)はF∩KF\cap Kで閉、したがってKKで閉である。XXのコンパクト生成性によりAAはXXで閉であり、FFでも閉である。

XXを Hausdorff、U⊆XU\subseteq Xを開集合とし、A⊆UA\subseteq UをUUで k 閉とする。XXのコンパクト部分集合KKに対して、K∩UK\cap Uはコンパクト Hausdorff 空間KKの開部分空間であり、§E2.24 系 1.8により局所コンパクトである。A∩KA\cap KはK∩UK\cap Uで k 閉であるから、命題 1.3によりK∩UK\cap Uで閉である。したがって(U∖A)∩K(U\setminus A)\cap KはKKで開である。XXのコンパクト生成性によりU∖AU\setminus AはXXで開となり、AAはUUで閉である。▨

定理 3.2.XXをコンパクト生成空間、LLを局所コンパクト Hausdorff 空間とする。このときX×LX\times Lはコンパクト生成空間である。

証明.定理 2.4 (2)の商写像qK ⁣:∐K→Xq_K\colon\coprod K\to Xをとる。局所コンパクト Hausdorff 空間LLは§E2.24 定理 1.6により正則であるから、§E2.37 定理 5.2 (2)によりqK×id⁡Lq_K\times\id_Lは商写像である。始域は各K×LK\times Lを開成分とする位相的直和である。実際、各成分の部分空間位相は積位相であり、開成分による被覆の開集合は成分ごとに判定される。各K×LK\times Lは§E2.24 系 1.13 (2)により局所コンパクトであるから、その直和も局所コンパクトである。定理 2.4 (3)によりX×LX\times Lはコンパクト生成である。▨

4 コンパクト閉包の反復

定義 4.1. 位相空間XXの部分集合AAに対して

kcl⁡X(A)=⋃K⊆X, K はコンパクトcl⁡K(A∩K)\operatorname{kcl}_X(A)=\bigcup_{K\subseteq X,\ K\text{ はコンパクト}}\tpcl[K]{A\cap K}

をAAの コンパクト閉包 (compact closure) という。その反復を

kcl⁡X0(A)=A,kcl⁡Xα+1(A)=kcl⁡X(kcl⁡Xα(A)),kcl⁡Xλ(A)=⋃α<λkcl⁡Xα(A)\operatorname{kcl}_X^0(A)=A,\qquad \operatorname{kcl}_X^{\alpha+1}(A)=\operatorname{kcl}_X(\operatorname{kcl}_X^\alpha(A)),\qquad \operatorname{kcl}_X^\lambda(A)=\bigcup_{\alpha<\lambda}\operatorname{kcl}_X^\alpha(A)

と定める。最後の式は零でない極限順序数λ\lambdaに対するものである。すべてのA⊆XA\subseteq Xについてkcl⁡Xα(A)=cl⁡X(A)\operatorname{kcl}_X^\alpha(A)=\tpcl[X]{A}となる順序数が存在するとき、その最小のものをXXの コンパクト順序 (compact order) という。

補題 4.2. 位相空間XXの部分集合A⊆BA\subseteq Bに対して

A⊆kcl⁡X(A)⊆cl⁡X(A),kcl⁡X(A)⊆kcl⁡X(B)A\subseteq\operatorname{kcl}_X(A)\subseteq\tpcl[X]{A},\qquad \operatorname{kcl}_X(A)\subseteq\operatorname{kcl}_X(B)

が成り立つ。AAが k 閉であることとkcl⁡X(A)=A\operatorname{kcl}_X(A)=Aは同値である。また、コンパクト閉包の反復は増大し、すべての順序数α\alphaについてkcl⁡Xα(A)⊆cl⁡X(A)\operatorname{kcl}_X^\alpha(A)\subseteq\tpcl[X]{A}が成り立つ。

証明. 各a∈Aa\in Aに対してコンパクト集合{a}\{a\}を取ると、a∈kcl⁡X(A)a\in\operatorname{kcl}_X(A)である。各包含写像K→XK\to Xの連続性からcl⁡K(A∩K)⊆cl⁡X(A)\tpcl[K]{A\cap K}\subseteq\tpcl[X]{A}であり、各部分空間での閉包の単調性からコンパクト閉包も単調である。

AAが k 閉ならば各cl⁡K(A∩K)=A∩K\tpcl[K]{A\cap K}=A\cap Kであるからkcl⁡X(A)=A\operatorname{kcl}_X(A)=Aである。逆にkcl⁡X(A)=A\operatorname{kcl}_X(A)=Aならば、各コンパクト部分集合KKについてcl⁡K(A∩K)⊆A∩K\tpcl[K]{A\cap K}\subseteq A\cap Kであり、AAは k 閉である。

包含と単調性を超限帰納法で反復すると、反復の増大性を得る。閉集合cl⁡X(A)\tpcl[X]{A}は k 閉であるから固定点となり、同じ帰納法で各段階がcl⁡X(A)\tpcl[X]{A}に含まれる。▨

定理 4.3. 位相空間XXに対してθ=ℏ(P(X))\theta=\hbar(\mathcal P(X))をP(X)\mathcal P(X)の Hartogs 数とする。すべてのA⊆XA\subseteq Xについて

kcl⁡Xθ(A)=cl⁡kX(A)\operatorname{kcl}_X^\theta(A)=\tpcl[kX]{A}

であり、この集合はAAを含む最小の k 閉集合である。XXのコンパクト順序が存在することとXXがコンパクト生成であることは同値である。

証明.A⊆XA\subseteq Xに対してAα=kcl⁡Xα(A)A_\alpha=\operatorname{kcl}_X^\alpha(A)、α≤θ\alpha\leq\thetaとおく。§E1.17 系 2.4と補題 4.2により、この族は定まり、増大する。すべてのα<θ\alpha<\thetaでAα⊊Aα+1A_\alpha\subsetneq A_{\alpha+1}ならば、α↦Aα\alpha\mapsto A_\alphaはθ\thetaからP(X)\mathcal P(X)への単射となるが、これは§E1.21 定理 3.1 (3)に反する。したがってあるα<θ\alpha<\thetaでAα=Aα+1A_\alpha=A_{\alpha+1}となり、それ以降の反復もAαA_\alphaに等しい。特にAθA_\thetaはコンパクト閉包の固定点であり、k 閉である。

AAを含む k 閉集合FFに対して、超限帰納法によりすべてのAαA_\alphaがFFに含まれる。後続段階ではkcl⁡X(F)=F\operatorname{kcl}_X(F)=Fと単調性を用い、極限段階では和集合を取ればよい。ゆえにAθA_\thetaはAAを含む最小の k 閉集合である。kXkXの閉集合はXXの k 閉集合であるから、Aθ=cl⁡kX(A)A_\theta=\tpcl[kX]{A}を得る。

XXがコンパクト生成ならば命題 2.2によりkX=XkX=Xであり、すべての部分集合が同じ段階θ\thetaで通常の閉包へ達する。したがってコンパクト順序が存在する。逆にコンパクト順序が存在するならば、k 閉集合の各反復は元の集合に等しいから、その集合は通常の閉包にも等しい。ゆえにXXはコンパクト生成である。▨

例 4.4. コンパクト空間のコンパクト順序は11以下である。

証明. コンパクト空間XXの部分集合AAに対し、コンパクト閉包の定義でK=XK=Xを取るとcl⁡X(A)⊆kcl⁡X(A)\tpcl[X]{A}\subseteq\operatorname{kcl}_X(A)である。逆の包含は補題 4.2による。▨

5 可算個のコンパクト部分集合による判定

定義 5.1. 位相空間XXが kωk_\omega空間 (k-omega space) であるとは、コンパクト部分集合の増大列(Kn)n∈N≥1(K_n)_{n\in\NN}が存在してX=⋃n∈N≥1KnX=\bigcup_{n\in\NN}K_nとなり、任意のA⊆XA\subseteq Xについて

A が X で閉⟺すべての n∈N≥1 に対して A∩Kn が Kn で閉A\text{ が }X\text{ で閉} \quad\Longleftrightarrow\quad \text{すべての }n\in\NN\text{ に対して }A\cap K_n\text{ が }K_n\text{ で閉}

が成り立つことをいう。この定義は可算なコンパクト生成族の存在を要求するものであり、コンパクト閉包をω\omega回反復すると通常の閉包になるという条件とは異なる。

補題 5.2. Hausdorff なkωk_\omega空間XXに対し、定義の閉集合判定を満たすコンパクト部分集合の増大列(Kn)(K_n)をとる。このときXXの任意のコンパクト部分集合CCは、あるKnK_nに含まれる。

証明.CCがどのKnK_nにも含まれないと仮定し、各nnに対してxn∈C∖Knx_n\in C\setminus K_nをとる。D={xn:n∈N≥1}D=\{x_n:n\in\NN\}とおく。固定したjjに対して、n≥jn\geq jならばxn∉Kjx_n\notin K_jであるから、D∩KjD\cap K_jは有限である。DDが有限ならばX=⋃jKjX=\bigcup_jK_jによりD⊆KjD\subseteq K_jとなるjjが存在し、xj∉Kjx_j\notin K_jに矛盾する。したがってDDは無限である。

任意のE⊆DE\subseteq Dと任意のjjについて、E∩KjE\cap K_jは有限であり、Hausdorff 性によりKjK_jで閉である。kωk_\omegaの閉集合判定によってEEはXXで閉である。ゆえにDDはCCの閉部分空間であり、すべての部分集合が閉である離散空間でもある。DDはコンパクトな無限離散空間となり、矛盾する。▨

定理 5.3. Hausdorff 空間XXについて、次の条件は同値である。

  1. XXはkωk_\omega空間である。
  2. XXはコンパクト生成空間であり、コンパクト部分集合の増大列(Kn)n∈N≥1(K_n)_{n\in\NN}で、XXの任意のコンパクト部分集合をある項に含むものが存在する。

さらに、XXがコンパクト生成であるならば、XXの各コンパクト部分集合をいずれかの項に含む任意のコンパクト部分集合の増大列(Kn)n∈N≥1(K_n)_{n\in\NN}は、kωk_\omegaの定義の閉集合判定を与える。

証明.XXがkωk_\omegaであるとし、閉集合判定を与える増大列(Kn)(K_n)をとる。k 閉集合A⊆XA\subseteq Xは各KnK_nと閉集合で交わるから、kωk_\omegaの判定によって閉である。したがってXXはコンパクト生成であり、補題 5.2により同じ列がすべてのコンパクト部分集合を吸収する。

(2)を仮定する。一点集合の吸収性によりX=⋃nKnX=\bigcup_nK_nである。A∩KnA\cap K_nが各KnK_nで閉であるとし、C⊆XC\subseteq Xをコンパクトとする。C⊆KnC\subseteq K_nとなるnnをとればA∩CA\cap CはCCで閉である。したがってAAは k 閉であり、コンパクト生成性により閉である。逆の閉性は部分空間への制限から従う。▨

系 5.4. 第一可算 Hausdorffkωk_\omega空間は局所コンパクトである。

証明. 定義の閉集合判定を満たすコンパクト増大列(Kn)(K_n)と点x∈Xx\in Xをとり、xxの減少する開近傍基(Un)(U_n)をとる。xxがコンパクト近傍をもたないならば、どのKnK_nもUnU_nを含まない。各nnについてxn∈Un∖Knx_n\in U_n\setminus K_nをとるとxn→xx_n\to xであり、補題 1.2によりC={x}∪{xn:n∈N≥1}C=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}はコンパクトである。補題 5.2によってC⊆KjC\subseteq K_jとなるjjが存在するが、xj∉Kjx_j\notin K_jに矛盾する。▨

例 5.5. すべてのkωk_\omega空間は σ-コンパクトであるが、通常の有理数空間Q\Qは σ-コンパクトなコンパクト生成空間であってkωk_\omega空間ではない。

証明.kωk_\omegaの定義のコンパクト増大列は、そのまま σ-コンパクト性を与える。Q\Qは§E2.25 例 1.4 (2)により σ-コンパクトであり、第一可算なので命題 1.3によりコンパクト生成である。Q\Qがkωk_\omegaならば系 5.4により局所コンパクトとなるが、これは§E2.24 例 1.14に反する。▨

6 k 化した積と写像空間

定義 6.1 (k 積). Hausdorff なコンパクト生成空間X,YX,Yに対して、積位相を k 化した空間

X×kY=k(X×Y)X\times_kY=k(X\times Y)

をX,YX,Yの k 積 (k-product) という。

命題 6.2. Hausdorff なコンパクト生成空間X,YX,Yに対して、X×kYX\times_kYも Hausdorff なコンパクト生成空間である。コンパクト生成空間TTからの集合写像h ⁣:T→X×kYh\colon T\to X\times_kYが連続であることと、その二つの座標写像が連続であることは同値である。 Hausdorff なコンパクト生成空間X,Y,ZX,Y,Zに対して、標準的な全単射

X×kY⟶Y×kX,(x,y)⟼(y,x),X\times_kY\longrightarrow Y\times_kX,\quad (x,y)\longmapsto(y,x),(X×kY)×kZ⟶X×k(Y×kZ),((x,y),z)⟼(x,(y,z))(X\times_kY)\times_kZ\longrightarrow X\times_k(Y\times_kZ),\quad ((x,y),z)\longmapsto(x,(y,z))

は同相写像である。

証明. 通常の積X×YX\times Yは Hausdorff であり、その位相を細かくしても異なる二点を分離する開集合は保たれる。命題 2.2によりX×kYX\times_kYはコンパクト生成である。hhが連続ならば、恒等写像X×kY→X×YX\times_kY\to X\times Yと射影を合成して、座標写像の連続性を得る。逆に二つの座標写像が連続ならば、積位相の普遍性によりh ⁣:T→X×Yh\colon T\to X\times Yは連続であり、系 2.5により k 積への写像としても連続である。

対称写像とその逆写像の各座標は射影であるから、座標判定により両写像は連続である。再結合写像についても、三つの座標は射影の合成であり、座標判定を二度適用すると連続である。逆向きの再結合写像も同じ三つの座標をもち、連続である。▨

定義 6.3 (k 化した写像空間). Hausdorff なコンパクト生成空間X,YX,Yに対して、連続写像全体C(X,Y)C(X,Y)にコンパクト開位相を入れた空間をCco(X,Y)C_{\mathrm{co}}(X,Y)と書き、

Ck(X,Y)=k(Cco(X,Y))C_k(X,Y)=k(C_{\mathrm{co}}(X,Y))

をXXからYYへの k 化した写像空間 (k-ified function space) という。Ck(X,Y)C_k(X,Y)は Hausdorff なコンパクト生成空間である。実際、異なる連続写像f,gf,gに対してf(x)≠g(x)f(x)\ne g(x)となるx∈Xx\in Xを取り、f(x),g(x)f(x),g(x)の互いに素な開近傍U,VU,Vを取ると、[{x},U][\{x\},U]と[{x},V][\{x\},V]はf,gf,gを分離する。したがってCco(X,Y)C_{\mathrm{co}}(X,Y)は Hausdorff であり、k 化した空間も Hausdorff である。コンパクト生成性は命題 2.2による。

定理 6.4. Hausdorff なコンパクト生成空間X,YX,Yに対して、評価写像

ev⁡ ⁣:Ck(X,Y)×kX⟶Y,(f,x)⟼f(x)\ev\colon C_k(X,Y)\times_kX\longrightarrow Y,\qquad (f,x)\longmapsto f(x)

は連続である。

証明. 通常の積Ck(X,Y)×XC_k(X,Y)\times Xのコンパクト部分集合BBを取り、第二射影像をL⊆XL\subseteq Xとする。LLはコンパクト Hausdorff 空間である。制限写像

rL ⁣:Cco(X,Y)⟶Cco(L,Y),f⟼f∣Lr_L\colon C_{\mathrm{co}}(X,Y)\longrightarrow C_{\mathrm{co}}(L,Y),\qquad f\longmapsto f|_L

は連続である。実際、コンパクト集合H⊆LH\subseteq Lと開集合U⊆YU\subseteq Yに対してHHはXXでもコンパクトであり、rL−1([H,U])=[H,U]r_L^{-1}([H,U])=[H,U]はCco(X,Y)C_{\mathrm{co}}(X,Y)で開である。

BB上の評価は、連続写像の合成

B⟶Cco(X,Y)×L→rL×id⁡LCco(L,Y)×L→ev⁡YB\longrightarrow C_{\mathrm{co}}(X,Y)\times L \xrightarrow{r_L\times\id_L}C_{\mathrm{co}}(L,Y)\times L \xrightarrow{\ev}Y

である。最初の矢印は恒等写像Ck(X,Y)→Cco(X,Y)C_k(X,Y)\to C_{\mathrm{co}}(X,Y)と射影から定まり、最後の矢印はLLが局所コンパクト Hausdorff であることと§E2.30 定理 4.2によって連続である。したがって評価はすべてのBB上で連続である。k 化の終位相の普遍性により、k(Ck(X,Y)×X)k(C_k(X,Y)\times X)上の評価は連続である。▨

定理 6.5.T,X,YT,X,Yを Hausdorff なコンパクト生成空間とする。集合写像F ⁣:T×X→YF\colon T\times X\to YがT×kXT\times_kX上で連続であることと、各切片x↦F(t,x)x\mapsto F(t,x)が連続であって、随伴写像

F^ ⁣:T⟶Ck(X,Y),F^(t)(x)=F(t,x)\widehat F\colon T\longrightarrow C_k(X,Y),\qquad \widehat F(t)(x)=F(t,x)

が連続であることは同値である。

証明.F ⁣:T×kX→YF\colon T\times_kX\to Yを連続とする。各t∈Tt\in Tに対して、x↦(t,x)x\mapsto(t,x)は命題 6.2によりX→T×kXX\to T\times_kXとして連続である。したがって各切片は連続であり、F^\widehat Fは連続写像全体に値を取る。

コンパクト部分集合A⊆TA\subseteq Tを取る。AAはコンパクト Hausdorff であるから、定理 3.2により通常の積A×XA\times Xはコンパクト生成である。包含A×X→T×XA\times X\to T\times Xは系 2.5によってT×kXT\times_kXへの連続写像となるので、FFの制限FA ⁣:A×X→YF_A\colon A\times X\to Yは連続である。

コンパクト部分集合K⊆XK\subseteq X、開集合U⊆YU\subseteq Y、およびF^(a0)∈[K,U]\widehat F(a_0)\in[K,U]となるa0∈Aa_0\in Aを取る。FA−1(U)∩(A×K)F_A^{-1}(U)\cap(A\times K)は{a0}×K\{a_0\}\times Kを含むA×KA\times Kの開集合である。§E2.19 補題 5.1により、a0a_0のAAにおける開近傍VVでV×K⊆FA−1(U)V\times K\subseteq F_A^{-1}(U)となるものが存在する。したがってV⊆(F^∣A)−1([K,U])V\subseteq(\widehat F|_A)^{-1}([K,U])であり、F^∣A ⁣:A→Cco(X,Y)\widehat F|_A\colon A\to C_{\mathrm{co}}(X,Y)は連続である。定理 2.4 (4)によりF^ ⁣:T→Cco(X,Y)\widehat F\colon T\to C_{\mathrm{co}}(X,Y)は連続であり、系 2.5によりCk(X,Y)C_k(X,Y)への写像としても連続である。

逆にF^ ⁣:T→Ck(X,Y)\widehat F\colon T\to C_k(X,Y)が連続ならば、命題 6.2により

T×kX⟶Ck(X,Y)×kX,(t,x)⟼(F^(t),x)T\times_kX\longrightarrow C_k(X,Y)\times_kX,\qquad (t,x)\longmapsto(\widehat F(t),x)

は連続である。この写像と定理 6.4の評価を合成するとFFを得るから、FFは連続である。▨

定理 6.6 (指数法則). Hausdorff なコンパクト生成空間T,X,YT,X,Yに対して、写像

Φ ⁣:Ck(T×kX,Y)⟶Ck(T,Ck(X,Y)),Φ(F)(t)(x)=F(t,x)\Phi\colon C_k(T\times_kX,Y)\longrightarrow C_k(T,C_k(X,Y)), \qquad \Phi(F)(t)(x)=F(t,x)

は同相写像である。

証明.D=Ck(T×kX,Y)D=C_k(T\times_kX,Y)とおく。定理 6.4の評価を命題 6.2の再結合写像と合成すると、連続写像

(D×kT)×kX⟶Y,((F,t),x)⟼F(t,x)(D\times_kT)\times_kX\longrightarrow Y,\qquad ((F,t),x)\longmapsto F(t,x)

を得る。定理 6.5をXXについて適用するとD×kT→Ck(X,Y)D\times_kT\to C_k(X,Y)が連続となり、さらにTTについて適用すると、Φ ⁣:D→Ck(T,Ck(X,Y))\Phi\colon D\to C_k(T,C_k(X,Y))が連続となる。

E=Ck(T,Ck(X,Y))E=C_k(T,C_k(X,Y))とおく。二つの評価を合成した写像

(E×kT)×kX⟶Ck(X,Y)×kX→ev⁡Y,((h,t),x)⟼h(t)(x)(E\times_kT)\times_kX \longrightarrow C_k(X,Y)\times_kX \xrightarrow{\ev}Y,\qquad ((h,t),x)\longmapsto h(t)(x)

は命題 6.2と定理 6.4により連続である。再結合してE×k(T×kX)→YE\times_k(T\times_kX)\to Yとみなし、定理 6.5をT×kXT\times_kXについて適用すると、

Ψ ⁣:E⟶D,Ψ(h)(t,x)=h(t)(x)\Psi\colon E\longrightarrow D,\qquad \Psi(h)(t,x)=h(t)(x)

は連続である。各F∈DF\in D、h∈Eh\in Eに対してΨ(Φ(F))(t,x)=F(t,x)\Psi(\Phi(F))(t,x)=F(t,x)、Φ(Ψ(h))(t)(x)=h(t)(x)\Phi(\Psi(h))(t)(x)=h(t)(x)であるから、Φ\PhiとΨ\Psiは互いに逆である。▨

参考文献

  1. James R. Boone, Sheldon W. Davis, and Gary Gruenhage, Cardinal functions for k-spaces, Proceedings of the American Mathematical Society 68 (1978), no. 3, 355–358.コンパクト順序の定義、およびその存在によるコンパクト生成性の特徴づけを参考にした。

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