§E2.39列型空間

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位相空間における極限の議論では、点列を一つずつ調べる方法が基本となる。連続写像は収束する点列とその極限を保つが、一般の位相空間では、この性質だけから連続性を結論することはできず、閉包に属する点が一つの点列の極限として現れるとも限らない。

点列の極限について閉じている部分集合が必ず閉集合となる空間を列型空間という。この概念は、点列を用いる解析的な議論と一般位相の構成を結ぶために広く用いられる。たとえば、可算個の収束列の極限点を一点に貼り合わせた可算列扇は、第一可算ではないが列型空間である。

列型性は第一可算性より広く、コンパクト生成性より強い条件であり、距離空間から商空間を作る操作と密接に結びついている。一方、点列による閉包を一度取るだけでは通常の閉包に達しない列型空間も存在するため、列型性の内部にも点列が位相を捉える仕方の違いが現れる。

本記事では、列型空間の基本的な性質と、点列による閉包の記述を示す代表的な例を解説する。

1 閉集合の点列による判定

定義 1.1.XXを位相空間とする。

  1. 部分集合A⊆XA\subseteq Xが 列閉 (sequentially closed) であるとは、AA内の任意の点列(xn)n∈N≥1(x_n)_{n\in\NN}と任意のx∈Xx\in Xに対して、xn→xx_n\to xならばx∈Ax\in Aが成り立つことをいう。
  2. すべての列閉集合が閉であるとき、XXを 列型空間 (sequential space) という。
  3. 任意のA⊆XA\subseteq Xと任意のx∈cl⁡X(A)x\in\tpcl[X]{A}に対して、xxへ収束するAA内の点列が存在するとき、XXを Fréchet–Urysohn 空間 (Fréchet–Urysohn space) という。

定義 1.2. 位相空間XXの部分集合AAに対して

scl⁡X(A)={x∈X:A 内の点列で x へ収束するものが存在する}\operatorname{scl}_X(A) =\{x\in X:A\text{ 内の点列で }x\text{ へ収束するものが存在する}\}

をAAの 列閉包 (sequential closure) という。定値列と閉集合における極限の性質により

A⊆scl⁡X(A)⊆cl⁡X(A)A\subseteq\operatorname{scl}_X(A)\subseteq\tpcl[X]{A}

であり、A⊆BA\subseteq Bならばscl⁡X(A)⊆scl⁡X(B)\operatorname{scl}_X(A)\subseteq\operatorname{scl}_X(B)である。AAが列閉であることはscl⁡X(A)=A\operatorname{scl}_X(A)=Aと同値であり、XXが Fréchet–Urysohn であることはすべてのA⊆XA\subseteq Xについてscl⁡X(A)=cl⁡X(A)\operatorname{scl}_X(A)=\tpcl[X]{A}が成り立つことと同値である。

補題 1.3.S={0}∪{1/n:n∈N≥1}⊆RS=\{0\}\cup\{1/n:n\in\NN\}\subseteq\Rとする。SSはコンパクト距離空間であり、位相空間XXへの写像u ⁣:S→Xu\colon S\to Xが連続であることとu(1/n)→u(0)u(1/n)\to u(0)は同値である。また、A⊆XA\subseteq Xが列閉であることと、すべての連続写像u ⁣:S→Xu\colon S\to Xに対してu−1(A)u^{-1}(A)がSSで閉であることは同値である。

証明.SSの開被覆から00を含む一つの開集合をとる。この開集合は1/n1/nを有限個を除いて含むから、残りの点を覆う有限個の開集合を加えると有限部分被覆を得る。SSの非零の点は孤立点であり、00の近傍は{0}∪{1/n:n≥N}\{0\}\cup\{1/n:n\geq N\}をあるN∈N≥1N\in\NNについて含む。この近傍の記述から、uuの連続性はu(1/n)→u(0)u(1/n)\to u(0)と同値である。

AAが列閉であるとする。u−1(A)u^{-1}(A)が閉でなければ、0∉u−1(A)0\notin u^{-1}(A)かつu−1(A)u^{-1}(A)は無限集合である。したがってu(1/nj)∈Au(1/n_j)\in Aを満たす狭義増加列(nj)(n_j)が存在し、u(1/nj)→u(0)∉Au(1/n_j)\to u(0)\notin Aとなって矛盾する。逆にすべての逆像が閉であり、xn∈Ax_n\in A、xn→xx_n\to xとする。u(1/n)=xnu(1/n)=x_n、u(0)=xu(0)=xと定めるとuuは連続である。u−1(A)u^{-1}(A)はすべての1/n1/nを含む閉集合であるから00も含み、x∈Ax\in Aとなる。▨

命題 1.4. 位相空間について、次の含意が成り立つ。

第一可算 ⟹ Freˊchet–Urysohn ⟹ 列型 ⟹ コンパクト生成.\text{第一可算}\ \Longrightarrow\ \text{Fréchet–Urysohn} \ \Longrightarrow\ \text{列型}\ \Longrightarrow\ \text{コンパクト生成}.

証明.§E2.13 定理 7.4により第一可算空間は Fréchet–Urysohn である。Fréchet–Urysohn 空間の列閉集合AAについて、A‾\tpcl{A}の各点はAA内の点列の極限であるからAAに属し、AAは閉である。

XXを列型空間、A⊆XA\subseteq Xを k 閉集合とする。xn∈Ax_n\in A、xn→xx_n\to xならば、§E2.38 補題 1.2によりK={x}∪{xn:n∈N≥1}K=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}はコンパクトである。A∩KA\cap KはKKで閉であり、KK内でもxn→xx_n\to xであるからx∈Ax\in Aとなる。したがってAAは列閉であり、列型性により閉である。▨

命題 1.5. 列型空間の閉部分空間と開部分空間は列型である。

証明.XXを列型空間、F⊆XF\subseteq Xを閉集合とし、A⊆FA\subseteq FをFFで列閉とする。AA内の点列のXXにおける極限はFFに属し、FFにおける極限でもあるからAAに属する。したがってAAはXXで列閉、ゆえに閉である。

U⊆XU\subseteq Xを開集合とし、A⊆UA\subseteq UをUUで列閉とする。A∪(X∖U)A\cup(X\setminus U)内の点列がx∈Ux\in Uに収束すれば、その点列は有限個の項を除いてAAに属するのでx∈Ax\in Aである。したがってA∪(X∖U)A\cup(X\setminus U)はXXで列閉、ゆえに閉であり、AAはUUで閉である。▨

2 列型化

定義 2.1. 位相空間XXの台集合上に、S={0}∪{1/n:n∈N≥1}S=\{0\}\cup\{1/n:n\in\NN\}からXXへのすべての連続写像による終位相を入れた空間を、XXの 列型化 (sequentialization) といい、sXsXと書く。補題 1.3によりsXsXの閉集合はscl⁡X(F)=F\operatorname{scl}_X(F)=Fを満たす部分集合F⊆XF\subseteq Xである。

命題 2.2. 任意の位相空間XXに対して、sXsXの位相はXXの位相より細かい。点列(xn)(x_n)と点xxについて、XXでxn→xx_n\to xであることとsXsXでxn→xx_n\to xであることは同値である。さらにs(sX)=sXs(sX)=sXであり、sXsXは列型空間である。XXが列型であることとsX=XsX=Xは同値である。

証明.§E2.12 命題 3.9 (2)により恒等写像ηX ⁣:sX→X\eta_X\colon sX\to Xは連続である。XXでxn→xx_n\to xならば、u(1/n)=xnu(1/n)=x_n、u(0)=xu(0)=xで定める写像u ⁣:S→Xu\colon S\to Xは構造写像の一つであり、S→sXS\to sXとしても連続である。したがってsXsXでもxn→xx_n\to xである。逆方向はηX\eta_Xの連続性から従う。

収束する点列と指定された極限の組が一致するから、補題 1.3により二度目の構成でも検査族は変わらず、s(sX)=sXs(sX)=sXとなる。最後の同値は閉集合の記述から従い、sXsXに適用するとsXsXの列型性を得る。▨

3 商表示と連続性

補題 3.1. 列型性は、任意の位相的直和および商像によって保たれる。

証明.q ⁣:X→Yq\colon X\to Yを列型空間XXからの商写像とし、A⊆YA\subseteq Yを列閉とする。qqの連続性によってq−1(A)q^{-1}(A)も列閉であり、XXの列型性から閉である。商性によってAAは閉となるから、YYは列型である。

列型空間の直和X=∐i∈IXiX=\coprod_{i\in I}X_iの列閉集合AAをとる。各成分の包含は連続であるから、AAの各成分での逆像は列閉、ゆえに閉である。§E2.12 命題 7.2 (1)によりAAは閉である。▨

補題 3.2.S={0}∪{1/n:n∈N≥1}S=\{0\}\cup\{1/n:n\in\NN\}の任意個のコピーの位相的直和D=∐i∈ISD=\coprod_{i\in I}Sは、局所コンパクトな距離化可能空間である。

証明.IIに離散距離δ\deltaを入れる。§E2.1 定理 2.8により、

d((i,s),(j,t))=max⁡{δ(i,j),∣s−t∣}d((i,s),(j,t))=\max\{\delta(i,j),|s-t|\}

はI×SI\times S上の距離である。0<r<10<r<1に対して

Bd((i,s),r)={i}×(S∩(s−r,s+r))B_d((i,s),r)=\{i\}\times\bigl(S\cap(s-r,s+r)\bigr)

であるから、ddの位相は直和位相に一致する。各成分は開かつコンパクトであるから、DDは局所コンパクトである。▨

定理 3.3. 位相空間XXに対してS={0}∪{1/n:n∈N≥1}S=\{0\}\cup\{1/n:n\in\NN\}とし、SSからXXへの連続写像全体をΓ(X)\Gamma(X)とする。次の条件は同値である。

  1. XXは列型空間である。
  2. 自然な全射qS ⁣:DS(X)=∐u∈Γ(X)S⟶X,(u,t)⟼u(t)q_S\colon D_S(X)=\coprod_{u\in\Gamma(X)}S\longrightarrow X,\qquad (u,t)\longmapsto u(t)は商写像である。
  3. XXは距離空間の商像である。
  4. XXは局所コンパクト距離空間の商像である。
  5. 任意の位相空間YYと写像f ⁣:X→Yf\colon X\to Yに対して、ffが連続であることと、任意の点列(xn)(x_n)と点xxについてxn→xx_n\to xならばf(xn)→f(x)f(x_n)\to f(x)が成り立つことは同値である。

証明.補題 1.3と§E2.12 命題 7.2 (1)を適用すると、qS−1(A)q_S^{-1}(A)が閉であることとAAが列閉であることは同値である。定値写像がΓ(X)\Gamma(X)に属するのでqSq_Sは全射であり、直和の普遍性によって連続である。したがって(1)と(2)は同値である。

補題 3.2によりDS(X)D_S(X)は局所コンパクト距離空間となるから、(2)は(4)を導き、後者は(3)を導く。距離空間は§E2.13 命題 4.2により第一可算であるから、命題 1.4と補題 3.1により、その商像は列型である。

補題 1.3により、ffが収束列とその極限を保つことは、すべてのu∈Γ(X)u\in\Gamma(X)についてf∘uf\circ uが連続であることと同値である。終位相の普遍性により、この条件はf ⁣:sX→Yf\colon sX\to Yの連続性と同値である。sX=XsX=Xならば(5)を得る。逆にこの判定を恒等集合写像X→sXX\to sXに適用すると、命題 2.2によりこの写像は連続となり、X=sXX=sXを得る。▨

系 3.4. 列型空間YYから位相空間XXへの任意の連続写像f ⁣:Y→Xf\colon Y\to Xは、連続写像f^ ⁣:Y→sX\widehat f\colon Y\to sXと恒等写像ηX ⁣:sX→X\eta_X\colon sX\to Xにより、一意にf=ηX∘f^f=\eta_X\circ\widehat fと分解される。

証明.命題 2.2によりf ⁣:Y→sXf\colon Y\to sXは収束列とその極限を保つから、定理 3.3 (5)により連続である。因子化の一意性は、ηX\eta_Xが恒等集合写像であることから従う。▨

系 3.5. 任意の位相空間XXに対して、恒等集合写像sX→kX→XsX\to kX\to Xは連続である。したがってsXsXの位相はkXkXの位相より細かい。

証明.命題 2.2によりsXsXは列型であり、命題 1.4によりコンパクト生成である。連続な恒等写像sX→XsX\to Xに§E2.38 系 2.5を適用すると、恒等写像sX→kXsX\to kXは連続である。kX→XkX\to Xの連続性は§E2.38 命題 2.2による。▨

補題 3.6. Fréchet–Urysohn 性は、任意の部分空間、任意の位相的直和、および継承的商像によって保たれる。

証明.XXを Fréchet–Urysohn 空間とし、B⊆XB\subseteq X、A⊆BA\subseteq B、x∈cl⁡B(A)x\in\tpcl[B]{A}とする。x∈cl⁡X(A)x\in\tpcl[X]{A}であるからAA内の点列でXXにおいてxxへ収束するものが存在し、その点列はBBでもxxへ収束する。直和内の閉包点は、その点が属する開な成分内でも閉包点であるから、各成分の Fréchet–Urysohn 性を適用することができる。

q ⁣:X→Yq\colon X\to Yを継承的商写像とし、A⊆YA\subseteq Y、y∈cl⁡Y(A)y\in\tpcl[Y]{A}とする。§E2.37 定理 1.3 (3)により、q(x)=yq(x)=yを満たすx∈cl⁡X(q−1(A))x\in\tpcl[X]{q^{-1}(A)}が存在する。q−1(A)q^{-1}(A)内でxxへ収束する点列をqqで送ると、AA内でyyへ収束する点列を得る。▨

補題 3.7. 位相空間XXのすべての部分空間がコンパクト生成であるとする。A⊆XA\subseteq Xとx∈cl⁡X(A)∖Ax\in\tpcl[X]{A}\setminus Aに対して、コンパクト部分集合K⊆A∪{x}K\subseteq A\cup\{x\}が存在して

x∈K,x∈cl⁡K(K∖{x})x\in K,\qquad x\in\tpcl[K]{K\setminus\{x\}}

を満たす。

証明.Y=A∪{x}Y=A\cup\{x\}とおくと、§E2.12 命題 4.7 (1)によりAAはYYで閉でない。YYはコンパクト生成であるから、コンパクト部分集合K⊆YK\subseteq YでA∩KA\cap KがKKで閉でないものが存在する。x∉Kx\notin KならばA∩K=KA\cap K=Kとなるので、x∈Kx\in Kである。したがってA∩K=K∖{x}A\cap K=K\setminus\{x\}であり、その閉包へ加わる点はxxだけである。非閉性からx∈cl⁡K(K∖{x})x\in\tpcl[K]{K\setminus\{x\}}を得る。▨

定理 3.8. 位相空間XXについて、次の条件は同値である。

  1. XXは Fréchet–Urysohn 空間である。
  2. XXのすべての部分空間は列型である。
  3. 定理 3.3の自然な全射qS ⁣:DS(X)→Xq_S\colon D_S(X)\to Xは継承的商写像である。
  4. XXは距離空間の継承的商像である。
  5. XXは局所コンパクト距離空間の継承的商像である。

さらにXXが Hausdorff ならば、XXのすべての部分空間がコンパクト生成であることも、これらの条件と同値である。

証明.補題 3.6と命題 1.4により、(1)は(2)を導く。逆にA⊆XA\subseteq X、x∈cl⁡X(A)∖Ax\in\tpcl[X]{A}\setminus Aとし、部分空間A∪{x}A\cup\{x\}をとる。この部分空間でAAは閉でないから、列型性によってAA内からxxへ収束する点列が存在する。x∈Ax\in Aの場合は定値列をとればよい。

XXが Fréchet–Urysohn であり、x∈cl⁡X(A)x\in\tpcl[X]{A}とする。xn∈Ax_n\in A、xn→xx_n\to xとなる点列をとり、u(1/n)=xnu(1/n)=x_n、u(0)=xu(0)=xと定める。コピー{u}×S\{u\}\times Sの点(u,0)(u,0)はqS−1(A)q_S^{-1}(A)の閉包に属し、qS(u,0)=xq_S(u,0)=xである。連続性から逆の包含も成り立つので、§E2.37 定理 1.3 (3)によりqSq_Sは継承的商写像である。

補題 3.2により(3)は(5)を導き、後者は(4)を導く。距離空間の第一可算性、命題 1.4および補題 3.6により、距離空間の継承的商像は Fréchet–Urysohn である。

補題 3.6と命題 1.4により、Fréchet–Urysohn 空間のすべての部分空間はコンパクト生成である。逆にXXを Hausdorff とし、XXのすべての部分空間がコンパクト生成であると仮定する。A⊆XA\subseteq X、x∈cl⁡X(A)∖Ax\in\tpcl[X]{A}\setminus Aに対してZ=A∪{x}Z=A\cup\{x\}とおく。ZZは Hausdorff であり、x∈cl⁡Z(A)x\in\tpcl[Z]{A}である。

空でないZZの開集合UUでx∉cl⁡Z(U)x\notin\tpcl[Z]{U}を満たすものからなる、互いに素な族全体を包含で順序づける。空の族が属し、鎖の和集合も互いに素な族であるから、§E1.20 定理 2.1 (3)により極大な族U\mathcal Uが存在する。B=⋃U⊆AB=\bigcup\mathcal U\subseteq Aとおく。x∉cl⁡Z(B)x\notin\tpcl[Z]{B}ならば、BBと交わらないxxの開近傍WWと、y∈W∖{x}y\in W\setminus\{x\}を取ることができる。Hausdorff 性により、xxとyyの互いに素な開近傍H,VH,Vを取る。O=W∩VO=W\cap Vは空でない開集合であり、H∩O=∅H\cap O=\emptysetによりx∉cl⁡Z(O)x\notin\tpcl[Z]{O}である。OOはU\mathcal Uのどの元とも交わらないから、U∪{O}\mathcal U\cup\{O\}はU\mathcal Uの真の拡大となり、極大性に反する。したがってx∈cl⁡Z(B)x\in\tpcl[Z]{B}である。

補題 3.7により、コンパクト集合K⊆B∪{x}K\subseteq B\cup\{x\}でx∈K∩cl⁡Z(K∖{x})x\in K\cap\tpcl[Z]{K\setminus\{x\}}となるものを取る。KKと交わるU\mathcal Uの元全体をI\mathcal Iとおく。I\mathcal Iが有限ならば、各U∈IU\in\mathcal Iと交わらないxxの開近傍の有限共通部分はK∖{x}K\setminus\{x\}と交わらず、x∈cl⁡Z(K∖{x})x\in\tpcl[Z]{K\setminus\{x\}}に反する。ゆえにI\mathcal Iは無限であり、相異なるUn∈IU_n\in\mathcal Iとan∈Un∩Ka_n\in U_n\cap Kをn∈N≥1n\in\NNについて選ぶことができる。

xxの任意のZZにおける開近傍WWに対して、{W}∪U\{W\}\cup\mathcal UはKKの開被覆である。コンパクト性により、あるV1,…,Vr∈UV_1,\ldots,V_r\in\mathcal UについてK⊆W∪V1∪⋯∪VrK\subseteq W\cup V_1\cup\cdots\cup V_rとなる。an∉Wa_n\notin WならばUn∩Vi≠∅U_n\cap V_i\ne\emptysetとなるiiがあり、互いに素であることからUn=ViU_n=V_iである。UnU_nは相異なるから、このようなnnは高々rr個である。したがってan→xa_n\to xであり、各ana_nはAAに属する。x∈Ax\in Aの場合には定値列があるので、XXは Fréchet–Urysohn である。▨

定理 3.9.XX、YYを Hausdorff 空間、q ⁣:X→Yq\colon X\to Yを商写像とし、XXは Fréchet–Urysohn であるとする。このとき、YYが Fréchet–Urysohn であることとqqが継承的商写像であることは同値である。

証明.YYが Fréchet–Urysohn であるとし、B⊆YB\subseteq Y、y∈cl⁡Y(B)y\in\tpcl[Y]{B}をとる。y∈By\in Bならばy∈q(cl⁡X(q−1(B)))y\in q(\tpcl[X]{q^{-1}(B)})である。y∉By\notin Bの場合、bn∈Bb_n\in B、bn→yb_n\to yとなる点列をとり、C={bn:n∈N≥1}C=\{b_n:n\in\NN\}とおく。C∪{y}C\cup\{y\}はコンパクトであり、Hausdorff 性により閉であるから、cl⁡Y(C)=C∪{y}\tpcl[Y]{C}=C\cup\{y\}である。

q−1({y})∩cl⁡X(q−1(B))=∅q^{-1}(\{y\})\cap\tpcl[X]{q^{-1}(B)}=\emptysetと仮定する。連続性から

cl⁡X(q−1(C))⊆q−1(C∪{y})\tpcl[X]{q^{-1}(C)}\subseteq q^{-1}(C\cup\{y\})

であり、左辺はq−1({y})q^{-1}(\{y\})と交わらない。したがってq−1(C)q^{-1}(C)は閉である。商性によってCCも閉となるが、y∈cl⁡Y(C)∖Cy\in\tpcl[Y]{C}\setminus Cに矛盾する。ゆえに§E2.37 定理 1.3 (3)が成り立ち、qqは継承的商写像である。逆方向は補題 3.6から従う。▨

定理 3.10 (Ponomarev).T0T_0空間XXについて、次の条件は同値である。

  1. XXは第一可算である。
  2. 距離空間MMからXXへの連続かつ開な全射が存在する。

証明.XXを空でない第一可算空間とし、B\mathcal Bを空でない開集合全体に離散位相を入れた空間とする。BN≥1\mathcal B^{\NN}の部分空間

M={(Un)n∈N≥1:{Un:n∈N≥1} はある点の開近傍基である}M=\{(U_n)_{n\in\NN}:\{U_n:n\in\NN\}\text{ はある点の開近傍基である}\}

は、§E2.14 系 3.2により距離化可能である。同じ族が二点の開近傍基であるならば、二点の開近傍全体は一致するから、T0T_0性によって二点は等しい。したがってu=(Un)∈Mu=(U_n)\in Mにその開近傍基の基点を対応させる写像f ⁣:M→Xf\colon M\to Xが定まる。第一可算性により各点の開近傍基を列にすることができるので、ffは全射である。

有限列U1,…,Ur∈BU_1,\ldots,U_r\in\mathcal Bに対して、最初のrr項をこの列に固定したMMの基本開集合をC(U1,…,Ur)C(U_1,\ldots,U_r)とおく。このとき

f(C(U1,…,Ur))=⋂i=1rUif(C(U_1,\ldots,U_r))=\bigcap_{i=1}^rU_i

である。左辺の点は指定された各開近傍に属する。逆にx∈⋂i=1rUix\in\bigcap_{i=1}^rU_iならば、xxの可算開近傍基を有限列U1,…,UrU_1,\ldots,U_rの後へ付け足すとMMの元となり、その像はxxである。この像の等式によりffは開写像である。

f(u)∈Vf(u)\in Vとなる開集合V⊆XV\subseteq Xに対して、u=(Un)u=(U_n)が開近傍基であることからUn⊆VU_n\subseteq Vとなるnnが存在する。C(U1,…,Un)C(U_1,\ldots,U_n)はuuを含み、その像はUn⊆VU_n\subseteq Vに含まれる。したがってf−1(V)f^{-1}(V)は開であり、ffは連続である。X=∅X=\emptysetの場合は空の距離空間からの写像を取る。

f ⁣:M→Xf\colon M\to Xを距離空間からの連続開全射とする。x∈Xx\in Xに対してf(m)=xf(m)=xとなるmmと、mmの可算開近傍基(Vn)(V_n)を取る。各f(Vn)f(V_n)はxxの開近傍であり、xxの開近傍UUに対してVn⊆f−1(U)V_n\subseteq f^{-1}(U)となるnnが存在するから、f(Vn)⊆Uf(V_n)\subseteq Uである。ゆえに(f(Vn))(f(V_n))はxxの可算開近傍基であり、XXは第一可算である。▨

注意 3.11.定理 3.10、定理 3.8、定理 3.3、§E2.38 定理 2.4により、次の各行で左の性質と右の写像表示は同値である。写像はすべて連続な全射とする。

終域の性質 定義域 写像の条件
第一可算(終域はT0T_0) 距離空間 開写像
Fréchet–Urysohn 局所コンパクト距離空間 継承的商写像
列型 局所コンパクト距離空間 商写像
コンパクト生成 局所コンパクト空間 商写像

§E2.37 命題 3.1、§E2.37 命題 4.1 (1)、§E2.37 命題 4.1 (2)によって、開全射は継承的商写像であり、継承的商写像は商写像である。この写像の条件を弱めると、距離空間の像について第一可算性から Fréchet–Urysohn 性、列型性への含意が得られる。

第一行の定義域へ局所コンパクト性を加えることはできない。局所コンパクト空間からの連続開全射f ⁣:L→Xf\colon L\to Xとx=f(l)x=f(l)に対して、llのコンパクト近傍KKを取ると、f(K)f(K)はコンパクトであり、開近傍f(int⁡L(K))f(\tpint[L]{K})を含む。したがってXXは局所コンパクトである。しかし通常の有理数空間Q\Qは第一可算であり、§E2.24 例 1.14により局所コンパクトではない。

4 可算コンパクト空間の特徴付け

可算コンパクト性を Kuratowski 型の性質により特徴付けよう。

命題 4.1.XXを位相空間とする。このとき、次の主張は同値である:

  1. XXは可算コンパクトである。
  2. 任意の列型空間SSに対し、射影pr⁡S ⁣:X×S→S\pr_S\colon X\times S\to Sは閉写像である。
  3. 射影pr⁡ω+1 ⁣:X×(ω+1)→ω+1\pr_{\omega + 1}\colon X\times (\omega + 1) \to \omega + 1は閉写像である。

証明.(2)⇒\Rightarrow(3)は自明である。逆に(3)⇒\Rightarrow(2)は定理 3.3により離散位相を入れた空間H:=Hom⁡(ω+1,S)H:=\Hom(\omega + 1, S)を用いて商写像(ω+1)×H→S(\omega + 1)\times H \to Sをとれば、仮定からX×(ω+1)×H→(ω+1)×HX\times (\omega + 1) \times H \to (\omega + 1) \times Hは閉写像であり、よってその商であるX×S→SX\times S\to Sも閉であることがわかる。残っていることは(1)⇔\Leftrightarrow(3)を示すことである。

(1)⇒\Rightarrow(3)を示す。F⊂X×(ω+1)F\subset X\times (\omega + 1)を閉集合とする。I:=pr⁡ω+1(F)∩ωI:=\pr_{\omega + 1}(F)\cap \omegaが有限集合であれば閉なので無限集合であると仮定する。各n∈In\in Iに対して(xn,n)∈F(x_n, n)\in Fとなる点xn∈Xx_n\in Xをとれば、XXが可算コンパクトであることとIIが無限集合であることから、点列(xn)n∈I(x_n)_{n\in I}は集積点x∈Xx\in Xを持つ。このとき、(x,ω)(x, \omega)はX×(ω+1)X\times (\omega + 1)の点列((xn,n))n∈I((x_n, n))_{n\in I}の集積点であり、FFが閉であることから(x,ω)∈F(x, \omega)\in Fとなる。よってω∈pr⁡ω+1(F)\omega \in \pr_{\omega + 1}(F)となり、pr⁡ω+1(F)\pr_{\omega + 1}(F)は閉である。

(3)⇒\Rightarrow(1)の対偶を示す。(Cn)n∈ω(C_n)_{n\in \omega}を有限交差性を持つ閉部分集合の族であって⋂n∈ωCn=∅\bigcap_{n\in \omega}C_n=\emptysetとなるものとする。このとき、C:=⋃n∈ω(⋂k≤nCk)×{n}⊂X×(ω+1)C:=\bigcup_{n\in\omega}\left(\bigcap_{k\leq n}C_k\right)\times \{n\}\subset X\times (\omega + 1)は閉である。実際、任意のx∈Xx\in Xに対し、⋂n∈ωCn=∅\bigcap_{n\in \omega}C_n=\emptysetであることから、あるNNが存在してx∉⋂k≤NCkx\not\in \bigcap_{k\leq N}C_kが成り立つ。このとき(X∖⋂k≤NCk)×(N,ω](X\setminus \bigcap_{k\leq N}C_k)\times (N, \omega]は(x,ω)(x, \omega)を含みCCと交わらない開集合である。よってCCは閉である。一方、有限交差性からpr⁡ω+1(C)=ω\pr_{\omega + 1}(C) = \omegaとなるが、これはω+1\omega + 1の閉集合でない。以上で示された。▨

注意 4.2.SSを位相空間とする。§E2.23 補題 4.4より、命題 4.1はコンパクト Hausdorff 空間が列型空間なら C-閉空間(§E2.23 定義 4.5参照)であることを含意する。この逆方向、すなわちコンパクト Hausdorff な C-閉空間は列型であるか、という問題は、その反例となる空間の存在が ZFC と独立であることが Dow により Compact C-closed spaces need not be sequential(著者公開版 も存在する)にて証明されている。

なお、コンパクト Hausdorff という条件を外せば、列型でない空間SSであって、任意の可算コンパクト空間XXに対し射影pr⁡S ⁣:S×X→S\pr_S\colon S\times X\to Sが閉であるものが存在する。実際、この標準射影に関する条件はSSの任意の部分空間でも成立するため、列型空間の部分空間にまで強めることができる。問題 9.2参照。

5 例

定義 5.1. 可算個のS={0}∪{1/m:m∈N≥1}S=\{0\}\cup\{1/m:m\in\NN\}の位相的直和において、各コピーの00を一点∗*に同一視した商空間を 可算列扇 (countable sequential fan) といい、SωS_\omegaと書く。第nnコピーの1/m1/mの像をsn,ms_{n,m}と書く。各sn,ms_{n,m}は孤立点であり、∗*の開近傍基は

Uf={∗}∪{sn,m:n,m∈N≥1, m≥f(n)},f ⁣:N≥1→N≥1U_f=\{*\}\cup\{s_{n,m}:n,m\in\NN,\ m\geq f(n)\}, \qquad f\colon\NN\to\NN

で与えられる。実際、商写像による逆像が各コピーで開であるための条件は、00を含むコピーごとにその列の尾部を含むことである。

命題 5.2. 可算列扇SωS_\omegaは Hausdorff な Fréchet–Urysohn 空間であるが、第一可算ではない。

証明. 異なる孤立点はそれぞれの一点開集合で分離される。∗*とsn,ms_{n,m}は、f(n)>mf(n)>mを満たすUfU_fと{sn,m}\{s_{n,m}\}で分離されるから、SωS_\omegaは Hausdorff である。

A⊆SωA\subseteq S_\omega、∗∈A‾∖A*\in\tpcl{A}\setminus Aとする。各枝でA∩{sn,m:m∈N≥1}A\cap\{s_{n,m}:m\in\NN\}が有限ならば、各f(n)f(n)をその枝のAAの点の添字より大きくとることによってUf∩A=∅U_f\cap A=\emptysetとなる。したがって、ある枝にAAの点が無限個存在する。その枝で添字を狭義増加させた点列は∗*へ収束する。孤立点がA‾\tpcl{A}に属するならばその点はAAに属するから、定値列を用いればよい。ゆえにSωS_\omegaは Fréchet–Urysohn である。

(Vj)j∈N≥1(V_j)_{j\in\NN}が∗*の可算近傍基であると仮定する。各jjに対してsj,mj∈Vjs_{j,m_j}\in V_jとなるmjm_jをとり、f(j)=mj+1f(j)=m_j+1とおく。どのVjV_jもUfU_fに含まれず、近傍基の性質に矛盾する。▨

補題 5.3. 可算列扇SωS_\omegaの任意のコンパクト部分集合KKに対して、有限集合F⊆N≥1F\subseteq\NNが存在し、

K⊆{∗}∪{sn,m:n∈F, m∈N≥1}K\subseteq\{*\}\cup\{s_{n,m}:n\in F,\ m\in\NN\}

が成り立つ。

証明.KKが無限本の枝に交わると仮定し、異なる枝から一点ずつ選んだ無限集合D⊆KD\subseteq Kをとる。各枝の選んだ点を除くようにffをとればUf∩D=∅U_f\cap D=\emptysetとなり、他の点は孤立点であるからDDはSωS_\omegaで閉である。したがってDDはKKの閉部分空間としてコンパクトである。一方、DDは無限離散空間であり、一点集合による開被覆は有限部分被覆をもたない。これは矛盾である。▨

定義 5.4.S={0}∪{1/m:m∈N≥1}S=\{0\}\cup\{1/m:m\in\NN\}のコピーT={∗}∪{xn:n∈N≥1}T=\{*\}\cup\{x_n:n\in\NN\}とTn={an}∪{xn,m:m∈N≥1}T_n=\{a_n\}\cup\{x_{n,m}:m\in\NN\}、n∈N≥1n\in\NNをとる。TTでは00に∗*、1/n1/nにxnx_nが対応し、TnT_nでは00にana_n、1/m1/mにxn,mx_{n,m}が対応する。これらの位相的直和において各ana_nとxnx_nを同一視した商空間を Arens 空間 (Arens space) といい、S2S_2と書く。

S2S_2の各xn,mx_{n,m}は孤立点である。xnx_nの開近傍基は

Vn,M={xn}∪{xn,m:m≥M},M∈N≥1V_{n,M}=\{x_n\}\cup\{x_{n,m}:m\geq M\},\qquad M\in\NN

であり、∗*の開近傍基は

WN,f={∗}∪⋃n≥N({xn}∪{xn,m:m≥f(n)}),N∈N≥1, f ⁣:N≥1→N≥1W_{N,f}=\{*\}\cup\bigcup_{n\geq N} \bigl(\{x_n\}\cup\{x_{n,m}:m\geq f(n)\}\bigr), \qquad N\in\NN,\ f\colon\NN\to\NN

である。これらの近傍は、逆像がTTおよび各TnT_nで開であるという商位相の条件から得られる。

補題 5.5. Arens 空間S2S_2の孤立点全体をD={xn,m:n,m∈N≥1}D=\{x_{n,m}:n,m\in\NN\}とする。DD内の点列が∗*へ収束することはない。

証明.DD内の点列(zj)(z_j)をとる。ある枝{xn,m:m∈N≥1}\{x_{n,m}:m\in\NN\}に属する項が無限個あるならば、N>nN>nを満たすWN,fW_{N,f}はそのすべての項を除くから、(zj)(z_j)は∗*へ収束しない。どの枝に属する項も有限個であるならば、各枝について、その枝に現れる項の第二添字より大きいf(n)f(n)をとることができる。このときW1,fW_{1,f}は点列のすべての項を除くから、やはり∗*へ収束しない。▨

命題 5.6. Arens 空間S2S_2は Hausdorff な列型空間であるが、Fréchet–Urysohn 空間ではない。孤立点集合D={xn,m:n,m∈N≥1}D=\{x_{n,m}:n,m\in\NN\}の点列の極限全体はD∪{xn:n∈N≥1}D\cup\{x_n:n\in\NN\}であり、この集合の点列の極限全体はS2S_2である。

証明. 異なる枝の点は互いに素な枝近傍で分離される。同じ枝のxnx_nとxn,mx_{n,m}はVn,MV_{n,M}、M>mM>mと一点集合で分離される。∗*と第nn枝の点はWN,fW_{N,f}、N>nN>nと枝近傍で分離され、孤立点どうしも一点集合で分離される。したがってS2S_2は Hausdorff である。

定義に用いた各収束列空間は距離空間であり列型であるから、補題 3.1によりS2S_2は列型である。各xn,m→xnx_{n,m}\to x_nにより、DDの点列の極限全体はD∪{xn:n∈N≥1}D\cup\{x_n:n\in\NN\}を含む。補題 5.5により∗*は含まれず、これで極限全体が確定する。xn→∗x_n\to *により、もう一度点列の極限を加えるとS2S_2全体を得る。一方、各WN,fW_{N,f}はDDと交わるから∗∈D‾*\in\tpcl{D}である。DD内から∗*へ収束する点列は存在しないので、S2S_2は Fréchet–Urysohn ではない。▨

補題 5.7. Hausdorff な列型空間XXが Fréchet–Urysohn でないならば、部分集合A⊆XA\subseteq X、点x∉scl⁡X(A)x\notin\operatorname{scl}_X(A)、相異なる点xn∈scl⁡X(A)∖Ax_n\in\operatorname{scl}_X(A)\setminus A、および互いに素な開集合VnV_nが存在して、xn→xx_n\to x、xn∈Vnx_n\in V_n、x∉Vnx\notin V_nとなる。各nnに対して、相異なる点からなる列(xn,m)m∈N≥1(x_{n,m})_{m\in\NN}をA∩VnA\cap V_nの中に取り、xn,m→xnx_{n,m}\to x_nとすることができる。

証明.scl⁡X(A)≠cl⁡X(A)\operatorname{scl}_X(A)\ne\tpcl[X]{A}となるA⊆XA\subseteq Xを取る。scl⁡X(A)\operatorname{scl}_X(A)が閉ならばcl⁡X(A)⊆scl⁡X(A)\tpcl[X]{A}\subseteq\operatorname{scl}_X(A)となるので、この列閉包は閉でない。列型性により、yj∈scl⁡X(A)y_j\in\operatorname{scl}_X(A)、yj→x∉scl⁡X(A)y_j\to x\notin\operatorname{scl}_X(A)となる列が存在する。yj∈Ay_j\in Aとなる項が無限個あれば、その部分列によってx∈scl⁡X(A)x\in\operatorname{scl}_X(A)となる。したがって有限個の項を除き、yj∉Ay_j\notin Aとすることができる。Hausdorff 性により、xxを含まない任意の有限集合の外に尾部があるから、相異なる項の部分列へ移り、(yj)(y_j)自身を相異なる点の列としてよい。

H0=XH_0=Xとおく。Hn−1H_{n-1}がxxの開近傍として得られたとき、以前の添字より大きいjnj_nを選び、xn=yjn∈Hn−1x_n=y_{j_n}\in H_{n-1}とする。Hausdorff 性により、Hn−1H_{n-1}に含まれるxxとxnx_nの互いに素な開近傍Hn,VnH_n,V_nを取る。i<ni<nならばVn⊆HiV_n\subseteq H_iであり、Hi∩Vi=∅H_i\cap V_i=\emptysetであるから、VnV_nは互いに素である。

xn∈scl⁡X(A)∖Ax_n\in\operatorname{scl}_X(A)\setminus Aであるから、AA内からxnx_nへ収束する列を取ることができる。その尾部はVnV_nに含まれ、任意の有限部分集合を有限個の項を除いて避ける。したがって相異なる項の部分列を取り、xn,m∈A∩Vnx_{n,m}\in A\cap V_n、xn,m→xnx_{n,m}\to x_nとすることができる。▨

定理 5.8. Hausdorff な列型空間XXについて、次の条件は同値である。

  1. XXは Fréchet–Urysohn 空間である。
  2. 部分空間Y⊆XY\subseteq Xで、その列型化sYsYが Arens 空間S2S_2と同相になるものは存在しない。

証明.XXが Fréchet–Urysohn ならば、補題 3.6により任意の部分空間YYも Fréchet–Urysohn であり、命題 2.2によりsY=YsY=Yである。命題 5.6によってS2S_2は Fréchet–Urysohn でないから、sYsYと同相にならない。

XXが Fréchet–Urysohn でないとし、補題 5.7のA,x,xn,Vn,xn,mA,x,x_n,V_n,x_{n,m}を取る。S={0}∪{1/n:n∈N≥1}⊆RS=\{0\}\cup\{1/n:n\in\NN\}\subseteq\Rとし、部分空間

Y={x}∪{xn:n∈N≥1}∪{xn,m:n,m∈N≥1}Y=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}\cup\{x_{n,m}:n,m\in\NN\}

に対して、S2S_2の∗*、xnx_n、xn,mx_{n,m}をそれぞれYYのxx、xnx_n、xn,mx_{n,m}に送る全単射をg ⁣:S2→Yg\colon S_2\to Yとする。

各枝Bn={xn}∪{xn,m:m∈N≥1}B_n=\{x_n\}\cup\{x_{n,m}:m\in\NN\}はVn∩YV_n\cap Yに等しいからYYで開である。補題 1.3と§E2.19 定理 6.8により、0↦xn0\mapsto x_n、1/m↦xn,m1/m\mapsto x_{n,m}はSSからBnB_nへの同相写像である。したがってxn,mx_{n,m}へ収束する列は最終的にその点に等しく、xnx_nへ収束する列は最終的にBnB_nに属し、その枝の収束列空間でxnx_nへ収束する。これらの条件はS2S_2の対応する点への収束条件と一致する。

YY内の列(zj)(z_j)がxxへ収束するとする。zj∈{xn,m:n,m∈N≥1}⊆Az_j\in\{x_{n,m}:n,m\in\NN\}\subseteq Aとなる項が無限個あれば、その部分列によってx∈scl⁡X(A)x\in\operatorname{scl}_X(A)となるから、そのような項は有限個である。ゆえに(zj)(z_j)は最終的にT={x}∪{xn:n∈N≥1}T=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}に属する。再び§E2.19 定理 6.8により、0↦x0\mapsto x、1/n↦xn1/n\mapsto x_nはSSからTTへの同相写像である。したがってxxへの収束は、最終的にTTに属し、各有限集合{x1,…,xN}\{x_1,\ldots,x_N\}を有限個の項を除いて避けることと同値である。S2S_2でも補題 5.5により∗*へ収束する列の孤立点の項は有限個であり、残る列の収束条件はWN,fW_{N,f}の記述から同じである。

したがってggとg−1g^{-1}は収束列とその極限を保つ。命題 2.2によりYYとsYsYは収束列と極限を共有するから、g ⁣:S2→sYg\colon S_2\to sYとその逆写像も収束列と極限を保つ。両空間は列型であるので、定理 3.3 (5)により両写像は連続であり、sYsYはS2S_2と同相である。▨

命題 5.9. Arens 空間S2S_2の部分空間

Y={∗}∪{xn,m:n,m∈N≥1}Y=\{*\}\cup\{x_{n,m}:n,m\in\NN\}

では、コンパクト部分集合はすべて有限である。YYはコンパクト生成でも列型でもない。

証明.YYのコンパクト部分集合KKが無限であると仮定する。ある第nn枝とKKの交わりが無限ならば、その交わりをEEとおく。N>nN>nを満たすWN,f∩YW_{N,f}\cap Yは第nn枝を除き、∗*以外の点は孤立点であるから、その枝の任意の部分集合はYYで閉かつ離散である。したがってEEはKKの無限閉離散部分空間となる。すべての枝との交わりが有限ならば、無限本の枝からKKの点を一点ずつ選んだ集合EEをとる。各枝で選んだ点を除くW1,f∩YW_{1,f}\cap Yが存在するから、EEは再びYYで閉かつ離散である。どちらの場合もEEはコンパクトな無限離散空間となって矛盾する。

YYは Hausdorff であるから、有限部分空間は離散空間である。したがってYYのすべての部分集合は k 閉である。しかしD=Y∖{∗}D=Y\setminus\{*\}はYYで閉でないから、YYはコンパクト生成でない。命題 1.4によりYYは列型でもない。S2S_2自身は列型かつコンパクト生成であるから、両性質は任意の部分空間には遺伝しない。▨

命題 5.10. 最小の非可算順序数をω1\omega_1とする。順序位相をもつ[0,ω1][0,\omega_1]はコンパクト Hausdorff 空間であり、コンパクト生成であるが列型でない。

証明.§E2.19 補題 7.1と§E2.17 系 4.4により[0,ω1][0,\omega_1]はコンパクト Hausdorff であり、§E2.38 命題 1.3によりコンパクト生成である。A=[0,ω1)A=[0,\omega_1)内の点列(αn)(\alpha_n)をとる。§E2.17 補題 4.2により、すべてのαn\alpha_nを上から押さえるβ<ω1\beta<\omega_1が存在する。ω1\omega_1の開近傍(β,ω1](\beta,\omega_1]はすべての項を除くから、この点列はω1\omega_1に収束しない。したがってAAは列閉である。しかしω1\omega_1の任意の開近傍はAAと交わるからAAは閉でなく、[0,ω1][0,\omega_1]は列型でない。▨

命題 5.11. 可算列扇SωS_\omegaと通常の位相をもつ有理数空間Q\Qは、ともに Hausdorff な Fréchet–Urysohn 空間である。しかしSω×QS_\omega\times\Qはコンパクト生成でなく、したがって列型でも Fréchet–Urysohn でもない。

証明.命題 5.2によりSωS_\omegaは Hausdorff な Fréchet–Urysohn 空間である。Q\Qは距離空間であるから、第一可算性と命題 1.4により Fréchet–Urysohn であり、Hausdorff である。各n,m∈N≥1n,m\in\NNについて

an=2n+1,rn,m=⌊10man⌋10m∈Q,An={(sn,m,rn,m):m∈N≥1}a_n=\frac{\sqrt2}{n+1},\qquad r_{n,m}=\frac{\lfloor10^m a_n\rfloor}{10^m}\in\Q, \qquad A_n=\{(s_{n,m},r_{n,m}):m\in\NN\}

と定め、A=⋃n∈N≥1AnA=\bigcup_{n\in\NN}A_nとおく。an∉Qa_n\notin\Q、an→0a_n\to0であり、0≤an−rn,m<10−m0\leq a_n-r_{n,m}<10^{-m}から各nnについてrn,m→anr_{n,m}\to a_nである。

各AnA_nはSω×QS_\omega\times\Qで閉である。実際、第一座標が孤立点であるAnA_nの外の点は、その一点集合と、必要ならば一つの有理数を除いたQ\Qの開集合との積によってAnA_nから分離される。(∗,q)(*,q)、q∈Qq\in\Qに対しては、q≠anq\ne a_nであるからqqの実開区間JJとM∈N≥1M\in\NNをとり、m≥Mm\geq Mならばrn,m∉Jr_{n,m}\notin Jとすることができる。f(n)=Mf(n)=MとすればUf×(J∩Q)U_f\times(J\cap\Q)はAnA_nと交わらない。

(∗,0)(*,0)の任意の積近傍Uf×VU_f\times Vをとる。あるε>0\ep>0について(−ε,ε)∩Q⊆V(-\ep,\ep)\cap\Q\subseteq Vである。an<εa_n<\epとなるnnをとり、次にm≥f(n)m\geq f(n)かつrn,m∈(−ε,ε)r_{n,m}\in(-\ep,\ep)となるmmをとると、(sn,m,rn,m)∈A∩(Uf×V)(s_{n,m},r_{n,m})\in A\cap(U_f\times V)である。したがって(∗,0)∈A‾∖A(*,0)\in\tpcl{A}\setminus Aであり、AAは閉でない。

C⊆Sω×QC\subseteq S_\omega\times\Qをコンパクト部分集合とする。第一射影pr⁡1(C)\pr_1(C)はコンパクトであるから、補題 5.3により有限本の枝だけに交わる。その枝の添字集合をFFとすると

A∩C=(⋃n∈FAn)∩CA\cap C=\left(\bigcup_{n\in F}A_n\right)\cap C

はCCで閉である。ゆえにAAは k 閉でありながら閉でなく、Sω×QS_\omega\times\Qはコンパクト生成でない。残りの結論は命題 1.4から従う。▨

6 閉包の反復と順序

定義 6.1. 位相空間XXの部分集合AAに対して、列閉包の反復を超限再帰によって

scl⁡X0(A)=A,scl⁡Xα+1(A)=scl⁡X(scl⁡Xα(A)),scl⁡Xλ(A)=⋃α<λscl⁡Xα(A)\operatorname{scl}_X^0(A)=A,\qquad \operatorname{scl}_X^{\alpha+1}(A)=\operatorname{scl}_X(\operatorname{scl}_X^\alpha(A)),\qquad \operatorname{scl}_X^\lambda(A)=\bigcup_{\alpha<\lambda}\operatorname{scl}_X^\alpha(A)

と定める。最後の式は零でない極限順序数λ\lambdaに対するものである。すべてのA⊆XA\subseteq Xについてscl⁡Xα(A)=cl⁡X(A)\operatorname{scl}_X^\alpha(A)=\tpcl[X]{A}となる順序数が存在するとき、その最小のものをXXの 列型順序 (sequential order) という。列閉包とコンパクト閉包の反復ではXXの位相を固定して部分集合を増大させる。これは、台集合を固定して位相を細かくするsXsXとkXkXの構成とは異なる操作である。

定理 6.2.XXを位相空間、A⊆XA\subseteq Xとし、ω1\omega_1を最小の非可算順序数とする。Aα=scl⁡Xα(A)A_\alpha=\operatorname{scl}_X^\alpha(A)とおくと

Aω1=cl⁡sX(A)A_{\omega_1}=\tpcl[sX]{A}

であり、Aω1A_{\omega_1}はAAを含む最小の列閉集合である。特にXXが列型ならばAω1=cl⁡X(A)A_{\omega_1}=\tpcl[X]{A}である。XXが Fréchet–Urysohn ならばA1=cl⁡X(A)A_1=\tpcl[X]{A}であるが、Arens 空間の孤立点集合についてはA1≠A‾A_1\ne\tpcl{A}、A2=A‾A_2=\tpcl{A}となる。XXの列型順序が存在することとXXが列型であることは同値であり、存在する場合はω1\omega_1以下である。また、XXが Fréchet–Urysohn であることと、列型順序が存在して11以下であることは同値である。

証明.§E1.17 系 2.4により長さω1+1\omega_1+1の族(Aα)α≤ω1(A_\alpha)_{\alpha\leq\omega_1}を構成する。列閉包の単調性とB⊆scl⁡X(B)B\subseteq\operatorname{scl}_X(B)により、この族は増大する。また、AAを含む任意の列閉集合FFに対して、超限帰納法でAα⊆FA_\alpha\subseteq Fがすべての段階で成り立つ。特にAα⊆cl⁡X(A)A_\alpha\subseteq\tpcl[X]{A}である。

Aω1A_{\omega_1}内の点列(xn)(x_n)がxxへ収束するとする。ω1\omega_1は極限順序数であるから、各nnについてxn∈Aαnx_n\in A_{\alpha_n}を満たすαn<ω1\alpha_n<\omega_1が存在する。§E2.17 補題 4.2により、すべてのαn\alpha_nを上から押さえるβ<ω1\beta<\omega_1が存在する。したがってxn∈Aβx_n\in A_\betaであり、

x∈scl⁡X(Aβ)=Aβ+1⊆Aω1.x\in\operatorname{scl}_X(A_\beta)=A_{\beta+1}\subseteq A_{\omega_1}.

ゆえにAω1A_{\omega_1}は列閉であり、先の包含によりAAを含む最小の列閉集合である。

sXsXの閉集合はXXの列閉集合であるから、AAを含む最小の列閉集合Aω1A_{\omega_1}はcl⁡sX(A)\tpcl[sX]{A}に等しい。XXが列型ならば命題 2.2によりsX=XsX=Xであるから、Aω1=cl⁡X(A)A_{\omega_1}=\tpcl[X]{A}を得る。Fréchet–Urysohn 空間の結論は列閉包の定義から従う。Arens 空間の結論は命題 5.6の二段階の極限の記述から従う。

列型空間については、全部分集合に共通する到達段階ω1\omega_1があるので列型順序が存在する。逆に列型順序が存在し、F⊆XF\subseteq Xが列閉であるならば、すべての反復がFFに等しいからF=cl⁡X(F)F=\tpcl[X]{F}となる。したがってXXは列型である。Fréchet–Urysohn 性については、列閉包の定義によりscl⁡X(A)=cl⁡X(A)\operatorname{scl}_X(A)=\tpcl[X]{A}がすべてのAAで成り立つことが必要十分である。▨

補題 6.3. 位相空間XXの部分集合AAに対して

scl⁡X(A)⊆kcl⁡X(A)\operatorname{scl}_X(A)\subseteq\operatorname{kcl}_X(A)

が成り立つ。また、すべての順序数α\alphaについて

scl⁡Xα(A)⊆kcl⁡Xα(A)⊆cl⁡X(A)\operatorname{scl}_X^\alpha(A)\subseteq\operatorname{kcl}_X^\alpha(A)\subseteq\tpcl[X]{A}

が成り立つ。

証明.xn∈Ax_n\in A、xn→xx_n\to xに対して、§E2.38 補題 1.2によりK={x}∪{xn:n∈N≥1}K=\{x\}\cup\{x_n:n\in\NN\}はコンパクトであり、x∈cl⁡K(A∩K)⊆kcl⁡X(A)x\in\tpcl[K]{A\cap K}\subseteq\operatorname{kcl}_X(A)である。

反復の包含は超限帰納法で従う。後続段階では定義 1.2と§E2.38 補題 4.2による二つの作用素の単調性と一段階の包含を用い、極限段階ではそれまでの包含の和集合を取る。通常の閉包はコンパクト閉包でも不変であるから、すべての段階がcl⁡X(A)\tpcl[X]{A}に含まれる。▨

定理 6.4. 列型空間XXのコンパクト順序と列型順序について

コンパクト順序 ≤ 列型順序 ≤ ω1\text{コンパクト順序}\ \leq\ \text{列型順序}\ \leq\ \omega_1

が成り立つ。

証明.XXが列型で、その列型順序がσ\sigmaであるならば、補題 6.3により、すべてのA⊆XA\subseteq Xに対して

cl⁡X(A)=scl⁡Xσ(A)⊆kcl⁡Xσ(A)⊆cl⁡X(A)\tpcl[X]{A}=\operatorname{scl}_X^\sigma(A)\subseteq\operatorname{kcl}_X^\sigma(A)\subseteq\tpcl[X]{A}

となる。したがってコンパクト順序はσ\sigma以下であり、定理 6.2によりσ≤ω1\sigma\leq\omega_1である。▨

例 6.5. 次が成り立つ。

  1. Arens 空間S2S_2の列型順序は22である。
  2. コンパクト Hausdorff 空間[0,ω1][0,\omega_1]のコンパクト順序は11であるが、列型順序は存在しない。

証明.A⊆S2A\subseteq S_2とする。孤立点がA‾\tpcl{A}に属するならばその点はAAに属する。xn∈A‾∖Ax_n\in\tpcl{A}\setminus Aならば、第nn枝のAAの点の第二添字は非有界であるから、その枝内でxnx_nへ収束するAAの点列を取ることができる。

∗∈A‾∖A*\in\tpcl{A}\setminus Aとし、

I={n∈N≥1:xn∈A または {m:xn,m∈A} は無限}I=\{n\in\NN:x_n\in A\text{ または }\{m:x_{n,m}\in A\}\text{ は無限}\}

とおく。IIが有限ならばn≥Nn\geq Nでn∉In\notin IとなるNNを取る。各n≥Nn\geq Nについてf(n)f(n)をその枝のAAの点の第二添字より大きく取り、n<Nn<Nでは任意に定めると、WN,f∩A=∅W_{N,f}\cap A=\emptysetとなる。これは∗∈A‾*\in\tpcl{A}に反するので、IIは無限である。各n∈In\in Iについてxn∈scl⁡S2(A)x_n\in\operatorname{scl}_{S_2}(A)であり、IIの狭義増加な枚挙に沿う列は∗*へ収束する。ゆえに∗∈scl⁡S22(A)*\in\operatorname{scl}_{S_2}^2(A)である。これで任意のAAについてA‾=scl⁡S22(A)\tpcl{A}=\operatorname{scl}_{S_2}^2(A)を得る。命題 5.6の孤立点集合は一段階では閉包へ達しないから、列型順序は正確に22である。

§E2.38 例 4.4によりコンパクト空間のコンパクト順序は11以下である。[0,ω1)[0,\omega_1)は[0,ω1][0,\omega_1]で閉でないので、この空間のコンパクト順序は00ではない。列型順序が存在しないことは命題 5.10と定理 6.2から従う。▨

7 列型空間の濃度と可算コンパクト性

定理 7.1. Hausdorff な列型空間XXの任意の部分集合AAに対して

∣cl⁡X(A)∣≤∣A∣ℵ0|\tpcl[X]{A}|\leq |A|^{\aleph_0}

が成り立つ。連続体濃度をc=2ℵ0\mathfrak c=2^{\aleph_0}とすると、∣A∣≤c|A|\leq\mathfrak cならば∣cl⁡X(A)∣≤c|\tpcl[X]{A}|\leq\mathfrak cであり、∣A∣=c|A|=\mathfrak cならば∣cl⁡X(A)∣=c|\tpcl[X]{A}|=\mathfrak cである。特に、可分な列型 Hausdorff 空間の濃度はc\mathfrak c以下である。

証明.AAが有限ならば、Hausdorff 性によりAAは閉であり、∣A∣≤∣A∣ℵ0|A|\leq |A|^{\aleph_0}である。A=∅A=\emptysetの場合には両辺が00である。κ=∣A∣\kappa=|A|を無限とし、μ=κℵ0\mu=\kappa^{\aleph_0}とおく。§E1.22 命題 1.6 (1)と§E1.22 系 3.3により

μℵ0=κℵ0⋅ℵ0=μ,μ≥2ℵ0≥ℵ1\mu^{\aleph_0}=\kappa^{\aleph_0\cdot\aleph_0}=\mu, \qquad \mu\geq 2^{\aleph_0}\geq\aleph_1

である。任意のB⊆XB\subseteq Xについて、Hausdorff 性により一つの点列の極限は高々一つであるから、∣scl⁡X(B)∣≤∣B∣ℵ0|\operatorname{scl}_X(B)|\leq |B|^{\aleph_0}となる。

Aα=scl⁡Xα(A)A_\alpha=\operatorname{scl}_X^\alpha(A)とおく。∣A0∣=κ≤μ|A_0|=\kappa\leq\muであり、∣Aα∣≤μ|A_\alpha|\leq\muならば∣Aα+1∣≤μℵ0=μ|A_{\alpha+1}|\leq\mu^{\aleph_0}=\muである。極限段階λ≤ω1\lambda\leq\omega_1では、先行するすべての段階の濃度がμ\mu以下であるならば、§E1.22 系 3.3により

∣Aλ∣≤∣λ∣⋅μ≤ℵ1⋅μ=μ|A_\lambda|\leq |\lambda|\cdot\mu\leq\aleph_1\cdot\mu=\mu

となる。超限帰納法と定理 6.2により、∣cl⁡X(A)∣=∣Aω1∣≤μ|\tpcl[X]{A}|=|A_{\omega_1}|\leq\muを得る。

§E1.22 例 5.4によりcℵ0=c\mathfrak c^{\aleph_0}=\mathfrak cであるから、∣A∣≤c|A|\leq\mathfrak cの場合の上界が従う。∣A∣=c|A|=\mathfrak cならばA⊆cl⁡X(A)A\subseteq\tpcl[X]{A}により逆の不等式も成り立つ。可分空間では高々可算な稠密部分集合AAを取ればX=cl⁡X(A)X=\tpcl[X]{A}であり、同じ上界を得る。▨

例 7.2.X={0,1}X=\{0,1\}に密着位相{∅,X}\{\emptyset,X\}を入れる。空集合の閉包は空であり、空でない部分集合の一点を値とする定値列はXXの各点へ収束するから、XXは Fréchet–Urysohn 空間である。XXの閉集合は∅\emptysetとXXだけであるから、A={0}A=\{0\}に対してcl⁡X(A)=X\tpcl[X]{A}=Xであり、

∣cl⁡X(A)∣=2>1=∣A∣ℵ0|\tpcl[X]{A}|=2>1=|A|^{\aleph_0}

となる。したがって定理 7.1から Hausdorff 性の仮定を外すことはできない。

系 7.3.XXを列型空間、λ\lambdaを共終数が非可算な極限順序数とする。閉集合族(Fα)α<λ(F_\alpha)_{\alpha<\lambda}がα≤β\alpha\leq\betaのときFα⊆FβF_\alpha\subseteq F_\betaを満たすならば、⋃α<λFα\bigcup_{\alpha<\lambda}F_\alphaは閉である。特に、この結論はλ=ω1\lambda=\omega_1に対して成り立つ。

証明.F=⋃α<λFαF=\bigcup_{\alpha<\lambda}F_\alpha内の点列xn→xx_n\to xに対して、xn∈Fαnx_n\in F_{\alpha_n}となるαn<λ\alpha_n<\lambdaを取る。λ\lambdaの共終数は非可算であるから、{αn:n∈N≥1}\{\alpha_n:n\in\NN\}は共終でなく、すべてのαn\alpha_nを上から押さえるβ<λ\beta<\lambdaが存在する。増大性から各xn∈Fβx_n\in F_\betaであり、FβF_\betaは閉なのでx∈Fβ⊆Fx\in F_\beta\subseteq Fである。したがってFFは列閉であり、列型性により閉である。ω1\omega_1の場合は§E1.23 定理 2.10による。▨

例 7.4. 通常の実数空間において、Fn=[0,1−1/n]F_n=[0,1-1/n]、n∈N≥1n\in\NNは閉集合の増大列であるが、その和集合[0,1)[0,1)は閉でない。したがって系 7.3の共終数に対する仮定を可算共終数へ広げることはできない。

定理 7.5. 列型 Hausdorff 空間が可算コンパクトであることと、点列コンパクトであることは同値である。

証明.XXを可算コンパクトな列型 Hausdorff 空間とし、XX内の点列(xn)(x_n)をとる。ある値が無限回現れれば定値部分列が存在するので、どの値も有限回しか現れない場合を考える。D={xn:n∈N≥1}D=\{x_n:n\in\NN\}は可算無限集合であるから、§E2.23 系 5.2 (1)により集積点xxをもつ。B=D∖{x}B=D\setminus\{x\}とおくと、x∈cl⁡X(B)∖Bx\in\tpcl[X]{B}\setminus Bであり、BBは閉でない。

列型性により、BB内の点列(bj)(b_j)とy∈X∖By\in X\setminus Bでbj→yb_j\to yとなるものが存在する。Hausdorff 性により有限集合は閉であり、y∉By\notin Bであるから、(bj)(b_j)はBBの任意の有限部分集合を有限個の項を除いて避ける。帰納的に狭義増加な添字列(jk)(j_k)と(nk)(n_k)を選び、bjk=xnkb_{j_k}=x_{n_k}とすることができる。実際、jk,nkj_k,n_kまで選んだ後、bjk+1b_{j_{k+1}}が有限集合B∩{x1,…,xnk}B\cap\{x_1,\ldots,x_{n_k}\}を避けるようにjk+1>jkj_{k+1}>j_kをとり、bjk+1b_{j_{k+1}}の出現位置nk+1n_{k+1}をとればnk+1>nkn_{k+1}>n_kである。したがって(xnk)(x_{n_k})はyyへ収束する部分列であり、XXは点列コンパクトである。

逆方向は§E2.23 定理 3.3により、任意の位相空間で成り立つ。▨

8 kωk_\omega空間との比較

例 8.1. 可算列扇SωS_\omegaはkωk_\omega空間である。具体的には

Kn={∗}∪{si,m:1≤i≤n, m∈N≥1},n∈N≥1K_n=\{*\}\cup\{s_{i,m}:1\leq i\leq n,\ m\in\NN\},\qquad n\in\NN

が定義のコンパクト増大列となる。一方、頂点∗*はコンパクト近傍をもたず、SωS_\omegaは局所コンパクトではない。

証明. 各i∈N≥1i\in\NNについてsi,m→∗s_{i,m}\to *であるから、補題 1.3により{∗}∪{si,m:m∈N≥1}\{*\}\cup\{s_{i,m}:m\in\NN\}は標準収束列空間の連続像としてコンパクトである。その有限和KnK_nもコンパクトであり、(Kn)(K_n)は増大してSωS_\omegaを覆う。補題 5.3により、任意のコンパクト部分集合は有限本の枝だけに交わるから、あるKnK_nに含まれる。SωS_\omegaは命題 5.2と命題 1.4により Hausdorff なコンパクト生成空間であるので、§E2.38 定理 5.3の吸収列による特徴づけから、(Kn)(K_n)はkωk_\omegaの閉集合判定を与える。

∗*の任意の近傍は、基本開近傍UfU_fを含む。UfU_fはすべての枝に交わるから、有限本の枝だけに交わるコンパクト部分集合に含まれることはない。したがって∗*はコンパクト近傍をもたない。▨

命題 8.2.kωk_\omega空間XXに対して、定義の閉集合判定を満たすコンパクト部分集合の増大列(Kn)(K_n)で、各KnK_nが距離化可能であるものが存在するならば、XXは列型である。

証明. 自然な全射q ⁣:∐n∈N≥1Kn→Xq\colon\coprod_{n\in\NN}K_n\to Xは、直和の成分ごとの閉集合判定とkωk_\omegaの閉集合判定により商写像である。各KnK_nは距離化可能であるから列型であり、補題 3.1により直和とその商像XXも列型である。▨

例 8.3. コンパクト Hausdorff 空間[0,ω1][0,\omega_1]はkωk_\omega空間であるが列型ではない。

証明.[0,ω1][0,\omega_1]についてはすべてのnnでKn=[0,ω1]K_n=[0,\omega_1]とすればkωk_\omegaの条件を満たし、列型でないことは命題 5.10による。▨

9 演習

問題 9.1. Arens 空間S2S_2の部分空間

Y={∗}∪{xn,m:n,m∈N≥1}Y=\{*\}\cup\{x_{n,m}:n,m\in\NN\}

に対して、kYkYとsYsYの位相を求めよ。

解答.

命題 5.9により、YYのコンパクト部分集合はすべて有限である。YYは Hausdorff であるから、各有限部分空間は離散空間である。したがってYYの任意の部分集合は k 閉であり、k 化の閉集合の記述によりkYkYの閉集合はYYの全部分集合となる。ゆえにkYkYは離散空間である。

YY内でyj→yy_j\to yとする。補題 1.3によりC={y}∪{yj:j∈N≥1}C=\{y\}\cup\{y_j:j\in\NN\}はコンパクトであるから有限である。Hausdorff 性によりC∖{y}C\setminus\{y\}はYYで閉であり、その補集合はyyの開近傍である。したがって(yj)(y_j)は有限個の項を除いてyyに等しい。ゆえにYYの任意の部分集合は列閉であり、列型化の閉集合の記述によりsYsYの閉集合もYYの全部分集合となる。したがってsYsYも離散空間である。▨

問題 9.2.XXを可算コンパクトな位相空間、SSを列型空間の部分空間である空間とするとき、射影pr⁡S ⁣:S×X→S\pr_S\colon S\times X\to Sは閉であることを示せ。

解答.

SSを部分空間として含む列型空間TTをとる。命題 4.1により、射影p ⁣:T×X→Tp\colon T\times X\to Tは閉写像である。p−1(S)=S×Xp^{-1}(S)=S\times Xであり、ppの全逆像p−1(S)p^{-1}(S)と終域SSへの制限はpr⁡S ⁣:S×X→S\pr_S\colon S\times X\to Sに一致する。したがって§E2.12 補題 5.6 (3)によりpr⁡S\pr_Sは閉写像である。▨

参考文献

  1. James R. Boone, Sheldon W. Davis, and Gary Gruenhage, Cardinal functions for k-spaces, Proceedings of the American Mathematical Society 68 (1978), no. 3, 355–358.列型順序とコンパクト順序の定義、およびそれぞれの順序の存在による列型性とコンパクト生成性の特徴づけを参考にした。
  2. Evelyn Rupard McMillan, On continuity conditions for functions, Pacific Journal of Mathematics 32 (1970), no. 2, 479–494.互いに素な開集合族とコンパクト集合の開被覆を用いて Fréchet–Urysohn 性を導く証明を参考にした。
  3. Kyriakos Keremedis and Eliza Wajch, k-spaces, sequential spaces and related topics in the absence of the axiom of choice, arXiv:2108.01195v1, 2021.Hausdorff 空間の継承的コンパクト生成性と Fréchet–Urysohn 性の同値を、通常の選択公理の下で述べた定理を参考にした。
  4. Shou Lin, A note on the Arens' space and sequential fan, Topology and its Applications 81 (1997), 185–196.Hausdorff 空間における列型化と Arens 空間による Fréchet–Urysohn 性の特徴づけを参考にした。
  5. Howard H. Wicke, The regular open continuous images of complete metric spaces, Pacific Journal of Mathematics 23 (1967), no. 3, 621–625.T₀ 第一可算空間を距離空間の連続開全射像として表す Ponomarev の定理の記載を参考にした。
  6. Alan Dow, Compact C-closed spaces need not be sequential, Acta Mathematica Hungarica 153 (2017), 1–15.コンパクト Hausdorff な C-closed 非列型空間が存在するモデルの構成と、CH を満たすモデルからの Cohen 拡大ではコンパクト Hausdorff な C-closed 空間がすべて列型となることを参考にした。

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